ハウジング形管継手
【課題】管への固定した接続及び可動な接続のいずれにも対応できるハウジング形管継手を提供する。
【解決手段】ハウジング本体4と、フランジ部5と、ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて管Pの取付け部Paに係合し、かつハウジング本体の中心軸線Cに対して斜めに曲がるよう段部4a3が形成される係合部4aとを備えたハウジング3を1対有し、1対のハウジングを対向配置した際、フランジ部の対向面にそれぞれ設けられ、ハウジングの一方をハウジングの対称点Syの周りに回転させたとき第1の位置と第2の位置とで互いに係合してハウジング同士を位置決めする位置決め部材6をさらに備え、第1の位置で対向する係合部同士の距離が管軸方向Lに沿って最も近接して1対の管を可動自在に接続し、第2の位置で対向する係合部同士の距離が管の軸方向に沿って最も離間して1対の管を固定して接続するハウジング形管継手1である。
【解決手段】ハウジング本体4と、フランジ部5と、ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて管Pの取付け部Paに係合し、かつハウジング本体の中心軸線Cに対して斜めに曲がるよう段部4a3が形成される係合部4aとを備えたハウジング3を1対有し、1対のハウジングを対向配置した際、フランジ部の対向面にそれぞれ設けられ、ハウジングの一方をハウジングの対称点Syの周りに回転させたとき第1の位置と第2の位置とで互いに係合してハウジング同士を位置決めする位置決め部材6をさらに備え、第1の位置で対向する係合部同士の距離が管軸方向Lに沿って最も近接して1対の管を可動自在に接続し、第2の位置で対向する係合部同士の距離が管の軸方向に沿って最も離間して1対の管を固定して接続するハウジング形管継手1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続される管の端部同士を突き合わせて接続するハウジング形管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図12に示すようなハウジング形管継手が知られている。このハウジング形管継手100は、略半円形状のハウジング本体400、ハウジング本体400の両端部から径方向外側に延びるフランジ部500を備えたハウジング300を一対組み付けてなる。そして、円周状の溝Paが管端部に形成された一対の管Pを互いに突き合わせて接続部とし、この接続部に環状ガスケット600を介して一対のハウジング300を囲むように取付け、対向するフランジ部500に開口されたボルト穴にボルト800を挿通してナット900を締め付けることにより、ハウジング形管継手100が管の接続部を囲んで固定される。
そして、図13に示すように、ハウジング本体400の周方向に沿う両側部には、径方向内側に突出する爪部400aがそれぞれ形成され、この爪部400aが一対の管Pの溝Paにそれぞれ係合することにより、管Pが接続される。
【0003】
ところで、このようなハウジング形管継手による接続方法は、配管システムの用途や目的に応じて異なる。例えば、施工時の微調整や施工後の温度変化等による管の伸縮への対応が必要な配管システムの場合、ハウジング形管継手に管を可動に接続する方法が用いられる。
このため、爪部400aの幅を溝Paの幅より狭くし、溝Paに爪部400aを遊嵌させることで、1対の管Pの間の相対的な移動、及び管Pとハウジング本体400との間の相対的な動きが僅かに許容される。
【0004】
一方、ハウジング形管継手に管Pを固定して接続し、管Pの軸方向及び周方向への動きを制限する配管システムが要求される場合がある。このような固定接続のためのハウジング形管継手として、ハウジング本体の中心軸線に対して傾斜して爪部を形成した技術が開示されている(特許文献1)。この技術は、管を囲んで1対のハウジングを対向配置した際、爪部が管の環状溝に対し斜めに係合するため、爪部が環状溝の側面に係止され、ハウジングが管に強固に接続される。
又、管を囲んで1対のハウジングを対向配置した後、ハウジングを中心の周りで互いに反対方向に回転させる技術が開示されている(特許文献2)。この技術は、ハウジングを互いにねじるように回転させることで、対向する爪部13のうち、一方の爪部13の内縁13bが管の環状溝41の外縁に当接し、他の爪部13の外縁13aが管の環状溝41の内縁に当接し、爪部と環状溝の間のクリアランス(遊び)を無くしてガタ付きのない接続が得られる。
【0005】
さらに、壁面が傾斜したプラグをハウジングに脱着することにより、管を可動に接続することと、固定して接続することの両方に対応するハウジング形管継手が開示されている(特許文献3)。この技術は、ハウジングのフランジ部(突出部)に開口するソケットにプラグを挿入し、ボルトを挿通することで、1対のハウジング(セグメント)が管の軸方向にオフセットして取付けられ、爪部を管の環状溝の側面に係止してハウジングを管に強固に接続することができる。又、プラグを用いずにフランジ部(突出部)にボルトを挿通した場合には、1対のハウジング(セグメント)が管の軸方向にオフセットしないため、爪部を管の環状溝に遊嵌させてハウジングを管に可動に接続することができる。
【0006】
【特許文献1】実用新案2573880号公報(図2)
【特許文献2】実用新案2538261号公報(図2、図5)
【特許文献3】実用新案3183507号公報(第4図、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2記載のハウジング形管継手の場合、ハウジングを管に可動に接続することができない。このため、管の可動が必要な配管部分には、別途、可動な接続に適したハウジング形管継手を準備しなければならない。このため、施工に際し、可動の接続と、固定した接続に用いるハウジングを、各種サイズそれぞれ準備する必要があり、施工現場での管理工数の増加や施工性低下などを招き、更に保管場所の確保などの問題を有している。
また、特許文献3記載のハウジング形管継手は、可動な接続と固定した接続の両方に対応可能であるが、プラグの脱着作業が必要であり、又、プラグをハウジング内のソケットへ特定方向で取り付けなければならないなど施工性に問題を有しており、プラグを間違えた方向で取り付けてしまい、固定した接続が実現できない可能性もある。
本発明は上記課題を解決し、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、管への固定した接続及び可動な接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れたハウジング形管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明のハウジング形管継手は、凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を接続するハウジング形管継手において、半円状をなすハウジング本体と、前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられて径方向外側に延びるフランジ部と、前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合し、かつ該ハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるか、又は一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるよう少なくとも1つの段部が形成されてなる係合部とを備えたハウジングを1対有し、前記1対のハウジングを対向配置した際に対向する前記フランジ部の対向面にそれぞれ設けられ、前記1対のハウジングの一方を、その対向面上でかつ該ハウジングの対称点の周りに回転させたときの第1の位置と、前記第1の位置と逆方向に回転させたときの第2の位置とで互いに係合して前記1対のハウジング同士を位置決めする位置決め部材をさらに備え、前記位置決め部材同士を係合し、かつ互いに対向する前記フランジ部を所定の締結具で締結することにより、前記1対のハウジングが前記1対の管の接続部を囲んで固定され、前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が、前記ハウジング本体の中心軸線に垂直な管軸方向に沿って最も近接し、前記取付け部に前記係合部を遊嵌させて前記1対の管を前記1対のハウジングに可動自在に接続し、前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が前記管軸方向に沿って最も離間し、前記取付け部に前記係合部を緊合させて前記1対の管を前記1対のハウジングに固定して接続するものである。
【0009】
このように本発明は、1対のハウジングをハウジングの対称点の周りに回転させたとき、第1の位置と第2の位置とで互いに係合してハウジング同士を位置決めする位置決め部材を設けている。そして、ハウジング本体の中心軸線に対し、一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるように段部を形成した係合部を備え、この係合部を管の取付け部に係合している。
このため、ハウジングを回転させるだけで、対向する係合部同士の管軸方向の距離を変化させることができる。そして、この距離を小さくするよう回転すれば、係合部が管の取付け部に遊嵌し、1対の管を1対のハウジングに可動自在に接続できる。一方、この距離を大きくするよう回転すれば、係合部が管の取付け部の側壁に確りと嵌って緊合し、1対の管を1対のハウジングに固定して接続することができる。つまり、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、1種類のハウジングで、管の可動接続と固定接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れ、部品点数も少なくなる。
さらに、係合部をハウジング本体の中心軸線に対し、斜めに延びるように形成したので、ハウジングを対向させたときに係合部同士が交差し、係合部の先端同士が既にやや広がって離間している。このため、ハウジングを比較的わずかな角度で回転させるだけで、管軸方向の係合部の先端同士の距離が大きくなり、係合部を管の取付け部の側壁に容易に緊合させて固定接続を実現できる。
これに対し、係合部をハウジング本体の中心軸線に平行に形成した場合、ハウジングをそれぞれ逆方向に同じ回転角度だけ回転させても、回転方向に係らず管軸方向Lの幅Lwが同じ値になるため、回転方向に応じた接続の切り替えができない(つまり、いずれの回転方向でも、管が固定接続されてしまう)。この場合、順方向と逆方向とで回転角度が異なるようにすれば、管の固定接続と可動接続との接続の切り替えを行うこと自体は可能である。しかしながら、管と係合部との接触部分の当たりや面積が回転角度によって異なるため、回転角度が異なると管の締め付けが均等にならないので、順方向と逆方向との回転角度が等しくなるよう、係合部をハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるように設けている。
【0010】
前記位置決め部材は、2個以上の凹部と凸部が前記ハウジング本体の両端部に沿って交互にかつ同一間隔で並んでいてもよい。
このようにすると、位置決め部材を対向させて互いに係合させる際、位置決め部材が上下で噛み合うため、同一形状の位置決め部材で済む。これに対し、例えば、上側のハウジングの両端部の位置決め部材を雄ピンとし、下側のハウジングの両端部の位置決め部材を2個の孔とした場合、雄ピンを孔に挿入することで第1の位置と第2の位置とで係合させることはできるが、位置決め部材として雄ピンと孔という異なる構成要素を必要とし、1個(種)の共通なハウジングを用いた接続ができず、部品点数の増加や施工性の低下を招く。
なお、1個のハウジングのうち一端部の位置決め部材を雄ピン、他端部の位置決め部材を2個の孔としても、1種の共通形状のハウジングを用いた接続が可能となる。但し、この場合は、2個のハウジングを対向させる際、方向性を規制する必要がある。
【0011】
前記位置決め部材は、前記ハウジングの対称点を中心とする円弧に沿って形成されていてもよい。
このようにすると、各ハウジングを対向配置させて位置決め部材同士を対向させた際、位置決め部材同士の凹凸が噛み合うためには、これらの凹凸が並ぶ方向、つまり対称点を中心にハウジングを回転させる必要があり、仮に一方のハウジングを管軸方向にずらしても位置決め部材同士の凹凸が噛み合わない。すなわち、ハウジングを管軸方向にずらして組み付ける等の誤った動作を防止することができる。
【0012】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第1の着色が施されていてもよい。
このようにすると、第1の位置までハウジングを回転させたときに、上側のフランジ部内面及び下側フランジ部内面が表出し、これらに施された第1の着色が視認できるようになる。従って、第1の位置まで回転したことを容易に確認でき、例えば、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【0013】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第2の着色が施されていてもよい。
このようにすると、第2の位置までハウジングを回転させたときに、上側のフランジ部内面及び下側フランジ部内面が表出し、これらに施された第2の着色が視認できるようになる。従って、第2の位置まで回転したことを容易に確認でき、例えば、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【0014】
前記ハウジングの外面に、前記第1の位置及び/又は前記第2の位置への回転方向を案内する表示が設けられていてもよい。
このようにすると、ハウジングを回転させる前に、どちらに回転させればよいかを視認できるようになり、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、管への固定した接続及び可動な接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れたハウジング形管継手が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明するが、それにより本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハウジング形管継手1を管に取付けたとき、管の軸方向に垂直な面で切断した断面図である。ハウジング形管継手1は、略半円形状のハウジング本体4と、ハウジング本体4の(円周方向に垂直な)両端部から径方向外側に延びるフランジ部5を備えたハウジング3を一対組み付けて構成されている。そして、後述する溝が形成された一対の管Pを互いに突き合わせて接続部とし、この接続部に環状ガスケット16を介して一対のハウジング3を囲むように対向配置し、対向するフランジ部5に開口されたボルト穴にボルト8を挿通してナット9を締め付けることにより、ハウジング形管継手1が管の接続部を囲んで固定される。なお、ボルト8とナット9とが「締結具」を構成する。
そして、図2に示すように、ハウジング本体4の円周方向に沿う両側部の内面には、径方向内側に突出する爪部(係合部)4aがそれぞれ形成され、この爪部4aが一対の管Pの端部の周方向に沿ってそれぞれ形成された溝(取付け部)Paに係合することにより、管Pが接続される。
なお、一対の管Pは、ほぼ同軸になるよう取り付けられるが、接続した管の軸同士が多少偏心したり角度が生じた状態で接続されることもある。
【0017】
図3は、1個のハウジング3を内面側から見た平面図である。ハウジング本体4の中心軸線Cは、ハウジング3の両端(図3では上下)にそれぞれ配置されるフランジ部5に対しそれぞれ2本の対称軸を規定し、これらの対称軸を通る直線で定義される。これは、本発明がほぼ同一形状のハウジング3を2個組としてハウジング形管継手を構成するため、各フランジ部5の対称軸が同一線上に無いと、1組のハウジング3を対向配置したときに、フランジ部5同士がオフセットしてしまうからである。
一方、上下に配置されたフランジ部5が重なる対称軸を、管軸方向Lと称する。管軸方向Lは中心軸線Cに垂直であり、又、ハウジング形管継手1を管に取付けたときの管の軸方向とほぼ平行である。
又、中心軸線Cと管軸方向Lとの交点をハウジングの対称点Syとする。なお、対称点Syを中心としてハウジング3を180度回転させると、もとのハウジング3に重なることになる。
【0018】
爪部4aは、ハウジング本体4の内面4bの両側縁に互いに平行して設けられ、爪部4aの一端側(図3の上端側)から他端側(下端側)へ向かう中央部に1つの段部4a3が形成されている。爪部4aのうち、段部4a3より上側を上側爪部4a1とし、段部4a3より下側を下側爪部4a2とする。
いま、図3の左側の爪部4aを見ると、上側爪部4a1及び下側爪部4a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、下側爪部4a2は段部4a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、上側爪部4a1より左にオフセットしている。従って、爪部4a全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cから遠ざかるように斜めに曲がるようになっている。
一方、図3の右側の爪部4aは、左側の爪部4aと平行であるため、爪部全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cに近付くように斜めに曲がっている。具体的には、右側の爪部4aの上側爪部4a1及び下側爪部4a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、上側爪部4a1は段部4a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、下側爪部4a2より右にオフセットしている。
【0019】
フランジ部5は、ハウジング本体4の両端部4cから径方向外側に延びている。又、フランジ部5の内面(対向面)には、両端部4cに沿って2個以上の凹部6bと凸部6aが交互に並んでなる位置決め部材(固定部)6が配置されている。なお、フランジ部5のうち位置決め部材6より外側には、中心軸線C上に中心を有し、両端部4cに沿って長い長円状のボルト穴5aが貫通している。
【0020】
図4は、位置決め部材6の側面の構成を示す。位置決め部材6は、3個の凸部6aの間に2個の凹部6bが配置され、各凹部6bと凸部6aが交互に、かつ同一ピッチ(間隔)で並んでいる。又、この実施形態では、凹部6bと凸部6aの中間高さ部分がフランジ部5の内面Sと面一になるよう、位置決め部材6がフランジ部5に埋設されている。そして、位置決め部材6の最両端の凸部の外側には、対向する位置決め部材6の最両端の凸部が内面Sからの突出する部分を収容可能な凹部が設けられている。このようにすると、後述するように対向する2つの位置決め部材6の凹部6bと凸部6aとを噛み合わせて両者を互いに係合したときに、対向するフランジ部5の内面S同士が接する。
なお、位置決め部材6は中心軸線Cに対して左右対称形である。
【0021】
次に、図5を参照して、ハウジングをその対称点Syの周りに回転させたときの、互いに対向する位置決め部材6x、6yの位置関係を説明する。
まず、1対のハウジング3x、3yを重なり合うように対向配置すると、各ハウジング3x、3yにそれぞれ設けられた位置決め部材6x、6yの凸部6a同士が当接する(図5(a))。このときの上下のハウジング3x、3y同士のなす角を0度(初期位置)とする。
次に、一方の(上側の)ハウジング3xを、対向面上でかつハウジングの対称点Syの周りに右周り(時計周り)に相対的に回転させる(図5(b))。このとき、位置決め部材6xの位置は、位置決め部材6yに対し1ピッチ分だけずれ、位置決め部材6yの凸部6aが位置決め部材6xの凹部6bに嵌入した状態で、位置決め部材6x、6yが互いに係合し、ハウジング3x、3y同士を位置決めする。このときの位置決め部材6yに対する位置決め部材6xの相対位置を、「第1の位置」とし、図5(a)の初期位置(回転角0度)からの位置決め部材6xの回転角をθとする。
次に、一方の(上側の)ハウジング3xを、対向面上でかつハウジングの対称点Syの周りに左周り(反時計周り)に相対的に回転させる(図5(c))。このとき、位置決め部材6xの位置は、位置決め部材6yに対し1ピッチ分だけ逆方向にずれ、位置決め部材6yの凹部6bに位置決め部材6xの凸部6aが嵌入した状態で、位置決め部材6x、6yが互いに係合し、ハウジング3x、3y同士を位置決めする。このときの位置決め部材6yに対する位置決め部材6xの相対位置を、「第2の位置」とし、図5(a)の初期位置(回転角0度)からの位置決め部材6xの回転角を−θとする。
【0022】
次に、図6を参照して、ハウジングをその対称点Syの周りに上記回転角θ、−θでそれぞれ回転させたとき、互いに対向する係合部(爪部)4ax、4ayの位置関係を説明する。
まず、1対のハウジング3x、3yを重なり合うように対向配置した初期位置(回転角0度)で、各ハウジング3x、3yにそれぞれ設けられた爪部4ax、4ay同士が対向する(図6(a))。なお、図6において、ハウジング3xの爪部4axをハッチングして示す。このとき、段部4a3で交差するように、爪部4axの上側爪部4a1が爪部4ayの上側爪部4a1の左側に平行に並び、同様に爪部4axの下側爪部4a2が爪部4ayの下側爪部4a2の右側に平行に並ぶ。
このとき、管Pの溝(取付け部)Paの管軸方向Lの幅をLpとすると、管軸方向Lの爪部4ax、4ay同士の距離Lw1はLpより小さい。なお、爪部(係合部)の「距離」とは、管軸方向Lにおいて係合部のうち最も間隔の広がった部分の長さをいう。
【0023】
次に、第1の位置(回転角θ)までハウジング3xを回転させると、爪部4axの上側爪部4a1が右に寄って爪部4ayの上側爪部4a1に接近し(重なり)、同様に爪部4axの下側爪部4a2が左に寄って爪部4ayの下側爪部4a2に接近する(重なる)(図6(b))。このとき、管軸方向Lの爪部4ax、4ay同士の距離Lw2が最も近接して小さくなる。具体的には、距離Lw2は段部4a3で最も大きく、各爪部4ax、4ayの先端で最も小さい。
このとき、Lp>Lw2となり、爪部(係合部)4ax、4ayが管Pの溝(取付け部)Paに遊嵌し、1対の管Pが1対のハウジング3x、3yに可動自在に接続されることになる。
【0024】
次に、第2の位置(回転角−θ)までハウジング3xを逆回転させると、爪部4axの上側爪部4a1が左に寄って爪部4ayの上側爪部4a1から離間し、同様に爪部4axの下側爪部4a2が右に寄って爪部4ayの下側爪部4a2から離間する。このとき、管軸方向Lの爪部4ax、4ay同士の距離Lw3が各爪部の先端付近で最も離間して大きくなる。
このとき、Lp≦Lw3となり、爪部(係合部)4ax、4ayが管Pの溝(取付け部)Paの側壁にそれぞれ確りと嵌って緊合し、1対の管Pが1対のハウジング3x、3yに固定して接続されることになる。
【0025】
このように、第1の実施形態においては、1対のハウジングをハウジングの対称点の周りに回転させたとき、第1の位置と第2の位置とで互いに係合してハウジング同士を位置決めする位置決め部材を設けている。そして、ハウジング本体の中心軸線に対し、一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるように段部を形成した係合部を備え、この係合部を管の取付け部に係合している。
このため、ハウジングを回転させるだけで、対向する係合部同士の管軸方向の距離を変化させることができる。そして、この距離を小さくするよう回転すれば、係合部が管の溝(取付け部)に遊嵌し、1対の管を1対のハウジングに可動自在に接続できる。一方、この距離を大きくするよう回転すれば、係合部が管の溝(取付け部)の側壁に確りと嵌って緊合し、1対の管を1対のハウジングに固定して接続することができる。つまり、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、1種類のハウジングで、管の可動接続と固定接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れ、部品点数も少なくなる。
【0026】
さらに、係合部をハウジング本体の中心軸線に対し、斜めに延びるように形成したので、ハウジングを対向させたときに係合部同士が交差し、係合部の先端同士が既にやや広がって離間している。このため、ハウジングを比較的わずかな角度で回転させるだけで、管軸方向の係合部の先端同士の距離が大きくなり、係合部を管の取付け部の側壁に容易に緊合させて固定接続を実現できる。
これに対し、係合部をハウジング本体の中心軸線に平行に形成した場合、ハウジングをそれぞれ逆方向に同じ回転角度だけ回転させても、回転方向に係らず管軸方向Lの幅Lwが同じ値になるため、回転方向に応じた接続の切り替えができない(つまり、いずれの回転方向でも、管が固定接続されてしまう)。この場合、順方向と逆方向とで回転角度が異なるようにすれば、管の固定接続と可動接続との接続の切り替えを行うこと自体は可能である。しかしながら、管と係合部との接触部分の当たりや面積が回転角度によって異なるため、回転角度が異なると管の締め付けが均等にならないので、順方向と逆方向との回転角度が等しくなるよう、係合部をハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるように設けている。 なお、対向配置した1対のハウジングをその対称点で回転させず、一方のハウジングを管軸方向にオフセットすることによっても、対向する係合部同士の管軸方向の距離を変化させることは可能であるが、この場合、ハウジング同士のずれが大きくなって、やはり管の締め付けが均等で無くなったり、ハウジングの重量バランスが悪化する傾向にある。従って、本発明においては、ハウジングをその対称点で回転させている。
【0027】
又、第1の実施形態においては、位置決め部材6は、2個以上の凹部6bと凸部6aがハウジング本体4の両端部4cに沿って交互にかつ同一間隔で並んでいる。
このようにすると、位置決め部材6を対向させて互いに係合させる際、位置決め部材6が上下で噛み合うため、同一形状の位置決め部材で済む。これに対し、例えば、上側のハウジングの両端部の位置決め部材を雄ピンとし、下側のハウジングの両端部の位置決め部材を2個の孔とした場合、雄ピンを孔に挿入することで第1の位置と第2の位置とで係合させることはできるが、位置決め部材として雄ピンと孔という異なる構成要素を必要とし、1個の共通なハウジングを用いた接続ができず、部品点数の増加や施工性の低下を招く。
さらに、位置決め部材を同一とすれば各ハウジングが対称点で対称となるので、1対のハウジング3を対向配置する際に、配置の向きに煩わされることがなく、各ハウジングを間違えた取付け方向で取付ける等の問題も無くなる。
【0028】
図7は、1個のハウジング3を内面側から見たときの、フランジ部5x、5yの内面(対向面)の着色状態を示す平面図である。上側フランジ部5xの内面のうち、左側の周縁には第1の着色18aが施されている。又、この周縁と対称点Syで対称である、下側フランジ部5y内面の右側周縁にも同様に第1の着色18aが施されている。
一方、上側フランジ部5xの内面のうち、右側の周縁は第2の着色18bが施されている。又、この周縁と対称点Syで対称である、下側フランジ部5y内面の左側周縁にも同様に第2の着色18bが施されている。
【0029】
このようにすると、図6(b)に示す第1の位置(回転角θ)までハウジング3xを回転させたときに、上側フランジ部5x内面の左側周縁及び下側フランジ部5y内面の右側周縁が表出し、これらに施された第1の着色18aが視認できるようになる。従って、第1の位置(回転角θ)まで回転したことを容易に確認でき、例えば、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
又、図6(c)に示すように第2の位置(回転角−θ)までハウジング3xを回転させると、上側フランジ部5x内面の右側周縁及び下側フランジ部5y内面の左側周縁が表出し、これらに施された第2の着色18bが視認できるようになる。従って、第2の位置(回転角−θ)まで回転したことを容易に確認でき、上記と同様に誤った取付けを防止することができる。
【0030】
図8は、1個のハウジング3を外面側から見た平面図である。この図において、フランジ部5のボルト穴5aより内側の領域に、第1の位置への回転方向を案内する表示(例えば、矢印及び、「可動」という表記)19aが突設されている。同様に、第2の位置への回転方向を案内する表示(例えば、矢印及び、「固定」という表記)19bが突設されている。
このようにすると、ハウジング3xを回転させる前に、どちらに回転させればよいかを視認できるようになり、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態に係るハウジング形管継手について説明する。図9は、第2の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1個のハウジング30を内面側から見た平面図である。第2の実施形態に係るハウジング形管継手は、係合部40aと位置決め部材60の構成が異なること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については、図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図9において、係合部40aは、係合部40a周囲のハウジング本体40よりハウジング外面側へ向かって凹んでいる。一方、図示しない管の端部には、溝でなくリング状の突起(取付け部)が形成されており、この突起が凹溝である係合部40aに収容されて係合するようになっている。なお、係合部40aの管軸方向Lにおける幅Lw4は、図示しない管の突起(取付け部)の幅より広い。
なお、図3の爪部と同様、図9の左側の係合部40a(の周縁)を見ると、上側係合部40a1及び下側係合部40a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、下側係合部40a2は段部40a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、上側係合部40a1より左にオフセットしている。従って、係合部40a全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cから遠ざかるように斜めに曲がるようになっている。
又、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にして第1の着色18a及び第2の着色18bが施されている。
【0033】
一方、図9の右側の係合部40aは、左側の係合部40aと平行であるため、係合部全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cに近付くように斜めに曲がっている。具体的には、右側の係合部40aの上側係合部40a1及び下側係合部40a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、上側係合部40a1は段部40a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、下側係合部40a2より右にオフセットしている。
従って、第1の実施形態の場合と同様に、対向配置した1対のハウジングをその対称点で回転させると、対向する係合部40aの周縁同士の管軸方向Lにおける距離が変化する。そして、係合部40aの周縁同士の距離が短くなると、上下の係合部40a内で管の突起(取付け部)が動くことができる。従って、係合部40aに管Pの突起(取付け部)が遊嵌し、1対の管が1対のハウジングに可動自在に接続されることになる。
【0034】
一方、ハウジングを回転させて係合部40aの周縁同士の距離を広げると(つまり、管軸方向Lに、対向する係合部40aが遠ざかると)、管の突起(取付け部)がそれぞれ上下の(対向する)係合部40aの側壁に引っ掛かって確りと固定され、管の移動が制限される。従って、係合部40aに管Pの突起(取付け部)が緊合し、1対の管が1対のハウジングに固定されて接続されることになる。
【0035】
又、第2の実施形態における位置決め部材60は、第1の実施形態と同様、2個以上の凹部60bと凸部60aが交互にかつ同一ピッチ(間隔)で並んで形成されているが、これらの凹部60bと凸部60aは直線上でなく、ハウジングの対称点Syを中心とする円弧に沿って並んでいる。
このようにすると、各ハウジングを対向配置させて位置決め部材60同士を対向させた際、位置決め部材60同士の凹凸が噛み合うためには、これらの凹凸が並ぶ方向、つまり対称点Syを中心にハウジングを回転させる必要があり、仮に一方のハウジングを管軸方向Lにずらしても位置決め部材60同士の凹凸が噛み合わない。すなわち、ハウジングを管軸方向Lにずらして組み付ける等の誤った動作を防止することができる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態に係るハウジング形管継手11について説明する。図10は、第3の実施形態に係るハウジング形管継手11を管に取付けたとき、管の軸方向に垂直な面で切断した断面図である。第3の実施形態に係るハウジング形管継手11は、ハウジング本体4の両端のうち、一端にはフランジが形成されず、その代わりにヒンジ70が設けられていること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
ハウジング形管継手11は、略半円形状のハウジング本体4と、ハウジング本体4の両端部のうち一端に径方向外側に延びるフランジ部5と、ハウジング本体4の他端に接続されたヒンジ70とを備えたハウジング31a、31bを一対組み付けて構成されている。ここで、ヒンジ70は、上側ハウジング31aの他端の中心軸線C上に接続された片状のヒンジベース部72と、ヒンジベース部72を挟む一対の円形の軸支持部71と、軸支持部71とヒンジベース部72とを管軸方向Lに貫通する孔に嵌挿されたボルト73と、図示しないナット74とを有する。
各軸支持部71の基端は下側ハウジング31bの他端に接続され、ボルト73を軸心としてヒンジベース部72が軸支持部71に対して相対的に回動することにより、上側ハウジング31aが下側ハウジング31bに対して開き、管Pの出し入れができるようになっている。
なお、第3の実施形態において、「締結具」は、フランジ5を固定するボルト8とナット9、及びヒンジ70から構成され、このうちヒンジ70はハウジング形管継手の構成要素に含まれる。
【0038】
図11は、第3の実施形態に係るハウジング形管継手11の上面図である。各軸支持部71は、ヒンジベース部72と所定の隙間Gを有しているため、上記した図6のような各ハウジング31a、31bの回転を許容する。つまり、各ハウジングを回転させることにより、各ハウジングが互いにずれることができるよう、ヒンジベース部72と各軸支持部71との間には遊びが設けられている。なお、第3の実施形態の場合、各ハウジング31a、31bの一端はヒンジ70に接続されているため、位置決め部材6は、フランジ5の内面のみに設ければよい。
第3の実施形態によれば、各ハウジング31a、31bがヒンジ70に接続されているため、1対のハウジングを選び出す必要がなく、又、作業中にハウジングの一方が紛失したりしないので、施工性も向上する。
【0039】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、上記した実施形態では、係合部として、一端側から他端側へ向かう間に1つの段部を形成し、全体として中心軸線と斜めになっているものを用いたが、段部を複数設けてもよく、又、段部を設けずに直線状とした係合部を中心軸線と斜めに配してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係るハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した断面図である。
【図3】1個のハウジングを内面側から見た平面図である。
【図4】位置決め部材の側面の構成を示す図である。
【図5】ハウジングをその対称点の周りに回転させたときの、互いに対向する位置決め部材の位置関係を示す図である。
【図6】ハウジングをその対称点の周りに回転させたとき、互いに対向する係合部の位置関係を示す図である。
【図7】1個のハウジングを内面側から見たときの、フランジ部の内面(対向面)の着色状態を示す平面図である。
【図8】1個のハウジングを外面側から見た平面図である。
【図9】第2の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1個のハウジングを内面側から見た平面図である。
【図10】第3の実施形態に係るハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面図である。
【図11】第3の実施形態に係るハウジング形管継手の上面図である。
【図12】従来のハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面図である。
【図13】従来のハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1、11 ハウジング形管継手
3、3x、3y、30、31 ハウジング
4 ハウジング本体
4a、40a 係合部
4a3、40a3 係合部の段部
5、5x、5y フランジ部
6、60 位置決め部材
6a 位置決め部材の凸部
6b 位置決め部材の凹部
7、70 締結具
18a 第1の着色
18b 第2の着色
19a、19b 回転方向を案内する表示
P 管
Pa 管の取付け部
C ハウジング本体の中心軸線
L 管軸方向
θ 第1の位置(回転角)
−θ 第2の位置(回転角)
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続される管の端部同士を突き合わせて接続するハウジング形管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図12に示すようなハウジング形管継手が知られている。このハウジング形管継手100は、略半円形状のハウジング本体400、ハウジング本体400の両端部から径方向外側に延びるフランジ部500を備えたハウジング300を一対組み付けてなる。そして、円周状の溝Paが管端部に形成された一対の管Pを互いに突き合わせて接続部とし、この接続部に環状ガスケット600を介して一対のハウジング300を囲むように取付け、対向するフランジ部500に開口されたボルト穴にボルト800を挿通してナット900を締め付けることにより、ハウジング形管継手100が管の接続部を囲んで固定される。
そして、図13に示すように、ハウジング本体400の周方向に沿う両側部には、径方向内側に突出する爪部400aがそれぞれ形成され、この爪部400aが一対の管Pの溝Paにそれぞれ係合することにより、管Pが接続される。
【0003】
ところで、このようなハウジング形管継手による接続方法は、配管システムの用途や目的に応じて異なる。例えば、施工時の微調整や施工後の温度変化等による管の伸縮への対応が必要な配管システムの場合、ハウジング形管継手に管を可動に接続する方法が用いられる。
このため、爪部400aの幅を溝Paの幅より狭くし、溝Paに爪部400aを遊嵌させることで、1対の管Pの間の相対的な移動、及び管Pとハウジング本体400との間の相対的な動きが僅かに許容される。
【0004】
一方、ハウジング形管継手に管Pを固定して接続し、管Pの軸方向及び周方向への動きを制限する配管システムが要求される場合がある。このような固定接続のためのハウジング形管継手として、ハウジング本体の中心軸線に対して傾斜して爪部を形成した技術が開示されている(特許文献1)。この技術は、管を囲んで1対のハウジングを対向配置した際、爪部が管の環状溝に対し斜めに係合するため、爪部が環状溝の側面に係止され、ハウジングが管に強固に接続される。
又、管を囲んで1対のハウジングを対向配置した後、ハウジングを中心の周りで互いに反対方向に回転させる技術が開示されている(特許文献2)。この技術は、ハウジングを互いにねじるように回転させることで、対向する爪部13のうち、一方の爪部13の内縁13bが管の環状溝41の外縁に当接し、他の爪部13の外縁13aが管の環状溝41の内縁に当接し、爪部と環状溝の間のクリアランス(遊び)を無くしてガタ付きのない接続が得られる。
【0005】
さらに、壁面が傾斜したプラグをハウジングに脱着することにより、管を可動に接続することと、固定して接続することの両方に対応するハウジング形管継手が開示されている(特許文献3)。この技術は、ハウジングのフランジ部(突出部)に開口するソケットにプラグを挿入し、ボルトを挿通することで、1対のハウジング(セグメント)が管の軸方向にオフセットして取付けられ、爪部を管の環状溝の側面に係止してハウジングを管に強固に接続することができる。又、プラグを用いずにフランジ部(突出部)にボルトを挿通した場合には、1対のハウジング(セグメント)が管の軸方向にオフセットしないため、爪部を管の環状溝に遊嵌させてハウジングを管に可動に接続することができる。
【0006】
【特許文献1】実用新案2573880号公報(図2)
【特許文献2】実用新案2538261号公報(図2、図5)
【特許文献3】実用新案3183507号公報(第4図、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2記載のハウジング形管継手の場合、ハウジングを管に可動に接続することができない。このため、管の可動が必要な配管部分には、別途、可動な接続に適したハウジング形管継手を準備しなければならない。このため、施工に際し、可動の接続と、固定した接続に用いるハウジングを、各種サイズそれぞれ準備する必要があり、施工現場での管理工数の増加や施工性低下などを招き、更に保管場所の確保などの問題を有している。
また、特許文献3記載のハウジング形管継手は、可動な接続と固定した接続の両方に対応可能であるが、プラグの脱着作業が必要であり、又、プラグをハウジング内のソケットへ特定方向で取り付けなければならないなど施工性に問題を有しており、プラグを間違えた方向で取り付けてしまい、固定した接続が実現できない可能性もある。
本発明は上記課題を解決し、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、管への固定した接続及び可動な接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れたハウジング形管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明のハウジング形管継手は、凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を接続するハウジング形管継手において、半円状をなすハウジング本体と、前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられて径方向外側に延びるフランジ部と、前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合し、かつ該ハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるか、又は一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるよう少なくとも1つの段部が形成されてなる係合部とを備えたハウジングを1対有し、前記1対のハウジングを対向配置した際に対向する前記フランジ部の対向面にそれぞれ設けられ、前記1対のハウジングの一方を、その対向面上でかつ該ハウジングの対称点の周りに回転させたときの第1の位置と、前記第1の位置と逆方向に回転させたときの第2の位置とで互いに係合して前記1対のハウジング同士を位置決めする位置決め部材をさらに備え、前記位置決め部材同士を係合し、かつ互いに対向する前記フランジ部を所定の締結具で締結することにより、前記1対のハウジングが前記1対の管の接続部を囲んで固定され、前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が、前記ハウジング本体の中心軸線に垂直な管軸方向に沿って最も近接し、前記取付け部に前記係合部を遊嵌させて前記1対の管を前記1対のハウジングに可動自在に接続し、前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が前記管軸方向に沿って最も離間し、前記取付け部に前記係合部を緊合させて前記1対の管を前記1対のハウジングに固定して接続するものである。
【0009】
このように本発明は、1対のハウジングをハウジングの対称点の周りに回転させたとき、第1の位置と第2の位置とで互いに係合してハウジング同士を位置決めする位置決め部材を設けている。そして、ハウジング本体の中心軸線に対し、一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるように段部を形成した係合部を備え、この係合部を管の取付け部に係合している。
このため、ハウジングを回転させるだけで、対向する係合部同士の管軸方向の距離を変化させることができる。そして、この距離を小さくするよう回転すれば、係合部が管の取付け部に遊嵌し、1対の管を1対のハウジングに可動自在に接続できる。一方、この距離を大きくするよう回転すれば、係合部が管の取付け部の側壁に確りと嵌って緊合し、1対の管を1対のハウジングに固定して接続することができる。つまり、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、1種類のハウジングで、管の可動接続と固定接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れ、部品点数も少なくなる。
さらに、係合部をハウジング本体の中心軸線に対し、斜めに延びるように形成したので、ハウジングを対向させたときに係合部同士が交差し、係合部の先端同士が既にやや広がって離間している。このため、ハウジングを比較的わずかな角度で回転させるだけで、管軸方向の係合部の先端同士の距離が大きくなり、係合部を管の取付け部の側壁に容易に緊合させて固定接続を実現できる。
これに対し、係合部をハウジング本体の中心軸線に平行に形成した場合、ハウジングをそれぞれ逆方向に同じ回転角度だけ回転させても、回転方向に係らず管軸方向Lの幅Lwが同じ値になるため、回転方向に応じた接続の切り替えができない(つまり、いずれの回転方向でも、管が固定接続されてしまう)。この場合、順方向と逆方向とで回転角度が異なるようにすれば、管の固定接続と可動接続との接続の切り替えを行うこと自体は可能である。しかしながら、管と係合部との接触部分の当たりや面積が回転角度によって異なるため、回転角度が異なると管の締め付けが均等にならないので、順方向と逆方向との回転角度が等しくなるよう、係合部をハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるように設けている。
【0010】
前記位置決め部材は、2個以上の凹部と凸部が前記ハウジング本体の両端部に沿って交互にかつ同一間隔で並んでいてもよい。
このようにすると、位置決め部材を対向させて互いに係合させる際、位置決め部材が上下で噛み合うため、同一形状の位置決め部材で済む。これに対し、例えば、上側のハウジングの両端部の位置決め部材を雄ピンとし、下側のハウジングの両端部の位置決め部材を2個の孔とした場合、雄ピンを孔に挿入することで第1の位置と第2の位置とで係合させることはできるが、位置決め部材として雄ピンと孔という異なる構成要素を必要とし、1個(種)の共通なハウジングを用いた接続ができず、部品点数の増加や施工性の低下を招く。
なお、1個のハウジングのうち一端部の位置決め部材を雄ピン、他端部の位置決め部材を2個の孔としても、1種の共通形状のハウジングを用いた接続が可能となる。但し、この場合は、2個のハウジングを対向させる際、方向性を規制する必要がある。
【0011】
前記位置決め部材は、前記ハウジングの対称点を中心とする円弧に沿って形成されていてもよい。
このようにすると、各ハウジングを対向配置させて位置決め部材同士を対向させた際、位置決め部材同士の凹凸が噛み合うためには、これらの凹凸が並ぶ方向、つまり対称点を中心にハウジングを回転させる必要があり、仮に一方のハウジングを管軸方向にずらしても位置決め部材同士の凹凸が噛み合わない。すなわち、ハウジングを管軸方向にずらして組み付ける等の誤った動作を防止することができる。
【0012】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第1の着色が施されていてもよい。
このようにすると、第1の位置までハウジングを回転させたときに、上側のフランジ部内面及び下側フランジ部内面が表出し、これらに施された第1の着色が視認できるようになる。従って、第1の位置まで回転したことを容易に確認でき、例えば、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【0013】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第2の着色が施されていてもよい。
このようにすると、第2の位置までハウジングを回転させたときに、上側のフランジ部内面及び下側フランジ部内面が表出し、これらに施された第2の着色が視認できるようになる。従って、第2の位置まで回転したことを容易に確認でき、例えば、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【0014】
前記ハウジングの外面に、前記第1の位置及び/又は前記第2の位置への回転方向を案内する表示が設けられていてもよい。
このようにすると、ハウジングを回転させる前に、どちらに回転させればよいかを視認できるようになり、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、管への固定した接続及び可動な接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れたハウジング形管継手が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明するが、それにより本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハウジング形管継手1を管に取付けたとき、管の軸方向に垂直な面で切断した断面図である。ハウジング形管継手1は、略半円形状のハウジング本体4と、ハウジング本体4の(円周方向に垂直な)両端部から径方向外側に延びるフランジ部5を備えたハウジング3を一対組み付けて構成されている。そして、後述する溝が形成された一対の管Pを互いに突き合わせて接続部とし、この接続部に環状ガスケット16を介して一対のハウジング3を囲むように対向配置し、対向するフランジ部5に開口されたボルト穴にボルト8を挿通してナット9を締め付けることにより、ハウジング形管継手1が管の接続部を囲んで固定される。なお、ボルト8とナット9とが「締結具」を構成する。
そして、図2に示すように、ハウジング本体4の円周方向に沿う両側部の内面には、径方向内側に突出する爪部(係合部)4aがそれぞれ形成され、この爪部4aが一対の管Pの端部の周方向に沿ってそれぞれ形成された溝(取付け部)Paに係合することにより、管Pが接続される。
なお、一対の管Pは、ほぼ同軸になるよう取り付けられるが、接続した管の軸同士が多少偏心したり角度が生じた状態で接続されることもある。
【0017】
図3は、1個のハウジング3を内面側から見た平面図である。ハウジング本体4の中心軸線Cは、ハウジング3の両端(図3では上下)にそれぞれ配置されるフランジ部5に対しそれぞれ2本の対称軸を規定し、これらの対称軸を通る直線で定義される。これは、本発明がほぼ同一形状のハウジング3を2個組としてハウジング形管継手を構成するため、各フランジ部5の対称軸が同一線上に無いと、1組のハウジング3を対向配置したときに、フランジ部5同士がオフセットしてしまうからである。
一方、上下に配置されたフランジ部5が重なる対称軸を、管軸方向Lと称する。管軸方向Lは中心軸線Cに垂直であり、又、ハウジング形管継手1を管に取付けたときの管の軸方向とほぼ平行である。
又、中心軸線Cと管軸方向Lとの交点をハウジングの対称点Syとする。なお、対称点Syを中心としてハウジング3を180度回転させると、もとのハウジング3に重なることになる。
【0018】
爪部4aは、ハウジング本体4の内面4bの両側縁に互いに平行して設けられ、爪部4aの一端側(図3の上端側)から他端側(下端側)へ向かう中央部に1つの段部4a3が形成されている。爪部4aのうち、段部4a3より上側を上側爪部4a1とし、段部4a3より下側を下側爪部4a2とする。
いま、図3の左側の爪部4aを見ると、上側爪部4a1及び下側爪部4a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、下側爪部4a2は段部4a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、上側爪部4a1より左にオフセットしている。従って、爪部4a全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cから遠ざかるように斜めに曲がるようになっている。
一方、図3の右側の爪部4aは、左側の爪部4aと平行であるため、爪部全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cに近付くように斜めに曲がっている。具体的には、右側の爪部4aの上側爪部4a1及び下側爪部4a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、上側爪部4a1は段部4a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、下側爪部4a2より右にオフセットしている。
【0019】
フランジ部5は、ハウジング本体4の両端部4cから径方向外側に延びている。又、フランジ部5の内面(対向面)には、両端部4cに沿って2個以上の凹部6bと凸部6aが交互に並んでなる位置決め部材(固定部)6が配置されている。なお、フランジ部5のうち位置決め部材6より外側には、中心軸線C上に中心を有し、両端部4cに沿って長い長円状のボルト穴5aが貫通している。
【0020】
図4は、位置決め部材6の側面の構成を示す。位置決め部材6は、3個の凸部6aの間に2個の凹部6bが配置され、各凹部6bと凸部6aが交互に、かつ同一ピッチ(間隔)で並んでいる。又、この実施形態では、凹部6bと凸部6aの中間高さ部分がフランジ部5の内面Sと面一になるよう、位置決め部材6がフランジ部5に埋設されている。そして、位置決め部材6の最両端の凸部の外側には、対向する位置決め部材6の最両端の凸部が内面Sからの突出する部分を収容可能な凹部が設けられている。このようにすると、後述するように対向する2つの位置決め部材6の凹部6bと凸部6aとを噛み合わせて両者を互いに係合したときに、対向するフランジ部5の内面S同士が接する。
なお、位置決め部材6は中心軸線Cに対して左右対称形である。
【0021】
次に、図5を参照して、ハウジングをその対称点Syの周りに回転させたときの、互いに対向する位置決め部材6x、6yの位置関係を説明する。
まず、1対のハウジング3x、3yを重なり合うように対向配置すると、各ハウジング3x、3yにそれぞれ設けられた位置決め部材6x、6yの凸部6a同士が当接する(図5(a))。このときの上下のハウジング3x、3y同士のなす角を0度(初期位置)とする。
次に、一方の(上側の)ハウジング3xを、対向面上でかつハウジングの対称点Syの周りに右周り(時計周り)に相対的に回転させる(図5(b))。このとき、位置決め部材6xの位置は、位置決め部材6yに対し1ピッチ分だけずれ、位置決め部材6yの凸部6aが位置決め部材6xの凹部6bに嵌入した状態で、位置決め部材6x、6yが互いに係合し、ハウジング3x、3y同士を位置決めする。このときの位置決め部材6yに対する位置決め部材6xの相対位置を、「第1の位置」とし、図5(a)の初期位置(回転角0度)からの位置決め部材6xの回転角をθとする。
次に、一方の(上側の)ハウジング3xを、対向面上でかつハウジングの対称点Syの周りに左周り(反時計周り)に相対的に回転させる(図5(c))。このとき、位置決め部材6xの位置は、位置決め部材6yに対し1ピッチ分だけ逆方向にずれ、位置決め部材6yの凹部6bに位置決め部材6xの凸部6aが嵌入した状態で、位置決め部材6x、6yが互いに係合し、ハウジング3x、3y同士を位置決めする。このときの位置決め部材6yに対する位置決め部材6xの相対位置を、「第2の位置」とし、図5(a)の初期位置(回転角0度)からの位置決め部材6xの回転角を−θとする。
【0022】
次に、図6を参照して、ハウジングをその対称点Syの周りに上記回転角θ、−θでそれぞれ回転させたとき、互いに対向する係合部(爪部)4ax、4ayの位置関係を説明する。
まず、1対のハウジング3x、3yを重なり合うように対向配置した初期位置(回転角0度)で、各ハウジング3x、3yにそれぞれ設けられた爪部4ax、4ay同士が対向する(図6(a))。なお、図6において、ハウジング3xの爪部4axをハッチングして示す。このとき、段部4a3で交差するように、爪部4axの上側爪部4a1が爪部4ayの上側爪部4a1の左側に平行に並び、同様に爪部4axの下側爪部4a2が爪部4ayの下側爪部4a2の右側に平行に並ぶ。
このとき、管Pの溝(取付け部)Paの管軸方向Lの幅をLpとすると、管軸方向Lの爪部4ax、4ay同士の距離Lw1はLpより小さい。なお、爪部(係合部)の「距離」とは、管軸方向Lにおいて係合部のうち最も間隔の広がった部分の長さをいう。
【0023】
次に、第1の位置(回転角θ)までハウジング3xを回転させると、爪部4axの上側爪部4a1が右に寄って爪部4ayの上側爪部4a1に接近し(重なり)、同様に爪部4axの下側爪部4a2が左に寄って爪部4ayの下側爪部4a2に接近する(重なる)(図6(b))。このとき、管軸方向Lの爪部4ax、4ay同士の距離Lw2が最も近接して小さくなる。具体的には、距離Lw2は段部4a3で最も大きく、各爪部4ax、4ayの先端で最も小さい。
このとき、Lp>Lw2となり、爪部(係合部)4ax、4ayが管Pの溝(取付け部)Paに遊嵌し、1対の管Pが1対のハウジング3x、3yに可動自在に接続されることになる。
【0024】
次に、第2の位置(回転角−θ)までハウジング3xを逆回転させると、爪部4axの上側爪部4a1が左に寄って爪部4ayの上側爪部4a1から離間し、同様に爪部4axの下側爪部4a2が右に寄って爪部4ayの下側爪部4a2から離間する。このとき、管軸方向Lの爪部4ax、4ay同士の距離Lw3が各爪部の先端付近で最も離間して大きくなる。
このとき、Lp≦Lw3となり、爪部(係合部)4ax、4ayが管Pの溝(取付け部)Paの側壁にそれぞれ確りと嵌って緊合し、1対の管Pが1対のハウジング3x、3yに固定して接続されることになる。
【0025】
このように、第1の実施形態においては、1対のハウジングをハウジングの対称点の周りに回転させたとき、第1の位置と第2の位置とで互いに係合してハウジング同士を位置決めする位置決め部材を設けている。そして、ハウジング本体の中心軸線に対し、一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるように段部を形成した係合部を備え、この係合部を管の取付け部に係合している。
このため、ハウジングを回転させるだけで、対向する係合部同士の管軸方向の距離を変化させることができる。そして、この距離を小さくするよう回転すれば、係合部が管の溝(取付け部)に遊嵌し、1対の管を1対のハウジングに可動自在に接続できる。一方、この距離を大きくするよう回転すれば、係合部が管の溝(取付け部)の側壁に確りと嵌って緊合し、1対の管を1対のハウジングに固定して接続することができる。つまり、接続方法に応じて付属部材を必要とすることなく、1種類のハウジングで、管の可動接続と固定接続のいずれの接続方法にもそのままで対応でき、施工性に優れ、部品点数も少なくなる。
【0026】
さらに、係合部をハウジング本体の中心軸線に対し、斜めに延びるように形成したので、ハウジングを対向させたときに係合部同士が交差し、係合部の先端同士が既にやや広がって離間している。このため、ハウジングを比較的わずかな角度で回転させるだけで、管軸方向の係合部の先端同士の距離が大きくなり、係合部を管の取付け部の側壁に容易に緊合させて固定接続を実現できる。
これに対し、係合部をハウジング本体の中心軸線に平行に形成した場合、ハウジングをそれぞれ逆方向に同じ回転角度だけ回転させても、回転方向に係らず管軸方向Lの幅Lwが同じ値になるため、回転方向に応じた接続の切り替えができない(つまり、いずれの回転方向でも、管が固定接続されてしまう)。この場合、順方向と逆方向とで回転角度が異なるようにすれば、管の固定接続と可動接続との接続の切り替えを行うこと自体は可能である。しかしながら、管と係合部との接触部分の当たりや面積が回転角度によって異なるため、回転角度が異なると管の締め付けが均等にならないので、順方向と逆方向との回転角度が等しくなるよう、係合部をハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるように設けている。 なお、対向配置した1対のハウジングをその対称点で回転させず、一方のハウジングを管軸方向にオフセットすることによっても、対向する係合部同士の管軸方向の距離を変化させることは可能であるが、この場合、ハウジング同士のずれが大きくなって、やはり管の締め付けが均等で無くなったり、ハウジングの重量バランスが悪化する傾向にある。従って、本発明においては、ハウジングをその対称点で回転させている。
【0027】
又、第1の実施形態においては、位置決め部材6は、2個以上の凹部6bと凸部6aがハウジング本体4の両端部4cに沿って交互にかつ同一間隔で並んでいる。
このようにすると、位置決め部材6を対向させて互いに係合させる際、位置決め部材6が上下で噛み合うため、同一形状の位置決め部材で済む。これに対し、例えば、上側のハウジングの両端部の位置決め部材を雄ピンとし、下側のハウジングの両端部の位置決め部材を2個の孔とした場合、雄ピンを孔に挿入することで第1の位置と第2の位置とで係合させることはできるが、位置決め部材として雄ピンと孔という異なる構成要素を必要とし、1個の共通なハウジングを用いた接続ができず、部品点数の増加や施工性の低下を招く。
さらに、位置決め部材を同一とすれば各ハウジングが対称点で対称となるので、1対のハウジング3を対向配置する際に、配置の向きに煩わされることがなく、各ハウジングを間違えた取付け方向で取付ける等の問題も無くなる。
【0028】
図7は、1個のハウジング3を内面側から見たときの、フランジ部5x、5yの内面(対向面)の着色状態を示す平面図である。上側フランジ部5xの内面のうち、左側の周縁には第1の着色18aが施されている。又、この周縁と対称点Syで対称である、下側フランジ部5y内面の右側周縁にも同様に第1の着色18aが施されている。
一方、上側フランジ部5xの内面のうち、右側の周縁は第2の着色18bが施されている。又、この周縁と対称点Syで対称である、下側フランジ部5y内面の左側周縁にも同様に第2の着色18bが施されている。
【0029】
このようにすると、図6(b)に示す第1の位置(回転角θ)までハウジング3xを回転させたときに、上側フランジ部5x内面の左側周縁及び下側フランジ部5y内面の右側周縁が表出し、これらに施された第1の着色18aが視認できるようになる。従って、第1の位置(回転角θ)まで回転したことを容易に確認でき、例えば、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
又、図6(c)に示すように第2の位置(回転角−θ)までハウジング3xを回転させると、上側フランジ部5x内面の右側周縁及び下側フランジ部5y内面の左側周縁が表出し、これらに施された第2の着色18bが視認できるようになる。従って、第2の位置(回転角−θ)まで回転したことを容易に確認でき、上記と同様に誤った取付けを防止することができる。
【0030】
図8は、1個のハウジング3を外面側から見た平面図である。この図において、フランジ部5のボルト穴5aより内側の領域に、第1の位置への回転方向を案内する表示(例えば、矢印及び、「可動」という表記)19aが突設されている。同様に、第2の位置への回転方向を案内する表示(例えば、矢印及び、「固定」という表記)19bが突設されている。
このようにすると、ハウジング3xを回転させる前に、どちらに回転させればよいかを視認できるようになり、管を可動接続すべき場合に誤って固定接続する等のミスを防止することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態に係るハウジング形管継手について説明する。図9は、第2の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1個のハウジング30を内面側から見た平面図である。第2の実施形態に係るハウジング形管継手は、係合部40aと位置決め部材60の構成が異なること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については、図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図9において、係合部40aは、係合部40a周囲のハウジング本体40よりハウジング外面側へ向かって凹んでいる。一方、図示しない管の端部には、溝でなくリング状の突起(取付け部)が形成されており、この突起が凹溝である係合部40aに収容されて係合するようになっている。なお、係合部40aの管軸方向Lにおける幅Lw4は、図示しない管の突起(取付け部)の幅より広い。
なお、図3の爪部と同様、図9の左側の係合部40a(の周縁)を見ると、上側係合部40a1及び下側係合部40a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、下側係合部40a2は段部40a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、上側係合部40a1より左にオフセットしている。従って、係合部40a全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cから遠ざかるように斜めに曲がるようになっている。
又、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にして第1の着色18a及び第2の着色18bが施されている。
【0033】
一方、図9の右側の係合部40aは、左側の係合部40aと平行であるため、係合部全体として、上端から下端へ向かって中心軸線Cに近付くように斜めに曲がっている。具体的には、右側の係合部40aの上側係合部40a1及び下側係合部40a2はいずれも中心軸線Cと平行であるものの、上側係合部40a1は段部40a3を境に中心軸線Cから遠ざかり、下側係合部40a2より右にオフセットしている。
従って、第1の実施形態の場合と同様に、対向配置した1対のハウジングをその対称点で回転させると、対向する係合部40aの周縁同士の管軸方向Lにおける距離が変化する。そして、係合部40aの周縁同士の距離が短くなると、上下の係合部40a内で管の突起(取付け部)が動くことができる。従って、係合部40aに管Pの突起(取付け部)が遊嵌し、1対の管が1対のハウジングに可動自在に接続されることになる。
【0034】
一方、ハウジングを回転させて係合部40aの周縁同士の距離を広げると(つまり、管軸方向Lに、対向する係合部40aが遠ざかると)、管の突起(取付け部)がそれぞれ上下の(対向する)係合部40aの側壁に引っ掛かって確りと固定され、管の移動が制限される。従って、係合部40aに管Pの突起(取付け部)が緊合し、1対の管が1対のハウジングに固定されて接続されることになる。
【0035】
又、第2の実施形態における位置決め部材60は、第1の実施形態と同様、2個以上の凹部60bと凸部60aが交互にかつ同一ピッチ(間隔)で並んで形成されているが、これらの凹部60bと凸部60aは直線上でなく、ハウジングの対称点Syを中心とする円弧に沿って並んでいる。
このようにすると、各ハウジングを対向配置させて位置決め部材60同士を対向させた際、位置決め部材60同士の凹凸が噛み合うためには、これらの凹凸が並ぶ方向、つまり対称点Syを中心にハウジングを回転させる必要があり、仮に一方のハウジングを管軸方向Lにずらしても位置決め部材60同士の凹凸が噛み合わない。すなわち、ハウジングを管軸方向Lにずらして組み付ける等の誤った動作を防止することができる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態に係るハウジング形管継手11について説明する。図10は、第3の実施形態に係るハウジング形管継手11を管に取付けたとき、管の軸方向に垂直な面で切断した断面図である。第3の実施形態に係るハウジング形管継手11は、ハウジング本体4の両端のうち、一端にはフランジが形成されず、その代わりにヒンジ70が設けられていること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
ハウジング形管継手11は、略半円形状のハウジング本体4と、ハウジング本体4の両端部のうち一端に径方向外側に延びるフランジ部5と、ハウジング本体4の他端に接続されたヒンジ70とを備えたハウジング31a、31bを一対組み付けて構成されている。ここで、ヒンジ70は、上側ハウジング31aの他端の中心軸線C上に接続された片状のヒンジベース部72と、ヒンジベース部72を挟む一対の円形の軸支持部71と、軸支持部71とヒンジベース部72とを管軸方向Lに貫通する孔に嵌挿されたボルト73と、図示しないナット74とを有する。
各軸支持部71の基端は下側ハウジング31bの他端に接続され、ボルト73を軸心としてヒンジベース部72が軸支持部71に対して相対的に回動することにより、上側ハウジング31aが下側ハウジング31bに対して開き、管Pの出し入れができるようになっている。
なお、第3の実施形態において、「締結具」は、フランジ5を固定するボルト8とナット9、及びヒンジ70から構成され、このうちヒンジ70はハウジング形管継手の構成要素に含まれる。
【0038】
図11は、第3の実施形態に係るハウジング形管継手11の上面図である。各軸支持部71は、ヒンジベース部72と所定の隙間Gを有しているため、上記した図6のような各ハウジング31a、31bの回転を許容する。つまり、各ハウジングを回転させることにより、各ハウジングが互いにずれることができるよう、ヒンジベース部72と各軸支持部71との間には遊びが設けられている。なお、第3の実施形態の場合、各ハウジング31a、31bの一端はヒンジ70に接続されているため、位置決め部材6は、フランジ5の内面のみに設ければよい。
第3の実施形態によれば、各ハウジング31a、31bがヒンジ70に接続されているため、1対のハウジングを選び出す必要がなく、又、作業中にハウジングの一方が紛失したりしないので、施工性も向上する。
【0039】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、上記した実施形態では、係合部として、一端側から他端側へ向かう間に1つの段部を形成し、全体として中心軸線と斜めになっているものを用いたが、段部を複数設けてもよく、又、段部を設けずに直線状とした係合部を中心軸線と斜めに配してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係るハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した断面図である。
【図3】1個のハウジングを内面側から見た平面図である。
【図4】位置決め部材の側面の構成を示す図である。
【図5】ハウジングをその対称点の周りに回転させたときの、互いに対向する位置決め部材の位置関係を示す図である。
【図6】ハウジングをその対称点の周りに回転させたとき、互いに対向する係合部の位置関係を示す図である。
【図7】1個のハウジングを内面側から見たときの、フランジ部の内面(対向面)の着色状態を示す平面図である。
【図8】1個のハウジングを外面側から見た平面図である。
【図9】第2の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1個のハウジングを内面側から見た平面図である。
【図10】第3の実施形態に係るハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面図である。
【図11】第3の実施形態に係るハウジング形管継手の上面図である。
【図12】従来のハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面図である。
【図13】従来のハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1、11 ハウジング形管継手
3、3x、3y、30、31 ハウジング
4 ハウジング本体
4a、40a 係合部
4a3、40a3 係合部の段部
5、5x、5y フランジ部
6、60 位置決め部材
6a 位置決め部材の凸部
6b 位置決め部材の凹部
7、70 締結具
18a 第1の着色
18b 第2の着色
19a、19b 回転方向を案内する表示
P 管
Pa 管の取付け部
C ハウジング本体の中心軸線
L 管軸方向
θ 第1の位置(回転角)
−θ 第2の位置(回転角)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を接続するハウジング形管継手において、
半円状をなすハウジング本体と、
前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられて径方向外側に延びるフランジ部と、
前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合し、かつ該ハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるか、又は一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるよう少なくとも1つの段部が形成されてなる係合部とを備えたハウジングを1対有し、
前記1対のハウジングを対向配置した際に対向する前記フランジ部の対向面にそれぞれ設けられ、前記1対のハウジングの一方を、その対向面上でかつ該ハウジングの対称点の周りに回転させたときの第1の位置と、前記第1の位置と逆方向に回転させたときの第2の位置とで互いに係合して前記1対のハウジング同士を位置決めする位置決め部材をさらに備え、
前記位置決め部材同士を係合し、かつ互いに対向する前記フランジ部を所定の締結具で締結することにより、前記1対のハウジングが前記1対の管の接続部を囲んで固定され、
前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が、前記ハウジング本体の中心軸線に垂直な管軸方向に沿って最も近接し、前記取付け部に前記係合部を遊嵌させて前記1対の管を前記1対のハウジングに可動自在に接続し、
前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が前記管軸方向に沿って最も離間し、前記取付け部に前記係合部を緊合させて前記1対の管を前記1対のハウジングに固定して接続するハウジング形管継手。
【請求項2】
前記位置決め部材は、2個以上の凹部と凸部が前記ハウジング本体の両端部に沿って交互にかつ同一間隔で並んでなる請求項1に記載のハウジング形管継手。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記ハウジングの対称点を中心とする円弧に沿って形成されている請求項1又は2に記載のハウジング形管継手。
【請求項4】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第1の着色が施されている請求項1乃至3の何れかに記載のハウジング形管継手。
【請求項5】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第2の着色が施されている請求項1乃至4の何れかに記載のハウジング形管継手。
【請求項6】
前記ハウジングの外面に、前記第1の位置及び/又は前記第2の位置への回転方向を案内する表示が設けられている請求項1乃至5の何れかに記載のハウジング形管継手。
【請求項1】
凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を接続するハウジング形管継手において、
半円状をなすハウジング本体と、
前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられて径方向外側に延びるフランジ部と、
前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合し、かつ該ハウジング本体の中心軸線に対して斜めに延びるか、又は一端側から他端側へ向かって前記中心軸線から斜めに曲がるよう少なくとも1つの段部が形成されてなる係合部とを備えたハウジングを1対有し、
前記1対のハウジングを対向配置した際に対向する前記フランジ部の対向面にそれぞれ設けられ、前記1対のハウジングの一方を、その対向面上でかつ該ハウジングの対称点の周りに回転させたときの第1の位置と、前記第1の位置と逆方向に回転させたときの第2の位置とで互いに係合して前記1対のハウジング同士を位置決めする位置決め部材をさらに備え、
前記位置決め部材同士を係合し、かつ互いに対向する前記フランジ部を所定の締結具で締結することにより、前記1対のハウジングが前記1対の管の接続部を囲んで固定され、
前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が、前記ハウジング本体の中心軸線に垂直な管軸方向に沿って最も近接し、前記取付け部に前記係合部を遊嵌させて前記1対の管を前記1対のハウジングに可動自在に接続し、
前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したとき、対向する前記係合部同士の距離が前記管軸方向に沿って最も離間し、前記取付け部に前記係合部を緊合させて前記1対の管を前記1対のハウジングに固定して接続するハウジング形管継手。
【請求項2】
前記位置決め部材は、2個以上の凹部と凸部が前記ハウジング本体の両端部に沿って交互にかつ同一間隔で並んでなる請求項1に記載のハウジング形管継手。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記ハウジングの対称点を中心とする円弧に沿って形成されている請求項1又は2に記載のハウジング形管継手。
【請求項4】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第1の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第1の着色が施されている請求項1乃至3の何れかに記載のハウジング形管継手。
【請求項5】
前記フランジ部の対向面のうち、前記第2の位置で前記位置決め部材同士を係合したときに表出する領域に、第2の着色が施されている請求項1乃至4の何れかに記載のハウジング形管継手。
【請求項6】
前記ハウジングの外面に、前記第1の位置及び/又は前記第2の位置への回転方向を案内する表示が設けられている請求項1乃至5の何れかに記載のハウジング形管継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−14144(P2010−14144A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172364(P2008−172364)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000139023)株式会社リケン (101)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000139023)株式会社リケン (101)
【Fターム(参考)】
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