説明

ノイズのあるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力を反復して推定するための方法、およびノイズのあるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力を順次推定するための装置

【課題】合理的な遅延と、改良されたノイズ耐性と、限られた誤差伝播とを有する、決定に向けられた制御ループにおけるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力についての一般の推定方法を提供する。
【解決手段】ノイズのあるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力の推定器が説明される。推定器は反復して動作する。各繰返しにおいて、推定器は、N個の最近受けたノイズのあるチャネル出力のウインドウを処理して、長さNのすべての可能なチャネル出力サブシーケンスについてのサブシーケンスメトリックを比較し、最大事後確率を有するノイズのないサブシーケンスを選択する。選択されたサブシーケンスの1つのノイズのないサンプルは、チャネル出力のうちの1つの推定値として出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は符号間干渉がある、ノイズのある通信チャネルにわたる検出に一般に関し、より特定的に、ノイズがある状態でのノイズのないチャネル出力の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
磁気記憶チャネルなどの時間分散通信チャネルにおいては、チャネルをフィルタにかけて、ノイズがない状態で同期してサンプリングされると限られたスパンにわたってゼロでない整数値サンプルを与える等化チャネル応答を提供することが有利である。等化応答のスパンが、単一の入力に応じた1つのシンボル期間よりも大きい場合、順次入力の応答は互いに干渉し、等化チャネルは文献中でパーシャルレスポンスチャネルと称される。ダイコードパーシャルレスポンス、クラス4パーシャルレスポンス(PR4)、または拡張クラス4パーシャルレスポンス(EPR4)などのパーシャルレスポンスチャネルモデルが磁気記録において特に関心の対象である。
【0003】
パーシャルレスポンスチャネルの出力が同期してサンプリングされた場合、所与のチャネル入力に対する応答は、現在の入力と、そのゼロでない応答が等化チャネルの干渉スパン内にある前のチャネル入力とに依存する。各出力サンプルは、しばしばガウス型であると仮定される加法性ノイズによって損なわれる。
【0004】
以下の解説のため、{u0,u1,u2,…}などの符号のシーケンスを、シーケンスの対応するD変換と関連付けると便利である:
【0005】
【数1】

【0006】
式中、uiはシーケンス内のi番目の符号であり、Dはユニット遅延演算子である。
図1は、磁気記録チャネルについての典型的なパーシャルレスポンス受信機の簡略図である。バイナリユーザ入力U(D)のシーケンスは、時間領域双ビット応答h(t)を有する磁気チャネル100への入力である。チャネルの出力は広帯域の加法性ノイズによって損なわれる。アナログローパスフィルタ101は受信信号を帯域制限して、サンプラー102でのエイリアシングを防止する。サンプラーはアナログ−デジタル変換器(A−D)であり得るか、または代替的にアナログサンプルホールド回路であり得るかのいずれかである。典型的なA−Dサンプラーでは、ノイズのあるチャネル出力の範囲がmビットに線形に量子化される。なおmは6以上である。サンプルのストリームは、典型的に有限インパルス応答(FIR)フィルタである等化器103に入る。また、等化器103はチャネル応答を精製するようにオプションとして適応し得る。
【0007】
ゲイン、等化、タイミングが完璧で、ノイズのない理想的なシステムでは、104の合成応答は所望のシステムパーシャルレスポンス多項式P(D)である。理想的なノイズのないパーシャルレスポンスチャネルの出力は、X(D)=U(D)P(D)で与えられる。P(D)=(1−D)(1+D)Rという形態のパーシャルレスポンス多項式は、磁気記録システムにおいて一般的に利用され、式中Rは負でない整数である。R=0のとき、
P(D)=1−Dであり、このシステムはダイコードパーシャルレスポンスチャネルとして公知である。PR4システムについては、R=1であり、パーシャルレスポンス多項式はP(D)=1−D2であり、EPR4については、R=2であり、P(D)=1+D−D2−D3である。
【0008】
実際のシステムでは、パーシャルレスポンスチャネルの出力はY(D)=X(D)+E(D)であり、システムのi番目の出力において観察されるさまざまなチャネル欠陥が誤差項eiにまとめられる。チャネル欠陥が、システムのビット速度と比べてゆっくりと変動する条件によるものであると仮定して、K個のサンプルの最近の観察スパンにわたる平均的なチャネル品質が監視され得る。チャネル品質を監視する1つのそのような方法は、図2に示されるような移動平均推定器において、K個のサンプルのスパンにわたる平均的な誤差分散の推定値を得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図1の典型的な受信機では、サンプリング誤差は、チャネル振幅の変動、サンプリング時のタイミング位相誤差、および正しく調整されていない等化器に合わせて調整する、決定に向けられた制御ループを用いて最小化される。特に、タイミング回復ループの性能が極めて重要である。これらの制御ループの達成可能な適応率はループ遅延に非常に依存しており、適応率は、制御ループ安定性を維持するためには長い遅延について低減されなければならない。
【0010】
この開示は、検出器におけるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない応答を推定する方法に関する。パーシャルレスポンスチャネルについてのさまざまな先行技術の検出方法が文献中で公知である。制御ループ目的のノイズのないチャネル出力シーケンスの典型的な先行技術の検出器は、チャネルの予想される整数値出力に依拠するスライサである。たとえば、ダイコードチャネルは、ノイズがない状態でノイズのないチャネル出力−1、0、および+1を生成する。サンプリングされたチャネル出力を、たとえば設定閾値−0.5および0.5と比較することにより、スライサは、すべての可能なノイズのないチャネル出力のセットのうち最も近いチャネル出力をサンプルごとに推定することができる。スライサは、パーシャルレスポンスチャネルを多段階通信システムと単純にみなし、時間iでの検出器決定は、時間iでのチャネル出力の観察にのみ基づく。
【0011】
他の先行技術の検出器は、多状態検出器を用いて最尤シーケンス推定を行なうビタビ検出器として公知であり、各状態は、干渉するチャネル入力の可能な組合せを表わす。ビタビ検出器のゲインを完全に実現するため、ビタビ検出器の最終決定は典型的に、チャネルの干渉スパンの数倍の遅延を招く。スライサに基づく検出器は、パーシャルレスポンスチャネルの特性によって課される、システムのノイズのない出力のシーケンスに対する制約を無視し、ビタビ検出器などのこのシーケンス情報を利用する検出器よりも推定誤差率が高くなる傾向がある。
【0012】
決定に向けられた制御ループは典型的に、チャネルのノイズのない応答の推定値を利用してゲイン誤差、タイミング誤差、および等化誤差を推定する。スライサに基づく検出器があまりにもたびたび誤った推定をすると、決定に向けられた制御ループ内でチャネルを調整するのに用いられる推定値がさらに損なわれる。スライサに基づく検出誤差率が高いノイズのある環境では、タイミング回復が失われ得、破局的誤差に繋がる。
【0013】
ビタビ検出器は改良されたノイズ耐性を有するが、ビタビ検出器はその2つの顕著な特徴のために、決定に向けられた制御ループ内の検出器としてはあまり典型的でない。第1に、ビタビ検出器は典型的に決定遅延が長い。ビタビ検出器の長い固有の遅延によって、
決定に向けられた制御ループの適応性能が低下する。第2に、ビタビ検出器内で誤った仮の決定がなされた場合、状態メトリクスの内部フィードバックが、複数の推定誤差のバーストを含む最終決定をもたらす。ビタビ検出器の決定がバーストで誤っていると、これらのバーストは受信機の制御をさらに損なうおそれがある。
【0014】
上記に鑑みて、合理的な遅延と、改良されたノイズ耐性と、限られた誤差伝播とを有する、決定に向けられた制御ループにおけるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力についての一般の推定方法が当該技術分野において必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
要約
この発明は、符号間干渉がある、ノイズのあるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのないチャネル出力の推定に向けられた方法、装置およびシステムを提供する。各反復において、N個の最近の連続的にサンプリングされたチャネル出力のスライディングウインドウおよびノイズパワー(noise power)の推定値が処理されて、ウインドウ内のノイズのないサンプルの1つを推定し、Nは、チャネルの符号間干渉の少なくとも2つの符号にまたがる。
【0016】
図中の言及される図面に例示的な実施例が図示される。本明細書中で開示される実施例および図面は限定的ではなく例示的であると考えられるべきであることが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
例示的な実施例の詳細な説明
以下の実施例およびその局面は、例示的および説明的であるためであって範囲を限定するためではないシステム、装置および方法と関連して説明および図示される。さまざまな実施例において、1つ以上の上述の問題点が緩和または解消された。上述の局面および実施例に加えて、図面を参照し、かつ以下の説明を検討することにより、さらなる局面および実施例が明らかになるであろう。
【0018】
この開示の「スライディングMAP検出器」は、最大事後確率(maximal a posterioiri)(MAP)決定則をほぼ実現してローカルサブシーケンスを推定する。決定則は、ベイズの法則(Bayes'Rule)として文献中で公知の仮説検定アルゴリズムに基づく。ベイズの法則の総体的な解説については、Carl W. Helstromによる、Probability and Stochastic Processes for Engineers, ISBN 0-02-353560-1, Macmillan Publishing Company, New York, 1984, pp.50-51を参照。
【0019】
検出器は、長さNのスライディングウインドウを用いてチャネルの出力を検査する。より特定的に、検出器アルゴリズムのi番目の反復の間、メトリック(metric)は、パーシャルレスポンスチャネル出力における最近のN個のノイズのあるサンプル、{yi-N+1,yi-N+2,…,yi}を用いて計算される。
【0020】
検出器の決定則は、パーシャルレスポンスチャネルの可能なノイズのない出力サブシーケンス、およ各々のそのようなノイズのない出力サブシーケンスがチャネルの出力において発生するであろう事前確率の予め定められた知識を利用する。
【0021】
検出器の1つの反復において、検出器は、長さNの各々の仮説のノイズのない出力サブシーケンスをメトリックと関連付け、このメトリックは仮説のサブシーケンスの事後確率と関連している。検出器は、最も高い事後確率を有する1つの仮説のサブシーケンスを、最も尤度が大きいノイズのない出力サブシーケンス、
【0022】
【数2】

【0023】
であるとみなす。
検出器は、
【0024】
【数3】

【0025】
で示される、サンプルの最も尤度が大きい出力サブシーケンス内のノイズのないサンプルxjのうちの1つの推定値を発行し、ここでi−N<j<i+1である。
【0026】
検出器は次の反復でも同様のやり方で進行し、サンプル{yi-N+2,yi-N+3,…,yi+1}のウインドウに基づいてメトリックを比較し、最も尤度が大きいノイズのない出力サブシーケンスを選び、xj+1の推定値
【0027】
【数4】

【0028】
を発行する。
ここで、反復(i+1)におけるこの実施例の出力推定値は、反復iにおける検出器の推定値からのフィードバックに依存しない。スライディングMAP検出器の利点は、非常にノイズの多いサンプルの影響が、せいぜい検出器のN個の決定に限られるということである。反復(i+1)において最も尤度が大きいとみなされた出力サブシーケンスは、反復iにおいて最も尤度が大きいとみなされた重複サブシーケンスと不整合であることもある。この発明のスライディングMAP検出器はオプションとして、以下に説明されるような整合性検査回路で増補され得る。
【0029】
サブシーケンスの事後確率は、以下のように検出器において規定および近似され得る。
Pr[v]が、仮説のN個サンプルのノイズのない出力サブシーケンスv={v1,v2,…,vN}の事前確率を示すとする。
【0030】
【数5】

【0031】
という仮説Hvのもと、ランダムなチャネル出力のN変量同時確率密度関数は、
【0032】
【数6】

【0033】
で示される。
仮設Hvのもとでノイズのあるサンプルの特定のセット{yi-N+1,yi-N+2,…,yi}を観察する条件付き確率は
【0034】
【数7】

【0035】
で示され、これは、観察されるノイズのある各々のサンプルの適切な量子化レベルスパンにわたって確率密度関数のN次元の積分を行なうことによって分析的に得られる:
【0036】
【数8】

【0037】
仮説Hvの事後確率は
【0038】
【数9】

【0039】
として規定される。仮説Hvの事後確率、
【0040】
【数10】

【0041】
が、仮説Hwの事後確率、
【0042】
【数11】

【0043】
よりも高い場合、仮説Hvは仮説HWよりも尤度が大きいことが示され得る。検出器は、パーシャルレスポンスチャネルのN個の最近の可能なノイズのない出力に対応するすべての仮説を考慮し、Pr[yi-N+1,yi-N+2,…,yi|Hv]の推定値を用いて、最大事後確率を有する仮説を選択する。
【0044】
この発明の単純化された推定方法が、ダイコードチャネルについての例示的なスライディングMAP検出器、およびEPR4チャネルについての特定の実施例で解明される。この開示のダイコードチャネルについての例示的なスライディングMAP検出器は、i番目の反復における2つの最近観察されたサンプル{yi-1,yi}のスライディングウインドウを利用する。一般に、スライディングウインドウは、5つの最近観察されたサンプルなどの、より多数のサンプルにまたがっていることがあり、決定は、スライディングウインドウ内の観察されたサンプルのすべてまたはサブセットに基づき得る。
【0045】
ダイコードチャネルのノイズのない出力は、xiおよびxi-1が両方ともゼロでない場合、xi=−xi-1であるという特性を有する。この特性のため、検出器はxiおよびxi-1の値について以下の7つの仮説の組合せを考慮するだけでよい:
【0046】
【表1】

【0047】
スライディングMAP検出器は、ノイズのない出力シーケンス確率の予め定められた知識を用いる。符号化システムでは、受信機が送信機のシーケンス確率の知識を有すると仮定される。この例では、ランダムな入力が仮定される。ランダムな入力を有するダイコードシステムのさらなる特性は、ノイズのないすべてゼロの出力サブシーケンス、{0,0}の平均確率が0.25であるのに対し、6つの他のノイズのない出力サブシーケンスの各々の平均確率が0.125であることである。
【0048】
システムのノイズのある出力は、予測可能な確率分布を有するランダムな変数であると仮定される。最も一般的に仮定される確率分布では、図1のn(t)であるノイズが加法性ホワイトガウスノイズである。通信システム内の優勢なノイズ成分が、レイリーフェージングなどのガウスノイズ以外の要因によるものである場合、その優勢なノイズ源に対してより適切な他の確率密度関数が用いられ得る。
【0049】
フィルタにかける動作は典型的に、連続したサンプル間に相関を導入し、フィルタの出力においてノイズを着色する。仮説Hv:{xi-1,xi}={v1,v2}を有するガウスノイズの仮定のもと、2つの観察されたランダムな出力の同時条件付き確率密度関数は、二変数のガウス確率密度関数
【0050】
【数12】

【0051】
であり、式中、rはランダムな出力の相関係数であり、σ2はランダムな出力の分散である。Carl W. Helstromによる、Probability and Stochastic Processes for Engineers, ISBN 0-02-353560-1, Macmillan Publishing Company, New York, 1984, p.136を参照。
【0052】
事後確率の計算は、ランダムな出力が相関しておらず、かつ
【0053】
【数13】

【0054】
であるという付加的な仮定によって単純化される。この近似を用いて、
【0055】
【数14】

【0056】
である場合、かつその場合に限りPv>PWとなる。
上記の式の両辺の共通項yi2およびyi-12を除去して、メトリックの等化比較を形成することができる。Mvが、仮説Hvの事後確率と関連付けられたメトリックを示すとする。メトリックMv
【0057】
【数15】

【0058】
によって与えられる。パーシャルレスポンス受信機では、図2に示されるような移動平均推定器を用いて、Mvを算出する際に分散σ2の推定値を与えることができる。
【0059】
2つの仮説の事前シーケンス確率が等しい、すなわちPr[v]=Pr[w]であるときは、サブメトリック(sub-metric)を比較するだけで十分である:
【0060】
【数16】

【0061】
式中、B(x,y)はブランチメトリック(branch metric)
【0062】
【数17】

【0063】
を示す。ダイコードシステムでは、3つのノイズのない出力レベルは1、0、および−1である。ノイズのない出力0は自明なブランチメトリックB(0,y)=0を有するのに対し、ゼロでないノイズのない出力+1および−1は、それぞれブランチメトリックB(1,y)=2y−1およびB(−1,y)=−2y−1を有する。
【0064】
図3は、ダイコードチャネルを有する例示的なスライディングMAP検出器についてのブランチメトリック発生器に含まれるサンプル遅延ラインの図である。ブランチメトリック発生器のi番目の動作中、ノイズのあるサンプルyiが、(N−1)個のレジスタからなる遅延ライン201に入る。201の出力はyi-1である。例示的なダイコード検出器の推定決定は、このスライディングウインドウ内のサンプルに基づく。
【0065】
ブランチメトリック発生器は、4つのブランチメトリック計算ユニットを含む。図3のブランチメトリック計算ユニット203、204、205および206は、それぞれB(1,yi)=2yi−1、B(1,yi-1)=2yi-1−1、B(−1,yi)=−2yi−1
、およびB(−1,yi-1)=−2yi-1−1を算出する。これらの4つのブランチメトリックはブランチメトリック発生器から、それぞれ1から4の図式化された出力上に出力される。
【0066】
図4は、ダイコードチャネルについての例示的なスライディングMAP検出器についての決定ユニットである。図3のブランチメトリック発生器の出力は再構成および合成されて、それぞれSM1からSM6と示される、仮説H1からH6についてのサブメトリックを生成する。特定的に、サブメトリックSM1、SM3、SM4、およびSM6はブランチメトリック発生器の出力として直接に入手可能であるのに対し、サブメトリックSM2およびSM5は加算器402および403の出力において生成される、ブランチメトリック発生器の出力の2つ1組の和として得られる。
【0067】
6つのサブメトリックは6者間比較−選択ユニット401で比較され、これは、6つのサブメトリックを比較して最大サブメトリックおよびその関連指数、SMindexを見つける。この指数は、事前確率が0.125であるゼロでないサブシーケンスについて最も尤度が大きい仮説を示す。
【0068】
事前確率が異なるサブシーケンスどうしを比較するため、仮説Hvについてのサブシーケンスサブメトリックは、2σ2ln[Pr[v]]によってオフセットされてサブシーケンスメトリックを生じる。図4のユニット404であるスケーリングユニットは、項ln[0.125]およびln[0.25]だけ推定分散をスケール変更して、2つの事前サブシーケンス確率について2つのオフセットを生じる。ユニット401のサブメトリック出力は加算器405でオフセットされて、事前確率が0.125であるゼロでないサブシーケンスについての最も尤度が大きい仮説についてシーケンスメトリックを生成するのに対し、すべてゼロのサブシーケンスメトリックは2σ2ln[0.25]で与えられる。これらのメトリックは比較されて、2者間比較−選択ユニット406で最大メトリックおよびその指数を選択する。
【0069】
図4において、406の出力はルックアップテーブル407に入力され、これは、最大メトリックの指数の関数としてxiの推定値を定める。たとえば、最大メトリックの指数が3である場合、これは仮説H3と関連付けられ、ルックアップテーブル407は仮説H3内のxiの仮説の値、すなわち値−1を出力する。
【0070】
オプションとして、ルックアップテーブル407は整合性検査も提供することができるが、これは図4に示されていない。このオプションでは、ルックアップテーブル407は反復iにおいてxi-1の仮説の値も出力することができる。これは、反復(i−1)においてチャネルの最も尤度が大きい出力として推定された前のサブシーケンスからの重複サブシーケンスである。この推定値に不一致がある場合、整合性検査回路は、不正確である可能性がある決定にフラグを立てることができる。図1のパーシャルレスポンス受信機制御回路推定器はこのフラグをオプションで利用して、誤ったチャネル調整を無効にすることができる。
【0071】
図4の検出器は、開示される検出器決定則の直接的な実現例であるが、さまざまに単純化して回路の複雑度をさらに低減させることができる。いくつかの単純化が図5A〜図5Cに図示される。これらの単純化のため、
【0072】
【数18】

【0073】
という形態の一般化したN個サンプルサブシーケンスメトリックが仮定される。Pv>Pwの場合、すなわち
【0074】
【数19】

【0075】
の場合、
【0076】
【数20】

【0077】
となる。この式により、確率の異なる2つのシーケンスを唯一のオフセット因数を用いて比較することができる。
【0078】
図5Aは、単純化されたユニット508に含まれる、上記オフセット因数を用いた図4のスケーリングユニットおよび最終的な2者間比較−選択ユニットの単純化を図示する。ユニット504はノイズ分散の推定値を因数で乗算して、事前確率の比と関連したオフセットを出力する:
【0079】
【数21】

【0080】
オフセットは、加算器505でユニット501のサブメトリック出力に加算される。結果が正である場合、SIGNユニット506は論理1を出力する。506の出力はマルチプレクサ507へのセレクタ入力となり、マルチプレクサ507は最大メトリックの指数を出力する。
【0081】
2つの仮説の事前確率が等しい場合、いくつかの単純化が利用可能である。上述のように、2つのサブシーケンスの事前確率が等しい場合は、ブランチメトリックの和からなるサブメトリックどうしを比較するだけで十分である。
【0082】
ノイズのないサンプル値が1つだけ異なるという意味で、仮説のサブシーケンスが、確率が同じ他の仮説のサブシーケンスとほぼ同一であると仮定する。ここで、wは
【0083】
【数22】

【0084】
とほぼ同一であり、式中、1つの指数hについてはwh≠vhであり、それ以外の場合はwi=viである。B(vj,yi-N+j)<B(wj,yi-N+j)である場合、かつその場合に限りHvはHwよりも尤度が小さいことになる。上記ブランチメトリックの比較は、単一の閾値比較によって達成され得ることが示され得る。図5Bは、この式を用いた、単純化され
た6者間比較を図示する。この単純化により、図4のユニット401の6者間比較を、3つの2つ1組の閾値事前比較を用いた3者間比較として実現することができる。
【0085】
同様に、さまざまな対称性を活用して、ブランチおよびシーケンスメトリック発生器の複雑度を低減させることができる。たとえば図5Cは、単純なオフセット加算器によって置換され得るブランチメトリック算出器ユニットの数を半分にするための手段を図示する。
【0086】
要約すると、パーシャルレスポンスチャネルについての例示的なスライディングMAP検出器は、
a.パーシャルレスポンスチャネルの各々の可能なノイズのない出力サブシーケンスを予め定め、各々を仮説および分かっている事前確率と関連付け、
b.仮説の出力シーケンスに与えられるチャネル出力の確率分布の推定値を用いて、チャネルの最後のN個の出力に基づいて各々の仮説のサブシーケンスの事前確率と関連した量を算出し、
c.(b)で算出された量どうしを比較して、最も尤度が大きいチャネル出力サブシーケンスおよびその関連の仮説を見つけ、
d.さまざまな単純化を利用して、(c)の比較を、計算の複雑度がより低い同等の比較で置き換え、
e.(c)の最も尤度が大きいサブシーケンス内のノイズのないサンプルのうちの1つの推定値を出力し、
f.オプションとして、前に最も尤度が大きいとみなされた重複シーケンスのある部分が、現在最も尤度が大きいとみなされたサブシーケンスと整合するかどうか確認する。
【0087】
パーシャルレスポンス検出についてのMAPアルゴリズムを実現する代替的な手段も開示される。代替的な手段では、メトリック比較式を操作して、推定されるべき特定のサンプルについての比較を分離する。検出器決定は、特定のサンプルを、ウインドウ内の周囲のノイズのあるサンプルの関数として計算される閾値と比較することによってなされる。この検出器装置はスライディング移動閾値検出器(MTD)と示される。
【0088】
特定的に、事後確率PvとPwとの比較に基づいて仮説HvおよびHwのどちらかを選ぶスライディングMAP検出器決定則を考える。一般化されたN個サンプルウインドウメトリックを用いると、決定則Pv>Pw
【0089】
【数23】

【0090】
である場合、かつその場合に限り満たされる。
i番目の反復において、検出器は
【0091】
【数24】

【0092】
を出力し、式中i−N<j<i+1である。k=N+j−iであるとする。
項を再構成し、特定のyjを分離するように単純化することにより、スライディングM
AP検出器決定則は
【0093】
【数25】

【0094】
である場合、かつその場合に限りPv>Pwと等しいことが示され得る。wk≠vkである場合、
【0095】
【数26】

【0096】
である場合、かつその場合に限りPv>Pwとなる。
スライディングMAP検出器決定則はしたがって、スライディングウインドウ内の他のノイズのあるサンプルに依存する移動閾値を設定し、かつ特定のノイズのあるサンプルと移動閾値との比較に基づいて2つの仮説のどちらかを決定することに等しいことが示される。
【0097】
特に、u=vkをパーシャルレスポンスシステムの整数のノイズのない出力レベルとし、u+1=wkをシステムの次のより大きいノイズのない出力レベルとする。ウインドウ内のk番目のサンプル内で連続したレベルを取るサブシーケンスのどちらかを決定するための決定則は、
【0098】
【数27】

【0099】
である場合、かつその場合に限りPv>Pwに単純化される。
図6は、N=2の場合の、この開示の例示的なダイコードチャネルについてのスライディングMTDの実現例を図示しており、これはi番目の反復における2つの最近観察されたサンプル{yi-1,yi}のスライディングウインドウを利用して、xiの値を推定する。
【0100】
最初に、yiを除くウインドウ内のサンプルを用いて、xiの各々の可能な値について最も尤度が大きいサブシーケンスを判断する。たとえば、xi=1の場合の2つの可能性はH2またはH4のみである。2つの確率が等しい仮説のサブシーケンスの事後確率を比較すると、(−yi-1−0.5)が正である場合、かつその場合に限りP2>P4である。図6では、計算ユニット601が(−yi-1−0.5)を出力し、これはSIGNユニット607に入力される。(−yi-1−0.5)が正である場合、ユニット607の出力は論理1である。607の出力はマルチプレクサ606へのセレクタ入力であり、マルチプレクサ606は、P2>P4である場合に(−yi-1−0.5)を出力し、そうでない場合はゼロを出力する。
【0101】
同様に、xi=−1の場合のたった2つの可能性はH3またはH5である。2つの確率が等しい仮説のサブシーケンスの事後確率を比較すると、(yi-1−0.5)が正である場合、かつその場合に限りP5>P3である。図6では、計算ユニット602は(yi-1−0.5)を出力する。マルチプレクサ610の出力は、P5>P3である場合に(yi-1−0.5)であり、そうでない場合はゼロである。
【0102】
=0の場合の2つの確率が等しいシーケンスは仮説H1またはH6にある。2つの確率が等しい仮説のサブシーケンスの事後確率を比較すると、yi-1が正である場合、かつその場合に限りP6>P1である。SIGNユニット603は論理1を出力し、マルチプレクサ605はyi-1が正である場合に(yi-1−0.5)を出力し、そうでない場合はマルチプレクサ605は(−yi-1−0.5)を出力する。
【0103】
スケーリングユニット604は、仮説H0のサブシーケンスについて相対メトリックを計算し、これは比較器609でマルチプレクサ605の出力と比較される。比較器609の出力はマルチプレクサ608のセレクタ入力であり、マルチプレクサ608はxi=0の場合に最も尤度が大きいサブシーケンスについてメトリックを出力する。
【0104】
マルチプレクサ606、608および610の出力における3つのサブシーケンスメトリックは、xiについてすべての可能なレベルで終了する、最も尤度が大きいサブシーケンスのメトリックである。3つの相対メトリックは計算ユニット612および613で合成されて、yiについて2つの閾値を設定する。計算ユニット612は比較用の中点を設定して、(xi=0)および(xi=1)のどちらかを決定する。比較器614は、(xi=1)の尤度がより大きい場合に論理1を出力する。同様に、計算ユニット613は比較用の中点を設定して、(xi=0)および(xi=−1)のどちらかを決定する。比較器615は、(xi=−1)の尤度がより大きい場合に論理1を出力する。NORゲート616は、(xi=0)の尤度が最も大きい場合に論理1を出力する。
【0105】
EPR4チャネルについてのこの発明の例示的な実施例が図7および図8に示される。この発明のEPR4チャネルについての好ましいスライディングMAP検出器は、3つの最近観察されたサンプル{yi-2,yi-1,yi}のスライディングウインドウを利用する。決定は、ウインドウ内のサンプルのすべてに基づく。
【0106】
表1は、ランダムなバイナリ入力を有するEPR4チャネルの出力における長さ3のすべての45個の可能なノイズのないサブシーケンスを列挙している。各シーケンスは、仮説の指数、一連の3つのノイズのないサンプル、および事前サブシーケンス確率とともに列挙されている。表1は、3つの確率が等しいグループに分割される。表1Aは、事前確率1/16の、すべてゼロのサブシーケンスしか含んでいない。表1Bは、事前確率1/32の長さ3のすべての16個のサブシーケンスを含む。表1Cは、事前確率1/64の長さ3のすべての28個のサブシーケンスを含む。
【0107】
バイナリ入力を有するノイズのないEPR4チャネルは、その出力が5つの区別できる値、−2、−1、0、1、および2を取るという特性を有する。図7は、3サンプルウインドウを有するEPR4についてのブランチメトリック発生器を図示する。ブランチメトリック計算ユニット701、704、707、および710は、ゼロでないノイズのない出力値の各々についてブランチメトリックを計算し、それぞれB(2,y)=4y−4、B(1,y)=2y−1、B(−1,y)=−2y−1およびB(−2,y)=−4y−4を計算する。遅延ライン702−703、705−706、708−709、および711−712は、遅延されたブランチメトリックを提供する。ブランチメトリック発生器の出力は1から12の標識を付されている。
【0108】
サブメトリックは、ブランチメトリック発生器の出力におけるさまざまなブランチメトリックを加算することによって算出される。たとえば、ノイズのないサンプル値{xi-2,xi-1,xi}={2,1,−1}を有する仮説37は、関連のサブメトリック
【0109】
【数28】

【0110】
を有する。3つの成分ブランチメトリックは、図7の3、5、および7と番号付けられた出力において入手可能である。45個のサブメトリックを計算するための加算器は示されていない。
【0111】
図8は、EPR4スライディングMAP検出器の決定ユニットを図示する。計算ユニット801は28者間比較−選択ユニットであり、17から44と指数付けされた仮説についてサブメトリックを比較し、最大サブメトリックを選び、このサブメトリックとその関連指数とを出力する。加算器802はオフセットを与えて、表1Cからのこの最も尤度が大きい出力シーケンスを表1Bの出力シーケンスと比較する。
【0112】
計算ユニット803は17者間比較−選択ユニットであり、1から16と指数付けされた仮説についてのサブメトリックを、表1Cからの最も尤度が大きい仮説と比較する。ユニット803は最大メトリックを選び、このメトリックとその関連指数とを出力する。加算器805はオフセットを与えて、表1Bおよび表1Cからのこの最も尤度が大きい出力シーケンスを表1Aの出力シーケンスと比較する。最終的な単純化された2者間比較選択は、図5Aに示されるのと同一である。検出器の残余は、ルックアップテーブル407と同一の動作を実行するルックアップテーブル(図示せず)、および整合性検査論理(図示せず)からなる。
【0113】
表1.ノイズのないERP4サブシーケンス
以下の表は事前確率に従って3つのサブグループにグループ分けされる:
表1A.事前確率0.0625のノイズのないEPR4サブシーケンス
【0114】
【表2】

【0115】
表1B.事前確率0.03125のノイズのないEPR4サブシーケンス
【0116】
【表3】

【0117】
表1C.事前確率0.015625のノイズのないEPR4サブシーケンス
【0118】
【表4】

【0119】
多数の例示的な局面および実施例が上で解説されたが、当業者であれば、その修正、置換、追加および下位の組合せを認識するであろう。したがって、以下の添付の請求項およびこの後に導入される請求項は、すべてのそのような修正、置換、追加および下位の組合せを、それらが真意および範囲内にあるままに含むものと解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】磁気記録チャネルについてのパーシャルレスポンス受信機の簡略図である。
【図2】ローカルノイズパワー推定器の図である。
【図3】スライディングウインドウ長さNが2に等しい場合の、ダイコードチャネルについて設計された、この発明の実施例のスライディングMAP検出器についての例示的なブランチメトリック発生器の図である。
【図4】ダイコードチャネルについてのスライディングMAP検出器の例示的な実施例の残りの部分の図である。
【図5A】図4の1つの単純化を示す図である。
【図5B】図4の1つの単純化を示す図である。
【図5C】図4の1つの単純化を示す図である。
【図6】異なる閾値を用いたダイコードチャネルについての例示的な検出器を実現する例示的な代替的手段の簡略図である。
【図7】スライディングウインドウ長さNが3に等しい場合の、EPR4チャネルについて設計された、この発明のスライディングMAP検出器についての例示的なブランチメトリック発生器の図である。
【図8】完全な例示的なEPR4検出器の簡略図である。
【符号の説明】
【0121】
201 遅延ライン、203、204、205、206 ブランチメトリック計算ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズのあるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力を反復して推定するための方法であって、
ノイズのあるチャネル出力のN個の最近のサンプルのウインドウにアクセスするステップを備え、Nは1よりも大きく、前記方法はさらに
パーシャルレスポンスチャネルのN個の最近のノイズのない出力のすべての可能なシーケンスのセット、および各々のそのような可能なシーケンスの事前確率を用いるステップと、
パーシャルレスポンスチャネルのN個の最近のノイズのない出力のすべての可能なシーケンスのセットの各要素と関連付けるためのメトリックを判断し、判断されたメトリックどうしを比較して最大メトリックを選択し、かつ最大メトリックに関連付けられたすべての可能なシーケンスのセットの特定の要素を判断することによって、すべてのそのような可能なシーケンスのセットを処理するステップと、
最大メトリックを有する、N個のノイズのないチャネル出力の特定のシーケンス内の対応するノイズのないチャネル出力に基づいて、N個の最近のサンプルのウインドウ内の選択サンプルについての推定値を出力するステップとを備える、方法。
【請求項2】
ノイズのあるサンプル{yi-N+1,yi-N+2,…,yi}のウインドウおよび事前シーケンス確率pを有する可能なノイズのないシーケンス(v1,v2,…,vN)に関連付けられたメトリックは、サブメトリックと確率オフセット項との和である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
確率オフセット項は、推定ノイズ分散σ2と事前シーケンス確率pの自然対数との積に比例する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
サブメトリックは、N個のブランチメトリック項の和からなる合計であり、合計はN個の項にわたって取られ、J=1,2,…,Nであり、xはJ番目と指数付けされたノイズのないサンプルvJであり、yはウインドウ内の対応するJ番目と指数付けされたノイズのあるサンプルyi-N+Jであり、J番目のブランチメトリック項は(x−y)2である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
事前シーケンス確率が等しい2つのシーケンスについて判断されたメトリックの比較は、2つのシーケンスについてのサブメトリックを比較することによって単純化される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
事前シーケンス確率p1とp2とが等しくない2つのシーケンスについて判断されたメトリックの比較は、第1のシーケンスについてのサブメトリックを第2のシーケンスについての和と比較することによって単純化され、和は、第2のシーケンスについてのサブメトリックに相対確率オフセット項を加えたものであり、前記相対確率オフセット項は、推定ノイズ分散σ2と事前シーケンス確率の比p2/p1の自然対数との積と等しい、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
共通のK番目と指数付けされたサンプル値vKを有する2つのシーケンスについて判断されたメトリックの比較は、サブメトリック合計を修正して、K番目と指数付けされたブランチメトリック項を合計から除去することによって単純化される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
パーシャルレスポンスチャネルのN個の最近のノイズのない出力のすべての可能なシーケンスのセットは2つ以上のサブセットに区分され、特定のサブセット内の各要素シーケ
ンスの事前確率は同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
パーシャルレスポンスチャネルは拡張クラス4パーシャルレスポンス(EPR4)チャネルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ウインドウサイズはNであり、前記Nは3または5に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ノイズのあるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力を順次推定するための装置であって、
パーシャルレスポンスチャネルのノイズのある出力を格納するように動作するメモリと、
論理回路とを備え、前記論理回路は
ノイズのあるチャネル出力のN個の最近のサンプルを得るためにメモリにアクセスし、
パーシャルレスポンスチャネルのN個の最近のノイズのない出力のすべての可能なシーケンスのセット、および各々のそのような可能なシーケンスの事前確率を用い、
パーシャルレスポンスチャネルのN個の最近のノイズのない出力のすべての可能なシーケンスのセットの各要素と関連付けるためのメトリックを判断し、判断されたメトリックどうしを比較して最大メトリックを選択し、かつ最大メトリックに関連付けられたすべての可能なシーケンスのセットの特定の要素を判断するように動作する回路構成を用いることによって、すべてのそのような可能なシーケンスのセットを処理し、
最大メトリックを有する、N個のノイズのないチャネル出力の特定のシーケンス内の対応するノイズのないチャネル出力に基づいて、N個の最近のサンプルのウインドウ内の選択サンプルについての推定値を出力するように動作する、装置。
【請求項12】
メモリはN段のシフトレジスタであり、シフトレジスタの各段は、各々のノイズのあるサンプル値がmビットに量子化される場合にm個の複数の単一ビットレジスタからなる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ノイズのあるサンプル{yi-N+1,yi-N+2,…,yi}のウインドウおよび事前シーケンス確率pを有する可能なノイズのないシーケンス(v1,v2,…,vN)に関連付けられたメトリックは、確率オフセット項にサブメトリックを加算する加算器回路の出力である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
加算器は、ブランチメトリック項の和に等しいサブメトリックを出力するように動作する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ブランチメトリック項算出ユニットは、ノイズのないサンプルxおよび対応するノイズのあるサンプルyについてのブランチメトリック項を出力するように動作し、これはx2−2xyに等しい、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
比較器出力は、2つのメトリックのどちらが最大メトリックであるかを示すように動作する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
比較器出力はマルチプレクサのセレクタ入力に接続され、前記マルチプレクサは、最大メトリックおよび関連のシーケンス指数のシーケンス指数の数を選択するように動作する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
関連のシーケンス指数は、ノイズのないシーケンスの数によって指数付けされた推定サンプル値のメモリをアドレス指定するように接続され、前記メモリは、最大メトリックを有するシーケンスの推定サンプル値を出力するように動作する、請求項17に記載の装置

【請求項19】
前記メモリは、最大メトリックを有するシーケンスの、ノイズのない推定サンプル値に加えて、1つ以上の他のノイズのないサンプル値を出力するようにさらに動作する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
1つ以上の比較器は、現在の反復についての推定サンプル値を、1つ以上の他の反復における推定サンプルのメモリから出力される1つ以上の他のサンプル値と比較して、不一致を示す不整合指示を出力するようにさらに動作する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
ノイズのあるパーシャルレスポンスチャネルのノイズのない出力を反復して推定するための方法であって、
ノイズのあるチャネル出力のN個の最近のサンプルのウインドウにアクセスするステップを備え、Nは1よりも大きく、前記方法はさらに
パーシャルレスポンスチャネルのすべての可能なノイズのない出力値のセットを用いるステップと、
ウインドウ内の特定の場所で特定の値を取るパーシャルレスポンスチャネルのN個の最近のノイズのない出力のすべての可能なシーケンスのセット、および各々のそのような可能なシーケンスの事前確率を用い、セットの各要素に関連付けられたサブメトリックを判断し、判断されたサブメトリックどうしを比較して最大サブメトリックを選択し、かつ最大サブメトリックを特定のノイズのない出力値に関連付けることによって、すべての可能なノイズのない出力値のセット内の各々の特定のノイズのない値を処理するステップと、
閾値を判断し、ウインドウ内の特定の場所のノイズのある出力サンプルを閾値と比較し、かつ比較を用いて、特定のノイズのない値の対のうちの出力値を選択することによって、パーシャルレスポンスチャネルのすべての可能なノイズのない出力値のセット内の特定のノイズのない値の各対を処理するステップと、
2つ1組の比較の出力を用いて出力推定値を判断するステップとを備える、方法。
【請求項22】
パーシャルレスポンスチャネルは拡張クラス4パーシャルレスポンス(EPR4)チャネルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ウインドウサイズはNであり、前記Nは3または5に等しい、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−20991(P2009−20991A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−155340(P2008−155340)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(591179352)クウォンタム・コーポレイション (49)
【氏名又は名称原語表記】QUANTUM CORPORATION
【Fターム(参考)】