ハツリ装置
【課題】過酷なハツリ作業から作業者を開放し、軽量で、設置が簡便であり、尚且つ、通常のハツリ作業より効率が良く、ハツリ作業時の騒音と埃を低減したハツリ装置を得る。
【解決手段】工具ボディ1と、打撃ピストン5と、動力導入管6とを備えた、チゼル4等を往復運動または振動させることにより構造物を破砕するハツリ工具10において、上記工具ボディ1の外周部に摺動自在に装着されたケーシング21と、このケーシング21内で上記工具ボディ1を上記チゼル4の先端方向に付勢する第一の弾性部材22と、上記ケーシング21内で上記工具ボディ1の周囲に設けられ、上記工具ボディ1を上記チゼル4の先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材23を設けたハツリ補助装置20を備える。
【解決手段】工具ボディ1と、打撃ピストン5と、動力導入管6とを備えた、チゼル4等を往復運動または振動させることにより構造物を破砕するハツリ工具10において、上記工具ボディ1の外周部に摺動自在に装着されたケーシング21と、このケーシング21内で上記工具ボディ1を上記チゼル4の先端方向に付勢する第一の弾性部材22と、上記ケーシング21内で上記工具ボディ1の周囲に設けられ、上記工具ボディ1を上記チゼル4の先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材23を設けたハツリ補助装置20を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はエアーハンマ等のハツリ装置において、自動的にハツリ処理が出来るハツリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハツリ装置としては、ハツリ工具本体内に打撃ピストンが配され、その打撃ピシトンの往復運動にてチゼル等を打撃し、また打撃ピストンの後面にバネを設け、打撃ピストンの後退時に運動エネルギーを蓄積し、その蓄積エネルギーにより打撃ピストンをチゼルに向けての前進加速する事を特徴としたものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、コンクリート面を打撃するスキャブラと、そのスキャブラを移動する移動手段を備えたハツリ装置がある。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
また、筒状のケーシング内にチゼルを配し、そのケーシング内を加圧することでチゼルに静加重を掛けて破砕物に圧着させ、チゼルの上部に備えたハンマにてチゼルを高速打撃し、破砕物を静過重に加えて、高速打撃による荷重を掛けるハツリ装置がある。(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開2000−71117号
【特許文献2】特開2003−147722号
【特許文献3】特開2005−246511号
【発明の開示】
【発明が解決しようとしている課題】
【0005】
特許文献1のハツリ装置においては、ハツリ工具内の打撃ピストンの後面にバネを配置ことにより、作業者がハツリ工具を手で押す力に加え、バネの反発力を利用し、打撃ピストンのエネルギーを効率よくチゼルに伝えている。この装置は、人が強い力でコンクリート等に押し当てることを前提としている構造であるため、作業者に過酷な作業を強いるという問題点があった。
【0006】
特許文献2のハツリ装置においては、複数のビットをスキャブラに配し、駆動力を利用してスキャブラを移動させることで、効率良くハツリ処理を行うことが出来る。この装置は、スキャブラ・移動シリンダー・可逆モーター・架台・各支持部から構成される装置であるため、総重量が重く、部品点数が多いために設置に時間が掛かるという問題点があった。また、コンクリートの表面が平坦でない場合は設置が困難で、制御装置の指示によりスキャブラを移動させるため、現場に応じたプログラムを製作しなくてはならず、様々な作業現場への対応が困難であるという問題点があった。
【0007】
特許文献3のハツリ装置においては、チゼルの周囲にケーシングを設け、ケーシング内に圧力を掛けることで、チゼルに静荷重を掛け、破砕物に圧接させ、チゼル上部のハンマによりチゼルを高速打撃し、前記静荷重と高速打撃による荷重でハツリ処理をする。また、ケーシング内にバネを配設ことにより、チゼルをケーシング内に収容させる構成となっている。この装置は基本的に油圧が必要で、バックホー等の建設機械に取り付けをすることが前提の装置である。そのため、装置自体が大型で、重量が重く、建設機械の入れない狭い場所での使用が困難であり、大きな騒音と埃を発生させるという問題点があった。
【0008】
この発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、過酷なハツリ作業から作業者を開放し、軽量で、設置が簡便であり、尚且つ、通常のハツリ作業より効率が良く、ハツリ作業時の騒音と埃を低減したハツリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のハツリ装置は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、工具ボディと、打撃ピストンと、動力導入管とを備えた、チゼル等を往復運動または振動させることにより構造物を破砕するハツリ工具において、上記工具ボディの外周部に摺動自在に装着されたケーシングと、このケーシング内で上記工具ボディを上記チゼルの先端方向に付勢する第一の弾性部材と、上記ケーシング内で上記工具ボディの周囲に設けられ、上記工具ボディを上記チゼルの先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材を設けたハツリ補助装置を備えたものである。
【0010】
また、上記ケーシングに上記動力導入管の導入孔を設け、この導入孔は上記チゼルの先端と反対方向としたものである。
【0011】
また、上記ハツリ装置を複数取り付けたものである。
【0012】
また、上記ハツリ装置の周囲に、防音部材が巻かれたものである
【0013】
また、上記ケーシングと、上記ハツリ工具と、破砕する構造物と、上記防音部材との間に形成される作業室に、撒水する装置を取り付けたものである。
【0014】
また、上記作業室内の粉塵を、集塵する装置を取り付けたものである。
【0015】
また、上記ハツリ装置にハンドルを取り付け、このハンドルのシャフトにハンドルへの振動を減少させる第三、第四の弾性部材を設けたものである。
【0016】
また、上記ハツリ装置を台車等に設置したものである。
【0017】
また、上記台車を動力等で移動させるものである。
【0018】
また、上記台車に設置された上記ハツリ装置を、動力で昇降させる手段を備えたものである。
【0019】
また、上記ハツリ装置を、油圧ショベル等に装着したものである。
【0020】
また、上記ハツリ装置と油圧ショベルの接合部分に、第五の弾性部材を取り付けたものある。
【発明の効果】
【0021】
この発明のハツリ装置は上述の構成により、作業者を過酷なハツリ作業から解放し、ハツリ装置の部品点数が少なく小型であるため、軽量で、設置が簡便であり、騒音や埃も大幅に低減させることが可能である。
【発明の実施するための最良の形態】
【0022】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態を示すハツリ装置の縦断面図である。図2はハツリ処理中のハツリ装置の縦断面図である。図3はハツリ装置を移動させる時のハツリ装置の縦断面図である。この実施の形態においては、ハツリ工具の動力は圧縮空気とした。
【0023】
図において、100は外周が円形のハツリ装置である。軸心はTである。700はハツリ処理をする構造物すなわちコンクリート面である。10はハツリ工具(この工具の形状、動力の種類は限定されない)であり、工具ボディ1と、この工具ボディの上端に螺着された外周が円形であるハツリ工具上蓋2と、ハツリ工具上蓋外壁2aと、工具ボディ1の下端に螺着されたチゼルホルダ3と、コンクリート面700を破砕するチゼル4と、チゼル4を打撃する打撃ピストン5と、ハツリ工具1の内部へ空気圧縮機(図示せず)から圧縮空気を導入する動力導入管6と、打撃ピストン5を作動させるために圧縮空気の流れを調整する複数のバルブ穴7aを有するバルブ7と、動力導入管6をハツリ工具上蓋2に接続するニップル8で構成されている。また工具ボディ1には圧縮空気が打撃ピストン5に仕事をさせるためのシリンダー室1aと、仕事をした後の高圧排気を排出するための少なくともひとつ以上の排気孔1bと、外周が円形の工具ボディ外壁1cが設けられている。
【0024】
20はハツリ補助装置であり、図1に示すように、ハツリ工具10を挿着されたケーシング21と,工具ボディ1とケーシング21の空隙21aと、ハツリ工具10の排気孔1bからの排気を大気に放出する複数の空気放出孔21bと、ケーシング21に挿入した工具ボディ1が貫通し、ケーシング21の軸心方向にハツリ工具10が往復移動する補助をするケーシング貫通孔21cと、ケーシング内壁21dと、このケーシング21の内部にあって、動力導入管6の周囲に設けられ、工具ボディ1をチゼル4の先端方向に付勢する第一の弾性部材すなわち第一のバネ22と、ケーシング21の内部にあって、工具ボディ1の周囲に設けられ、工具ボディ1をチゼル4の先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材すなわち第二のバネ23と、ケーシング上蓋24と、ケーシング21内に動力導入管6を引き込む導入孔24aと、固定ネジ25によって構成されている。
【0025】
上述のように構成されたハツリ装置100において、ハツリ工具10とハツリ補助装置20の動作を図1〜図3に基づき説明する。図1〜3はハツリ装置100を縦方向に使用し、コンクリート面700をハツリ処理する場合の図である。図1における矢印は、ハツリ工具10の動力である圧縮空気の流れを示す。空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気(矢印ア)は、動力導入管6からはハツリ工具10内に導入し(矢印イ)、バルブ7に設けられた複数のバルブ穴7aを通過し、ハツリ工具10内のシリンダー室1aに流入する(矢印ウ)。この圧縮空気(矢印ウ)は打撃ピストン5を往復運動させることにより、チゼルホルダ3に支持されたチゼル4を打撃し、チゼル4を往復運動させることによって、コンクリート面700をハツリ処理する。ハツリ工具10内で仕事を終えた圧縮空気は工具ボディ1に設けられた排気孔1bから空隙21aに排気される。空隙21aに排気された圧縮空気は、ケーシング21に設けられた空気放出孔21bから大気に放出される(矢印エ)。
【0026】
ハツリ装置100を組み立てる手順は、ケーシング21に第二のバネ23、ハツリ工具10、第一のバネ22の順で挿入する。このときに、ケーシング貫通孔21cに工具ボディ1が貫通するように設置する。次に、ケーシング21の上部にケーシング上蓋24を被せ、上蓋固定ネジ25で組み付ける。このとき、ケーシング上蓋24に設けられた導入孔24aにハツリ工具10の動力導入管6を貫通させる。ケーシング21から突き出た工具ボディ1の下方にチゼル4を挿入し、チゼルホルダ3にて工具ボディ1に装着する。動力導入管6を空気圧縮機(図示せず)に接続する。以上で、ハツリ装置100の組み立ては完了である。
【0027】
実施の形態1においては、ケーシング上蓋24を固定ネジ25でケーシングに固定させたが、ケーシング上蓋24の固定方法は固定ネジ25に限らず、どのような方法で固定しても良い。
【0028】
図において、ハツリ工具上蓋2の外周部は、工具ボディ1の外周部より大きい。そのため、ハツリ工具上蓋2によって、第一のバネ22と第二のバネ23は、上下に隔てられることになる。第一のバネ22と第二のバネ23を上下に隔てる手段は、ハツリ工具上蓋2でなくても良い。例えば、ハツリ工具上蓋2の上部に円盤状の板を設け、その板の上部に第一のバネ22を設置し、工具ボディ1の外周面に突起物を設け、その下部に第二のバネ23を配しても、ハツリ装置100の効果は同じである。
【0029】
図ではケーシング上蓋24を上部にしているが、下方にケーシング21の蓋をつけても効果は同じである。ハツリ工具10が故障したときに、簡単にハツリ装置100から取外しが出来るように、脱着可能なケーシング上蓋24としている。ただし、第一のバネ22と第二のバネ23とハツリ工具10をケーシング21に挿入後、ケーシング上蓋24を溶接等で固着させ、ケーシング21と一体化させても効果は同じである。また、ハツリ処理により消耗するチゼル4を、ハツリ補助装置20の外部に設けており、チゼルホルダ3を外すだけでチゼル4の交換が出来るため、日常の消耗品の交換が非常に簡単である。
【0030】
ハツリ処理時のハツリ装置100内の各部の動作は図2のとおりである。コンクリート面700にハツリ装置100を置くと、ケーシング内21の第一のバネ22は、ケーシング21の重量によって、まず圧縮され、ハツリ工具10をチゼル4の先端方向(矢印B)に付勢し、チゼル4をコンクリート面700に押し付ける。空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気を、動力導入管6からハツリ工具10に入れて、ハツリ工具10を作動させるにより、チゼル4は打撃ピストン5の往復運動によって打撃され、コンクリート面700を破砕する。チゼル4にてコンクリート面700を破砕した衝撃は、ハツリ工具10を上部に押し上げるエネルギーとなる(矢印A)。ケーシング21内のハツリ工具上蓋2aは、ケーシング内壁21dに沿いながら第一のバネ22を圧縮していき、矢印A方向に移動する。第一のバネ22はハツリ工具10の上昇のエネルギーを蓄え、そのエネルギーとケーシング21の重量も加算したエネルギーでハツリ工具10をチゼル4の先端方向(矢印B)へと加速させる。ハツリ工具10内では、圧縮空気により打撃ピストン5がチゼル4を下方(矢印B)へと押し出しているため、その相乗効果でコンクリート面700は効率良く破砕されていく。
【0031】
ハツリ工具上蓋外壁2aとケーシング内壁21dの位置関係、また、工具ボディ外壁1cとケーシング貫通孔21cの位置関係は、共に距離が近いほど、ハツリ処理の効率が良い。チゼル4がコンクリート面700を破砕するときにハツリ工具10に大きな衝撃を与える。このときにハツリ工具10には、チゼルの打撃の反動により、上に押し上げられる力(矢印A)と、破砕されたコンクリート面700の壊れ方により、ハツリ工具10を横方向に動かす力も加わる。ハツリ工具上蓋外壁2aとケーシング内壁21dの距離、また、工具ボディ外壁1cとケーシング貫通孔21cの距離が近いことにより、ハツリ工具10の横揺れはほとんど発生せず、ハツリ装置100の軸心Tが定まる。更に、ハツリ工具10がケーシング21内で軸心T方向に往復運動する補助になり、チゼル4が効率良くコンクリート面700を打撃するため、ハツリ処理の効率も良くなる。逆にハツリ工具10とケーシング21の距離が広い場合、チゼル4がコンクリート面700を破砕する衝撃により、ハツリ工具10が横揺れして、ハツリ工具10とケーシング21が衝突し、ハツリ工具10を壊すことにも繋がる。また、ハツリ装置100の軸心Tが定まらないため、ハツリ処理の効率も悪い。実施の形態1.おいてはハツリ工具上蓋外壁2aの直径は75mm、ケーシング内壁21dの直径は75.8mm、工具ボディ外壁1cの直径は50mm、ケーシング貫通孔21cの直径は50.8mmとした。
【0032】
ケーシング21内でハツリ工具10が軸心T方向に往復運動するため、動力導入管6は軸心Tに平行であり、工具ボディ1に取り付けられたチゼル4の先端の反対方向にあることが望ましい。すなわち、ケーシング上蓋24の中心付近に動力導入管6の導入孔24aを設けるということになる。これはチゼル4がコンクリートを破砕した後の反発力が矢印A方向に働くため、その反発力による負担でニップル8や動力導入管6が破損する可能性を減らすためである。軸心Tに対して垂直に近く、ケーシング内壁21dに導入孔24aを設けても、ハツリ装置100は作動するが、ハツリ工具10の移動が軸心T方向であるため、ニップル8や動力導入管6の破損する確率が大幅に上がることになる。実施の形態1.では、動力導入管6とニップル8を別の素材としたが、同じ素材で一体化しても、効果は同じである。
【0033】
ハツリ処理の際、通常は作業者がハツリ工具10を手に持ち、破砕するコンクリート面700に押し付けて作業する。その際の押し付ける力は、圧力計により10人の作業者から計測した平均値は5.1kgであった。そのため、ケーシング21の重量は5kgとした。また、チゼル4の移動距離が最大で20mmであり、通常ハツリ処理の際に作業者がハツリ工具10を手で押さえた場合の肘の移動距離が4〜10mmであったため、ハツリ工具10の作動中のケーシング21内の移動距離は7mmとなるように第一のバネ22のバネ定数を決定した。
【0034】
ハツリ処理をしていくと、チゼル4がコンクリート面700を破砕していくため、ハツリ工具10の位置は破砕した高さ分だけ、下がっていかなくてはならない。このとき、ケーシング21の重量が5kgであり、作業者が手でハツリ工具10を押さえる力と同様である。そのため、作業者はケーシング21を支えておくだけで、ハツリ工具10はケーシング21の重量と第一のバネ22の反発力によりコンクリート面700に押し付けられ、自動的にハツリ処理が可能となる。
【0035】
ハツリ工具10からの排気は、排気孔1bから排気されるが、直接大気に排出されず、空隙21aに一旦入ってから、空気放出孔21bから大気に放出させる。この構造とすることで、排気に伴った大きな騒音は、狭い通路(排気孔1b)から大きな部屋(空隙21a)に入ることによる音の膨張効果と、広い部屋(空隙21a)から狭く複数の通路(空気排出孔21b)に入る音の縮小効果と分散効果により消音される。これは実施の形態1.のハツリ工具10の動力が圧縮空気であるときの効果である。ハツリ工具10の動力が油圧、または電力である場合には、ケーシング21に空気放出孔21bはなくても良い。
【0036】
ハツリ処理後、次のハツリ箇所へ移動させるとき、ハツリ装置100内の各部の動作は図3のとおりである。作業者はハツリ処理終了後、次のハツリ箇所にチゼル4を移動させる。そのためにケーシング21を上部(矢印C)に持ち上げると、内部のハツリ工具10は自重で下方(矢印D)に落ちていく。ハツリ工具10と第一のバネ22の重量により、第二のバネ23は圧縮され、ハツリ工具10の自然落下を防ぐ。これにより、作業者がハツリ装置100を移動させることを容易にしている。第二のバネ23を配さない場合、作業者がケーシング21を持ち上げるとハツリ工具10がケーシング21の下部に落下する。そのため、作業者はハツリ工具10のケーシング21内での落下分、つまり第二のバネ23の長さ分を加えた分を持ち上げなくてはならない。また、第二のバネを配すことにより、ハツリ工具上蓋2とケーシング21の下部が直接に接触することを防ぎ、ハツリ工具10の耐久性を向上させる。
【0037】
この発明の実施の形態1.に示すハツリ装置100は、ハツリ工具10とハツリ補助装置20にて構成されているので、ケーシング21内のハツリ工具10が作動し、ハツリ工具10内の打撃ピストン5によりチゼル4が構造物に強く衝突してコンクリート面700を破砕し、その反動でハツリ工具10は上部に浮き上がる。その際に第一の弾性部材22が縮むことにより、衝撃を吸収しながら運動エネルギーを蓄え、その蓄積エネルギーとケーシング21の重量が加算されたエネルギーによりハツリ工具10はチゼル4の先端方向に付勢され、ハツリ処理を行っていく。ハツリ処理した分だけ、ハツリ装置100は自重により自動的に下がっていくこととなる。そのため、作業者はハツリ装置100を保持するだけでハツリ処理が可能となる。ハツリ処理後にケーシング21を持ち上げ、次の破砕するコンクリート面700に移動させる際に、工具ボディ2の周囲に設けられた第二の弾性部材23により、ハツリ工具10がケーシング21と直接当たり破損することを防ぐとともに、ハツリ工具10が重力により落下する移動距離を減らし、作業者がハツリ装置100を移動させること容易にする。そのため、作業者が強い力でハツリ工具10を押し付ける必要がなく、軽量で、設置が簡便で、ハツリ処理による騒音を低減しているという効果を有する。
【0038】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2を示すハツリ装置の一部を破断した正面図である。図5は図4のM−M断面図である。
【0039】
図において、200は手2持ち式ハツリ装置であり、30はハンドル、31はシャフト、32はシャフトガイド、33は第三の弾性部材すなわち第三のバネ、33aは第三のバネ止具、34は第四の弾性部材すなわち第四のバネ、34aは第四のバネ止具、35は動力分岐器、35aは動力接続具、36は動力弁、37は動力ホース、38はケーシング接続具、39は防音部材、40は作業室、41は撒水器、41aは撒水ホース、T1〜T3はハツリ装置100のそれぞれの軸心、T200はハツリ装置200全体の軸心である。なお、実施の形態1で説明した符号は、説明を省略する。
【0040】
上述のように構成されたハツリ装置において、ハツリ装置の動作を図4、図5に基づき説明する。図4、図5において200は実施の形態2.のハツリ装置であり、実施の形態1.のハツリ装置100が複数組み合わされ、その集合体にシャフトガイド32が接合され、そのシャフトガイド32の内部をシャフト31が貫通し、シャフト31にはハンドル32が接合されている。シャフト31には第三の弾性部材すなわち第三のバネ33と、第四の弾性部材すなわち第四のバネ34が設置され、それぞれのバネに第三のバネ止具33aと第四のバネ止具が設けられている。複数のケーシング21はケーシング接続具38により接合されている。集合したケーシング21の周囲には防音部材39が巻かれており、チゼル4の先端まで延びている。ケーシング21とハツリ工具10とコンクリート面700と防音部材39によって形成された作業室40には、撒水器41からの水を運搬する撒水ホース41aが設けてある。
【0041】
図4、図5を参照して、ハツリ装置200の動作を説明する。空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気は、動力ホース37を通り、動力弁36に伝わる。動力弁36を開くと、圧縮空気は動力分岐器35に流入し、動力分岐器35に複数設置された動力接合具35aを通り、動力導入管6を通った後、ハツリ工具10を動作させ、ハツリ処理をする。このときのハツリ補助装置20とハツリ工具10の動作は実施の形態1.の通りである。チゼル4がコンクリート面700を破砕し、その破砕の衝撃でケーシング21を振動させる。このケーシング21の振動を、シャフト31に設置された第三のバネ33と第四のバネ34により吸収し、ハンドル30への振動を低減する。
【0042】
第三のバネ33はシャフトガイド32と、シャフト31に固定された第三のバネ止具33aに挟まれ、第四のバネ34はシャフトガイド32と、シャフト31に固定された第四のバネ止具34aに挟まれている。この第三のバネ止具33aと第四のバネ止具34aの位置を縮め、第三のバネ33と第四のバネ34をあらかじめ縮めておくことにより、シャフト31がケーシング21の振動により上下に移動しても、第三のバネ33と第四のバネ34が遊ぶことはなく、常に安定してケーシング21の振動を吸収することが出来る。
【0043】
ハツリ装置200において、複数のハツリ装置100は実施の形態1の段落番号0033の説明の通り、チゼル4がコンクリート面700を破砕し、ハツリ補助装置20によってハツリ工具10をコンクリート面700に押し付け、自動的にハツリ処理をしていく。ハツリ処理の効率を更に上げるには、作業者がハンドル30をチゼル4の方向に押さえれば良い。この場合、第三のバネ33が圧縮し、シャフトガイド32を押すことにより、ケーシング21を押さえる力が働く。このとき、ケーシング21内で仕事をしているハツリ工具10の振動は、第一のバネ22がまず吸収し、更に第三のバネ33が吸収してからハンドル30に伝わる。そのため、作業者は通常のハツリ処理と比較して、格段に少ない振動しか手に伝わってこない。また、押さえ付けなくても、ケーシング21の重量を増やす、またはケーシング21に重りを追加するなどの措置で、簡単にハツリ処理の効率を上げることが出来る。
【0044】
通常、ハツリ処理を作業員が行う場合、一人が1つのハツリ工具10を持って作業する。ハツリ装置200は、3つのハツリ装置100を組み合わせることにより、一人の作業者が3つのハツリ工具10を使うことが可能となる。また、図5の通り、それぞれのハツリ装置100の軸心であるT1、T2、T3を中心にして、コンクリート面700はハツリ処理されていく。3つの軸心の中心であるハツリ工具200の軸心T200付近は、3本のチゼル4がコンクリート面700を破砕する振動が共振しあうため、チゼル4が直接打撃しなくても破砕される。そのため、通常のハツリ処理と比較し、大幅に効率が上がる。
【0045】
上述のコンクリート面700を共振させてハツリ処理を行うには、ハツリ工具10の打撃能力に応じて、軸心T1〜T3の距離を調整する。実施の形態2.においては、ハツリ装置100の軸心T1〜T3のそれぞれの距離は87mmとした。
【0046】
よりハツリ処理の効率を上げるには、軸心T1〜T3付近にあるチゼル4の先端を、ハツリ工具200の軸心T200に近付ける。ただし、この傾斜させる角度は、ハツリ工具200の軸心T200と、ハツリ装置100の軸心T1、T2、T3のそれぞれとが成す角度を0.1〜2度付ける。この角度を付け過ぎると、ハツリ処理後、チゼル4が降下していく際にチゼル4は近付いていくが、ケーシング21は近付けないため抵抗が増えて、ある程度の深さから大幅にハツリ処理の効率が悪化する。そのため、深くハツリ処理をすることが困難となる。実施の形態2.においては、それぞれのハツリ装置100の軸心Tの距離を85mmとし、ハツリ工具200の軸心T200とハツリ工具100の軸心T1〜T3の成す角度は0.1度とした。
【0047】
次に図4、図5を参照してハツリ装置200の防音、防塵能力の高さとハツリ処理の効率を説明する。ケーシング21の周囲に防音部材39を巻き付け、コンクリート面700まで伸ばす。防音部材39は、例えば建設機械の防音カバーに使用されるようなもので、柔軟性があり、耐候性、耐久性、遮音性、制震性に優れた合成ゴムや塩ビ等の樹脂製のシートが望ましい。これにより、ハツリ工具10からの騒音を伴った排気は、ケーシング21に設けられた空気放出孔21bより大気に放出されるが、空気放出孔21bの外側に設置された防音部材39に当たり、消音されることとなる。また、ケーシング21の周囲に巻き付けることにより、ケーシング21内で往復運動しているハツリ工具10の作動音や、ケーシング21とハツリ工具10の接触音を消音することが出来る。更に、ハツリ処理するコンクリート面700が防音部材39で囲われているため、チゼル4がコンクリート面700を破砕する時の衝撃音も消音が出来る。こうした消音の相乗効果により、通常のハツリ処理と比べて、大幅に騒音を低減できる。
【0048】
従来のハツリ処理時の防塵方法としては、ハツリ処理の作業場所を、足場材を使って囲み、その足場材に防音部材を取り付けて、その中で、作業員がハツリ処理をする。この場合、防音部材は基本的に光を遮ってしまうため、作業場所が暗くなる。作業場所を明るくするため、投光器などを使うが、投光器の熱で作業場所が熱くなる。また、ハツリ処理に伴って発生する埃が舞って、作業環境は非常に劣悪である。防音部材で囲んだ作業場所内の埃を逃がすため、集塵機や送風機を使うのだが、通常の現場では、電力の要領の問題があるため、工場で使用するような大型の機械は使用できない。そのため、作業環境は改善しにくい。
【0049】
通常のハツリ処理のサイクルは、作業者がハツリ工具10のチゼル4をコンクリート面700に押し付け、指でハツリ工具10の作動スイッチ(図示せず)を押し、動力をハツリ工具10に入れて作動させ、ハツリ処理後、手でハツリ工具10を持ち上げ、次のハツリ箇所にチゼル4を移動させる、ということの繰り返しである。ハツリ処理後、ハツリ工具10を持ち上げ、次のハツリ箇所に移動させ、作動スイッチを押すまでの時間は、ハツリ工具10は作動していないため、コンクリート面700は全くハツリ処理が出来ない。
【0050】
ハツリ装置200は図4に示すように、3台のハツリ工具10を作動させるには、動力弁36を開くだけである。動力弁36を開くと空気圧縮機からの圧縮空気によって、3台のハツリ工具10が常に作動している。複数のハツリ装置100は実施の形態1で述べたように、自動的にハツリ処理をしていく。作業者は同じ箇所で数秒間、ハツリ処理をすると、次のハツリ箇所にハツリ装置200を移動させる。このとき、ハンドル30を少しだけ持ち上げ、チゼル4をコンクリート面700から僅かに浮かせて、ハツリ装置200を移動する。すると、ハツリ装置200の移動中も常にハツリ工具10は作動しているため、チゼル4が次のハツリ処理をするコンクリート面700に接触した瞬間からハツリ処理を開始するため、通常のハツリ処理に比べて、ハツリ処理をする時間が長くなる。そのため、通常のハツリ処理と比較し、ハツリ処理をしている時間が長いことに加え、更にチゼル4の本数が3本であるため、この相乗効果により、ハツリ装置200のハツリ処理の効率は大幅に上がる。
【0051】
チゼル4がハツリ処理するコンクリート面700の周囲を防音部材39で囲っているため、チゼル4がコンクリート面700を破砕する際に飛散する破片を、防音部材39で囲まれたケーシング21とハツリ工具10と破砕するコンクリート面700を含む作業室40に抑えることが出来る。また、ハツリ処理時に発生する埃も、作業室40内から外部に直接放出されないため、ハツリ処理時の埃も抑えている。
【0052】
更にハツリ処理時の埃を押さえるには、作業室40内に撒水器41にて水を噴霧すれば良い。作業室40内に水を掛けることにより、ハツリ処理時の埃を抑えることに加え、チゼル4の耐久性を向上させることが出来る。チゼル4はコンクリート面700を打撃し、そのエネルギーによりチゼル4の先端が高温となる。チゼル4の材質は金属であり、金属は高温になると柔らかくなる特性がある。埃と押さえるための水がチゼル4に掛かり、また、作業室40の温度をさせることにより、チゼル4の温度を下げ、このことによりチゼル4の耐久性は挙がる。
【0053】
他の防塵方法では、撒水器41をではなく、集塵機(図示せず)を作業室40に設置しても良い。実施の携帯2.においてハツリ装置200はハツリ装置100を3つ組み合わせた行動としているので、作業室40の容積は180mm×180mm×180mmに収まる大きさなので、動力が交流100Vの小型の集塵機を使用しても、充分にハツリ処理時に発生する埃を抑えることが可能である。
【0054】
今までも、ハツリ工具10やチゼル4の周囲を防音部材39や、その他の部材で囲み、ハツリ処理の埃を抑えるという方法はあった。(例えば、特開平7−164352号公報参照)
【0055】
このような方法では、チゼル4の先端が見えなくなるため、ハツリ処理がどのくらい完了しているのかわからない。また、通常のハツリ処理は作業者1人がハツリ工具10を1つ使用する。作業者はハツリ処理完了すると、次のハツリ処理をするコンクリート面700に移動させる。このとき、ハツリ処理が完了しているコンクリート面700のすぐ近くである、次のハツリ処理をするコンクリート面700に、1本のチゼル4の先端を確実に移動させなくてはならない。しかし、防音部材39のために、ハツリ処理をするコンクリート面700やチゼル4の先端が見えないため、次のハツリ処理をする場所にチゼル4を確実に移動させることが困難である。その結果、ハツリ処理の効率は大幅に低下する。更に、作業者は足元のチゼル4の先端が見えないため、チゼル4で足を突く危険性が上がる。尚且つ、ハツリ処理の効率が著しく低下するため、作業者は多大なストレスを抱えながら作業しなくてはならない。
【0056】
ハツリ装置200は、チゼル4が3本設けてあるため、チゼル4の先端が見えなくても同時にハツリ処理する面積が、通常のチゼル4が1本でハツリ処理する場合に比べ、大幅に広い。そのため、ハツリ処理完了後、次のハツリ箇所にチゼル4の先端を正確に移動しなくても、ハツリ処理が完了している箇所に、3本のチゼル4のうち1本でも重なっていれば、ハツリ処理の残しがなく、確実にハツリ処理が出来る。
【0057】
次に図4、図5を参照しながら、ハツリ装置200の作業場所に対する適応能力の高さを説明する。ハツリ装置200は手持ち式ハツリ装置であるため、作業者が自分の力で自由に持ち運び出来なければならない。実施の形態2においてハツリ工具10の重量が4.8kg、ケーシング21の重量が5kg、ハンドル30とシャフト31とシャフトガイド32の重量が2.5kg、各バネの重量が0.7kg、動力導入管6と動力分岐器35と動力接続具35aの重量が1kgで、ハツリ装置200の総重量は33.6kgである。ハツリ装置200の重量は、ハツリ工具10の種類、ケーシング21の材質や、ケーシング21の素材の厚さ等で変わってくるが、作業者の能力や作業場所に合わせて調整すれば良い。
【0058】
ハツリ装置200はハツリ工具10の種類を変更することにより、様々な作業場所に対応することができる。荒めにハツリ処理をする場合にはハツリ工具10を打撃能力の高いものにする。打撃能力が高いということはチゼル4からの衝撃力も大きくなるため、ケーシング21の重量が重くなり、第一のバネ22のバネ定数もそれに応じて高くする。この場合、ハツリ装置200の総重量は重くなるため、ハツリ装置100の数量は減らしたほうが、作業が容易になる。細かくハツリ処理をするのであれば、ハツリ工具10の打撃能力は低いものとして、ケーシング21の重量は軽く、第一のバネ22のバネ定数は低くする。この場合は、ハツリ装置200の総重量は軽くなるので、ハツリ装置100の数量は増やすことが出来る。そのため、一度に広い面積をハツリ処理が出来る事となる。このように、ハツリ工具10の重量や打撃能力に応じて、ハツリ装置200に組み合わせるハツリ装置100の数量を変更することで、様々なハツリ処理や作業現場に対応が可能となる。
【0059】
ハツリ装置200を使用して壁や天井をハツリ処理する場合には、ウインチ等の昇降設備をハツリ装置200に取り付けて作業すれば、ハツリ処理の効率は良くなる。
【0060】
この発明の実施の形態2に示すハツリ装置は、ハツリ装置100を組み合わせ、ハンドル30を設け、第三のバネ33と第四のバネ34を配し、ケーシング21の周囲を防音部材39で囲む構成とすることにより、通常のハツリ処理に対して、ハツリ処理の能力が非常に高く、ハンドル30に振動を伝えにくいため作業者の疲労を低減し、ハツリ処理時の騒音と埃を低減するという効果を有する。
【0061】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図である。図7は図6のN−N断面図である。
【0062】
図において、300は台車搭載式ハツリ装置である。50は台車、51は台車外壁、52はケーシング補助筒、52aは補助筒排気孔、53は移動床、54は台車上蓋、55は緩衝材、56はタイヤ、57は軸受、58は昇降装置、58aはワイヤ、58bはワイヤ接続具、59は上蓋固定ネジである。なお、実施の携帯1.および実施の形態2.で説明した符号は、説明を省略する。
【0063】
上述のように構成されたハツリ装置において、ハツリ装置の動作を図6、図7に基づき説明する。図6、図7において300は実施の形態3のハツリ装置であり、複数のハツリ装置100が台車50に設置されている。台車50は、ハツリ装置100を囲む台車外壁51と、ハツリ処理時に往復運動するケーシング21の動きを補助し、台車50内での位置決めをするケーシング補助筒52と、移動が可能でハツリ装置100が複数貫通した移動床53と、台車50内にハツリ装置100を納めた後、動力導入管6が貫通し、台車外壁51の上部に設置された台車上蓋54と、台車上蓋54に接合された昇降装置58と、内部に設置され、チゼル4の先端まで延びている防音部材39と、台車外壁51に接続された軸受57とタイヤ56と、台車上蓋54を固定する上蓋固定ネジ59で構成されている。昇降装置58には移動床を動作させるためのワイヤ58aと、ワイヤ58aを移動床53に固定するためのワイヤ接続具58bが設けられている。
【0064】
ハツリ処理中にハツリ装置300内のハツリ装置100は、ケーシング補助筒52の内壁に沿いながら往復運動をする。これは、チゼル4はコンクリート面700を打撃し、その反動によりハツリ装置100を浮き上がらせる。浮き上がった複数のハツリ装置100は自重で落下する。この繰り返しがケーシング補助筒52内におけるハツリ装置100の動きである。複数のハツリ装置100は、それぞれが単独で自由に動くことが出来る。そのため、ハツリ処理するコンクリート面が平坦でなくても、ハツリ装置100が勝手に高さを調整し、ハツリ処理をすることが可能である。また、ハツリ処理中には、ハツリ装置100の重量が全て台車50の移動床53に掛かることはない。そのため、作業者がハツリ処理をしながら、ハツリ装置300を移動させる力は少なくて済む。
【0065】
ケーシング21とケーシング補助筒21aの距離は、近いほうがハツリ処理の効率が良く、ケーシング21、ケーシング補助筒52の耐久性も高い。ただし、ケーシング21には空気排出孔21bが設けてあるため、ケーシング21とケーシング補助筒52の距離が近いとハツリ工具10からの排気が妨げられ、ハツリ工具10の打撃効率が低下する。ケーシング21に設けられた空気排出孔21bからの排気を妨げないため、ケーシング補助筒52には補助筒排気孔52aが設けられている。
【0066】
ハツリ装置300はハツリ処理をする際に、移動床53の高さを調整することで、ハツリ処理の深さを調整することが出来る。これはハツリ装置100がハツリ処理としていくと、ハツリ処理されコンクリート面700が下がった分だけ、ハツリ装置100の高さが下がっていく。ハツリ装置100が下がっていくと、ケーシング21の高さも下がっていき、移動床53に設置された緩衝材55に接触する。緩衝材55に接触したケーシング21を持つハツリ装置100はその高さより下がることなく待機し、他のハツリ装置100が緩衝材55に接触するまで台車50を移動させなければ、同じ高さにハツリ処理をすることが可能となる。緩衝材55は、例えば、硬質ウレタンやシリコン等の、耐衝撃性、耐摩耗性の高い柔軟性のある素材が良い。緩衝材55は、移動床53でなくケーシング21の下面に設置しても効果は同じである。
【0067】
移動床53の移動は、台車上蓋54に設置された昇降装置58によって行われる。昇降装置58は、例えば、ウインチであり、ワイヤ58aを備え、ワイヤ58aはワイヤ接続具58bにて移動床53に接続される。昇降装置を作動させて、移動床の高さを簡単に調整することが出来る。移動床53の高さを調整することはハツリ処理の高さを調整するだけではなく、ハツリ装置300を作業場所に移動させるときにも有効である。なぜなら、ハツリ装置300において、ハツリ装置100は自重で落下する仕組みになっているため、移動床53の高さが低くハツリ工具10が作動していない場合は、チゼル4をコンクリート面700に引きずることになる。そのため、ハツリ装置300を移動させる場合は、昇降装置58でワイヤ58aを巻き上げ、移動床53を上昇させることにより、ケーシング21を上昇させることにより、チゼル4とコンクリート面700を離してから、ハツリ装置300を移動させることが出来る。昇降装置58はウインチに限らず、移動床53を移動できるのであれば、どんなものでも良い。また、台車50内において、ハツリ装置100を移動させる手段は、床を移動させる方法ではなく、他の方法でハツリ装置100を移動させても、効果は同じである。
【0068】
ハツリ装置300を移動させる手段は、作業者が自らの力で押しても良いが、動力を使うことにより、軸受57を回転させ、タイヤ56を駆動させることで、よりハツリ処理の効率を上げることが出来る。ハツリ装置300の移動動力は、エンジン駆動やモーター駆動が考えられる。動力は、環境に考慮するのであれば、バッテリーによるモーター駆動を採用することが望ましい。モーター駆動とすると、ハツリ装置300の移動中の騒音がないため、ハツリ装置300の発生させる音を増加させない。また、エンジン駆動のように排気ガスを出さないため、狭い場所での作業にも適している。また、ハツリ装置300の移動動力のバッテリーを、昇降装置58の動力にも利用することで、より効率よくハツリ処理をすることが可能となる。ただし、長時間連続でハツリ処理をする場合や、斜めのコンクリート床700をハツリ処理するなど、動力に掛かる負荷が高い作業には、エンジン駆動を採用したほうが良い。
【0069】
ハツリ装置300は、台車50に防音部材39が取り付けられ、チゼル4の先端まで延びているので、実施の形態2で説明したように、防音、防塵能力が高い。また作業室40に撒水装置や集塵装置を取り付けることにより、さらに防塵能力を上げることが出来る。
【0070】
台車50に設けられた、ハツリ装置300を移動させるためのタイヤ56は、外形が円形のタイヤに限定されず、クローラー式や、レールに台車50を設置して移動させる方法をとっても、効果は同じである。
【0071】
この発明の実施の形態3に示すハツリ装置は、台車50に複数のハツリ装置100を設置し、台車50に移動床53を設け、昇降装置58にて移動床53を上下させ、台車50に防音部材39を取り付け、台車50を動力で移動させる構成とすることにより、通常のハツリ処理に対して、ハツリ処理の能力が非常に高く、作業者の疲労を低減し、ハツリ処理の均一化が出来て、ハツリ処理時の騒音を低減し、また、ハツリ処理時の埃も低減するという効果を有する
【0072】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理中の状態を示す。図9は、この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理完了の状態を示す。図10は、この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ装置がコンクリート面に傾斜されて設置された状態を示す。
【0073】
図において、400は油圧ショベル搭載式ハツリ装置である。60は油圧ショベル付属装置すなわちアタッチメント、61は筐体、61aは筐体底面、61bは筐体排気孔、62は第五の弾性部材すなわち第五のバネ、63は摺動補助筒、64は筐体上蓋、65は蓋固定ボルト、66は支持部である。70は油圧ショベルであり、71はアーム、72は油圧シリンダー、73aはシリンダー側固定ピン、73bはアーム側固定ピン、74はシリンダーリンク、75aはシリンダー側リンクピン、75bはアーム側リンクピン、76はアイドラーリンクである。21cはケーシング下端面で、700はハツリ処理をするコンクリート面である。なお、実施の形態1〜3で説明した符号は、説明を省略する。また、油圧ショベル70は各製造元が販売している市販のものであるが、台車に油圧装置を取り付けたものでも構わない。
【0074】
上述のように構成されたハツリ装置において、ハツリ装置の動作を図8〜図10に基づき説明する。ハツリ装置400は、油圧ショベル70と油圧ショベルの付属装置すなわちアタッチメント60である。アタッチメント60は実施の携帯1.のハツリ装置100が複数組み合わされており、油圧ショベル70に接合されている。アタッチメント60は複数のハツリ装置100と、ハツリ装置100を囲む筐体61と、ハツリ装置100の衝撃を低減させ、ハツリ装置100を個別に可動させるための第五のバネ62と、ハツリ装置100の往復運動を補助し、ハツリ装置100と第五のバネ62の筐体61内での位置決めをする摺動補助筒63と、筐体上蓋64と蓋固定ボルト65と、油圧ショベルと接合される支持部66で構成される。支持部66には油圧ショベルと接合するための穴が2つ設けられている。筐体上蓋64には支持部66と摺動補助筒63が固定されている。
【0075】
図8において油圧ショベル70は、油圧ショベル70の仕事をする部分であるアーム71の先端付近を拡大して示している。アーム71の上部にはシリンダー72が設置してある。シリンダー71とシリンダーリンク74とアイドラーリンク76は、シリンダーリンクピン75aで固定されている。シリンダーリンク74と支持部66は、シリンダー側固定ピン73aで固定されている。アーム71と支持部66は、アーム側固定ピン73bで固定されている。つまり、シリンダー72の前後の直線運動を、シリンダーリンク74とアイドラーリンク76を介して、アタッチメント60に円弧の運動へと変換して伝えている。
【0076】
空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気は、動力ホース37から動力分岐器35に流入し、複数設けられた動力接続具35aから動力導入管6に伝わり、ハツリ工具10を作動させる。ハツリ装置100内の動作は実施の携帯1.の通りである。実施の形態4.において、作業者は油圧ショベル70の運転席(図示せず)で、油圧ショベル70を操作する。そのため、ハツリ工具10を作動させる動力弁36は、運転席付近に設ける。ハツリ工具10からの排気は、ケーシング21に設けられた空気放出孔21bから筐体61内に放出され、筐体底面61aに設けられた筐体排気孔61bから作業室40に排気されて、大気に出ることとなる。
【0077】
図8はハツリ装置400がハツリ処理中の状態を示す、一部を破断した縦断正面図である。ハツリ処理時にはアタッチメント60内でハツリ工具10が作動し、チゼル4がコンクリート面700を破砕する。このときハツリ装置100は摺動補助筒63内で往復運動をする。摺動補助筒63は、ハツリ装置100の往復運動の補助だけではなく、第五のバネ62がハツリ装置100と筐体上蓋64との間で位置が変わらないように、第五のバネ62の位置を決める役割も持つ。ハツリ装置100の衝撃を、第五のバネ62が圧縮して吸収する。そのため、支持部66に伝わる衝撃は非常に少なくなるため、油圧ショベル70には、ほとんど振動が伝わらない。圧縮され、エネルギーを蓄積した第五のバネ62は、コンクリート面700の方向へ、ハツリ装置100を押し出す。このときに、ハツリ装置100内で第一のバネ22もハツリ工具10をコンクリート面700方向に押し出すため、この相乗効果でハツリ処理の効率は上がる。この相乗効果を得るには、ハツリ装置100内の第一のバネ22と第五のバネ62のバネ定数の調整が、非常に重要となる。実施の形態4においては、第一のバネ定数は12N/mmで、第五のバネ62のバネ定数は80N/mmとした。
【0078】
アタッチメント60をコンクリート面700に押し付けた場合、チゼル4がハツリ工具10を押し、その力でハツリ装置100を押して、第五のバネ62を圧縮する。圧縮された第五のバネの長さ分、ハツリ装置400はハツリ処理をすることが可能となる。そのハツリ処理の可能な深さは,ケーシング21の下端面21cと、筐体61の底面61aとの距離によって決まる。この距離より、第五のバネ62の全タワミは長くないと、第五のバネ62は線間密着してしまい、第五のバネ62、ケーシング21、更に筐体上蓋64を破損させる。
【0079】
図9はハツリ装置400がハツリ処理と完了した状態の図でアタッチメント60内の状態を示す、一部を破断した縦断正面図である。図8の通り、ハツリ処理中には油圧ショベル70の力により、アタッチメント60がコンクリート面700に押し付けられることで、第五のバネ62が圧縮され、その蓄積エネルギーがなくなるまで、ハツリ装置100を押し出し、ハツリ処理を行う。ハツリ処理が完了した場合、第五のバネ62には荷重は掛かっていないため、自由長になっている。この状態では、ハツリ装置100内でハツリ工具10が作動していても、コンクリート面700にチゼル4を押し付ける力が掛からないため、ハツリ処理は出来ない。
【0080】
図10は、アタッチメント60をコンクリート面700に斜めに設置した場合を示している。油圧ショベル70でアタッチメント60の移動をする場合、実施の形態2.のように、作業者が直接ハツリ装置200を手に持ってハツリ処理を行う場合と大きく異なる。手で持ってハツリ処理する場合には、チゼル4の位置の微調整は容易で、チゼル4のコンクリート面700への接触の具合が、作業者によく伝わる。しかし、油圧ショベル70を使用してハツリ処理する場合は、チゼル4のコンクリート面700への接触の具合が、作業者にはほとんど伝わってこない。そのため、複数のチゼル4の先端をコンクリート面700に対して、均等に接触させることは難しい。更に、油圧ショベル70は、シリンダー71の前後運動を円弧運動に変換して、アタッチェメント60に伝える。アーム71を動かす場合も円弧運動である。そのため、アタッチメント60が図10に示す状態になることが頻繁に起こる。このように、複数のハツリ装置100が斜めにコンクリート面700に当たっても、第五のバネ62が圧縮されることにより、チゼル4の高さを調整し、チゼル4やハツリ工具10に負担を掛けない。
【0081】
凹凸のあるコンクリート面700をハツリ処理する場合においても、チゼル4がコンクリート面700に接触すると、第五のバネ62が圧縮されることにより、チゼル4の高さを自動的に調整し、ハツリ処理の効率が良い。
【0082】
ハツリ装置400は、筐体61に防音部材39が取り付けられ、チゼル4の先端まで延びているので、実施の形態2.で説明したように、防音、防塵能力が高い。また作業室40に撒水装置や集塵装置を取り付けることにより、さらに防塵能力を上げることが出来る。
【0083】
実施の形態4においては第五の弾性部材62には圧縮バネを使用した。第五の弾性部材62はバネに限らず、柔軟性をもつ合成樹脂系の素材や、反発力を持つ合成ゴム等を使用しても良い。但し、どのような素材を使うにしても、油圧ショベル70で押し付ける力で破断しない、耐熱性、対磨耗性、耐久性に優れた素材を使用する。
【0084】
ハツリ装置400が能力を発揮するのは、壁面や、天井面、トンネル等の曲面をハツリ処理する場合である。床等の下方向のハツリ処理においては、ハツリ装置200やハツリ装置300がハツリ装置400に対して小型で、軽量であるため、様々な作業場所に適応しやすい。しかし、壁面となるとハツリ装置200をウインチ等で吊ってハツリ処理をしたとしても、複数組み合わせるハツリ装置100の数量は3つ程度である。それに対し、ハツリ装置400は油圧ショベル70が転倒しなければ、いくらでもハツリ装置100を組み合わせることが出来る。油圧ショベル70の本体重量が3tであれば、アタッチメント60の重量が300kgくらいまで支えることが出来るため、ハツリ装置100の重量が10kgとした場合、かなり安全率を見たとしても、20台程度を組み合わせることが可能である。
【0085】
今までの油圧ショベル70の付属装置としては、油圧ショベルの油圧を利用して、付属装置内のローラーを回転させ、そのローラーにチゼル4と同様の働きをするビットを複数設けて、ビットをコンクリート表面に衝突させることによって、コンクリート面700の表面を削り取り、ハツリ処理するものがあった。(例えば、特許3398364号公報参照)
【0086】
上述のハツリ装置は、低騒音で、防塵対策が出来る油圧ショベル70の付属装置である。このハツリ装置の構成では、付属装置のローラーを回す動力に油圧を使用し、その油圧を発生させる油圧ポンプは、油圧ショベル70の各部を動かすポンプと併用しなくてはならない。そのため、ローラーにビットを設けてハツリ処理をするためには、最低でも本体重量が3.5t程度の油圧ショベル70が必要となる。この本体重量が3.5tの油圧ショベル70を使用した場合のハツリ処理の能力は、1秒間に3mmくらいハツリ処理できる面積は、100mm×300mmである。
【0087】
この構成のハツリ装置は、ローラーを回転させてコンクリート面700を打撃しながら、油圧ショベル70を移動させる。油圧ショベル70が移動中、ローラーに設けられたビットがコンクリート面700に回転しながら斜めに当たり、油圧ショベル70の付属装置は激しく揺れることになる。この振動のため、油圧ショベル70のアーム71や油圧シリンダー72の耐久性は低下することになる。また、油圧ショベル70が全長で4m程度あるため、細かい部分のハツリ処理は困難である。
【0088】
この発明の実施の形態4であるハツリ装置400の構成にすることにより、本体重量が1t程度の油圧ショベル70に、ハツリ装置100を5台組み合わせれば、1秒間に3mmくらいハツリ処理できる面積は140mm×230mmである。
【0089】
通常、油圧ショベル70に付ける付属装置は、本体が油圧であるため、付属装置も油圧で作動するようにしてある。そのため、アタッチメント60に複数のハツリ工具10を組み合わせ、その動力を油圧にした場合には、油圧ショベル70の油圧ポンプの吐出能力が非常に高くないといけない。しかし、ハツリ装置400はアタッチメントの動力を油圧にこだわらず、圧縮空気を使用することで、本体重量1t未満で、機体の全幅が900mm未満の超小型油圧ショベルに、重量が10kg程度のハツリ装置100を7台、組み合わせたアタッチメント60が使用出来る。
【0090】
このハツリ工具10の使用空気量は、1台当たり約0.6m3/minである。このハツリ工具10を7台組み合わせるのであれば、1.5t積載の車両に乗せることが出来る37KWの小型の空気圧縮機(図示せず)と使用することにより、7台のハツリ工具10が作動できる。そのため、ハツリ処理する建物の入り口の開口幅が900mmあれば、ハツリ装置400が使用できるため、使用可能な作業現場は非常に多い。ハツリ工具10の動力を油圧とした場合、ハツリ工具10を7台作動させるためには、本体重量が6t程度の油圧ショベル70を用意しなくてはならない。こうした大きさの油圧ショベル70は全幅が2000mm程度あり、狭い作業現場には入ることが出来ず、油圧ショベル70の重量の問題もあるため、使用できる作業場所は限られてくる。また、ハツリ装置400でハツリ処理が出来ない壁際等は、作業者がハツリ装置400内からハツリ装置100を1台取り出してハツリ処理をすることで、細かい部分のハツリ処理も可能である。
【0091】
今まで、油圧ショベル70に取り付けが出来る付属装置において、コンクリート面700を打撃して破砕するものは、油圧ブレーカー(図示せず)のように、1つのチゼル4でコンクリート面700を強く打撃し、コンクリートの厚み分が全て破砕されるものが多かった。このハツリ装置であれば、強い打撃でコンクリート等を破砕するため、構造物の傷めてはならない部分まで壊してしまう可能性が高い。つまり、コンクリートの厚みが150mmである場合に、30mmだけハツリ処理が出来るものは、ほとんど存在しなかった。ハツリ装置400は、コンクリート面700の表面のみをハツリ処理する場合に使用可能である。また、従来の油圧ブレーカー等のチゼル4の付いたハツリ工具10を、第五の弾性部材62を設けたハツリ装置400の構成で油圧ショベル70に取り付けることにより、油圧ショベル70の耐久性を向上させることが出来る。
【0092】
この発明の実施の形態4に示すハツリ装置400は、油圧ショベル70にハツリ装置100をアタッチメント60として設置し、アタッチメント60に第五のバネ62を配す構成とすることにより、通常のハツリ処理に対して、ハツリ処理の能力が高く、作業者の疲労を低減し、様々な作業場所に対応が出来て、油圧ショベル70の耐久性を損なわず、ハツリ処理時の騒音と埃を低減するという効果を有する
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すハツリ装置の縦断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1における、ハツリ処理中のハツリ装置の縦断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1において、ハツリ装置を移動させる時のハツリ装置の縦断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態2を示すハツリ装置一部を破断した正面図である。
【図5】 図4のM−M断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態3を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図である。
【図7】 図6のN−N断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理中の状態を示す。
【図9】 この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理完了の状態を示す。
【図10】 この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ装置がコンクリート面に傾斜されて設置された状態を示す。
【図11】 従来の油圧ショベルに装着されたハツリ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
100 ハツリ装置、200 ハツリ装置
300 ハツリ装置、400 ハツリ装置
10 ハツリ工具、1 工具ボディ、4 チゼル、5 打撃ピストン
6 動力導入管、21 ケーシング、22 第一の弾性部材、23 第二の弾性部材
30 ハンドル、33 第三の弾性部材、34 第四の弾性部材
40 作業室、41 撒水器、50 台車、51 移動床
60 昇降装置、61 筺体、62 第五の弾性部材、70 油圧ショベル
【技術分野】
【0001】
この発明はエアーハンマ等のハツリ装置において、自動的にハツリ処理が出来るハツリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハツリ装置としては、ハツリ工具本体内に打撃ピストンが配され、その打撃ピシトンの往復運動にてチゼル等を打撃し、また打撃ピストンの後面にバネを設け、打撃ピストンの後退時に運動エネルギーを蓄積し、その蓄積エネルギーにより打撃ピストンをチゼルに向けての前進加速する事を特徴としたものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、コンクリート面を打撃するスキャブラと、そのスキャブラを移動する移動手段を備えたハツリ装置がある。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
また、筒状のケーシング内にチゼルを配し、そのケーシング内を加圧することでチゼルに静加重を掛けて破砕物に圧着させ、チゼルの上部に備えたハンマにてチゼルを高速打撃し、破砕物を静過重に加えて、高速打撃による荷重を掛けるハツリ装置がある。(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開2000−71117号
【特許文献2】特開2003−147722号
【特許文献3】特開2005−246511号
【発明の開示】
【発明が解決しようとしている課題】
【0005】
特許文献1のハツリ装置においては、ハツリ工具内の打撃ピストンの後面にバネを配置ことにより、作業者がハツリ工具を手で押す力に加え、バネの反発力を利用し、打撃ピストンのエネルギーを効率よくチゼルに伝えている。この装置は、人が強い力でコンクリート等に押し当てることを前提としている構造であるため、作業者に過酷な作業を強いるという問題点があった。
【0006】
特許文献2のハツリ装置においては、複数のビットをスキャブラに配し、駆動力を利用してスキャブラを移動させることで、効率良くハツリ処理を行うことが出来る。この装置は、スキャブラ・移動シリンダー・可逆モーター・架台・各支持部から構成される装置であるため、総重量が重く、部品点数が多いために設置に時間が掛かるという問題点があった。また、コンクリートの表面が平坦でない場合は設置が困難で、制御装置の指示によりスキャブラを移動させるため、現場に応じたプログラムを製作しなくてはならず、様々な作業現場への対応が困難であるという問題点があった。
【0007】
特許文献3のハツリ装置においては、チゼルの周囲にケーシングを設け、ケーシング内に圧力を掛けることで、チゼルに静荷重を掛け、破砕物に圧接させ、チゼル上部のハンマによりチゼルを高速打撃し、前記静荷重と高速打撃による荷重でハツリ処理をする。また、ケーシング内にバネを配設ことにより、チゼルをケーシング内に収容させる構成となっている。この装置は基本的に油圧が必要で、バックホー等の建設機械に取り付けをすることが前提の装置である。そのため、装置自体が大型で、重量が重く、建設機械の入れない狭い場所での使用が困難であり、大きな騒音と埃を発生させるという問題点があった。
【0008】
この発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、過酷なハツリ作業から作業者を開放し、軽量で、設置が簡便であり、尚且つ、通常のハツリ作業より効率が良く、ハツリ作業時の騒音と埃を低減したハツリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のハツリ装置は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、工具ボディと、打撃ピストンと、動力導入管とを備えた、チゼル等を往復運動または振動させることにより構造物を破砕するハツリ工具において、上記工具ボディの外周部に摺動自在に装着されたケーシングと、このケーシング内で上記工具ボディを上記チゼルの先端方向に付勢する第一の弾性部材と、上記ケーシング内で上記工具ボディの周囲に設けられ、上記工具ボディを上記チゼルの先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材を設けたハツリ補助装置を備えたものである。
【0010】
また、上記ケーシングに上記動力導入管の導入孔を設け、この導入孔は上記チゼルの先端と反対方向としたものである。
【0011】
また、上記ハツリ装置を複数取り付けたものである。
【0012】
また、上記ハツリ装置の周囲に、防音部材が巻かれたものである
【0013】
また、上記ケーシングと、上記ハツリ工具と、破砕する構造物と、上記防音部材との間に形成される作業室に、撒水する装置を取り付けたものである。
【0014】
また、上記作業室内の粉塵を、集塵する装置を取り付けたものである。
【0015】
また、上記ハツリ装置にハンドルを取り付け、このハンドルのシャフトにハンドルへの振動を減少させる第三、第四の弾性部材を設けたものである。
【0016】
また、上記ハツリ装置を台車等に設置したものである。
【0017】
また、上記台車を動力等で移動させるものである。
【0018】
また、上記台車に設置された上記ハツリ装置を、動力で昇降させる手段を備えたものである。
【0019】
また、上記ハツリ装置を、油圧ショベル等に装着したものである。
【0020】
また、上記ハツリ装置と油圧ショベルの接合部分に、第五の弾性部材を取り付けたものある。
【発明の効果】
【0021】
この発明のハツリ装置は上述の構成により、作業者を過酷なハツリ作業から解放し、ハツリ装置の部品点数が少なく小型であるため、軽量で、設置が簡便であり、騒音や埃も大幅に低減させることが可能である。
【発明の実施するための最良の形態】
【0022】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態を示すハツリ装置の縦断面図である。図2はハツリ処理中のハツリ装置の縦断面図である。図3はハツリ装置を移動させる時のハツリ装置の縦断面図である。この実施の形態においては、ハツリ工具の動力は圧縮空気とした。
【0023】
図において、100は外周が円形のハツリ装置である。軸心はTである。700はハツリ処理をする構造物すなわちコンクリート面である。10はハツリ工具(この工具の形状、動力の種類は限定されない)であり、工具ボディ1と、この工具ボディの上端に螺着された外周が円形であるハツリ工具上蓋2と、ハツリ工具上蓋外壁2aと、工具ボディ1の下端に螺着されたチゼルホルダ3と、コンクリート面700を破砕するチゼル4と、チゼル4を打撃する打撃ピストン5と、ハツリ工具1の内部へ空気圧縮機(図示せず)から圧縮空気を導入する動力導入管6と、打撃ピストン5を作動させるために圧縮空気の流れを調整する複数のバルブ穴7aを有するバルブ7と、動力導入管6をハツリ工具上蓋2に接続するニップル8で構成されている。また工具ボディ1には圧縮空気が打撃ピストン5に仕事をさせるためのシリンダー室1aと、仕事をした後の高圧排気を排出するための少なくともひとつ以上の排気孔1bと、外周が円形の工具ボディ外壁1cが設けられている。
【0024】
20はハツリ補助装置であり、図1に示すように、ハツリ工具10を挿着されたケーシング21と,工具ボディ1とケーシング21の空隙21aと、ハツリ工具10の排気孔1bからの排気を大気に放出する複数の空気放出孔21bと、ケーシング21に挿入した工具ボディ1が貫通し、ケーシング21の軸心方向にハツリ工具10が往復移動する補助をするケーシング貫通孔21cと、ケーシング内壁21dと、このケーシング21の内部にあって、動力導入管6の周囲に設けられ、工具ボディ1をチゼル4の先端方向に付勢する第一の弾性部材すなわち第一のバネ22と、ケーシング21の内部にあって、工具ボディ1の周囲に設けられ、工具ボディ1をチゼル4の先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材すなわち第二のバネ23と、ケーシング上蓋24と、ケーシング21内に動力導入管6を引き込む導入孔24aと、固定ネジ25によって構成されている。
【0025】
上述のように構成されたハツリ装置100において、ハツリ工具10とハツリ補助装置20の動作を図1〜図3に基づき説明する。図1〜3はハツリ装置100を縦方向に使用し、コンクリート面700をハツリ処理する場合の図である。図1における矢印は、ハツリ工具10の動力である圧縮空気の流れを示す。空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気(矢印ア)は、動力導入管6からはハツリ工具10内に導入し(矢印イ)、バルブ7に設けられた複数のバルブ穴7aを通過し、ハツリ工具10内のシリンダー室1aに流入する(矢印ウ)。この圧縮空気(矢印ウ)は打撃ピストン5を往復運動させることにより、チゼルホルダ3に支持されたチゼル4を打撃し、チゼル4を往復運動させることによって、コンクリート面700をハツリ処理する。ハツリ工具10内で仕事を終えた圧縮空気は工具ボディ1に設けられた排気孔1bから空隙21aに排気される。空隙21aに排気された圧縮空気は、ケーシング21に設けられた空気放出孔21bから大気に放出される(矢印エ)。
【0026】
ハツリ装置100を組み立てる手順は、ケーシング21に第二のバネ23、ハツリ工具10、第一のバネ22の順で挿入する。このときに、ケーシング貫通孔21cに工具ボディ1が貫通するように設置する。次に、ケーシング21の上部にケーシング上蓋24を被せ、上蓋固定ネジ25で組み付ける。このとき、ケーシング上蓋24に設けられた導入孔24aにハツリ工具10の動力導入管6を貫通させる。ケーシング21から突き出た工具ボディ1の下方にチゼル4を挿入し、チゼルホルダ3にて工具ボディ1に装着する。動力導入管6を空気圧縮機(図示せず)に接続する。以上で、ハツリ装置100の組み立ては完了である。
【0027】
実施の形態1においては、ケーシング上蓋24を固定ネジ25でケーシングに固定させたが、ケーシング上蓋24の固定方法は固定ネジ25に限らず、どのような方法で固定しても良い。
【0028】
図において、ハツリ工具上蓋2の外周部は、工具ボディ1の外周部より大きい。そのため、ハツリ工具上蓋2によって、第一のバネ22と第二のバネ23は、上下に隔てられることになる。第一のバネ22と第二のバネ23を上下に隔てる手段は、ハツリ工具上蓋2でなくても良い。例えば、ハツリ工具上蓋2の上部に円盤状の板を設け、その板の上部に第一のバネ22を設置し、工具ボディ1の外周面に突起物を設け、その下部に第二のバネ23を配しても、ハツリ装置100の効果は同じである。
【0029】
図ではケーシング上蓋24を上部にしているが、下方にケーシング21の蓋をつけても効果は同じである。ハツリ工具10が故障したときに、簡単にハツリ装置100から取外しが出来るように、脱着可能なケーシング上蓋24としている。ただし、第一のバネ22と第二のバネ23とハツリ工具10をケーシング21に挿入後、ケーシング上蓋24を溶接等で固着させ、ケーシング21と一体化させても効果は同じである。また、ハツリ処理により消耗するチゼル4を、ハツリ補助装置20の外部に設けており、チゼルホルダ3を外すだけでチゼル4の交換が出来るため、日常の消耗品の交換が非常に簡単である。
【0030】
ハツリ処理時のハツリ装置100内の各部の動作は図2のとおりである。コンクリート面700にハツリ装置100を置くと、ケーシング内21の第一のバネ22は、ケーシング21の重量によって、まず圧縮され、ハツリ工具10をチゼル4の先端方向(矢印B)に付勢し、チゼル4をコンクリート面700に押し付ける。空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気を、動力導入管6からハツリ工具10に入れて、ハツリ工具10を作動させるにより、チゼル4は打撃ピストン5の往復運動によって打撃され、コンクリート面700を破砕する。チゼル4にてコンクリート面700を破砕した衝撃は、ハツリ工具10を上部に押し上げるエネルギーとなる(矢印A)。ケーシング21内のハツリ工具上蓋2aは、ケーシング内壁21dに沿いながら第一のバネ22を圧縮していき、矢印A方向に移動する。第一のバネ22はハツリ工具10の上昇のエネルギーを蓄え、そのエネルギーとケーシング21の重量も加算したエネルギーでハツリ工具10をチゼル4の先端方向(矢印B)へと加速させる。ハツリ工具10内では、圧縮空気により打撃ピストン5がチゼル4を下方(矢印B)へと押し出しているため、その相乗効果でコンクリート面700は効率良く破砕されていく。
【0031】
ハツリ工具上蓋外壁2aとケーシング内壁21dの位置関係、また、工具ボディ外壁1cとケーシング貫通孔21cの位置関係は、共に距離が近いほど、ハツリ処理の効率が良い。チゼル4がコンクリート面700を破砕するときにハツリ工具10に大きな衝撃を与える。このときにハツリ工具10には、チゼルの打撃の反動により、上に押し上げられる力(矢印A)と、破砕されたコンクリート面700の壊れ方により、ハツリ工具10を横方向に動かす力も加わる。ハツリ工具上蓋外壁2aとケーシング内壁21dの距離、また、工具ボディ外壁1cとケーシング貫通孔21cの距離が近いことにより、ハツリ工具10の横揺れはほとんど発生せず、ハツリ装置100の軸心Tが定まる。更に、ハツリ工具10がケーシング21内で軸心T方向に往復運動する補助になり、チゼル4が効率良くコンクリート面700を打撃するため、ハツリ処理の効率も良くなる。逆にハツリ工具10とケーシング21の距離が広い場合、チゼル4がコンクリート面700を破砕する衝撃により、ハツリ工具10が横揺れして、ハツリ工具10とケーシング21が衝突し、ハツリ工具10を壊すことにも繋がる。また、ハツリ装置100の軸心Tが定まらないため、ハツリ処理の効率も悪い。実施の形態1.おいてはハツリ工具上蓋外壁2aの直径は75mm、ケーシング内壁21dの直径は75.8mm、工具ボディ外壁1cの直径は50mm、ケーシング貫通孔21cの直径は50.8mmとした。
【0032】
ケーシング21内でハツリ工具10が軸心T方向に往復運動するため、動力導入管6は軸心Tに平行であり、工具ボディ1に取り付けられたチゼル4の先端の反対方向にあることが望ましい。すなわち、ケーシング上蓋24の中心付近に動力導入管6の導入孔24aを設けるということになる。これはチゼル4がコンクリートを破砕した後の反発力が矢印A方向に働くため、その反発力による負担でニップル8や動力導入管6が破損する可能性を減らすためである。軸心Tに対して垂直に近く、ケーシング内壁21dに導入孔24aを設けても、ハツリ装置100は作動するが、ハツリ工具10の移動が軸心T方向であるため、ニップル8や動力導入管6の破損する確率が大幅に上がることになる。実施の形態1.では、動力導入管6とニップル8を別の素材としたが、同じ素材で一体化しても、効果は同じである。
【0033】
ハツリ処理の際、通常は作業者がハツリ工具10を手に持ち、破砕するコンクリート面700に押し付けて作業する。その際の押し付ける力は、圧力計により10人の作業者から計測した平均値は5.1kgであった。そのため、ケーシング21の重量は5kgとした。また、チゼル4の移動距離が最大で20mmであり、通常ハツリ処理の際に作業者がハツリ工具10を手で押さえた場合の肘の移動距離が4〜10mmであったため、ハツリ工具10の作動中のケーシング21内の移動距離は7mmとなるように第一のバネ22のバネ定数を決定した。
【0034】
ハツリ処理をしていくと、チゼル4がコンクリート面700を破砕していくため、ハツリ工具10の位置は破砕した高さ分だけ、下がっていかなくてはならない。このとき、ケーシング21の重量が5kgであり、作業者が手でハツリ工具10を押さえる力と同様である。そのため、作業者はケーシング21を支えておくだけで、ハツリ工具10はケーシング21の重量と第一のバネ22の反発力によりコンクリート面700に押し付けられ、自動的にハツリ処理が可能となる。
【0035】
ハツリ工具10からの排気は、排気孔1bから排気されるが、直接大気に排出されず、空隙21aに一旦入ってから、空気放出孔21bから大気に放出させる。この構造とすることで、排気に伴った大きな騒音は、狭い通路(排気孔1b)から大きな部屋(空隙21a)に入ることによる音の膨張効果と、広い部屋(空隙21a)から狭く複数の通路(空気排出孔21b)に入る音の縮小効果と分散効果により消音される。これは実施の形態1.のハツリ工具10の動力が圧縮空気であるときの効果である。ハツリ工具10の動力が油圧、または電力である場合には、ケーシング21に空気放出孔21bはなくても良い。
【0036】
ハツリ処理後、次のハツリ箇所へ移動させるとき、ハツリ装置100内の各部の動作は図3のとおりである。作業者はハツリ処理終了後、次のハツリ箇所にチゼル4を移動させる。そのためにケーシング21を上部(矢印C)に持ち上げると、内部のハツリ工具10は自重で下方(矢印D)に落ちていく。ハツリ工具10と第一のバネ22の重量により、第二のバネ23は圧縮され、ハツリ工具10の自然落下を防ぐ。これにより、作業者がハツリ装置100を移動させることを容易にしている。第二のバネ23を配さない場合、作業者がケーシング21を持ち上げるとハツリ工具10がケーシング21の下部に落下する。そのため、作業者はハツリ工具10のケーシング21内での落下分、つまり第二のバネ23の長さ分を加えた分を持ち上げなくてはならない。また、第二のバネを配すことにより、ハツリ工具上蓋2とケーシング21の下部が直接に接触することを防ぎ、ハツリ工具10の耐久性を向上させる。
【0037】
この発明の実施の形態1.に示すハツリ装置100は、ハツリ工具10とハツリ補助装置20にて構成されているので、ケーシング21内のハツリ工具10が作動し、ハツリ工具10内の打撃ピストン5によりチゼル4が構造物に強く衝突してコンクリート面700を破砕し、その反動でハツリ工具10は上部に浮き上がる。その際に第一の弾性部材22が縮むことにより、衝撃を吸収しながら運動エネルギーを蓄え、その蓄積エネルギーとケーシング21の重量が加算されたエネルギーによりハツリ工具10はチゼル4の先端方向に付勢され、ハツリ処理を行っていく。ハツリ処理した分だけ、ハツリ装置100は自重により自動的に下がっていくこととなる。そのため、作業者はハツリ装置100を保持するだけでハツリ処理が可能となる。ハツリ処理後にケーシング21を持ち上げ、次の破砕するコンクリート面700に移動させる際に、工具ボディ2の周囲に設けられた第二の弾性部材23により、ハツリ工具10がケーシング21と直接当たり破損することを防ぐとともに、ハツリ工具10が重力により落下する移動距離を減らし、作業者がハツリ装置100を移動させること容易にする。そのため、作業者が強い力でハツリ工具10を押し付ける必要がなく、軽量で、設置が簡便で、ハツリ処理による騒音を低減しているという効果を有する。
【0038】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2を示すハツリ装置の一部を破断した正面図である。図5は図4のM−M断面図である。
【0039】
図において、200は手2持ち式ハツリ装置であり、30はハンドル、31はシャフト、32はシャフトガイド、33は第三の弾性部材すなわち第三のバネ、33aは第三のバネ止具、34は第四の弾性部材すなわち第四のバネ、34aは第四のバネ止具、35は動力分岐器、35aは動力接続具、36は動力弁、37は動力ホース、38はケーシング接続具、39は防音部材、40は作業室、41は撒水器、41aは撒水ホース、T1〜T3はハツリ装置100のそれぞれの軸心、T200はハツリ装置200全体の軸心である。なお、実施の形態1で説明した符号は、説明を省略する。
【0040】
上述のように構成されたハツリ装置において、ハツリ装置の動作を図4、図5に基づき説明する。図4、図5において200は実施の形態2.のハツリ装置であり、実施の形態1.のハツリ装置100が複数組み合わされ、その集合体にシャフトガイド32が接合され、そのシャフトガイド32の内部をシャフト31が貫通し、シャフト31にはハンドル32が接合されている。シャフト31には第三の弾性部材すなわち第三のバネ33と、第四の弾性部材すなわち第四のバネ34が設置され、それぞれのバネに第三のバネ止具33aと第四のバネ止具が設けられている。複数のケーシング21はケーシング接続具38により接合されている。集合したケーシング21の周囲には防音部材39が巻かれており、チゼル4の先端まで延びている。ケーシング21とハツリ工具10とコンクリート面700と防音部材39によって形成された作業室40には、撒水器41からの水を運搬する撒水ホース41aが設けてある。
【0041】
図4、図5を参照して、ハツリ装置200の動作を説明する。空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気は、動力ホース37を通り、動力弁36に伝わる。動力弁36を開くと、圧縮空気は動力分岐器35に流入し、動力分岐器35に複数設置された動力接合具35aを通り、動力導入管6を通った後、ハツリ工具10を動作させ、ハツリ処理をする。このときのハツリ補助装置20とハツリ工具10の動作は実施の形態1.の通りである。チゼル4がコンクリート面700を破砕し、その破砕の衝撃でケーシング21を振動させる。このケーシング21の振動を、シャフト31に設置された第三のバネ33と第四のバネ34により吸収し、ハンドル30への振動を低減する。
【0042】
第三のバネ33はシャフトガイド32と、シャフト31に固定された第三のバネ止具33aに挟まれ、第四のバネ34はシャフトガイド32と、シャフト31に固定された第四のバネ止具34aに挟まれている。この第三のバネ止具33aと第四のバネ止具34aの位置を縮め、第三のバネ33と第四のバネ34をあらかじめ縮めておくことにより、シャフト31がケーシング21の振動により上下に移動しても、第三のバネ33と第四のバネ34が遊ぶことはなく、常に安定してケーシング21の振動を吸収することが出来る。
【0043】
ハツリ装置200において、複数のハツリ装置100は実施の形態1の段落番号0033の説明の通り、チゼル4がコンクリート面700を破砕し、ハツリ補助装置20によってハツリ工具10をコンクリート面700に押し付け、自動的にハツリ処理をしていく。ハツリ処理の効率を更に上げるには、作業者がハンドル30をチゼル4の方向に押さえれば良い。この場合、第三のバネ33が圧縮し、シャフトガイド32を押すことにより、ケーシング21を押さえる力が働く。このとき、ケーシング21内で仕事をしているハツリ工具10の振動は、第一のバネ22がまず吸収し、更に第三のバネ33が吸収してからハンドル30に伝わる。そのため、作業者は通常のハツリ処理と比較して、格段に少ない振動しか手に伝わってこない。また、押さえ付けなくても、ケーシング21の重量を増やす、またはケーシング21に重りを追加するなどの措置で、簡単にハツリ処理の効率を上げることが出来る。
【0044】
通常、ハツリ処理を作業員が行う場合、一人が1つのハツリ工具10を持って作業する。ハツリ装置200は、3つのハツリ装置100を組み合わせることにより、一人の作業者が3つのハツリ工具10を使うことが可能となる。また、図5の通り、それぞれのハツリ装置100の軸心であるT1、T2、T3を中心にして、コンクリート面700はハツリ処理されていく。3つの軸心の中心であるハツリ工具200の軸心T200付近は、3本のチゼル4がコンクリート面700を破砕する振動が共振しあうため、チゼル4が直接打撃しなくても破砕される。そのため、通常のハツリ処理と比較し、大幅に効率が上がる。
【0045】
上述のコンクリート面700を共振させてハツリ処理を行うには、ハツリ工具10の打撃能力に応じて、軸心T1〜T3の距離を調整する。実施の形態2.においては、ハツリ装置100の軸心T1〜T3のそれぞれの距離は87mmとした。
【0046】
よりハツリ処理の効率を上げるには、軸心T1〜T3付近にあるチゼル4の先端を、ハツリ工具200の軸心T200に近付ける。ただし、この傾斜させる角度は、ハツリ工具200の軸心T200と、ハツリ装置100の軸心T1、T2、T3のそれぞれとが成す角度を0.1〜2度付ける。この角度を付け過ぎると、ハツリ処理後、チゼル4が降下していく際にチゼル4は近付いていくが、ケーシング21は近付けないため抵抗が増えて、ある程度の深さから大幅にハツリ処理の効率が悪化する。そのため、深くハツリ処理をすることが困難となる。実施の形態2.においては、それぞれのハツリ装置100の軸心Tの距離を85mmとし、ハツリ工具200の軸心T200とハツリ工具100の軸心T1〜T3の成す角度は0.1度とした。
【0047】
次に図4、図5を参照してハツリ装置200の防音、防塵能力の高さとハツリ処理の効率を説明する。ケーシング21の周囲に防音部材39を巻き付け、コンクリート面700まで伸ばす。防音部材39は、例えば建設機械の防音カバーに使用されるようなもので、柔軟性があり、耐候性、耐久性、遮音性、制震性に優れた合成ゴムや塩ビ等の樹脂製のシートが望ましい。これにより、ハツリ工具10からの騒音を伴った排気は、ケーシング21に設けられた空気放出孔21bより大気に放出されるが、空気放出孔21bの外側に設置された防音部材39に当たり、消音されることとなる。また、ケーシング21の周囲に巻き付けることにより、ケーシング21内で往復運動しているハツリ工具10の作動音や、ケーシング21とハツリ工具10の接触音を消音することが出来る。更に、ハツリ処理するコンクリート面700が防音部材39で囲われているため、チゼル4がコンクリート面700を破砕する時の衝撃音も消音が出来る。こうした消音の相乗効果により、通常のハツリ処理と比べて、大幅に騒音を低減できる。
【0048】
従来のハツリ処理時の防塵方法としては、ハツリ処理の作業場所を、足場材を使って囲み、その足場材に防音部材を取り付けて、その中で、作業員がハツリ処理をする。この場合、防音部材は基本的に光を遮ってしまうため、作業場所が暗くなる。作業場所を明るくするため、投光器などを使うが、投光器の熱で作業場所が熱くなる。また、ハツリ処理に伴って発生する埃が舞って、作業環境は非常に劣悪である。防音部材で囲んだ作業場所内の埃を逃がすため、集塵機や送風機を使うのだが、通常の現場では、電力の要領の問題があるため、工場で使用するような大型の機械は使用できない。そのため、作業環境は改善しにくい。
【0049】
通常のハツリ処理のサイクルは、作業者がハツリ工具10のチゼル4をコンクリート面700に押し付け、指でハツリ工具10の作動スイッチ(図示せず)を押し、動力をハツリ工具10に入れて作動させ、ハツリ処理後、手でハツリ工具10を持ち上げ、次のハツリ箇所にチゼル4を移動させる、ということの繰り返しである。ハツリ処理後、ハツリ工具10を持ち上げ、次のハツリ箇所に移動させ、作動スイッチを押すまでの時間は、ハツリ工具10は作動していないため、コンクリート面700は全くハツリ処理が出来ない。
【0050】
ハツリ装置200は図4に示すように、3台のハツリ工具10を作動させるには、動力弁36を開くだけである。動力弁36を開くと空気圧縮機からの圧縮空気によって、3台のハツリ工具10が常に作動している。複数のハツリ装置100は実施の形態1で述べたように、自動的にハツリ処理をしていく。作業者は同じ箇所で数秒間、ハツリ処理をすると、次のハツリ箇所にハツリ装置200を移動させる。このとき、ハンドル30を少しだけ持ち上げ、チゼル4をコンクリート面700から僅かに浮かせて、ハツリ装置200を移動する。すると、ハツリ装置200の移動中も常にハツリ工具10は作動しているため、チゼル4が次のハツリ処理をするコンクリート面700に接触した瞬間からハツリ処理を開始するため、通常のハツリ処理に比べて、ハツリ処理をする時間が長くなる。そのため、通常のハツリ処理と比較し、ハツリ処理をしている時間が長いことに加え、更にチゼル4の本数が3本であるため、この相乗効果により、ハツリ装置200のハツリ処理の効率は大幅に上がる。
【0051】
チゼル4がハツリ処理するコンクリート面700の周囲を防音部材39で囲っているため、チゼル4がコンクリート面700を破砕する際に飛散する破片を、防音部材39で囲まれたケーシング21とハツリ工具10と破砕するコンクリート面700を含む作業室40に抑えることが出来る。また、ハツリ処理時に発生する埃も、作業室40内から外部に直接放出されないため、ハツリ処理時の埃も抑えている。
【0052】
更にハツリ処理時の埃を押さえるには、作業室40内に撒水器41にて水を噴霧すれば良い。作業室40内に水を掛けることにより、ハツリ処理時の埃を抑えることに加え、チゼル4の耐久性を向上させることが出来る。チゼル4はコンクリート面700を打撃し、そのエネルギーによりチゼル4の先端が高温となる。チゼル4の材質は金属であり、金属は高温になると柔らかくなる特性がある。埃と押さえるための水がチゼル4に掛かり、また、作業室40の温度をさせることにより、チゼル4の温度を下げ、このことによりチゼル4の耐久性は挙がる。
【0053】
他の防塵方法では、撒水器41をではなく、集塵機(図示せず)を作業室40に設置しても良い。実施の携帯2.においてハツリ装置200はハツリ装置100を3つ組み合わせた行動としているので、作業室40の容積は180mm×180mm×180mmに収まる大きさなので、動力が交流100Vの小型の集塵機を使用しても、充分にハツリ処理時に発生する埃を抑えることが可能である。
【0054】
今までも、ハツリ工具10やチゼル4の周囲を防音部材39や、その他の部材で囲み、ハツリ処理の埃を抑えるという方法はあった。(例えば、特開平7−164352号公報参照)
【0055】
このような方法では、チゼル4の先端が見えなくなるため、ハツリ処理がどのくらい完了しているのかわからない。また、通常のハツリ処理は作業者1人がハツリ工具10を1つ使用する。作業者はハツリ処理完了すると、次のハツリ処理をするコンクリート面700に移動させる。このとき、ハツリ処理が完了しているコンクリート面700のすぐ近くである、次のハツリ処理をするコンクリート面700に、1本のチゼル4の先端を確実に移動させなくてはならない。しかし、防音部材39のために、ハツリ処理をするコンクリート面700やチゼル4の先端が見えないため、次のハツリ処理をする場所にチゼル4を確実に移動させることが困難である。その結果、ハツリ処理の効率は大幅に低下する。更に、作業者は足元のチゼル4の先端が見えないため、チゼル4で足を突く危険性が上がる。尚且つ、ハツリ処理の効率が著しく低下するため、作業者は多大なストレスを抱えながら作業しなくてはならない。
【0056】
ハツリ装置200は、チゼル4が3本設けてあるため、チゼル4の先端が見えなくても同時にハツリ処理する面積が、通常のチゼル4が1本でハツリ処理する場合に比べ、大幅に広い。そのため、ハツリ処理完了後、次のハツリ箇所にチゼル4の先端を正確に移動しなくても、ハツリ処理が完了している箇所に、3本のチゼル4のうち1本でも重なっていれば、ハツリ処理の残しがなく、確実にハツリ処理が出来る。
【0057】
次に図4、図5を参照しながら、ハツリ装置200の作業場所に対する適応能力の高さを説明する。ハツリ装置200は手持ち式ハツリ装置であるため、作業者が自分の力で自由に持ち運び出来なければならない。実施の形態2においてハツリ工具10の重量が4.8kg、ケーシング21の重量が5kg、ハンドル30とシャフト31とシャフトガイド32の重量が2.5kg、各バネの重量が0.7kg、動力導入管6と動力分岐器35と動力接続具35aの重量が1kgで、ハツリ装置200の総重量は33.6kgである。ハツリ装置200の重量は、ハツリ工具10の種類、ケーシング21の材質や、ケーシング21の素材の厚さ等で変わってくるが、作業者の能力や作業場所に合わせて調整すれば良い。
【0058】
ハツリ装置200はハツリ工具10の種類を変更することにより、様々な作業場所に対応することができる。荒めにハツリ処理をする場合にはハツリ工具10を打撃能力の高いものにする。打撃能力が高いということはチゼル4からの衝撃力も大きくなるため、ケーシング21の重量が重くなり、第一のバネ22のバネ定数もそれに応じて高くする。この場合、ハツリ装置200の総重量は重くなるため、ハツリ装置100の数量は減らしたほうが、作業が容易になる。細かくハツリ処理をするのであれば、ハツリ工具10の打撃能力は低いものとして、ケーシング21の重量は軽く、第一のバネ22のバネ定数は低くする。この場合は、ハツリ装置200の総重量は軽くなるので、ハツリ装置100の数量は増やすことが出来る。そのため、一度に広い面積をハツリ処理が出来る事となる。このように、ハツリ工具10の重量や打撃能力に応じて、ハツリ装置200に組み合わせるハツリ装置100の数量を変更することで、様々なハツリ処理や作業現場に対応が可能となる。
【0059】
ハツリ装置200を使用して壁や天井をハツリ処理する場合には、ウインチ等の昇降設備をハツリ装置200に取り付けて作業すれば、ハツリ処理の効率は良くなる。
【0060】
この発明の実施の形態2に示すハツリ装置は、ハツリ装置100を組み合わせ、ハンドル30を設け、第三のバネ33と第四のバネ34を配し、ケーシング21の周囲を防音部材39で囲む構成とすることにより、通常のハツリ処理に対して、ハツリ処理の能力が非常に高く、ハンドル30に振動を伝えにくいため作業者の疲労を低減し、ハツリ処理時の騒音と埃を低減するという効果を有する。
【0061】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図である。図7は図6のN−N断面図である。
【0062】
図において、300は台車搭載式ハツリ装置である。50は台車、51は台車外壁、52はケーシング補助筒、52aは補助筒排気孔、53は移動床、54は台車上蓋、55は緩衝材、56はタイヤ、57は軸受、58は昇降装置、58aはワイヤ、58bはワイヤ接続具、59は上蓋固定ネジである。なお、実施の携帯1.および実施の形態2.で説明した符号は、説明を省略する。
【0063】
上述のように構成されたハツリ装置において、ハツリ装置の動作を図6、図7に基づき説明する。図6、図7において300は実施の形態3のハツリ装置であり、複数のハツリ装置100が台車50に設置されている。台車50は、ハツリ装置100を囲む台車外壁51と、ハツリ処理時に往復運動するケーシング21の動きを補助し、台車50内での位置決めをするケーシング補助筒52と、移動が可能でハツリ装置100が複数貫通した移動床53と、台車50内にハツリ装置100を納めた後、動力導入管6が貫通し、台車外壁51の上部に設置された台車上蓋54と、台車上蓋54に接合された昇降装置58と、内部に設置され、チゼル4の先端まで延びている防音部材39と、台車外壁51に接続された軸受57とタイヤ56と、台車上蓋54を固定する上蓋固定ネジ59で構成されている。昇降装置58には移動床を動作させるためのワイヤ58aと、ワイヤ58aを移動床53に固定するためのワイヤ接続具58bが設けられている。
【0064】
ハツリ処理中にハツリ装置300内のハツリ装置100は、ケーシング補助筒52の内壁に沿いながら往復運動をする。これは、チゼル4はコンクリート面700を打撃し、その反動によりハツリ装置100を浮き上がらせる。浮き上がった複数のハツリ装置100は自重で落下する。この繰り返しがケーシング補助筒52内におけるハツリ装置100の動きである。複数のハツリ装置100は、それぞれが単独で自由に動くことが出来る。そのため、ハツリ処理するコンクリート面が平坦でなくても、ハツリ装置100が勝手に高さを調整し、ハツリ処理をすることが可能である。また、ハツリ処理中には、ハツリ装置100の重量が全て台車50の移動床53に掛かることはない。そのため、作業者がハツリ処理をしながら、ハツリ装置300を移動させる力は少なくて済む。
【0065】
ケーシング21とケーシング補助筒21aの距離は、近いほうがハツリ処理の効率が良く、ケーシング21、ケーシング補助筒52の耐久性も高い。ただし、ケーシング21には空気排出孔21bが設けてあるため、ケーシング21とケーシング補助筒52の距離が近いとハツリ工具10からの排気が妨げられ、ハツリ工具10の打撃効率が低下する。ケーシング21に設けられた空気排出孔21bからの排気を妨げないため、ケーシング補助筒52には補助筒排気孔52aが設けられている。
【0066】
ハツリ装置300はハツリ処理をする際に、移動床53の高さを調整することで、ハツリ処理の深さを調整することが出来る。これはハツリ装置100がハツリ処理としていくと、ハツリ処理されコンクリート面700が下がった分だけ、ハツリ装置100の高さが下がっていく。ハツリ装置100が下がっていくと、ケーシング21の高さも下がっていき、移動床53に設置された緩衝材55に接触する。緩衝材55に接触したケーシング21を持つハツリ装置100はその高さより下がることなく待機し、他のハツリ装置100が緩衝材55に接触するまで台車50を移動させなければ、同じ高さにハツリ処理をすることが可能となる。緩衝材55は、例えば、硬質ウレタンやシリコン等の、耐衝撃性、耐摩耗性の高い柔軟性のある素材が良い。緩衝材55は、移動床53でなくケーシング21の下面に設置しても効果は同じである。
【0067】
移動床53の移動は、台車上蓋54に設置された昇降装置58によって行われる。昇降装置58は、例えば、ウインチであり、ワイヤ58aを備え、ワイヤ58aはワイヤ接続具58bにて移動床53に接続される。昇降装置を作動させて、移動床の高さを簡単に調整することが出来る。移動床53の高さを調整することはハツリ処理の高さを調整するだけではなく、ハツリ装置300を作業場所に移動させるときにも有効である。なぜなら、ハツリ装置300において、ハツリ装置100は自重で落下する仕組みになっているため、移動床53の高さが低くハツリ工具10が作動していない場合は、チゼル4をコンクリート面700に引きずることになる。そのため、ハツリ装置300を移動させる場合は、昇降装置58でワイヤ58aを巻き上げ、移動床53を上昇させることにより、ケーシング21を上昇させることにより、チゼル4とコンクリート面700を離してから、ハツリ装置300を移動させることが出来る。昇降装置58はウインチに限らず、移動床53を移動できるのであれば、どんなものでも良い。また、台車50内において、ハツリ装置100を移動させる手段は、床を移動させる方法ではなく、他の方法でハツリ装置100を移動させても、効果は同じである。
【0068】
ハツリ装置300を移動させる手段は、作業者が自らの力で押しても良いが、動力を使うことにより、軸受57を回転させ、タイヤ56を駆動させることで、よりハツリ処理の効率を上げることが出来る。ハツリ装置300の移動動力は、エンジン駆動やモーター駆動が考えられる。動力は、環境に考慮するのであれば、バッテリーによるモーター駆動を採用することが望ましい。モーター駆動とすると、ハツリ装置300の移動中の騒音がないため、ハツリ装置300の発生させる音を増加させない。また、エンジン駆動のように排気ガスを出さないため、狭い場所での作業にも適している。また、ハツリ装置300の移動動力のバッテリーを、昇降装置58の動力にも利用することで、より効率よくハツリ処理をすることが可能となる。ただし、長時間連続でハツリ処理をする場合や、斜めのコンクリート床700をハツリ処理するなど、動力に掛かる負荷が高い作業には、エンジン駆動を採用したほうが良い。
【0069】
ハツリ装置300は、台車50に防音部材39が取り付けられ、チゼル4の先端まで延びているので、実施の形態2で説明したように、防音、防塵能力が高い。また作業室40に撒水装置や集塵装置を取り付けることにより、さらに防塵能力を上げることが出来る。
【0070】
台車50に設けられた、ハツリ装置300を移動させるためのタイヤ56は、外形が円形のタイヤに限定されず、クローラー式や、レールに台車50を設置して移動させる方法をとっても、効果は同じである。
【0071】
この発明の実施の形態3に示すハツリ装置は、台車50に複数のハツリ装置100を設置し、台車50に移動床53を設け、昇降装置58にて移動床53を上下させ、台車50に防音部材39を取り付け、台車50を動力で移動させる構成とすることにより、通常のハツリ処理に対して、ハツリ処理の能力が非常に高く、作業者の疲労を低減し、ハツリ処理の均一化が出来て、ハツリ処理時の騒音を低減し、また、ハツリ処理時の埃も低減するという効果を有する
【0072】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理中の状態を示す。図9は、この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理完了の状態を示す。図10は、この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ装置がコンクリート面に傾斜されて設置された状態を示す。
【0073】
図において、400は油圧ショベル搭載式ハツリ装置である。60は油圧ショベル付属装置すなわちアタッチメント、61は筐体、61aは筐体底面、61bは筐体排気孔、62は第五の弾性部材すなわち第五のバネ、63は摺動補助筒、64は筐体上蓋、65は蓋固定ボルト、66は支持部である。70は油圧ショベルであり、71はアーム、72は油圧シリンダー、73aはシリンダー側固定ピン、73bはアーム側固定ピン、74はシリンダーリンク、75aはシリンダー側リンクピン、75bはアーム側リンクピン、76はアイドラーリンクである。21cはケーシング下端面で、700はハツリ処理をするコンクリート面である。なお、実施の形態1〜3で説明した符号は、説明を省略する。また、油圧ショベル70は各製造元が販売している市販のものであるが、台車に油圧装置を取り付けたものでも構わない。
【0074】
上述のように構成されたハツリ装置において、ハツリ装置の動作を図8〜図10に基づき説明する。ハツリ装置400は、油圧ショベル70と油圧ショベルの付属装置すなわちアタッチメント60である。アタッチメント60は実施の携帯1.のハツリ装置100が複数組み合わされており、油圧ショベル70に接合されている。アタッチメント60は複数のハツリ装置100と、ハツリ装置100を囲む筐体61と、ハツリ装置100の衝撃を低減させ、ハツリ装置100を個別に可動させるための第五のバネ62と、ハツリ装置100の往復運動を補助し、ハツリ装置100と第五のバネ62の筐体61内での位置決めをする摺動補助筒63と、筐体上蓋64と蓋固定ボルト65と、油圧ショベルと接合される支持部66で構成される。支持部66には油圧ショベルと接合するための穴が2つ設けられている。筐体上蓋64には支持部66と摺動補助筒63が固定されている。
【0075】
図8において油圧ショベル70は、油圧ショベル70の仕事をする部分であるアーム71の先端付近を拡大して示している。アーム71の上部にはシリンダー72が設置してある。シリンダー71とシリンダーリンク74とアイドラーリンク76は、シリンダーリンクピン75aで固定されている。シリンダーリンク74と支持部66は、シリンダー側固定ピン73aで固定されている。アーム71と支持部66は、アーム側固定ピン73bで固定されている。つまり、シリンダー72の前後の直線運動を、シリンダーリンク74とアイドラーリンク76を介して、アタッチメント60に円弧の運動へと変換して伝えている。
【0076】
空気圧縮機(図示せず)からの圧縮空気は、動力ホース37から動力分岐器35に流入し、複数設けられた動力接続具35aから動力導入管6に伝わり、ハツリ工具10を作動させる。ハツリ装置100内の動作は実施の携帯1.の通りである。実施の形態4.において、作業者は油圧ショベル70の運転席(図示せず)で、油圧ショベル70を操作する。そのため、ハツリ工具10を作動させる動力弁36は、運転席付近に設ける。ハツリ工具10からの排気は、ケーシング21に設けられた空気放出孔21bから筐体61内に放出され、筐体底面61aに設けられた筐体排気孔61bから作業室40に排気されて、大気に出ることとなる。
【0077】
図8はハツリ装置400がハツリ処理中の状態を示す、一部を破断した縦断正面図である。ハツリ処理時にはアタッチメント60内でハツリ工具10が作動し、チゼル4がコンクリート面700を破砕する。このときハツリ装置100は摺動補助筒63内で往復運動をする。摺動補助筒63は、ハツリ装置100の往復運動の補助だけではなく、第五のバネ62がハツリ装置100と筐体上蓋64との間で位置が変わらないように、第五のバネ62の位置を決める役割も持つ。ハツリ装置100の衝撃を、第五のバネ62が圧縮して吸収する。そのため、支持部66に伝わる衝撃は非常に少なくなるため、油圧ショベル70には、ほとんど振動が伝わらない。圧縮され、エネルギーを蓄積した第五のバネ62は、コンクリート面700の方向へ、ハツリ装置100を押し出す。このときに、ハツリ装置100内で第一のバネ22もハツリ工具10をコンクリート面700方向に押し出すため、この相乗効果でハツリ処理の効率は上がる。この相乗効果を得るには、ハツリ装置100内の第一のバネ22と第五のバネ62のバネ定数の調整が、非常に重要となる。実施の形態4においては、第一のバネ定数は12N/mmで、第五のバネ62のバネ定数は80N/mmとした。
【0078】
アタッチメント60をコンクリート面700に押し付けた場合、チゼル4がハツリ工具10を押し、その力でハツリ装置100を押して、第五のバネ62を圧縮する。圧縮された第五のバネの長さ分、ハツリ装置400はハツリ処理をすることが可能となる。そのハツリ処理の可能な深さは,ケーシング21の下端面21cと、筐体61の底面61aとの距離によって決まる。この距離より、第五のバネ62の全タワミは長くないと、第五のバネ62は線間密着してしまい、第五のバネ62、ケーシング21、更に筐体上蓋64を破損させる。
【0079】
図9はハツリ装置400がハツリ処理と完了した状態の図でアタッチメント60内の状態を示す、一部を破断した縦断正面図である。図8の通り、ハツリ処理中には油圧ショベル70の力により、アタッチメント60がコンクリート面700に押し付けられることで、第五のバネ62が圧縮され、その蓄積エネルギーがなくなるまで、ハツリ装置100を押し出し、ハツリ処理を行う。ハツリ処理が完了した場合、第五のバネ62には荷重は掛かっていないため、自由長になっている。この状態では、ハツリ装置100内でハツリ工具10が作動していても、コンクリート面700にチゼル4を押し付ける力が掛からないため、ハツリ処理は出来ない。
【0080】
図10は、アタッチメント60をコンクリート面700に斜めに設置した場合を示している。油圧ショベル70でアタッチメント60の移動をする場合、実施の形態2.のように、作業者が直接ハツリ装置200を手に持ってハツリ処理を行う場合と大きく異なる。手で持ってハツリ処理する場合には、チゼル4の位置の微調整は容易で、チゼル4のコンクリート面700への接触の具合が、作業者によく伝わる。しかし、油圧ショベル70を使用してハツリ処理する場合は、チゼル4のコンクリート面700への接触の具合が、作業者にはほとんど伝わってこない。そのため、複数のチゼル4の先端をコンクリート面700に対して、均等に接触させることは難しい。更に、油圧ショベル70は、シリンダー71の前後運動を円弧運動に変換して、アタッチェメント60に伝える。アーム71を動かす場合も円弧運動である。そのため、アタッチメント60が図10に示す状態になることが頻繁に起こる。このように、複数のハツリ装置100が斜めにコンクリート面700に当たっても、第五のバネ62が圧縮されることにより、チゼル4の高さを調整し、チゼル4やハツリ工具10に負担を掛けない。
【0081】
凹凸のあるコンクリート面700をハツリ処理する場合においても、チゼル4がコンクリート面700に接触すると、第五のバネ62が圧縮されることにより、チゼル4の高さを自動的に調整し、ハツリ処理の効率が良い。
【0082】
ハツリ装置400は、筐体61に防音部材39が取り付けられ、チゼル4の先端まで延びているので、実施の形態2.で説明したように、防音、防塵能力が高い。また作業室40に撒水装置や集塵装置を取り付けることにより、さらに防塵能力を上げることが出来る。
【0083】
実施の形態4においては第五の弾性部材62には圧縮バネを使用した。第五の弾性部材62はバネに限らず、柔軟性をもつ合成樹脂系の素材や、反発力を持つ合成ゴム等を使用しても良い。但し、どのような素材を使うにしても、油圧ショベル70で押し付ける力で破断しない、耐熱性、対磨耗性、耐久性に優れた素材を使用する。
【0084】
ハツリ装置400が能力を発揮するのは、壁面や、天井面、トンネル等の曲面をハツリ処理する場合である。床等の下方向のハツリ処理においては、ハツリ装置200やハツリ装置300がハツリ装置400に対して小型で、軽量であるため、様々な作業場所に適応しやすい。しかし、壁面となるとハツリ装置200をウインチ等で吊ってハツリ処理をしたとしても、複数組み合わせるハツリ装置100の数量は3つ程度である。それに対し、ハツリ装置400は油圧ショベル70が転倒しなければ、いくらでもハツリ装置100を組み合わせることが出来る。油圧ショベル70の本体重量が3tであれば、アタッチメント60の重量が300kgくらいまで支えることが出来るため、ハツリ装置100の重量が10kgとした場合、かなり安全率を見たとしても、20台程度を組み合わせることが可能である。
【0085】
今までの油圧ショベル70の付属装置としては、油圧ショベルの油圧を利用して、付属装置内のローラーを回転させ、そのローラーにチゼル4と同様の働きをするビットを複数設けて、ビットをコンクリート表面に衝突させることによって、コンクリート面700の表面を削り取り、ハツリ処理するものがあった。(例えば、特許3398364号公報参照)
【0086】
上述のハツリ装置は、低騒音で、防塵対策が出来る油圧ショベル70の付属装置である。このハツリ装置の構成では、付属装置のローラーを回す動力に油圧を使用し、その油圧を発生させる油圧ポンプは、油圧ショベル70の各部を動かすポンプと併用しなくてはならない。そのため、ローラーにビットを設けてハツリ処理をするためには、最低でも本体重量が3.5t程度の油圧ショベル70が必要となる。この本体重量が3.5tの油圧ショベル70を使用した場合のハツリ処理の能力は、1秒間に3mmくらいハツリ処理できる面積は、100mm×300mmである。
【0087】
この構成のハツリ装置は、ローラーを回転させてコンクリート面700を打撃しながら、油圧ショベル70を移動させる。油圧ショベル70が移動中、ローラーに設けられたビットがコンクリート面700に回転しながら斜めに当たり、油圧ショベル70の付属装置は激しく揺れることになる。この振動のため、油圧ショベル70のアーム71や油圧シリンダー72の耐久性は低下することになる。また、油圧ショベル70が全長で4m程度あるため、細かい部分のハツリ処理は困難である。
【0088】
この発明の実施の形態4であるハツリ装置400の構成にすることにより、本体重量が1t程度の油圧ショベル70に、ハツリ装置100を5台組み合わせれば、1秒間に3mmくらいハツリ処理できる面積は140mm×230mmである。
【0089】
通常、油圧ショベル70に付ける付属装置は、本体が油圧であるため、付属装置も油圧で作動するようにしてある。そのため、アタッチメント60に複数のハツリ工具10を組み合わせ、その動力を油圧にした場合には、油圧ショベル70の油圧ポンプの吐出能力が非常に高くないといけない。しかし、ハツリ装置400はアタッチメントの動力を油圧にこだわらず、圧縮空気を使用することで、本体重量1t未満で、機体の全幅が900mm未満の超小型油圧ショベルに、重量が10kg程度のハツリ装置100を7台、組み合わせたアタッチメント60が使用出来る。
【0090】
このハツリ工具10の使用空気量は、1台当たり約0.6m3/minである。このハツリ工具10を7台組み合わせるのであれば、1.5t積載の車両に乗せることが出来る37KWの小型の空気圧縮機(図示せず)と使用することにより、7台のハツリ工具10が作動できる。そのため、ハツリ処理する建物の入り口の開口幅が900mmあれば、ハツリ装置400が使用できるため、使用可能な作業現場は非常に多い。ハツリ工具10の動力を油圧とした場合、ハツリ工具10を7台作動させるためには、本体重量が6t程度の油圧ショベル70を用意しなくてはならない。こうした大きさの油圧ショベル70は全幅が2000mm程度あり、狭い作業現場には入ることが出来ず、油圧ショベル70の重量の問題もあるため、使用できる作業場所は限られてくる。また、ハツリ装置400でハツリ処理が出来ない壁際等は、作業者がハツリ装置400内からハツリ装置100を1台取り出してハツリ処理をすることで、細かい部分のハツリ処理も可能である。
【0091】
今まで、油圧ショベル70に取り付けが出来る付属装置において、コンクリート面700を打撃して破砕するものは、油圧ブレーカー(図示せず)のように、1つのチゼル4でコンクリート面700を強く打撃し、コンクリートの厚み分が全て破砕されるものが多かった。このハツリ装置であれば、強い打撃でコンクリート等を破砕するため、構造物の傷めてはならない部分まで壊してしまう可能性が高い。つまり、コンクリートの厚みが150mmである場合に、30mmだけハツリ処理が出来るものは、ほとんど存在しなかった。ハツリ装置400は、コンクリート面700の表面のみをハツリ処理する場合に使用可能である。また、従来の油圧ブレーカー等のチゼル4の付いたハツリ工具10を、第五の弾性部材62を設けたハツリ装置400の構成で油圧ショベル70に取り付けることにより、油圧ショベル70の耐久性を向上させることが出来る。
【0092】
この発明の実施の形態4に示すハツリ装置400は、油圧ショベル70にハツリ装置100をアタッチメント60として設置し、アタッチメント60に第五のバネ62を配す構成とすることにより、通常のハツリ処理に対して、ハツリ処理の能力が高く、作業者の疲労を低減し、様々な作業場所に対応が出来て、油圧ショベル70の耐久性を損なわず、ハツリ処理時の騒音と埃を低減するという効果を有する
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すハツリ装置の縦断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1における、ハツリ処理中のハツリ装置の縦断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1において、ハツリ装置を移動させる時のハツリ装置の縦断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態2を示すハツリ装置一部を破断した正面図である。
【図5】 図4のM−M断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態3を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図である。
【図7】 図6のN−N断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理中の状態を示す。
【図9】 この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ処理完了の状態を示す。
【図10】 この発明の実施の形態4を示すハツリ装置の一部を破断した縦断正面図であり、ハツリ装置がコンクリート面に傾斜されて設置された状態を示す。
【図11】 従来の油圧ショベルに装着されたハツリ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
100 ハツリ装置、200 ハツリ装置
300 ハツリ装置、400 ハツリ装置
10 ハツリ工具、1 工具ボディ、4 チゼル、5 打撃ピストン
6 動力導入管、21 ケーシング、22 第一の弾性部材、23 第二の弾性部材
30 ハンドル、33 第三の弾性部材、34 第四の弾性部材
40 作業室、41 撒水器、50 台車、51 移動床
60 昇降装置、61 筺体、62 第五の弾性部材、70 油圧ショベル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ボディと、打撃ピストンと、動力導入管とを備えた、チゼル等を往復運動または振動させることにより構造物を破砕するハツリ工具において、上記工具ボディの外周部に摺動自在に装着されたケーシングと、このケーシング内で上記工具ボディを上記チゼルの先端方向に付勢する第一の弾性部材と、上記ケーシング内で上記工具ボディの周囲に設けられ、上記工具ボディを上記チゼルの先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材を設けたハツリ補助装置を備えたことを特徴とするハツリ装置。
【請求項2】
上記ケーシングに上記動力導入管の導入孔を設け、この導入孔は上記チゼルの先端と反対方向としたことを特徴とする請求項1記載のハツリ装置。
【請求項3】
上記ハツリ装置を複数取り付けたことを特徴とする請求項1または2記載のハツリ装置。
【請求項4】
上記ハツリ装置の周囲に、防音部材が巻かれたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項5】
上記ケーシングと、上記ハツリ工具と、破砕する構造物と、上記防音部材との間に形成される作業室に、撒水する装置を取り付けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項6】
上記作業室内の粉塵を、集塵する装置を取り付けたことを特徴とする請求項1〜5のしずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項7】
また、上記ハツリ装置にハンドルを取り付け、そのハンドルのシャフトに第三、第四の弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項8】
上記ハツリ補助装置を台車等に設置したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項9】
上記台車を動力等で移動させることを特徴とする請求項8記載のハツリ装置。
【請求項10】
上記台車に設置された上記ハツリ装置を、動力で移動させる手段を備えたことを特徴とする請求項8または9記載のハツリ装置。
【請求項11】
上記ハツリ装置を、油圧ショベル等に装着したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項12】
上記ハツリ装置と油圧ショベルの接合部分に、第五の弾性部材を取り付けたことを特徴とする請求項11記載のハツリ装置。
【請求項1】
工具ボディと、打撃ピストンと、動力導入管とを備えた、チゼル等を往復運動または振動させることにより構造物を破砕するハツリ工具において、上記工具ボディの外周部に摺動自在に装着されたケーシングと、このケーシング内で上記工具ボディを上記チゼルの先端方向に付勢する第一の弾性部材と、上記ケーシング内で上記工具ボディの周囲に設けられ、上記工具ボディを上記チゼルの先端と反対方向に押圧する第二の弾性部材を設けたハツリ補助装置を備えたことを特徴とするハツリ装置。
【請求項2】
上記ケーシングに上記動力導入管の導入孔を設け、この導入孔は上記チゼルの先端と反対方向としたことを特徴とする請求項1記載のハツリ装置。
【請求項3】
上記ハツリ装置を複数取り付けたことを特徴とする請求項1または2記載のハツリ装置。
【請求項4】
上記ハツリ装置の周囲に、防音部材が巻かれたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項5】
上記ケーシングと、上記ハツリ工具と、破砕する構造物と、上記防音部材との間に形成される作業室に、撒水する装置を取り付けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項6】
上記作業室内の粉塵を、集塵する装置を取り付けたことを特徴とする請求項1〜5のしずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項7】
また、上記ハツリ装置にハンドルを取り付け、そのハンドルのシャフトに第三、第四の弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項8】
上記ハツリ補助装置を台車等に設置したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項9】
上記台車を動力等で移動させることを特徴とする請求項8記載のハツリ装置。
【請求項10】
上記台車に設置された上記ハツリ装置を、動力で移動させる手段を備えたことを特徴とする請求項8または9記載のハツリ装置。
【請求項11】
上記ハツリ装置を、油圧ショベル等に装着したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハツリ装置。
【請求項12】
上記ハツリ装置と油圧ショベルの接合部分に、第五の弾性部材を取り付けたことを特徴とする請求項11記載のハツリ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−272919(P2008−272919A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144135(P2007−144135)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(504358610)有限会社吉岡組 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(504358610)有限会社吉岡組 (3)
【Fターム(参考)】
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