説明

ノンオイル又は低オイル液体調味料、液体調味料の食味改善方法

【課題】油分を少量しか含まないか又は全く含まず、しかもセルロース含有量が比較的少ないにもかかわらず、十分にコクのある風味を有するノンオイル又は低オイル液体調味料を提供すること。
【解決手段】本発明のノンオイル又は低オイル液体調味料は、平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加してなり、かつ、油分が10重量%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コクのある風味を有するノンオイル又は低オイル調味料、液体調味料の食味改善方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体調味料には、油分(脂肪分)を含む物とそうでない物がある。例えば、液体調味料の代表例であるドレッシングには、ノンオイルドレッシング、調味油と調味酢とが分離した分離型ドレッシング、調味油と調味酢とが乳化された乳化型ドレッシングなどが存在し、消費者は好みの風味を選択して購入することができる。なかでも、ノンオイルドレッシングはさっぱりした風味を好む消費者に選択され、油分を含む分離型ドレッシングや乳化型ドレッシングはコクのある風味を好む消費者に選択される傾向にある。
【0003】
一方、昨今の健康ブームやダイエットブームから油分をなるべく摂取したくないという消費者も増加しており、コクのある風味を好む消費者であっても油分の摂取を敬遠する傾向にある。このため、食品中の油分をできるだけ減らすような検討が行われ商品化されてきているが、単純に油分を低減しただけでは風味が変化する。ゆえに、コクのある風味を求める消費者にとって、この種の商品は好まれないものとなる。そこで、コクを求める消費者にも好まれる風味を有するにもかかわらず、油分の含有量が少ない液体調味料の提供が望まれていた。
【0004】
このような要求のなか、特定の微細なセルロースを含有するものであって、食感・保形性改善効果や油脂代替効果などを有するセルロース含有複合体が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、この種のセルロース含有複合体をドレッシング等の液体調味料に添加すれば、その分だけ油分の含有量を低減できるばかりでなく、ある程度コクがある液体調味料を実現可能であると考えられる。
【特許文献1】特開平11−46722号公報(段落[0033]、[0033]等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術のセルロース含有複合体を用いた場合であっても、十分に満足のいく程度にコクを出すためには、液体調味料に多量のセルロース(例えば10重量%を超える量)を添加する必要があり、かえって食感に悪影響を及ぼすおそれがある。さらに、液体調味料を工業的に製造する場合において多量のセルロースを添加することは、コスト的にも作業効率的にも好ましくない。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、油分を少量しか含まないか又は全く含まず、しかもセルロース含有量が比較的少ないにもかかわらず、十分にコクのある風味を有するノンオイル又は低オイル液体調味料を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、コクのある風味を付与することでノンオイル又は低オイル液体調味料の食味を改善する好適な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するために本願発明者らが鋭意研究したところ、液体調味料に添加されるべきセルロースが1種類のみでは食味の改善におのずと限界があるとの結論に達し、あえて2種類以上のセルロースを用いることを思い付き、数多くの試行錯誤を行った。その結果、1)液体調味料に添加されるべきセルロースが結晶セルロースであること、及び、2)平均粒径が異なる2種類以上の結晶セルロースを用いること、の2要件を満たす場合に好結果が得られることを新規に知見した。そして、本願発明者らはこの知見に基づき最終的に下記の発明を完成させるに至ったのである。
【0009】
即ち、請求項1に記載の発明は、平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加してなり、かつ、油分が10重量%以下であることを特徴とするノンオイル又は低オイル液体調味料をその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、平均粒径がいずれも20μm以下であって、かつ、平均粒径の差が3μm以上である2種類の結晶セルロースを添加してなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、平均粒径が8μm〜15μmの結晶セルロースと、平均粒径が1μm〜5μmの微結晶セルロースとを添加してなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、セルロースの総含有量が0.1重量%〜10重量%であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4において、前記結晶セルロース及び前記微結晶セルロースの重量含有比が1:10〜10:1であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、油分が10重量%以下のノンオイル又は低オイル液体調味料に、平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加することにより、コクのある風味を付与することを特徴とする液体調味料の食味改善方法をその要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によると、油分を少量しか含まないか又は全く含まず、しかもセルロース含有量が比較的少ないにもかかわらず、十分にコクのある風味を有するノンオイル又は低オイル液体調味料を提供することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によると、コクのある風味を付与することでノンオイル又は低オイル液体調味料の食味を改善する好適な方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
一般的に調味料とは料理や食品素材の美味しさを引き立たせるために用いられるものを指すが、本発明はそのなかでも液体調味料、即ち少なくとも流動性を有する調味料について適用される。液体調味料の代表例としては、野菜やシーフード等にかけて味付けをするドレッシングが挙げられ、その他にも例えば、各種つゆ類、各種たれ類、各種ソース類、味醂、ポン酢等が挙げられる。
【0019】
本発明の液体調味料はノンオイル品または低オイル品であり、具体的には油分が10重量%以下である必要がある。その理由は、油分の添加に依存せずセルロースの添加によってコクのある風味を実現することが、本願発明の解決課題だからである。油分は5重量%以下が好ましく、特には3重量%未満がより好ましい。なお、低オイル液体調味料は乳化の有無を問わないため、乳化タイプ及び分離タイプのいずれであってもよい。例えば、本発明の液体調味料が低オイルタイプのドレッシングである場合には、一般的に、水、食用油、食酢やクエン酸等の食用酸、砂糖などの糖分、食塩などの塩分などがその液体調味料の主原料となる。本発明の液体調味料がノンオイルタイプのドレッシングである場合には、一般的に、水、食酢やクエン酸等の食用酸、砂糖などの糖分、食塩などの塩分などがその液体調味料の主原料となる。
【0020】
ここで、本発明の液体調味料には、上記の主原料以外の原料として所定のセルロースが含まれる。一般的にセルロースは、植物細胞壁の主成分であって地球上に多く存在し、(C10という巨大な分子構造を有している。また、セルロースはグルコースがβ(1−4)結合で直鎖状に縮合してなる多糖類であって、不溶性だが親水性が強く化学的に安定し加水分解しにくいという性質を有している。セルロースには繊維状セルロースや結晶セルロースなどがあるが、本発明の液体調味料に添加されるべきセルロースは結晶セルロースである。その理由は、結晶セルロースには油脂代替効果、即ち油のない(または少ない)液体調味料にコクのある風味を付与できる効果がある反面、繊維状セルロースにはこのような効果がなく食感もよくないからである。ただし、本発明の目的に反しなければ、繊維状セルロースを少量付加的に用いることは一応許容される。
【0021】
本発明の液体調味料に添加されるべき結晶セルロースの性状は特に限定されず、例えば粉末状やフレーク状のものが使用可能であるほか、クリーム状(即ち粉末状やフレーク状の結晶セルロースを液体に懸濁させたもの)のものも同様に使用可能である。
【0022】
本発明の液体調味料は、上記のとおり平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加してなるもの、言い換えると平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを併用して製造されたものである。また、本発明の液体調味料は、平均粒径の異なる2種類の結晶セルロースを添加してなるものが好ましい。なお、結晶セルロースの平均粒径は、市販されている粒度分布測定装置(例えば、BECKMAN COULTER社製レーザ回折散乱法粒度分布測定装置など)を用いて測定することができる。以下、説明の便宜上、相対的に平均粒径が大きい結晶セルロースを「大径結晶セルロース」と称し、相対的に平均粒径が小さい結晶セルロースを「小径結晶セルロース(または微結晶セルロース)」と称することにする。
【0023】
大径結晶セルロース及び小径結晶セルロースの平均粒径及びその差は特に限定されないが、好ましくは大径結晶セルロースの平均粒径を20μm以下、小径結晶セルロースの平均粒径を20μm以下、その差を3μm以上とすることがよい。より好ましくは、大径結晶セルロースの平均粒径を15μm以下、小径結晶セルロースの平均粒径を15μm以下、その差を5μm以上とすることがよい。その理由は、平均粒径が20μmを超える結晶セルロースを用いた場合、そもそもざらついた食感となりやすく、食味の改善につながらないからである。また、両者の平均粒径の差が3μm未満であると、たとえ「平均粒径が異なる2種の結晶セルロースを添加してなる」ものであったとしても、そのこと(換言すると、味の不均一さ)が味覚を通じて十分に感知されず、コクのある風味として認識困難だからである。これに対して、両者の平均粒径の差が3μm以上であると、いわば「時間的・空間的な味覚の広がり」が味覚を通じて感知され、ひいてはコクのある風味として認識可能になると推察される。
【0024】
より具体的には、大径結晶セルロースとして平均粒径8μm〜15μmの結晶セルロースを用い、小径結晶セルロースとして平均粒径1μm〜5μmの微結晶セルロースを用いて製造された液体調味料であることが好適である。このような2種の結晶セルロースを組み合わせれば、両者の平均粒径が20μm以下かつその差が3μm以上、という上記の好適条件が達成しやすくなり、液体調味料にコクのある風味を確実に付与できるからである。
【0025】
本発明の液体調味料の場合、セルロースの総含有量が0.1重量%〜10重量%、特には1重量%〜5重量%であることが好ましい。その理由は、0.1重量%未満であるとセルロースの総含有量が少なすぎてしまい、コクのある風味を十分に付与できないからである。これに対して、10重量%を超える量のセルロースを含有させた場合には、1種類の結晶セルロースの単独使用によってコクのある風味を付与できてしまうことに加え、ざらつきが増すためかえって食感に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。また、液体調味料を工業的に製造する場合において、10重量%を超える多量のセルロースを添加することは、コスト的にも作業効率的にも好ましくないからである。
【0026】
結晶セルロース及び微結晶セルロースの重量含有比は特に限定されないが、例えば1:10〜10:1が好ましく、特には1:5〜5:1が好ましい。その理由は、一方の結晶セルロースが他方の結晶セルロースに比べて極端に多いかまたは少ないと、平均粒径の異なる2種類の結晶セルロースが添加されていると感知されにくくなり、コクのある風味を十分に付与できなくなるおそれがある。
【0027】
本発明の液体調味料に添加されるべき結晶セルロースは、例えば、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、穀物または果実由来の植物繊維等のセルロース系素材を用いて製造することが可能である。このようなセルロース系素材は、酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解等により解重合処理された後、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式ビーズミル、高圧ホモジナイザー等を用いて機械的なシェアをかけることで磨砕される。ここで、大径結晶セルロースとして市販品をそのまま使用し、小径結晶セルロースとしてその市販品をさらに機械的手法で磨砕等したものを使用してもよい。
【0028】
本発明の液体調味料を製造する場合においては各原料の添加の順序や方法等に特に制約はなく、任意の順序及び方法で添加、混合することが可能である。よって、例えば、複数の原料を混合してあらかじめ主原料を作製した後、そこに結晶セルロースを添加し混合するようにしてもよい。あるいは、主原料の作製時に同時に結晶セルロースを添加し混合するようにしてもよい。また、結晶セルロースだけ単独で水に混合してから他の原料と混合してもよい。使用する結晶セルロースが粉末状である場合には、液体状の主原料が多い状態で添加、混合することが好ましい。その理由は、粉末状の結晶セルロースを均一に分散できるからである。
【0029】
また、本発明の液体調味料には、上記のような主原料及び結晶セルロースのほかにも、本発明の目的に反しなければ、香辛料、香料、色素、タンパク質、でんぷん類、糖アルコール、乳化剤、安定剤、酸化防止剤、増粘剤などの副原料が少量含まれていても構わない。
【0030】
本発明の液体調味料のpHは特に限定されないが、保存性向上の観点から中性域から酸性域の間に設定されること、特にはpH3.0〜pH6.0程度に設定されることが好ましい。例えば、液体調味料がドレッシングである場合には、主原料中に食酢が含まれるので、結果的に上記の酸性域の好適範囲内に収めることができる。
【0031】
以下、本実施形態をより具体化した実施例を説明するが、本発明の液体調味料は勿論実施例のみに限定されるわけではない。
【実施例1】
【0032】
<評価試験1>
【0033】
本評価試験1は、平均粒径の異なる2種類の結晶セルロースの添加効果の検証、及びそれらの好ましい重量含有比の決定を目的として行った。
【0034】
1.サンプルの作製
【0035】
表1に示す原料(水、食酢、砂糖、食塩及び結晶セルロース)を全量で1kgになるように、それぞれ表1に示す割合(重量%)で用意した。本評価試験1では、基本的に2種類の結晶セルロースを併用することとし、具体的には大径結晶セルロースとして平均粒径約10μmの結晶セルロースを用意し、小径結晶セルロース(微結晶セルロース)として平均粒径約3μmの結晶セルロースを用意した。そして、これらの原料を攪拌機で約30分攪拌することにより均一に混合し、ノンオイルタイプのドレッシングのサンプル(各々1kg)を9種類作製した。その後、90℃,20分間の湯煎による殺菌を行った後、自然冷却により各サンプルを冷却し、常温にて以下の方法により官能評価を行った。ここではサンプル1を比較例1−1、サンプル2〜8を実施例1〜7、サンプル9を比較例1−2として位置付けている。なお、コントロールであるサンプル1(比較例1−1)は、あまりコクがなく好ましい風味を有しないものとなっている。
【0036】
2.官能検査の方法
【0037】
作製したドレッシングの各サンプルについて、官能検査員5名による官能検査を行い、風味(コクがあるか否か)の検査を実施した。この官能検査では、大径結晶セルロースのみを使用したコントロール(比較例1−1)と比較して、コクがあると感じるかどうかを4段階で評価した。表1中において、×は「コントロールとほとんど同じ」、△は「コントロールより若干コクがあるが有意差はない」、○は「コントロールよりコクがあり好ましい」、◎は「コントロールより非常にコクがあり非常に好ましい」、ということを意味している。上記官能試験の結果を表1に示す。
【0038】
3.結果
【0039】
表1に示すように、平均粒径が1種類のみの結晶セルロースを用いたサンプルと、平均粒径が異なる2種類の結晶セルロースを用いたサンプルとを比較した場合、明らかに後者においてコクが増し、好ましい風味となることがわかった。また、コクのある風味を有意に感じるためには、平均粒径の異なる2種類の結晶セルロースの重量含有比を1:10〜10:1にすることが必要であり、特には1:5〜5:1にすることがより好ましいこともわかった。また、両者の重量含有比の差が10以上になると、コントロールとの差がみられなかった。この理由としては、一方の結晶セルロースが他方の結晶セルロースに比べて極端に多いかまたは少ないため、味の不均一さを感知できないからであると推察される。
【表1】

【0040】
<評価試験2>
【0041】
本評価試験2は、2種類の結晶セルロースの総含有量の好ましい範囲(上限値)の決定を目的として行った。
【0042】
1.サンプルの作製及び官能検査の方法
【0043】
原料の割合を表2、表3に示すように変更したことを除き、基本的には評価試験1と同様の手順でドレッシングのサンプルを6種類作製した。また、官能評価も評価試験1と同様の手法で行った。サンプル10,11,12では結晶セルロースの総含有量を10重量%に設定し、サンプル13,14,15では結晶セルロースの総含有量を20重量%に設定した。ここではサンプル10を比較例2−1、サンプル11を実施例8、サンプル12を比較例2−2、サンプル13を比較例3−1、サンプル14を比較例3−2、サンプル15を比較例3−3として位置付けている。コントロールであるサンプル10(比較例2−1)は、あまりコクがなく好ましい風味を有しないものとなっているが、別のコントロールであるサンプル13(比較例3−1)は、コクがあり好ましい風味を有するものとなっている。上記官能試験の結果を表2,表3に示す。
【0044】
2.結果
【0045】
表2に示すように、結晶セルロースの総含有量が10重量%の場合には、コントロールであるサンプル10と比較して、明らかにコクに差が認められた。これに対して、表3に示すように、結晶セルロースの総含有量が20重量%になると、コントロールであるサンプル13と比較して、コクに何ら差が認められなかった。つまり、結晶セルロースの総含有量がこの程度多くなると、わざわざ2種類の結晶セルロースを併用しなくてもコクのある風味を実現できてしまうことがわかった。以上の結果を総合すると、2種類の結晶セルロースの総含有量の好ましい範囲(上限値)は10重量%であり、この上限値を超えない範囲で結晶セルロースを併用することにより、液体調味料にコクのある風味を確実に付与し、その食味を改善できることが実証された。
【表2】

【表3】

【0046】
<その他の評価試験>
【0047】
以上の評価試験の他、本発明者らは以下の評価試験も実施したが、その概要を述べる程度に止め詳細については割愛する。この評価試験では、平均粒径の差が約1μmの結晶セルロースを2種類併用して、上記と同様にノンオイルタイプのドレッシングを作製した(サンプル16)。また、これとは別に、平均粒径の差が約3μmの結晶セルロースを2種類併用して、上記と同様にノンオイルタイプのドレッシングを作製した(サンプル17)。平均粒径差が約1μmのサンプル16では、単一の結晶セルロースを用いたサンプルと比較して、コクにほとんど違いはなかった。これに対して、平均粒径差が約3μmのサンプル17では、有意にコクがあった。以上の結果を総合すると、2種類の結晶セルロースの平均粒径差(下限値)は3μmであり、この下限値を下回らない範囲で結晶セルロースを併用することにより、液体調味料にコクのある風味を確実に付与し、その食味を改善できることが実証された。
【0048】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0049】
・水、食用酸、糖分及び食塩を含む調味液主原料に平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加してなり、かつ、油分が10重量%以下であることを特徴とするノンオイル又は低オイル液体調味料。
【0050】
・水、食酢、糖分及び食塩を含む調味液主原料に平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加してなり、かつ、油分が10重量%以下であることを特徴とするノンオイル又は低オイルドレッシング。
【0051】
・水、食用油、食酢、糖分及び食塩を含む調味液主原料に平均粒径の異なる2種類の結晶セルロースを添加してなり、かつ、前記油分が10重量%以下であることを特徴とする低オイルドレッシング。
【0052】
・水、食酢、糖分及び食塩を含む調味液主原料に平均粒径の異なる2種類の結晶セルロースを添加してなり、かつ、油分が3重量%未満であることを特徴とするノンオイルドレッシング。
【0053】
・水、食酢、糖分及び食塩を含む調味液主原料に平均粒径が8μm〜15μmの結晶セルロースと、平均粒径が1μm〜5μmの微結晶セルロースとを添加してなり、セルロースの総含有量が0.1重量%〜10重量%であり、かつ、油分が10重量%以下であることを特徴とするノンオイル又は低オイルドレッシング。
【0054】
・水、食酢、糖分及び食塩を含む調味液主原料に平均粒径が8μm〜15μmの結晶セルロースと、平均粒径が1μm〜5μmの微結晶セルロースとを添加してなり、セルロースの総含有量が1重量%〜5重量%であり、前記結晶セルロース及び前記微結晶セルロースの重量含有比率が1:5〜5:1であり、かつ、油分が10重量%以下であることを特徴とするノンオイル又は低オイルドレッシング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加してなり、かつ、油分が10重量%以下であることを特徴とするノンオイル又は低オイル液体調味料。
【請求項2】
平均粒径がいずれも20μm以下であって、かつ、平均粒径の差が3μm以上である2種類の結晶セルロースを添加してなることを特徴とする請求項1に記載のノンオイル又は低オイル液体調味料。
【請求項3】
平均粒径が8μm〜15μmの結晶セルロースと、平均粒径が1μm〜5μmの微結晶セルロースとを添加してなることを特徴とする請求項1または2に記載のノンオイル又は低オイル液体調味料。
【請求項4】
セルロースの総含有量が0.1重量%〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のノンオイル又は低オイル液体調味料。
【請求項5】
前記結晶セルロース及び前記微結晶セルロースの重量含有比が1:10〜10:1であることを特徴とする請求項3または4に記載のノンオイル又は低オイル液体調味料。
【請求項6】
油分が10重量%以下のノンオイル又は低オイル液体調味料に、平均粒径の異なる2種類以上の結晶セルロースを添加することにより、コクのある風味を付与することを特徴とする液体調味料の食味改善方法。