説明

ハイブリッド電気車輌用のエネルギー管理システム

【課題】バッテリイパックの所望の状態変化の調節は、将来のエネルギー需要及び/又は電荷スペース要求についてバッテリイパックの充電状態を最適化することを可能とする。
【解決手段】ハイブリッド車のエネルギーレベルを所望の大きさに保つエネルギー制御部40の実現をする。ハイブリッド車のエネルギーレベルが少くとも次の諸量の関数であることを利用し、それぞれの推定器42,44を制御部に備えた。エネルギーには、(i)ハイブリッド車の機械的な運動エネルギー、(ii)ハイブリッド車の機械的なポテンシャルエネルギー、及び(iii)エネルギー貯蔵部のポテンシャルエネルギーなどがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハイブリッド車(hybrid vehicle,電気モータと他の燃料を消費する原動機とを有する形式のもの)のエネルギー状態の特徴を制御するためのシステムに係り、とくに、この発明は、ハイブリッド車の“全体のエネルギーレベル”を監視しかつ調節するためのシステムに関するものであり、これによって、電気モータに駆動用エネルギーを与えるためのエネルギー蓄積状態が最適化されて、原動機用の燃料消費が低減されるようにしている。
【背景技術】
【0002】
従来の系列にあるハイブリッド車は電気モータを使用して車輪や原動機として内燃機関に機械的な駆動動力を与えることができた。すなわち、内燃機関は交流機器もしくは発電機を駆動し、これが今度は電気的エネルギーを作り出して、それが貯えられて、後に電気モータによって使用されるようにできた。このようなハイブリッド車用の従来形の制御システムは電気モータと内燃機関とに指令を送って所望の駆動動力を達成するために各種の動作用速度とトルクとを得るようにしている。このハイブリッド車の制御システムはまた電気モータによって使用される(あるいは作られる)電気的エネルギーを貯えるための電気的エネルギー蓄積ユニットとの間の電力の流れを管理することも担務する。電気的エネルギー蓄積ユニットは通常はバッテリイパック(例えば、複数の直列/並列接続された鉛酸バッテリイ、ニッケル・カドミウムバッテリイ、ニツケル・金属水素化物バッテリイ、リチウムバッテリイ、等)である。バッテリイパックの再充電はハイブリッド車の動作中にいくつでもよい数のやり方で達成することができ、例えば、(i)発電機と受動レギュレータとの使用、(ii)発電機と能動再充電電力変換器との使用、(iii)交流機器と能動整流器/レギュレータとの使用、及び(iv)交流機器と能動再充電インバータ(ACからDCへの変換器)との使用を挙げることができる。上記のリストは例として挙げたものであって、網羅的なものを意図していないことは理解できるところである。いずれの場合にしても、発動機または交流機器は回転可能に内燃機関に接続されていて、それにより発電機または交流機器は電力源を作ることができて、内燃機関によって作られた回転動力に応答してバッテリイパックが再充電する。
【0003】
従来形の制御システムはバッテリイパックの充電状態をしばしば監視して、完全充電の約60%の充電状態を維持している。バッテリイパック充電状態はきちんと調節された量とはなっておらず、むしろ制御システムは約60%充電状態を中心としたある範囲内に実質的にあるような粗い調節をしている。しばしば、60%充電状態は次のような結果をもたらす。(i)バッテリイパックインピーダンスが比較的低いもの(例えば、鉛酸バッテリイについて言える)。(ii)予期されなかった上り傾斜(例えば丘の登坂)及び/又は加速について駆動動力を与えることができる保存エネルギー源を有するバッテリイパック。ここで動力(パワー)はエネルギー変化の時間的な割合であると理解されたい。及び(iii)機械的ポテンシャル及び/又は機械的な運動エネルギーであって、下り傾斜及び/又は減速(例えば、電気モータが回生モードで動作している場合)の間にハイブリッド車から得られるものを回復するのに十分な電荷スペースを有するバッテリイパック。
【0004】
充電状態が60%レベルを十分な量だけ下回るところに落ちると、制御システムは、内燃機関と、発電機もしくは交流機器(以後簡単とするために“発電機(ゼネレータ)”と呼んでオルタネータ(交流機器)を含めることとする)とがバッテリイパックへの電気的な充電電力を与えることに関与するようにする。これは、しばしば内燃機関の指令した速度及び/又はトルクを増すことによって達成されている。発電機が電力をバッテリイパックに供給するときには、バッテリイパックの充電状態は増加する。充電状態が60%レベルを十分な量だけ越えると、制御システムは内燃機関と発電機とがバッテリイパックへの電気的な再充電パワーを放出するのを終らせる。
【0005】
このバッテリイパック充電状態用の制御プロトコルは、平坦な地形上で動作するときには適切な結果を与えるが、地形がかなりの数の上り及び/下り傾斜をかなりの長さにわたって含んでいるときには満足されないものとなってしまう。例えば、ハイブリッド車が比較的高速度でまた/あるいは比較的高いところで動作しているときには、ハイブリッド車からの動力学的(カイネティック、すなわち運動エネルギー)及び/又はポテンシャルエネルギーは、ハイブリッド車が比較的低速度及び/又は低高度で動作しているときよりも大きなものがバッテリイパック内で回復されかつ貯えられる。別な言い方をすると、ハイブリッド車でその速度を増し、また/あるいはかなりの丘を昇りその高度を増したものは通常は速度及び/又は高度をある点で減らすものである。このことは、バッテリイパック
を再充電するためにハイブリッド車から機械的エネルギーを回復する機会を表わしている。
【0006】
不運にも、先行技術の制御システムは、上記の環境でハイブリッド車の機械的運動及び/又は機械的ポテンシャルエネルギーについて勘案することは不可能であり、したがって、このエネルギーを効率よく回復するという利点を享受することができない。さらに、こういった従来形の制御システムはハイブリッド車が移動してもよい上り及び/又は下り傾斜を予期する能力に欠けている。したがって、バッテリイパックの所望の状態変化の調節は、将来のエネルギー需要及び/又は電荷スペース要求についてバッテリイパックの充電状態を最適化するようにはできない。
【0007】
したがって、この従来技術では新しい制御システムがハイブリッド車にとって必要とされていて、ハイブリッド車の性能を最適化するやり方で少くともエネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態を調節することにあたり、とくに上り及び/下り傾斜上でのハイブリッド車の性能を最適化するものが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
1.特開平11−164402号公報
2.特開平10−224910号公報
3.特開平04−293626号公報
4.特開平09−168206号公報
5.特開平07−168993号公報
6.特開平04−117600号公報
7.特開2000−014019号公報
8.特開2000−021455号公報
【発明の概要】
【0009】
先行技術の不利益を克服するために、この発明によるハイブリッド車用のエネルギー管理ユニットは蓄積ユニットに貯えられたポテンシャルエネルギーの量を制御するために動作可能であって、ハイブリッド車のエネルギーレベルが所望の大きさに実質的に維持されるようにしている。ハイブリッド車のエネルギーレベルは少くとも(i)ハイブリッド車の機械的運動力学的エネルギーと、(ii)ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーと、(iii)エネルギー蓄積ユニット(例えば、バッテリイパック、ウルトラキャパシタ、無損失インダクタ、フライホイールなど)のポテンシャルエネルギーとの関数である。
【0010】
ハイブリッド車は電気モータを含んでいるのが好く、それがハイブリッド車の駆動動力源を与え、またエネルギー蓄積ユニットがこの電気モータに動作可能に接続されていて、電気モータに電気的エネルギー源を与えている。内燃機関のような原動機がこの電気モータに対するエネルギー源を間接的に与えるように動作可能であるのがよい。原動機はハイブリッド車の駆動ホイールに向けたエネルギー源を直接的に与えるように動作可能であってもよい。
【0011】
ハイブリッド車のエネルギーレベルは原動機によって利用される燃料のポテンシャルエネルギーの関数となると考えないのが好い。エネルギー制御ユニットは、ハイブリッド車の推定されたエネルギーレベルを所望の大きさと比較しエネルギー蓄積ユニット内に貯えられた電気的ポテンシャルエネルギーのレベルを比較に応答して制御して、ハイブリッド車のエネルギーレベルが所望の大きさに向くように動作可能であるのがよい。
【0012】
この発明の別な特徴によると、エネルギー制御ユニットは、(グローバル・ポジショニング・システム,GPS)のような位置決めシステムを含んでいて、外部システム(例えば、GPS衛星システム)から信号を受領するように動作可能であり、この場合に、この信号はハイブリッド車の経度と緯度との位置に関する情報を含んでいる。エネルギー制御ユニットはまた、次のものを含んでいるのが好ましい。地形予測ユニット:これはこれから先、ハイブリッド車が通ることになる表面のいくつかの傾斜角度と長さとを、ハイブリッド車の経度と緯度との位置に関する情報に基づいて推定するように動作する。モニタ:これはエネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態を推定するように動作可能である。エネルギー制御ユニットはさらに、再充電制御器を含んでいるのがよく、これが働いて充電シ
ステムがエネルギー蓄積ユニットに向けたエネルギーの再充電を始動及び/又は終結するようにさせ、この動作は少くとも(i)エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態が第一のしきい値レベルに到達したかそれより下に落ちたことを示すモニタからのエネルギー状態、(ii)エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態が第二のしきい値レベルに到達したかそれを越えたことを示すモニタからのエネルギー状態、(iii)ハイブリッド車が移動する表面の傾斜角と長さとの推定値、(iv)ハイブリッド車の機械的運動エネルギーの推定値、及び(v)ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーのうちの一つの関数としているのがよい。
【0013】
この発明のその他の外に現れた諸点、特徴、長所及び/又は目的は、添付の図面と関係して行なうこの発明の開示から当業者にとって明らかなものとなろう。図面では、同種要素には同じ番号をあてている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明によるエネルギー管理制御システムを含むハイブリッド車駆動システムを示す構成図。
【図2】この発明の別な特徴を示す構成図。
【図3】この発明による外部情報源の近くに置かれたハイブリッド車の模式図。
【図4】(a)と(b)とはそれぞれ、この発明のエネルギー制御システムにより効率的に処理される基本的な傾斜角度構成の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を見ると、この発明によるハイブリッド車駆動システム10のブロック図が示されている。このハイブリッド車駆動システム10は牽引システム(traction system)20と、電気システム30と、エネルギー制御ユニット40とを含んでいる。
【0016】
牽引システム20は原動機22(すなわち、回転動力源であって燃料を消費するものであり、例えば、内燃機関、ガスタービン、スチームエンジン(蒸気機関)などであり、内燃機関が好ましい)を含んでいる。原動機22が内燃機関であるときには、既知の燃焼可能な燃料を利用するエンジンの何れを用いてもよく、その例をあげると、ガソリンエンジン、ジーゼルエンジン、天然ガスエンジン等がある。原動機22はスロットル入力28の関数として可変速度とトルクとで動作する。原動機22は破線で示したように、クラッチ(図示せず)を介してハイブリッド車の駆動トレーン26に機械的に接続される。この構成は並列に、あるいは直列/並列組合せのハイブリッド車で使用されているものである。しかしながら、直列ハイブリッド構成が実現されるのが好ましく、そこでは原動機22と駆動トレーン26との間に機械的接続は存在しない。
【0017】
原動機22はまた燃料電池ユニットを表わしていてもよく、これは燃料源を電気的エネルギーに変換する。燃料電池の原動機22が使用されるときには発電機38は必要ないことが理解される。それよりもむしろ、燃料電池22は電気的エネルギーをパワーコンバータ(変換器)36(及び/又はモータ制御器34)に向けて直接提供することになる。
【0018】
牽引システム20はまた電気モータ24を含み、これがドライブトレーン24に機械的に接続されている。電気モータ24は既知のモータ形式のいずれのものを用いても実現でき、例えば、DCブラシモータ、DC無ブラシモータ、ACインダクションモータ、等を用いることができる。電気モータ24は電気エネルギーを電気システム30から受領することができる(例えば、ドライブトレーン26に向けて駆動動力を送るときである)し、あるいはまた電気システム30に向けて電気的エネルギーを送ることもできる(例えば、車輌の運動エネルギーが電気的エネルギーに変換されるような回生モードで動作しているときである)。
【0019】
電気システム30はエネルギー蓄積ユニット32、モータ制御器34,発電機38、及びパワーコンバータ36(必要とするとき)を含んでいる。発電機38はここではDC発電機もしくはAC発電機(オールタネータ)のいずれかを表わすために利用されており、したがってパワーコンバータ36はここで動作する受動もしくは能動コンバータ回路を表わしている。
【0020】
エネルギー蓄積ユニット32は既知の蓄積方法のいずれかを実行するものであり、その中には電気的エネルギーの蓄積、磁気的エネルギーの貯蓄(例えば、無損失インダクタ)、及び/又は機械的なエネルギー蓄積(例えば、フライホイール)などが含まれている。電気的なエネルギー蓄積ユニットでこの発明と関係しているものには既知のバッテリイシステムを含んでいて、例えばこれが鉛酸バッテリイ、ニッケル金属カドミウムバッテリイ、ニッケル金属水素化物バッテリイ、リチウムバッテリイ等の直列もしくは並列、またはその組合せとなっている。いわゆる“ウルトラキャパシタ”もまた利用できて、電気的エネルギーを貯えるようにすることもまたこの発明の範疇に入るのではあるが、バッテリイパックが現状では好ましいとされている。機械的エネルギー蓄積方法、例えばフライホイ
ールが使用されるときには、エネルギーコンバータである発電機38のようなものが使用されて、機械的運動エネルギーが電気モータ24にとって適切な電気的エネルギーに変換される。
【0021】
エネルギー蓄積ユニット32はバッテリイパックであるのがよく、これがモータ制御器34に向けての電力と電流(パワー)のDC源を与えている。モータ制御器34は、エネルギー蓄積ユニット32からのパワーの直流源を受領して、それを電気モータ24の要件に合わせたやり方で処理する。例えば、電気モータ24がACインダクションモータであるときには、モータ制御器34はDC−ACインバータを含んでいて、これが電気モータ24による使用に適した多相ACパワーを作る。これに代って、電気モータ24がDC無ブラシモータであるときには、モータ制御器34はDC−多相DCコンバータとして、電気モータ24にスイッチされたDCパワーの多相を送るのに適したものを含むことになる。さらに別なものとしては、電気モータ24がDCブラシモータであるときには、モータ制御器34は簡単なレギュレータ回路を含んでいて、この回路が電気モータ24に対してDCパワーの変動するレベルを送ることができるものとなっている。
【0022】
発電機38は内燃機関22と回転可能に接続されているのがよく、それによって内燃機関22によって作られた回転動力が電気的パワー(例えば、DCまたはACの電圧と電流)に変換されるようにする。発電機38からの電気的パワーはバッテリイパック32に直接またはパワーコンバータ36によって接続されているのがよい。パワーコンバータ36は発電機38からの電気的パワーを処理して、エネルギー蓄積ユニット32への再充電パワーを与えるようにする。
【0023】
電気モータ24は、ハイブリッド車ドライブトレーン26に対してドライブパワーの少くとも第一の源(ソース)を用意するように動作可能である。原動機22は、機械的なリンクが存在する場合には、ハイブリッド車ドライブトレーン26に対してドライブパワーの第二の源を用意するように動作可能とされている。そうでないとすると、原動機22は発電機38にドライブパワーを用意するだけとなる。手動ブレーキ29はハイブリッド車ドライブトレーン26に対して停止用エネルギーを(例えば、ドラム及び/又はディスクブレーキによって)与えることができ、その条件は、電気モータ24が車輌の機械的エネルギーを捕えることによって停止用エネルギーを与えることができない場合とする。
【0024】
エネルギー制御ユニット40は集積統合された処理ユニットであるのがよく、そこにはいくつかの区別ができる機能ユニットが含まれている。すなわち、処理ユニット41、機械的なエネルギー推定器42及びエネルギー推定器44が含まれている。エネルギー推定器44は蓄積されたエネルギー推定器44aとエネルギー状態推定器44b(例えば、蓄積ユニット32がバッテリイパックであるときには充電状態推定器である)を含んでいるのがよい。簡単のために、これらの機能ユニットは別個の素子として示してあるが、しかし当業者には分るように、こういった機能ユニットの一部もしくは全部は組合せられたり、集積されたりして、適切な形とすることでできる。
【0025】
エネルギー制御ユニット40は牽引システム20と、電気システム30と、他の源とから複数の入力信号を受領る。こういった入力信号のある種のものが図1内のエネルギー制御ユニット40に入るように示されている。若干の他の入力信号は図2ではエネルギー制御ユニット40に入るように示されていて、これらの信号は重量センサ100、速度センサ102、ドップラユニット104、傾斜センサ106、無線通信ユニット108、高度センサ110、方向センサ112、ドライバの指令114、及びグローバルポジショニングシステム(GPS)200からのものとなっている。当業者にとっては分ることであるが、図2のセンサのすべてがこの発明を実施する上で必要とされているのではなく、そのうちの一部で発明が実施できる。さらに、図2のセンサと通信装置などは単一の素子とし
て模式的に示されているが、単一の及び/又は複数のセンサ、通信装置などがこの発明の範囲内にあるものとして考えられている。エネルギー制御ユニット40は機械的エネルギー推定器42とエネルギー推定器44の助けを得て入力信号を処理し、制御信号を牽引システム20と電気システム30とに向けて送り、そのやり方はハイブリッド車効率を最大とする傾向をもつようにしている。
【0026】
エネルギー制御ユニット40は、とりわけ、エネルギー蓄積ユニット32内に蓄積されたエネルギーを制御するように動作可能であることが好ましく、それによって、ハイブリッド車の全エネルギーレベルが所望の大きさに実質的に維持されるようにする。この発明によると、ハイブリッド車の“全エネルギーレベル”は、ハイブリッド車の機械的運動エネルギーと、ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーと、エネルギー蓄積ユニット32のポテンシャルエネルギー(蓄積されたエネルギー)とを寄せ集めたものに比例している。原動機22の燃料源と関係しているいずれかのポテンシャルエネルギーは、ハイブリッド車の“全エネルギーレベル”の一部とは考えられていない。燃料エネルギーと蓄積されたエネルギーとを牽引パワーに効率よく変換することに着目すると(ここでパワーはエネルギーの変化の時間的な割当である)、ハイブリッド車の全エネルギーレベルを実施的に所望の大きさ(もしくは設定点)に維持することが望ましく、少くとも全エネルギーレベルが所望範囲内に維持されている範囲には維持されるようにするのが望ましい。
【0027】
当業者には分ることであるが、ハイブリッド車の全エネルギーレベルは実質的に時間変動する量であり、したがって、エネルギー制御ユニット40がハイブリッド車の全エネルギーレベルの平均を判断して、平均の全エネルギーレベルを所望の大きさに実質的に維持するのが好ましい。一番よいのは、エネルギー制御ユニット40が比較的低い帯域幅で帰還制御を与えることであり、それによって安定なエネルギー管理システムを確保するようにする。ここでいう低い帯域幅は分の10倍のオーダーであり、約0.0001ないし0.0010Hzということになる。
【0028】
エネルギー制御ユニット40は、ハイブリッド車の全エネルギーレベルを(また、好ましいのは全エネルギーの平均を)一部分は機械的エネルギー推定器42を用いて推定する。機械的エネルギー推定器42は、ハイブリッド車の機械的運動エネルギーがハイブリッド車の重量と、ハイブリッド車の速度(V)の自乗の積に比例するものとして推定するように動作できる。当業者は、車輌の質量(m)がハイブリッド車の重量を重力の加速度で除することによって得られることを知っている。とくに、機械的運動エネルギーはこのハイブリッド車(車輌)について1/2(mV2 )であることを承知している。
【0029】
重量(もしくは質量)をハイブリッド車について推定した値は、エネルギー制御ユニット40内部に、製造時点で固定量として、記憶されていてよい。この固定量は燃料の重量(または質量)としてゲージによって得られたものに対応する値及び/又は旅客重量(または質量)として座席センサによって得られたものと対応する値を加えることにより変更されてよい。この燃料の重量(または質量)及び/又は旅客の重量(または質量)は図2の重量センサ100によって模式的に示されている。これに代って、ハイブリッド車の重量(または質量)は既知のニュートン式F=mAを用いて、これを質量mについて解くことによって推定できる。とくに、力Fは指令された(及び/又は測定された)電気モータトルク(例えばフート・ポンドすなわち距離と重量との積の次元)を力(重量単位)に変
換することによって得ることもできる。加速度Aは、力Fが加えられた時間にわたってハイブリッド車の速度の変化を測定することによって得ることができる。ここで注意をすべきは、ハイブリッド車が移動している傾斜について考慮されるべきであることがある。質量mはFとAとの商を計算することにより得ることができる。
【0030】
エネルギー制御ユニット40はいろいろなやり方でハイブリッド車の速度Vを得ることができる。たとえば、(i)速度測定に基づいてハイブリッド車速度を推定することによる;(ii)ハイブリッド車外部の少くとも一つの源から受領した情報に基づいてハイブリッド車速度を推定することによる。例えば、方法(i)によるとして、エネルギー制御ユニット40は牽引システム20から車速度センサ102による速度信号21を受領でき、そこで車速度を表わす表示を用意する。この車速度の推定は、、例えばスピードメータ(速度計)を用いて得ることができることは当業者の理解するところである。これに代って、エネルギー制御ユニット40はドップラユニット104(図2)と通信をするか、含むようにしていてもよく、ここでドップラユニット104はレーダ源信号を作り、レーダ反
射信号を受領するように動作して、車輌速度についてのレーダ反射測定値を作り出す。ドップラユニット104はドップラアルゴリズムを含んでいるのがよく、これが利用されて、レーダ反射測定値に基づいてハイブリッド車速度を計算する。
【0031】
ハイブリッド車外の源から受領した情報に基づいて車速度が判断されるときには、(方法(ii))、この外部源はグローバルポジショニングシステム(GPS)200(図2)であるのがよく、これが無線信号を作り、そこにはハイブリッド車の経度と緯度との位置に関する情報が含まれている。エネルギー制御ユニット40はこの無線信号情報でGPS200からのハイブリッド車の位置に関するものを受領して、時間についてのハイブリッド車の位置の差を計算することによりハイブリッド車速度の推定値を得る。車の位置はGPS200以外の外部源の他の形式のものから得ることができて、例えば道路脇のいろいろな位置に置かれた送信機によるものとし、これがエネルギー制御ユニット40に向けて車輌位置情報を送る。代って、セルラ三角測量システムで高度センサ110と共働するものが採用されて、車の位置を得て、これから車速度を得るようにする。
【0032】
好都合なのは、エネルギー制御ユニット40(とくに機械的エネルギー推定器42)が、一旦、車速度、車重量または質量及び/又は車加速度を受領しまた/あるいはそれらを計算すると、ユニット40はハイブリッド車の機械的運動エネルギー、すなわちハイブリッド車の全エネルギーレベルを決めるために使用される量、を推定するように動作することができる。
【0033】
機械的エネルギー推定器42は、また、ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーを推定するように動作可能であるのがよい。とくに、機械的ポテンシャルエネルギーはハイブリッド車の重量(もしくは質量)と高度との積に実質的に比例するとして計算できる。ハイブリッド車の高度は、海面といった何らかの基準高度に対して決められているのがよい。一番好ましいのは基準高度がハイブリッド車の高度であって、いわゆる“キーオフ(key off)”または“キーオン(key on)”にあるものである。キーオフはドライバが最後にハイブリッド車をオフとしたときであり、例えばイグニッションキーをオフしたときである。キーオンはドライバがハイブリッド車をオンとしたときであり、例えばイグニッションキーでオンとしたときである。
【0034】
機械的エネルギー推定器42はいくつでもよいやり方でハイブリッド車の高度を判断してよい。例えば、ハイブリッド車の高度は、ハイブリッド車が通る表面の傾斜角に車速度を乗じたものの時間積分に比例しているとして推定してよい。もっと特定すると、走行の変化に関して傾斜を上昇する走行を時間積分して得ることができる。あるいは代って、機械的エネルギー推定器42は、高度検知システムからハイブリッド車の高度推定値を受領してもよい。さらに、機械的エネルギー推定器42は、ハイブリッド車外部の少くとも一つの源から受領した情報に基づいてハイブリッド車の高度の推定値を受領してもよい。
【0035】
機械的エネルギー推定器42が傾斜角を用いてハイブリッド車の高度を推定するときは、傾斜角の推定値は、上述したように方程式F=MAを採用することによって得ることができ、傾斜角を計算に入れるようにできる。(すなわち、傾斜角が増すとFが増し、Aが減る。)当業者の理解するところであるが、傾斜角は測定もしくは指令された力F1であって、ハイブリッド車を実質的に平坦な表面上を(一定速度もしくは加速度を伴って)移動するのに必要とする力を、傾斜角上を(同じ速度もしくは加速度を伴って)移動するのに必要とする力F2と比較することによって得ることができる。F1からF2への増加は傾斜角を判断するために直ちに使用できる。これに代って傾斜角の推定値は傾斜センサ106(例えば垂直ジャイロ、傾斜度計等)によって得ることができることが図2に示され
ている。
【0036】
機械的エネルギー推定器42はまたハイブリッド車外部の少くとも一つの源から受領した情報に基づいて傾斜角を推定することができる。図3を見ると、ハイブリッド車1は複数のプラカード2を含んでいる表面4上を移動しており、プラカードは表面4の近くに置かれている。プラカード2のバーコードは表面4の傾斜角に関する情報を含んでいる、すなわち情報源(ソース)である、のがよい。図2を見ると、ハイブリッド車1は傾斜センサ106を含んでいて(これがエネルギー制御ユニット40から分離されているか、一体となっている、バーコードプラカード2を走査することができて表面4の傾斜角に関する情報を検索し読取るようにしている。
【0037】
代って、ハイブリッド車1が移動する表面4の近くに複数の無線装置3を置くことができる。無線装置3から伝播する無線信号は表面4の傾斜角に関する情報を含んでいてよく、また、ハイブリッド車1の傾斜センサ106(図2)は無線信号を受けて傾斜角情報を検索し読取ることができる。ここでもまた、当業者にとって理解できることとして、センサ106はバーコードセンサとか無線センサとかに限定されることが意図されてはおらず、むしろ熟練者にとって明らかな、また設計における切迫した事情に応じていずれかの形式をとることができる。当業者にとっては、センサ106がここでは“傾斜センサ(あるいは、勾配センサ、grade sensor)”と呼ばれているが、これもまた例であって、制限を加えるものでないことは明らかであろう。実際に、プラカード2のバーコードは仮想的に(実際には)、何らかの有用な情報を含むことができて、例えば高度情報、車輌位置情報等がそれにあたり、これもまたこの発明が予見し意図しているところである。
【0038】
さらにまた、ハイブリッド車の外部の源はGPS200(図2)を含むことができる。GPS200とインターフェースをとるときには、エネルギー制御ユニット40はプロセッサ41とデータベース43とを含んでいるのがよく、これらが動作して経度及び緯度位置情報としてGPS200から得られたものに基づいて傾斜角の推定値を得るようにしている。もっと特定すると、データベース43はリレーショナルデータベースであるのが好ましく、そこには複数の傾斜角が含まれていて、傾斜角はGPS200から得られた位置情報によるインデックスが付けられていて、この位置情報を用いて検索読取りが可能となっている。当業者に理解されるところであると思うが、データベース43はハイブリッド車自体の中に置かれている必要はなく、ハイブリッド車の外部に置かれていてよい。この
状態では、エネルギー制御ユニット40は(一体とされているか別個とされている)無線通信ユニット108a(図2)を含むことになり、このユニットが外部無線通信ユニット108bを介して外部データベース43aと通信をすることができるようにしている。このようにして、エネルギー制御ユニット40は、無線通信ユニット108a,108bによって表わされている無線通信チャンネルを経て、リレーショナルデータベース43aと通信することができるようになっている。ハイブリッド車の位置に関する情報でGPS200からえられたものは、無線通信チャンネル上で外部データベース43aに向けて送られて、これに応答して、傾斜角でデータベース43aからのものがこの無線通信チャンネルを介してハイブリッド車に向けて送られることになる。
【0039】
要約すると、エネルギー制御ユニット40は(とくに機械的エネルギー推定器42)は、ハイブリッド車の高度を推定することができて、それにはハイブリッド車が移動している表面の傾斜角に車速度を乗じたものの時間積分を求めることによっている。傾斜角は傾斜センサ106もしくは外部源(例えば、プラカード2、無線装置3、もしくはGPS200でリレーショナルデータベース43と組合せたもの)によって得ることができる。当業者は、データベース43は、GPS200が傾斜角情報を直接に用意するようになっていれば、採用の必要がないことが理解できるであろう。
【0040】
これに代るものとして、エネルギー制御ユニット40は熟練者にとって知られている高度計とか他のセンサといった高度センサ110(図2)からハイブリッド車の高度の推定値を得ることができる。さらに、エネルギー制御ユニット40は、バーコードの付いたプラカード2とか無線装置(図3)のような、少くとも一つの外部源から受領した情報に基づいてハイブリッド車の高度の推定値を得ることができ、この場合にはバーコードの付いたプラカード2と無線装置3とはハイブリッド車1が移動する表面4の高度に関する情報を用意することができるものとなっている。当業者にとっては、バーコードの付いたプラカード2及び/又は無線装置3は表面4の傾斜角、表面4の高度、及び/又は設計上の切迫した状態に基いた他の何らかの情報についての情報を含むことができる。さらに、エネ
ルギー制御ユニット40はGPS200から高度情報を受領してもよい。もしポジショニングシステム(位置決めシステム)が使われて、それが高度情報を直接には与えないものであると(すなわち、経度と緯度との情報だけを与えるものであると)、ハイブリッド車の高度はオンボード(搭載している)データベース43(あるいは外部データベース43a)を用いて経度と緯度との位置情報に基づいて得ることができる。実際に、データベース43(もしくは43a)は複数の高度を含むことができて、これらにはハイブリッド車の位置に関する情報でインデックスが付けられ、またそれを用いて情報を検索することができるようになっている。
【0041】
好都合なのは、一旦、エネルギー制御ユニット(とくに、機械的エネルギー推定器)が車輌重量(もしくは質量)と高度とを受領もしくは計算すると、ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーを推定するように動作できることであり、この物理量はハイブリッド車の全エネルギーレベルを判断するために使用される。
【0042】
図1を見ると、エネルギー推定器44aはエネルギー蓄積ユニット32のポテンシャルエネルギーを推定するように動作可能であるのがよい。エネルギー蓄積ユニット32はバッテリイパックであるのが好ましいのであるから、エネルギー推定器44aは電気的エネルギー推定器であるのがよく、バッテリイパック内に貯えられている電気的ポテンシャルエネルギーを推定できるものである。例示の目的で(当然のこととして限定を加えるのではなく)、エネルギー推定器44aは以下では電気的エネルギー推定器44aとして取扱われることになり、またエネルギー蓄積ユニット32はバッテリイパック32として以下で取扱われる。電気的エネルギー推定器44aは、蓄積された電気的ポテンシャルエネルギーがバッテリイパック32の電圧と電流Iとの積の時間積分に実質的に比例するものと
して計算される。したがって、バッテリイパック32の基準エネルギーレベルが知れていれば(例えば完全充電したバッテリイパックのエネルギーレベルとして)、基準エネルギーレベルと(電圧)・(電流I)の時間積分はバッテリイパック32の電気的ポテンシャルエネルギーに比例した値を結果することになる。
【0043】
好都合なのは、エネルギー制御ユニット40がこの発明によるとハイブリッド車の機械的エネルギー(運動エネルギーとポテンシャルエネルギー)とを監視することができるとともに、バッテリイパック32内に蓄積された電気的ポテンシャルエネルギーも監視できて、機械的及び電気的エネルギーがこのハイブリッド車について寄せ集めるときには所望のレベルもしくは所望の範囲から外れているかどうかを判断するようにしていることである。とくに、もしハイブリッド車の平均全エネルギーが所望の大きさからかなり外れているとすると、すなわち所望範囲の外にあるとすると、エネルギー制御ユニット40はバッテリイパック32の貯えたポテンシャルエネルギーを調節することができて、それには例えばバッテリイの充電を可能としたり、禁止したりすることが行なわれる。このことはプ
ライムムーバ22、発電機38、及びパワーコンバータ36とが手動ブレーキ29と一緒に組合された形で内燃機関を用いて実現されるのがよい。
【0044】
このようにして、ハイブリッド車が比較的高速でまた比較的大きな高度のところで移動しているときには、バッテリイパック32及び/又は原動機22(例えば内燃機関)からのかなりのエネルギーを必要とする確率は減ることになり、バッテリイパックの充電も同じように減ることになる。別な言い方をすると、比較的大きな車速及び/又は大きな高度では、機械的エネルギー回復が得られてもよい可能性は比較的高い。従ってバッテリイパック32内にはより大きな充電スペースが望ましい。逆に、ハイブリッド車が比較的低速度及び/又は比較的小さい高度で移動しているときには、バッテリイパック32からかなりのエネルギーが必要とされる確率が高くなって、それ故に、貯えられた電荷が大きいことが望ましい(すなわちバッテリイパック32内には電荷スペースが少なくなることが望まれる)。
【0045】
当業者にとって理解されるところであろうが、エネルギー制御ユニット40は追加の好都合な機能を用意できるのであって、その例は発電機38が電力源をモータ制御器34に向けて用意することであり、モータ制御器34が電流を必要とするときにそれが行なわれる。これには発電機38から電流をパワーコンバータ36を介してモータ制御器34に向けて送ることが行なわれる。それによって、電気モータ24はかなりの量の駆動力を車輌駆動トレーン26に向けて送ることを指令されると、バッテリイパック32は過剰負荷とはならず(電流要求について見ている)、その理由は発電機38が追加の所望電流を用意できることによる。さらにエネルギー制御ユニット40はプログラムがされていて、優位なスロットルレベル28を原動機22(例えば、内燃機関)に向けて用意し、この際にある車輌基準に基づくようになっている。例えば、エネルギー制御ユニット40は、ハイブリッド車が停止しているときとか、モータ制御器36が回生モードで動作しているとき(すなわち、車輌運動エネルギーがバッテリイパック32を再充電するのに適した電気的エネルギーに変換されているとき)に、アイドリングレベルをかなり越えてしまうことがないようにスロットルレベル28を維持するように動作するのが好い。
【0046】
この発明の代替実施例を論ずることに関係して、図2と4とを参照することとする。上述のように、エネルギー制御ユニット40はGPS200から無線信号を受領することができ、この無線信号はハイブリッド車の位置に関する情報を含んでいる。この発明のこの実施例によると、エネルギー制御ユニット40はハイブリッド車が移動する表面の傾斜角度(及びその長さ)を予測することができるのがよく、それによって、エネルギー蓄積ユニット32のエネルギー状態が最適化されるようにする。このやり方では、エネルギー制御ユニット40は地形予測ユニット41(例えばプロセッサ41を用いるもの)として動作するようにプログラムされていてよく、ハイブリッド車が移動することになるルートを推定することができるものとし、したがってハイブリッド車が移動する傾斜を予測する。この地形予測ユニット41はエネルギー制御ユニット40からは別個にあるいはそれと一体的になっていてよいし、また別個であってもよい。
【0047】
この発明の地形予測ユニット41の利点は、図4a,4bを参照し、かつ通常のエネルギー管理システムがバッテリイパックのエネルギー状態を約60%に維持するようにしていることを重い起すとよく理解できる。事実、通常のエネルギー管理システムは、バッテリイパックの充電状態が第一のしきい値レベル(もしくは設定点)である、例えば充電50%状態に到達するかそれよりも下落するときに、バッテリイパックの再充電を指令することがよく行なわれている。通常のエネルギー管理システムは、バッテリイパックの充電状態が充電70%状態といった第二のしきい値レベル(もしくは設定点)に到達するかあるいはそれを越えたときに再充電を自動的に終結する。この発明によると、この再充電プロトコルは無視されてよいし、及び/又はしきい値がハイブリッド車がこれから移動する先にある傾斜についての情報に基づいて自動的に調節される。
【0048】
例えば、図4aを見ると、電気自動車が位置基準Aにより示された表面上を移動している。これから先、ハイブリッド車が下り勾配上を移動することになり、基準位置Bを出発して距離LBCを通って基準位置Cに進む。位置Cではハイブリッド車は再び実質的な水準表面上を移動する。もしエネルギー蓄積ユニット32のエネルギー状態が位置AとBとの間のどこかの点で第一のしきい値レベルより下に下落したとすると(すなわち、通常のエネルギー管理システムがエネルギー再充電を開始すべきことを示していると)、この発明のエネルギー制御ユニット40はエネルギーの再充電を開始しないでもよいかもしれない。
【0049】
例をあげると、エネルギー蓄積ユニット32がバッテリイパックであって、もしも傾斜角と距離とで位置BからCまでのものがバッテリイパック32を少くとも部分的に再充電するのに十分であるとすると、バッテリイ充電は始動されない。実際に、運動エネルギー及び/又はポテンシャルエネルギーが、ハイブリッド車について、バッテリイパック32の充電状態を少くとも第一のしきい値である、例えば50%にまで、BC間のハイブリッド車移動時に、増加させるのに適した電気エネルギーに変換できるのであればよい。したがって、エネルギー制御ユニット40は発電機38がバッテリイパック32に対して再充電エネルギーを用意することを、電荷の推定器44bの状態が地点Bで第一のしきい値レベルに到達したかそれよりも下落したことを示しているかどうかとは無関係に、停止させ
ることができる。その代り、地形予測ユニット41が下降傾斜角が地点B,C間でまた長さLBCがハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーをバッテリイパック32用の再充電エネルギーに変換するのに十分であることを示しているときには、再充電は延期されるか、あるいは省略されることになる。これは第一のしきい値レベルを下方に自動調節することによって達成され、そのやり方は離散的な量子化方式でもアナログ方式であってもよい。
【0050】
好ましいのは、機械的ポテンシャルエネルギー(BからCまで)がバッテリイパック32の充電状態を第二のしきい値レベルである例えば70%に適うようにまたはそれを越えるようになるレベルにまで増大させるのに十分であることである。当業者はしかし、下降傾斜角と長さとがバッテリイパック32の充電状態を第二のしきい値レベルにまで増大させるのに十分でないときでも、それでもなお充電をC地点に到達するかそこを過ぎるまで延期してよいことを理解できると思う。バッテリイ再充電の延期もしくは取消しは、例えば第一のしきい値に調節により、その場合にエネルギー制御ユニット40はバッテリイパック32の充電状態が地点Bに到達する前もしくは地点Bで最小しきい値よりも下に落ちていないことを確めなければならず、これはバッテリイパックを著しく放電させることが
バッテリイパック32及び/又は車輌性能の完全性に悪影響を与えかねないことによる。
【0051】
この発明は、第二の特徴として、ハイブリッド車の利用可能な機械的運動エネルギー及び/又は機械的ポテンシャルエネルギーを多量に貯えられた(電気的)エネルギーに変換することに関係していることが挙げられ、この量は通常の(従来形の)エネルギー管理システムよりも大きなものとなっている。このエネルギー制御ユニット40は、発電機38が再充電エネルギーをエネルギー蓄積ユニットである例えばバッテリイパックに向けて用意することを妨げることができて、その条件は地点Bで第一のしきい値レベルにエネルギーの状態が到達したとかその下に落ちたということをエネルギー推定器44bが示したかどうかとは無関係となっている。このようにすることによって、エネルギー制御ユニット40はエネルギー蓄積ユニット32内により大きなスペースがエネルギーを貯めるために
利用できることを確保しており、地点Cに到達するかその前に最大しきい値に到達するその前にこの状態が確保されるようにする。利用可能な機械的運動エネルギー及び/又は機械的ポテンシャルエネルギーでこの最大量を上まわるものは、人間により操作されるブレーキ29を動作によって吸収されるか、回復不能な熱エネルギーに変換される。
【0052】
図4bを見ると、エネルギー制御ユニット40は、地点Bに到達する前に、発電機38及び/又はパワーコンバータ36を利用してバッテリイ再充電を開始するようにプログラムされていてよく、その条件は充電状態の推定器44bが、バッテリイパック32の充電状態は第一のしきい値レベル以下であることを示しているかどうかとは無関係に開始できるようにしている。実際に、地形予測ユニット41がかなりの上り傾斜角度と長さLBCとに地点BからCまでで出逢うことになることを示している場合には、エネルギー制御ユニット40は地点Bに到達する前にバッテリイ再充電を開始してよく、それにより、電気的ポテンシャルエネルギーの所望のクオンタム(一定量)がバッテリイパック32内部に貯えられてから地点BからCへの上昇にあたることになる。これは例えば第一のしきい値レ
ベルを自動的に増大させることによって達成される。このプロトコルの好都合な点と、このプロトコルに対して利用できる変形とはこの分野の熟練者、当業者にとっては上記の教示にてらして明白なものと考えられる。
【0053】
図2を見ると、エネルギー制御ユニット40の地形予測ユニット41はハイブリッド車がこれから経験する傾斜角と高度との少くとも一つを利用して、次のことになっているかどうかを判断するのがよい。(i)バッテリイの充電を妨げるかどうか、(ii)バッテリイの充電を始めるかどうか、あるいは(iii)バッテリイの充電を終らせるかどうかである。とくに、地形予測ユニットはこれからハイブリッド車が移動することになる表面の傾斜角(及びその関係する長さ)を推定するのがよく、この推定は例えばGPS200から受領した位置と高度に基づいて行なわれ、またハイブリッド車の移動の方向の推定もそれに組合されて行なわれる。例えば、地形予測ユニット41はハイブリッド車のこれからの位置を(i)ハイブリッド車の所与の位置と、(ii)ハイブリッド車の移動方向と、(iii)ハイブリッド車の速度との関数として推定してよい。ハイブリッド車の推定位置は、これからの高度、傾斜角度、及び/又は傾斜の長さの情報で、例えばGPS200単独からのもの、あるいはデータベース43と組合せたものを検索するために利用されることになる。
【0054】
上記のように、車輌の位置はGPS200以外の外部源で他の形式のものから得られてもよく、例えばいろいろな位置に置かれた路傍の送信機でエネルギー制御ユニット40に向けて車輌の位置情報を送るものによってもよい。これに代るものとしては、セルラ方式の三角測量システムと高度センサ110を組合せたものが採用できて、車輌位置を得るようにするものがある。
【0055】
地形予測ユニット41は、例えばコンパスといった方向センサ112(図2)から移動の方向を得ることができる。例えばGPS200からの一連の前後方向測定がハイブリッド車の移動方向を計算するのに使用されてよい。これに代って、エネルギー制御ユニット40の地形予測ユニット41がルート(経路)メモリ(これはデータベース43及び/又は外部データベース43aの内部に含まれていてよい)と通信をしていてよい。ルートメモリは複数の記憶されたルートを含んでいるとよく、このルート上をハイブリッド車が移動できるものとする。記憶されたルートは少くとも次の一つを含んでいる。すなわち、(i)複数の将来位置、(ii)複数の高度、(iii)複数の傾斜角、及び/又は(iv)複数の傾斜の長さであって、ハイブリッド車が所与のルートを移動する際にとることになるものである。したがって、地形予測ユニット41はこれからの傾斜角(と関係する長さ)及び/又はこれからの高度を、例えばデータベース43といったルートメモリ内に含まれている情報に基づいて推定することができる。
【0056】
地形予測ユニット21は自動形式で記憶されたルートの一つを選択するように動作するのがよく、その際には、ハイブリッド車の過去と現在のいくつかの位置が監視され、また記憶されたルートのどれが監視された位置と実質的に整合しているかの推定が行なわれて、それにより動作する。代って、地形予測ユニット41は、ハイブリッド車のドライバから受領した教示的なデータ(もしくはドライバの指令)114(図2)に基づいて記憶されたルートの一つを選択してよい。例えば、ドライバはドライバの入力/コマンド114を介して特定の宛先に向う方向についての要求を用意してよい。地形予測ユニット41は宛先に通じている記憶されたルートの一つの選択するのがよい。地形予測ユニット41はどの位置をハイブリッド車が宛先に向うルートの中でとるかを知っているので、ユニット41は、この情報を用いてハイブリッド車が移動することになる傾斜角と、傾斜の長さと、表面の高さとを判断する。
【0057】
また、ドライバ入力/コマンド114はドライバのプログラムされた座席位置を含むことができて(ハイブリッド車は座席位置を記憶することができると仮定している)、これがルートメモリ内部に記憶されているルートの一つを選択する際に、地形予測ユニット41を助けている。事実、ドライバはしばしば予測可能なルート上をドライブするものであり、例えば仕事場に向うとか、小売店のあるところへ向うといったことである。したがって、記憶しておいた座席の位置を用いて特定のドライバであることを識別し、それによって、移動することになると思われるルートを識別するようにできる。
【0058】
以上記述したように、この発明は前掲の課題をすべて解決した。ここでは特定の実施例を参照して記述したのであるが、こういった実施例は単にこの発明の原理と応用とを例示したものにすぎないことは理解されるところであり、したがって、様々な修正変更が例示の実施形態に加えられること、また他の構成ややり方が別掲特許請求の範囲により規定したこの発明の精神と範囲を逸脱することなく考案されることは理解されるところである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車用のエネルギー制御ユニットであって、
該ハイブリッド車は、
ハイブリッド車に駆動力源を与えるために動作可能な電気モータと、
該電気モータに第一のエネルギー源を与えるために電気モータに動作上接続されたエネルギー蓄積ユニットと、
該電気モータに第二のエネルギー源を与えるために電気モータに動作上接続された原動機と、を含み、
該エネルギー制御ユニットは該エネルギー蓄積ユニットの中の貯えられたポテンシャルエネルギーの量を制御するために動作可能であって、ハイブリッド車のエネルギーレベルが所望の大きさに維持されるようにし、
該ハイブリッド車のエネルギーレベルは、少くとも、
(i)ハイブリッド車の質量/重量に基づいて導き出されるハイブリッド車の現在の機械的運動エネルギーと、
(ii)ハイブリッド車の質量/重量に基づいて導き出されるハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーと、ハイブリッド車が移動する可能性のある将来のルートと、
(iii)エネルギー蓄積ユニットのポテンシャルエネルギーと、
の関数である、ハイブリッド車用のエネルギー制御ユニット。
【請求項2】
前記エネルギー蓄積ユニットは、少くとも一つのバッテリイと、少くとも一つのウルトラキャパシタと、少くとも一つの無損失インダクタと、少くとも一つのフライホイールとで成る群から選ばれる請求項1記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項3】
前記原動機は、内燃機関、ガスタービンエンジン、スチームエンジン及び燃料電池で成る群から選ばれる請求項1記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項4】
前記原動機は、燃料内に含まれるポテンシャルエネルギーを前記第二のエネルギー源に変換するよう動作可能であり、
前記ハイブリッド車のエネルギーレベルは該燃料のポテンシャルエネルギーの関数とはなっていない請求項1記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項5】
前記エネルギー制御ユニットは、前記ハイブリッド車のエネルギーレベルを所望の大きさに維持するよう動作可能である請求項1記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項6】
前記ハイブリッド車のエネルギーレベルは、
(i)前記ハイブリッド車の機械的運動エネルギーと、
(ii)前記ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーと、
(iii)前記エネルギー蓄積ユニットのポテンシャルエネルギーとを合計したものに比例している請求項1記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項7】
前記エネルギー制御ユニットは、
前記ハイブリッド車の推定されたエネルギーレベルを所望の大きさと比較し、
前記エネルギー蓄積ユニットの中の貯えられたポテンシャルエネルギーを該比較に応答して制御して、該ハイブリッド車のエネルギーレベルが該所望の大きさに近付くようにする請求項1記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項8】
前記エネルギー制御ユニットは約0.0001ないし0.0010ヘルツの比較的低い帯域幅で動作して、前記ハイブリッド車のエネルギーレベルが比較的低レートで前記所望の大きさに近付くようにする請求項7記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項9】
前記エネルギー制御ユニットは、前記ハイブリッド車の機械的運動エネルギーと該ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーと該エネルギー蓄積ユニットのポテンシャルエネルギーとの少くとも一つを推定するように動作可能である請求項7記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項10】
前記エネルギー制御ユニットは、
前記ハイブリッド車の機械的運動エネルギーと機械的ポテンシャルエネルギーを推定するように動作可能な機械的エネルギー推定ユニットと、
前記エネルギー蓄積ユニットのポテンシャルエネルギーを推定するように動作可能なエネルギー推定ユニットとを含んでいる請求項9記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項11】
前記エネルギー制御ユニットは、ハイブリッド車の重量もしくは質量とハイブリッド車の速度の自乗との積に実質的に比例する、前記ハイブリッド車の機械的運動エネルギーを推定するように動作可能である請求項9記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項12】
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)基本車輌重量もしくは質量と、旅客重量もしくは質量の推定値かあるいは燃料重量もしくは質量の推定値かの少くとも一方とを合計することによって前記ハイブリッド車の重量もしくは質量を推定することと、
(ii)前記ハイブリッド車の重量もしくは質量の記憶された推定値を使用することと、のうちの少くとも一方を行うように動作可能である請求項11記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項13】
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)速度センサからの速度測定値に基づいて前記ハイブリッド車の速度を推定することと、
(ii)前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源から受信した情報に基づいてハイブリッド車の速度を推定することと、の少くとも一方を行うように動作可能である請求項11記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項14】
前記エネルギー制御ユニットは、レーダ反射測定値を得ることと、ドップラアルゴリズムを採用することとに基づいて、前記ハイブリッド車の速度を推定するように動作可能である請求項13記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項15】
前記エネルギー制御ユニットは、前記ハイブリッド車のドップラユニットと通信をし、
該ドップラユニットはレーダ源信号を作り、またレーダ反射信号を受信してレーダ反射測定値を作るように動作可能である請求項14記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項16】
前記速度センサはスピードメータシステムを含んでいる請求項13記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項17】
前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源は、ハイブリッド車の経度及び緯度の位置に関する情報を含んでいる無線信号を供給するように動作可能なグローバルポジショニングシステム(GPS)を含み、
前記エネルギー制御ユニットは、前記ハイブリッド車の位置に関する前記無線信号情報を受信して、時間についてハイブリッド車の位置の差を計算することによってハイブリッド車の速度を推定するように動作可能である請求項13記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項18】
前記エネルギー制御ユニットは、ハイブリッド車の重量もしくは質量と、ハイブリッド車の高度との積に実質的に比例する、前記ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーを推定するように動作可能である請求項9記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項19】
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)前記ハイブリッド車の推定された力と前記ハイブリッド車の推定された加速度との商を計算することによりハイブリッド車の重量もしくは質量を推定することと、
(ii)前記ハイブリッド車の重量もしくは質量の記憶された推定値を使用することと、
のうちの少くとも一方を行うように動作可能である請求項18記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項20】
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)前記ハイブリッド車が移動する表面の傾斜角にハイブリッド車の速度を乗じたものの時間積分に比例する、ハイブリッド車の高度を推定することと、
(ii)高度センサから該ハイブリッド車の高度の推定値を受信することと、
(iii)該ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源から受信した情報に基づいてハイブリッド車の高度を推定することと、のうちの少くとも一つを行うように動作可能である請求項18記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項21】
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)前記傾斜角上で前記ハイブリッド車を動かすのに必要とされる力を推定し前記力から傾斜角を計算することによって傾斜角を推定することと、
(ii)傾斜角センサから傾斜角の推定値を受信することと、
(iii)前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源から受信した情報に基づいて傾斜角を推定することと、のうちの少くとも一つを行うように動作可能である請求項20記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項22】
前記傾斜角センサは垂直ジャイロと傾斜計との少くとも一つを含んでいる請求項21記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項23】
前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源は、ハイブリッド車が移動する表面の近くに置かれたバーコードを付けたプラカードを含んでいて、
該プラカードのバーコードは該表面の傾斜角に関する情報を含んでいる請求項21記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項24】
前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源は、少くとも一つの無線装置を含んでいて、
該少くとも一つの無線装置からの無線信号は前記表面の傾斜角に関する情報を含んで伝搬される請求項21記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項25】
前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源は、ハイブリッド車の経度及び緯度の位置に関する情報を含んでいる無線信号を供給するように動作可能なグローバルポジショニングシステム(GPS)を含み、
前記エネルギー制御ユニットは、該ハイブリッド車の位置に関する情報を含んでいる無線信号を受信して、前記無線信号に基づいて表面の傾斜角の推定値を得るように動作可能である請求項21記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項26】
前記エネルギー制御ユニットは、複数の傾斜角を含んでいるデータベースを備えていて、該傾斜角が前記ハイブリッド車の位置に関する情報によりインデックスが付されかつこの情報を用いて検索可能とされている請求項25記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項27】
前記エネルギー制御ユニットは前記ハイブリッド車の外部のデータベースと通信するように動作可能であり、
前記ハイブリッド車の位置に関する情報によりインデックスが付されかつこの情報を用いて検索可能とされている複数の傾斜角を該外部のデータベースが含んでいる請求項25記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項28】
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)前記外部のデータベースと無線通信チャンネルを経由して通信し、
(ii)前記ハイブリッド車の位置に関する情報を該外部のデータベースに向けて該無線通信チャンネルを経由して送り、
(iii)該外部のデータベースから該無線通信チャンネル上で傾斜角を受信するように動作可能である請求項27記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項29】
前記高度センサは高度計を含んでいる請求項20記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項30】
前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源は、ハイブリッド車が移動する表面の近くに置かれたバーコードを付けたプラカードを含んでいて、
該プラカードのバーコードはハイブリッド車の高度に関する情報を含んでいる請求項20記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項31】
前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源は、少くとも一つの無線装置を含んでいて、
該少くとも一つの無線装置から無線信号が伝搬され、前記無線信号はハイブリッド車の高度に関する情報を含んでいる請求項20記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項32】
前記ハイブリッド車の外部の少くとも一つの源は、ハイブリッド車の高度に関する情報を含んでいる無線信号を供給するように動作可能なグローバルポジショニングシステム(GPS)を含み、
前記エネルギー制御ユニットは、該ハイブリッド車の高度に関する情報を含んでいる無線信号を受信して、前記無線信号に基づいてハイブリッド車の高度の推定値を得るように動作可能な請求項31記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項33】
前記エネルギー蓄積ユニットは、電気的エネルギー蓄積ユニットであり、
前記エネルギー制御ユニットは、該電気的エネルギー蓄積ユニットの電圧と電流との積の時間積分に実質的に比例する、該電気的エネルギー蓄積ユニットの電気的ポテンシャルエネルギーを推定するように動作可能である請求項9記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項34】
前記ハイブリッド車は、
前記エネルギー蓄積ユニットに動作可能に接続され、かつ電気モータを回転するための電気的エネルギーにエネルギー蓄積ユニットの中の貯えられたエネルギーを変換するように動作可能なモータ制御器と、
原動機に回転可能に接続され、かつ該エネルギー蓄積ユニットに対して電気的エネルギー源を供給するように動作可能な発電機とを備えており、
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)該エネルギー蓄積ユニットの出力を監視し、
(ii)該発電機からの電気的エネルギー源にその電気的エネルギーの少くとも一部を直接に該モータ制御器に送らせるように動作可能である請求項1記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項35】
前記ハイブリッド車は前記エネルギー蓄積ユニットに動作可能に接続され、かつ前記電気モータを回転するための電気的エネルギーを供給するように動作可能なモータ制御器を含み、かつ、
前記エネルギー制御ユニットは、(i)ハイブリッド車が停止しているとき、及び(ii)電気モータとモータ制御器とが回生モードで動作するときには、アイドリングレベルもしくはそれ以下の回転速度で原動機を動作させるように動作可能である請求項1記載のエネルギー制御器。
【請求項36】
ハイブリッド車用の駆動システムであって、
該ハイブリッド車に駆動動力源を供給するように動作可能な電気モータと、
該電気モータを回転するための電気的エネルギーを供給するように動作可能なモータ制御器と、
該モータ制御器と動作可能に接続されて、モータ制御器にエネルギー源を供給するエネルギー蓄積ユニットと、
回転エネルギー源を供給するように動作することができる原動機と、
該原動機からの回転エネルギーを該エネルギー蓄積ユニット用の再充電エネルギーに変換するように動作可能な充電システムと、
該エネルギー蓄積ユニットの貯えられたポテンシャルエネルギーの量を制御して、該ハイブリッド車のエネルギーレベルが所望の大きさに維持されるように動作可能なエネルギー制御ユニットとを備え、
該ハイブリッド車のエネルギーレベルは、少くとも、
(i)ハイブリッド車の質量/重量に基づいて導き出されるハイブリッド車の現在の機械的運動エネルギーと、
(ii)ハイブリッド車の質量/重量に基づいて導き出されるハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーと、ハイブリッド車が移動する可能性のある将来のルートと、
(iii)エネルギー蓄積ユニットのポテンシャルエネルギーと、
の関数となっているハイブリッド車用の駆動システム。
【請求項37】
ハイブリッド車用のエネルギー制御ユニットであって、
該ハイブリッド車は、
(i)該ハイブリッド車に駆動動力源を供給するように動作可能な電気モータと、
(ii)該電気モータを回転するための電気的エネルギーを供給するように動作可能なモータ制御器と、
(iii)該モータ制御器にエネルギー源を供給するために該モータ制御器に動作可能に接続されたエネルギー蓄積ユニットと、
(iv)回転エネルギー源を供給するように動作可能な原動機と、
(v)該原動機からの回転エネルギーをエネルギー蓄積ユニット用の再充電エネルギーに変換するように動作可能な充電システムと、を含んでおり、
該エネルギー制御ユニットは該エネルギー蓄積ユニットの中の貯えられたポテンシャルエネルギーの量を制御するために動作可能であって、ハイブリッド車のエネルギーレベルが所望の大きさに維持されるようにし、
該ハイブリッド車のエネルギーレベルは、少くとも、
(i)ハイブリッド車の質量/重量に基づいて導き出されるハイブリッド車の現在の機械的運動エネルギーと、
(ii)ハイブリッド車の質量/重量に基づいて導き出されるハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーと、ハイブリッド車が移動する可能性のある将来のルートと、
(iii)エネルギー蓄積ユニットのポテンシャルエネルギーと、
の関数であり、
該エネルギー制御ユニットは、
外部源から、該ハイブリッド車の経度及び緯度の位置に関する情報を含んでいる信号を受信するように動作可能な位置決めシステムと、
該ハイブリッド車の経度及び緯度の位置に関する情報に基づいて、該ハイブリッド車が移動する表面の1つ以上の傾斜角と長さとを推定するように動作可能な地形予測ユニットと、
該エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態を推定するように動作可能なモニタと、を備えており、
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態が第一のしきい値レベル以下となったことを示す該モニタからのエネルギー状態と、
(ii)エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態が第二のしきい値レベル以上となったことを示す該モニタからのエネルギー状態と、
(iii)該ハイブリッド車が移動する表面上の傾斜角と長さとの推定値と、のうちの少くとも一つの関数として、
該電気的エネルギー蓄積ユニットに電力を再充電することと、再充電を終結することとの少くとも一方を該充電システムにさせるように動作可能である、ハイブリッド車用のエネルギー制御ユニット。
【請求項38】
前記エネルギー蓄積ユニットは少くとも一つのバッテリイ、少くとも一つのウルトラキャパシタ、少くとも一つの無損失インダクタ、及び少くとも一つのフライホイールで成る群から選択される請求項37記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項39】
前記原動機は、内燃機関、ガスタービンエンジン、スチームエンジン及び燃料電池で成る群から選択される請求項37記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項40】
前記位置決めシステムはグローバルポジショニングシステム(GPS)ユニットであって、GPS衛星システムから無線信号を受信するように動作可能である請求項37記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項41】
前記エネルギー制御ユニットは、
(i)エネルギー状態が第一のしきい値レベル以下となったことを前記モニタが示すときは、前記充電システムに、再充電エネルギーをエネルギー蓄積ユニットへ供給させ、
(ii)エネルギー状態が第二のしきい値レベル以上となったことを前記モニタが示すときは、前記充電システムに、エネルギー蓄積ユニットへのエネルギーの再充電を終結させるように動作可能である請求項37記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項42】
前記ハイブリッド車が移動する表面の傾斜角と長さの推定値が、
(i)エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態を最小しきい値未満に下げない、エネルギー蓄積ユニットからのエネルギー量を使用して、1以上の下り傾斜に到達できること、及び、
(ii)ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーを電気的エネルギーに変換することによってエネルギー量の少くとも実質的な部分を回復するのに、下り傾斜の長さの1つ以上が十分であることを示す場合に、
前記エネルギー制御ユニットは、前記充電システムが前記エネルギー蓄積ユニットに再充電エネルギーを供給するときを自動調節するように動作可能である請求項41記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項43】
前記ハイブリッド車が移動する表面の傾斜角の推定値が、
それぞれの長さを有する1以上の上り傾斜が、エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態を少くとも第一のしきい値レベル未満に下げるのに十分な、エネルギー蓄積ユニットからのエネルギー量を必要とすることを示す場合に、
前記エネルギー制御ユニットは、前記充電システムが前記エネルギー蓄積ユニットに再充電エネルギーを供給するときを自動調節するように動作可能である請求項41記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項44】
前記ハイブリッド車が移動する表面の傾斜角の推定値が、
(i)エネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態を最小しきい値未満に下げない、エネルギー蓄積ユニットからのエネルギー量を使用して、1以上の下り傾斜に到達できること、及び、
(ii)ハイブリッド車の機械的ポテンシャルエネルギーを電気的エネルギーに変換することによって少くとも第二のしきい値レベルまでエネルギー蓄積ユニットのエネルギー状態を高めるために十分なエネルギーを回復するのに、1以上の下り傾斜の長さが十分であることを示す場合に、
前記エネルギー制御ユニットは、前記充電システムが前記エネルギー蓄積ユニットに再充電エネルギーを供給するときを自動調節するように動作可能である請求項41記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項45】
前記地形予測ユニットは、複数の傾斜角と前記傾斜角の長さとを含んでいるデータベースと通信し、前記複数の傾斜角と前記傾斜角の長さは、前記ハイブリッド車の経度及び緯度の位置に関する情報によりインデックスが付され、かつこの情報を用いて検索可能である請求項37記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項46】
前記地形予測ユニットは、前記ハイブリッド車がこれから移動する表面の1以上の傾斜角とそれぞれの長さを、ハイブリッド車の経度及び緯度の位置と少くとも一つの移動方向とに関する情報に基づいて推定する請求項45記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項47】
前記地形予測ユニットは、前記ハイブリッド車の将来の位置を、(i)該ハイブリッド車の所与の位置と、(ii)移動の方向と、(iii)ハイブリッド車の速度とに基づいて推定する請求項46記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項48】
前記地形予測ユニットは、前記ハイブリッド車がこれから移動する表面の1以上の傾斜角とそれぞれの長さとを、ハイブリッド車の推定された将来の位置をインデックスとして用いて、データベースから複数の傾斜角と長さとの少くとも一つを検索することによって推定する請求項47記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項49】
前記地形予測ユニットは方向センサから移動の方向を得る請求項47記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項50】
前記地形予測ユニットは、1以上の記憶されたルートについての移動情報を含んでいるルートメモリと通信をし、
前記記憶されたルートのうちの所与の一つのルートについての該移動情報は、該所与の一つのルートを移動しているときの前記ハイブリッド車の将来の位置を含んでいる請求項45記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項51】
前記地形予測ユニットは、前記ハイブリッド車がこれから移動する表面の1以上の傾斜角とそれぞれの長さとを、ハイブリッド車の将来の位置をインデックスとして用いて、データベースから複数の傾斜角と長さとの少くとも一つを検索することによって推定する請求項50記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項52】
前記地形予測ユニットは、前記ハイブリッド車の1以上の位置を監視し、かつどの記憶されたルートが前記監視されている位置に実質的に整合しているかを推定することによって、記憶されたルートの一つを選択するように動作可能である請求50記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項53】
前記地形予測ユニットは、前記ハイブリッド車のドライバから指示データを受信することに基づいて、前記記憶されたルートの一つを選択するように動作可能である請求項50記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項54】
前記指示データは、前記ハイブリッド車のドライバのプログラムされた座席位置を含んでいる請求項53記載のエネルギー制御ユニット。
【請求項55】
前記指示データは、前記ハイブリッド車のドライバから目的地に向う方向についての要求を含み、
前記地形予測ユニットは、前記ハイブリッド車のドライバを目的地に向かわせることができる前記記億されたルートの一つを選択するように動作可能である請求項53記載のエネルギー制御ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−210934(P2012−210934A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96519(P2012−96519)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2001−186130(P2001−186130)の分割
【原出願日】平成13年6月20日(2001.6.20)
【出願人】(500558894)ビーエーイー・システムズ・コントロールズ・インコーポレーテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS Controls, Inc.
【Fターム(参考)】