説明

ハム・ソーセージの製造方法

【課題】 発色剤を含まない調味剤を使用することは、保存性や食感に有効と思われますが、発色には問題があり、見た目美味しく見えない場合があると思われます。また、粕漬食品の製造方法であるが、本発明のような低温熟成工程及び中温熟成工程がないため、発色や風味の改良にはなっていないと思われます。
【解決手段】 肉類等の食材の殺菌を行う下処理工程と、塩漬する塩漬工程と、酒粕漬けの素に浸漬する低温熟成工程と、一定時間保持する中温熟成工程と、最終的品質保持としての低温殺菌工程とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚肉等の食肉を、発色剤(硝酸塩や亜硝酸塩等)や調味料を使用することなくハムやソーセージの発色と風味を改良してあるハム・ソーセージの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、発色剤を含まない調味料と共に漬け込みを行った原料肉を加熱し、及び、加熱をした原料肉を密閉系内で加圧する、工程を含むことを特徴とする食肉の加工方法がある。(特許文献1参照)
【0003】
また、別の従来技術として、イカ、魚貝類及び肉類等食材の粕漬食品を製造する方法において、前記食材の下処理工程と、塩水浸漬工程と、乾燥工程と、酒粕浸漬工程と、を備えることを特徴とする粕漬食品の製造方法がある。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2007−129948号公報
【特許文献2】 特開2007−116989号公報
【発明の概要】

【発明が解決使用とする課題】
【0005】
上記前者においては、発色剤を含まない調味剤を使用することは、保存性や食感に有効と思われますが、発色効果には、具体的な表現がされておらず不明です。
【0006】
上記後者においては、粕漬食品の製造方法であるが、本発明のような低温熱成工程及び中温熱成工程がないため、発色や風味の改良にはなっていないと思われる。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするもので、下地処理工程・塩漬工程・低温熟成工程・中温熟成工程・低温殺菌工程からなるもので、特に、低温熟成工程において風味を向上させると共に、中温熟成工程において従来レベルに発色させることのできるハム・ソーセージの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、肉類等の食材の殺菌を行う下処理工程と、塩漬する塩漬工程と、酒粕漬けの元に浸漬する低温熟成工程と、一定時間保持する中温熟成工程と、最終的品質保持としての低温殺菌工程とからなること。塩浸工程が、1日ないし3日であること。低温熟成工程が、2週間から5週間浸漬すること。低温熟成工程が、5℃ないし10℃であること。低温熟成工程における酒粕漬けの素が、酒粕5ないし10重量%、甘酒5ないし10重量%、酒1ないし5重量%を撹拌混合してなること。中温熟成工程が、40℃ないし50℃であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
1)下地処理工程・塩漬工程・低温熟成工程・中温熟成工程・低温殺菌工程の一連の流れ で、発色もあり、風味もあり、美味なハム・ソーセージを製造することができる。
2)塩漬工程により、発色の下地を形成することができる。
3)低温熟成工程において、2週間から5週間、酒粕漬けの素に浸漬することにより、特 に風味(うま味)を向上(抽入させる)させることができる。
4)低温熟成工程において、5℃ないし10℃にすることにより,より効果的に風味を出 すことができると共に発色効果を有する。
5)中温熟成工程において、温度を40℃ないし50℃とし、1時間ないし2時間パック 詰めすることにより一層風味を増すことができる。
6)低温殺菌工程により、品質の安定したハム・ソーセージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示すハム・ソーセージの製造方法の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、ハム・ソーセージの製造方法の製造工程図に順じて説明する。
まず、本発明に使用する肉類としては、主に豚・牛・鳥等であり、魚肉としてイカ・鮭・鯛・アナゴ・ウナギ等が考えられ、貝類も一考である。
本実施例は、豚ロース肉を使用した。
【0012】
下地処理工程1は、食材に対して必要に応じて洗浄する。
【0013】
塩漬工程2は、例えば約2重量%(2g)の塩を豚ロース肉(100g)に直接塗布し、1日ないし2日間漬け込む。
濃度や塩漬時間は塩漬する対象物や好みによって多少調整することが好ましい。
【0014】
低温熟成工程3は、塩漬けした豚ロース肉(100g)を、酒粕5ないし10重量%(5gないし10g)、甘酒5ないし10重量%(5gないし10g)、酒1ないし5重量%(1gないし5g)を混合した酒粕漬けの素に漬け込み、5℃ないし10℃で2週間から5週間熟成してなる。
期間は特に限定されるものではないが、径の中程度(ロース肉の場合)で約2ないし3週間、大きいもの(もも肉の場合)は4ないし5週間浸漬することが好ましい。
【0015】
中温熟成工程4は、上記のように熟成した豚ロース肉を40℃ないし50℃で、1時間ないし2時間パック詰め(真空パック)して二段熟成する。
【0016】
最終的に、低温殺菌工程5は、約63℃を約30分チャージするものである。
上記のように本発明に係る製造方法は、従来の粕漬食品の製造方法と異なり、イカ・魚貝類及び肉類等を下処理工程(表面殺菌)し、塩漬工程を経た、魚貝類及び肉類等を低温熟成工程(酒粕漬けの素)に直接浸漬、中温熟成工程(二段熟成)することによって、色合いと風味に優れた加工品食品がえられるので需要の拡大が見込まれ、きわめて有用である。
【0017】
なお、上記実施例においては、豚ロース肉を例に説明したが、他の肉類(魚貝含む)も同様な工程で色合いと風味に優れた加工食品を得ることができるものである。
【符号の説明】
【0018】
1−−−下地処理工程
2−−−塩漬工程
3−−−低温熟成工程
4−−−中温熟成工程
5−−−低温殺菌工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉類等の食材の殺菌を行う下処理工程と、塩漬する塩漬工程と、酒粕漬けの素に浸漬する低温熟成工程と、一定時間保持する中温熟成工程と、最終的品質保持としての低温殺菌工程とからなることを特徴とするハム・ソーセージの製造方法。
【請求項2】
塩浸工程が、1日ないし3日であることを特徴とする請求項1記載のハム・ソーセージの製造方法。
【請求項3】
低温熟成工程が、2週間から5週間浸漬することを特徴とする請求項1又は2記載のハム・ソーセージの製造方法。
【請求項4】
低温熟成工程が、5℃ないし10℃であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のハム・ソーセージの製造方法。
【請求項5】
低温熟成工程における酒粕漬けの素が、酒粕5ないし10重量%、甘酒5ないし10重量%、酒1ないし5重量%を撹拌混合してなることを特徴とする。
【請求項6】
中温熟成工程が、40℃ないし50℃であることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のハム・ソーセージの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−19776(P2012−19776A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175760(P2010−175760)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(510182788)
【Fターム(参考)】