説明

ノズル取付構造

【課題】 複数のノズルそれぞれにファスナー金具のような部材を取り付ける必要がなく、また、複数のノズルの位置決めを行うことができるノズル取付構造を提供する。
【解決手段】 フレーム1内で幹配管21から複数の枝配管22を同方向に分岐した。少なくとも一部の枝配管22の先端部が位置する部分の近傍のフレーム1に配管固定部材3を取り付けた。上記複数の枝配管22の先端部にノズル受け部4を設けると共に、該ノズル受け部4に押さえ部52を有するノズル5を取り付けた。該ノズル5先端側より各ノズル5の位置する部分にノズル配置孔61を穿孔したノズル押さえ板6を前記ノズル配置孔61にノズル5を挿通して配置し、前記ノズル押さえ板6でノズル5の押さえ部52を押さえた状態でノズル押さえ板6を配管固定部材3に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配管へ複数のノズルを取り付けるノズル取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、基幹となる幹配管より複数の枝配管を分岐し、枝配管の先端部にノズルを取付けたものがよく用いられており、例えばミストノズルのシャワー装置のようなものが挙げられる。
【0003】これは、浴室の側壁にフレームを設けて該フレーム内に幹配管を配設し、幹配管より複数の枝配管を分岐してその先端部にミストノズルを取り付け、このミストノズルが浴室内に露出するようにフレームに化粧カバーを取り付けるものである。
【0004】上記従来のようなシャワー装置にノズルを取り付けるノズル取付構造にあっては、図10に示すように、複数の枝配管22の先端部にノズル受け部4を取り付け、このノズル受け部4にノズル5’を取り付け、ノズル受け部4とノズル5’との接続部分にファスナー金具9を取り付け、ノズル5’が位置する部分に開口を形成した化粧カバー8’をフレーム1に取り付け、この化粧カバー8’にてノズル5’が浴室内に露出した状態でフレーム1内の幹配管21や枝配管22を覆い隠すものである。なお、ノズル5’及びノズル受け部4の接続部分は、図11に示すように、外面が互いにフランジ部が突き合わされた状態で接続されており、この接続部分に図12に示すファスナー金具9を取り付けるものである。ファスナー金具9は、前記接続部分の外面にほぼ沿うように金属板を曲げて形成してあり、中程に前記接続部分のフランジ部が挿通される開口が穿孔してある。このファスナー金具9は、図10に示すように、開口に前記フランジ部を挿通した状態で接続部分に取り付けられて、ノズル5’とノズル受け部4の接続部分が緩むのを防止するものである。なお、図11中の53’はOリングを示す。
【0005】このようなノズル取付構造にあっては、複数の枝配管22の先端部に取り付けられるノズル5’及びノズル受け部4にそれぞれファスナー金具9を取り付けるため、多数のファスナー金具9が必要となってしまうと共に、煩雑な作業が増大するものであった。
【0006】また、複数のノズル受け部4及びノズル5’が浴室内に露出するように開口91を形成した化粧カバー8をフレーム1に取り付けるのであるが、化粧カバー8はノズル5’及びノズル受け部4の位置を規制するものではないため、ノズル5’を定間隔で配置するのが非常に困難なものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数のノズルそれぞれにファスナー金具のような部材を取り付ける必要がなく、また、複数のノズルの位置決めを行うことができるノズル取付構造を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明に係るは、フレーム1内で幹配管21から複数の枝配管22を同方向に分岐し、少なくとも一部の枝配管22の先端部が位置する部分の近傍のフレーム1に配管固定部材3を取り付け、上記複数の枝配管22の先端部にノズル受け部4を設けると共に、該ノズル受け部4に押さえ部52を有するノズル5を取り付け、該ノズル5先端側より各ノズル5の位置する部分にノズル配置孔61を穿孔したノズル押さえ板6を前記ノズル配置孔61にノズル5を挿通して配置し、前記ノズル押さえ板6でノズル5の押さえ部52を押さえた状態でノズル押さえ板6を配管固定部材3に取り付けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、押さえ板52のノズル配置孔61にてノズル5を位置決めすることができると共に、従来のファスナー金具のような部材をノズル受け部4とノズル5の接続部分全てに一個ずつ取り付ける必要がなくなって、このファスナー金具のような部材を削減すると共に施工工数を削減することができて、コストダウンが図れるものである。
【0009】また、配管固定部材3を、フレーム1に固定される固定片31と、該固定片31の一端部より連設されてノズル押さえ板6が取付けられる取付片32と、固定片31の他端部より連設されてノズル受け部4に係合する係合片33とからなる断面略コ字状に形成し、ノズル受け部4に係合溝40を形成して該係合溝40に前記係合片33を嵌入係合することが好ましい。このような構成とすることで、簡単な構成で配管固定部材3を形成することができると共に、配管固定部材3の係合片33へのノズル受け部4の係合によってより確実にノズル5及びノズル受け部4を固定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】本実施形態は、ミストノズル5を有するシャワー装置のノズル5取付構造について説明するが、特に限定されない。
【0012】シャワー装置は、図7に示すように、浴室Bに設けられるもので、フレーム1内に配管が配設されると共に配管にノズル5が取り付けられ、フレーム1にノズル押さえ板6を取り付けると共に、フレーム1に化粧カバー8を取り付けるものである。図8に基づいてシャワー装置の概略を説明すると、化粧カバー8にはミラーが設けてあり、湯水の吐出部としてトップシャワー81及びハンドシャワー82と、カラン84が設けてある。また、吐出する湯水の温度を調節する温度調節ハンドル85と、湯水の吐出を切替える切替ハンドル86が設けてある。
【0013】フレーム1は、図1,図3に示すように、浴室の側壁に垂直に配設される左右の側板11と、側板11に架設される架設板12とからなり、内部に配管が配設される。配管は、外部の基幹配管(図示せず)に接続される幹配管21と、幹配管21から分岐される複数の枝配管22とからなる。幹配管21は、フレーム1内の左右両側に浴室の側壁に沿って上下に二本並設される。この幹配管21から分岐される枝配管22は、両側の幹配管21の上下に等間隔に四箇所ずつ計八箇所から浴室内側に向けて幹配管21より直角に分岐される。この八本の枝配管22は、幹配管21からの突出長さがいずれも同じでフレーム1内に十分納まるように形成され、先端部にはノズル受け部4が取り付けられる。
【0014】ノズル受け部4は、図1に示すように、一端部に形成してある配管取付部を枝配管22の先端部に被嵌して枝配管22に取り付けられると共に、他端部に形成してあるノズル5取付部にノズル5が取り付けられるもので、円筒状をしている(図2参照)。このノズル受け部4の外周面の軸方向の中央部には、全周に亘って後述する配管固定部材3の係合片33が嵌入係合される係合溝40が形成される。
【0015】ノズル5は、円筒状をしたもので、先端部に噴出口51が形成してあり、ノズル5内を流れてきた熱湯等の流体がミスト状に噴霧される。ノズル5の噴出口51が形成されていない側の端部は、ノズル受け部4の先端部内に嵌入され、このノズル受け部4に取り付けられるが、この際、Oリングを用いてシールを行う。ノズル5には、外周面にフランジ部が形成され、このフランジ部が後述するノズル押さえ板6に押さえられる押さえ部52となる。
【0016】このようなノズル5及びノズル受け部4は、上記八本の枝配管22の先端部に取り付けられ、この八個のノズル5及びノズル受け部4のうち、四隅のノズル5及びノズル受け部4に近接するフレーム1に配管固定部材3が取り付けられる。
【0017】配管固定部材3は、図6に示すように、フレーム1に固定される固定片31と、該固定片31の一端部より連設される取付片32と、固定片31の他端部より連設される係合片33とからなる側面視略コ字状をしたものである。
【0018】固定片31は、正面視略矩形状をした平板状のもので、中央部にフレーム1に固着するための固着具挿通孔34が穿孔され、この固着具挿通孔34にビス等の固着具(図示せず)を挿通してフレーム1の固着孔36に螺着して取り付けられる。この固定片31の一端部(即ち本実施形態では枝配管22の先端側の端縁)からは取付片32が連設されると共に、他端部(即ち本実施形態では幹配管21側の端縁)からは係合片33が連設される。
【0019】取付片32は、平面視略矩形状をしたもので、固定片31の一端部の両側部分よりそれぞれ連設されるものである。この両取付片32の間には、ノズル5が位置してこれを逃がすための開口切欠35が形成してある。また、一部の取付片32には、ノズル押さえ板6を取り付けるための固着孔36が穿設してあり、ノズル押さえ板6の固着具挿通孔62に固着具を挿通して前記固着孔36に螺着してノズル押さえ板6を取り付けるものである。
【0020】係合片33は、平面視略矩形状をしたもので、固定片31の他端部から連設され、平面視で前記開口切欠35と重なる中央部には該開口切欠35と同様にノズル受け部4が位置してこれを逃がすための切欠37が形成してある。また、この係合片33は、上記ノズル受け部4の外周面に形成された係合溝40に嵌入係合される。これは、図1に示すように、ノズル受け部4を係合片33の切欠37に横から挿入して嵌入係合するものである。
【0021】そして、この配管固定部材3にはノズル押さえ板6が取り付けられる。ノズル押さえ板6は、フレーム1の浴室側に配設されて配管固定部材3に固定されるもので、配管固定部材3の取付片32の固着孔36に対応する位置に固着具挿通孔62が穿設してある。また、ノズル押さえ板6には、上記複数のノズル5に対応する位置八箇所に、ノズル5の本体の径より大きく且つフランジ部の径より小径のノズル配置孔61を穿孔してある。
【0022】このノズル押さえ板6は、ノズル配置孔61にノズル5を挿通してノズル5の押さえ部52(即ちフランジ部)を押さえた状態で配管固定部材3に固着具にて固定される。
【0023】次に、このノズル5取付構造の取り付けについて説明する。
【0024】まず、フレーム1内に幹配管21及び枝配管22を配設し、フレーム1に配管固定部材3を取り付ける。次に、枝配管22の先端部にノズル受け部4を取り付けると共に、ノズル受け部4にノズル5を取り付ける。そして、上述したようにノズル押さえ板6にてノズル5の押さえ部52を押さえた状態でこのノズル押さえ板6を配管固定部材3に取り付ける。その後、図9に示すように化粧カバー8を取り付けるものである。
【0025】以上のような構成によれば、複数の枝配管22の先端部にノズル受け部4を介して押さえ部52を有するノズル5を取り付け、ノズル押さえ板6のノズル配置孔61にノズル5を挿通して前記押さえ部52を押さえた状態でノズル押さえ板6を配管固定部材3を介してフレーム1に取り付けてあるので、押さえ板52のノズル配置孔61にてノズル5を位置決めすることができると共に、従来のようなファスナー金具をノズル受け部4とノズル5の接続部分全てに一個ずつ取り付ける必要がなくなって、このファスナー金具のような部材を削減すると共に施工工数を削減することができて、コストダウンが図れるものである。
【0026】また、配管固定部材3を、フレーム1に固定される固定片31と、該固定片31の一端部より連設されてノズル押さえ板6が取付けられる取付片32と、固定片31の他端部より連設されてノズル受け部4に係合する係合片33とからなる断面略コ字状に形成し、ノズル受け部4に係合溝40を形成して該係合溝40に前記係合片33を嵌入係合してあることで、簡単な構成で配管固定部材3を形成することができると共に、配管固定部材3の係合片33へのノズル受け部4の係合によってより確実にノズル5及びノズル受け部4を固定することができる。
【0027】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、フレーム内で幹配管から複数の枝配管を同方向に分岐し、少なくとも一部の枝配管の先端部が位置する部分の近傍のフレームに配管固定部材を取り付け、上記複数の枝配管の先端部にノズル受け部を設けると共に、該ノズル受け部に押さえ部を有するノズルを取り付け、該ノズル先端側より各ノズルの位置する部分にノズル配置孔を穿孔したノズル押さえ板を前記ノズル配置孔にノズルを挿通して配置し、前記ノズル押さえ板でノズルの押さえ部を押さえた状態でノズル押さえ板を配管固定部材に取り付けたので、押さえ板のノズル配置孔にてノズルを位置決めすることができると共に、従来のようなファスナー金具をノズル受け部とノズルの接続部分全てに一個ずつ取り付ける必要がなくなって、このファスナー金具のような部材を削減すると共に施工工数を削減することができて、コストダウンが図れるものである。
【0028】また請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、配管固定部材を、フレームに固定される固定片と、該固定片の一端部より連設されてノズル押さえ板が取付けられる取付片と、固定片の他端部より連設されてノズル受け部に係合する係合片とからなる断面略コ字状に形成し、ノズル受け部に係合溝を形成して該係合溝に前記係合片を嵌入係合したので、簡単な構成で配管固定部材を形成することができると共に、配管固定部材の係合片へのノズル受け部の係合によってより確実にノズル及びノズル受け部を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の要部を示し、(a)は断面図であり、(b)は正面図である。
【図2】同上の実施形態においてノズル押さえ板を取り付けていない状態のノズルを取り付けた部分の拡大斜視図である。
【図3】同上における全体斜視図である。
【図4】同上の実施形態においてノズル押さえ板を取り付けた状態の全体斜視図である。
【図5】同上におけるノズルを取り付けた部分の拡大斜視図である。
【図6】配管固定部材の斜視図である。
【図7】本発明のノズル取付構造を適用する固定用部材の斜視図である。
【図8】同上の要部拡大斜視図である。
【図9】同上の要部分解斜視図である。
【図10】従来例の要部を示し、(a)は断面図であり、(b)は正面図である。
【図11】従来例のノズル及びノズル受け部の断面図である。
【図12】従来例のファスナー金具の斜視図である。
【符号の説明】
1 フレーム
21 幹配管
22 枝配管
3 配管固定部材
4 ノズル受け部
5 ノズル
52 押さえ部
6 ノズル押さえ板
61 ノズル配置孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フレーム内で幹配管から複数の枝配管を同方向に分岐し、少なくとも一部の枝配管の先端部が位置する部分の近傍のフレームに配管固定部材を取り付け、上記複数の枝配管の先端部にノズル受け部を設けると共に、該ノズル受け部に押さえ部を有するノズルを取り付け、該ノズル先端側より各ノズルの位置する部分にノズル配置孔を穿孔したノズル押さえ板を前記ノズル配置孔にノズルを挿通して配置し、前記ノズル押さえ板でノズルの押さえ部を押さえた状態でノズル押さえ板を配管固定部材に取り付けて成ることを特徴とするノズル取付構造。
【請求項2】 配管固定部材を、フレームに固定される固定片と、該固定片の一端部より連設されてノズル押さえ板が取付けられる取付片と、固定片の他端部より連設されてノズル受け部に係合する係合片とからなる断面略コ字状に形成し、ノズル受け部に係合溝を形成して該係合溝に前記係合片を嵌入係合して成ることを特徴とする請求項1記載のノズル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−310467(P2003−310467A)
【公開日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−120012(P2002−120012)
【出願日】平成14年4月23日(2002.4.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】