説明

ノイズフィルタ、ノイズフィルタ付きケーブル、及びノイズフィルタ付きプリント配線板

【課題】高い周波数での差動モードの信号伝送への影響を抑えて、コモンモードノイズを除去することができるノイズフィルタ、ノイズフィルタ付きケーブル、及びノイズフィルタ付きプリント配線板を提供する。
【解決手段】ケーブル1は、一対の導体2A,2Bと、導体2A,2Bのぞれぞれの外周を覆う誘電体3A,3Bと、導体2A,2Bを1本のケーブル状にまとめるケーブル外皮4とを有している。導体2A,2Bは、互いに逆位相の信号を伝送するための差動伝送線路2をなしている。ケーブル外皮4には、その長手方向の一定範囲を囲むようにノイズフィルタ5が設けられている。ノイズフィルタ5は、磁性体粉末と結合剤とからなる筒状の複合磁性体6と、複合磁性体6の内周面に貼り付けられた筒状でかつシート状のシールド導体7とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、差動信号伝送を行うための基板配線やケーブルを伝播する伝導ノイズを、磁性体材料を用いて抑制するノイズフィルタと、そのノイズフィルタを有するノイズフィルタ付きケーブル及びノイズフィルタ付きプリント配線板とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、装置の動作に悪影響を与えるノイズには、外部に妨害を与える問題と、外部からのノイズで不具合を生じる問題とがある。外部からのノイズは、空間を伝わる放射ノイズと、ケーブルや基板配線等の導体を伝わる伝導ノイズとに大別される。また、放射ノイズは、装置内の信号配線や電源系と結合して、信号線や電源系の導体を伝わる伝導ノイズともなる。
【0003】
このような伝導ノイズに対しては、抵抗R、インダクタL及びキャパシタC等を組み合わせて特定の周波数領域のノイズの伝導を抑制するような周波数分離型のフィルタが用いられる。また、近年では、磁性体材料をシート状に加工し、基板やケーブルに貼るだけで高い周波数のノイズを抑制するようなノイズ抑制シートやノイズ吸収シートと呼ばれるものが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、近年では、高速な信号伝送を行う方式として、差動伝送方式が多く用いられる。この差動伝送方式は、2本の導体を使用し、互いに逆相の信号を伝送して、受信側ではその差分をとることによって信号レベルを判定する方式である。この差動伝送方式では、導体1本当たりの振幅は小さくても差分とすることによって、大きな振幅差を得られることから、高速なスイッチングに有利である。
【0005】
また、外来ノイズは、通常、2本の導体に同相で結合することから、差分をとることによって外来ノイズを打ち消すことが可能となるという利点を持つ。このような逆相/同相での伝播の違いは差動モード/コモンモード伝播と呼ばれ、この伝播モードの違いを利用したモード分離型のフィルタとしてコモンモードチョークコイルがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/045265号パンフレット
【特許文献2】特開平7−29755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、信号の周波数帯域に比べ、ノイズの周波数帯域が高い周波数であることが多く、このように信号の周波数とノイズの周波数とが異なる場合には、上記のような従来の周波数分離型のフィルタが有効に働く。しかしながら、近年の装置の高速化により信号の周波数帯域が高くなり、信号の周波数帯域がノイズの周波数帯域と重なるようになってきている。このため、従来の周波数分離型のフィルタでは、ノイズだけでなく信号の伝送をも妨げてしまうという問題があった。
【0008】
また、コモンモードチョークコイルのようなモード分離型のフィルタは、原理的にはノーマルモードの信号には影響を与えない。しかしながら、現実に存在するコモンモードチョークコイルは、高い周波数のノーマルモードの信号の伝送も妨げてしまうという問題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高い周波数での差動モードの信号伝送への影響を抑えて、コモンモードノイズを除去することができるノイズフィルタ、ノイズフィルタ付きケーブル、及びノイズフィルタ付きプリント配線板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のノイズフィルタは、互いに逆相の信号を伝送するための一対の信号伝送用導体からなる差動伝送線路に設けられるものであって、前記一対の信号伝送用導体の信号伝送方向に対する直交方向で前記一対の信号伝送用導体と重なるように前記一対の信号伝送用導体の近傍に設けられ、前記一対の信号伝送用導体を流れる電流により生じる磁界を遮断するシールド導体と、前記シールド導体における前記一対の信号伝送用導体の反対側に設けられ、前記シールド導体を流れようとする電流により生じる磁界と相互作用し、前記シールド導体での電流の流れを阻害するための磁性体とを備えるものである。
【0011】
この発明のノイズフィルタ付きケーブルは、互いに逆相の信号を伝送するための差動伝送線路をなす一対の信号伝送用導体と、前記一対の信号伝送用導体を1本にまとめるケーブル外皮と、前記一対の信号伝送用導体の周囲を囲むように設けられ、前記一対の信号伝送用導体を流れる電流により生じる磁界を遮断するシールド導体と、前記一対の信号伝送用導体の周囲を囲むように設けられ、前記シールド導体を流れる電流により生じる磁界と相互作用し、前記シールド導体での電流の流れを阻害するための磁性体とを備えるものである。
【0012】
この発明のノイズフィルタ付きプリント配線板は、互いに逆相の信号を伝送するための差動伝送線路をなす一対の信号伝送用導体が設けられた基板と、前記一対の信号伝送用導体の信号伝送方向に対する直交方向で前記一対の信号伝送用導体と重なるように前記一対の信号伝送用導体の近傍に設けられ、前記一対の信号伝送用導体を流れる電流により生じる磁界を遮断するシールド導体と、前記シールド導体における前記一対の信号伝送用導体の反対側に設けられ、前記シールド導体を流れる電流により生じる磁界と相互作用し、前記シールド導体での電流の流れを阻害するための磁性体とを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明のノイズフィルタによれば、シールド導体が、一対の信号伝送用導体の信号伝送方向に対する直交方向で一対の信号伝送用導体と重なるように一対の信号伝送用導体の近傍に設けられ、磁性体が、シールド導体における一対の信号伝送用導体の反対側に設けられているので、差動信号の磁界については磁性体との相互作用が生じず、コモンモードノイズについてはそのリターン電流がシールド導体の外面を流れようとすることで生じる磁界と磁性体とで相互作用が生じ、リターン電流の流れが阻害されることにより、高い周波数での差動モードの信号伝送への影響を抑えて、コモンモードノイズを除去することができる。
【0014】
この発明のノイズフィルタ付きケーブルによれば、シールド導体が、一対の信号伝送用導体の周囲を囲むように設けられ、磁性体が、シールド導体における一対の信号伝送用導体の反対側に一対の信号伝送用導体の周囲を囲むように設けられているので、差動信号の磁界については磁性体との相互作用が生じず、コモンモードノイズについてはそのリターン電流がシールド導体の外面を流れようとすることで生じる磁界と磁性体とで相互作用が生じ、リターン電流の流れが阻害されることにより、高い周波数での差動モードの信号伝送への影響を抑えて、コモンモードノイズを除去することができる。
【0015】
この発明のノイズフィルタ付きプリント配線板によれば、シールド導体が、一対の信号伝送用導体の信号伝送方向に対する直交方向で一対の信号伝送用導体と重なるように一対の信号伝送用導体の近傍に設けられ、磁性体が、シールド導体における一対の信号伝送用導体の反対側に設けられているので、差動信号の磁界については磁性体との相互作用が生じず、コモンモードノイズについてはそのリターン電流がシールド導体の外面を流れようとすることで生じる磁界と磁性体とで相互作用が生じ、リターン電流の流れが阻害されることにより、高い周波数での差動モードの信号伝送への影響を抑えて、コモンモードノイズを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1によるノイズフィルタ付きケーブルを示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるノイズフィルタ付きケーブルの他の例を示す斜視図である。
【図3】信号伝送特性の測定の際の被測定物を模式的に示す構成図である。
【図4】図3の被測定物のコモンモード信号及び差動モード信号の通過特性についてのネットワークアナライザによる測定結果を示すグラフである。
【図5】この発明の実施の形態1によるノイズフィルタ付きケーブルの他の例を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1によるケーブル用のノイズフィルタを示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。
【図9】図8のプリント配線板を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態4によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。
【図11】図10のプリント配線板を示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態5によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。
【図13】図12のプリント配線板を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるノイズフィルタ付きケーブルを示す斜視図である。
図1において、ケーブル1は、一対の導体(信号伝送用導体)2A,2Bと、導体2A,2Bのぞれぞれの外周を覆う誘電体3A,3Bと、導体2A,2Bを1本のケーブル状にまとめるケーブル外皮4とを有している。導体2A,2Bは、互いに逆位相の信号を伝送するための差動伝送線路2をなしている。
【0018】
ケーブル外皮4には、その長手方向の一定範囲を囲むようにノイズフィルタ5が設けられている。ノイズフィルタ5は、磁性体粉末と結合剤とからなる筒状の複合磁性体(磁性体)6と、複合磁性体6の内周面に貼り付けられた筒状でかつシート状のシールド導体7とを有している。
【0019】
また、図1の符号8は、コモンモードノイズのリターン電流の伝送路となりうる他の導体としてのグランドである。シールド導体7は、グランド8から間隔をおいて配置されており、グランド8との接続を持っておらず、グランド8と電気的に非接続状態となっている。
【0020】
ここで、図1には、シールド導体7がグランド8と接続を持たない構造を示したが、図2に示すように、導体9を介して、シールド導体7の1点のみでグランド8と接続してもよい。なお、図2では、シールド導体7の一端部でグランド8と接続されているが、接続箇所は端部に限るものではない。また、シールド導体7の両端でグランド8に接続しなければ、2点以上(一端部及び中間部1箇所以上、あるいは中間部2箇所以上)でグランド8に接続してもよい。
【0021】
次に、動作について説明する。ケーブル1の2本の導体2A,2Bは、2本で1ペアとなり、互いに逆位相の信号を乗せて差動伝送を行う。このような伝送モードは、差動モード(又はノーマルモード)の伝送と呼ばれ、互いに他方の導体をリターン経路として、2本の導体2A,2Bだけで信号が伝送される。
【0022】
また、ケーブル1には、外部から放射ノイズ等の影響を受けて伝導するノイズが生じることがある。このようなノイズは、ケーブル1の中にある導体2A,2Bに同位相で伝わる。このような伝送モードは、コモンモードの伝送と呼ばれ、一般的に、大地や装置筐体等、ケーブル1の周辺に存在する導体(グランド8)をリターン経路として伝わる。
【0023】
複合磁性体6は、近傍の高周波電流に対して、その電流により生じる磁界と作用し、磁気的な損失により高周波電流を熱に変えて吸収する性質を持つ。このような性質により、複合磁性体6は、低周波電流を通し、高周波電流を吸収する吸収型のローパスフィルタとして働く。なお、複合磁性体6には、シート状に加工され、基板やケーブルに貼り付けて使用するノイズ抑制シート、又はノイズ吸収シート等として利用される公知の磁性体材料と同様のものを用いることができる。
【0024】
次に、シールド導体7がない場合の構成について説明する。前述したように複合磁性体6は、低周波を通し、高周波を吸収する周波数分離型のフィルタとして働くので、一般に高周波であるノイズの伝導を抑制する効果を持つ。しかしながら、近年の通信の高速化によりケーブル1で伝送される信号も高周波となっており、この場合には信号の伝送も妨げられてしまう。
【0025】
これに対して、シールド導体7を複合磁性体6の内側に設けた構成では、シールド導体7がケーブル1を囲うシールドのように働き、2本の導体2A,2Bを流れる差動信号により生じる磁界はシールド導体7の内側に閉じ込められる。この結果、差動信号は、複合磁性体6の影響を受けずに、そのまま通過する。
【0026】
また、導体2A,2Bを流れるコモンモードノイズの磁界についてもシールド導体7の内側に閉じ込められる。この際に、コモンモードノイズのリターン電流がシールド導体7の内面を流れ、シールド導体7はグランド8との接続を持たないため、シールド導体7の外面にリターン電流が回りこみ、これにより生じる磁界が複合磁性体6に作用する。そして、リターン電流が複合磁性体6に吸収され、シールド導体7の内面のリターン電流も流れられなくなり、結果的にコモンモードノイズの伝播が抑制されることになる。
【0027】
次に、実施の形態1のノイズフィルタ5を用いたケーブルの信号伝送特性の測定結果について説明する。図3は、信号伝送特性の測定の際の被測定物を模式的に示す構成図である。この図3に示す被測定物は、ケーブルシールド(シールド導体)付きのTwinnaxケーブル(2本の導体をひとまとめにした差動伝送用ケーブル)の表面に、市販のノイズ抑制シートを巻き付けたものである。また、ケーブル長は10cmであり、ノイズ抑制シートとしては、BUSTERAID(バスタレイド:登録商標)−R4Nを用いたものである。
【0028】
図4は、図3の被測定物のコモンモード信号及び差動モード信号の通過特性についてのネットワークアナライザによる測定結果を示すグラフである。図4(a)に示すように、コモンモード信号は、ケーブルシールドが両端で接地されない限り、ケーブルシールドを用いていても、ケーブルシールドを用いない場合と同等の抑制効果が生じていることが分かる。また、図4(b)に示すように、差動モード信号については、ケーブルシールドを用いていない構成で1GHz以上の帯域で大きく通過量が減衰しているが、ケーブルシールドを用いた構成では、接地状態によらずに通過量の損失が改善されていることが分かる。
【0029】
従って、上記のような実施の形態1によれば、シールド導体7が、導体2A,2Bの周囲を囲むように設けられ、複合磁性体6が、シールド導体7における導体2A,2Bの反対側に導体2A,2Bの周囲を囲むように設けられている。この構成により、差動信号の磁界については複合磁性体6との相互作用が生じず、コモンモードノイズについてはそのリターン電流がシールド導体7の外面を流れようとすることで生じる磁界と複合磁性体6とで相互作用が生じ、リターン電流の流れが阻害される。これにより、高い周波数での差動モードの信号伝送への影響を抑えて、コモンモードノイズを除去することができる。
【0030】
なお、実施の形態1において、図5に示すように、複合磁性体6の内側の第1のシールド導体7Aだけでなく、複合磁性体6の外側にも筒状でかつシート状の第2のシールド導体7Bを貼り付けるようにしてもよい。
【0031】
また、実施の形態1において、シールド導体7には、隙間のないシート状だけでなく、細い導体線を編みこんだ編組状(メッシュ状)のものを用いてもよい。
【0032】
さらに、実施の形態1では、磁性体粉末と結合剤等から構成される複合磁性体6を用いたが、この複合磁性体6に代えて、フェライトコアを用いてもよい。
【0033】
また、図6(a)に示すように、複合磁性体を帯状(又はシート状)にして磁性体シート12とし、その磁性体シート12の片面のみに帯状(又はシート状)のシールド導体7を貼り付けてノイズフィルタ11を構成してもよい。この他に、図6(b)に示すように、磁性体シート12の両面に帯状(又はシート状)のシールド導体13A,13Bを貼り付けて、ノイズフィルタ11を構成してもよい。これらの場合、シールド導体13又はシールド導体13Aを内側にして、ケーブル外皮の外面を覆うようにノイズフィルタ11を巻き付ければよい。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1では、ノイズフィルタ付きケーブルについて説明した。これに対して、実施の形態2では、ノイズフィルタ付きプリント配線板について説明する。図7は、この発明の実施の形態2によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。なお、図7(a)は、プリント配線板21を示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)の矢示Aの向きでプリント配線板21を見た状態を示す構成図である。
【0035】
図7において、プリント配線板21は、誘電体基板22と、誘電体基板22に形成されたプリント配線(図示せず)とを有している。また、誘電体基板22の表面には、一対の導体(信号伝送用導体)23A,23Bが設けられている。導体23A,23Bは、互いに間隔をおいて平行に配置されている。また、導体23A,23Bは、互いに逆位相の信号を伝送するための差動伝送線路23をなしている。
【0036】
誘電体基板22の表面(上面)には、絶縁材24、シールド導体25及び複合磁性体26が、導体23A,23Bの一部を覆うように積層されている。絶縁材24の形状は、シート状(又は板状)である。また、絶縁材24は、シールド導体25と導体23A,23Bとの短絡を防止する。シールド導体25の形状は、シート状(又は板状)である。複合磁性体26は、磁性体粉末と結合剤とから構成されている。また、複合磁性体26の形状は、シート状(又は板状)である。絶縁材24、シールド導体25及び複合磁性体26は、3層構造のシート状のノイズフィルタ27を構成している。
【0037】
ここで、プリント配線板21の内部、又はプリント配線板21の周辺には、コモンモードノイズのリターン電流が流れるグランド(図示せず)が存在するが、シールド導体25は、グランドと電気的に非接続状態となっている。
【0038】
次に、実施の形態2の動作について説明する。導体23A,23Bは、2本で1ペアとなり、互いに逆位相の信号を乗せて差動伝送を行う。このような伝送モードは、差動モード(又はノーマルモード)の伝送と呼ばれ、互いに他方の導体をリターン経路として、2本の導体23A,23Bだけで信号伝送が可能である。
【0039】
また、導体23A,23Bには、外部から放射ノイズ等の影響を受けて伝導するノイズが生じることがある。このようなノイズは、導体23A,23Bに同位相で伝わってゆく。このような伝送モードは、コモンモードの伝送と呼ばれ、誘電体基板22の内部のグランド層や、装置筐体、大地等、周辺に存在する導体をリターン経路として伝わる。
【0040】
複合磁性体26は、磁性体粉末と結合剤等から構成され、近傍の高周波電流に対し、電流により生じる磁界と作用し、磁気的な損失により高周波電流を熱に変えて吸収する性質を持ち、低周波電流を通し、高周波電流を吸収する吸収型のローパスフィルタとして働く。このような複合磁性体26は、シート状に加工され、基板やケーブルに貼り付けて使用する公知のノイズ抑制シートやノイズ吸収シート等として利用される磁性体材料と同等の磁性体材料を用いることができる。
【0041】
次に、シールド導体25がない場合の構成について説明する。前述したように複合磁性体26は、低周波を通し、高周波を吸収する周波数分離型のフィルタとして働くので、一般に高周波であるノイズの伝導を抑制する効果を持つ。しかしながら、近年の通信の高速化により差動伝送線路23で伝送される信号も高周波となっており、この場合には信号の伝送も妨げられてしまう。
【0042】
ここで、シールド導体25を複合磁性体26と導体23A,23Bとの間に設けると、シールド導体25は、導体23A,23Bを覆うシールドのように働き、導体23A,23Bを流れる差動信号により生じる磁界は、複合磁性体26に作用せず、差動信号はそのまま通過する。
【0043】
また、導体23A,23Bを流れるコモンモードノイズの磁界についてもシールド導体25の下側に閉じ込められるが、この際に、コモンモードノイズのリターン電流がシールド導体25の下面を流れ、さらに、シールド導体25の上面にリターン電流が回りこみ、これにより生じる磁界が複合磁性体26に作用する。そして、リターン電流が複合磁性体26に吸収され、シールド導体25の下面のリターン電流も流れられなくなり、結果的にコモンモードノイズの伝播が抑制されることになる。
【0044】
上記のような実施の形態2によれば、シールド導体25が、導体23A,23Bの信号伝送方向に対する直交方向で導体23A,23Bと重なるように導体23A,23Bの近傍に設けられ、複合磁性体26が、シールド導体25における導体23A,23Bの反対側に設けられている。この構成により、差動信号の磁界については複合磁性体26との相互作用が生じず、コモンモードノイズについてはそのリターン電流がシールド導体25の外面を流れようとすることで生じる磁界と複合磁性体26とで相互作用が生じ、リターン電流の流れが阻害されることにより、高い周波数での差動モードの信号伝送への影響を抑えて、コモンモードノイズを除去することができる。
【0045】
なお、実施の形態2では、図7の導体23A,23Bが誘電体基板22の表面に設けられていたが、導体23A,23Bが誘電体基板22の内部(内層)に設けてもよい。また、実施の形態2において、導体23A,23Bの周辺に他の配線があってもよい。さらに、実施の形態2では、シールド導体25はグランドとの接続を持たないようにしたが、導体23A,23Bの信号伝送方向(長手方向)の両端でグランドと接続しなければ、1点又は複数点でグランドと接続してもよい。
【0046】
また、実施の形態2では、絶縁材24の下面と誘電体基板22の表面とが接していたが、絶縁材24が導体23A,23Bとシールド導体25との絶縁状態を保つ構成であれば、絶縁材24の下面と誘電体基板22の表面との間に中空領域が形成されていてもよい。
【0047】
さらに、実施の形態2では、絶縁材24、シールド導体25及び複合磁性体26が3層構造のシート状のノイズフィルタ27を構成していた。しかしながら、この例に限定するものではなく、複合磁性体の上面及び下面の一方の面に第1のシールド導体を設け、その他方の面に第2のシールド導体を設けて、4層構造のシート状のノイズフィルタを構成してもよい。
【0048】
実施の形態3.
実施の形態2では、誘電体基板22の表面に導体23A,23Bが設けられたプリント配線板について説明した。これに対して、実施の形態3では、誘電体基板32の内部(内層)に33A,33Bが設けられたプリント配線板について説明する。
【0049】
図8は、この発明の実施の形態3によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。図9は、図8のプリント配線板31を示す構成図である。なお、図9(a)は、図8の矢示Bの向きでプリント配線板31を見た状態を示し、図9(b)は、図8の矢示Cの向きでプリント配線板31を見た状態を示す。
【0050】
図8,9において、プリント配線板31は、誘電体基板32と、誘電体基板32に形成されたプリント配線(図示せず)とを有している。誘電体基板32の内部(内層)には、一対の導体(信号伝送用導体)33A,33B、及びシールド導体34が設けられている。導体33A,33Bは、互いに間隔をおいて平行に配置されている。また、導体33A,33Bは、互いに逆位相の信号を伝送するための差動伝送線路33をなしている。
【0051】
シールド導体34の形状は、筒状でかつ断面ロ字状である。また、シールド導体34は、導体33A,33Bの信号伝送方向(長手方向)の一定範囲を囲むように配置されている。誘電体基板32の上面には、シート状(又は板状)の複合磁性体35が設けられている。複合磁性体35は、誘電体基板32の厚さ方向でシールド導体34と重なるように配置されている。シールド導体34及び複合磁性体35は、ノイズフィルタ36を構成している。
【0052】
ここで、誘電体基板32の内部、又は誘電体基板32の周辺には、コモンモードノイズのリターン電流が流れるグランド(図示せず)が存在するが、シールド導体34は、グランドと電気的に非接続状態となっている。
【0053】
次に、動作について説明する。導体33A,33Bで伝送される差動モードの信号と、コモンモードノイズとの伝播の動作、及び複合磁性体35が、低周波電流を通し、高周波電流を吸収する吸収型のローパスフィルタとして働く動作は、実施の形態2と同様である。ここでは、実施の形態2との違いを中心に説明する。
【0054】
まず、シールド導体34がない場合の構成について説明する。前述したように複合磁性体35は、高周波を吸収する周波数分離型のフィルタであるので、導体33A,33Bで伝送される信号が高速になると、信号の伝送も妨げられてしまう。
【0055】
次に、シールド導体34を用いた場合の構成について説明する。シールド導体34は、導体33A,33Bを覆うシールドのように働き、導体33A,33Bを流れる差動信号により生じる磁界は、複合磁性体35に作用せず、差動信号はそのまま通過する。
【0056】
また、導体33A,33Bを流れるコモンモードノイズの磁界についても、シールド導体34の内側に閉じ込められるが、この際に、コモンモードノイズのリターン電流がシールド導体34の内面を流れ、さらに、シールド導体34の外面にリターン電流が回りこみ、これにより生じる磁界が複合磁性体35に作用する。そして、リターン電流が複合磁性体35に吸収され、シールド導体34の内面のリターン電流も流れられなくなり、結果的にコモンモードノイズの伝播が抑制されることになる。
【0057】
上記のような実施の形態3によれば、筒状のシールド導体34を誘電体基板32の内部に設けた構成であっても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、実施の形態3では、シールド導体34は、グランドとの接続を持たないようにしたが、導体33A,33Bの長手方向の両端でグランドと接続しなければ、1点又は複数点でグランドと接続してもよい。
【0059】
実施の形態4.
実施の形態3では、筒状のシールド導体34を用いたプリント配線板について説明した。これに対して、実施の形態4では、板状(層状)のシールド導体44を用いたプリント配線板について説明する。
【0060】
図10は、この発明の実施の形態4によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。図11は、図10のプリント配線板41を示す構成図である。なお、図11(a)は、図10の矢示Dの向きでプリント配線板41を見た状態を示し、図11(b)は、図10の矢示Eの向きでプリント配線板41を見た状態を示す。
【0061】
図10,11において、プリント配線板41は、誘電体基板42と、誘電体基板42に形成されたプリント配線(図示せず)とを有している。誘電体基板42の内部(内層)には、一対の導体(信号伝送用導体)43A,43B、及びシールド導体44が設けられている。導体43A,43Bは、互いに間隔をおいて平行に配置されている。また、導体43A,43Bは、互いに逆位相の信号を伝送するための差動伝送線路43をなしている。
【0062】
シールド導体44の形状は、板状(又は層状)である。また、シールド導体44は、導体43A,43Bの信号伝送方向に対する直交方向で導体43A,43Bと重なるように、導体43A,43Bの近傍に配置されている。誘電体基板42の上面には、シート状(又は板状)の複合磁性体45が設けられている。複合磁性体45は、誘電体基板42の厚さ方向でシールド導体44と重なるように配置されている。シールド導体44及び複合磁性体45は、ノイズフィルタ46を構成している。
【0063】
ここで、誘電体基板42の内部、又は誘電体基板42の周辺には、コモンモードノイズのリターン電流が流れるグランド(図示せず)が存在するが、シールド導体44は、グランドと電気的に非接続状態となっている。
【0064】
次に、動作について説明する。導体43A,43Bで伝送される差動モードの信号と、コモンモードノイズとの伝播の動作、及び複合磁性体45が、低周波電流を通し、高周波電流を吸収する吸収型のローパスフィルタとして働く動作は、実施の形態2と同様である。ここでは、実施の形態2との違いを中心に説明する。
【0065】
まず、シールド導体44がない場合の構成について説明する。複合磁性体45は、実施の形態2,3と同様に、高周波を吸収する周波数分離型のフィルタであるので、導体43A,43Bで伝送される信号が高速になると、信号の伝送も妨げられてしまう。
【0066】
次に、シールド導体44を用いた場合の構成について説明する。シールド導体44は、導体43A,43Bを流れる電流により生じる磁界を遮断するように働き、導体43A,43Bを流れる差動信号により生じる磁界は、複合磁性体45にほとんど作用せず、差動信号は概ねそのまま通過する。
【0067】
また、導体43A,43Bを流れるコモンモードノイズの磁界についても、シールド導体44との間に集中するが、この際に、コモンモードノイズのリターン電流がシールド導体44の下面を流れ、さらに、シールド導体44の上面にリターン電流が回りこみ、これにより生じる磁界が複合磁性体45に作用する。そして、リターン電流が複合磁性体45に吸収され、シールド導体44の下面のリターン電流も流れられなくなり、結果的にコモンモードノイズの伝播が抑制されることになる。
【0068】
上記のような実施の形態4によれば、板状のシールド導体44を誘電体基板42の内部に設けた構成であっても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0069】
なお、実施の形態4では、導体43A,43Bの上側のみにシールド導体44及び複合磁性体45が設けられていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、導体43A,43Bの下側にもシールド導体及び複合磁性体を設けてもよい。
【0070】
また、実施の形態4では、シールド導体44がグランドとの接続を持たないようにしたが、導体43A,43Bの長手方向の両端でグランドと接続しなければ、1点又は複数点でグランドと接続してもよい。
【0071】
実施の形態5.
実施の形態3では、筒状でかつ断面ロ字状のシールド導体34が設けられたプリント配線板について説明した。これに対して、実施の形態5では、一対の板状のシールド導体53A,53Bと複数のビア55とが設けられたプリント配線板について説明する。
【0072】
図12は、この発明の実施の形態5によるノイズフィルタ付きプリント配線板を示す斜視図である。図13は、図12のプリント配線板51を示す構成図である。なお、図13(a)は、図12の矢示Fの向きでプリント配線板51を見た状態を示し、図13(b)は、図12の矢示Gの向きでプリント配線板51を見た状態を示す。
【0073】
図12,13において、プリント配線板51は、誘電体基板52と、誘電体基板52に形成されたプリント配線(図示せず)とを有している。誘電体基板52の内部(内層)には、一対の導体(信号伝送用導体)53A,53B、一対のシールド導体54A,54B、及び複数のビア55が設けられている。導体53A,53Bは、互いに間隔をおいて平行に配置されている。また、導体53A,53Bは、互いに逆位相の信号を伝送するための差動伝送線路53をなしている。
【0074】
シールド導体54A,54Bの形状は、板状である。また、シールド導体54A,54Bは、導体53A,53Bの信号伝送方向に対する直交方向で導体53A,53Bと重なるように、導体53A,53Bの信号伝送方向(長手方向)の一定範囲の近傍に配置されている。また、シールド導体54A,54Bは、導体53A,53Bを挟むように、互いに間隔をおいて対向配置されている。
【0075】
複数のビア55は、例えば円柱状の導体や、スルーホール等である。また、複数のビア55は、導体53A,53Bの両側で、導体53A,53Bの長手方向に間隔をおいて並べられている。また、複数のビア55は、シールド導体54A,54Bを電気的に接続している。
【0076】
誘電体基板52の上面には、シート状(又は板状)の複合磁性体56が貼り付けられている。複合磁性体56は、誘電体基板52の厚さ方向でシールド導体54Aと重なるように配置されている。シールド導体54A,54B、複数のビア55、及び複合磁性体56は、ノイズフィルタ57を構成している。
【0077】
ここで、誘電体基板52の内部、又は誘電体基板52の周辺には、コモンモードノイズのリターン電流が流れるグランド(図示せず)が存在するが、シールド導体54A,54B、及び複数のビア55は、グランドと電気的に非接続状態となっている。
【0078】
次に、動作について説明する。導体53A,53Bで伝送される差動モードの信号と、コモンモードノイズとの伝播の動作、及び複合磁性体56が、低周波電流を通し、高周波電流を吸収する吸収型のローパスフィルタとして働く動作は、実施の形態2と同様である。ここでは、実施の形態2との違いを中心に説明する。
【0079】
まず、シールド導体54A,54B、及び複数のビア55がない場合の構成について説明する。複合磁性体56は、実施の形態2,3と同様に、高周波を吸収する周波数分離型のフィルタであるので、導体53A,53Bで伝送される信号が高速になると、信号の伝送も妨げられてしまう。
【0080】
次に、シールド導体54A,54B、及び複数のビア55を用いた場合の構成について説明する。シールド導体54A,54Bは、導体53A,53Bを流れる電流により生じる磁界を遮断し、導体53A,53Bを流れる差動信号により生じる磁界は、複合磁性体56にほとんど作用せず、差動信号は概ねそのまま通過する。
【0081】
また、導体53A,53Bを流れるコモンモードノイズの磁界についても、シールド導体54A,54B間に集中するが、この際に、コモンモードノイズのリターン電流がシールド導体54Aの下面を流れ、さらに、シールド導体54Aの上面にリターン電流が回りこみ、これにより生じる磁界が複合磁性体56に作用する。そして、リターン電流が複合磁性体56に吸収され、シールド導体54Aの下面のリターン電流も流れられなくなり、結果的にコモンモードノイズの伝播が抑制されることになる。
【0082】
上記のような実施の形態5によれば、一対のシールド導体54A,54Bと複数のビア55とを用いた構成であっても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0083】
なお、実施の形態5では、誘電体基板52の上面のみに複合磁性体56を設けた構成について説明した。しかしながら、この例に限定するものではなく、誘電体基板の上面及び下面の両面に複合磁性体を設けてもよい。
【0084】
また、実施の形態5では、シールド導体54A,54B、及び複数のビア55がグランドとの接続を持たないようにしたが、導体53A,53Bの長手方向の両端でグランドと接続しなければ、1点又は複数点でグランドと接続してもよい。
【0085】
さらに、実施の形態3〜5において、複合磁性体35,45,56の上面に板状又はシート状の第2のシールド導体を設けてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 ケーブル、2 差動伝送線路、2A,2B 導体(信号伝送用導体)、3A,3B 誘電体、4 ケーブル外皮、5 ノイズフィルタ、6 複合磁性体、7 シールド導体、7A 第1のシールド導体、7B 第2のシールド導体、8 グランド、11 ノイズフィルタ、12 磁性体シート、13A,13B シールド導体、21 プリント配線板、22 誘電体基板、23 差動伝送線路、23A,23B 導体(信号伝送用導体)、24 絶縁材、25 シールド導体、26 複合磁性体、27 ノイズフィルタ、31 プリント配線板、32 誘電体基板、33 差動伝送線路、33A,33B 導体(信号伝送用導体)、34 シールド導体、35 複合磁性体、36 ノイズフィルタ、41 プリント配線板、42 誘電体基板、43 差動伝送線路、43A,43B 導体(信号伝送用導体)、44 シールド導体、45 複合磁性体、46 ノイズフィルタ、51 プリント配線板、52 誘電体基板、53A,53B 導体(信号伝送用導体)、53 差動伝送線路、54A,54B シールド導体、55 ビア、56 複合磁性体、57 ノイズフィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆相の信号を伝送するための一対の信号伝送用導体からなる差動伝送線路に設けられるノイズフィルタであって、
前記一対の信号伝送用導体の信号伝送方向に対する直交方向で前記一対の信号伝送用導体と重なるように前記一対の信号伝送用導体の近傍に設けられ、前記一対の信号伝送用導体を流れる電流により生じる磁界を遮断するシールド導体と、
前記シールド導体における前記一対の信号伝送用導体の反対側に設けられ、前記シールド導体を流れる電流により生じる磁界と相互作用し、前記シールド導体を流れる電流を阻害するための磁性体と
を備えることを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項2】
前記一対の信号伝送用導体は、ケーブル内に設けられ、
前記シールド導体及び前記磁性体の形状は、筒状であり、
前記シールド導体及び前記磁性体は、前記ケーブルの外面を覆うように配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記一対の信号伝送用導体は、ケーブル内に設けられ、
前記シールド導体及び前記磁性体の形状は、帯状であり、
前記シールド導体及び前記磁性体は、前記ケーブルの外面を覆うように前記ケーブルの外面に巻き付けられている
ことを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
前記一対の信号伝送用導体は、基板の表面に設けられ、
前記シールド導体及び前記磁性体の形状は、板状あるいはシート状であり、
前記シールド導体及び前記磁性体は、絶縁体を介して前記基板の表面に積層されている
ことを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
【請求項5】
前記一対の信号伝送用導体は、基板の内部に設けられ、
前記シールド導体は、前記一対の信号伝送用導体を囲むように前記基板の内部に設けられ、
前記磁性体は、前記基板の表面に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
【請求項6】
前記磁性体における前記シールド導体としての第1のシールド導体の反対側に設けられた第2のシールド導体
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のノイズフィルタ。
【請求項7】
前記シールド導体は、前記一対の信号伝送用導体に生じるコモンモードノイズのリターン電流の伝送路となりうる他の導体と電気的に非接続状態である
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のノイズフィルタ。
【請求項8】
前記シールド導体は、前記一対の信号伝送用導体に生じるコモンモードノイズのリターン電流の伝送路となりうる他の導体と1箇所で電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のノイズフィルタ。
【請求項9】
前記シールド導体は、前記シールド導体における前記一対の信号伝送用導体の信号伝送方向の一端部及び他端部いずれか一方と中間部の1箇所以上とで、あるいは前記シールド導体における前記一対の信号伝送用導体の信号伝送方向の中間部の2箇所以上で、前記一対の信号伝送用導体に生じるコモンモードノイズのリターン電流の伝送路となりうる他の導体と電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のノイズフィルタ。
【請求項10】
互いに逆相の信号を伝送するための差動伝送線路をなす一対の信号伝送用導体と、
前記一対の信号伝送用導体を1本にまとめるケーブル外皮と、
前記一対の信号伝送用導体の周囲を囲むように設けられ、前記一対の信号伝送用導体を流れる電流により生じる磁界を遮断するシールド導体と、
前記一対の信号伝送用導体の周囲を囲むように設けられ、前記シールド導体を流れる電流により生じる磁界と相互作用して前記シールド導体を流れる電流を阻害するための磁性体と
を備えることを特徴とするノイズフィルタ付きケーブル。
【請求項11】
前記シールド導体及び前記磁性体の形状は、筒状であり、
前記シールド導体及び前記磁性体は、前記ケーブル外皮の外面を覆うように配置されている
ことを特徴とする請求項10記載のノイズフィルタ付きケーブル。
【請求項12】
前記シールド導体及び前記磁性体の形状は、帯状であり、
前記シールド導体及び前記磁性体は、前記ケーブル外皮の外面を覆うように前記ケーブル外皮の外面に巻き付けられている
ことを特徴とする請求項10記載のノイズフィルタ付きケーブル。
【請求項13】
前記磁性体における前記シールド導体としての前記第1のシールド導体の反対側に設けられた第2のシールド導体
をさらに備えることを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれか1項に記載のノイズフィルタ付きケーブル。
【請求項14】
互いに逆相の信号を伝送するための差動伝送線路をなす一対の信号伝送用導体が設けられた基板と、
前記一対の信号伝送用導体の信号伝送方向に対する直交方向で前記一対の信号伝送用導体と重なるように前記一対の信号伝送用導体の近傍に設けられ、前記一対の信号伝送用導体を流れる電流により生じる磁界を遮断するシールド導体と、
前記シールド導体における前記一対の信号伝送用導体の反対側に設けられ、前記シールド導体を流れる電流により生じる磁界と相互作用し、前記シールド導体を流れる電流を阻害するための磁性体と
を備えることを特徴とするノイズフィルタ付きプリント配線板。
【請求項15】
前記一対の信号伝送用導体は、前記基板の表面に設けられ、
前記シールド導体及び前記磁性体の形状は、板状あるいはシート状であり、
前記シールド導体及び前記磁性体は、絶縁体を介して前記基板の表面に積層されている
ことを特徴とする請求項14記載のノイズフィルタ付きプリント配線板。
【請求項16】
前記一対の信号伝送用導体及び前記シールド導体は、前記基板の内部に設けられ、
前記磁性体は、前記基板の表面における前記シールド導体の近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項14記載のノイズフィルタ付きプリント配線板。
【請求項17】
前記シールド導体は、前記基板の内部に前記一対の信号伝送用導体を囲むように設けられている
ことを特徴とする請求項16記載のノイズフィルタ付きプリント配線板。
【請求項18】
前記シールド導体は、前記一対の信号伝送用導体を挟むように互いに間隔をおいて前記基板の内部で対向配置された一対のシールド導体であり、
前記一対のシールド導体は、複数のビアを介して互いに電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項16記載のノイズフィルタ付きプリント配線板。
【請求項19】
前記磁性体における前記シールド導体としての前記第1のシールド導体の反対側に設けられた第2のシールド導体
をさらに備えることを特徴とする請求項14から請求項18までのいずれか1項に記載のノイズフィルタ付きプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−64777(P2012−64777A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208064(P2010−208064)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】