説明

ハイブリッドタグシステム

【課題】遊技場などでの特殊景品の交換の際にRFID方式を利用した場合には、電磁波を利用してタグとリーダーとの間で通信を行っているため、信号の干渉が生じてしまい複数のRFタグを同時に読取ることが困難であった。
【解決手段】電源の再生にのみ利用されるRFを受信するためのRF受信部と、再生された電源を利用して赤外線信号を出力するための赤外線信号出力部と、を有するタグを提供する。また、複数のタグから同時出力される赤外線信号を受信する赤外線信号受信部を有するタグリーダーを提供する。タグリーダーからは複数のタグに対して同時に電源の再生のためのRFを供給し、RFの供給を受けたタグでは、タグリーダーに対して赤外線信号が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグ及びタグリーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店やパチスロ店等の遊技場においては、客に対して特殊景品が引き渡されてる。特殊景品は、遊技場と、特殊景品交換所と、客との三者の間で交換流通されるものである。近年においては、特殊景品にRFID(Radio Frequency Identification)を利用した方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。RFID方式では、リーダーから送信される電磁波を利用してRFタグに給電して起動させ、リーダーとRFタグとの間でその電磁波にて搬送される信号を利用して情報のやり取りが行われる。
【特許文献1】特開2005−87475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、RFID方式においては、電磁波を利用してタグとリーダーとの間で通信を行っているため、信号の干渉が生じやすいため、複数のRFタグを同時に読取ることが困難であった。
【0004】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、複数のタグを同時に読取ることを可能にしたタグ及びタグリーダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明においては、かかる課題を解決するために、電源の再生にのみ利用されるRFを受信するためのRF受信部と、再生された電源を利用して赤外線信号を出力するための赤外線信号出力部と、を有するタグを提供する。赤外線信号を利用することで他のタグから出力される信号との干渉を防止することができる。また、複数のタグから同時出力される赤外線信号を受信する赤外線信号受信部を有するタグリーダーを提供する。タグリーダーからは複数のタグに対して同時に電源の再生のためのRFを供給し、RFの供給を受けたタグでは、タグリーダーに対して赤外線信号が出力される。
【0006】
なお、タグリーダーの赤外線信号受信部は、前記タグを個別に格納し、異なるタグ同士から出力される赤外線信号の読み取りが相互に干渉しないように構成されている複数の格納棚を有してもよい。棚にタグを格納することで赤外線の受光位置を固定させて安定的に通信を行わせることができる。また、各棚には赤外線信号の読取の成功や不成功に応じて各棚ごとにその旨を示すインジケーターを有してもよい。また、タグは特殊景品用のタグであってもよく、タグリーダーは特殊景品読取り装置であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、RFを用いて給電するタグを利用する場合において、赤外線信号によって情報のやり取りを行うため、信号の干渉を生じさせることなく、複数のタグを同時に読取ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、各発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0009】
なお、以下の実施形態と請求項の関係は次の通りである。
実施形態1は、主に請求項1、2などについて説明する。
実施形態2は、主に請求項3、4、5、6などについて説明する。
【0010】
<<実施形態1>>
<実施形態1の概要>
本実施形態は、赤外線信号を利用して情報のやり取りを行うタグとタグリーダーに関する。
【0011】
<実施形態1の構成>
図1は、本実施形態におけるタグとタグリーダーのブロック図の一例を示す図である。図1に示すように、「タグ」10a〜cは、「RF受信部」11a〜c、「赤外線信号出力部」12a〜cを有する。また、「タグリーダー」13は、「赤外線信号受信部」14を有する。
【0012】
本件発明の構成要素である各部は、ハードウエア、ソフトウエア、ハードウエアとソフトウエアの両者、のいずれかによって構成される。例えば、これらを実現する一例として、コンピュータを利用する場合には、CPU、MPU、メモリ、バス、インターフェイス、周辺装置などから構成されるハードウエアと、これらのハードウエア上にて実行可能なソフトウエアを挙げることができる。具体的には、メモリ上に展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェイスを介して入力されるデータの加工、蓄積、出力などにより各部の機能が実現される(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0013】
<タグ>
まず、最初にタグ10a〜cについて説明する。
【0014】
「RF受信部」11a〜cは、電源の再生にのみ利用されるRFを受信するためのものである。従来のRFID方式においては、RFは二つの機能を実現するために使用されていた。すなわち、(1)リーダーからRF(電波・電磁波)を受信すると電磁誘導によってタグに電源が再生される機能と、(2)そのRFに変調させた信号によってタグとリーダーとの間で情報のやり取りを行っている機能である。本実施形態におけるタグは、機能(1)の電源の再生にのみRFを利用し、機能(2)の情報は行わないことが特徴である。RFを情報のやり取りに用いないことによって、RF干渉を防止するとともに、悪意の第三者による情報の盗聴を防止することができる。
【0015】
「赤外線信号出力部」12a〜cは、RF受信部にて受信したRFによって再生された電源を利用して赤外線信号を出力するためのものである。赤外線信号を利用することで、指向性を狭めることができるため、従来のRFタグを有していた干渉問題を容易に解消することができる。赤外線は赤色光よりも波長が長く、ミリ波長の電波よりも波長の短い電磁波全般を指している。なお、本実施形態においては、赤外線を使用するものとして説明を行うが、可視光によって通信を行ってもよい。
【0016】
<タグリーダー>
次に、タグリーダー13について説明する。
【0017】
タグリーダーは、タグに対してRFを出力して電源を供給させる機能を有している。
【0018】
「赤外線信号受信部」14は、前記複数のタグから同時出力される赤外線信号を受信する赤外線信号受信部を有する。「複数のタグから同時出力される」とは、例えばタグリーダー13から複数のタグに対して同時に電源を供給させ、これに呼応して複数のタグから赤外線信号が同時に出力されることが挙げられる。複数のタグから同時出力されることで、読取り命令を入力してから、複数のタグからの読取り結果が出力される間の処理時間を大幅に短縮することができる。
【0019】
<実施形態1の具体的構成例>
図2は、本実施形態におけるタグ200と、タグリーダー206の具体的な構成例を示す図である。タグ200は、RF受信部としての電源再生回路201と、赤外線信号出力部としての発光回路202と、制御用マイクロプロセッサ203と、ROM・RAM204と、受光回路205などから構成される。また、タグリーダー206は、赤外線信号受信部としての受光回路211や、電源供給回路207、制御用プロセッサ208、インタフェース回路209、ROM・RAM210、発光回路212などから構成される。
【0020】
以下、動作について説明する。RFがタグリーダー206の電源供給回路207からタグ200に対して出力される。タグ200の電源再生回路201においては、タグリーダー206からのRFを受信して電磁誘導によって電源を再生し、これをタグ内の発光回路202・制御用マイクロプロセッサ203・ROM・RAM204などの各部に対して電流を送る。その後、タグリーダーからタグに対して情報を送信させるためのトリガー信号を発光回路212から赤外線信号によって送信する。なお、タグにおいては、トリガー信号を利用せずに、例えば電源の再生がなされた場合には、タグリーダーからの要求を待つことなくタグのROM・RAM204に格納されている情報を赤外線信号によって送信させる処理を行ってもよい。タグの受光回路205は、受信したトリガー信号を制御用マイクロプロセッサ203に送る。そして、トリガー信号を受けたタグの制御用マイクロプロセッサ203によって、ROM・RAMに格納されているタグ固有の情報を発光回路202に送り、発光回路202ではこの情報を赤外線信号に変調して出力する。
【0021】
タグリーダー206では、受光回路211にてタグから出力される赤外線信号を受信し、復調して、制御用プロセッサ208に送る。制御用プロセッサ208では、タグから送信された情報をROM・RAM210に格納されるプログラムに従って処理する。例えば、インタフェース回路209を通じてコンピュータ装置(図示しない)に対してその情報を送信してもよい。なお、図2においては特に図示していないが、例えば一のタグリーダーは、複数のタグの情報を受信するべく、受光素子を複数備えているものである。また、図2においては、情報の流れはタグとタグリーダーとの間の双方向を示したが、タグからタグリーダーへの一方向の流れであってもよい。また、本例ではタグリーダーからタグへと送信される信号は、タグに情報を送信させるためのトリガー信号であるとして説明を行ったが、この他、タグが保持する情報の書き換え・追記などを行わせるための信号であってもよい。本実施形態のようなRFと赤外線を使用するハイブリッド型のタグを用いたシステムにおいては、通常のRFIDとは通信方式が異なるために、第三者によるタグの改ざんを防ぐことができる。
【0022】
<実施形態1の効果>
本実施形態のタグとタグリーダーは、RFを電源の再生にのみ利用し、情報のやり取りは赤外線信号を利用することによって、干渉を生じさせることなく複数のタグを同時に読取ることが可能となる。
【0023】
<<実施形態2>>
<実施形態2の概要>
本実施形態は、赤外線信号を受信する際に用いられる複数の格納棚を有している構成、及び本実施形態のタグとタグリーダーを利用した特殊景品読取りシステムに関する。
【0024】
<実施形態2の構成>
実施形態2は、実施形態1で説明したタグを利用するものであり、タグリーダーをさらに詳細に説明するものである。
【0025】
図3は、タグリーダーの一例を示す図である。タグリーダーの赤外線信号受信部31は、前記タグを個別に格納し、異なるタグ同士から出力される赤外線信号の読み取りが相互に干渉しないように構成されている複数の格納棚32を有する。図3では、格納棚は10×2の20個の棚を有している様子を示している。格納棚は、例えばタグの赤外線発光素子と、各棚に備えられた赤外線受光素子とが必然的に対向するように、所定の向き・方向から挿入されるタグのみを格納させるための挿入止め部材を備えていても良い。また、タグリーダーは、例えば複数の各棚に格納されている複数のタグに同時に電源の再生のためのRFを供給するRF供給部を有している。RF供給部は、各棚毎に配置されていてもよいし、あるいは、複数の棚に格納されるタグをカバーするように、各棚の中間層に配置されてもよい。また、タグリーダー全体で複数の格納棚全てをカバーする一のRF供給部を備えておいても良い。
【0026】
なお、タグリーダーは、一例として、各棚に格納されたタグからの赤外線信号の読取の成功又は/及び不成功に応じて各棚に関連付けてその旨を示すインジケーター33、33・・・を有する。具体的には、タグの読取りが成功したか否かに応じてLEDランプを点灯させたり、あるいは、読取ったタグの情報が不正な内容であったり、改ざんした形跡があった場合には、不成功として別色のLEDランプを点灯させたりする。動作処理としては、各棚にそれぞれ受光素子が備えられており、受光素子にて受光した信号を復調してタグリーダーの制御用プロセッサに送信する際に、その受光素子を識別する識別情報と関連付けて送信する。そして、これを受けた制御用プロセッサ又はさらにその情報を受信する後段のコンピュータ装置などにおいて、どの受光素子にて受光した信号が読取成功等したか否かについての情報を取得することができる。そして、その読取成功又は不成功に応じてLEDを点灯させる処理を行ったり、警報を鳴らすなどの処理を行う。
【0027】
また、タグリーダーは、複数のタグを格納棚に自動的に配置させるためのタグ投入口を有しても良く、タグ投入口に投入されたタグが順次格納棚に格納されるように構成されてもよい。例えば、タグリーダーの上部に設けられたタグ投入口から投入されたタグが、順次格納棚に格納されていき、格納済みの棚についてはそれ以降に投入されたタグが素通りをする、といった具合である。なお、他の方法によってタグを自動的に配置させてもよい。
【0028】
<処理の流れ>
図4は、以上で説明したタグとタグリーダーの処理の一例を示す図である。まず、タグリーダーの複数の格納棚に複数のタグを配置する(S41)。次に、例えばユーザからの読取りボタンの押下などの読取り入力動作に応じてタグリーダーから格納棚に格納されたタグに対して同時にRFを供給する(S42)。タグにおいては、RFを利用して電源再生を行い各回路を起動させる(S43)。そして、各タグに格納されている情報が一斉に赤外線信号にて発光素子から出力される(S44)。タグリーダーにおいては、発光された赤外線信号を受光素子にて受光して取得する(S45)。そして、取得した情報が正常は否か、あるいは、読取りに成功したか否かをチェックする(S46)。そして、チェック結果を各棚に表示する(S47)。
【0029】
<具体例>
以上で説明したタグとタグリーダーを用いて特殊景品読取りシステムを構成できる。すなわち、前記タグは、特殊景品用タグであり、前記タグリーダーは、特殊景品読取り装置である、特殊景品読取りシステムを提供することができる。
【0030】
図5は、特殊景品読取り装置における読取り画面の一例を示している。特殊景品タグには、特殊景品に応じた種別情報が格納されており、これを特殊景品読取り装置にて読取ることで、特殊景品の合計金額を即座に表示することができる。特に、本明細書にて説明したタグとタグリーダーを用いることで、多くの特殊景品の情報を同時に、かつ、迅速に読取ることができるため、非常に有用となるのである。パチンコ店などの遊技場においては、いわゆる風俗営業法の関係上、閉店時間は厳守される必要性がある。このため、特殊景品等の交換作業を見越して早めに営業終了時刻を設定している。従来の特殊景品の交換作業では、機械的にRFタグを搬送させ一つずつ読取り処理を行っていたために、閉店間際の景品交換作業などに時間を要してしまうため、早めに営業を終了する傾向が顕著であった。しかしながら、本明細書で説明したシステムを用いることで、特殊景品の交換を速やかに行うことが可能となるため、遊技場の営業時間を実質的に延長させるといった効果も生じる。実際に出願人が本明細書にて説明したタグとリーダーを用いて読取り処理を実行したところ、30枚のタグを読取る処理に要した時間はわずか0.2秒であった(機械的な搬送処理の場合には、30枚を読取るのに約15秒を要した)。
【0031】
図6は、特殊景品タグ60の外観の一例を示す図である。特殊景品タグは、例えば薄型のカードケース状になっており、内部にはRFを受けるためのループ状のアンテナを有している。また、外部には赤外線信号を出力するための発光素子が設けられている。
【0032】
なお、本明細書においては、主に複数のタグを同時に読取る点について説明したが、もちろん、タグに格納される情報を管理し、解析するなど各種の情報分析にタグの情報を利用してもよい。また、リーダーは、タグに対して赤外線信号によって情報を送信してタグの情報を書き換えるライターの機能を有しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態1を説明するための機能ブロック図
【図2】実施形態1を説明するための具体的なブロック図
【図3】タグリーダーの一例を示す図
【図4】処理の流れを説明する図
【図5】特殊景品読取り装置の表示画面の一例を示す図
【図6】特殊景品タグの一例を示す図
【符号の説明】
【0034】
10a〜c タグ
11a〜c RF受信部
12a〜c 赤外線信号出力部
13 タグリーダー
14 赤外線信号受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の再生にのみ利用されるRFを受信するためのRF受信部と、
再生された電源を利用して赤外線信号を出力するための赤外線信号出力部と、
を有するタグ。
【請求項2】
複数の請求項1に記載のタグから同時出力される赤外線信号を受信する赤外線信号受信部を有するタグリーダー。
【請求項3】
請求項2に記載のタグリーダーの赤外線信号受信部は、前記タグを個別に格納し、異なるタグ同士から出力される赤外線信号の読み取りが相互に干渉しないように構成されている複数の格納棚を有する請求項2に記載のタグリーダー。
【請求項4】
複数の格納棚に格納されている複数のタグに同時に電源の再生のためのRFを供給するRF供給部を有する請求項3に記載のタグリーダー。
【請求項5】
各棚に格納されたタグからの赤外線信号の読取の成功又は/及び不成功に応じて各棚に関連付けてその旨を示すインジケーターを有する請求項3又は4に記載のタグリーダー。
【請求項6】
請求項1に記載のタグと、請求項2から5のいずれか一に記載のタグリーダーと、を有する特殊景品読取りシステムであって、
請求項1に記載のタグは、特殊景品用タグであり、請求項2から5のいずれか一に記載のタグリーダーは、特殊景品読取り装置である、特殊景品読取りシステム。
【請求項7】
赤外線信号に代えて可視光信号を利用する請求項6に記載の特殊景品読取りシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−11674(P2009−11674A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178972(P2007−178972)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(301007836)株式会社メヴァエル (3)
【Fターム(参考)】