説明

ハイドロゲル粒子の製造方法及びそれに用いる複合粒子製造装置

【課題】分散液の分散安定性が低い系であってもハイドロゲル粒子を得ることができるその製造方法を提供する。
【解決手段】非架橋型ハイドロゲルを構成するゾルの水性成分水溶液及び油性成分液の供給と該水性成分水溶液に該油性成分液を分散させることによる分散液の生成とを連続的に行い、その連続生成される分散液を引き続いて液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非架橋型ハイドロゲルの連続相に油性成分の多数の分散相が分散したハイドロゲル粒子の製造方法及びそれに用いる複合粒子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品、医薬品、医薬部外品、食品等に適用しうるハイドロゲル粒子として、ハイドロゲルの連続相に油性成分の多数の分散相が分散したものが知られている(例えば、特許文献1、2及び3)。
【0003】
そのようなハイドロゲル粒子の製造方法として、特許文献4には、寒天を溶解した水性成分水溶液に油性成分を分散させた分散液を調製し、振動を与えながら分散液を孔から吐出させて液滴を形成させた後、その液滴を冷却固化させる方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献5には、粒子径が数μmであるマイクロカプセルの製造方法であって、油相Oと水相W1とをマイクロミキサに導入してW1/Oエマルションを生成し、それを水相W2と共にマイクロミキサに導入してW1/O/W2エマルションを生成することが開示されている。
【特許文献1】特許第3483543号公報
【特許文献2】特開平2−117610号公報
【特許文献3】特開2001−96146号公報
【特許文献4】特許第3555937号公報
【特許文献5】特表2003−500202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハイドロゲル粒子の製造において、一旦、分散液を調製しておき、しかる後に、その分散液を粒子化するバッチ方式とした場合、分散液の分散安定性が低い系では、分散後のクリーミングや分散相の合一を回避するために、界面活性剤や高分子乳化分散剤を用いて分散液の安定化を図る必要がある。
【0006】
本発明の目的は、分散液の分散安定性が低い系であってもハイドロゲル粒子を得ることができるその製造方法及びそれに用いる複合粒子製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明は、非架橋型ハイドロゲルの連続相に油性成分の多数の分散相が分散したハイドロゲル粒子の製造方法であって、
非架橋型ハイドロゲルを構成するゾルの水性成分水溶液及び油性成分液の供給と該水性成分水溶液に該油性成分液を分散させることによる分散液の生成とを連続的に行い、その連続生成される分散液を引き続いて液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させる。
【0008】
そして、これを実施するには、
水性成分液供給源と、
油性成分液供給源と、
上記水性成分液供給源から水性成分液が供給されると共に上記油性成分液供給源から油性成分液が供給されるように構成され、水性成分液及び油性成分液が連続的に供給されたときに、それらのうち一方が他方に分散した分散液を連続的に生成する分散機と、
上記分散機から生成した分散液が供給されるように構成され、分散液が連続的に供給されたときに、それを引き続き液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させる粒子形成機と、
を備えた複合粒子製造装置を用いればよい。
【発明の効果】
【0009】
上記のようにすれば、分散液の生成からその粒子化までがワンパスで連続的に滞りなく行われるので、一旦、分散液を調製しておき、しかる後に、その分散液を粒子化するバッチ方式に比較して、歩留まりが向上すると共に、サイクルタイム、設備投資、ランニングコスト及びメンテナンス負荷がそれぞれ低減され、結果として複合粒子の生産性の向上を図ることができる。
【0010】
また、分散液の生成に引き続いて分散液を粒子化させるので、分散液の分散安定性が低いために分散後にクリーミングしたり、分散相が合一する系であってもハイドロゲル粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本実施形態のハイドロゲル粒子の製造方法は、非架橋型ハイドロゲルのゲル化剤を溶解させた水性成分水溶液及び油性成分液の供給と前者に後者を分散させることによる分散液の生成とを連続的に行い、その連続生成される分散液を引き続いて液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させるものである。
【0013】
ここで、本出願における「ハイドロゲル粒子」とは、非架橋型ハイドロゲルの連続相に油性成分の多数の分散相が分散した1個又は複数個の粒子をいう。なお、このハイドロゲル粒子の概念には、外層である外皮と内層である芯成分とからなる、内層と外層とが同心状のカプセルは含まれない。
【0014】
このようなハイドロゲル粒子の製造方法によれば、分散液の生成からその粒子化までワンパスで連続的に滞りなく行われるので、一旦、分散液を調製しておき、しかる後に、その分散液を粒子化するバッチ方式に比較して、歩留まりが向上すると共に、サイクルタイム、設備投資、ランニングコスト及びメンテナンス負荷がそれぞれ低減され、結果として複合粒子の生産性の向上を図ることができる。
【0015】
また、分散液の生成に引き続いて分散液を粒子化させるので、分散液の分散安定性が低いために分散後にクリーミングしたり、分散相が合一する系であってもハイドロゲル粒子を得ることができる。
【0016】
(水性成分水溶液)
本実施形態のハイドロゲル粒子の製造方法では、非架橋型ハイドロゲルのゲル化剤を溶解させた水性成分水溶液を用いる。
【0017】
本出願における「非架橋型ハイドロゲル」とは、水性成分であるゲル化剤と溶媒である水とから得られるゲルであって、ゲル化剤が寒天である場合のようにゾル−ゲルの熱可逆性によってゲル化が生じる熱可逆性ゲルをいう。
【0018】
この非架橋型ハイドロゲルを生じるゲル化剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、ゼラチン等が挙げられる。そして、ゲル化剤として、これらのうち1種又は2種以上を混合したものを用いる。これらの中では、寒天を用いることが好ましい。製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の使用時の感触がよいという観点からは、ゼリー強度が147kPa(1500g/cm2)以下である寒天を用いることが好ましく、19.6kPa(200g/cm2)〜127kPa(1300g/cm2)である寒天を用いることがより好ましい。なお、ゼリー強度は、日寒水式法により求めることができる。具体的には、ゼリー強度は、ゲル化剤の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルに、日寒水式ゼリー強度測定器((株)木屋製作所製)により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm2 あたりの最大質量(g)として求めることができる。
【0019】
ここで、本出願における「寒天」とは、ガラクトースの1,3結合及び1,4結合からなるガラクターンを含むヘミセルロースをいう。寒天は、水への溶解温度が一般に75℃以上、その主なものについては75〜90℃であり、水に溶解させた後に冷却したときのゲル化温度が30〜45℃である。
【0020】
ゲル化剤を溶解させた水性成分水溶液は、ゲル化剤の濃度を0.1〜8質量%とすることが好ましく、0.3〜7質量%とすることがより好ましく、0.4〜6質量%とすることがさらに好ましく、0.5〜5質量%とすることが特に好ましい。また、水性成分水溶液の温度は、ゲル化が進行しないように、ゲル化剤のゲル化温度以上に保持する必要があり、ゲル化剤が寒天の場合、45〜100℃とすることが好ましく、50〜95℃とすることがより好ましく、60〜90℃とすることがさらに好ましい。
【0021】
水性成分水溶液には、油性成分を分散させるための乳化剤及び/又は分散剤を含有させてもよいが、これらを含まない場合も可能である。
【0022】
乳化剤、分散剤としては、例えば、高分子乳化分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0023】
高分子乳化分散剤としては、例えば、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体、特開平7−100356号公報に記載された両性高分子化合物と高級脂肪酸とから合成される複合体、特開平8−252447号公報及び特開平9−141079号公報にそれぞれ記載された水溶性両親媒性高分子電解質、特開平9−141080号公報及び特開平9−141081号公報にそれぞれ記載された水溶性架橋型両親媒性高分子電解質、特開平10−53625号公報に記載されたアクリル酸系共重合体、特許第3329689号、特開平10−330401号公報及び特開平11−106401号公報にそれぞれ記載された多糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリルアミド、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物の酸化エチレン付加物などの合成高分子化合物、グアヤガム、カラヤガム、トラガントガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カゼインなどの天然高分子化合物等が挙げられる。
【0024】
これらの中では、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の皮膚に塗布した際のべとつきを低減させる観点から、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体(例えば、日光ケミカルズ(株)製、商品名:PEMULEN等)、ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業(株)製、商品名:ゴーセノール等)、特許第3329689号公報に記載された多糖誘導体を用いることが好ましい。また、乳化性及び分散性を向上させる観点から、中和された高分子乳化分散剤を用いてもよく、油性成分の分散前の水性成分水溶液又は分散後の分散液に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を添加して高分子乳化分散剤を中和してもよい。このとき、pHを4〜8とするのが好ましく、6〜7とするのがより好ましい。
【0025】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルアミンアセテート、ステアリルアミン酸等が挙げられる。
【0027】
非イオン性界面活性剤としては、製造されるハイドロゲル粒子からの油性成分の漏出を防止する観点から、非イオン性界面活性剤のHLBが10以下のものを用いることが好ましく、8以下のものを用いることがより好ましく、5以下のものを用いることがさらに好ましく、3以下のものを用いることが特に好ましい。HLBは、「乳化・可溶化の技術」工学図書(株)(昭59−5−20)p.8−12に記載の計算式に基づいて求めることができる。
【0028】
これらの非イオン性界面活性剤の中では、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合に皮膚刺激性が小さいという観点から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルを用いることが好ましく、ソルビタンモノステアレートを用いることがより好ましい。また、非イオン性界面活性剤の中では、製造されるハイドロゲル粒子から油性成分が漏出するのを抑制する観点から、融点が35℃以上であるものを用いることが好ましく、40〜90℃のものを用いることがより好ましく、50〜90℃のものを用いることがさらに好ましく、60〜80℃のものを用いることが特に好ましい。
【0029】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0030】
そして、乳化剤及び/又は分散剤として、これらのうち1種又は2種以上を混合したものを用いる。製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の粒子の延ばしやすさ、及び、洗浄や配合時のハンドリング性が良好であることの観点からは、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれた1種以上と高分子乳化分散剤とを併用することが好ましい。
【0031】
乳化剤及び/又は分散剤の添加量は、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の使用時の感触が良いという観点、分散液の安定性の観点、及び、ハイドロゲル粒子からの油性成分の漏出抑制の観点から、水性成分水溶液に油性成分を分散させた後の分散液100質量部に対して0.001〜20質量部となるようにするのが好ましく、0.01〜5質量部となるようにするのがより好ましい。
【0032】
(油性成分液)
本実施形態のハイドロゲル粒子の製造方法では、油性成分液を用いる。油性成分液は、油性成分をその融点以上の温度で液状に保持したものである。
【0033】
油性成分は、固体脂及び/又は液体油である。ここで、本出願における「固体脂」とは、融点が35℃以上である油性成分をいい、「液体油」とは、融点が35℃未満である油性成分をいう。
【0034】
固体脂としては、例えば、固体のセラミド、固体のスフィンゴ脂質、固形パラフィン、固体の高級アルコール、ワセリン、固体のシリコーン、固体の油剤及び固体の香料等が挙げられる。これらの中では、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の皮膚保護性の観点から、固体のセラミド、固体の高級アルコール、ワセリン、固体のシリコーン、固体の香料を用いることが好ましい。
【0035】
固体のセラミドとしては、分散安定性の高さ、及び、製造されるハイドロゲル粒子から油性成分が漏出するのを抑制する観点から、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドを用いることが好ましい。なお、固体脂として固体のセラミドを用いる場合、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の皮膚保護性を高める観点から、ハイドロゲル粒子における含有量が7.5 〜60質量%になるように添加することが好ましく、9〜30質量%になるように添加することがより好ましい。
【0036】
固体のスフィンゴ脂質としては、例えば、フィトスフィンゴシン等が挙げられる。
【0037】
固形パラフィンとしては、例えば、JIS K 2235に記載されているパラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス、セレシン等が挙げられる。
【0038】
固体の高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキディルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0039】
固体のシリコーンとしては、例えば、アルキル変性シリコーン、高分子シリコーン・アルキル共変性アクリル樹脂等が挙げられる。
【0040】
固体の油剤としては、例えば、硬化油や高級脂肪酸が挙げられる。硬化油としては、例えば、原料油がヤシ油やパーム油や牛脂である硬化油が挙げられる。高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0041】
固体の香料としては、例えば、メントールやセドロール等が挙げられる。
【0042】
液体油としては、例えば、液体の皮膚保護剤、液体の油剤、液体の香料等が挙げられる。これらの中では、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の皮膚保護性の観点から、液体の皮膚保護剤を用いることが好ましい。
【0043】
液体の皮膚保護剤は、皮膚を柔軟にしたり、或いは、平滑にすることにより、肌荒れを防止する成分であり、例えば、液体のパラフィン、液体のエステル油、液体の高級アルコール、液体のスクワラン、液体のグリセライドなどの液体油脂類;セチロキシプロピルグリセリルメトキシプロピルミリスタミドなどの液体のセラミド;1−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−3−イソステアリルオキシ−2−プロパノールなどの液体のスフィンゴ脂質等が挙げられる。
【0044】
液体の油剤としては、例えば、液体の炭化水素油、液体の植物油、液体の脂肪酸等;液体のエチレングリコールジ脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数は12〜36)、液体のジアルキルエーテル(炭素数は12〜36)などの液体の油脂類;液体のシリコーン類等が挙げられる。液体の油剤は、揮発性であっても、また、不揮発性であってもいずれでもよい。 そして、油性成分として、これらの固体脂及び液体油うち1種又は2種以上を混合したものを用いる。
【0045】
油性成分は、製造されるハイドロゲル粒子から油性成分が漏出するのを抑制する観点から、融点が35℃以上のものを用いることが好ましく、40〜90℃のものを用いることがより好ましく、45〜90℃のものを用いることがさらに好ましく、50〜80℃のものを用いることが特に好ましい。同様の観点からは、油性成分に固体脂を含める場合、固体脂は、融点が40〜120℃以上のものを用いることが好ましく、50〜90℃のものを用いることがより好ましく、50〜80℃のものを用いることがさらに好ましい。なお、油性成分の融点は、示差走査熱量測定法(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により測定することができる。
【0046】
油性成分は、製造されるハイドロゲル粒子から油性成分が漏出するのを抑制する観点からは、固体脂と液体油との混合油を用いることが好ましい。この場合、油性成分における固体脂の含有量は、製造されるハイドロゲル粒子から油性成分が漏出するのを抑制する観点、及び、ハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、1〜80質量%とすることが好ましく、6〜80質量%とすることがより好ましく、10〜70質量%とすることがさらに好ましく、19〜50質量%とすることが最も好ましい。油性成分における液体油の含有量は、同様の観点から、55〜99質量%とすることが好ましく、20〜94質量%とすることがより好ましく、30〜90質量%とすることがさらに好ましく、50〜81質量%とすることが最も好ましい。
【0047】
なお、油性成分液は、例えば、油中水滴型エマルジョン等であってもよい。
【0048】
(水性成分水溶液及び油性成分液の供給と分散液の生成)
本実施形態のハイドロゲル粒子の製造方法では、水性成分水溶液及び油性成分液の供給と水性成分水溶液に油性成分液を分散させることによる分散液の生成とを連続的に行う。
【0049】
これは、例えば、分散機を用い、分散機に水性成分水溶液及び油性成分液を連続的に供給すると共に、分散機で連続供給される水性成分水溶液及び油性成分液を混合させて前者に後者が分散した分散液を連続的に生成させることにより実施可能である。なお、水性成分水溶液に油性成分を分散させて得られる分散液は、水相に油相が分散した水中油型分散液である。また、分散液は、水性成分水溶液に分散した油性成分液が固化していてもよい。
【0050】
水性成分水溶液と油性成分液との混合割合は、製造されるハイドロゲル粒子が輸送時や配合時に崩壊しにくくする観点や、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の使用時の感触がよいという観点から、質量比として、水性成分水溶液/油性成分液が95/5〜40/60となるようにすることが好ましく、90/10〜45/55となるようにすることがより好ましく、85/15〜50/50となるようにすることがさらに好ましい。ハイドロゲル粒子を粒子化するときの内包効率や製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合の使用時の感触が良いという観点からは、分散液における油性成分の含有量が3〜60質量%となるようにすることが好ましく、5〜55質量%となるようにすることがより好ましく、10〜50質量%となるようにすることがさらに好ましい。また、分散液の温度は、ゲル化が進行しないように、ゲル化剤のゲル化温度以上に保持する必要があり、ゲル化剤が寒天の場合、45〜100℃とすることが好ましく、50〜90℃とすることがより好ましく、60〜90℃とすることがさらに好ましい。
【0051】
分散液における油性成分の体積基準平均粒子径は、製造されるハイドロゲル粒子を化粧品等に適用した場合に皮膚上で滑らかに延ばすことができる観点、及び、油性成分の皮膚へのなじみ性の向上の観点から、2〜100μmであることが好ましく、3〜70μmであることがより好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。油性成分の粒子径制御は、例えば、回転型混合器を用いる場合は回転数の調整やクリアランスの選択、静置型混合器を用いる場合は流速の調整や流路径の選択によって行うことができる。なお、油性成分の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折散乱法によって測定することができる。
【0052】
分散液には、その他、着色剤や防腐剤、或いは、これらの混合物を含有させてもよい。
【0053】
着色剤としては、例えば、顔料及び染料が挙げられる。
【0054】
顔料としては、例えば、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等の無機顔料、タール色素等の有機顔料が挙げられる。
【0055】
染料としては、例えば、油溶性染料、建染染料、レーキ染料等が挙げられる。
【0056】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、イソプロピルメチルフェノール、エタノール、フェノキシエタノール、デヒドロ酢酸及びその塩類等が挙げられる。
【0057】
また分散液には、その他、化粧品、医薬品、医薬部外品等に適用される保湿剤、制汗剤、抗菌剤、殺菌剤、粉体等、或いは、これらの混合物を含有させてもよい。
【0058】
これらの着色剤や防腐剤等は、分散液の水相及び油相の両方に含有させても、どちらか一方だけに含有させてもいずれでもよい。また、これらの着色剤や防腐剤等は、予め水性成分水溶液及び/又は油性成分液に添加しておいても、分散機に至る経路で水性成分水溶液及び/又は油性成分液に添加しても、水性成分水溶液及び油性成分液とは別経路で分散機で添加するようにしてもいずれでもよい。
【0059】
(分散液の粒子化)
本実施形態のハイドロゲル粒子の製造方法では、連続生成される分散液を引き続いて液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させる。
【0060】
これは、例えば、オリフィスを有する部材を用い、オリフィスから分散液を気相又は液相に吐出させると共に、その表面張力によって液滴を形成させ、その液滴を気相又は液相で冷却させて固化させることにより実施可能であり、また、噴霧ノズルを用い、噴霧ノズルから分散液を気相に噴霧させると共に、その表面張力によって液滴を形成させ、その液滴を気相で冷却させて固化させることによっても実施可能である。なお、前者の場合、オリフィスからの吐出速度が大きすぎると液滴が形成される前に冷却固化されてしまう場合があるので、吐出速度をあまり大きくしないことが好ましい。さらに、液滴形成が促進されて高い製造効率を得ることができると共に、形成される液滴の大きさが均一となって高い粒子の単分散性を得ることができるので、分散液に振動を与えることが好ましい。
【0061】
液滴を冷却する気相としては、例えば、大気相や窒素ガス相等が挙げられる。液滴を冷却する液相としては、例えば、油脂、シリコーン等の液体油、有機溶剤等が挙げられる。
【0062】
液滴を冷却する気相又は液相の温度は、ゲル化が進行するように、ゲル化剤の溶解温度より低い必要があり、ゲル化剤が寒天の場合、0〜40℃とすることが好ましく、2〜25℃とすることがより好ましく、5〜20℃とすることがさらに好ましい。
【0063】
液滴がゲル化して製造されるハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径は、外観及び生産性の観点から、10〜10000μmであることが好ましく、15〜5000μmであることがより好ましく、20〜3000μmであることがさらに好ましい。また、オリフィスを有する部材を用いた場合には、体積基準平均粒子径が500〜5000μmであることが好ましく、噴霧ノズルを用いた場合には、体積基準平均粒子径が15〜500μmであることが好ましい。なお、ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径は、粒子径が500μm以上であれば、写真観察によって、粒子径が500μm未満であれば、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折散乱法によってそれぞれ測定することができる。
【0064】
ハイドロゲル粒子の形状は、特に限定されるものではないが、曲面で構成された回転体の形状を有することが好ましい。ここで、「曲面で構成された回転体」とは、仮想軸及び連続的な曲線で構成された閉じた図を仮想軸で回転させたものをいい、三角錐や円柱等の平面を有する形状は含まない。ハイドロゲル粒子の形状は、美観の観点から、球状体であることがより好ましい。
【0065】
(複合粒子製造装置)
図1は、複合粒子製造装置10を示す。
【0066】
この複合粒子製造装置10は、水性成分液供給槽(水性成分液供給源)11及び油性成分液供給槽(油性成分液供給源)12と、水性成分液供給槽11から延びる水性成分液供給管13及び油性成分液供給槽12から延びる油性成分液供給管14が結合した分散機15と、分散機15から延びる分散液供給管16が結合した粒子形成機17と、を備えている。
【0067】
水性成分液供給槽11は、水性成分液を貯蔵すると共に水性成分液供給管13に介設されたポンプPによって水性成分液を分散機15に供給する。
【0068】
油性成分液供給槽12は、油性成分液を貯蔵すると共に油性成分液供給管14に介設されたポンプPによって油性成分液を分散機15に供給する。
【0069】
分散機15は、水性成分液供給槽11から水性成分液及び油性成分液供給槽12から油性成分液が連続的に供給されたときに、それらのうち一方が他方に分散した分散液を連続的に生成する。分散機15としては、例えば、ラインホモミキサーやマイルダーなどの回転型混合器やスタティックミキサーやマイクロミキサーなどの静置型混合器が挙げられる。これらのうち、均一な分散を行うことができる観点から、静置型混合器が好ましい。また、均一で微細な分散を行うことができる観点から、マイクロミキサーが特に好ましい。マイクロミキサーは、混合用流路の代表径(水力相当径)が10〜800μmであることが好ましく、100〜600μmであることがより好ましく、250〜500μmであることが特に好ましい。なお、混合用流路の代表径(水力相当径)とは、次式で定義される(化学工学便覧改定6版 丸善)。
【0070】
【数1】

【0071】
粒子形成機17は、分散機15から分散液が連続的に供給されたときに、それを引き続き液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させる。粒子形成機17としては、例えば、分散液供給管16に結合されて分散液を吐出するオリフィスを有する部材とオリフィスから吐出された液滴を冷却固化させる気体又は液体を収容すると共に製造される複合粒子を回収する回収槽とを備えたもの、分散液供給管16に結合されて分散液を噴霧する噴霧ノズルと噴霧ノズルから噴霧された液滴を冷却固化させる気体を収容すると共に製造される複合粒子を回収する回収槽とを備えたものを挙げることができる。前者の場合、例えば、孔径が0.1〜5.0mmで且つ孔長さが0.5〜50.0mmであるオリフィスを有する部材を用いたものを挙げることができる。後者の場合、例えば、分散液単独を噴霧する一流体ノズルや分散液を空気等と混合して噴霧する二流体ノズルを噴霧ノズルとするものを挙げることができる。
【0072】
そして、この複合粒子製造装置10を用い、水性成分液供給槽11に水性成分水溶液を仕込むと共に油性成分液供給槽12に油性成分液を仕込み、ポンプPを稼働させると、水性成分液供給管13を介して水性成分水溶液が、また、油性成分液供給管14を介して油性成分液がそれぞれ分散機15に連続的に供給されると共に、分散機15で水性成分水溶液と油性成分液とが混合されて前者に後者が分散した分散液が生成し、続いて、分散液供給管16を介してその分散液が粒子形成機17に連続的に供給され、粒子形成機17で分散液が液滴に形成された後に冷却固化されて粒子化され、それによってハイドロゲル粒子が製造される。
【0073】
以上の構成の複合粒子製造装置10によれば、分散液の生成からその粒子化までワンパスで連続的に滞りなく行われるので、バッチ方式に比較して、歩留まりが向上すると共に、サイクルタイム、設備投資、ランニングコスト及びメンテナンス負荷がそれぞれ低減され、結果として複合粒子の生産性の向上を図ることができる。
【0074】
また、分散液の生成に引き続いて分散液を粒子化させるので、分散液の分散安定性が低いために分散後にクリーミングしたり、分散相が合一する系であっても複合粒子を得ることができる。分散液の生成からハイドロゲル粒子化までの時間は、ハイドロゲル粒子の成分等にもよるが、0.001〜240秒が好ましく、0.01〜120秒がさらに好ましく、0.1〜60秒が特に好ましい。
【0075】
なお、上記の構成では、分散機15とオリフィスを有する部材又は噴霧ノズルとを分散液供給管16を介して連結したものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、分散機15とオリフィスを有する部材又は噴霧ノズルとを直結してユニット化したものであってもよい。この場合、分散液の生成直後(例えば1秒以内)に液滴の形成及び粒子化を行うことができるので、非常に分散安定性の低い分散液であってもハイドロゲル粒子を得ることができる。
【0076】
また、上記の構成では、水性成分液供給管13及び油性成分液供給管14をそれぞれ分散機15に結合した構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、水性成分液供給管と油性成分液供給管とが分散機の手前で結合され、それらの結合部分から延びる合流管が分散機に結合した構成であって、水性成分水溶液と油性成分液とが合流して分散機に供給されるものであってもよい。
【0077】
また、ハイドロゲル粒子の生産量に関して、分散機15については、複数台を並設することにより、粒子形成機17については、複数のオリフィスを有する部材、又は、複数の噴霧ノズルを用いることにより、広範囲に対応することができる。生産性の観点からは、ハイドロゲル粒子を1時間当たり1〜200kg生産することが好ましく、5〜100kg生産することがより好ましい。
【0078】
また、上記構成の複合粒子製造装置を用いれば、油性成分液に水性成分液が分散した分散液を生成し、それを粒子化した複合粒子を製造することもできる。
【実施例】
【0079】
(実施例1)
上記実施形態と同様の構成の複合粒子製造装置10であって、分散機15としてマイクロミキサー(株式会社山武社製 商品名:YM−1(混合用流路:400μm×400μm))、粒子形成機17として噴霧ノズル(株式会社いけうち社製 商品名:K006・・・液圧力を0.3MPaとしたときの噴量が0.06L/min)と容量500Lの回収槽とを備えたものをそれぞれ用いたものを使用し、以下のようにハイドロゲル粒子を作製した。
【0080】
水性成分液供給槽11に、寒天(伊那食品工業(株)社製 商品名:AX−200)、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)社製 商品名:EG05)、パラオキシ安息香酸メチル、及び、イオン交換水を2.23:0.74:0.45:96.58の質量比で仕込み、それらを混合して73℃に調温した水性成分水溶液を調製した(表1参照)。
【0081】
油性成分液供給槽12に、スクワラン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(日清製油(株)社製 商品名:エステモールN−01)、及び、ベヘニルアルコール(花王(株)社製 商品名:カルコール220−80)を23.7:45.5:30.8の質量比で仕込み、それらを混合して73℃に調温した油性成分液を調製した(表1参照)。
【0082】
【表1】

【0083】
続いて、ポンプPを稼働させることにより、分散機15としてのマイクロミキサーに、水性成分水溶液及び油性成分液を油性成分液/水性成分水溶液=42.7/57.3の質量比で供給した。なお、このとき、マイクロミキサー内での流体流量が7.5kg/hとなるようにした。マイクロミキサーから供給される分散液は、引き続いて粒子形成機17の予め16℃に調温された噴霧槽内の空気雰囲気に噴霧され、液滴に形成された後に冷却固化してハイドロゲル粒子に形成された。マイクロミキサーで分散液を形成してから噴霧してハイドロゲル粒子化までの時間は26秒であった。
【0084】
そして、得られたハイドロゲル粒子をイオン交換水でシャワーリングして、粒子スラリーを回収した。
【0085】
上記のハイドロゲル粒子の作製は、何等の支障を生じることなしに実施することができた。また、得られたハイドロゲル粒子からの油性成分の漏出や分離は見られなかった。
【0086】
分散機15と粒子形成機17との間でサンプリングした分散液について、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所(株)社製 商品名:LA−910)を用いて油性成分の体積基準平均粒子径を測定したところ40μmであった。また、回収した粒子スラリーについて、ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径を測定したところ152μmであった。
【0087】
(比較例1)
上記水性成分水溶液と上記油性成分液とを油性成分液/水性成分水溶液=42.7/57.3の質量比でホモミキサー(特殊機化(株)社製 商品名:TKホモミクサーMARKII2.5)に採り、8000r/minの回転数で1分間稼働させて分散液を調製した。そして、それを上記と同一構成の粒子形成機に繋がれたアンカー翼付2L貯槽に仕込み、ポンプを稼働させて分散液を粒子形成機に供給した。粒子形成機の手前で分散液をサンプリングし、顕微鏡観察したところ、油性成分の合一により粒子径が300〜1000μmの大油滴が生成しているのが観察されたため、粒子形成機への分散液の供給を停止して実験を中止した。なお、分散液の調製からサンプリングまでの時間は5分であった。
【0088】
(実施例2)
上記実施形態と同様の構成の複合粒子製造装置10であって、分散機15としてマイクロミキサー(株式会社山武社製 商品名:YM−1(混合用流路:400μm×400μm))を用い、分散液供給管16から先端に注射針(内径1.2mm×長さ38mm)が取り付けられた分岐管が分岐して回収槽内まで延び、注射針の先端が浸るように回収槽に15℃に調温されたメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)社製 商品名:KF−96A−20cs)が収容されたものを使用し、以下のようにハイドロゲル粒子を作製した。
【0089】
水性成分液供給槽11に、寒天(伊那食品工業(株)社製 商品名:AX−200)、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)社製 商品名:EG05)、パラオキシ安息香酸メチル、及び、イオン交換水を2.23:0.74:0.45:96.58の質量比で仕込み、それらを混合して73℃に調温した水性成分水溶液を調製した(表2参照)。
【0090】
油性成分液供給槽12に、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカミド(花王(株)社製 商品名:スフィンゴリピドE)、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(花王(株)社製 商品名:SPE−104NB)、及び、酸化亜鉛(脂肪酸処理)を56.8:14.2:28.4:0.3:0.3の質量比で仕込み、それらを混合して85℃に調温した油性成分液を調製した(表2参照)。
【0091】
【表2】

【0092】
続いて、ポンプPを稼働させることにより、分散機15としてのマイクロミキサーに、水性成分水溶液及び油性成分液を油性成分液/水性成分水溶液=17.6/82.4の質量比で供給した。なお、このとき、マイクロミキサー内での流体流量が6.3kg/hとなるようにした。マイクロミキサーから分岐管に供給された分散液は、引き続いて注射針から回収槽内のメチルポリシロキサンに吐出され、液滴に形成された後に冷却固化してハイドロゲル粒子に形成された。マイクロミキサーで分散液を形成してからハイドロゲル粒子化までの時間は40秒であった。
【0093】
そして、固液分離後、付着したメチルポリシロキサンをイオン交換水で洗浄してハイドロゲル粒子を回収した。
【0094】
上記のハイドロゲル粒子の作製は、何等の支障を生じることなしに実施することができた。また、得られたハイドロゲル粒子からの油性成分の漏出や分離は見られなかった。
【0095】
分岐管を流通する分散液をサンプリングし、粒子径の測定を試みたが、測定までの間に油性成分の一部が合一して分離したため、粒子径の測定を行うことはできなかった。サンプリングから粒子径の測定までの時間は5分であった。なお、分散液のサンプリング直後の顕微鏡観察から、油性成分の粒子径は概ね20μm程度であると判断した。また、回収したハイドロゲル粒子について、CCDカメラを用いた写真観察の結果、粒子径が1mmであった。
【0096】
また、分散液をサンプリングしてガラス瓶に封入し、それを80℃に調温した恒温槽内に静置する実験を行ったところ、恒温槽に入れてから数分後には、瓶底付近から分相が観察され、クリーミングしていることが確認された。さらに、恒温槽に入れてから30分後に、恒温槽からガラス瓶を取り出し、分散液を顕微鏡観察したところ、粒子径が1mm以上もある大油滴が多数観察された。
【0097】
以上の結果より、分散液の生成に引き続いてその粒子化を行えば、分散安定性の低い分散液であっても何等の支障を生じることなしにハイドロゲル粒子の形成を行うことができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、非架橋型ハイドロゲルの連続相に多数の分散相が分散したハイドロゲル粒子の製造方法及びそれに用いる複合粒子製造装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】複合粒子製造装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0100】
10 複合粒子製造装置
11 水性成分液供給槽(水性成分液供給源)
12 油性成分液供給槽(油性成分液供給源)
15 分散機
17 粒子形成機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非架橋型ハイドロゲルの連続相に油性成分の多数の分散相が分散したハイドロゲル粒子の製造方法であって、
非架橋型ハイドロゲルを構成するゾルの水性成分水溶液及び油性成分液の供給と該水性成分水溶液に該油性成分液を分散させることによる分散液の生成とを連続的に行い、その連続生成される分散液を引き続いて液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させるハイドロゲル粒子の製造方法。
【請求項2】
上記分散液の液滴を冷却固化させて体積基準平均粒子径10〜10000μmに粒子化させる請求項1に記載されたハイドロゲル粒子の製造方法。
【請求項3】
製造されるハイドロゲル粒子の分散相の体積基準平均粒子径が2〜100μmとなるように、上記水性成分水溶液に上記油性成分液を分散させる請求項2に記載されたハイドロゲル粒子の製造方法。
【請求項4】
熱可逆性ゲルの連続相に多数の分散相が分散して構成され、該連続相及び該分散相のうち一方が水性成分で且つ他方が油性成分でそれぞれ形成された複合粒子の製造装置であって、
水性成分液供給源と、
油性成分液供給源と、
上記水性成分液供給源から水性成分液が供給されると共に上記油性成分液供給源から油性成分液が供給されるように構成され、水性成分液及び油性成分液が連続的に供給されたときに、それらのうち一方が他方に分散した分散液を連続的に生成する分散機と、
上記分散機から生成した分散液が供給されるように構成され、分散液が連続的に供給されたときに、それを引き続き液滴に形成した後に冷却固化させて粒子化させる粒子形成機と、
を備えた複合粒子製造装置。
【請求項5】
上記分散機が静置型混合器で構成されている請求項4に記載された複合粒子製造装置。
【請求項6】
上記静置型混合器の分散機は、代表径が10〜800μmの混合用流路を有する請求項5に記載された複合粒子製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−152280(P2007−152280A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353637(P2005−353637)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】