説明

ハニカム構造体の製造方法

【課題】焼成体を製造する際、焼成炉内に搬入されたワークの数が変動したとしても、ワークの品質ばらつきや仕上がりばらつきを低減する。
【解決手段】各台車10に熱容量を測定するリファサーモ14を設置すると共に、各台車10の重量を一定にした状態で各台車10を焼成炉内に搬入し、各ワーク20を焼成する。そして、各台車10にそれぞれ設置した各リファサーモ14から各台車10が受けた熱容量をそれぞれ取得する。そして、熱容量を焼成炉内で各ワーク20に与えるべき加熱温度を示す基準値と当該基準値からのずれとの和で表した場合、基準値からのずれを各台車10の各熱容量からそれぞれ取得する。こうして取得した各基準値からのずれがもっとも小さい値を示す台車10に与えた熱容量を実現する焼成プロファイルを、ワーク20を焼成するための焼成プロファイルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セラミックハニカム構造体を製造する方法が、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、原料粉末と水とを混練したセラミック材料からハニカム成形体を成形する押出工程と、当該ハニカム成形体を一定の長さに切断する切断工程と、切断したハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、乾燥させたハニカム成形体を焼成する焼成工程とを順に実施することにより、セラミックハニカム構造体を製造する方法が提案されている。
【0003】
上記各工程のうち乾燥工程では、ベルトコンベアでハニカム成形体を搬送しつつハニカム成形体を乾燥させる。また、焼成工程では、焼成炉内でハニカム成形体を焼成するように構成された焼成装置を用いてハニカム成形体を焼成することにより、セラミックハニカム構造体を製造する。
【特許文献1】特開2003−145521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術において焼成工程によりハニカム成形体を焼成する場合であって、例えば乾燥工程にてベルトコンベアでハニカム成形体を搬送する方法と同様に搬送によって焼成装置の焼成炉内に次々とハニカム成形体を搬入する場合、一定時間における炉内のハニカム成形体の数量が一定でない場合が生じる。これは、例えば台車にハニカム成形体であるワークを複数搭載して焼成炉内に搬入する際、不良のワークを台車から外すことにより、各台車に搭載されたワークの数に差が生じるためである。
【0005】
なお、焼成炉内に台車を搬入する際、各台車に搭載するワークの数を統一させることが考えられる。しかし、上記押し出し工程および切断工程にて成型および切断されたハニカム成形体が各台車に一定数量ごとに乗せられた後、台車ごとに不良のものが外され、各台車がそのまま焼成炉に搬入されるため、ワークを他の台車に乗せ換えることができず、ワークの搭載数を台車ごとに一定にすることができない。
【0006】
また、焼成炉の焼成プロファイル(焼成炉内の位置と焼成温度との関係)は、焼成炉内に搬入されるワークの数に応じてそれぞれ作成される。すなわち、焼成炉内でワークが受ける熱容量(ワークが受ける温度に相当する物理量)をワークの数量に応じて可変させることで、ワークの数量毎の焼成プロファイルが必要となる。しかしながら、上記のように台車ごとに搭載されているワークの数が異なることで焼成炉内のワークの数が一定でなくなる場合、焼成炉内の温度を調整するため、あらかじめ作成しておいた焼成炉内のワークの数量に応じた焼成プロファイルに切り替えなければならない。
【0007】
例えばゾーンごとに温度を分けている焼成炉において、焼成プロファイルを切り替えた場合、焼成炉内の温度変化がしにくいことやワークの熱容量に対する応答性が悪いことにより、焼成プロファイルを切り替えたときの焼成炉内の温度調整に時間を要してしまう。このため、焼成炉全体の温度分布のばらつきが大きくなり、各台車上の各ワークに与えられる熱容量のばらつきによって、台車ごとに焼成されるワークの品質ばらつきや仕上がりばらつきが生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、焼成体を製造する際、焼成炉内に搬入されたワークの数が変動したとしても、ワークの品質ばらつきや仕上がりばらつきを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、焼成炉(30、40)内でワーク(20)を焼成する際に用いる、焼成炉(30、40)内の位置と温度との関係を示す焼成プロファイルを作成することが特徴となっている。
【0010】
すなわち、まず、ワーク(20)を成形して一定積載量の台車(10)に乗せ、各ワーク(20)のうち不良のものを取り除く。そして、不良のワーク(20)を取り除いた分の重量を台車(10)に加えることで、各台車(10)の重量を一定に保持しておく。さらに、各台車(10)に焼成炉(30、40)内で各台車(10)が受けた最大熱容量を測定するための熱容量測定手段(14)を設置する。
【0011】
この後、各台車(10)を焼成炉内に搬入し、焼成炉(30、40)内に搬入させたワーク(20)の数に応じた焼成プロファイルを用いて焼成炉(30、40)内の温度を変更しつつ、ワーク(20)を焼成する。
【0012】
続いて、各台車(10)にそれぞれ設置した各熱容量測定手段(14)から各台車(10)が受けた熱容量をそれぞれ取得する。そして、熱容量を焼成炉(30、40)内で各ワーク(20)に与えるべき加熱温度を示す基準値と当該基準値からのずれとの和で表した場合、基準値からのずれを各台車(10)の各熱容量からそれぞれ取得する。こうして取得した各基準値からのずれがもっとも小さい値を示す台車(10)に与えた熱容量を実現する焼成プロファイルを、ワーク(20)を焼成するための焼成プロファイルとする。
【0013】
このようにして得られた焼成プロファイルを、ワーク(20)の製造の際に用いることとする。これにより、各台車(10)に乗せられる焼成すべきワーク(20)の数がそれぞれ異なっていたとしても、各台車(10)の重量をそれぞれ一定であるとみなすことができ、ひいては各台車(10)に与える熱容量を一定にすることができる。したがって、各台車(10)の各ワーク(20)に与える熱容量を一定にすることができ、完成品であるハニカム構造体の品質(強度等)のばらつきや仕上がり(外観等)のばらつきを小さくすることができる。
【0014】
また、焼成プロファイル作成工程の後、ワーク(20)を焼成することでハニカム構造体を製造する際、当該焼成プロファイル作成工程における熱容量調整工程で取得された焼成プロファイルを、焼成炉(30、40)内に搬入されるワーク(20)の数が変動しても統一して用いるようにする。
【0015】
これにより、焼成炉(30、40)内の温度分布を一定に保つことができ、ワーク(20)それぞれに同じ熱容量を与えることができるので、ハニカム構造体の品質や仕上がりのばらつきを低減できる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るハニカム構造体の斜視図である。この図に示されるように、ハニカム構造体1は、円柱形状を有しており、例えばセラミックスの焼結品として構成されるものである。このようなハニカム構造体1の内部は蜂の巣構造になっており、この蜂の巣構造を構成する円柱の軸方向に円柱の両端面2、3を貫通する多数の孔4が形成され、いわゆるモノリスとして構成されている。これら多数の孔4は、それぞれ独立した通路をなしている。
【0019】
次に、上記ハニカム構造体1の製造方法について説明する。ハニカム構造体1を製造する場合、ハニカム構造体1と同じ形状の生のハニカム成形体を形成し、このハニカム成形体を焼成炉内で焼成することによりハニカム構造体1を製造することとなる。
【0020】
このように、焼成炉内でハニカム成形体を焼成する場合、ハニカム成形体に所望の熱容量(温度)を与えて焼成するため、焼成炉内の位置と温度との関係を表す焼成プロファイルが必要である。以下、焼成プロファイルを作成する焼成プロファイル作成工程について説明する。
【0021】
まず、ハニカム構造体1となる原材料と水とを混練したセラミック材料を型から押し出すことにより、ハニカム成形体を成形する押出工程を行う。続いて、当該ハニカム成形体を一定の長さに切断する切断工程を行い、生の状態のハニカム成形体を得る。以下では、切断工程により個々に分割されたハニカム成形体をワークという。
【0022】
そして、ワークを乾燥させる第1乾燥工程を行い、ワークの水分を除去する。また、本工程では、乾燥させたワークを切り込むことでワークのサイズが狙い値になるように微調整した後、ワークを複数個ずつ各台車に乗せる。
【0023】
この後、台車に乗せた複数のワークのうち不良品を台車から外す。例えば台車に最大48個のワークを乗せた場合、48個のワークの中から不良品を発見すると、発見した不良品を台車から外す。したがって、最終的に台車には最大搭載数から不良品を取り除いた数のワークを焼成することとなる。
【0024】
図2は、台車にワークを乗せた様子を示した図であり、(a)は台車の進行方向から台車側を見た図、(b)は(a)のA矢視図である。図2(a)、(b)に示されるように、台車10上には、一定間隔で支柱11が配置されると共に、支柱11上に棚板12が並べられることで、ワーク20が乗せられる棚が構成されている。本実施形態では、一つの棚に最大16個(4個×4個)のワークが配置され、三段の棚が構成されることで、最大48個のワーク20が台車10に乗せられるようになっている。
【0025】
また、図2(b)に示されるように、各台車10の重量を均一にするため、不良として取り除かれた場所に、既に焼成したダミーのハニカム焼成体13を配置させている。これにより、各台車10の重量が同じになるようにしている。
【0026】
上記のようにしてワーク20が搭載される台車10には、リファサーモ14(本発明の熱容量測定手段に相当)も搭載されている。このリファサーモ14は、焼成炉内でワーク20が受けた熱容量を計測するものである。
【0027】
リファサーモ14は、例えばアルミナで構成される直方体をなしており、当該リファサーモ14が受ける熱容量の大きさに応じてその長さが縮む性質を有している。リファサーモ14は一度縮むと元のサイズには戻らないため、リファサーモ14が受ける最大の熱容量、すなわちワーク20が受ける最大の熱容量を知ることができる。熱容量を取得する場合、リファサーモ14の長さと熱容量との換算表が知られており、リファサーモ14のサイズから熱容量を容易に導くことができるようになっている。
【0028】
次に、台車10に搭載された各ワーク20を加熱して乾燥させる第2乾燥工程を行う。なお、上記押出工程から当該第2乾燥工程までの工程は、本発明の準備工程に相当する。
【0029】
この後、台車10を焼成炉に搬入し、ワーク20を焼成する焼成工程を行う。まず、焼成工程で用いられる連続焼成炉について説明する。図3は、連続焼成炉の全体概略図である。この図に示されるように、連続焼成炉30は、トンネル式のものであり、第1通路部31と、加熱部32と、第2通路部33と、を備えて構成されている。なお、図3において各台車10に記された番号は、例えば台車番号である。また、各台車10の進行方向における幅が異なって描かれているが、実際には各台車10のサイズは同じである。
【0030】
これらのうち第1通路部31と加熱部32の一方とが連結され、加熱部32の他方と第2通路部33とが連結された状態になっており、各内部には上記台車10が移動する通路がそれぞれ設けられている。
【0031】
加熱部32は通路内にバーナー34を有しており、このバーナー34にガス配管35を介してガスが供給されることでバーナー34から火が発せられるようになっている。なお、バーナー34は、台車10上のワーク20に火が直接当たらない場所に配置されている。また、第1通路部31内および第2通路部33内は、加熱部32のバーナー34の火の余熱によって温められる。
【0032】
上記第1通路部31において加熱部32とは反対側が搬入口になっており、この台車10が図示しない油圧プッシャーによって押し出されることにより、上記搬入口から台車10が第1通路部31の内部に搬入されるようになっている。そして、油圧プッシャーにより次々と台車10が押し出されることで、先に連続焼成炉30内に搬入された台車10が後から連続焼成炉30内に搬入された台車10に押されることで連続焼成炉30内を移動していく。なお、台車10は例えば70時間かけて連続焼成炉30内を移動する。
【0033】
本実施形態では、上記連続焼成炉30は、図示しない制御装置によってコントロールされる。この制御装置は、例えば、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えたパーソナルコンピュータとして構成され、ハードディスクに記憶された焼成プログラムが実行されることでバーナー34の火力等が制御されるようになっている。
【0034】
すなわち、制御装置には、上記焼成プログラムを実行する上で連続焼成炉30内に搬入されるワーク20の数に応じた焼成プロファイルが備えられている。この焼成プロファイルは、連続焼成炉30内の位置と温度との関係を示すものであり、連続焼成炉30内の位置と温度との関係が実現されるバーナー34の火力情報が含まれている。
【0035】
また、連続焼成炉30において第1通路部31内および第2通路部33内に熱電対が複数設置され、加熱部32に例えば放射温度計が複数設置されており、各熱電対から電圧差が制御装置に入力されて電圧差が温度に変換され、各放射温度計からそれぞれ温度の値が制御装置に入力される。これにより、バーナー34の火力に応じて連続焼成炉30内の温度分布が取得される。
【0036】
したがって、制御装置は、各熱電対、各放射温度計の温度をモニタすると共にバーナー34の火力を調整することで、連続焼成炉内の温度分布が選択された焼成プロファイルが示す温度分布を実現する。
【0037】
上記のような構成を有する連続焼成炉30を用いて焼成工程を行う。具体的には、第2乾燥工程を終えた各台車10を次々と油圧プッシャーで第1通路部31内に搬入する。このとき、例えば、ワーク20が連続焼成炉30内に搬入される最大個数の場合の焼成プロファイルが用いられる。
【0038】
そして、油圧プッシャーによって各台車10が次々と連続焼成炉30内に搬入されることで、各台車10が第1通路部31を通過して加熱部32内に導かれる。これにより、加熱部32にて台車10上のワーク20が焼成され、台車10は第2通路部33から搬出される。
【0039】
続いて、各台車10に与えられた熱容量のばらつきを調べ、連続焼成炉30内に搬入される各台車10に一定の熱容量を与えるための焼成プロファイルを作成する熱容量調整工程を行う。
【0040】
このため、まず、各台車10に設置されたリファサーモ14の長さを計測し、換算表を用いてリファサーモ14の長さから熱容量を取得する。例えば20台の台車10につき、リファサーモ14に基づく熱容量をそれぞれ取得する。
【0041】
上記のようにして取得した各台車10の各熱容量から焼成火度を求める。この焼成火度は、熱容量の管理基準の値と当該熱容量の管理基準の値からのずれとの和で表される温度を示す物理量である。熱容量の管理基準の値とは、連続焼成炉30の加熱部32におけるワーク20の焼成温度を指すと共に、各ワーク20に与えるべき加熱温度に相当し、例えば1450℃である。
【0042】
したがって、各台車10の各熱容量から1450℃からのずれをそれぞれ取得する。このずれの値が大きいほど、その台車10に乗せられたワーク20に与えられる熱容量のばらつきが大きいことを示す。
【0043】
ワーク20を焼成する場合、台車10上のワーク20の個数に応じて制御装置が焼成プロファイルを変更し、バーナー34の火力を調整することによって加熱部32内の熱容量を調整することになる。しかし、調整したバーナー34の火力でワーク20に熱容量を与えたとしても、実際にワーク20が加熱部32内で受けた熱容量は連続焼成炉30から搬出された後にリファサーモ14で確認しなければわからない。
【0044】
言い換えると、各台車10それぞれが受けた熱容量が、熱容量の管理基準の値からどれくらいずれているのかがわかる。上述のように、このずれが大きいほど、ワーク20に与える熱容量のばらつきが大きいことを示し、完成品の品質低下を招くおそれがある。したがって、各台車10のうち、連続焼成炉30内で受けた熱容量の管理基準の値からのずれがもっとも小さい台車10に与えた熱容量になるように、すなわち台車10の最大積載数の熱容量になるように、バーナー34の火力を一定に保つこととする。これにより、各台車10の重量を一定とみなすことができ、各台車10に与える熱容量を一定にすることができる。
【0045】
なお、熱容量の変化率は0.5%以内であることが好ましい。熱容量の変化率が2%を超えると、完成品に外観上の不良が生じやすくなると共に、特性のずれも生じやすくなる。したがって、熱容量の変化率を上記数値内に納めることで、焼成プロファイルを一定とすることができる。
【0046】
そして、上記のようにして取得された熱容量となる焼成プロファイルを作成し、制御装置に入力する。こうして、焼成プロファイル作成工程が終了する。今後、ハニカム構造体1を製造するに際し、連続焼成炉30内でワーク20を焼成する焼成工程において、連続焼成炉30内に台車10が搬入されて連続焼成炉30内のワーク20の数が変動しても、上記熱容量調整工程で取得された焼成プロファイルのみに従ってバーナー34の火力を調節し、ワーク20を焼成することとなる。すなわち、上記の押出工程、切断工程、第1乾燥工程、第2乾燥工程、焼成工程を順に実施することにより、図1に示されるハニカム構造体1を製造する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、連続焼成炉30内において、各台車10の各ワーク20に与えられる熱容量のばらつきが低減されるようにするため、台車10のワーク最大積載数の熱容量になるようにバーナー34の火力を設定した焼成プロファイルを作成することが特徴となっている。これにより、各台車10の重量を一定とみなすことができ、ひいては各台車10に与える熱容量を一定にすることができる。
【0048】
したがって、各台車10に搭載されたワーク20の数が台車10ごとに異なっていたとしても、各台車10それぞれに同じ熱容量を与えることができ、各ワーク20の品質のばらつきを低減することができる。
【0049】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、トンネル式の連続焼成炉30ではなく、シャトル式のバッチ焼成炉を用いてワーク20を焼成することが特徴となっている。
【0050】
図4は、本実施形態に係るバッチ焼成炉の全体概略図である。この図に示されるように、バッチ焼成炉40は、焼成炉41と、配管42と、処理炉43と、煙突44と、を備えて構成されている。
【0051】
焼成炉41は、スライド式の入り口扉41aを備えており、この入り口扉41aがスライドすることで各台車10が焼成炉41内に搬入されるようになっている。また、焼成炉41内にはバーナー34が備えられており、このバーナー34から火を発することで各台車10上の各ワーク20を焼成できるようになっている。また、配管42、処理炉43を介して煙突44から排気がなされるようになっている。
【0052】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様にして取得された焼成プロファイルに従って制御装置によりバーナー34の火力が調整されることとなる。
【0053】
このように、バッチ焼成炉40を用いてワーク20を焼成するようにしても構わない。この場合であっても、第1実施形態と同様に焼成プロファイルを取得し、この焼成プロファイルに従ってワーク20を焼成すれば良い。
【0054】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、製造するものとしてハニカム構造体1を完成品としたが、当該ハニカム構造体1の各孔4に栓材を設け、排ガス浄化フィルタを製造するようにしても構わない。この場合、ワーク20の各孔に栓材を設ける工程を追加し、栓材が設けられた状態のワーク20を焼成すれば良い。また、ハニカム構造体や排ガス浄化フィルタの他に、焼成炉においてセラミック製品を焼成する場合にも上記各実施形態で示された方法を採用することができる。
【0055】
また、上記各実施形態では、台車10が連続焼成炉30内で受ける最大熱容量を測定するものとしてリファサーモ14を用いているが、台に立てられた棒状のおもりが受けた熱容量に応じて倒れた高さを測定することで、おもりが受けた熱容量を取得するゼーゲルを用いても構わない。
【0056】
上記各実施形態では、台車10に乗せたワーク20に不良が含まれる場合、ハニカム焼成体13を台車10に乗せているが、ワーク20と同じ材質のトチを乗せても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係るハニカム構造体の斜視図である。
【図2】台車にワークを乗せた様子を示した図であり、(a)は台車の進行方向から台車側を見た図、(b)は(a)のA矢視図である。
【図3】連続焼成炉の全体概略図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るバッチ焼成炉の全体概略図である。
【符号の説明】
【0058】
1…ハニカム構造体、2、3…ハニカム構造体の端面、4…セル、10…台車、14…リファサーモ、20…ワーク、30、40…焼成炉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱形状であって、当該柱形状の軸方向に前記柱形状の両端面(2、3)を貫通する多数のセル(4)を有して構成されるハニカム構造体の製造方法であって、
焼成炉(30、40)内で前記ハニカム構造体をかたどったワーク(20)を焼成するに際し、前記焼成炉(30、40)内に搬入された前記ワーク(20)の数に対する前記焼成炉(30、40)内の位置と温度との関係を示す焼成プロファイルに従って前記焼成炉(30、40)内を加熱することで前記ハニカム構造体を製造するため、前記焼成プロファイルを作成する焼成プロファイル作成工程を含んでおり、
前記焼成プロファイル作成工程は、
前記ワーク(20)を多数成形し、前記各ワーク(20)を一定積載量の台車(10)それぞれに乗せた場合、前記各ワーク(20)のうち不良のものを取り除くと共に、前記不良のワーク(20)を取り除いた分の重量を前記台車(10)に加えることで、前記各台車(10)の重量を一定に保持し、さらに、前記各台車(10)に前記焼成炉(30、40)内で前記各台車(10)が受けた最大熱容量を測定するための熱容量測定手段(14)を設置する準備工程と、
前記準備工程の後、前記各台車(10)を前記焼成炉内に搬入し、前記焼成炉(30、40)内に搬入させた前記ワーク(20)の数に応じた焼成プロファイルを用いて前記焼成炉(30、40)内の温度を変更しつつ、前記ワーク(20)を焼成する焼成工程と、
前記焼成工程を終えた前記各台車(10)にそれぞれ設置した前記各熱容量測定手段(14)から前記各台車(10)が受けた熱容量をそれぞれ取得すると共に、前記熱容量を前記焼成炉(30、40)内で前記各ワーク(20)に与えるべき加熱温度を示す基準値と当該基準値からのずれとの和で表した場合、前記基準値からのずれを前記各台車(10)の各熱容量からそれぞれ取得し、取得した前記各基準値からのずれがもっとも小さい値を示す台車(10)に与えた熱容量を実現する焼成プロファイルを、前記各ワーク(20)を焼成するための焼成プロファイルとする熱容量調整工程と、を含んでいることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記焼成プロファイル作成工程の後、前記ワーク(20)を焼成することで前記ハニカム構造体を製造する際、当該焼成プロファイル作成工程における前記熱容量調整工程で取得された前記焼成プロファイルを、前記焼成炉(30、40)内に搬入される前記ワーク(20)の数が変動しても統一して用いることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−120651(P2008−120651A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308862(P2006−308862)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】