ハイブリッド基板、測定基板、データ基板、測定装置、および再生装置
【課題】測定データ管理者や測定データ利用者が、測定データを安全に保有し、安心して測定データを利用することのできるハイブリッド基板を提供する。
【解決手段】試料の測定が可能な測定基板2と、測定基板2にて試料を測定した結果を示すデータである測定データを記録可能な記録領域3aを備えたデータ基板3と、これら両基板を連結している連結領域4とを備え、測定基板2は、測定データに対応付けられた情報である第1管理情報を記録可能な管理情報領域2aを備えている。
【解決手段】試料の測定が可能な測定基板2と、測定基板2にて試料を測定した結果を示すデータである測定データを記録可能な記録領域3aを備えたデータ基板3と、これら両基板を連結している連結領域4とを備え、測定基板2は、測定データに対応付けられた情報である第1管理情報を記録可能な管理情報領域2aを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の測定、特に物理的または化学的測定を行うための、ハイブリッド基板、ハイブリッド基板を構成する測定基板、データ基板、測定装置、および再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、試料を測定するための技術が発展し、装置の開発が進んでいる。以下には、測定装置の一例として、生体試料の測定を行う装置について説明する。生体試料とは、例えばDNA、RNA、タンパク質などである。近年、これら生体試料の測定(アッセイ)を迅速に、効率良く、正確にそして低コストで実施するためにさまざまな測定装置が開発されている。
【0003】
このような生体試料を測定するための装置の中には、民生のデジタル情報機器を融合させたものがある。特許文献1には、このような民生のデジタル情報機器を融合させた測定装置に用いられる測定器具の一例として、バイオコンパクトディスクと呼ばれているディスクが開示されている。バイオコンパクトディスクでは、コンパクトディスク(CD)やデジタルビデオディスク(DVD)と同様な形状のディスク基板は、測定を行うアッセイ領域と、プロトコル情報を記録した情報記録領域とに分かれている。また、特許文献1には、バイオコンパクトディスクの情報記録領域に予め記録されているプロトコル情報を、読み取り装置によって読み取りながら、そのプロトコルを用いてアッセイ前からアッセイ後に至るプロセスを制御する装置が提案されている。
【0004】
特許文献1にて開示されたバイオコンパクトディスクの平面図を図16に示す。図16に示すように、バイオコンパクトディスク80は、円周方向に区分されたアッセイセクタ81およびソフトウェアセクタ82を含んでいる。また、バイオコンパクトディスク80は、直径が20〜200mm、厚さが0.5〜3mmである。このバイオコンパクトディスク80は、従来のCD−ROMまたはDVD読み取り装置に装填されて回転される。なお、このような読み取り装置に装填するため、バイオコンパクトディスク80には、中央穴83が設けられている。読み取り装置にて回転を制御することによって、アッセイセクタ81上の適切な部位に試薬および試料を送り出すことができる。回転速度や回転のタイミング制御などのプロトコルは、ソフトウェアセクタ82に予め記録されている。
【0005】
上記のように、従来、CDまたはDVDを利用することにより、コストの低減と回転することで遠心分離とが可能な装置や、バイオコンパクトディスクが提案されている。そのため、これらにより病院等の治療拠点や家庭において、正確に試料のデジタル測定を行うことができる。
【特許文献1】特表2000−515632公報(平成12年11月21日公表)
【特許文献2】特開2003−66003公報(平成15年3月5日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のバイオコンパクトディスク80では、アッセイされた結果である測定データを安全に使用したり、保管したりする方法が開示されていない。従って、例えば、病院等の治療拠点や家庭で測定した後に、測定データをカルテの一部として測定対象者である例えば患者が安心して保有したり、他の治療拠点に持参して診断や治療に生かしたりすることができない。
【0007】
なお、測定データを保有するには、上記従来のバイオコンパクトディスクにおける読み出し専用のソフトウェアセクタ82を、CD−RやCD−RWにおける記録媒体に置き換えて、記録可能な領域である情報セクタとする方法が、容易に考えられる。
【0008】
しかしながら、記録可能な領域(情報セクタ)に測定データを記録した場合、測定対象者や診断者は、バイオコンパクトディスクに搭載されたアッセイ素子(アッセイセクタ81)を一緒に保管、あるいは携帯することになる。すると、アッセイに使用した試薬や病原菌などによる汚染が生じ、二次的な疾病を引き起こす恐れがある。測定対象者本人や診断者がバイオコンパクトディスクを安易に廃棄してしまうと、環境汚染の恐れも生じるので、治療拠点等で保管されるのが好ましい。また、測定対象者本人ではなく治療拠点において保管する場合でも、測定データだけを必要に応じて取り出せるように保管すべきであり、アッセイ素子(アッセイセクタ81)は別途厳重に保管しなければ上記と同様な問題が生じる。つまり、従来のバイオコンパクトディスクに測定データを記録するだけでは、測定対象者や診断者などへの二次的な感染や、環境汚染等の問題が生じる。
【0009】
また、従来のバイオコンパクトディスクに情報セクタを設けて測定データを記録する場合には、さらに、第3者によって測定データが改竄されたり、あるいは架空のデータを作成されて、情報セクタに記録される危険性がある。そのため、セキュリティー上、大きな問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、測定対象者や診断者が測定データを安全に保有し、データ利用者が安心して利用することのできるハイブリッド基板、測定基板、データ基板、測定装置、および再生装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のハイブリッド基板は、試料の測定が可能な測定基板と、当該測定基板にて試料を測定した結果を示すデータである測定データを記録可能な記録領域を備えたデータ基板と、これら両基板を連結している連結領域とを備え、
前記測定基板は、前記測定データに対応付けられた情報である第1管理情報を記録可能な管理情報領域を備えていることを特徴としている。
【0012】
上記構成によると、測定基板での試料の測定データと対応付けられた第1管理情報が、測定基板の管理情報領域に記録される。また、測定データは、データ基板の記録領域に記録することができる。また、測定基板とデータ基板とが連結領域により連結されているので、測定基板とデータ基板とを連結領域にて切り離すことができる。
【0013】
測定基板の管理情報領域に記録された第1管理情報は、データ基板の記録領域に記録された測定データと対応付けられているため、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0014】
ここで、測定データを記録したデータ基板(以下、真データ基板)の他に、第3者によって架空のデータや改竄データである偽測定データを記録したデータ基板(以下、偽データ基板)が作製された場合を考える。このような場合、個人のプライバシー情報を侵害し、セキュリティー上、深刻な問題を引き起こすことがある。しかしながら、上記構成により、測定基板の1管理情報は、データ基板の測定データと対応付けられているため、照合が可能なようになっている。例えば、測定データや測定日時・測定者などの情報のうち一部分が、上記第1管理情報であってもよい。もちろん、第1管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。いずれにせよ、第1管理情報が測定データと対応付けられていると、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽データ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、測定データと第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、偽データ基板に記録された偽の測定データがあったとしても、検査機関などに保管された測定基板の第1管理情報と照合することで、測定データが改竄されているかがわかる。つまり、疑わしいデータ基板が存在した場合に、例えば保管庫に保管されている測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0015】
なお、測定データには、試料の測定結果を示すデータだけに限らず、測定日時や測定対象者(被測定者)などの情報も含まれるものとする。つまり、これら測定に関する全ての情報(測定データ)のいずれかが改竄や捏造されても、改竄や捏造を判定することができる。
【0016】
また、測定基板が試薬や病原菌などが残った基板である場合には、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管される。データ基板を測定基板から切り離すことができるので、測定対象者や診断者等のデータ管理者は、二次感染や汚染の心配をすることなく、保管を要するデータ基板のみを、安全に保管し、利用することができる。なお、上記の切り離しは、連結領域が設けられているので容易となる。切り離しには、例えば適当な分断装置を使用してもよい。
【0017】
なお、測定データが暗号化されて記録されてもかまわない。例えば、測定データが暗号化されて記録領域に記録され、この測定データを暗号化した鍵と複合化するための鍵を第1管理情報として管理情報領域に記録されるようになっていてもよい。このようになっていると、安全に保管された測定基板から復号化の鍵を読み出さなければ測定データを復号できないし、測定データが改竄されても、暗号化の鍵は測定基板と共に保管されているため暗号化を行うことができない。また、偽の暗号化の鍵で暗号化してデータ基板に記録しても、測定基板の復号化の鍵では復号できないので、測定データが改竄されていることが発見できる。このように、測定データの改竄や捏造を発見することができるので、測定データを利用する際に、安全に安心して利用することができる。
【0018】
本発明に係る測定装置は、上記課題を解決するために、上記ハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成する第1管理情報生成手段と、上記第1管理情報を、上記測定基板の管理情報領域に記録する記録手段と、を備えることを特徴としている。
【0019】
上記構成によると、測定手段によってハイブリッド基板の測定基板において試料の測定を行い、第1管理情報生成手段により、測定データに対応付けられた第1管理情報を生成することができる。そして、記録手段により第1管理情報を測定基板の管理情報領域に記録することができる。第1管理情報は測定データに対応付けられて生成されるので、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。第1管理情報生成手段は、例えば、測定データそのものや測定日時・測定対象者(被測定者)などの情報のうち一部分を、上記第1管理情報として生成してもよい。もちろん、第1管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。いずれにせよ、第1管理情報は測定データと対応付けられて生成されるので、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽データ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、測定データと第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、疑わしいデータ基板が存在した場合に、測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0020】
本発明のハイブリッド基板では、上記構成に加え、上記データ基板の記録領域は、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である第2管理情報を記録可能であってもよい。
【0021】
上記構成によると、測定データおよび第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である第2管理情報を、データ基板の記録領域に記録することができる。
【0022】
データ基板に記録された第2管理情報が、測定基板に記録された第1管理情報と対応付けられていると、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合を、第1管理情報と第2管理情報と比較することで行うことができる。これは、次のような場合好ましく用いることができる。すなわち、測定データが読み出すのに重いものであり、第2管理情報の情報量が軽いものであると、第1管理情報と測定データとを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合することで、照合を早く行うことができる。なお、第2管理情報が第1管理情報と対応づけられているということに、第2管理情報が第1管理情報と同じ情報であるということが含まれているものとする。
【0023】
また、第2管理情報が、測定データと対応付けられていると、初めに測定データと第2管理情報とを照合することで、データ基板において測定データが改竄されたものであるかを判断することができる。さらに、測定データと第1管理情報とを照合することができるので、データ基板自体が改竄されたものであるかを判断することができる。以上ように、2重に照合することができる。そのため、より安全で安心なハイブリッド基板を使用することができる。ここで、この場合、さらに第2管理情報が第1管理情報と対応づけられていると、測定データと第1管理情報とを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合してもよい。第2管理情報が第1管理情報と対応づけられているということには、第2管理情報が第1管理情報と同じ情報であるということが含まれているものとする。第2管理情報は、例えば、測定データや測定日時、測定対象者(非測定者)、測定者などの情報のうち一部分であってもよい。もちろん、第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。また、第2管理情報が記録領域に暗号化されて記録されてもかまわない。
【0024】
本発明の測定装置は、上記ハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成し、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けて第2管理情報を生成する管理情報生成手段と、第1管理情報を上記測定基板の管理情報領域に、上記第2管理情報をデータ基板の記録領域に記録する記録手段と、を備えてもよい。
【0025】
上記構成によると、測定手段によってハイブリッド基板の測定基板において試料の測定を行い、管理情報生成手段により、測定データに対応付けられた第1管理情報を生成し、測定データおよび第1管理情報の少なくとも一方に対応付けて第2管理情報を生成することができる。そして、記録手段により、第1管理情報を測定基板の管理情報領域に、第2管理情報をデータ基板の記録領域に記録することができる。第1管理情報は測定データに対応付けられて生成されおり、また、第2管理情報は、測定データおよび第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられているので、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0026】
管理情報生成手段は、上記第1管理情報を、例えば、測定データそのものや測定日時・測定対象者(被測定者)などの情報のうち一部分を、上記第1管理情報あるいは、第2管理情報として、生成してもよい。もちろん、第1管理情報および第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。第1管理情報と第2管理情報とを同じ情報として生成してもよいし、対応付けがとれるものであれば異ならせて生成してもよい。
【0027】
データ基板に記録された第2管理情報が、測定基板に記録された第1管理情報と対応付けられていると、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合を、第1管理情報と第2管理情報と比較することで行うことができる。
【0028】
また、第2管理情報が、測定データと対応付けられていると、初めに、測定データと第2管理情報とを照合することで、データ基板において測定データが改竄されたものであるかを判断することができる。さらに、測定データと第1管理情報とを照合することができるので、データ基板自体が改竄されたものであるかを判断することができる。このように、2重に照合することができる。そのため、より安全で安心なハイブリッド基板を使用することができる。ここで、この場合、さらに第2管理情報が第1管理情報と対応づけられていると、測定データと第1管理情報とを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合してもよい。
【0029】
よって、上記構成により、第1管理情報を測定基板に第2管理情報をデータ基板に記録することで、疑わしいデータ基板が存在した場合に、測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。
【0030】
また、本発明のハイブリッド基板では、上記構成に加え、上記第1管理情報および第2管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データを含んでもよい。
【0031】
上記構成によれば、二次データは測定データを所定の情報量に減じたものであり測定データの内容に依存しているため、簡単に第1管理情報と測定データ、また、第2管理情報と測定データ、また第1管理情報と第2管理情報との照合をとることができる。この二次データは、第1管理情報および第2管理情報として、測定基板とデータ基板とにそれぞれ記録される。なお、第1管理情報および第2管理情報は同じ情報でもかまわない。仮に正しい真の測定データを記録した真データ基板の他に、第3者によって架空の測定データや、改竄データを記録した偽データ基板が作製されたことを考える。架空データや改竄データから二次データを得ると、それは偽の二次データであり、真の二次データと異なる。なぜなら、二次データは測定データに依存するからである。
【0032】
そのため、データ基板において、記録されている二次データと記録されている測定データを所定の情報量に減じて二次データとして生成したものとを比較することで、偽の測定データか否かを確認することができる。さらに、保管されている測定基板の二次データを読み出し、測定対象者である患者やデータ管理者が使用するデータ基板の二次データとが一致しているか否かを比較すると、架空データや改竄データを発見することができる。
【0033】
なお、二次データの代わりに、測定基板とデータ基板とを照合する照合コードを使用する方法もある。しかし、第3者がこのコードを決める規則を知ってしまえば、照合コードを作成して偽データ基板を作成することができる。ところが、測定データに依存する二次データが記録されれば、測定データが改竄などによって変化すると、二次データも変わってしまうため、第3者によるデータの改竄や架空データの捏造は困難となる。
【0034】
また、本発明の測定装置では、上記構成に加え、上記管理情報生成手段は、上記第1管理情報と第2管理情報とを、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データとして生成してもよい。
【0035】
上記構成によると、管理情報生成手段によって、上記第1管理情報と第2管理情報を、測定データを所定の情報量に減じた二次データとして得ることができる。この二次データは測定データの内容に依存しているため、測定データと簡単に照合をとることのできるデータを、第1管理情報および第2管理情報として、測定基板およびデータ基板に書き込むことができる。よって、上記構成により二次データが書き込まれたハイブリッド基板では、簡単に第1管理情報(二次データ)と測定データ、また、第2管理情報(二次データ)と測定データ、また第1管理情報(二次データ)と第2管理情報(二次データ)との照合をとることができる。なお、管理情報生成手段は、第1管理情報および第2管理情報を同じ二次データとして生成してもよい。また、管理情報生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを、上記二次データとして生成してもよい。
【0036】
データ基板に記録した二次データと、データ基板に記録した測定データを所定の情報量に減じて二次データとして生成したものとを比較することで、偽の測定データか否かを確認することができる。さらに、保管されている測定基板の二次データを読み出し、データ基板の二次データとが一致しているか否かを比較することでも、架空データや改竄データを発見することができる。
【0037】
また、本発明のハイブリッド基板では、上記構成に加え、上記第1管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じて二次データとしたものを暗号化するための秘密鍵の情報を含んでおり、上記第2管理情報は、上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報と、この認証情報を復号化するための鍵であり前記公開鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報と含んでいてもよい。
【0038】
上記構成によると、データ基板には、暗号化された二次データとその暗号化した二次データを復号するための公開鍵とが記録される。そのため、測定対象者である患者やデータ管理者が保有するデータ基板にて二次データを復号できる。一方で、秘密鍵は測定基板に記録され厳重に保管されているため、秘密鍵は入手困難となり、二次データを暗号化することはできない。このため、第3者が架空データや改竄データをデータ基板に記録しようとしても、二次データを暗号化できないため、偽のデータ基板であることが露呈してしまう。よって、偽のデータ基板を作成することは困難である。したがって、架空データや改竄データが記録されるのを未然に防止することができる。また、公開鍵と秘密鍵とは非対象であるため、公開鍵から秘密鍵の情報が漏洩することはない。
【0039】
また、データ基板に記録された暗号化された二次データを復号し、この復号された二次データと、データ基板に記録された測定データを所定の情報量に減じて二次データとしたものとを比較して、同じであることが確認できると、データ基板に記録された測定データが本物であることを認証することができる。確認できなければ、測定データは、改竄や捏造されたものであり、偽の測定データであるということができる。このように、測定データにおける、改竄を発見することができる。
【0040】
なお、本明細者中では暗号化する鍵を測定基板に記録して保管するため、この鍵を秘密鍵と呼ぶ。また、復号化する鍵はデータ基板に記録して公開するため、この鍵を公開鍵と呼ぶ。しかし、一般的な非対称暗号方式(公開鍵暗号方式)においてはこの逆であり、暗号化する鍵を公開鍵と呼び、復号化する鍵を秘密鍵と呼んでいる。
【0041】
また、本発明の測定装置では、上記構成に加えて、上記管理情報生成手段は、上記測定データを所定の情報量に減じて二次データを生成する二次データ生成手段と、上記二次データを暗号化するための秘密鍵の情報を上記第1管理情報として生成する秘密鍵生成手段と、上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報を上記第2管理情報の一部として生成する暗号化手段と、さらに、当該認証情報を復号化するための鍵であり前記秘密鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報を上記第2管理情報の他の一部として生成する公開鍵生成手段と、を備えていてもよい。
【0042】
上記構成によると、二次データ生成手段により、測定データを所定の情報量に減じて二次データを生成することができる。そして、秘密鍵生成手段により二次データを暗号化するための秘密鍵の情報が生成することができ、公開鍵生成手段により秘密鍵とは非対称鍵であり認証情報を復号化するための公開鍵を生成することができる。そして、暗号化手段により二次データを秘密鍵にて暗号化した認証情報と、公開鍵の情報とを、第2管理情報として、データ基板に書き込むことができる。そのため、データ基板にて二次データを復号できる。また、上記秘密鍵の情報を第1管理情報として測定基板に書き込むことができる。秘密鍵は測定基板に記録され厳重に保管されているため、秘密鍵は入手困難となり、二次データを暗号化することはできない。このため、第3者が架空データや改竄データをデータ基板に記録しようとしても、二次データを暗号化できないため、偽のデータ基板であることが露呈してしまう。よって、偽のデータ基板を作成することは困難である。したがって、架空データや改竄データが記録されるのを未然に防止することができる。また、公開鍵と秘密鍵とは非対象であるため、公開鍵から秘密鍵の情報が漏洩することはない。
【0043】
また、本発明の測定装置では、上記構成に加えて、上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを上記二次データとして生成してもよい。
【0044】
ここで、ハッシュ関数による演算では、一つのデータに対してハッシュ値を事実上ひとつしか得られないような性質を持つ。したがって、第3者が測定データを改竄したり捏造したりすると、ハッシュ値が変化してしまう。またハッシュ関数による演算では、ハッシュ値から元のデータを求めることができない性質を持つ。そのため、測定データからハッシュ関数を予測することも困難である。つまり、上記構成によると、第3者によってハッシュ値の改竄や作成も困難となるため、測定データが本物であるかどうかの認証がより確実に行うことが可能となる。
【0045】
本発明の再生装置は、上記ハイブリッド基板からデータを読み取る再生装置であって、上記認証情報と、上記公開鍵と、上記測定データとを再生する再生手段と、上記公開鍵を用いて上記認証情報を復号化する復号化手段と、上記データ基板に記録された測定データを所定の情報量に減じて二次データとする二次データ生成手段と、を備えていてもよい。
【0046】
上記構成によると、再生手段により、データ基板の、認証情報と、上記公開鍵と、上記測定データとを再生することができる。再生された公開鍵により認証情報を復号化することで、複合化された二次データができる。一方で、二次データ生成手段により、データ基板に記録された測定データが所定の情報量に減じられて二次データとして作成される。ここで、公開鍵により複合化された二次データと、二次データ生成手段により作成された二次データとを比較することで、両基板の照合を取ることができ、測定データが本物であるかを確認することができる。
【0047】
なお、例えば、上記再生装置が上記測定装置の構成を持ち合わせていてもよいし、上記測定装置の構成と上記再生装置の構成を持ち合わせた測定再生装置があってもよい。
【0048】
また、本発明の再生装置では、上記構成に加えて、上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを上記二次データとして生成してもよい。
【0049】
上記構成によると、ハッシュ関数による演算は上記のような性質をもつので、第3者によってハッシュ値の改竄や作成も困難となるため、改竄や作成がされにくい、第1管理情報および第2管理情報を生成することができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明のハイブリッド基板は、以上のように、試料の測定が可能な測定基板と、当該測定基板にて試料を測定した結果を示すデータである測定データが記録可能な記録領域を備えたデータ基板と、これら両基板を連結している連結領域とを備え、
前記測定基板は、前記測定データに対応付けられた情報である第1管理情報が記録可能な管理情報領域を備えている。
【0051】
上記構成によると、測定基板での試料の測定の結果ある測定データと対応付けられた第1管理情報が、測定基板の管理情報領域に記録される。また、測定データは、データ基板の記録領域に記録することができる。また、測定基板とデータ基板とが連結領域により連結されているので、測定基板とデータ基板とを連結領域にて切り離すことができる。
【0052】
測定基板の管理情報領域に記録された第1管理情報は、データ基板の記録領域に記録された測定データと対応付けられているため、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0053】
第1管理情報が測定データと対応付けられているので、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽データ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、測定データと第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、偽データ基板に記録された偽の測定データがあったとしても、検査機関などに保管された測定基板の第1管理情報と照合することで、測定データが改竄されているかがわかる。つまり、疑わしいデータ基板が存在した場合に、例えば保管庫に保管されている測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0054】
なお、測定データには、試料の測定結果を示すデータだけに限らず、測定日時や測定対象者(被測定者)などの情報も含まれるものとする。つまり、これら測定に関する全ての情報(測定データ)のいずれかが改竄や捏造されても、改竄や捏造を判定することができる。
【0055】
また、測定基板が試薬や病原菌などが残った基板である場合には、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管される。データ基板を測定基板から切り離すことができるので、測定対象者や診断者等のデータ管理者は、二次感染や汚染の心配をすることなく、保管を要するデータ基板のみを、安全に保管し、利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜図8に基づいて以下に説明する。
【0057】
(ハイブリッド基板の構成)
本発明に係るハイブリッド基板の形状は、例えば、プレート形状、ディスク形状、円筒形状など、どのような形状であってもよいが、本実施形態ではディスク形状のハイブリッド基板(以下、測定ディスクと略す)を例に挙げて説明する。測定ディスクは、回転することによって、ディスク上の複数の測定セルや測定流路などを高速で検索しながら測定することが可能なため、今後の普及が期待される基板である。
【0058】
図1は本発明の実施の形態における測定ディスク1を示す平面図である。図1に示すように、測定ディスク1は、測定基板2、データ基板3および連結領域4を備えている。連結領域4は細い幅の円環状に形成されており、連結領域4に対して径方向の外側領域は、測定基板2となり、内側領域はデータ基板3となっている。
【0059】
連結領域4は、連結部4aと切欠き部4bとからなる。連結部4aは、測定基板2とデータ基板3とを連結するものであり、連結領域4の円周方向において複数個が分散して形成されている。もちろん、連結部4aの個数は限定されない。これら連結部4aと隣の連結部4aとの間は、切欠き部4b、即ち空間となっている。したがって、測定ディスク1は、切欠き部4bによって測定基板2とデータ基板3とに分離され、連結部4aによって連結されている。連結領域4の構造は、上記したものに限らず、例えば、切り欠き部4bが無く、連結部4aを円周方向に連続して形成し、連結部4aの厚みを測定基板2やデータ基板3の基板厚みよりも薄くすることで、測定基板2とデータ基板3とを切り離しやすくした構造としてもよい。ここで、測定基板2が試薬や病原菌などが残った基板である場合には、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管される。データ基板3を測定基板2から切り離すことができるので、測定対象者や診断者等のデータ管理者は、二次感染や汚染の心配をすることなく、保管を要するデータ基板のみを、安全に保管し、利用することができる。なお、上記の切り離しは、連結領域4が設けられているので容易となる。切り離しには、例えば適当な分断装置を使用してもよい。
【0060】
データ基板3には、データを記録可能な記録領域3aが設けられており、測定データや後述するように測定データおよび第1管理情報に対応付けられた情報である第2管理情報等のデータを記録できるようになっている。なお、記録領域3aにおいて、測定データを記録する領域と、第2管理情報を記録する領域が分けて設けられていても構わない。記録領域3aは、通常の光記媒体(例えば多層膜構造もの)が成膜され、その他にトラッキング用のグルーブや番地情報などが例えば凹凸形状にて記録されている。記録媒体の材料としては、CD−RやDVD−Rなどに使われている色素材料や、CD−RWやDVD−RWなどに使われている相変化材料などが使用可能である。トラッキングのための凹凸形状として、グルーブ形状を使うことができる。また。この他に例えばウォブルピット形状を使用することができる。また、番地情報など消去不可能な情報は、凹凸のピット形状で形成したり、あるいは前記凹凸のグルーブをウォブルさせて形成する。たとえばCDやDVDは前者の例であり、CD−RやDVD−Rは後者の例である。
【0061】
測定基板2は、管理情報領域2aと試料の測定が可能な測定領域2bとを備えている。管理情報領域2aは、後述するように測定データに対応付けられた情報である第1管理情報が記録できるようになっている。管理情報領域2aは、データ基板の記録領域3aと同様に、通常の光記録媒体(例えば多層膜構造もの)が成膜されている。記録媒体の材料も、CD−RやDVD−Rなどに使われている色素材料や、CD−RWやDVD−RWなどに使われている相変化材料などを使用可能である。同様に、トラッキング用の凹凸形状はグルーブ形状であるが、このほかにウォブルピット形状を使用することができる。
【0062】
測定領域2bには試料の測定を行うための測定用セル(測定チップ5x)が設けられ、各種測定が行われる。本実施形態では、測定領域2bには、測定用セルが設けられているものとして説明するが、測定領域2bでは、試料の測定が可能になっていれば他のものが設けられていてもよい。測定用セルの種類には、例えば電気泳動やクロマトグラフィーを行うための流路が設けられたものや、DNAハイブリダイゼーションを行うマイクロセルなど色々なものがあるが、限定はされない。本実施形態では、測定用セルとして、マイクロキャピラリと呼ばれる泳動路5eを流路として用いた電気泳動チップである測定チップ5xを、測定領域2bに設けた例を挙げて説明する。また、本実施形態では、測定領域2bに、測定チップ5xが複数設けられているが、設けられる個数についての限定は無い。マイクロキャピラリを用いた電気泳動チップを使用した電気泳動については後述する。
【0063】
電気泳動チップでは、例えば蛍光分子が結合したDNAやたんぱく質が電気泳動され、励起光を照射することによって泳動の速度を検出し、その質量や電荷を分析することができる。測定基板2で測定された結果を示す測定データは、次に説明するように、第2管理情報と共に、データ基板3の記録領域3aに記録される。
【0064】
次に、第1管理情報と第2管理情報とについて説明する。初めに第1管理情報について説明する。第1管理情報は、測定基板2での試料の測定の結果ある測定データと対応付けられた情報であり、測定基板2の管理情報領域2aに記録される。測定基板2の管理情報領域2aに記録された第1管理情報は、データ基板3の記録領域3aに記録された測定データと対応付けられているため、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0065】
ここで、測定データを記録したデータ基板(以下、真データ基板)が、第3者によって架空のデータや改竄データである偽測定データを記録したデータ基板(以下、偽データ基板)に改竄された場合を考える。このような場合、個人のプライバシー情報を侵害し、セキュリティー上、深刻な問題を引き起こすことがある。しかしながら、測定基板2の1管理情報は、データ基板3の測定データと対応付けられているため、照合が可能なようになっている。例えば、測定データや測定日時、測定対象者(非測定者)、測定者などの情報のうち一部分が、上記第1管理情報であってもよい。もちろん、第1管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。いずれにせよ、第1管理情報が測定データと対応付けられているので、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽のデータ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、偽データ基板に記録された偽の測定データがあったとしても、検査機関などに保管された測定基板2の第1管理情報と照合することで、改竄されていることが容易に判定できる。つまり、疑わしいデータ基板が存在した場合に、例えば保管庫に保管されている測定基板2と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽のデータ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0066】
なお、測定データには、試料の測定結果を示すデータだけに限らず、測定日時や測定対象者(被測定者)などの情報も含まれるものとする。つまり、これら測定に関する全ての情報(測定データ)のいずれかが改竄や捏造されても、改竄や捏造を判定することができる。
【0067】
また、本実施形態では、第2管理情報がデータ基板3に記録される。第2管理情報は、測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である。第2管理情報は、例えば、測定データや測定日時、測定対象者(非測定者)、測定者などの情報のうち一部分であってもよい。もちろん、第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。
【0068】
データ基板3に記録された第2管理情報が、測定基板2に記録された第1管理情報と対応付けられていると、測定基板2とデータ基板3とが連結領域4にて切り離された後、両基板の照合を、第1管理情報と第2管理情報と比較することで行うことができる。これは、次のような場合好ましく用いることができる。すなわち、測定データが読み出すのに重いものであり、第2管理情報の情報量が軽いものであると、第1管理情報と測定データとを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合することで、照合を早く行うことができる。第2管理情報が第1管理情報と対応づけられているということに、第2管理情報が第1管理情報と同じ情報であるということが含まれているものとする。
【0069】
また、第2管理情報が、測定データと対応付けられていると、初めに、測定データと第2管理情報とを照合することで、データ基板3において測定データが改竄されたものであるかを判断することができる。さらに、測定データと第1管理情報とを照合することができるので、データ基板3自体が改竄されたものであるかを判断することができる。以上ように、2重に照合することができる。そのため、より安全で安心なハイブリッド基板を使用することができる。ここで、この場合、さらに第2管理情報が第1管理情報と対応づけられていると、測定データと第1管理情報とを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合してもよい。
【0070】
なお、本実施形態では、第1管理情報と第2管理情報とは、同一の情報(管理情報)とするが、異なる情報であっても対応付けられた情報であればよい。
【0071】
上記したように、本実施形態では、測定ディスク1において、第1管理情報が測定基板2に、第2管理情報がデータ基板3に記録されるものとして説明を行っている。しかし、測定ディスク1において、測定データと対応付けられた第1管理情報が測定基板2に記録されているだけで、第2管理情報がデータ基板3に記録されていなくてもかまわない。これは、第1管理情報が測定データと対応付けられていれば、測定基板2の第1管理情報と、データ基板3の測定データとを照合することで、測定基板2とデータ基板3とを照合することができるからである。なお、本実施の形態のように、測定ディスク1において、測定データと対応付けられた第1管理情報が測定基板2に記録されているのに加え、さらに第2管理情報がデータ基板3に記録されていれば、上記のように二重に照合することができるので、より確実に測定データの安全性を確認することができる。
【0072】
また、測定データが暗号化されて記録領域3aに記録されてもかまわない。例えば、測定データが暗号化されて記録領域3aに記録され、この測定データを暗号化した鍵と複合化するための鍵を第1管理情報として記録領域3aに記録されるようになっていてもよい。このようになっていると、安全に保管された測定基板2から復号化の鍵を読み出さなければ測定データを復号できないし、測定データが改竄されても、暗号化の鍵は測定基板2と共に保管されているため暗号化を行うことができない。また、偽の暗号化の鍵で暗号化してデータ基板に記録しても、測定基板2の復号化の鍵では復号できないので、測定データが改竄されていることが発見できる。このように、測定データの改竄や捏造を発見することができるので、測定データを利用する際に、安全に安心して利用することができる。
【0073】
また、本実施形態の測定ディスク1は、上記構成加えて、測定基板2に、測定ディスク毎の固有コード93が描画されていてもよい。固有コード93を目視できるように、例えばアルファベットと数字の組み合わせを、インクによってプリントしてもよい。本実施形態では、図1に示すように、固有コード93として、「FC34P086」を、測定ディスク1に、インクによってプリントしてある。あるいは、固有コード93を、測定ディスク1のディスク基板の成型時に、エンボス加工をすることによって作成してもよい。
【0074】
測定領域2bの測定チップ5xにおいて試料の測定が終了したら、固有コードである「FC34P086」を、たとえば測定者が目視で確認し、測定装置13の入力部(例えばキーボード)から「FC34P086」を入力する。入力された固有コードが測定データと共にデータ基板3の記録領域3aに記録される。
【0075】
測定基板2とデータ基板3とが切り離された後、一方のデータ基板3に記録された固有コードを読み出せば、他方の測定基板2に描画された固有コード93と照合することができる。このように、固有コードを使用すると、測定基板2とデータ基板3との照合を容易に行うことができる。
【0076】
さらに固有コード93の代わりに、以下に示すような識別子を使用してもよい。この識別子は、図1に示すように、連結領域4を挟んだ測定基板2とデータ基板3とに跨った領域4cに、目視によって照合可能なようにプリントされる。この領域4cを拡大した図を図3に示す。例として、図3では、上記固有コード「FC34P086」の代わりに、識別子として、バーコード4dが用いられている。バーコードを用いる理由は、バーコードを真ん中で切断した後に、切断されたバー同士を合わせることで、目視で確認しやすい識別子だからである。もちろん、識別子は、バーコードに限定されない。
【0077】
まず、連結部4aによって、測定基板2とデータ基板3とが連結されている状態でバーコード4dを測定基板2とデータ基板3とに跨るように、プリントする。図3に示すように、バーコードを形成するそれぞれのバーが、バーの長手方向にて、測定基板2とデータ基板3とを跨ぐようにする。試料の測定が終了し、測定データがデータ基板3に記録された後に、この測定基板2とデータ基板3とを切り離すと、バーコード4dは、連結部4aと切欠き部4bとによってほぼ真ん中で切断される。測定基板2とデータ基板3とを切り離した後、測定基板2とデータ基板3とを照合したい場合は、互いに元のようにバーコードが合わせ、目視によって同一のバーコードであるかどうかを確認することで、照合することができる。このほか、識別子としてアルファベットや数字を、測定基板2とデータ基板3とに跨って記録してもよい。また、これに限らず固有の模様を用いても良い。跨って記録するには、例えばインクジェットなどによってプリントを行えばよい。識別子をプリントすることにより、測定ディスク1の1枚1枚に固有コードを安価で高速に描画することができる。
【0078】
なお、測定ディスク1の全体の直径(測定基板2を含む直径)を、コンパクトディスクやデジタルビデオディスクの規格に準拠したサイズである12cmとし、データ基板3の直径(測定基板2から切り離された後の直径)を同規格の小径サイズである8cmとしておけば、測定データが記録された小径サイズの保存ディスク(データ基板3)を市販のCD−ROM装置やDVD−ROM装置などにて再生でき、利便性が一層向上する。また、保存ディスク(データ基板3)はサイズが小さいため、携帯や保管などにも適している。
【0079】
上記の測定ディスク1を使用した場合、後述する試料の測定が専門の検査機関だけでなく広く一般家庭に普及すれば、たとえば家庭にて測定対象者である測定対象者本人やその介護者自らが測定チップ5xの数分定期的に測定し、定期測定の結果を示すデータが記録された小径ディスクのみを病院に持参して、診断を受けることが可能となる。そのため、測定対象者や介護者の肉体的、心理的負担を大幅に軽減することができる。
【0080】
ここで、測定ディスク1の断面構造について図4を用いて説明する。図4に示すように、測定ディスク1の構造は、測定基板2およびデータ基板3どちらも、基本的にプラスチックの基板41にプラスチックのカバー層42を接着剤等で張り合わせた構造である。例えば、基板41の厚みは1.2mmあるいは0.6mm、カバー層42の厚みは0.1mmである。基板41には、光ビームのフォーカスサーボやトラッキングサーボを行うために、反射光を光ピックアップ7に返すための反射膜44が成膜されている。また、基板41には、管理情報領域2aおよび記録領域3aにおいて、反射膜44と同一面内に記録媒体60が成膜されている。また、基板41には後述する泳動路5eと液溜5a〜液溜5dとが成型加工されている。この、泳動路5eと液溜5d(どの液溜であってもよいが、ここでは液溜dを用いて説明する)とが形成されている基板41における測定領域2bの断面の斜視図を、図5に示す。なお、同図では、説明の便宜上、測定チップ5xの全体は図示せず、その一部として、泳動路5eと液溜5dとの断面を示している。
【0081】
図5に示すように、基板41には、泳動路5eと液溜5d以外に、泳動路5eにおける測定後のバンドを光ビームaで検出するために、光ビームaを誘引走査するための案内溝(グルーブ)43,43,・・・が形成されている。案内溝43の深さおよび幅は、例えば光ビームaの波長が650nm、光ピックアップ(記録手段、再生手段)7における対物レンズの開口数が0.6の場合、幅が300〜800nm、深さが30〜70nmである。
【0082】
(測定装置の構成)
次に、本発明に係る測定装置について説明する。本実施形態では、測定装置は、測定ディスク1を用いた測定と、測定データ、第1管理情報および第2管理情報の記録とを行い、さらに、データ基板3に記録された測定データおよび第2管理情報、測定基板に記録された第1管理情報の再生とを行うものとして説明する。しかし、例えば、測定ディスク1を用いた測定と測定データ、第1管理情報および第2管理情報の記録を行う測定装置と、データ基板3に記録された測定データおよび第2管理情報、測定基板に記録された第1管理情報を読み出す再生装置とが別々に設けられていてもかまわない。
【0083】
本実施例の測定装置13は、ディスク形状の基板を使用する装置であるが、例えば、基板がプレート形状、あるいは円筒形状であれば、それに適した装置構成となる。
【0084】
本実施形態の測定装置13の要部を示すブロック図を図4に示す。図4に示すように、測定装置13は、光ピックアップ7、記録再生回路54、サーボ回路55、コントローラ56、電気泳動電源供給回路59、コネクタ9を備えている。
【0085】
光ピックアップ7は、光ピックアップ要部51と対物レンズ52と対物レンズアクチュエータ53とを備えている。光ピックアップ要部51は、図示しない半導体レーザ、コリメートレンズ、ビームスプリッタおよびフォトディテクタなど、半導体レーザから出射されたレーザビームを、対物レンズ52を介して測定ディスク1に照射するとともに、測定ディスク1からの反射光を、対物レンズ52を介して受光し、再生信号を得るための周知の構成を備えている。
【0086】
光ピックアップ要部51の半導体レーザから出射された光ビームaは、光ピックアップ7内の対物レンズ52によって測定ディスク1に集光される。光ビームaが測定ディスク1において測定基板2の測定領域2bに集光した場合は、集光スポットが反射膜44に焦点を結ぶようにフォーカスサーボが行われる。これにより、上述のトラッキング用の案内溝(グルーブ)に導かれて光ビームaが泳動路5e上の所望の検出位置にアクセスし、走査される。また、反射膜44と泳動路5eの底面がほぼ同一平面であるので、泳動路5eにも焦点を結ぶことができ、高感度の測定検出が可能である。
【0087】
測定ディスク1の管理情報領域2aおよび記録領域3aにおいては、反射膜44に代わり記録媒体60が成膜されており、光ビームaは記録媒体60にも焦点を結ぶ。そのため、管理情報領域2aに第1管理情報、記録領域3aに測定データおよび第2管理情報、の記録が可能である。管理情報領域2aおよび記録領域3aにおいても、上記案内溝と同様な案内溝(図示せず)が形成されている。この案内溝にトラッキングを行いながら、記録再生をする技術は、従来の光ディスクの技術の範疇であり、よく知られているため、説明は省略する。
【0088】
測定ディスク1からの反射光は、光ピックアップ要部51のフォトディテクタにて電気信号に変換される。このフォトディテクタは、よく知られているサーボ用の分割ディテクタと情報読み取り用のディテクタとを含んでいる。サーボ用の分割ディステクタの出力信号bはサーボ回路55に送られ、フォーカスサーボやトラッキングサーボを行うために、誤差信号hが対物レンズアクチュエータ53にフィードバックされる。情報読み取り用のディテクタの出力信号jは、光ビームaが測定基板2の測定領域2bを走査しているときは電気泳動のバンドの検出光量を変換した電気信号となり、記録再生回路54へ送られて記憶される。また、光ビームaが測定基板2の管理情報領域2aやデータ基板3の記録領域3aを走査している時は、第1管理情報や、測定データおよび第2管理情報を読み出した信号となり、記録再生回路54に入力されて、復号化された測定データeがコントローラ56へ送られる。なお、第1管理情報や、測定データおよび第2管理情報の記録時は、以下に説明するように、記録再生回路54から記録信号cが光ピックアップ要部51に送られる。そして、内蔵された半導体レーザから記録レーザパルスが測定基板2の管理情報領域2aやデータ基板3の記録領域3aに照射され、データの記録が行われる。したがって、測定基板2に第1管理情報を、データ基板3に第2管理情報を記録するため、切り離された後でも、上述のとおり基板同士の照合が容易となり、改竄が防止できる。
【0089】
コントローラ56は、以下の通り各種の制御を行う。まず、電気泳動電源供給回路59に命令信号fを出力して、電源電圧iをコネクタ9に送り出し、図1に示したように液溜5a〜5dに電源電圧iを供給し、以下で説明する電気泳動のプロセスの制御を行う。また、コントローラ56は、記録再生回路54へ命令信号eを送り、測定基板2からの検出光の測定、測定基板2の管理情報領域2aへの第1管理情報の記録・再生、データ基板3の記録領域3aへの測定データや第2管理情報の記録・再生を行う。また、再生された各種制御情報に従って、未使用の測定チップ5xの番号を出力する出力手段を兼ねる。さらに、制御情報に従って、未使用の測定チップ5xを有効とし、測定を開始する制御手段も兼ねる。また、サーボ回路55へ命令信号gを送り、管理情報領域2aや記録領域3aにおける適切なトラックへ光ビームaをアクセスさせる。また、測定基板2にデータ基板3が接続されたままであるか、あるいは切り離されてデータ基板3のみであるかを、光ピックアップ7への反射光量信号に基づいて事前に判定する手段も兼ねる。
【0090】
測定データ、第1管理情報、第2管理情報の記録・再生は、記録再生回路54にて行われる。図6は、記録再生回路54をさらに詳細に説明する図である。なお、記録再生回路54は、ハードウェアで構成する場合と、CPUやメモリを用いてソフトウェアで構成する場合と、両方が混在する場合があるが、いずれも機能的には同一であるため、本実施形態ではハードウェアで構成する例を示す。また、その他の回路でもソフトウェアや混在の方式を使用してもよい。
【0091】
記録再生回路54は、図6に示すように、記録回路21、再生回路22、測定回路23、管理情報生成回路24、管理情報読み取り回路25、記憶回路26を備えている。
【0092】
初めに、電気泳動における蛍光の測定時には、光ピックアップ7が測定基板2の測定領域2bに移動し、電気泳動のバンドの蛍光量を検出する。光ピックアップ7から送られた検出光量j1は、記録再生回路54における測定回路23において測定される。測定回路23は、例えば8ビットのA/D変換器であり、コントローラ56からの指令によって、測定ディスクの回転中に泳動路を横切るタイミングで検出光量j1をサンプリングする。測定データaaは記憶回路26に一時的に記憶される。
【0093】
次に、管理情報および測定データの記録時は、まず記憶回路26の測定データabが管理情報生成回路24に送られ第1管理情報(および必要に応じて第2管理情報)acを生成して、記録回路21に送られる。ここで、本実施形態では、第1管理情報および第2管理情報は、同じものであり、測定データに対応付けられて生成されるとする。管理情報生成回路24は、例えば、測定データそのものや測定日時・測定対象者(被測定者)などの情報のうち一部分を、第1管理情報および第2管理情報として生成してもよい。もちろん、第1管理情報および第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。
【0094】
記録回路21では、この第1管理情報および第2管理情報acと、測定データabとを記録信号cとして光ピックアップ7に出力する。ここで、「検出光量j1」はアナログ値、「測定データaa」はデジタル値、「測定データab」は記憶されていたデジタル値であるため、符号を使い分けている。記録信号cに基づいて、光ピックアップ7から光ビームaが、測定基板2の管理情報領域2aと、データ基板3の記録領域3aとに照射され、記録が行われる。これで試料の測定とデータの記録とは終了する。この後、上述のように測定基板2とデータ基板3は切り離される。測定基板2とデータ基板3との照合時は、管理情報領域2aと記録領域3aとから信号が読み出され、読み出し信号j2が再生回路22に送られる。再生回路22では、測定データが再生されると共に、第1管理情報(と必要に応じて第2管理情報)adが管理情報読み取り回路25に送られて、照合が行われる。
【0095】
なお、上記の記録再生回路54は、測定回路23と再生回路22との両方を備えた例を示した。しかし、測定装置13を、測定のみを行う測定装置と、再生のみを行う再生装置とに分けて使用する場合もある。つまり、検査機関で測定者が測定装置において測定対象者に関する試料の測定を行ってデータの記録のみを行い、データ基板3を測定基板2から切り離した後に、測定対象者本人に渡す。そして、測定対象者はデータ基板3だけを持参して、別の診察機関の再生装置においてデータを読み出し、診断を受けることもできる。この場合は、測定装置には上記再生回路22および管理情報読み取り回路25は不要であり、上記測定回路23、および記憶回路26、管理情報生成回路24、記録回路21を備えればよい。逆に、再生装置には上記測定回路23、および記憶回路26、管理情報生成回路24、記録回路21は不要であり、上記再生回路22および管理情報読み取り回路25を備えればよい。
【0096】
なお、上記測定では、測定ディスク1は、ターンテーブルに設置されて回転される。この、ターンテーブル11について説明する。図7は、測定装置13における、測定ディスク1を装着した状態のターンテーブル11の要部を示す斜視図である。測定ディスク1は、ターンテーブル11に載せられ、コネクタ9,9,・・・によってターンテーブル11に固定される。コネクタ9は、便宜上3つのみ示しているものの、実際には測定チップ5xと同数の搭載されている。コネクタ9は、測定ディスク1の最外周部に引き出して配線された電極6a〜6dに接続され、電源コード10,10,・・・を介して電源電圧iが供給される。ターンテーブル11はスピンドルモータ12によって所定の回転速度で回転される。なお、再生においては、測定基板2とデータ基板3とが嵌め合わされて、ターンテーブル11に配置されても、測定基板2とデータ基板3とが、それぞれ別々にターンテーブル11に配置され、別々に再生されてもかわまない。
【0097】
(測定装置における測定および記録)
測定装置13が行う測定および記録の動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。
【0098】
測定を開始すると(ステップ1、以後S1のように称する)、まず測定基板2へ光ピックアップ7を移動する(S2)。測定基板2が切り離されているか、あるいは切り離されずに存在するかを確認する(S3)。データ基板3のみであること、つまり、測定基板2が切り離されていることを確認すると(S3においてNO)、動作は終了する(S9)。このとき、測定不可の表示を表示部(図示せず)にしてもよい。測定基板2が存在する場合には、試料として、たとえばDNAの測定サンプルの注入指示を、表示部(図示せず)に表示する(S4)。なお、注入指示は測定者に対して行うものであり、例えば注入が自動化されている場合には、表示しなくてもよい。試料(測定サンプル)に対して電気泳動を行う(S5)。このとき、電気泳動電源供給回路59から所望の電源電圧iがコネクタ9を介して測定チップ5xに供給され、電気泳動が行われる。
【0099】
電気泳動が終了すると、光ピックアップ7によって泳動パターンのバンドからの蛍光を検出する(S6)。そして、電気泳動の測定結果を示す測定データを記憶し(S7)、測定を終了する(S8)。その後、測定データをデータ基板3に記録する。
【0100】
次に測定データの記録動作(S10)について説明する。データ記録を開始すると(S21)、まず、測定データに基づいて、第1管理情報(と必要に応じて第2管理情報)を生成する(S22)。データ基板3の記録領域3aにピックアップを移動し(S23)、測定データ(と必要に応じて第2管理情報)を記録する(S24)。また、測定基板2の管理情報領域2aにピックアップを移動し(S25)、第1管理情報を記録する(S26)。このデータの記録の順番は特に限定されない。つまり、S23〜S26はどの順に行われても構わない。測定装置13に切断装置が備えられていれば、測定基板とデータ基板を切り離して(S27)、データ記録を終了する(S28)。切断装置がなければS27は必要なく、S28でデータ記録を終了した後に、測定者等がカッター等で切り離してもよい。
【0101】
以上によれば、測定基板2にて試料の測定を行った後に、まず測定データに対応付けられた第1管理情報を測定基板2の管理情報領域2aに記録し、測定データ(と必要に応じて第2管理情報)をデータ基板3の記録領域3aに記録する。その後、測定基板2とデータ基板3とを連結領域4において切断する。測定基板は試薬や病原菌などが残った基板であり、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管されるのが好ましい。また、データ基板3は測定データが記録されているため測定対象者である患者やデータ管理者が利用することがあるが、2次感染などの危険性はないため、安心して利用することができる。
【0102】
(測定基板とデータ基板との照合)
切断後の測定基板2とデータ基板3とを照合する場合は、既に上述したように、管理情報領域2aと記録領域3aとに光ピックアップ7が移動し、記録領域3aから測定データ(と必要に応じて第2管理情報)とが読み取られ、また、管理情報領域2aから第2管理情報が読み取られて、照合が行われる。この照合により、次のように、改竄された偽のデータ基板を発見することができる。
【0103】
例えば、正しい測定データを記録したデータ基板(真データ基板とする)の他に、第3者によって架空の測定データや、改竄された測定データを記録した偽データ基板が作製されたとする。しかしながら、この偽データ基板と照合可能な測定基板は存在しない。したがって、偽データ基板が存在する場合は、照合可能な測定基板が保管庫に存在するかを判定すればよい。測定基板とデータ基板には、互いに相手を照合するための、第1管理情報と第2管理情報とが記録されているからである。よって、疑わしいデータ基板が存在した場合に、測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。そのため、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0104】
本実施形態では、なお、第1管理情報と第2管理情報とを記録するものとするが、第1管理情報が測定基板2に記録されるだけでもかまわない。第2管理情報がデータ基板3に記録されていれば、測定ディスクの項にも記載したように、より確実に測定データの安全性を確かめることができる。
【0105】
以上には、本発明に係るハイブリッド基板、測定装置の一例として、測定ディスク1とそれを用いる測定装置13を例に挙げて、その主要部と管理情報について説明した。上記測定ディスク1を用いた電気泳動の方法について、以下にその概略を説明する。
【0106】
(測定チップの構造)
図1に示すように、測定基板2の測定領域2bは、測定ディスク1の中心から放射状に配置された複数の測定チップ5x,5x,・・・を備えている。本実施形態では、8つの測定チップ5xが測定基板2に搭載されている。もちろん、測定チップ5xの数は限定されない。図示しないが、各測定チップ5xには番号が割り当てられ、この番号を参照して測定チップ5xの使用済みのものと未使用のものとを区別できるようになっている。
【0107】
本実施形態では、測定チップ5xの一例として、測定チップ5xが電気泳動チップである場合を説明する。図1に示すように、測定チップ5xは、液溜5a〜5dと泳動路5eとを備えている。この電気泳動チップの構造は、一般に使われている構造であり、例えば特許文献2に測定例と共に開示されている。
【0108】
泳動路5eは、溝状に形成され、測定ディスク1の径方向に延びる第1泳動路とこれに直交する方向に延びる第2泳動路とからなり、これら2つの経路が十字形をなすように配置されている。液溜5a〜5dは、泳動路5eの4つの端部に泳動路5eと連通するようにそれぞれ1つ配置されている。
【0109】
泳動路5eの幅および深さは数μm〜数百μmであり、液溜5a〜5dの直径は数百μm〜数mmである。このように細い泳動路5eは一般にマイクロチャネル又はマイクロキャピラリと呼ばれている。泳動路5eは、上述したようにカバー層によって密閉されている。一方、液溜5a〜5dは、バッファ溶液やサンプル溶液が注入されるため、測定ディスク1の表面に露出している。
【0110】
また、本実施形態では、液溜5a〜5dに接続された電極(電源接続配線)6a〜6dが記録領域の最外周部(測定ディスク1の最外周部)に引き出して形成されている。それら電極端部に上記測定装置13からコネクタ9を介して電気泳動用の電源が供給される。具体的には、液溜5aに電極6a、液溜5bに電極6b、液溜5cに電極6c、液溜5dに電極6dがそれぞれ接続されている。
【0111】
ここで、図5に示すように、泳動路5eの下部には金属の反射膜44を成膜しない。なぜならば、電気泳動のための電界が金属の反射膜44によって生じにくくなるためである。なお、金属以外の反射膜の場合はこの限りではない。この反射膜44の有無は、以下の通り、測定基板2の有無の判断として利用できる。反射光は、反射膜44によって反射されれば強く、反射されなければ弱くなる。したがって、反射膜44がある案内溝43の領域と、反射膜44が無い泳動路5eの領域とには、反射光の相対的な差が生じる。よって反射光を上記記録再生回路54にて検出すれば、測定基板2の有無を知ることができる。つまり、測定ディスク1において、測定基板2が存在する場合には反射膜44の有無によって高いレベルの反射光量と低いレベルの反射光とが検出され、測定基板2が切り離されていて存在せずデータ基板3のみとなっている場合には、低いレベルの反射光量のみが検出されることにより、測定基板2の有無を判断できる。なお、上記に限らず、例えば、データ基板3の記録領域3aに、測定基板2の有無の情報を記録しておけば、測定基板2の有無情報を読み出すことによって、測定基板2の有無を知ることもできる。
【0112】
このような構成により、測定チップ5xのすべてを使用した後に切り離された測定ディスク1であるか、あるいは未使用の測定チップ5xが残っている測定ディスク1であるかを判別することができる。これにより、測定装置13が、測定チップ5xを使い切った測定ディスク1に誤って測定操作を行うこと、あるいは測定が未終了の測定ディスク1に誤って測定操作を拒否することなどの誤動作を防止することができる。
【0113】
なお、本実施の形態では、測定基板2が有する測定チップ5xとして電気泳動チップの例を用いているが、これに限られることはない。測定チップ5xとしては、例えば、インキュベーションや、カラムクロマトグラフィーなどの他のチップが用いられてもかまわない。
【0114】
(測定チップにおける電気泳動)
測定チップ5xにおける測定のプロセスを図1および図7を用いて説明する。初めに、バッファ溶液を気泡が入らないように図1に示す液溜5a〜5dに注入し、その後サンプル溶液(測定を行う試料を溶解した溶液)を液溜5aに注入する。なおバッファ溶液サンプル溶液の注入は測定者が行ってもよいし、自動化されており、コントローラ56による制御の下で行ってもよい。そして、図7に示す電源コード10およびコネクタ9から電極6aに+電圧電源(数十〜数百ボルト)を接続し、電極6cをグランドに接続する。この時、電極6bおよび電極6dは開放しておく。これにより、液溜5aに+電圧(数十〜数百ボルト)が印加され、液溜5cにゼロボルトが印加され、注入されたサンプル(試料、たとえばDNA)は、泳動路5e(マイクロキャピラリ)の中を液溜5aから液溜5cに向かって泳動する。
【0115】
次に、サンプル溶液に含まれるサンプルが泳動路5eにおける十文字の交点に到達したら、電極6bを+電圧電源(数十〜数キロボルト)に接続し、電極6dをグランドに接続する。また、電極6a及び電極6cは開放する。従って、電気泳動用の電極を、電極6a及び電極6cから、電極6b及び電極6dに切り替えることになる。これにより、液溜5bに+電圧(数十〜数キロボルト)が印加され、液溜5dにゼロボルトが印加され、注入されたサンプルは泳動路5eの中を液溜5bから液溜5dに向かって泳動する。このようなマイクロキャピラリを用いた電気泳動測定の原理は良く知られているため、詳細な説明は省略する。なお、電圧の印加はコントローラ56による制御の下で行われるものとする。
【0116】
〔実施の形態2〕
本発明の測定装置に関する他の実施形態について、図9〜図11に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1にて説明した構成と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、実施の形態1と同じ符号の信号は、実施の形態1と同じものを指すものとする。
【0117】
本実施形態の測定装置は、実施の形態1における測定装置と比較して、記録再生回路の構成が異なっている。本実施形態の図9に示す記録再生回路54’は、図6に示した記録再生回路54の別の例である。なお、本実施形態では、実施の形態1と同様に、記録再生回路54’をハードウェアで構成する例を示すが、ソフトウェアや、混在方式を使用してもよい。
【0118】
(記録再生回路)
記録再生回路54’は、図9に示すように、記録回路21、再生回路22、測定回路23、記憶回路26、管理情報生成回路24’、管理情報読み取り回路25’を備えている。
【0119】
初めに、試料の測定時は、記録再生回路54’において、検出光量j1が測定回路23にて測定される。測定回路23は、たとえば8ビットのA/D変換器であり、コントローラ56からの指令によって、測定ディスク1のターンテーブル11上での回転中に流路を横切るタイミングで検出光量j1をサンプリングする。測定データaaは記憶回路26に一時的に記憶される。
【0120】
次に、第1管理情報と、第2管理情報および測定データとの記録時は、まず記憶回路26の測定データabが管理情報生成回路24’に送られ、第1管理情報および第2管理情報acが生成されて記録回路21に送られる。ここで、管理情報生成回路24’は、測定データabのハッシュ値(以下、第1ハッシュ値)を求めるハッシュ値演算回路として機能する。つまり、第1管理情報および第2管理情報acは、測定データabの第1ハッシュ値である。本実施形態では、簡単のため、第1管理情報および第2管理情報acは同一のハッシュ値(第1ハッシュ値)としたが、もちろん、同一に限定されることはなく、ハッシュ関数を第1管理情報用と第2管理情報用とに個別に設けて、異なるハッシュ値としてもよい。ここで、よく知られているように、ハッシュ値から測定データacを逆算したり、あるいは推測したりすることは不可能となる。このため、ハッシュ値およびハッシュ関数は、度々一方向ハッシュ値や一方向ハッシュ関数と呼ばれることもある。しかし、本明細書中では、ハッシュ値およびハッシュ関数に統一しておく。また、事実上、ハッシュ値は、一つのデータからは一つのハッシュ値しか得られないという性質を持つ。そのため、一の測定データに対して、複数のハッシュ値が得られる可能性は低く、逆に一つのハッシュ値に対して、複数の測定データが存在する可能性も低い。
【0121】
上記のように生成された第1ハッシュ値acと測定データabとは、記録回路21cに送られる。記録回路21では、第1ハッシュ値acと測定データabとを記録信号cとして光ピックアップ7に出力する。光ピックアップ7からは記録信号cに基づいて光ビームaが、測定基板2の管理情報領域2aと、データ基板3の記録領域3aに照射され、記録が行われる。この後、上述のように測定基板2とデータ基板3は切り離される。以上のように、データの記録は終了する。
【0122】
次に、データの照合について説明する。照合時は、光ピックアップ7によって、管理情報領域2aから第1管理情報である第1ハッシュ値と、記録領域3aから測定データおよび第2管理情報である第1ハッシュ値とが読み出され、読み出し信号j2が再生回路22に送られる。再生回路22では、測定データaeと第1ハッシュ値adが管理情報読み取り回路25’に送られて、照合が行われる。管理情報読み取り回路25’では、まず測定データaeがハッシュ値演算回路25bに送られて、第2ハッシュ値agを求める。なお、このハッシュ値演算回路25bは、上述のハッシュ値演算回路24と兼用してもかまわない。そして、比較回路25aにおいて、第2ハッシュ値agと、再生回路22にて再生された第1ハッシュ値adとが比較される。
【0123】
ここで、仮に、第3者によって測定データaeが改竄された場合を想定する。この改竄された測定データaeから求めた第2ハッシュ値(偽第2ハッシュ値と呼ぶ)agは、測定データが改竄されているので、第1ハッシュ値adとは、別の値になる。つまり、データ基板3から直接読み出された第1ハッシュ値adと、偽の測定データaeから求めた偽の第2ハッシュ値agがもはや一致しなくなる。すなわち、測定データが改竄された場合、ハッシュ値を照合することによって改竄を検出することができる。
【0124】
さらに、測定データと共に第2管理情報である第1ハッシュ値も改竄される恐れがある。しかし、ハッシュ関数としてどのような関数を使用したかを秘密にしておけば、第1ハッシュ値を改竄することはできない。万一、ハッシュ関数を盗まれて、第1ハッシュ値も改竄されると、データ基板3において、偽の測定データから求めた偽第2ハッシュ値と、改竄された第1ハッシュ値(偽第1ハッシュ値)とが一致してしまう恐れがある。しかし、この場合は正しい真の第1ハッシュ値が測定基板2に記録されたまま、厳重に保管している。したがって、測定基板2に記録された真の第1ハッシュ値と、偽の測定データから求めた偽第2ハッシュ値とを照合すれば、やはり改竄を発見できる。従って、データ基板3を再生して測定データから求めた第2ハッシュ値とデータ基板3に記録された第1ハッシュ値との2つのハッシュ値を照合する第1の照合と、さらに測定基板2を再生して、測定基板2に記録された第1ハッシュ値と、上記測定データから求めた第2ハッシュ値とを照合する第2の照合とが可能となる。よって、2重の照合が可能になり、さらに、安全性が高まる。
【0125】
上記記録再生回路54’の制御はコントローラ56により行われる。つまり、コントローラ56は、実施の形態1の制御に加え、ハッシュ値の演算についての制御を行う。
【0126】
なお、実施の形態1と同様に、本実施の形態の測定装置では、上記の記録再生回路54’は、測定機能および再生の機能両方を備えているものとして説明した。しかし測定回路23、記憶回路26、管理情報生成回路24’、記録回路21を備えた測定装置と、再生回路22および管理情報読み取り回路25’を備えた再生装置とに分けても構わない。
【0127】
(測定装置における記録)
次に、本実施形態の測定装置の測定及び記録の動作を、図10のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。試料の測定における動作は図8に示したS1〜S9と同様であるため説明は省略する。実施の形態1に記載したS10におけるデータの記録が異なっているので、このデータの記録(S10’)について説明する。
【0128】
データ記録を開始すると(S31)、管理情報生成回路24’は、測定データに基づいて、第1ハッシュ値を生成する(S32)。データ基板3の記録領域3aに光ピックアップ7を移動し(S33)、記録回路21により、測定データと第1ハッシュ値とを記録する(S34)。そして、測定基板2の管理情報領域2aに光ピックアップ7を移動し(S35)、第1ハッシュ値を記録する(S36)。なお、データの記録の順番は特に限定されない。つまり、S33〜S26はどの順に行われても構わない。そして、測定基板とデータ基板を切り離して(S37)、管理情報とデータの記録を終了する(S38)。なお、本実施形態の測定装置に切断装置がなければS37は必要なく、S38でデータ記録を終了した後に、測定者等がカッター等で切り離してもよい。
【0129】
(測定装置における照合)
本実施形態の測定装置が、データ基板3におけるデータを照合(基板の照合)する動作を、図11のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。
【0130】
基板の照合を開始すると(S41)、初めに切り離されたデータ基板3を測定装置の再生における所定位置に装填する(S42)。そして、記録領域3aに光ピックアップ7を移動し(S43)、記録されている測定データと第1ハッシュ値とを再生する(S44)。この再生された測定データから第2ハッシュ値を演算する(S45)。そして、第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とを比較する(S46)。第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とが等しければ、測定データは改竄されていないことを確認することができる(S47)。しかし、第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とが等しくなければ、改竄されていることを確認することができる(S48)。以上により、基板の照合は終了する(s49)。
【0131】
なお、上記のように、ハッシュ関数を盗まれて、第1ハッシュ値も改竄されると、データ基板3において、偽の測定データから求めた偽第2ハッシュ値と、改竄された第1ハッシュ値(偽第1ハッシュ値)とが一致してしまう恐れがある。ハッシュ関数を盗まれた可能性がある場合、別途保管された測定基板2の管理情報領域2aに光ピックアップ7を用いて第1ハッシュ値を読み出して、データ基板3における改竄された可能性のある測定データから求めた第2ハッシュ値とを照合すればよい。そうすると、改竄を発見することができる。
【0132】
〔実施の形態3〕
本発明の測定装置に関する他の実施形態について、図12〜図14に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1あるいは実施の形態2にて説明した構成と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、実施の形態1あるいは実施の形態2と同じ符号の信号は、実施の形態1あるいは実施の形態2と同じものを指すものとする。
【0133】
本実施形態の測定装置は、実施の形態1あるいは実施の形態2における測定装置と比較して、記録再生回路の構成が異なっている。本実施形態の図12に示す記録再生回路54’’は、図6に示した記録再生回路54、図9に示した記録再生回路54’の別の例である。なお、本実施形態では、実施の形態1および実施の形態2と同様に、記録再生回路54’’をハードウェアで構成する例を示すが、ソフトウェアや、混在方式を使用してもよい。
【0134】
(記録再生回路)
記録再生回路54’’は、図12に示すように、記録回路21、再生回路22、測定回路23、記憶回路26、管理情報生成回路24’’、管理情報読み取り回路25’’を備えている。
【0135】
初めに、試料の測定時は、記録再生回路54’’において、検出光量j1が測定回路23において測定される。測定回路23は、たとえば8ビットのA/D変換器であり、コントローラ56からの指令によって、測定ディスク1のターンテーブル11上での回転中に流路を横切るタイミングで検出光量j1をサンプリングする。測定データaaは記憶回路26に一時的に記憶される。
【0136】
次に、第1管理情報、第2管理情報、測定データの記録時は、以下のように、記憶回路26の測定データabが管理情報生成回路24’’に送られ、第1管理情報としての秘密鍵の情報ac1と第2管理情報としての公開鍵ac2および暗号化されたハッシュ値ac3が生成されて記録回路21に送られる。管理情報生成回路24’’は、秘密鍵生成回路24b、公開鍵生成回路24c、ハッシュ値演算回路24aおよび暗号化回路24dを備えている。測定データabはハッシュ値演算回路24aに入力され、第1ハッシュ値ajが暗号化回路24dに出力される。実施の形態2での述べたとおり、ハッシュ値ajから測定データabを逆算したり、あるいは推測したりすることは不可能となる。また、一つの測定データに対してハッシュ値は、事実上一つであり、逆に一つのハッシュ値に対して測定データも事実上一つである。
【0137】
秘密鍵生成回路24bは非対称暗号の一方の鍵であり暗号化を行うための鍵である秘密鍵ac1を生成し、暗号化回路24dと記録回路21とに送る。暗号化回路24dは、秘密鍵ac1を用いて第1ハッシュ値ajを暗号化して、暗号化ハッシュ値ac3を記録回路21に送る。公開鍵生成回路24cは、非対称暗号の他方の鍵であり復号を行うための鍵である公開鍵ac2を記録回路21に送る。記録回路21では、これらの秘密鍵ac1、公開鍵ac2、暗号化ハッシュ値ac3および測定データabを記録するための記録信号cを光ピックアップ7に出力する。光ピックアップ7は、記録信号cに基づいて光ビームaを出射し、測定基板2の管理情報領域2aに秘密鍵ac1を、データ基板3の記録領域3aには公開鍵ac2、暗号化ハッシュ値ac3、測定データabを記録する。この後、測定基板2とデータ基板3は切り離される。なお、本実施形態では暗号化する鍵を測定基板2に記録して保管するため、この鍵を秘密鍵と呼ぶ。また、復号化する鍵はデータ基板3に記録して公開するため、この鍵をに公開鍵と呼ぶ。しかし、一般的な非対称暗号方式(公開鍵暗号方式)においてはこの逆であり、暗号化する鍵を公開鍵と呼び、復号化する鍵を秘密鍵と呼んでいる。
【0138】
ここで、ハッシュ値演算回路24aと暗号化回路24dは未公開であるため、第3者は、用意するのは困難である。また、仮に、ハッシュ値演算法と暗号化法がそれぞれ30種類公開されていて、ハッシュ値演算回路と暗号化回路では、その中から適切なものを選んで処理するものであると仮定した場合、900通りの演算と暗号化を行い、900種類のデータ基板を作る必要がある。どれが正しい組み合わせかわからないので、認証時に900種類の偽データ基板が次々と読み出されることになる。よって、このような多数の読み出しだけで改竄が行われていることが発覚する。つまり、このことは、それほど簡単にはデータとハッシュ値を改竄できないことを示している。
【0139】
次に、上記のように各データが記録された後の、データの照合について説明する。上記ように記録を行うと、以下に示すようにデータ基板3に記録された測定データが本物であることを認証することができる。
【0140】
照合時は、初めに、記録領域3aから公開鍵、暗号化ハッシュ値、測定データが読み出され、読み出し信号j2が再生回路22に送られる。再生回路22では、測定データae、暗号化ハッシュ値ad1および公開鍵ad2が管理情報読み取り回路25’’に送られる。なお、公開鍵、暗号化ハッシュ値、測定データ等は、記録した信号と、読み出した信号とで、符号を使い分けている。
【0141】
管理情報読み取り回路25’’では、まず測定データaeがハッシュ値演算回路25bに送られて、第2ハッシュ値agを求める。なお、このハッシュ値演算回路25bは、上述のハッシュ値演算回路24aと兼用してもかまわない。次に、ハッシュ値復号化回路25cは、公開鍵ad2を用いて暗号化ハッシュ値ad1を復号して第1ハッシュ値adを出力する。比較回路25aは、複合化された第1ハッシュ値adと、測定データaeから演算した第2ハッシュ値agが比較される。
【0142】
比較結果した結果、第1ハッシュ値adと第2ハッシュ値agとが等しい場合は、データは改竄されていないことになる。仮に、第3者によって測定データaeが改竄されたとすれば、測定データaeから求めた偽の第2ハッシュ値agは改竄データに応じて別の値になる。つまり、データ基板3から直接読み出された真の第1ハッシュ値adと、改竄された測定データaeから求めた偽の第2ハッシュ値agがもはや一致しなくなる。すなわち、測定データが改竄されると、ハッシュ値の照合によって改竄を検出することができる。
【0143】
また、データ基板において、測定データと共に第1ハッシュ値も改竄される恐れがある。しかし、第1ハッシュ値は秘密鍵ac1によって暗号化され、しかも暗号化された後は秘密鍵ac1は保管庫に厳重に保管されるため、たとえ第3者が公開鍵ad2をもっていても、第1ハッシュ値を暗号化することは不可能である。したがって、第3者は第1ハッシュ値を作成できない。この第1ハッシュ値は、言い換えれば認証のための情報であり、第2ハッシュ値が第1ハッシュ値と等しい場合は、測定データが正しいものであることを認証できる。なお、秘密鍵を測定基板に記録する理由は、測定ディスク1においてすべての測定チップ5xを使用する前に、一時的に測定データをデータ基板3に記録しておき、再度同じ測定ディスク1で測定を再開するときに、測定基板2の秘密鍵を読み出して使用できるようにするためである。このようにして、すべての測定チップ5xを使用するまで測定基板の秘密鍵を利用し、すべての測定チップ5xを使用した後は測定基板2とデータ基板3とを切り離して、それぞれ保管することができる。
【0144】
上記記録再生回路54’’の制御はコントローラ56により行われる。つまり、コントローラ56は、実施の形態1および実施の形態2の制御に加え、秘密鍵および公開鍵の生成、データの暗号化、データの復号化についての制御を行う。
【0145】
なお、実施の形態1および実施の形態2と同様に上記の記録再生回路54’’は、測定回路23および再生回路22の両方を備えた例を示したが、測定回路23のみを備えた測定装置と、再生回路22のみを備えた再生装置とに分けても構わない。
【0146】
(測定装置における記録)
次に、本実施形態の測定装置の測定及び記録の動作を、図13のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。試料の測定における動作は図8に示したS1〜S9と同様であるため説明は省略する。実施の形態1に記載したS10におけるデータの記録が異なっているので、このデータの記録(S10’’)について説明する。
【0147】
データ記録を開始すると(S61)、測定基板3へ光ピックアップ7が移動し(S62)、管理情報領域から秘密鍵を再生する(S63)。秘密鍵が再生できれば、過去に測定データや第1および第2管理情報が記録されたことになる(S64)。秘密鍵が再生できない場合は、秘密鍵と公開鍵とを生成する(S65)。また、測定データの第1ハッシュ値を生成する(S66)。そして、第1ハッシュ値をS65で生成した秘密鍵で暗号化する(S67)。次に、データ基板3へ光ピックアップ7を移動し(S68)、第2管理情報としての暗号化ハッシュ値および公開鍵と、測定データとを記録領域3aに記録する(S69)。さらに、測定基板3へ光ピックアップ7を移動し(S70)、第1管理情報として秘密鍵を管理情報領域2aに記録する(S71)。なお、データの記録の順番は特に限定されない。つまり、S68〜S71はどの順に行われても構わない。測定基板2における測定チップ5xのうち未使用のチップがある場合、測定基板2とデータ基板3とを切り離してよいかどうか判断する(S72)。切り離すのはよくないと判断した場合は(S72においてNO)、測定ステップへ戻る(S75)、つまり、S1から繰り返す。切り離してよいと判断した場合は(S72においてYES)、測定基板とデータ基板を切り離す(S73)して、データの記録を終了する(S74)。なお、本実施形態の測定装置に切断装置がなければS73は必要なく、S74でデータ記録を終了した後に、測定者等がカッター等で切り離してもよい。
【0148】
(測定装置における照合)
本実施形態の測定装置が、データ基板3におけるデータを認証(基板の認証)する動作を、図14のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。
【0149】
基板の認証を開始すると(S81)、初めに切り離されたデータ基板3を測定装置の再生における所定位置に装填する(842)。そして、記録領域3aに光ピックアップ7を移動し(S83)、記録されている暗号化ハッシュ値、公開鍵および測定データを再生する(S84)。この再生された公開鍵を用いて、暗号化ハッシュ値を復号し、第1ハッシュ値を求める(S85)。また、再生された測定データから第2ハッシュ値を演算する(S86)。そして、第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とを比較する(S87)。ハッシュ値が等しいと判断すれば(S87においてYES)、認証される(S88)。しかし、ハッシュ値が等しくないと判断すれば(S87においてNO)、認証不可となる(S89)。以上により、データ基板の認証は終了する(S90)。S88で認証されれば、測定データは、改竄や捏造されたものではなく、真の測定データであるということができる。また、S89のように認証されなければ、測定データは、改竄や捏造されたものであり、偽の測定データであるということができる。このように、測定データにおける、改竄を発見することができる。
【0150】
〔実施の形態4〕
本発明のハイブリッド基板に関する他の実施形態について、図15に基づいて以下に説明する。上述の実施の形態1、2および3では、図1に示すように測定用セルの一例として電気泳動チップを挙げて説明した。本実施形態では、電気泳動チップの代わりに、他の形状のセルを使用したハイブリッド基板について説明する。
【0151】
図15は、アッセイ用の微小なセル106(たとえば、DNAハイブリダイゼーション用セル)が形成されている、本実施形態のハイブリッド基板101の構造を示す図である。ハイブリッド基板101の形状は、上述のディスク形状ではなく、カード形状となっている。このカード形状のハイブリッド基板(以下、測定カードと称す)101は、測定基板102、データ基板103、および連結領域104からなる。
【0152】
測定基板102は、測定データと対応付けられた第1管理情報を記録する管理情報領域102aと、試料の測定が可能な測定領域102bとを備えている。測定領域102bには、上述した泳動路5eの代わりに、アッセイ用のセル106が、多数形成されている。各セル106のサイズは、いずれも、10μm〜1mmである。このセル106の数やサイズは限定されない。セル106の間には、一方向に案内溝が設けられている。管理情報領域102aには、図示しない番地情報も設けられている。
【0153】
データ基板103は、データの記録が可能な記録領域103aを備えている。記録領域103aは、測定基板にて試料を測定した結果を示す測定データと、測定データおよび第一管理情報の少なくとも一方と対応付けられた情報である第2管理情報とが記録可能になっている。
【0154】
連結領域104は、実施の形態1の連結領域4と同様、測定基板102とデータ基板103とを接続するものであり、連結部104aと切欠き部104bとからなる。連結部104aは、測定基板102とデータ基板103とを連結するものであり、測定基板102とデータ基板103の間において複数個が分散して形成されている。もちろん、連結部104aの個数は限定されない。これら連結部104aと隣の連結部104aとの間は、切欠き部104b、即ち空間となっている。したがって、測定カード101は、切欠き部104bによって測定基板102とデータ基板103とに分離され、連結部104aによって連結されている。
【0155】
なお、本発明に係るハイブリッド基板は、電気泳動に限らず、ハイブリダイゼーション、インキュベーション、およびカラムクロマトグラフィーなどの、他のアッセイにおいても使用可能である。
【0156】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0157】
本発明のハイブリッド基板は、次のようなハイブッリド測定基板として表現してもよい。すなわち、本発明に係るハイブリッド測定基板は、物理的または化学的測定を行う測定基板と、測定データを記録するデータ基板と、これら両基板を連結する連結手段とを備え、前記測定基板は、物理的または化学的測定を行う測定領域と、測定データを管理するための第1管理情報を記録する管理情報領域を備え、前記データ基板は、測定データと第2管理情報を記録するデータ管理情報領域を備えていてもよい。
【0158】
また、本発明に係るハイブッリド測定基板では、上記構成に加え、前記1管理情報および第2管理情報は、前記測定データを演算して所定の情報量に減じた二次データを含んでもよい。
【0159】
また、本発明に係るハイブッリド測定基板では、上記構成に加え、前記第1管理情報は、暗号化における非対称鍵の一方である秘密鍵を含み、前記2管理情報は、前記測定データを演算して所定の情報量に減じた二次データを前記秘密鍵によって暗号化した認証情報と、前記非対称鍵における他方の公開鍵とを含んでもよい。
【0160】
また、本発明に係るハイブッリド測定基板では、上記構成に加え、前記演算はハッシュ関数であり、前記二次データは前記測定データのハッシュ値であってもよい。
【0161】
また、本発明に係る測定装置は、次のように表現してもよい。すなわち、本発明に係る測定装置は、上記ハイブリッド測定基板を使用する測定装置であって、前記測定領域において物理的または化学的測定を行う測定手段と、測定データを管理するための第1管理情報および第2管理情報を生成するする第1管理情報生成手段および第2管理情報生成手段と、前記第1管理情報を前記測定基板の管理情報領域に記録し、前記測定データと第2管理情報を前記データ基板のデータ・管理情報領域に記録してもよい。
【0162】
また、本発明に係る測定装置では、上記構成に加え、前記第1管理情報生成手段および第2管理情報生成手段は、前記測定データを演算して所定の情報量に減じた二次データを生成する二次データ生成手段を備えてもよい。
【0163】
また、本発明に係る測定装置では、上記構成に加え、前記第1管理情報生成手段は、暗号化における非対称鍵の一方である秘密鍵を生成する秘密鍵生成手段を備え、前記2管理情報生成手段は、前記非対称鍵における他方の公開鍵を生成する公開鍵生成手段と、前記測定データを演算して所定の情報量に減じる二次データ生成手段と、前記二次データを前記秘密鍵によって暗号化する暗号化手段とを含んでもよい。
【0164】
また、本発明に係る測定装置では、上記構成に加え、二次データ生成手段は、前記測定データのハッシュ値を求めるハッシュ関数演算手段であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明のハイブリッド基板および測定装置等は、高精度の診断を容易に安価で行うために、光ディスクの技術と生体測定チップの技術を融合させ、測定対象者である患者の住居の近所にある治療拠点あるいは、測定対象者である患者の居住する家庭内において、身近なデジタル医療測定機器を普及させることに大きく貢献できる。本発明は、例えば、医療機器分野、測定装置分野、光ディスク分野等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明に係る実施の一形態の測定ディスクを示す平面図である。
【図2】図1の測定ディスクにおいて、使用済みの測定基板を切り離して、データ基板を保管できることを示す図である。
【図3】図1の測定ディスクにおける連結領域に跨ったバーコードを示す図である。
【図4】図1の測定ディスクを使用する測定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図1の測定ディスクの測定領域における泳動路と液溜との断面を示す斜視図である。
【図6】図3に示した測定装置における記録再生回路の構成を示すブロック図である。
【図7】図3に示した測定装置における、図1の測定ディスクを装着した状態のターンテーブルを示す斜視図である。
【図8】図3の測定装置における測定および記録動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る他の実施形態の記録再生回路の構成を示すブロック図である。
【図10】図9の記録再生回路における測定及び記録動作を示すフローチャートである。
【図11】図9の記録再生回路における照合動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る他の実施形態の記録再生回路であり、図9の記録再生回路とは別の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の記録再生回路における測定及び記録動作を示すフローチャートである。
【図14】図12の記録再生回路における照合動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る他の実施形態のハイブリッド測定基板を示す平面図である。
【図16】従来のバイオコンパクトディスクの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0167】
1 測定ディスク(ハイブリッド測定基板)
2,102 測定基板
2a,102b 測定領域
3,103 データ基板
3a,103a 記録領域
3b,103b 暗号化データ記録領域
4 連結領域
5a〜5d 液溜
5e 泳動路
5x 測定チップ
6a〜6d 電極
7 光ピックアップ(記録手段、再生手段)
13 測定装置
24,24’,24’’ 管理情報生成回路(第1管理情報生成手段、管理情報生成手段)
44 反射膜
54 記録再生回路
56 コントローラ
101 測定カード(ハイブリッド測定基板)
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の測定、特に物理的または化学的測定を行うための、ハイブリッド基板、ハイブリッド基板を構成する測定基板、データ基板、測定装置、および再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、試料を測定するための技術が発展し、装置の開発が進んでいる。以下には、測定装置の一例として、生体試料の測定を行う装置について説明する。生体試料とは、例えばDNA、RNA、タンパク質などである。近年、これら生体試料の測定(アッセイ)を迅速に、効率良く、正確にそして低コストで実施するためにさまざまな測定装置が開発されている。
【0003】
このような生体試料を測定するための装置の中には、民生のデジタル情報機器を融合させたものがある。特許文献1には、このような民生のデジタル情報機器を融合させた測定装置に用いられる測定器具の一例として、バイオコンパクトディスクと呼ばれているディスクが開示されている。バイオコンパクトディスクでは、コンパクトディスク(CD)やデジタルビデオディスク(DVD)と同様な形状のディスク基板は、測定を行うアッセイ領域と、プロトコル情報を記録した情報記録領域とに分かれている。また、特許文献1には、バイオコンパクトディスクの情報記録領域に予め記録されているプロトコル情報を、読み取り装置によって読み取りながら、そのプロトコルを用いてアッセイ前からアッセイ後に至るプロセスを制御する装置が提案されている。
【0004】
特許文献1にて開示されたバイオコンパクトディスクの平面図を図16に示す。図16に示すように、バイオコンパクトディスク80は、円周方向に区分されたアッセイセクタ81およびソフトウェアセクタ82を含んでいる。また、バイオコンパクトディスク80は、直径が20〜200mm、厚さが0.5〜3mmである。このバイオコンパクトディスク80は、従来のCD−ROMまたはDVD読み取り装置に装填されて回転される。なお、このような読み取り装置に装填するため、バイオコンパクトディスク80には、中央穴83が設けられている。読み取り装置にて回転を制御することによって、アッセイセクタ81上の適切な部位に試薬および試料を送り出すことができる。回転速度や回転のタイミング制御などのプロトコルは、ソフトウェアセクタ82に予め記録されている。
【0005】
上記のように、従来、CDまたはDVDを利用することにより、コストの低減と回転することで遠心分離とが可能な装置や、バイオコンパクトディスクが提案されている。そのため、これらにより病院等の治療拠点や家庭において、正確に試料のデジタル測定を行うことができる。
【特許文献1】特表2000−515632公報(平成12年11月21日公表)
【特許文献2】特開2003−66003公報(平成15年3月5日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のバイオコンパクトディスク80では、アッセイされた結果である測定データを安全に使用したり、保管したりする方法が開示されていない。従って、例えば、病院等の治療拠点や家庭で測定した後に、測定データをカルテの一部として測定対象者である例えば患者が安心して保有したり、他の治療拠点に持参して診断や治療に生かしたりすることができない。
【0007】
なお、測定データを保有するには、上記従来のバイオコンパクトディスクにおける読み出し専用のソフトウェアセクタ82を、CD−RやCD−RWにおける記録媒体に置き換えて、記録可能な領域である情報セクタとする方法が、容易に考えられる。
【0008】
しかしながら、記録可能な領域(情報セクタ)に測定データを記録した場合、測定対象者や診断者は、バイオコンパクトディスクに搭載されたアッセイ素子(アッセイセクタ81)を一緒に保管、あるいは携帯することになる。すると、アッセイに使用した試薬や病原菌などによる汚染が生じ、二次的な疾病を引き起こす恐れがある。測定対象者本人や診断者がバイオコンパクトディスクを安易に廃棄してしまうと、環境汚染の恐れも生じるので、治療拠点等で保管されるのが好ましい。また、測定対象者本人ではなく治療拠点において保管する場合でも、測定データだけを必要に応じて取り出せるように保管すべきであり、アッセイ素子(アッセイセクタ81)は別途厳重に保管しなければ上記と同様な問題が生じる。つまり、従来のバイオコンパクトディスクに測定データを記録するだけでは、測定対象者や診断者などへの二次的な感染や、環境汚染等の問題が生じる。
【0009】
また、従来のバイオコンパクトディスクに情報セクタを設けて測定データを記録する場合には、さらに、第3者によって測定データが改竄されたり、あるいは架空のデータを作成されて、情報セクタに記録される危険性がある。そのため、セキュリティー上、大きな問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、測定対象者や診断者が測定データを安全に保有し、データ利用者が安心して利用することのできるハイブリッド基板、測定基板、データ基板、測定装置、および再生装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のハイブリッド基板は、試料の測定が可能な測定基板と、当該測定基板にて試料を測定した結果を示すデータである測定データを記録可能な記録領域を備えたデータ基板と、これら両基板を連結している連結領域とを備え、
前記測定基板は、前記測定データに対応付けられた情報である第1管理情報を記録可能な管理情報領域を備えていることを特徴としている。
【0012】
上記構成によると、測定基板での試料の測定データと対応付けられた第1管理情報が、測定基板の管理情報領域に記録される。また、測定データは、データ基板の記録領域に記録することができる。また、測定基板とデータ基板とが連結領域により連結されているので、測定基板とデータ基板とを連結領域にて切り離すことができる。
【0013】
測定基板の管理情報領域に記録された第1管理情報は、データ基板の記録領域に記録された測定データと対応付けられているため、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0014】
ここで、測定データを記録したデータ基板(以下、真データ基板)の他に、第3者によって架空のデータや改竄データである偽測定データを記録したデータ基板(以下、偽データ基板)が作製された場合を考える。このような場合、個人のプライバシー情報を侵害し、セキュリティー上、深刻な問題を引き起こすことがある。しかしながら、上記構成により、測定基板の1管理情報は、データ基板の測定データと対応付けられているため、照合が可能なようになっている。例えば、測定データや測定日時・測定者などの情報のうち一部分が、上記第1管理情報であってもよい。もちろん、第1管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。いずれにせよ、第1管理情報が測定データと対応付けられていると、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽データ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、測定データと第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、偽データ基板に記録された偽の測定データがあったとしても、検査機関などに保管された測定基板の第1管理情報と照合することで、測定データが改竄されているかがわかる。つまり、疑わしいデータ基板が存在した場合に、例えば保管庫に保管されている測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0015】
なお、測定データには、試料の測定結果を示すデータだけに限らず、測定日時や測定対象者(被測定者)などの情報も含まれるものとする。つまり、これら測定に関する全ての情報(測定データ)のいずれかが改竄や捏造されても、改竄や捏造を判定することができる。
【0016】
また、測定基板が試薬や病原菌などが残った基板である場合には、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管される。データ基板を測定基板から切り離すことができるので、測定対象者や診断者等のデータ管理者は、二次感染や汚染の心配をすることなく、保管を要するデータ基板のみを、安全に保管し、利用することができる。なお、上記の切り離しは、連結領域が設けられているので容易となる。切り離しには、例えば適当な分断装置を使用してもよい。
【0017】
なお、測定データが暗号化されて記録されてもかまわない。例えば、測定データが暗号化されて記録領域に記録され、この測定データを暗号化した鍵と複合化するための鍵を第1管理情報として管理情報領域に記録されるようになっていてもよい。このようになっていると、安全に保管された測定基板から復号化の鍵を読み出さなければ測定データを復号できないし、測定データが改竄されても、暗号化の鍵は測定基板と共に保管されているため暗号化を行うことができない。また、偽の暗号化の鍵で暗号化してデータ基板に記録しても、測定基板の復号化の鍵では復号できないので、測定データが改竄されていることが発見できる。このように、測定データの改竄や捏造を発見することができるので、測定データを利用する際に、安全に安心して利用することができる。
【0018】
本発明に係る測定装置は、上記課題を解決するために、上記ハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成する第1管理情報生成手段と、上記第1管理情報を、上記測定基板の管理情報領域に記録する記録手段と、を備えることを特徴としている。
【0019】
上記構成によると、測定手段によってハイブリッド基板の測定基板において試料の測定を行い、第1管理情報生成手段により、測定データに対応付けられた第1管理情報を生成することができる。そして、記録手段により第1管理情報を測定基板の管理情報領域に記録することができる。第1管理情報は測定データに対応付けられて生成されるので、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。第1管理情報生成手段は、例えば、測定データそのものや測定日時・測定対象者(被測定者)などの情報のうち一部分を、上記第1管理情報として生成してもよい。もちろん、第1管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。いずれにせよ、第1管理情報は測定データと対応付けられて生成されるので、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽データ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、測定データと第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、疑わしいデータ基板が存在した場合に、測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0020】
本発明のハイブリッド基板では、上記構成に加え、上記データ基板の記録領域は、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である第2管理情報を記録可能であってもよい。
【0021】
上記構成によると、測定データおよび第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である第2管理情報を、データ基板の記録領域に記録することができる。
【0022】
データ基板に記録された第2管理情報が、測定基板に記録された第1管理情報と対応付けられていると、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合を、第1管理情報と第2管理情報と比較することで行うことができる。これは、次のような場合好ましく用いることができる。すなわち、測定データが読み出すのに重いものであり、第2管理情報の情報量が軽いものであると、第1管理情報と測定データとを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合することで、照合を早く行うことができる。なお、第2管理情報が第1管理情報と対応づけられているということに、第2管理情報が第1管理情報と同じ情報であるということが含まれているものとする。
【0023】
また、第2管理情報が、測定データと対応付けられていると、初めに測定データと第2管理情報とを照合することで、データ基板において測定データが改竄されたものであるかを判断することができる。さらに、測定データと第1管理情報とを照合することができるので、データ基板自体が改竄されたものであるかを判断することができる。以上ように、2重に照合することができる。そのため、より安全で安心なハイブリッド基板を使用することができる。ここで、この場合、さらに第2管理情報が第1管理情報と対応づけられていると、測定データと第1管理情報とを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合してもよい。第2管理情報が第1管理情報と対応づけられているということには、第2管理情報が第1管理情報と同じ情報であるということが含まれているものとする。第2管理情報は、例えば、測定データや測定日時、測定対象者(非測定者)、測定者などの情報のうち一部分であってもよい。もちろん、第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。また、第2管理情報が記録領域に暗号化されて記録されてもかまわない。
【0024】
本発明の測定装置は、上記ハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成し、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けて第2管理情報を生成する管理情報生成手段と、第1管理情報を上記測定基板の管理情報領域に、上記第2管理情報をデータ基板の記録領域に記録する記録手段と、を備えてもよい。
【0025】
上記構成によると、測定手段によってハイブリッド基板の測定基板において試料の測定を行い、管理情報生成手段により、測定データに対応付けられた第1管理情報を生成し、測定データおよび第1管理情報の少なくとも一方に対応付けて第2管理情報を生成することができる。そして、記録手段により、第1管理情報を測定基板の管理情報領域に、第2管理情報をデータ基板の記録領域に記録することができる。第1管理情報は測定データに対応付けられて生成されおり、また、第2管理情報は、測定データおよび第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられているので、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0026】
管理情報生成手段は、上記第1管理情報を、例えば、測定データそのものや測定日時・測定対象者(被測定者)などの情報のうち一部分を、上記第1管理情報あるいは、第2管理情報として、生成してもよい。もちろん、第1管理情報および第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。第1管理情報と第2管理情報とを同じ情報として生成してもよいし、対応付けがとれるものであれば異ならせて生成してもよい。
【0027】
データ基板に記録された第2管理情報が、測定基板に記録された第1管理情報と対応付けられていると、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合を、第1管理情報と第2管理情報と比較することで行うことができる。
【0028】
また、第2管理情報が、測定データと対応付けられていると、初めに、測定データと第2管理情報とを照合することで、データ基板において測定データが改竄されたものであるかを判断することができる。さらに、測定データと第1管理情報とを照合することができるので、データ基板自体が改竄されたものであるかを判断することができる。このように、2重に照合することができる。そのため、より安全で安心なハイブリッド基板を使用することができる。ここで、この場合、さらに第2管理情報が第1管理情報と対応づけられていると、測定データと第1管理情報とを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合してもよい。
【0029】
よって、上記構成により、第1管理情報を測定基板に第2管理情報をデータ基板に記録することで、疑わしいデータ基板が存在した場合に、測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。
【0030】
また、本発明のハイブリッド基板では、上記構成に加え、上記第1管理情報および第2管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データを含んでもよい。
【0031】
上記構成によれば、二次データは測定データを所定の情報量に減じたものであり測定データの内容に依存しているため、簡単に第1管理情報と測定データ、また、第2管理情報と測定データ、また第1管理情報と第2管理情報との照合をとることができる。この二次データは、第1管理情報および第2管理情報として、測定基板とデータ基板とにそれぞれ記録される。なお、第1管理情報および第2管理情報は同じ情報でもかまわない。仮に正しい真の測定データを記録した真データ基板の他に、第3者によって架空の測定データや、改竄データを記録した偽データ基板が作製されたことを考える。架空データや改竄データから二次データを得ると、それは偽の二次データであり、真の二次データと異なる。なぜなら、二次データは測定データに依存するからである。
【0032】
そのため、データ基板において、記録されている二次データと記録されている測定データを所定の情報量に減じて二次データとして生成したものとを比較することで、偽の測定データか否かを確認することができる。さらに、保管されている測定基板の二次データを読み出し、測定対象者である患者やデータ管理者が使用するデータ基板の二次データとが一致しているか否かを比較すると、架空データや改竄データを発見することができる。
【0033】
なお、二次データの代わりに、測定基板とデータ基板とを照合する照合コードを使用する方法もある。しかし、第3者がこのコードを決める規則を知ってしまえば、照合コードを作成して偽データ基板を作成することができる。ところが、測定データに依存する二次データが記録されれば、測定データが改竄などによって変化すると、二次データも変わってしまうため、第3者によるデータの改竄や架空データの捏造は困難となる。
【0034】
また、本発明の測定装置では、上記構成に加え、上記管理情報生成手段は、上記第1管理情報と第2管理情報とを、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データとして生成してもよい。
【0035】
上記構成によると、管理情報生成手段によって、上記第1管理情報と第2管理情報を、測定データを所定の情報量に減じた二次データとして得ることができる。この二次データは測定データの内容に依存しているため、測定データと簡単に照合をとることのできるデータを、第1管理情報および第2管理情報として、測定基板およびデータ基板に書き込むことができる。よって、上記構成により二次データが書き込まれたハイブリッド基板では、簡単に第1管理情報(二次データ)と測定データ、また、第2管理情報(二次データ)と測定データ、また第1管理情報(二次データ)と第2管理情報(二次データ)との照合をとることができる。なお、管理情報生成手段は、第1管理情報および第2管理情報を同じ二次データとして生成してもよい。また、管理情報生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを、上記二次データとして生成してもよい。
【0036】
データ基板に記録した二次データと、データ基板に記録した測定データを所定の情報量に減じて二次データとして生成したものとを比較することで、偽の測定データか否かを確認することができる。さらに、保管されている測定基板の二次データを読み出し、データ基板の二次データとが一致しているか否かを比較することでも、架空データや改竄データを発見することができる。
【0037】
また、本発明のハイブリッド基板では、上記構成に加え、上記第1管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じて二次データとしたものを暗号化するための秘密鍵の情報を含んでおり、上記第2管理情報は、上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報と、この認証情報を復号化するための鍵であり前記公開鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報と含んでいてもよい。
【0038】
上記構成によると、データ基板には、暗号化された二次データとその暗号化した二次データを復号するための公開鍵とが記録される。そのため、測定対象者である患者やデータ管理者が保有するデータ基板にて二次データを復号できる。一方で、秘密鍵は測定基板に記録され厳重に保管されているため、秘密鍵は入手困難となり、二次データを暗号化することはできない。このため、第3者が架空データや改竄データをデータ基板に記録しようとしても、二次データを暗号化できないため、偽のデータ基板であることが露呈してしまう。よって、偽のデータ基板を作成することは困難である。したがって、架空データや改竄データが記録されるのを未然に防止することができる。また、公開鍵と秘密鍵とは非対象であるため、公開鍵から秘密鍵の情報が漏洩することはない。
【0039】
また、データ基板に記録された暗号化された二次データを復号し、この復号された二次データと、データ基板に記録された測定データを所定の情報量に減じて二次データとしたものとを比較して、同じであることが確認できると、データ基板に記録された測定データが本物であることを認証することができる。確認できなければ、測定データは、改竄や捏造されたものであり、偽の測定データであるということができる。このように、測定データにおける、改竄を発見することができる。
【0040】
なお、本明細者中では暗号化する鍵を測定基板に記録して保管するため、この鍵を秘密鍵と呼ぶ。また、復号化する鍵はデータ基板に記録して公開するため、この鍵を公開鍵と呼ぶ。しかし、一般的な非対称暗号方式(公開鍵暗号方式)においてはこの逆であり、暗号化する鍵を公開鍵と呼び、復号化する鍵を秘密鍵と呼んでいる。
【0041】
また、本発明の測定装置では、上記構成に加えて、上記管理情報生成手段は、上記測定データを所定の情報量に減じて二次データを生成する二次データ生成手段と、上記二次データを暗号化するための秘密鍵の情報を上記第1管理情報として生成する秘密鍵生成手段と、上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報を上記第2管理情報の一部として生成する暗号化手段と、さらに、当該認証情報を復号化するための鍵であり前記秘密鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報を上記第2管理情報の他の一部として生成する公開鍵生成手段と、を備えていてもよい。
【0042】
上記構成によると、二次データ生成手段により、測定データを所定の情報量に減じて二次データを生成することができる。そして、秘密鍵生成手段により二次データを暗号化するための秘密鍵の情報が生成することができ、公開鍵生成手段により秘密鍵とは非対称鍵であり認証情報を復号化するための公開鍵を生成することができる。そして、暗号化手段により二次データを秘密鍵にて暗号化した認証情報と、公開鍵の情報とを、第2管理情報として、データ基板に書き込むことができる。そのため、データ基板にて二次データを復号できる。また、上記秘密鍵の情報を第1管理情報として測定基板に書き込むことができる。秘密鍵は測定基板に記録され厳重に保管されているため、秘密鍵は入手困難となり、二次データを暗号化することはできない。このため、第3者が架空データや改竄データをデータ基板に記録しようとしても、二次データを暗号化できないため、偽のデータ基板であることが露呈してしまう。よって、偽のデータ基板を作成することは困難である。したがって、架空データや改竄データが記録されるのを未然に防止することができる。また、公開鍵と秘密鍵とは非対象であるため、公開鍵から秘密鍵の情報が漏洩することはない。
【0043】
また、本発明の測定装置では、上記構成に加えて、上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを上記二次データとして生成してもよい。
【0044】
ここで、ハッシュ関数による演算では、一つのデータに対してハッシュ値を事実上ひとつしか得られないような性質を持つ。したがって、第3者が測定データを改竄したり捏造したりすると、ハッシュ値が変化してしまう。またハッシュ関数による演算では、ハッシュ値から元のデータを求めることができない性質を持つ。そのため、測定データからハッシュ関数を予測することも困難である。つまり、上記構成によると、第3者によってハッシュ値の改竄や作成も困難となるため、測定データが本物であるかどうかの認証がより確実に行うことが可能となる。
【0045】
本発明の再生装置は、上記ハイブリッド基板からデータを読み取る再生装置であって、上記認証情報と、上記公開鍵と、上記測定データとを再生する再生手段と、上記公開鍵を用いて上記認証情報を復号化する復号化手段と、上記データ基板に記録された測定データを所定の情報量に減じて二次データとする二次データ生成手段と、を備えていてもよい。
【0046】
上記構成によると、再生手段により、データ基板の、認証情報と、上記公開鍵と、上記測定データとを再生することができる。再生された公開鍵により認証情報を復号化することで、複合化された二次データができる。一方で、二次データ生成手段により、データ基板に記録された測定データが所定の情報量に減じられて二次データとして作成される。ここで、公開鍵により複合化された二次データと、二次データ生成手段により作成された二次データとを比較することで、両基板の照合を取ることができ、測定データが本物であるかを確認することができる。
【0047】
なお、例えば、上記再生装置が上記測定装置の構成を持ち合わせていてもよいし、上記測定装置の構成と上記再生装置の構成を持ち合わせた測定再生装置があってもよい。
【0048】
また、本発明の再生装置では、上記構成に加えて、上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを上記二次データとして生成してもよい。
【0049】
上記構成によると、ハッシュ関数による演算は上記のような性質をもつので、第3者によってハッシュ値の改竄や作成も困難となるため、改竄や作成がされにくい、第1管理情報および第2管理情報を生成することができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明のハイブリッド基板は、以上のように、試料の測定が可能な測定基板と、当該測定基板にて試料を測定した結果を示すデータである測定データが記録可能な記録領域を備えたデータ基板と、これら両基板を連結している連結領域とを備え、
前記測定基板は、前記測定データに対応付けられた情報である第1管理情報が記録可能な管理情報領域を備えている。
【0051】
上記構成によると、測定基板での試料の測定の結果ある測定データと対応付けられた第1管理情報が、測定基板の管理情報領域に記録される。また、測定データは、データ基板の記録領域に記録することができる。また、測定基板とデータ基板とが連結領域により連結されているので、測定基板とデータ基板とを連結領域にて切り離すことができる。
【0052】
測定基板の管理情報領域に記録された第1管理情報は、データ基板の記録領域に記録された測定データと対応付けられているため、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0053】
第1管理情報が測定データと対応付けられているので、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽データ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、測定データと第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、偽データ基板に記録された偽の測定データがあったとしても、検査機関などに保管された測定基板の第1管理情報と照合することで、測定データが改竄されているかがわかる。つまり、疑わしいデータ基板が存在した場合に、例えば保管庫に保管されている測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0054】
なお、測定データには、試料の測定結果を示すデータだけに限らず、測定日時や測定対象者(被測定者)などの情報も含まれるものとする。つまり、これら測定に関する全ての情報(測定データ)のいずれかが改竄や捏造されても、改竄や捏造を判定することができる。
【0055】
また、測定基板が試薬や病原菌などが残った基板である場合には、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管される。データ基板を測定基板から切り離すことができるので、測定対象者や診断者等のデータ管理者は、二次感染や汚染の心配をすることなく、保管を要するデータ基板のみを、安全に保管し、利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜図8に基づいて以下に説明する。
【0057】
(ハイブリッド基板の構成)
本発明に係るハイブリッド基板の形状は、例えば、プレート形状、ディスク形状、円筒形状など、どのような形状であってもよいが、本実施形態ではディスク形状のハイブリッド基板(以下、測定ディスクと略す)を例に挙げて説明する。測定ディスクは、回転することによって、ディスク上の複数の測定セルや測定流路などを高速で検索しながら測定することが可能なため、今後の普及が期待される基板である。
【0058】
図1は本発明の実施の形態における測定ディスク1を示す平面図である。図1に示すように、測定ディスク1は、測定基板2、データ基板3および連結領域4を備えている。連結領域4は細い幅の円環状に形成されており、連結領域4に対して径方向の外側領域は、測定基板2となり、内側領域はデータ基板3となっている。
【0059】
連結領域4は、連結部4aと切欠き部4bとからなる。連結部4aは、測定基板2とデータ基板3とを連結するものであり、連結領域4の円周方向において複数個が分散して形成されている。もちろん、連結部4aの個数は限定されない。これら連結部4aと隣の連結部4aとの間は、切欠き部4b、即ち空間となっている。したがって、測定ディスク1は、切欠き部4bによって測定基板2とデータ基板3とに分離され、連結部4aによって連結されている。連結領域4の構造は、上記したものに限らず、例えば、切り欠き部4bが無く、連結部4aを円周方向に連続して形成し、連結部4aの厚みを測定基板2やデータ基板3の基板厚みよりも薄くすることで、測定基板2とデータ基板3とを切り離しやすくした構造としてもよい。ここで、測定基板2が試薬や病原菌などが残った基板である場合には、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管される。データ基板3を測定基板2から切り離すことができるので、測定対象者や診断者等のデータ管理者は、二次感染や汚染の心配をすることなく、保管を要するデータ基板のみを、安全に保管し、利用することができる。なお、上記の切り離しは、連結領域4が設けられているので容易となる。切り離しには、例えば適当な分断装置を使用してもよい。
【0060】
データ基板3には、データを記録可能な記録領域3aが設けられており、測定データや後述するように測定データおよび第1管理情報に対応付けられた情報である第2管理情報等のデータを記録できるようになっている。なお、記録領域3aにおいて、測定データを記録する領域と、第2管理情報を記録する領域が分けて設けられていても構わない。記録領域3aは、通常の光記媒体(例えば多層膜構造もの)が成膜され、その他にトラッキング用のグルーブや番地情報などが例えば凹凸形状にて記録されている。記録媒体の材料としては、CD−RやDVD−Rなどに使われている色素材料や、CD−RWやDVD−RWなどに使われている相変化材料などが使用可能である。トラッキングのための凹凸形状として、グルーブ形状を使うことができる。また。この他に例えばウォブルピット形状を使用することができる。また、番地情報など消去不可能な情報は、凹凸のピット形状で形成したり、あるいは前記凹凸のグルーブをウォブルさせて形成する。たとえばCDやDVDは前者の例であり、CD−RやDVD−Rは後者の例である。
【0061】
測定基板2は、管理情報領域2aと試料の測定が可能な測定領域2bとを備えている。管理情報領域2aは、後述するように測定データに対応付けられた情報である第1管理情報が記録できるようになっている。管理情報領域2aは、データ基板の記録領域3aと同様に、通常の光記録媒体(例えば多層膜構造もの)が成膜されている。記録媒体の材料も、CD−RやDVD−Rなどに使われている色素材料や、CD−RWやDVD−RWなどに使われている相変化材料などを使用可能である。同様に、トラッキング用の凹凸形状はグルーブ形状であるが、このほかにウォブルピット形状を使用することができる。
【0062】
測定領域2bには試料の測定を行うための測定用セル(測定チップ5x)が設けられ、各種測定が行われる。本実施形態では、測定領域2bには、測定用セルが設けられているものとして説明するが、測定領域2bでは、試料の測定が可能になっていれば他のものが設けられていてもよい。測定用セルの種類には、例えば電気泳動やクロマトグラフィーを行うための流路が設けられたものや、DNAハイブリダイゼーションを行うマイクロセルなど色々なものがあるが、限定はされない。本実施形態では、測定用セルとして、マイクロキャピラリと呼ばれる泳動路5eを流路として用いた電気泳動チップである測定チップ5xを、測定領域2bに設けた例を挙げて説明する。また、本実施形態では、測定領域2bに、測定チップ5xが複数設けられているが、設けられる個数についての限定は無い。マイクロキャピラリを用いた電気泳動チップを使用した電気泳動については後述する。
【0063】
電気泳動チップでは、例えば蛍光分子が結合したDNAやたんぱく質が電気泳動され、励起光を照射することによって泳動の速度を検出し、その質量や電荷を分析することができる。測定基板2で測定された結果を示す測定データは、次に説明するように、第2管理情報と共に、データ基板3の記録領域3aに記録される。
【0064】
次に、第1管理情報と第2管理情報とについて説明する。初めに第1管理情報について説明する。第1管理情報は、測定基板2での試料の測定の結果ある測定データと対応付けられた情報であり、測定基板2の管理情報領域2aに記録される。測定基板2の管理情報領域2aに記録された第1管理情報は、データ基板3の記録領域3aに記録された測定データと対応付けられているため、測定基板とデータ基板とが連結領域にて切り離された後、両基板の照合に用いることができる。
【0065】
ここで、測定データを記録したデータ基板(以下、真データ基板)が、第3者によって架空のデータや改竄データである偽測定データを記録したデータ基板(以下、偽データ基板)に改竄された場合を考える。このような場合、個人のプライバシー情報を侵害し、セキュリティー上、深刻な問題を引き起こすことがある。しかしながら、測定基板2の1管理情報は、データ基板3の測定データと対応付けられているため、照合が可能なようになっている。例えば、測定データや測定日時、測定対象者(非測定者)、測定者などの情報のうち一部分が、上記第1管理情報であってもよい。もちろん、第1管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。いずれにせよ、第1管理情報が測定データと対応付けられているので、測定データと第1管理情報とを照合することで、測定データが改竄されている(偽のデータ基板である)か否かを判断できる。これは、測定データが改竄されていると、第1管理情報との間で、データの整合性を取ることができないからである。このように、偽データ基板に記録された偽の測定データがあったとしても、検査機関などに保管された測定基板2の第1管理情報と照合することで、改竄されていることが容易に判定できる。つまり、疑わしいデータ基板が存在した場合に、例えば保管庫に保管されている測定基板2と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽のデータ基板であるか否かを容易に判定することができる。よって、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0066】
なお、測定データには、試料の測定結果を示すデータだけに限らず、測定日時や測定対象者(被測定者)などの情報も含まれるものとする。つまり、これら測定に関する全ての情報(測定データ)のいずれかが改竄や捏造されても、改竄や捏造を判定することができる。
【0067】
また、本実施形態では、第2管理情報がデータ基板3に記録される。第2管理情報は、測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である。第2管理情報は、例えば、測定データや測定日時、測定対象者(非測定者)、測定者などの情報のうち一部分であってもよい。もちろん、第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。
【0068】
データ基板3に記録された第2管理情報が、測定基板2に記録された第1管理情報と対応付けられていると、測定基板2とデータ基板3とが連結領域4にて切り離された後、両基板の照合を、第1管理情報と第2管理情報と比較することで行うことができる。これは、次のような場合好ましく用いることができる。すなわち、測定データが読み出すのに重いものであり、第2管理情報の情報量が軽いものであると、第1管理情報と測定データとを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合することで、照合を早く行うことができる。第2管理情報が第1管理情報と対応づけられているということに、第2管理情報が第1管理情報と同じ情報であるということが含まれているものとする。
【0069】
また、第2管理情報が、測定データと対応付けられていると、初めに、測定データと第2管理情報とを照合することで、データ基板3において測定データが改竄されたものであるかを判断することができる。さらに、測定データと第1管理情報とを照合することができるので、データ基板3自体が改竄されたものであるかを判断することができる。以上ように、2重に照合することができる。そのため、より安全で安心なハイブリッド基板を使用することができる。ここで、この場合、さらに第2管理情報が第1管理情報と対応づけられていると、測定データと第1管理情報とを照合する代わりに、第2管理情報と第1管理情報とを照合してもよい。
【0070】
なお、本実施形態では、第1管理情報と第2管理情報とは、同一の情報(管理情報)とするが、異なる情報であっても対応付けられた情報であればよい。
【0071】
上記したように、本実施形態では、測定ディスク1において、第1管理情報が測定基板2に、第2管理情報がデータ基板3に記録されるものとして説明を行っている。しかし、測定ディスク1において、測定データと対応付けられた第1管理情報が測定基板2に記録されているだけで、第2管理情報がデータ基板3に記録されていなくてもかまわない。これは、第1管理情報が測定データと対応付けられていれば、測定基板2の第1管理情報と、データ基板3の測定データとを照合することで、測定基板2とデータ基板3とを照合することができるからである。なお、本実施の形態のように、測定ディスク1において、測定データと対応付けられた第1管理情報が測定基板2に記録されているのに加え、さらに第2管理情報がデータ基板3に記録されていれば、上記のように二重に照合することができるので、より確実に測定データの安全性を確認することができる。
【0072】
また、測定データが暗号化されて記録領域3aに記録されてもかまわない。例えば、測定データが暗号化されて記録領域3aに記録され、この測定データを暗号化した鍵と複合化するための鍵を第1管理情報として記録領域3aに記録されるようになっていてもよい。このようになっていると、安全に保管された測定基板2から復号化の鍵を読み出さなければ測定データを復号できないし、測定データが改竄されても、暗号化の鍵は測定基板2と共に保管されているため暗号化を行うことができない。また、偽の暗号化の鍵で暗号化してデータ基板に記録しても、測定基板2の復号化の鍵では復号できないので、測定データが改竄されていることが発見できる。このように、測定データの改竄や捏造を発見することができるので、測定データを利用する際に、安全に安心して利用することができる。
【0073】
また、本実施形態の測定ディスク1は、上記構成加えて、測定基板2に、測定ディスク毎の固有コード93が描画されていてもよい。固有コード93を目視できるように、例えばアルファベットと数字の組み合わせを、インクによってプリントしてもよい。本実施形態では、図1に示すように、固有コード93として、「FC34P086」を、測定ディスク1に、インクによってプリントしてある。あるいは、固有コード93を、測定ディスク1のディスク基板の成型時に、エンボス加工をすることによって作成してもよい。
【0074】
測定領域2bの測定チップ5xにおいて試料の測定が終了したら、固有コードである「FC34P086」を、たとえば測定者が目視で確認し、測定装置13の入力部(例えばキーボード)から「FC34P086」を入力する。入力された固有コードが測定データと共にデータ基板3の記録領域3aに記録される。
【0075】
測定基板2とデータ基板3とが切り離された後、一方のデータ基板3に記録された固有コードを読み出せば、他方の測定基板2に描画された固有コード93と照合することができる。このように、固有コードを使用すると、測定基板2とデータ基板3との照合を容易に行うことができる。
【0076】
さらに固有コード93の代わりに、以下に示すような識別子を使用してもよい。この識別子は、図1に示すように、連結領域4を挟んだ測定基板2とデータ基板3とに跨った領域4cに、目視によって照合可能なようにプリントされる。この領域4cを拡大した図を図3に示す。例として、図3では、上記固有コード「FC34P086」の代わりに、識別子として、バーコード4dが用いられている。バーコードを用いる理由は、バーコードを真ん中で切断した後に、切断されたバー同士を合わせることで、目視で確認しやすい識別子だからである。もちろん、識別子は、バーコードに限定されない。
【0077】
まず、連結部4aによって、測定基板2とデータ基板3とが連結されている状態でバーコード4dを測定基板2とデータ基板3とに跨るように、プリントする。図3に示すように、バーコードを形成するそれぞれのバーが、バーの長手方向にて、測定基板2とデータ基板3とを跨ぐようにする。試料の測定が終了し、測定データがデータ基板3に記録された後に、この測定基板2とデータ基板3とを切り離すと、バーコード4dは、連結部4aと切欠き部4bとによってほぼ真ん中で切断される。測定基板2とデータ基板3とを切り離した後、測定基板2とデータ基板3とを照合したい場合は、互いに元のようにバーコードが合わせ、目視によって同一のバーコードであるかどうかを確認することで、照合することができる。このほか、識別子としてアルファベットや数字を、測定基板2とデータ基板3とに跨って記録してもよい。また、これに限らず固有の模様を用いても良い。跨って記録するには、例えばインクジェットなどによってプリントを行えばよい。識別子をプリントすることにより、測定ディスク1の1枚1枚に固有コードを安価で高速に描画することができる。
【0078】
なお、測定ディスク1の全体の直径(測定基板2を含む直径)を、コンパクトディスクやデジタルビデオディスクの規格に準拠したサイズである12cmとし、データ基板3の直径(測定基板2から切り離された後の直径)を同規格の小径サイズである8cmとしておけば、測定データが記録された小径サイズの保存ディスク(データ基板3)を市販のCD−ROM装置やDVD−ROM装置などにて再生でき、利便性が一層向上する。また、保存ディスク(データ基板3)はサイズが小さいため、携帯や保管などにも適している。
【0079】
上記の測定ディスク1を使用した場合、後述する試料の測定が専門の検査機関だけでなく広く一般家庭に普及すれば、たとえば家庭にて測定対象者である測定対象者本人やその介護者自らが測定チップ5xの数分定期的に測定し、定期測定の結果を示すデータが記録された小径ディスクのみを病院に持参して、診断を受けることが可能となる。そのため、測定対象者や介護者の肉体的、心理的負担を大幅に軽減することができる。
【0080】
ここで、測定ディスク1の断面構造について図4を用いて説明する。図4に示すように、測定ディスク1の構造は、測定基板2およびデータ基板3どちらも、基本的にプラスチックの基板41にプラスチックのカバー層42を接着剤等で張り合わせた構造である。例えば、基板41の厚みは1.2mmあるいは0.6mm、カバー層42の厚みは0.1mmである。基板41には、光ビームのフォーカスサーボやトラッキングサーボを行うために、反射光を光ピックアップ7に返すための反射膜44が成膜されている。また、基板41には、管理情報領域2aおよび記録領域3aにおいて、反射膜44と同一面内に記録媒体60が成膜されている。また、基板41には後述する泳動路5eと液溜5a〜液溜5dとが成型加工されている。この、泳動路5eと液溜5d(どの液溜であってもよいが、ここでは液溜dを用いて説明する)とが形成されている基板41における測定領域2bの断面の斜視図を、図5に示す。なお、同図では、説明の便宜上、測定チップ5xの全体は図示せず、その一部として、泳動路5eと液溜5dとの断面を示している。
【0081】
図5に示すように、基板41には、泳動路5eと液溜5d以外に、泳動路5eにおける測定後のバンドを光ビームaで検出するために、光ビームaを誘引走査するための案内溝(グルーブ)43,43,・・・が形成されている。案内溝43の深さおよび幅は、例えば光ビームaの波長が650nm、光ピックアップ(記録手段、再生手段)7における対物レンズの開口数が0.6の場合、幅が300〜800nm、深さが30〜70nmである。
【0082】
(測定装置の構成)
次に、本発明に係る測定装置について説明する。本実施形態では、測定装置は、測定ディスク1を用いた測定と、測定データ、第1管理情報および第2管理情報の記録とを行い、さらに、データ基板3に記録された測定データおよび第2管理情報、測定基板に記録された第1管理情報の再生とを行うものとして説明する。しかし、例えば、測定ディスク1を用いた測定と測定データ、第1管理情報および第2管理情報の記録を行う測定装置と、データ基板3に記録された測定データおよび第2管理情報、測定基板に記録された第1管理情報を読み出す再生装置とが別々に設けられていてもかまわない。
【0083】
本実施例の測定装置13は、ディスク形状の基板を使用する装置であるが、例えば、基板がプレート形状、あるいは円筒形状であれば、それに適した装置構成となる。
【0084】
本実施形態の測定装置13の要部を示すブロック図を図4に示す。図4に示すように、測定装置13は、光ピックアップ7、記録再生回路54、サーボ回路55、コントローラ56、電気泳動電源供給回路59、コネクタ9を備えている。
【0085】
光ピックアップ7は、光ピックアップ要部51と対物レンズ52と対物レンズアクチュエータ53とを備えている。光ピックアップ要部51は、図示しない半導体レーザ、コリメートレンズ、ビームスプリッタおよびフォトディテクタなど、半導体レーザから出射されたレーザビームを、対物レンズ52を介して測定ディスク1に照射するとともに、測定ディスク1からの反射光を、対物レンズ52を介して受光し、再生信号を得るための周知の構成を備えている。
【0086】
光ピックアップ要部51の半導体レーザから出射された光ビームaは、光ピックアップ7内の対物レンズ52によって測定ディスク1に集光される。光ビームaが測定ディスク1において測定基板2の測定領域2bに集光した場合は、集光スポットが反射膜44に焦点を結ぶようにフォーカスサーボが行われる。これにより、上述のトラッキング用の案内溝(グルーブ)に導かれて光ビームaが泳動路5e上の所望の検出位置にアクセスし、走査される。また、反射膜44と泳動路5eの底面がほぼ同一平面であるので、泳動路5eにも焦点を結ぶことができ、高感度の測定検出が可能である。
【0087】
測定ディスク1の管理情報領域2aおよび記録領域3aにおいては、反射膜44に代わり記録媒体60が成膜されており、光ビームaは記録媒体60にも焦点を結ぶ。そのため、管理情報領域2aに第1管理情報、記録領域3aに測定データおよび第2管理情報、の記録が可能である。管理情報領域2aおよび記録領域3aにおいても、上記案内溝と同様な案内溝(図示せず)が形成されている。この案内溝にトラッキングを行いながら、記録再生をする技術は、従来の光ディスクの技術の範疇であり、よく知られているため、説明は省略する。
【0088】
測定ディスク1からの反射光は、光ピックアップ要部51のフォトディテクタにて電気信号に変換される。このフォトディテクタは、よく知られているサーボ用の分割ディテクタと情報読み取り用のディテクタとを含んでいる。サーボ用の分割ディステクタの出力信号bはサーボ回路55に送られ、フォーカスサーボやトラッキングサーボを行うために、誤差信号hが対物レンズアクチュエータ53にフィードバックされる。情報読み取り用のディテクタの出力信号jは、光ビームaが測定基板2の測定領域2bを走査しているときは電気泳動のバンドの検出光量を変換した電気信号となり、記録再生回路54へ送られて記憶される。また、光ビームaが測定基板2の管理情報領域2aやデータ基板3の記録領域3aを走査している時は、第1管理情報や、測定データおよび第2管理情報を読み出した信号となり、記録再生回路54に入力されて、復号化された測定データeがコントローラ56へ送られる。なお、第1管理情報や、測定データおよび第2管理情報の記録時は、以下に説明するように、記録再生回路54から記録信号cが光ピックアップ要部51に送られる。そして、内蔵された半導体レーザから記録レーザパルスが測定基板2の管理情報領域2aやデータ基板3の記録領域3aに照射され、データの記録が行われる。したがって、測定基板2に第1管理情報を、データ基板3に第2管理情報を記録するため、切り離された後でも、上述のとおり基板同士の照合が容易となり、改竄が防止できる。
【0089】
コントローラ56は、以下の通り各種の制御を行う。まず、電気泳動電源供給回路59に命令信号fを出力して、電源電圧iをコネクタ9に送り出し、図1に示したように液溜5a〜5dに電源電圧iを供給し、以下で説明する電気泳動のプロセスの制御を行う。また、コントローラ56は、記録再生回路54へ命令信号eを送り、測定基板2からの検出光の測定、測定基板2の管理情報領域2aへの第1管理情報の記録・再生、データ基板3の記録領域3aへの測定データや第2管理情報の記録・再生を行う。また、再生された各種制御情報に従って、未使用の測定チップ5xの番号を出力する出力手段を兼ねる。さらに、制御情報に従って、未使用の測定チップ5xを有効とし、測定を開始する制御手段も兼ねる。また、サーボ回路55へ命令信号gを送り、管理情報領域2aや記録領域3aにおける適切なトラックへ光ビームaをアクセスさせる。また、測定基板2にデータ基板3が接続されたままであるか、あるいは切り離されてデータ基板3のみであるかを、光ピックアップ7への反射光量信号に基づいて事前に判定する手段も兼ねる。
【0090】
測定データ、第1管理情報、第2管理情報の記録・再生は、記録再生回路54にて行われる。図6は、記録再生回路54をさらに詳細に説明する図である。なお、記録再生回路54は、ハードウェアで構成する場合と、CPUやメモリを用いてソフトウェアで構成する場合と、両方が混在する場合があるが、いずれも機能的には同一であるため、本実施形態ではハードウェアで構成する例を示す。また、その他の回路でもソフトウェアや混在の方式を使用してもよい。
【0091】
記録再生回路54は、図6に示すように、記録回路21、再生回路22、測定回路23、管理情報生成回路24、管理情報読み取り回路25、記憶回路26を備えている。
【0092】
初めに、電気泳動における蛍光の測定時には、光ピックアップ7が測定基板2の測定領域2bに移動し、電気泳動のバンドの蛍光量を検出する。光ピックアップ7から送られた検出光量j1は、記録再生回路54における測定回路23において測定される。測定回路23は、例えば8ビットのA/D変換器であり、コントローラ56からの指令によって、測定ディスクの回転中に泳動路を横切るタイミングで検出光量j1をサンプリングする。測定データaaは記憶回路26に一時的に記憶される。
【0093】
次に、管理情報および測定データの記録時は、まず記憶回路26の測定データabが管理情報生成回路24に送られ第1管理情報(および必要に応じて第2管理情報)acを生成して、記録回路21に送られる。ここで、本実施形態では、第1管理情報および第2管理情報は、同じものであり、測定データに対応付けられて生成されるとする。管理情報生成回路24は、例えば、測定データそのものや測定日時・測定対象者(被測定者)などの情報のうち一部分を、第1管理情報および第2管理情報として生成してもよい。もちろん、第1管理情報および第2管理情報は上記に限定されず、上記以外にも、特別な照合コードであってもよい。
【0094】
記録回路21では、この第1管理情報および第2管理情報acと、測定データabとを記録信号cとして光ピックアップ7に出力する。ここで、「検出光量j1」はアナログ値、「測定データaa」はデジタル値、「測定データab」は記憶されていたデジタル値であるため、符号を使い分けている。記録信号cに基づいて、光ピックアップ7から光ビームaが、測定基板2の管理情報領域2aと、データ基板3の記録領域3aとに照射され、記録が行われる。これで試料の測定とデータの記録とは終了する。この後、上述のように測定基板2とデータ基板3は切り離される。測定基板2とデータ基板3との照合時は、管理情報領域2aと記録領域3aとから信号が読み出され、読み出し信号j2が再生回路22に送られる。再生回路22では、測定データが再生されると共に、第1管理情報(と必要に応じて第2管理情報)adが管理情報読み取り回路25に送られて、照合が行われる。
【0095】
なお、上記の記録再生回路54は、測定回路23と再生回路22との両方を備えた例を示した。しかし、測定装置13を、測定のみを行う測定装置と、再生のみを行う再生装置とに分けて使用する場合もある。つまり、検査機関で測定者が測定装置において測定対象者に関する試料の測定を行ってデータの記録のみを行い、データ基板3を測定基板2から切り離した後に、測定対象者本人に渡す。そして、測定対象者はデータ基板3だけを持参して、別の診察機関の再生装置においてデータを読み出し、診断を受けることもできる。この場合は、測定装置には上記再生回路22および管理情報読み取り回路25は不要であり、上記測定回路23、および記憶回路26、管理情報生成回路24、記録回路21を備えればよい。逆に、再生装置には上記測定回路23、および記憶回路26、管理情報生成回路24、記録回路21は不要であり、上記再生回路22および管理情報読み取り回路25を備えればよい。
【0096】
なお、上記測定では、測定ディスク1は、ターンテーブルに設置されて回転される。この、ターンテーブル11について説明する。図7は、測定装置13における、測定ディスク1を装着した状態のターンテーブル11の要部を示す斜視図である。測定ディスク1は、ターンテーブル11に載せられ、コネクタ9,9,・・・によってターンテーブル11に固定される。コネクタ9は、便宜上3つのみ示しているものの、実際には測定チップ5xと同数の搭載されている。コネクタ9は、測定ディスク1の最外周部に引き出して配線された電極6a〜6dに接続され、電源コード10,10,・・・を介して電源電圧iが供給される。ターンテーブル11はスピンドルモータ12によって所定の回転速度で回転される。なお、再生においては、測定基板2とデータ基板3とが嵌め合わされて、ターンテーブル11に配置されても、測定基板2とデータ基板3とが、それぞれ別々にターンテーブル11に配置され、別々に再生されてもかわまない。
【0097】
(測定装置における測定および記録)
測定装置13が行う測定および記録の動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。
【0098】
測定を開始すると(ステップ1、以後S1のように称する)、まず測定基板2へ光ピックアップ7を移動する(S2)。測定基板2が切り離されているか、あるいは切り離されずに存在するかを確認する(S3)。データ基板3のみであること、つまり、測定基板2が切り離されていることを確認すると(S3においてNO)、動作は終了する(S9)。このとき、測定不可の表示を表示部(図示せず)にしてもよい。測定基板2が存在する場合には、試料として、たとえばDNAの測定サンプルの注入指示を、表示部(図示せず)に表示する(S4)。なお、注入指示は測定者に対して行うものであり、例えば注入が自動化されている場合には、表示しなくてもよい。試料(測定サンプル)に対して電気泳動を行う(S5)。このとき、電気泳動電源供給回路59から所望の電源電圧iがコネクタ9を介して測定チップ5xに供給され、電気泳動が行われる。
【0099】
電気泳動が終了すると、光ピックアップ7によって泳動パターンのバンドからの蛍光を検出する(S6)。そして、電気泳動の測定結果を示す測定データを記憶し(S7)、測定を終了する(S8)。その後、測定データをデータ基板3に記録する。
【0100】
次に測定データの記録動作(S10)について説明する。データ記録を開始すると(S21)、まず、測定データに基づいて、第1管理情報(と必要に応じて第2管理情報)を生成する(S22)。データ基板3の記録領域3aにピックアップを移動し(S23)、測定データ(と必要に応じて第2管理情報)を記録する(S24)。また、測定基板2の管理情報領域2aにピックアップを移動し(S25)、第1管理情報を記録する(S26)。このデータの記録の順番は特に限定されない。つまり、S23〜S26はどの順に行われても構わない。測定装置13に切断装置が備えられていれば、測定基板とデータ基板を切り離して(S27)、データ記録を終了する(S28)。切断装置がなければS27は必要なく、S28でデータ記録を終了した後に、測定者等がカッター等で切り離してもよい。
【0101】
以上によれば、測定基板2にて試料の測定を行った後に、まず測定データに対応付けられた第1管理情報を測定基板2の管理情報領域2aに記録し、測定データ(と必要に応じて第2管理情報)をデータ基板3の記録領域3aに記録する。その後、測定基板2とデータ基板3とを連結領域4において切断する。測定基板は試薬や病原菌などが残った基板であり、検査機関などで冷凍保存するなど厳重に保管されるのが好ましい。また、データ基板3は測定データが記録されているため測定対象者である患者やデータ管理者が利用することがあるが、2次感染などの危険性はないため、安心して利用することができる。
【0102】
(測定基板とデータ基板との照合)
切断後の測定基板2とデータ基板3とを照合する場合は、既に上述したように、管理情報領域2aと記録領域3aとに光ピックアップ7が移動し、記録領域3aから測定データ(と必要に応じて第2管理情報)とが読み取られ、また、管理情報領域2aから第2管理情報が読み取られて、照合が行われる。この照合により、次のように、改竄された偽のデータ基板を発見することができる。
【0103】
例えば、正しい測定データを記録したデータ基板(真データ基板とする)の他に、第3者によって架空の測定データや、改竄された測定データを記録した偽データ基板が作製されたとする。しかしながら、この偽データ基板と照合可能な測定基板は存在しない。したがって、偽データ基板が存在する場合は、照合可能な測定基板が保管庫に存在するかを判定すればよい。測定基板とデータ基板には、互いに相手を照合するための、第1管理情報と第2管理情報とが記録されているからである。よって、疑わしいデータ基板が存在した場合に、測定基板と照合することによって、架空データや改竄データを記録した偽データ基板であるか否かを容易に判定することができる。そのため、測定データの安全性が高まるので、測定データの利用者は、安心してデータを利用することができる。
【0104】
本実施形態では、なお、第1管理情報と第2管理情報とを記録するものとするが、第1管理情報が測定基板2に記録されるだけでもかまわない。第2管理情報がデータ基板3に記録されていれば、測定ディスクの項にも記載したように、より確実に測定データの安全性を確かめることができる。
【0105】
以上には、本発明に係るハイブリッド基板、測定装置の一例として、測定ディスク1とそれを用いる測定装置13を例に挙げて、その主要部と管理情報について説明した。上記測定ディスク1を用いた電気泳動の方法について、以下にその概略を説明する。
【0106】
(測定チップの構造)
図1に示すように、測定基板2の測定領域2bは、測定ディスク1の中心から放射状に配置された複数の測定チップ5x,5x,・・・を備えている。本実施形態では、8つの測定チップ5xが測定基板2に搭載されている。もちろん、測定チップ5xの数は限定されない。図示しないが、各測定チップ5xには番号が割り当てられ、この番号を参照して測定チップ5xの使用済みのものと未使用のものとを区別できるようになっている。
【0107】
本実施形態では、測定チップ5xの一例として、測定チップ5xが電気泳動チップである場合を説明する。図1に示すように、測定チップ5xは、液溜5a〜5dと泳動路5eとを備えている。この電気泳動チップの構造は、一般に使われている構造であり、例えば特許文献2に測定例と共に開示されている。
【0108】
泳動路5eは、溝状に形成され、測定ディスク1の径方向に延びる第1泳動路とこれに直交する方向に延びる第2泳動路とからなり、これら2つの経路が十字形をなすように配置されている。液溜5a〜5dは、泳動路5eの4つの端部に泳動路5eと連通するようにそれぞれ1つ配置されている。
【0109】
泳動路5eの幅および深さは数μm〜数百μmであり、液溜5a〜5dの直径は数百μm〜数mmである。このように細い泳動路5eは一般にマイクロチャネル又はマイクロキャピラリと呼ばれている。泳動路5eは、上述したようにカバー層によって密閉されている。一方、液溜5a〜5dは、バッファ溶液やサンプル溶液が注入されるため、測定ディスク1の表面に露出している。
【0110】
また、本実施形態では、液溜5a〜5dに接続された電極(電源接続配線)6a〜6dが記録領域の最外周部(測定ディスク1の最外周部)に引き出して形成されている。それら電極端部に上記測定装置13からコネクタ9を介して電気泳動用の電源が供給される。具体的には、液溜5aに電極6a、液溜5bに電極6b、液溜5cに電極6c、液溜5dに電極6dがそれぞれ接続されている。
【0111】
ここで、図5に示すように、泳動路5eの下部には金属の反射膜44を成膜しない。なぜならば、電気泳動のための電界が金属の反射膜44によって生じにくくなるためである。なお、金属以外の反射膜の場合はこの限りではない。この反射膜44の有無は、以下の通り、測定基板2の有無の判断として利用できる。反射光は、反射膜44によって反射されれば強く、反射されなければ弱くなる。したがって、反射膜44がある案内溝43の領域と、反射膜44が無い泳動路5eの領域とには、反射光の相対的な差が生じる。よって反射光を上記記録再生回路54にて検出すれば、測定基板2の有無を知ることができる。つまり、測定ディスク1において、測定基板2が存在する場合には反射膜44の有無によって高いレベルの反射光量と低いレベルの反射光とが検出され、測定基板2が切り離されていて存在せずデータ基板3のみとなっている場合には、低いレベルの反射光量のみが検出されることにより、測定基板2の有無を判断できる。なお、上記に限らず、例えば、データ基板3の記録領域3aに、測定基板2の有無の情報を記録しておけば、測定基板2の有無情報を読み出すことによって、測定基板2の有無を知ることもできる。
【0112】
このような構成により、測定チップ5xのすべてを使用した後に切り離された測定ディスク1であるか、あるいは未使用の測定チップ5xが残っている測定ディスク1であるかを判別することができる。これにより、測定装置13が、測定チップ5xを使い切った測定ディスク1に誤って測定操作を行うこと、あるいは測定が未終了の測定ディスク1に誤って測定操作を拒否することなどの誤動作を防止することができる。
【0113】
なお、本実施の形態では、測定基板2が有する測定チップ5xとして電気泳動チップの例を用いているが、これに限られることはない。測定チップ5xとしては、例えば、インキュベーションや、カラムクロマトグラフィーなどの他のチップが用いられてもかまわない。
【0114】
(測定チップにおける電気泳動)
測定チップ5xにおける測定のプロセスを図1および図7を用いて説明する。初めに、バッファ溶液を気泡が入らないように図1に示す液溜5a〜5dに注入し、その後サンプル溶液(測定を行う試料を溶解した溶液)を液溜5aに注入する。なおバッファ溶液サンプル溶液の注入は測定者が行ってもよいし、自動化されており、コントローラ56による制御の下で行ってもよい。そして、図7に示す電源コード10およびコネクタ9から電極6aに+電圧電源(数十〜数百ボルト)を接続し、電極6cをグランドに接続する。この時、電極6bおよび電極6dは開放しておく。これにより、液溜5aに+電圧(数十〜数百ボルト)が印加され、液溜5cにゼロボルトが印加され、注入されたサンプル(試料、たとえばDNA)は、泳動路5e(マイクロキャピラリ)の中を液溜5aから液溜5cに向かって泳動する。
【0115】
次に、サンプル溶液に含まれるサンプルが泳動路5eにおける十文字の交点に到達したら、電極6bを+電圧電源(数十〜数キロボルト)に接続し、電極6dをグランドに接続する。また、電極6a及び電極6cは開放する。従って、電気泳動用の電極を、電極6a及び電極6cから、電極6b及び電極6dに切り替えることになる。これにより、液溜5bに+電圧(数十〜数キロボルト)が印加され、液溜5dにゼロボルトが印加され、注入されたサンプルは泳動路5eの中を液溜5bから液溜5dに向かって泳動する。このようなマイクロキャピラリを用いた電気泳動測定の原理は良く知られているため、詳細な説明は省略する。なお、電圧の印加はコントローラ56による制御の下で行われるものとする。
【0116】
〔実施の形態2〕
本発明の測定装置に関する他の実施形態について、図9〜図11に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1にて説明した構成と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、実施の形態1と同じ符号の信号は、実施の形態1と同じものを指すものとする。
【0117】
本実施形態の測定装置は、実施の形態1における測定装置と比較して、記録再生回路の構成が異なっている。本実施形態の図9に示す記録再生回路54’は、図6に示した記録再生回路54の別の例である。なお、本実施形態では、実施の形態1と同様に、記録再生回路54’をハードウェアで構成する例を示すが、ソフトウェアや、混在方式を使用してもよい。
【0118】
(記録再生回路)
記録再生回路54’は、図9に示すように、記録回路21、再生回路22、測定回路23、記憶回路26、管理情報生成回路24’、管理情報読み取り回路25’を備えている。
【0119】
初めに、試料の測定時は、記録再生回路54’において、検出光量j1が測定回路23にて測定される。測定回路23は、たとえば8ビットのA/D変換器であり、コントローラ56からの指令によって、測定ディスク1のターンテーブル11上での回転中に流路を横切るタイミングで検出光量j1をサンプリングする。測定データaaは記憶回路26に一時的に記憶される。
【0120】
次に、第1管理情報と、第2管理情報および測定データとの記録時は、まず記憶回路26の測定データabが管理情報生成回路24’に送られ、第1管理情報および第2管理情報acが生成されて記録回路21に送られる。ここで、管理情報生成回路24’は、測定データabのハッシュ値(以下、第1ハッシュ値)を求めるハッシュ値演算回路として機能する。つまり、第1管理情報および第2管理情報acは、測定データabの第1ハッシュ値である。本実施形態では、簡単のため、第1管理情報および第2管理情報acは同一のハッシュ値(第1ハッシュ値)としたが、もちろん、同一に限定されることはなく、ハッシュ関数を第1管理情報用と第2管理情報用とに個別に設けて、異なるハッシュ値としてもよい。ここで、よく知られているように、ハッシュ値から測定データacを逆算したり、あるいは推測したりすることは不可能となる。このため、ハッシュ値およびハッシュ関数は、度々一方向ハッシュ値や一方向ハッシュ関数と呼ばれることもある。しかし、本明細書中では、ハッシュ値およびハッシュ関数に統一しておく。また、事実上、ハッシュ値は、一つのデータからは一つのハッシュ値しか得られないという性質を持つ。そのため、一の測定データに対して、複数のハッシュ値が得られる可能性は低く、逆に一つのハッシュ値に対して、複数の測定データが存在する可能性も低い。
【0121】
上記のように生成された第1ハッシュ値acと測定データabとは、記録回路21cに送られる。記録回路21では、第1ハッシュ値acと測定データabとを記録信号cとして光ピックアップ7に出力する。光ピックアップ7からは記録信号cに基づいて光ビームaが、測定基板2の管理情報領域2aと、データ基板3の記録領域3aに照射され、記録が行われる。この後、上述のように測定基板2とデータ基板3は切り離される。以上のように、データの記録は終了する。
【0122】
次に、データの照合について説明する。照合時は、光ピックアップ7によって、管理情報領域2aから第1管理情報である第1ハッシュ値と、記録領域3aから測定データおよび第2管理情報である第1ハッシュ値とが読み出され、読み出し信号j2が再生回路22に送られる。再生回路22では、測定データaeと第1ハッシュ値adが管理情報読み取り回路25’に送られて、照合が行われる。管理情報読み取り回路25’では、まず測定データaeがハッシュ値演算回路25bに送られて、第2ハッシュ値agを求める。なお、このハッシュ値演算回路25bは、上述のハッシュ値演算回路24と兼用してもかまわない。そして、比較回路25aにおいて、第2ハッシュ値agと、再生回路22にて再生された第1ハッシュ値adとが比較される。
【0123】
ここで、仮に、第3者によって測定データaeが改竄された場合を想定する。この改竄された測定データaeから求めた第2ハッシュ値(偽第2ハッシュ値と呼ぶ)agは、測定データが改竄されているので、第1ハッシュ値adとは、別の値になる。つまり、データ基板3から直接読み出された第1ハッシュ値adと、偽の測定データaeから求めた偽の第2ハッシュ値agがもはや一致しなくなる。すなわち、測定データが改竄された場合、ハッシュ値を照合することによって改竄を検出することができる。
【0124】
さらに、測定データと共に第2管理情報である第1ハッシュ値も改竄される恐れがある。しかし、ハッシュ関数としてどのような関数を使用したかを秘密にしておけば、第1ハッシュ値を改竄することはできない。万一、ハッシュ関数を盗まれて、第1ハッシュ値も改竄されると、データ基板3において、偽の測定データから求めた偽第2ハッシュ値と、改竄された第1ハッシュ値(偽第1ハッシュ値)とが一致してしまう恐れがある。しかし、この場合は正しい真の第1ハッシュ値が測定基板2に記録されたまま、厳重に保管している。したがって、測定基板2に記録された真の第1ハッシュ値と、偽の測定データから求めた偽第2ハッシュ値とを照合すれば、やはり改竄を発見できる。従って、データ基板3を再生して測定データから求めた第2ハッシュ値とデータ基板3に記録された第1ハッシュ値との2つのハッシュ値を照合する第1の照合と、さらに測定基板2を再生して、測定基板2に記録された第1ハッシュ値と、上記測定データから求めた第2ハッシュ値とを照合する第2の照合とが可能となる。よって、2重の照合が可能になり、さらに、安全性が高まる。
【0125】
上記記録再生回路54’の制御はコントローラ56により行われる。つまり、コントローラ56は、実施の形態1の制御に加え、ハッシュ値の演算についての制御を行う。
【0126】
なお、実施の形態1と同様に、本実施の形態の測定装置では、上記の記録再生回路54’は、測定機能および再生の機能両方を備えているものとして説明した。しかし測定回路23、記憶回路26、管理情報生成回路24’、記録回路21を備えた測定装置と、再生回路22および管理情報読み取り回路25’を備えた再生装置とに分けても構わない。
【0127】
(測定装置における記録)
次に、本実施形態の測定装置の測定及び記録の動作を、図10のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。試料の測定における動作は図8に示したS1〜S9と同様であるため説明は省略する。実施の形態1に記載したS10におけるデータの記録が異なっているので、このデータの記録(S10’)について説明する。
【0128】
データ記録を開始すると(S31)、管理情報生成回路24’は、測定データに基づいて、第1ハッシュ値を生成する(S32)。データ基板3の記録領域3aに光ピックアップ7を移動し(S33)、記録回路21により、測定データと第1ハッシュ値とを記録する(S34)。そして、測定基板2の管理情報領域2aに光ピックアップ7を移動し(S35)、第1ハッシュ値を記録する(S36)。なお、データの記録の順番は特に限定されない。つまり、S33〜S26はどの順に行われても構わない。そして、測定基板とデータ基板を切り離して(S37)、管理情報とデータの記録を終了する(S38)。なお、本実施形態の測定装置に切断装置がなければS37は必要なく、S38でデータ記録を終了した後に、測定者等がカッター等で切り離してもよい。
【0129】
(測定装置における照合)
本実施形態の測定装置が、データ基板3におけるデータを照合(基板の照合)する動作を、図11のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。
【0130】
基板の照合を開始すると(S41)、初めに切り離されたデータ基板3を測定装置の再生における所定位置に装填する(S42)。そして、記録領域3aに光ピックアップ7を移動し(S43)、記録されている測定データと第1ハッシュ値とを再生する(S44)。この再生された測定データから第2ハッシュ値を演算する(S45)。そして、第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とを比較する(S46)。第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とが等しければ、測定データは改竄されていないことを確認することができる(S47)。しかし、第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とが等しくなければ、改竄されていることを確認することができる(S48)。以上により、基板の照合は終了する(s49)。
【0131】
なお、上記のように、ハッシュ関数を盗まれて、第1ハッシュ値も改竄されると、データ基板3において、偽の測定データから求めた偽第2ハッシュ値と、改竄された第1ハッシュ値(偽第1ハッシュ値)とが一致してしまう恐れがある。ハッシュ関数を盗まれた可能性がある場合、別途保管された測定基板2の管理情報領域2aに光ピックアップ7を用いて第1ハッシュ値を読み出して、データ基板3における改竄された可能性のある測定データから求めた第2ハッシュ値とを照合すればよい。そうすると、改竄を発見することができる。
【0132】
〔実施の形態3〕
本発明の測定装置に関する他の実施形態について、図12〜図14に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1あるいは実施の形態2にて説明した構成と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、実施の形態1あるいは実施の形態2と同じ符号の信号は、実施の形態1あるいは実施の形態2と同じものを指すものとする。
【0133】
本実施形態の測定装置は、実施の形態1あるいは実施の形態2における測定装置と比較して、記録再生回路の構成が異なっている。本実施形態の図12に示す記録再生回路54’’は、図6に示した記録再生回路54、図9に示した記録再生回路54’の別の例である。なお、本実施形態では、実施の形態1および実施の形態2と同様に、記録再生回路54’’をハードウェアで構成する例を示すが、ソフトウェアや、混在方式を使用してもよい。
【0134】
(記録再生回路)
記録再生回路54’’は、図12に示すように、記録回路21、再生回路22、測定回路23、記憶回路26、管理情報生成回路24’’、管理情報読み取り回路25’’を備えている。
【0135】
初めに、試料の測定時は、記録再生回路54’’において、検出光量j1が測定回路23において測定される。測定回路23は、たとえば8ビットのA/D変換器であり、コントローラ56からの指令によって、測定ディスク1のターンテーブル11上での回転中に流路を横切るタイミングで検出光量j1をサンプリングする。測定データaaは記憶回路26に一時的に記憶される。
【0136】
次に、第1管理情報、第2管理情報、測定データの記録時は、以下のように、記憶回路26の測定データabが管理情報生成回路24’’に送られ、第1管理情報としての秘密鍵の情報ac1と第2管理情報としての公開鍵ac2および暗号化されたハッシュ値ac3が生成されて記録回路21に送られる。管理情報生成回路24’’は、秘密鍵生成回路24b、公開鍵生成回路24c、ハッシュ値演算回路24aおよび暗号化回路24dを備えている。測定データabはハッシュ値演算回路24aに入力され、第1ハッシュ値ajが暗号化回路24dに出力される。実施の形態2での述べたとおり、ハッシュ値ajから測定データabを逆算したり、あるいは推測したりすることは不可能となる。また、一つの測定データに対してハッシュ値は、事実上一つであり、逆に一つのハッシュ値に対して測定データも事実上一つである。
【0137】
秘密鍵生成回路24bは非対称暗号の一方の鍵であり暗号化を行うための鍵である秘密鍵ac1を生成し、暗号化回路24dと記録回路21とに送る。暗号化回路24dは、秘密鍵ac1を用いて第1ハッシュ値ajを暗号化して、暗号化ハッシュ値ac3を記録回路21に送る。公開鍵生成回路24cは、非対称暗号の他方の鍵であり復号を行うための鍵である公開鍵ac2を記録回路21に送る。記録回路21では、これらの秘密鍵ac1、公開鍵ac2、暗号化ハッシュ値ac3および測定データabを記録するための記録信号cを光ピックアップ7に出力する。光ピックアップ7は、記録信号cに基づいて光ビームaを出射し、測定基板2の管理情報領域2aに秘密鍵ac1を、データ基板3の記録領域3aには公開鍵ac2、暗号化ハッシュ値ac3、測定データabを記録する。この後、測定基板2とデータ基板3は切り離される。なお、本実施形態では暗号化する鍵を測定基板2に記録して保管するため、この鍵を秘密鍵と呼ぶ。また、復号化する鍵はデータ基板3に記録して公開するため、この鍵をに公開鍵と呼ぶ。しかし、一般的な非対称暗号方式(公開鍵暗号方式)においてはこの逆であり、暗号化する鍵を公開鍵と呼び、復号化する鍵を秘密鍵と呼んでいる。
【0138】
ここで、ハッシュ値演算回路24aと暗号化回路24dは未公開であるため、第3者は、用意するのは困難である。また、仮に、ハッシュ値演算法と暗号化法がそれぞれ30種類公開されていて、ハッシュ値演算回路と暗号化回路では、その中から適切なものを選んで処理するものであると仮定した場合、900通りの演算と暗号化を行い、900種類のデータ基板を作る必要がある。どれが正しい組み合わせかわからないので、認証時に900種類の偽データ基板が次々と読み出されることになる。よって、このような多数の読み出しだけで改竄が行われていることが発覚する。つまり、このことは、それほど簡単にはデータとハッシュ値を改竄できないことを示している。
【0139】
次に、上記のように各データが記録された後の、データの照合について説明する。上記ように記録を行うと、以下に示すようにデータ基板3に記録された測定データが本物であることを認証することができる。
【0140】
照合時は、初めに、記録領域3aから公開鍵、暗号化ハッシュ値、測定データが読み出され、読み出し信号j2が再生回路22に送られる。再生回路22では、測定データae、暗号化ハッシュ値ad1および公開鍵ad2が管理情報読み取り回路25’’に送られる。なお、公開鍵、暗号化ハッシュ値、測定データ等は、記録した信号と、読み出した信号とで、符号を使い分けている。
【0141】
管理情報読み取り回路25’’では、まず測定データaeがハッシュ値演算回路25bに送られて、第2ハッシュ値agを求める。なお、このハッシュ値演算回路25bは、上述のハッシュ値演算回路24aと兼用してもかまわない。次に、ハッシュ値復号化回路25cは、公開鍵ad2を用いて暗号化ハッシュ値ad1を復号して第1ハッシュ値adを出力する。比較回路25aは、複合化された第1ハッシュ値adと、測定データaeから演算した第2ハッシュ値agが比較される。
【0142】
比較結果した結果、第1ハッシュ値adと第2ハッシュ値agとが等しい場合は、データは改竄されていないことになる。仮に、第3者によって測定データaeが改竄されたとすれば、測定データaeから求めた偽の第2ハッシュ値agは改竄データに応じて別の値になる。つまり、データ基板3から直接読み出された真の第1ハッシュ値adと、改竄された測定データaeから求めた偽の第2ハッシュ値agがもはや一致しなくなる。すなわち、測定データが改竄されると、ハッシュ値の照合によって改竄を検出することができる。
【0143】
また、データ基板において、測定データと共に第1ハッシュ値も改竄される恐れがある。しかし、第1ハッシュ値は秘密鍵ac1によって暗号化され、しかも暗号化された後は秘密鍵ac1は保管庫に厳重に保管されるため、たとえ第3者が公開鍵ad2をもっていても、第1ハッシュ値を暗号化することは不可能である。したがって、第3者は第1ハッシュ値を作成できない。この第1ハッシュ値は、言い換えれば認証のための情報であり、第2ハッシュ値が第1ハッシュ値と等しい場合は、測定データが正しいものであることを認証できる。なお、秘密鍵を測定基板に記録する理由は、測定ディスク1においてすべての測定チップ5xを使用する前に、一時的に測定データをデータ基板3に記録しておき、再度同じ測定ディスク1で測定を再開するときに、測定基板2の秘密鍵を読み出して使用できるようにするためである。このようにして、すべての測定チップ5xを使用するまで測定基板の秘密鍵を利用し、すべての測定チップ5xを使用した後は測定基板2とデータ基板3とを切り離して、それぞれ保管することができる。
【0144】
上記記録再生回路54’’の制御はコントローラ56により行われる。つまり、コントローラ56は、実施の形態1および実施の形態2の制御に加え、秘密鍵および公開鍵の生成、データの暗号化、データの復号化についての制御を行う。
【0145】
なお、実施の形態1および実施の形態2と同様に上記の記録再生回路54’’は、測定回路23および再生回路22の両方を備えた例を示したが、測定回路23のみを備えた測定装置と、再生回路22のみを備えた再生装置とに分けても構わない。
【0146】
(測定装置における記録)
次に、本実施形態の測定装置の測定及び記録の動作を、図13のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。試料の測定における動作は図8に示したS1〜S9と同様であるため説明は省略する。実施の形態1に記載したS10におけるデータの記録が異なっているので、このデータの記録(S10’’)について説明する。
【0147】
データ記録を開始すると(S61)、測定基板3へ光ピックアップ7が移動し(S62)、管理情報領域から秘密鍵を再生する(S63)。秘密鍵が再生できれば、過去に測定データや第1および第2管理情報が記録されたことになる(S64)。秘密鍵が再生できない場合は、秘密鍵と公開鍵とを生成する(S65)。また、測定データの第1ハッシュ値を生成する(S66)。そして、第1ハッシュ値をS65で生成した秘密鍵で暗号化する(S67)。次に、データ基板3へ光ピックアップ7を移動し(S68)、第2管理情報としての暗号化ハッシュ値および公開鍵と、測定データとを記録領域3aに記録する(S69)。さらに、測定基板3へ光ピックアップ7を移動し(S70)、第1管理情報として秘密鍵を管理情報領域2aに記録する(S71)。なお、データの記録の順番は特に限定されない。つまり、S68〜S71はどの順に行われても構わない。測定基板2における測定チップ5xのうち未使用のチップがある場合、測定基板2とデータ基板3とを切り離してよいかどうか判断する(S72)。切り離すのはよくないと判断した場合は(S72においてNO)、測定ステップへ戻る(S75)、つまり、S1から繰り返す。切り離してよいと判断した場合は(S72においてYES)、測定基板とデータ基板を切り離す(S73)して、データの記録を終了する(S74)。なお、本実施形態の測定装置に切断装置がなければS73は必要なく、S74でデータ記録を終了した後に、測定者等がカッター等で切り離してもよい。
【0148】
(測定装置における照合)
本実施形態の測定装置が、データ基板3におけるデータを認証(基板の認証)する動作を、図14のフローチャートを用いて説明する。以下の動作はコントローラ56の制御の下行われる。
【0149】
基板の認証を開始すると(S81)、初めに切り離されたデータ基板3を測定装置の再生における所定位置に装填する(842)。そして、記録領域3aに光ピックアップ7を移動し(S83)、記録されている暗号化ハッシュ値、公開鍵および測定データを再生する(S84)。この再生された公開鍵を用いて、暗号化ハッシュ値を復号し、第1ハッシュ値を求める(S85)。また、再生された測定データから第2ハッシュ値を演算する(S86)。そして、第1ハッシュ値と第2ハッシュ値とを比較する(S87)。ハッシュ値が等しいと判断すれば(S87においてYES)、認証される(S88)。しかし、ハッシュ値が等しくないと判断すれば(S87においてNO)、認証不可となる(S89)。以上により、データ基板の認証は終了する(S90)。S88で認証されれば、測定データは、改竄や捏造されたものではなく、真の測定データであるということができる。また、S89のように認証されなければ、測定データは、改竄や捏造されたものであり、偽の測定データであるということができる。このように、測定データにおける、改竄を発見することができる。
【0150】
〔実施の形態4〕
本発明のハイブリッド基板に関する他の実施形態について、図15に基づいて以下に説明する。上述の実施の形態1、2および3では、図1に示すように測定用セルの一例として電気泳動チップを挙げて説明した。本実施形態では、電気泳動チップの代わりに、他の形状のセルを使用したハイブリッド基板について説明する。
【0151】
図15は、アッセイ用の微小なセル106(たとえば、DNAハイブリダイゼーション用セル)が形成されている、本実施形態のハイブリッド基板101の構造を示す図である。ハイブリッド基板101の形状は、上述のディスク形状ではなく、カード形状となっている。このカード形状のハイブリッド基板(以下、測定カードと称す)101は、測定基板102、データ基板103、および連結領域104からなる。
【0152】
測定基板102は、測定データと対応付けられた第1管理情報を記録する管理情報領域102aと、試料の測定が可能な測定領域102bとを備えている。測定領域102bには、上述した泳動路5eの代わりに、アッセイ用のセル106が、多数形成されている。各セル106のサイズは、いずれも、10μm〜1mmである。このセル106の数やサイズは限定されない。セル106の間には、一方向に案内溝が設けられている。管理情報領域102aには、図示しない番地情報も設けられている。
【0153】
データ基板103は、データの記録が可能な記録領域103aを備えている。記録領域103aは、測定基板にて試料を測定した結果を示す測定データと、測定データおよび第一管理情報の少なくとも一方と対応付けられた情報である第2管理情報とが記録可能になっている。
【0154】
連結領域104は、実施の形態1の連結領域4と同様、測定基板102とデータ基板103とを接続するものであり、連結部104aと切欠き部104bとからなる。連結部104aは、測定基板102とデータ基板103とを連結するものであり、測定基板102とデータ基板103の間において複数個が分散して形成されている。もちろん、連結部104aの個数は限定されない。これら連結部104aと隣の連結部104aとの間は、切欠き部104b、即ち空間となっている。したがって、測定カード101は、切欠き部104bによって測定基板102とデータ基板103とに分離され、連結部104aによって連結されている。
【0155】
なお、本発明に係るハイブリッド基板は、電気泳動に限らず、ハイブリダイゼーション、インキュベーション、およびカラムクロマトグラフィーなどの、他のアッセイにおいても使用可能である。
【0156】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0157】
本発明のハイブリッド基板は、次のようなハイブッリド測定基板として表現してもよい。すなわち、本発明に係るハイブリッド測定基板は、物理的または化学的測定を行う測定基板と、測定データを記録するデータ基板と、これら両基板を連結する連結手段とを備え、前記測定基板は、物理的または化学的測定を行う測定領域と、測定データを管理するための第1管理情報を記録する管理情報領域を備え、前記データ基板は、測定データと第2管理情報を記録するデータ管理情報領域を備えていてもよい。
【0158】
また、本発明に係るハイブッリド測定基板では、上記構成に加え、前記1管理情報および第2管理情報は、前記測定データを演算して所定の情報量に減じた二次データを含んでもよい。
【0159】
また、本発明に係るハイブッリド測定基板では、上記構成に加え、前記第1管理情報は、暗号化における非対称鍵の一方である秘密鍵を含み、前記2管理情報は、前記測定データを演算して所定の情報量に減じた二次データを前記秘密鍵によって暗号化した認証情報と、前記非対称鍵における他方の公開鍵とを含んでもよい。
【0160】
また、本発明に係るハイブッリド測定基板では、上記構成に加え、前記演算はハッシュ関数であり、前記二次データは前記測定データのハッシュ値であってもよい。
【0161】
また、本発明に係る測定装置は、次のように表現してもよい。すなわち、本発明に係る測定装置は、上記ハイブリッド測定基板を使用する測定装置であって、前記測定領域において物理的または化学的測定を行う測定手段と、測定データを管理するための第1管理情報および第2管理情報を生成するする第1管理情報生成手段および第2管理情報生成手段と、前記第1管理情報を前記測定基板の管理情報領域に記録し、前記測定データと第2管理情報を前記データ基板のデータ・管理情報領域に記録してもよい。
【0162】
また、本発明に係る測定装置では、上記構成に加え、前記第1管理情報生成手段および第2管理情報生成手段は、前記測定データを演算して所定の情報量に減じた二次データを生成する二次データ生成手段を備えてもよい。
【0163】
また、本発明に係る測定装置では、上記構成に加え、前記第1管理情報生成手段は、暗号化における非対称鍵の一方である秘密鍵を生成する秘密鍵生成手段を備え、前記2管理情報生成手段は、前記非対称鍵における他方の公開鍵を生成する公開鍵生成手段と、前記測定データを演算して所定の情報量に減じる二次データ生成手段と、前記二次データを前記秘密鍵によって暗号化する暗号化手段とを含んでもよい。
【0164】
また、本発明に係る測定装置では、上記構成に加え、二次データ生成手段は、前記測定データのハッシュ値を求めるハッシュ関数演算手段であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明のハイブリッド基板および測定装置等は、高精度の診断を容易に安価で行うために、光ディスクの技術と生体測定チップの技術を融合させ、測定対象者である患者の住居の近所にある治療拠点あるいは、測定対象者である患者の居住する家庭内において、身近なデジタル医療測定機器を普及させることに大きく貢献できる。本発明は、例えば、医療機器分野、測定装置分野、光ディスク分野等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明に係る実施の一形態の測定ディスクを示す平面図である。
【図2】図1の測定ディスクにおいて、使用済みの測定基板を切り離して、データ基板を保管できることを示す図である。
【図3】図1の測定ディスクにおける連結領域に跨ったバーコードを示す図である。
【図4】図1の測定ディスクを使用する測定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図1の測定ディスクの測定領域における泳動路と液溜との断面を示す斜視図である。
【図6】図3に示した測定装置における記録再生回路の構成を示すブロック図である。
【図7】図3に示した測定装置における、図1の測定ディスクを装着した状態のターンテーブルを示す斜視図である。
【図8】図3の測定装置における測定および記録動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る他の実施形態の記録再生回路の構成を示すブロック図である。
【図10】図9の記録再生回路における測定及び記録動作を示すフローチャートである。
【図11】図9の記録再生回路における照合動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る他の実施形態の記録再生回路であり、図9の記録再生回路とは別の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の記録再生回路における測定及び記録動作を示すフローチャートである。
【図14】図12の記録再生回路における照合動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る他の実施形態のハイブリッド測定基板を示す平面図である。
【図16】従来のバイオコンパクトディスクの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0167】
1 測定ディスク(ハイブリッド測定基板)
2,102 測定基板
2a,102b 測定領域
3,103 データ基板
3a,103a 記録領域
3b,103b 暗号化データ記録領域
4 連結領域
5a〜5d 液溜
5e 泳動路
5x 測定チップ
6a〜6d 電極
7 光ピックアップ(記録手段、再生手段)
13 測定装置
24,24’,24’’ 管理情報生成回路(第1管理情報生成手段、管理情報生成手段)
44 反射膜
54 記録再生回路
56 コントローラ
101 測定カード(ハイブリッド測定基板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の測定が可能な測定基板と、当該測定基板にて試料を測定した結果を示すデータである測定データを記録可能な記録領域を備えたデータ基板と、これら両基板を連結している連結領域とを備え、
前記測定基板は、前記測定データに対応付けられた情報である第1管理情報を記録可能な管理情報領域を備えていることを特徴とするハイブリッド基板。
【請求項2】
上記データ基板の記録領域は、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である第2管理情報を記録可能であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド基板。
【請求項3】
上記第1管理情報および第2管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データを含むことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド基板。
【請求項4】
上記第1管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じて二次データとしたものを暗号化するための秘密鍵の情報を含んでおり、
上記第2管理情報は、上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報と、この認証情報を復号化するための鍵であり前記公開鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報と含んでいることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド基板。
【請求項5】
上記二次データは、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータであることを特徴とする請求項3または4に記載のハイブリッド基板。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド基板を構成する、測定基板。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド基板を構成する、データ基板。
【請求項8】
請求項1に記載のハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、
上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、
試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成する管理情報生成手段と、
上記第1管理情報を、上記測定基板の管理情報領域に記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項2に記載のハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、
上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、
試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成し、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けて第2管理情報を生成する管理情報生成手段と、
第1管理情報を上記測定基板の管理情報領域に、上記第2管理情報をデータ基板の記録領域に記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項10】
上記管理情報生成手段は、上記第1管理情報と第2管理情報とを、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データとして生成することを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
上記管理情報生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを、上記二次データとして生成することを特徴とする請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
上記管理情報生成手段は、
上記測定データを所定の情報量に減じて二次データを生成する二次データ生成手段と、
上記二次データを暗号化するための秘密鍵の情報を上記第1管理情報として生成する秘密鍵生成手段と、
上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報を上記第2管理情報の一部として生成する暗号化手段と、さらに、当該認証情報を復号化するための鍵であり前記秘密鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報を上記第2管理情報の他の一部として生成する公開鍵生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項13】
上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを、上記二次データとして生成することを特徴とする請求項12に記載の測定装置。
【請求項14】
請求項5に記載のハイブリッド基板からデータを読み取る再生装置であって、
上記認証情報と、上記公開鍵と、上記測定データとを再生する再生手段と、
上記公開鍵を用いて上記認証情報を復号化する復号化手段と、
上記データ基板に記録された測定データを所定の情報量に減じて二次データとする二次データ生成手段と、
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項15】
上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを上記二次データとして生成することを特徴とする請求項14に記載の再生装置。
【請求項1】
試料の測定が可能な測定基板と、当該測定基板にて試料を測定した結果を示すデータである測定データを記録可能な記録領域を備えたデータ基板と、これら両基板を連結している連結領域とを備え、
前記測定基板は、前記測定データに対応付けられた情報である第1管理情報を記録可能な管理情報領域を備えていることを特徴とするハイブリッド基板。
【請求項2】
上記データ基板の記録領域は、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けられた情報である第2管理情報を記録可能であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド基板。
【請求項3】
上記第1管理情報および第2管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データを含むことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド基板。
【請求項4】
上記第1管理情報は、上記測定データを所定の情報量に減じて二次データとしたものを暗号化するための秘密鍵の情報を含んでおり、
上記第2管理情報は、上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報と、この認証情報を復号化するための鍵であり前記公開鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報と含んでいることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド基板。
【請求項5】
上記二次データは、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータであることを特徴とする請求項3または4に記載のハイブリッド基板。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド基板を構成する、測定基板。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド基板を構成する、データ基板。
【請求項8】
請求項1に記載のハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、
上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、
試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成する管理情報生成手段と、
上記第1管理情報を、上記測定基板の管理情報領域に記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項2に記載のハイブリッド基板を使用して試料の測定を行う測定装置であって、
上記測定基板において試料の測定を行う測定手段と、
試料を測定した結果を示すデータである測定データと対応付けて第1管理情報を生成し、上記測定データおよび上記第1管理情報の少なくとも一方に対応付けて第2管理情報を生成する管理情報生成手段と、
第1管理情報を上記測定基板の管理情報領域に、上記第2管理情報をデータ基板の記録領域に記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項10】
上記管理情報生成手段は、上記第1管理情報と第2管理情報とを、上記測定データを所定の情報量に減じた二次データとして生成することを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
上記管理情報生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを、上記二次データとして生成することを特徴とする請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
上記管理情報生成手段は、
上記測定データを所定の情報量に減じて二次データを生成する二次データ生成手段と、
上記二次データを暗号化するための秘密鍵の情報を上記第1管理情報として生成する秘密鍵生成手段と、
上記二次データを上記秘密鍵にて暗号化した認証情報を上記第2管理情報の一部として生成する暗号化手段と、さらに、当該認証情報を復号化するための鍵であり前記秘密鍵とは非対称鍵である公開鍵の情報を上記第2管理情報の他の一部として生成する公開鍵生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項13】
上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを、上記二次データとして生成することを特徴とする請求項12に記載の測定装置。
【請求項14】
請求項5に記載のハイブリッド基板からデータを読み取る再生装置であって、
上記認証情報と、上記公開鍵と、上記測定データとを再生する再生手段と、
上記公開鍵を用いて上記認証情報を復号化する復号化手段と、
上記データ基板に記録された測定データを所定の情報量に減じて二次データとする二次データ生成手段と、
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項15】
上記二次データ生成手段は、ハッシュ関数を用いて所定の情報量に減じられた上記測定データのハッシュ値のデータを上記二次データとして生成することを特徴とする請求項14に記載の再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−93383(P2007−93383A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283089(P2005−283089)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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