説明

ハケ

【課題】塗料等の液分の一時保持性能が高く、塗布残り、塗布痕等を発生すること無く、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布できるハケを提供する。
【解決手段】塗装等に使用されるハケにおいて、該ハケは、毛材を束ねてなるハケ部と、把持部とを有し、前記ハケ部は、前記毛材が、前記毛材の長手方向において前記把持部との取付け基部より略中間部がクリンプ状に形成されてあると共に、前記略中間部より先端部にストレート状が形成されてあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛材を束ねてなるハケ部と把持部を有し、塗料等の液分の塗布等に用いられるハケに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハケには様々なものがあり、ハケを構成する毛材としては、歯ブラシ用の刷毛において、刷毛全体または刷毛先端側が刷毛先端に向かって連続的または不連続的に断面積が小さくなるテーパー形状とされているとともに、刷毛全体または刷毛の一部に二次元または三次元的なクリンプ(波状)加工が施されていることを特徴とする刷毛が発明されている。(特許文献1)
【0003】
また、ポリエステル系モノフィラメントからなり、繊維軸方向にクリンプ加工を施したカットブリッスルの少なくとも一端に、先鋭状のテーパー部を形成したことを特徴とする歯ブラシ用毛材が発明されている。(特許文献2)
【0004】
また、地組織の片面に立設繊維層を有し、該立設繊維層は捲縮伸長率が5〜30%の熱融着性捲縮繊維を30〜100質量%の割合で含む繊維から構成されており、該立設繊維層は、その内側部分が前記熱融着性捲縮繊維の部分融着により形成された網状融着層をなし且つ該網状融着層の上部の外側部分がバルキーな嵩高層をなしていることを特徴とする塗装具用繊維構造体が発明されている。(特許文献3)
【0005】
また、化学繊維からなるウエーブ繊維を採用した塗装用刷毛が商品化されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−245134号公報
【特許文献2】特開2003−225123号公報
【特許文献3】特開2002−302863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の刷毛及び、これを用いた歯ブラシは、用途が歯ブラシであり、クリンプは毛抜け強度を高める目的の為に施されてあると共に、ストレートテーパー部は毛先の進入性を高める目的の為に施されてある。その為、植毛された多数本の刷毛間に形成された隙間は、洗浄水等の液分が一時保持される構造とはなっていなかった。
【0008】
また、特許文献2に記載された歯ブラシ用毛材に関しても、用途が歯ブラシであり、クリンプ部分は歯の表面の清掃効果を高める目的の為に施されてあると共に、テーパー部は歯と歯の隙間の清掃効果を高める目的の為に施されてある。その為、上記特許文献1と同様、多数本の毛材に形成された隙間は、洗浄水等の液分が一時保持される構造とはなっていなかった。
【0009】
また、特許文献3に記載された塗装具用繊維構造体は、網状融着層により塗料の保持性能は有しているが、立設繊維層の高さが3〜20mmの為、ペイントローラー等には使用可能であるが、塗料等を一旦、多数本に束ねられた毛材に含浸させた後、被塗装面等にたいして毛材を当接させたまま連続的に拭くように塗布する目的に用いられるハケには適さない構造であった。
【0010】
また、商品化されている化学繊維からなるウエーブ繊維を採用した塗装用刷毛は、毛材の根元部から先端部がクリンプ加工後の形状と略同一のウエーブ形状が形成されてあると共に、先端部にかけて先細形状になっている。その為、液分は、ストレート状の毛材に比べてより多くの液分を一時保持出来る構造となっていた。しかし、先端部までウエーブ形状の為、一度ハケ部に保持された液分を、塗布する場合において、保持された液分がウエーブ形状にて乱流となり、毛材先端にて整流することが無い。その為、塗膜面に略筋状の塗布残り、塗布痕等が発生し易く、塗布にムラ等が発生する構造を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、塗料等の液分の一時保持性能が高く、塗布残り、塗布痕等を発生すること無く、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布できるハケを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、塗装等に使用されるハケにおいて、該ハケは、毛材を束ねてなるハケ部と、把持部とを有し、前記ハケ部は、前記毛材が、前記毛材の長手方向において、前記把持部との取付け基部より略中間部がクリンプ状に形成されてあると共に、前記略中間部より先端部にストレート状が形成されてあることに特徴を有する。その為、塗料等は、クリンプ状の部分にて、液分が一時保持されて、保持された液分は、ストレート状の部分にて整流された後、毛材先端に達した後、塗布される。その為、ハケは、塗布残り、塗布痕を発生すること無く、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布される。また、前記毛材の製法については、長手方向が全てクリンプ状の毛材を、略中間部から先端部まで、ストレート状に加工する製法、あるいは、長手方向が全てストレート状の毛材を取付け基部から略中間部までクリンプ状に加工する製法が採用できる。尚、ハケは略中間部より先端部にストレート状が形成されてあるが、ストレート状は毛材の略中間部より先端部の全域に渡り形成されてある形態以外にも、例えば、毛材の略中間部より先端部にかけて所定の長さだけストレート状であると共に、ストレート状の端部より先端部までは先端部に近づく程毛材の外径が小となるテーパー形状に形成されてある形態、毛材の略中間部より先端部に渡り、ストレート状、及びテーパー形状が組み合されて形成されてある形態も、本発明の主旨に含まれる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記毛材は、少なくとも前記略中間部より前記先端部が、前記先端部に近づく程前記毛材の外径が小となるテーパー形状にて形成されてあることに特徴を有する。その為、テーパー形状の無い場合に比べて、保持された液分が毛材先端部に移動し易くなる為、広面積の被塗装面にたいしてもより均一に塗布される。また、細部の隙間、凹凸部にたいしても毛材先端部が入り込む為、塗料等の液分の塗り残し、ムラ等が発生することがない。尚、テーパー形状は、少なくとも略中間部より先端部に形成されてあるが、クリンプ状の略中間部より取付け基部にかけて所定の長さだけテーパー形状が形成されてある形態、略中間部より取付け基部の全域に渡りテーパー形状が形成されてある形態も、本発明の主旨に含まれる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1あるいは、請求項2の発明において、前記ハケ部は、少なくとも前記把持部との取付け基部より略中間部に液分保持部材が形成されてあることに特徴を有する。その為、液分保持部材にて、塗料等の液分は、抱え込まれて保持され、保持された塗料等の液分は、徐々に毛材を通じて塗布される。その為、液分保持部材の無いハケに比べて、より多量の液分を保持できる。その為、一度の液浸けのみにて、より広面積の被塗装面に塗布される。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3の発明において、前記液分保持部材に、液分溜り部が形成されてあることに特徴を有する。その為、塗料等の液分は、液分溜り部に保持される。その為、塗料等の液分の保持性能が液分溜り部が無い保持部材に比べてより飛躍的に向上することにより、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布される。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4の発明において、前記毛材は、動物繊維にて形成されてあると共に、少なくとも略中間部より前記先端部がストレート状にて形成されてあることに特徴を有する。その為、動物繊維のほとんどは、自然に育毛していく為、毛材の太さ、成長の速さ等が微妙に変化する為に、クリンプ状に形成される。その為、ストレート状に加工するのみにて、毛材は、クリンプ状及び、ストレート状を有することができる。また、保持された液分は、ストレート状にて整流した後、毛材先端に達する為、塗料等の液分は、塗装ムラ等が発生すること無く塗布される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1から請求項4の発明においては、塗料等の液分の一時保持性能が高いと共に、塗布残り、塗布痕を発生すること無く、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布できるので、作業性が大幅に向上する。また、請求項5の発明においては、動物繊維が有するクリンプ状を使用できる為、クリンプ加工の必要がないので安価に優れたハケができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1の発明は、ハケが、毛材を束ねてなるハケ部と、把持部とを有し、前記ハケ部は、前記毛材が、前記毛材の長手方向において前記把持部との取付け基部より略中間部がクリンプ状に形成されてあると共に、前記略中間部より先端部にストレート状が形成されてある。その為、前記ハケのクリンプ状は、塗料等の液分の一時保持性能がストレート状に比べて高いと共に、保持された液分が、ストレート状にて、例えば習字の筆の如く整流されて、毛材先端に達する為、塗布残り、塗布痕を発生すること無く、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布できる。その為、被塗装面の精密な仕上げの塗布作業であっても、迅速かつ容易にできる。また、クリンプ状は、被塗装面からの衝撃を吸収することができる為、細かな凹凸部にたいしても、均一に塗布できる。
【0019】
第2の発明は、第1の発明において、前記毛材が、少なくとも前記略中間部より前記先端部が前記先端部に近づく程前記毛材の外径が小となるテーパー形状にて形成されてある為、テーパー形状の無い場合に比べて、保持された液分が毛材先端部に移動し易くなる為、より広面積の被塗装面にたいしてもより均一に塗布できる。また、細部の隙間、凹凸部にたいしても毛材先端部が入り込む為、塗料等の液分の塗り残し、ムラ等が発生することなく塗布できる。その為、被塗装面の塗布作業を、より迅速かつ容易にできる。
【0020】
第3の発明は、第1あるいは第2の発明において、前記ハケ部が、少なくとも前記把持部との取付け基部より略中間部に液分保持部材が形成されてある。その為、液分保持部材にて、塗料等の液分は、抱え込まれて保持され、保持された塗料等の液分は、徐々に毛材を通じて塗布できる。その為、液分保持部材の無いハケに比べて、より多量の液分を保持できる。その為、一度の液浸けのみにて、より広面積の被塗装面に塗布することができる。その為、被塗装面の塗布作業において大幅に迅速かつ容易に作業ができる。
【0021】
第4の発明は、第1から第3の発明において、前記液分保持部材に、液分溜り部が形成されてある。その為、塗料等の液分は、液分溜り部に保持できる。その為、塗料等の液分の保持性能が液分溜り部が無い保持部材に比べてより飛躍的に向上することにより、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布することができる。その為、被塗装面の塗布作業において飛躍的に迅速かつ容易に作業ができる。
【0022】
第5の発明は、第1から第4の発明において、前記毛材が、動物繊維にて形成されてあると共に、少なくとも略中間部より前記先端部がストレート状にて形成されてある。その為、動物繊維のほとんどは、自然に育毛していく為、毛材の太さ、成長の速さ等が微妙に変化する為に、クリンプ状に形成される。その為、ストレート状に加工するのみにて、毛材は、クリンプ状及び、ストレート状を有することができる。また、保持された液分は、ストレート状にて整流した後、毛材先端に達する為、塗料等の液分は、塗装ムラ等が発生すること無く塗布される。また、動物繊維のほとんどは、自然に育毛していく為、毛材の太さ、成長の速さ等が微妙に変化する為に、クリンプ状に形成される為、クリンプ加工の必要が無い。その為、安価に優れたハケができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
図1から図3にて実施例1を示す。図1は、本発明の実施例1におけるハケの正面図、図2は、本発明の実施例1における毛材の正面図、図3は実施例1の他の実施の形態における毛材の正面図である。
【0025】
図1から図2において、ハケ1は、把持部2と、ハケ部3から形成されてあり、ハケ部3は、多数本の合成樹脂フィラメントの毛材5を束ねて形成されてあり、把持部2に形成された凹部50にたいしてハケ部3の一端を接着して接合されている。ハケ1は、液分の塗布等に使用するものであり、本発明のハケ1を構成する毛材5は以下の特徴を有するものである。
【0026】
図2において、毛材5は、把持部2に形成された凹部50に取付けられた基部10より略中間部20が毛材5の長手方向においてクリンプ状6に形成されてあると共に、略中間部20より先端部30がストレート状7にて形成されてある。
【0027】
また、毛材5の材質は、合成樹脂モノフィラメントが使用されてあり、使用目的に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の材質の合成樹脂モノフィラメントを採用できる。
【0028】
本発明の実施例1におけるハケ1は、以上のように構成されているので、ハケ1は、毛材5を束ねてなるハケ部3と、把持部2とを有し、ハケ部3は、毛材5が、把持部2との取付け基部10より略中間部20が毛材5の長手方向においてクリンプ状6に形成されてあると共に、略中間部20より先端部30にストレート状7が形成されてある。その為、塗料等は、クリンプ状6の部分にて、液分が一時保持されて、保持された液分は、ストレート状7の部分にて整流された後、毛材5の先端部30に達した後、塗布される為、ハケ1は、塗布残り、塗布痕を発生すること無く、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布できる。その為、被塗装面の精密な仕上げの塗布作業であっても、迅速かつ容易にできる。また、クリンプ状6は、被塗装面からの衝撃を吸収することができる為、細かな凹凸部にたいしても、均一に塗布できると共に、円滑且つ、綺麗に塗布することが出来る。
【0029】
次に、図3にて実施例1の他の実施の形態における毛材について説明する。
【0030】
図3において、毛材15は、少なくとも略中間部20より先端部30が先端部30に近づく程、毛材15の外径が小となるテーパー形状17にて形成されてあるものである。
【0031】
本発明の実施例1の他の実施の形態は、以上のように構成されているので、毛材15は、少なくとも略中間部20より先端部30が、先端部30に近づく程、毛材15の外径が小となるテーパー形状17にて形成されてある。その為、テーパー形状17の無い場合に比べて、保持された液分が毛材15の先端部30に移動し易くなる為、広面積の被塗装面にたいしてもより均一に塗布される。また、細部の隙間、凹凸部にたいしても毛材15の先端部30が入り込む為、塗料等の液分の塗り残し、ムラ等が発生することがない。その為、より作業効率が良い塗布作業が出来ると共に、円滑且つ、綺麗に塗布することが出来る。
【0032】
(実施例2)
図4から図6にて実施例2を示す。図4は、本発明の実施例2におけるハケの正面図、図5(A)から(C)は実施例2の他の実施の形態における液分保持部材の正面図、図6は実施例2の他の実施の形態における毛材の正面図である。
【0033】
図4から図6において、ハケ11は、把持部2と、ハケ部13から形成されてあり、ハケ部13は、少なくとも把持部2との取付け基部10より略中間部20に不織布からなる平板形状の液分保持部材8が形成されてあり、液分保持部材8の一端が、把持部2に形成された凹部50に接着にて接合されてある。
【0034】
本発明の実施例2は、以上のように構成されているので、ハケ部13は、少なくとも把持部2との取付け基部10より略中間部20に液分保持部材8が形成されてある。その為、液分保持部材8にて、塗料等の液分は、抱え込まれ保持され、保持された塗料等の液分は、徐々に毛材15を通じて塗布できる。その為、液分保持部材8の無いハケに比べて、より多量の液分を保持できる。その為、一度の液浸けのみにて、より広面積の被塗装面に塗布することができる。その為、被塗装面の塗布作業が大幅に迅速かつ容易にできる。その為、塗布作業の効率が格段に向上する。
【0035】
液分保持部材8は、ハケ部13に形成されてある形態としては、図4の如く、液分保持部材8が、多数本の毛材15に挟み込まれてある形態以外にも、たとえば、液分保持部材8を多数本の毛材15の少なくとも片側に形成する形態、両側から毛材15を挟み付ける形態等も採用できる。
【0036】
また、液分保持部材8は、上記の如く、1枚の液分保持部材8のみならず、たとえば、多数枚の平板形状からなる液分保持部材8をハケ部13に形成する形態も採用できる。
【0037】
また、液分保持部材8の材質は不織布以外にも、使用目的に応じて、織布、編物等の布帛、独立気泡あるいは、連続気泡を有する合成樹脂発泡体、フィルム状樹脂組成物、人工皮革、合成皮革、合成ゴム、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂板等を採用できる。
【0038】
次に、図5にて、実施例2の他の実施の形態の液分保持部材について説明する。
【0039】
図5において、(A)は、液分保持部材18であり、網目を有するメッシュ素材を使用した平板形状にて形成されてある。また、網目の空隙は、液分溜り部9として形成されてある。また、(B)は、液分保持部材28は、エンボス加工された平板形状にて形成されてある。また、エンボス加工により形成された凹部は、液分溜り部19として形成されてある。また、(C)において、液分保持部材38は、平板形状にて形成されてあり、液分溜り部29、39、49は、穴、切欠き等からなる空隙にて形成されてある。
【0040】
液分保持部材18、28、38は、液分溜り部9、19、29、39、49に液分が入り込み保持することが出来る。その為、液分保持部材18は、液分溜り部9が網目の空隙から形成されてある為、液分を均一且つ、多量に保持することができる。また、液分保持部材28は、液分溜り部19がエンボス加工による凹部から形成されてある為、エンボス加工による凹部の縦、横、深さ等の寸法により決められる容積を設定することにより、液分の保持量を設定することができる。また、液分保持部材38は、液分溜り部29、39、49が穴、切欠き等からなる空隙にて形成されてある為、液分溜り部29、39は保持された液分が切欠きから毛材15に伝わり被塗装面に徐々に流れ出ることができる。また液分保持部材38の液分溜り部49は保持された液分が一時保持されると共に、毛材15に伝わり流れ出ることができる。
【0041】
本発明の実施例2は、以上のように構成されているので、液分保持部材18、28、38に、液分溜り部9、19、29、39、49が形成されてある。その為、塗料等の液分は、液分溜り部9、19、29、39、49に保持できる。その為、ハケ11は、一度の液浸けにより液分溜り部9、19、29、39、49の容量だけ液分の保持量が増加する為、液分溜り部9、19、29、39、49が無い保持部材に比べてより飛躍的に向上する。その為、一度の液浸けのみにて、広面積の被塗装面に塗布することができる。その為、塗布作業の効率が飛躍的に向上する。
【0042】
次に、図6にて実施例2の他の実施の形態における毛材について説明する。
【0043】
図6において、毛材25は、動物繊維にて形成されてあると共に、少なくとも略中間部20より先端部30がストレート状27にて形成されてある。また、ストレート状27は、火のし加工、ボイル等にて、ストレート状27になるよう加工されてあり、クリンプ状26は、動物繊維のほとんどは、自然に育毛していく為、毛材25の太さ、成長の速さ等が微妙に変化する為に、クリンプ状26に形成される。また、火のし加工とは、毛材25に熱を加えながら加圧する加工である。ボイルとは、毛材25に蒸気をかけて伸ばす加工である。また、ハケに使用される動物繊維からなる毛材25としては、馬毛、山羊毛、豚毛、狸毛等が使用可能であり、毛材25はあらかじめクリンプ状26を有している。
【0044】
本発明の実施例2は、以上のように構成されているので、毛材25は、動物繊維にて形成されてあると共に、少なくとも略中間部20より先端部30がストレート状27にて形成されてある。その為、動物繊維のほとんどは、自然に育毛していく為、毛材25の太さ、成長の速さ等が微妙に変化する為に、クリンプ状26に形成される。その為、ストレート状27に加工するのみにて、毛材25は、クリンプ状26及び、ストレート状27を有することができる。また、保持された液分は、ストレート状27にて整流した後、毛材25の先端部30に達する為、塗料等の液分は、塗装ムラ等が発生すること無く塗布される。また、動物繊維があらかじめクリンプ状26が形成されてある為、クリンプ加工の必要が無い。その為、生産コストを大幅に下げることが出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかるハケは、塗料の塗付性能に優れたもので、各種用途に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1におけるハケの正面図
【図2】本発明の実施例1における毛材の正面図
【図3】本発明の実施例1の他の実施の形態における毛材の正面図
【図4】本発明の実施例2におけるハケの正面図
【図5】(A)から(C)は実施例2の他の実施の形態における液分保持部材の正面図
【図6】本発明の実施例2の他の実施の形態における毛材の正面図
【符号の説明】
【0047】
1、11 ハケ
2 把持部
3、13 ハケ部
5、15、25 毛材
6、16、26 クリンプ状
7、27 ストレート状
17 テーパー形状
8、18、28、38 液分保持部材
9、19、29、39、49 液分溜り部
10 基部
20 略中間部
30 先端部
50 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装等に使用されるハケにおいて、該ハケは、毛材を束ねてなるハケ部と、把持部とを有し、前記ハケ部は、前記毛材が、前記毛材の長手方向において前記把持部との取付け基部より略中間部がクリンプ状に形成されてあると共に、前記略中間部より先端部にストレート状が形成されてあることを特徴とするハケ。
【請求項2】
前記毛材は、少なくとも前記略中間部より前記先端部が、前記先端部に近づく程前記毛材の外径が小となるテーパー形状にて形成されてあることを特徴とする請求項1に記載のハケ。
【請求項3】
前記ハケ部は、少なくとも前記把持部との取付け基部より略中間部に液分保持部材が形成されてあることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のハケ。
【請求項4】
前記液分保持部材に、液分溜り部が形成されてあることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のハケ。
【請求項5】
前記毛材は、動物繊維にて形成されてあると共に、少なくとも前記略中間部より前記先端部がストレート状にて形成されてあることを特徴とする請求項1から請求項4に記載のハケ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−148903(P2008−148903A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339564(P2006−339564)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】