説明

ハロゲン化オレフィン発泡剤を使用した、改良されたポリウレタン発泡プロセス、およびフォームの性質

本発明は、発泡剤を使用する、より均質に分散されたポリウレタンフォームを製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、固化する前の液状のポリウレタンフォームの流動が、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)たとえば1233zdを使用したその性能にとって重要であるような用途のために、より均質に分散されたポリウレタンフォームを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤を使用する、より均質に分散されたポリウレタンフォームを製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、固化する前の液状のポリウレタンフォームの流動が、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)たとえば1233zdを使用したその性能にとって重要であるような用途のために、より均質に分散されたポリウレタンフォームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン層の保護のためのMontreal Protocol(1987年10月採択)は、クロロフルオロカーボン(CFC)使用の段階的廃止を義務づけている。オゾン層に対してより「優しい」物質,たとえばヒドロフルオロカーボン(HFC)たとえば,HFC−134aがクロロフルオロカーボンの代替物となった。後者の化合物は、温室効果ガスであって、地球温暖化の原因となることが証明されており、Kyoto Protocol on Climate Change(1998年採択)によって規制を受けた。新生の代替物質のであるヒドロフルオロプロペンは環境的に受容される、すなわちオゾン層破壊係数(ODP)がゼロで、かつ地球温暖化係数(GWP)が低く常用可能であることが示された。
【0003】
ポリウレタンフォームのために現在使用されている発泡剤としては、比較的高い地球温暖化係数を有するHFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfcと、可燃性であり、エネルギー効率の低いペンタン異性体のような炭化水素とが挙げられる。したがって、新規な代替え発泡剤が求められている。HFCの代替物として、ハロゲン化ヒドロオレフィン系物質、たとえばヒドロフルオロプロペンおよび/またはヒドロクロロフルオロプロペンに関心が寄せられてきている。これらの物質が下層大気中で本来的に化学的に不安定であるために、地球温暖化係数が低く、かつ所望されるオゾン層破壊性能もゼロまたはほとんどゼロとなる。
【0004】
ポリウレタンフォームの加工条件は、フォームの性質に大きな影響を有している。密度および熱伝導率の変動、圧縮強度などが、得られる生成物の性能における重要なパラメーターである。Araiら(Proceedings of the SPI-29th,1995,p.272)は、フォーム密度が、圧力変動の影響を受けることを示した。Lefebvreら(Int.J.Number Mehtods Fluids,1995,vol.20,p.319)は、フォーム密度は発熱反応の温度に関係があると主張した。自己膨張性(self-exapanding)の流体は、密度が比較的一定なニュートニアン流体の流動とは顕著に異なった流動挙動を有している。Mitaniら(Polym.Eng.Sci.,2003,vol.43(9),p.1603)は、三次元制限体積有限要素法を使用して、等温条件下におけるストークスの式を解いた。密度を時間の関数と仮定することによって、密度の変化を予想した。米国特許出願公開第2008/0255262号明細書には、減圧下において、熱伝導率の面で優れた硬質ポリウレタンフォームを成形する方法が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0255262号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Araiら(Proceedings of the SPI-29th,1995,p.272)
【非特許文献2】Lefebvreら(Int.J.Number Mehtods Fluids,1995,vol.20,p.319)
【非特許文献3】Mitaniら(Polym.Eng.Sci.,2003,vol.43(9),p.1603)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改良された、加工性および断熱関連のフォーム性能を与えるポリウレタンフォームのための、ヒドロハロオレフィン、特に、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン−1(HCFO−1233zd)を含む組成物を使用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、固化する前にそれらの流路の方向に予想もされなかったような均質な密度分布を有し、加工効率を向上させる、液状ポリウレタンフォームを発生させる方法に関する。一つの実施態様においては、本発明には以下の工程が含まれる:1)発泡剤を他のポリウレタンプレミックス成分と混合する工程;2)次いで反応射出成形の高圧混合吐出装置を使用する工程。
【0009】
フォーム加工効率は、型の中の最小充填重量(minimum fill weight)、コア密度、流路中における平均密度および密度分布、フォームの圧縮強度、フォームの寸法安定性および熱伝導率によって特性解析した。
【0010】
本発明は、1種または複数のポリオール、1種または複数のシリコーン界面活性剤、1種または複数のアミン触媒、1種または複数の二酸化炭素発生剤、および1種または複数のその他のものと組み合わせた、不飽和のハロゲン化ヒドロオレフィンをベースとする、無視可能な(低もしくはゼロ)オゾン破壊性および低GWPの発泡剤の使用を目的としている。
【0011】
それらの発泡剤には、以下のものが含まれる:不飽和のハロゲン化ヒドロオレフィンたとえばヒドロフルオロオレフィン類、ヒドロクロロフルオロオレフィン類など、特に、主としてトランス−もしくはE−1233zd、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン単独、または、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)(1233zdは含まず)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロエーテル(HFE)、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル/ジエーテルもしくは二酸化炭素との組合せ。液状ポリウレタンフォームが固化する前に、他のものよりも均質に流れることが見出されたが、これは、その沸点とポリマープレミックス中への相対溶解度とを考慮すると、驚くべきことである。そうして得られたポリマーは、流路方向に、0.10〜0.65ポンド/立方フィート(pcf)、好ましくは0.15〜0.50pcf、さらにより好ましくは0.20〜0.45pcfという、はるかに狭い密度変動(総合密度−コア密度によって定義される)を示した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パネル内部のフォーム密度対分布のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適なヒドロフルオロオレフィン類(HFO)は、典型的には3、4、または5個の炭素を含み、以下のものを含むがこれらに限定される訳ではない:ペンタフルオロプロペンたとえば1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO 1225ye)、テトラフルオロプロペンたとえば1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO 1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO 1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ye)、トリフルオロプロペンたとえば3,3,3−トリフルオロプロペン(1243zf)、すべてのテトラフルオロブテン類(HFO 1345)、すべてのペンタフルオロブテン異性体類(HFO1354)、すべてのヘキサフルオロブテン異性体類(HFO1336)、すべてのヘプタフルオロブテン異性体類(HFO1327)、すべてのヘプタフルオロペンテン異性体類(HFO1447)、すべてのオクタフルオロペンテン異性体類(HFO1438)、すべてのノナフルオロペンテン異性体類(HFO1429)。HCFO類たとえば、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、およびHCFO1223。本発明の好ましい実施態様は、約60℃未満の標準沸点を有する不飽和のハロゲン化ヒドロオレフィンの発泡剤組成物である。
【0014】
それらの発泡剤には、ヒドロハロオレフィンたとえばヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィンなど、特に、主としてトランス−もしくはE−1233zd、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン単独または、以下のものを含む他の発泡剤との組合せが含まれる:(I)ヒドロフルオロカーボン、非限定的に例を挙げれば、たとえば:ジフルオロメタン(HFC32);1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125);1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a);1,1,2,2−テトラフルオロタン(HFC134);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a);1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea);1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)、および1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee);(II)ヒドロフルオロオレフィン、非限定的に例を挙げれば、たとえば:テトラフルオロプロペン類(HFO1234)、トリフルオロプロペン類(HFO1243)、すべてのテトラフルオロブテン類(HFO 1345)、すべてのペンタフルオロブテン異性体類(HFO1354)、すべてのヘキサフルオロブテン異性体類(HFO1336)、すべてのヘプタフルオロブテン異性体類(HFO1327)、すべてのヘプタフルオロペンテン異性体類(HFO1447)、すべてのオクタフルオロペンテン異性体類(HFO1438)、すべてのノナフルオロペンテン異性体類(HFO1429);(III)炭化水素類、非限定的に例を挙げれば、たとえば、ペンタン異性体類、ブタン異性体類;(IV)ヒドロフルオロエーテル(HFE)たとえば、C49OCH3(HFE−7100)、C49OC25(HFE−7200)、CF3CF2OCH3(HFE−245cb2)、CF3CH2CHF2(HFE−245fa)、CF3CH2OCF3(HFE−236fa)、C37OCH3(HFE−7000)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサン(HFE 7500)、1,1,1,2,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−ペンタン(HFE−7600)、1,1,1,2,2,3,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE−7300)、エチルノナフルオロイソブチルエーテル/エチルノナフルオロブチルエーテル(HFE 8200)、CHF2OCHF2、CHF2−OCH2F、CH2F−OCH2F、CH2F−O−CH3、シクロ−CF2CH2CF2−O、シクロ−CF2CF2CH2−O、CHF2−CF2CHF2、CF3CF2−OCH2F、CHF2−O−CHFCF3、CHF2−OCF2CHF2、CH2F−O−CF2CHF2、CF3−O−CF2CH3、CHF2CHF−O−CHF2、CF3−O−CHFCH2F、CF3CHF−O−CH2F、CF3−O−CH2CHF2、CHF2−O−CH2CF3、CH2FCF2−O−CH2F、CHF2−O−CF2CH3、CHF2CF2−O−CH3(HFE254pc)、CH2F−O−CHFCH2F、CHF2−CHF−O−CH2F、CF3−O−CHFCH3、CF3CHF−O−CH3、CHF2−O−CH2CHF2、CF3−O−CH2CH2F、CF3CH2−O−CH2F、CF2HCF2CF2−O−CH3、CF3CHFCF2−O−CH3、CHF2CF2CF2−O−CH3、CHF2CF2CH2−OCHF2、CF3CF2CH2−O−CH3、CHF2CF2−O−CH2CH3,(CF32CF−O−CH3,(CF32CH−O−CHF2,(CF32CH−O−CH3、およびそれらの混合物;(V)C1〜C5アルコール類、C1〜C4アルデヒド類、C1〜C4ケトン類、C1〜C4エーテル類およびジエーテル類、ならびに二酸化炭素;(VI)HCFO類たとえば、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、およびHCFO1223。
【0015】
本発明の発泡性組成物には、一般的に気泡構造を有するフォームを形成させることが可能な1種または複数の成分、および発泡剤を、本発明においては、典型的には組合せの形で一般的に含んでいる。ある種の実施態様においては、その1種または複数の成分には、フォームを形成することが可能なポリウレタン組成物および/または発泡性組成物を含んでいる。そのようなポリウレタンフォームの実施態様においては、本発明の組成物の1種または複数が、発泡性組成物における発泡剤の一部として含まれるか、または好ましくは、適切な条件下で反応および/または発泡してフォームまたは気泡構造を形成することが可能な成分の一つまたは複数を含む、2種以上の発泡性組成物の一部として含まれている。
【0016】
本発明はさらに、本発明の組成物を含む発泡剤を含むポリマーフォーム配合物から調製される、フォーム、好ましくは独立気泡フォームにも関する。さらに他の実施態様においては、本発明は、熱硬化性フォーム、たとえばポリウレタンおよびポリイソシアヌレートフォーム、好ましくは低密度フォーム、冷凍室、冷凍倉庫、および冷凍パネル、ガレージドア、出入り口ドア、断熱パイプ、および水ヒーターの断熱のための、軟質もしくは硬質の、たとえば現場注入発泡フォーム;金属および軟質面材パネルのための連続積層;ならびに、居住用および商業用構築物およびビルディングのためのスプレー、を含む発泡性組成物を提供する。
【0017】
本発明の発泡剤の組合せを形成させたり、および/または発泡性組成物に添加したりする順序と方法が、本発明の運用性には通常影響しないということは、当業者には理解されることであろう。たとえば、ポリウレタンフォームの場合においては、発泡剤の組合せの各種の成分、さらには本発明の組成物の成分を、発泡装置への導入より前に混合しないことも、さらにはそれらの成分を、発泡装置の同じ位置に添加しないことも可能である。したがって、ある種の実施態様においては、発泡剤の組合せの1種または複数の成分を、それらの成分が発泡装置の中に同時に入るか、および/またはこの方法でより効率的に作用することを見込んで、ブレンダーの中に導入するのが望ましいこともあり得る。それにも関わらず、ある種の実施態様においては、発泡剤の組合せの2種以上の成分を前もって組み合わせておき、直接的に、またはプレミックス(後ほどそれを、発泡性組成物の別の部分に添加する)の一部として、発泡性組成物の中に共に導入する。
【0018】
ある種の実施態様においては、b液(b−side)のポリオールプレミックスには、ポリオール、ケイ素系もしくは非ケイ素系の界面活性剤、アミン系もしくは非アミン系の触媒、難燃剤/抑制剤、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、充填剤、およびその他必要な安定剤/禁止剤が含まれていてもよい。ポリオールとしては、以下のものが挙げられ得る:グリセリンベースのポリエーテルポリオールたとえば、Carpol GP−700、GP−725、GP−4000、GP−4520など;アミンベースのポリエーテルポリオールたとえば、Carpol TEAP−265およびEDAP−770、Jeffol AD−310など;スクロースベースのポリエーテルポリオールたとえば、Jeffol SD−360、SG−361、およびSD−522、Voranol 490、Carpol SPA−357など;マンニッヒ塩基ポリエーテルポリオールたとえばJeffol R−425XおよびR−470X、など;ソルビトールベースのポリエーテルポリオールたとえば、Jeffol S−490など;芳香族ポリエステルポリオールたとえば、Terate 2541および3510、Stepanol PS−2352、Terol TR−925など。
【0019】
触媒としては以下のものが挙げられ得る:N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PDMAFE)、1,4−ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール(DMAFE)、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)−エチルメチル−アミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)−プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N’,N”−トリス(3−ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタaメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジンなど。特に、立体障害のある一級、二級または三級のアミンが有用であり、そのようなものとしてはたとえば以下のものが挙げられる:ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン、ジエチル−(α−フェニエチル)アミン、トリ−n−プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルイソプロピルアミン、ジ−t−ブチルアミン、シクロヘキシル−t−ブチルアミン、デ−sec−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ−(α−フェニルエチル)アミン、トリフェニルメチルアミン、および1,1,−ジエチル−n−プロピルアミン。その他の立体障害のあるアミンとしては、以下のものが挙げられる:モルホリン類、イミダゾール類、エーテル含有化合物たとえばジモルホリノジエチルエーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、n0メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタエチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、またはそれらの組合せ。
【0020】
非アミン系触媒には、ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、カドミウム、コバルト、鉄、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、チタン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、またはそれらの組合せを含む有機金属化合物が含まれていてもよい。そのような有機金属化合物の例としては以下のものが挙げられる:第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート(DGTDL)、ジブチルスズメルカプチド、フェニルマーキュリックプロピオネート、鉛オクトエート、酢酸/オクタン酸カリウム、酢酸マグネシウム、チタニルオキサレート、カリウムチタニルオキサレート、ギ酸四級アンモニウム、第二鉄アセチルアセトネートなど、およびそれらの組合せ。
【0021】
触媒の使用レベルは、典型的にはポリオールプレミックスの0.1ppm〜4.00重量%、好ましくは0.5ppm〜2重量%、より好ましくは1ppm〜1重量%の量である。
【0022】
界面活性剤としては、以下のものが挙げられ得る:ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーたとえば、Goldschmidt製のB8404、B8407、B8409、B8462およびB8465、Air Products製のDC−193、DC−197、DC−5582、およびDC−5598、ならびにMomentive製のL−5130、L5180、L−5340、L−5440、L−6100、L−6900、L−6980、およびL6988。非シリコーン系界面活性剤としては、以下のものが挙げられ得る:スルホン酸の塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジナフチルメタンジススルホン酸、リシノール酸、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪族アルコール、パラフィンオイル、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、ロート油、ピーナッツ油、パラフィン脂肪族アルコール、またはそれらの組合せ。使用量は、典型的にはポリオールプレミックスの0.4〜6重量%、好ましくは0.8〜4.5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0023】
難燃剤としては以下のものが挙げられ得る:リン酸トリクロロプロピル(TCPP)、リン酸トリエチル(TEP)、エチルリン酸ジエチル(DEEP)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホン酸ジエチル、臭素化酸無水物ベースのエステル、ジブロモネオペンチルグリコール、臭素化ポリエーテルポリオール、メラミン、ポリリン酸アンモニウム、アルミニウム三水和物(ATH)、リン酸トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)、リン酸トリ(2−クロロエチル)、リン酸トリ(2−クロロイソプロピル)、リン酸/オリゴマー性ホスホン酸クロロアルキル、オリゴマー性リン酸クロロアルキル、ペンタブロモジフェニルエーテルをベースとする臭素化難燃剤、メチルホスホン酸ジメチル、N,Nビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホン酸ジエチル、オリゴマー性ホスホン酸塩、および上述のものの誘導体。
【0024】
ある種の実施態様においては、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、およびその他の安定剤/禁止剤が望ましい。安定剤/禁止剤としては以下のものが挙げられ得る:1,2−エポキシブタン、グリシジルメチルエーテル、環状−テルペンたとえば、dl−リモネン、l−リモネン、d−リモネンなど、1,2−エポキシ−2,2−メチルプロパン、ニトロメタン、ジエチルヒドロキシルアミン、アルファメチルスチレン、イソプレン、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、dl−リモネンオキシド、ヒドラジン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノン、有機酸たとえばカルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸,スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびそれらの組合せ。その他の添加剤としては、接着促進剤、帯電防止剤、抗酸化剤、充填剤、加水分解剤、潤滑剤、抗菌剤、顔料、粘度調節剤、耐UV添加剤などを必要に応じて含んでいてよい。それらの添加剤としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:立体障害のあるフェノール、ジフェニルアミン、ベンゾフラノン誘導体、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、ミクロスフィア、シリカ、メラミン、カーボンブラック、ワックスおよびセッケンの形態、アンチモン、銅、およびヒ素の有機金属誘導体、二酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、グリコールエーテル、ジメチルAGSエステル、プロピレンカーボネート、ベンゾフェノン、ならびにベンゾトリアゾール化合物誘導体。
【実施例】
【0025】
実施例1:沸点およびポリオールブレンド物中の発泡剤の溶解性
【0026】
【表1】

【0027】
表1は、E−1233zdがHFC245faとHCFC141bとの間の沸点を有し、溶解性においても同様の傾向があることを示している。沸点が低いほど、蒸気圧が高くなって、フォームの膨張が増し、そのためにフォーム密度の密度が下がる。発泡剤の溶解性は、ポリマープレミックスの粘度に影響し、溶解性が高いほど、粘度が低下する。
【0028】
実施例2:配合および反応性
【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
表3は、これら4種の系の反応性が相互にほとんど同等であることを示している。
【0032】
実施例3:モールド成形
全B成分とイソシアネートとを、L−ヘッドを備えたEdge−Sweets 25 HP−BT高圧発泡機を使用して混合した。反応剤の温度を70゜Fに維持してから、混合圧力1800psiで混合し、反応剤合計吐出量は160g/秒とした。
【0033】
通常Brett型またはLanzen型と呼ばれている水ジャケット付きアルミニウム型を使用して、モールドフォームを製造したが、その寸法は厚み5cm×幅20cm×高さ200cmで、約115゜Fの温度に維持されていた。まず、2、3、4秒で実施したショットからのデータ(フォームの流動距離とパネル重量)を使用して、最小充填密度、すなわち、余分な詰め込みはせずに、ちょうど型全体を充填するに十分なフォームを求めた。最小充填密度で計算したショット重量の115%で、パネルを製作した。
【0034】
パネルの密度を測定することに加えて、総合密度とコア密度との比較を行った。これは、パネルの底から60cmの距離から始めて、長さ方向に10cmずつの断片を切り取り、スキン付きのフォームの密度を測定し、次いでスキンを切り落としてコア密度を測定することにより実施した。そのデータを、他の発泡剤を用いて製作した同様のフォームと比較すると、総合密度とコア密度との差が最小であることが判った。
【0035】
【表4】

【0036】
表4から、E−1233zdフォームの最小充填重量および密度が、HFC245faとHCFC141bとの間に入ることが見て取れる。ポリオールブレンド物中への溶解性が最大であるHCFC141bが、最低の最小充填重量にはならない。しかしながら、最低の沸点を有するHFC245faが、最低の最小充填密度を有するフォームを与えている。
【0037】
これらの結果は、発泡剤の溶解性よりも沸点の方が、最小充填重量におよぼす影響が強いということを示唆している。図1に、パネルの内部での流路で密度がどう変化するかを示した。沸点がより高い発泡剤たとえばHCFC141bおよびペンタンの方が、沸点がより低い発泡剤たとえばHFC245faおよびE−1233zdよりも、変化が大きい、すなわち均質性がより低い分布となったことが判った。沸点の傾向に基づくとすれば、E−1233zdのフォームの密度分布が、HFC245faとHCFC141bとの間になるであろうと予測されるであろう。しかしながら、図1からも判るように、E−1233zdのフォームが、密度の変動が最も小さい、すなわち最も均質なフォーム密度を示し、そのためその結果は予想から外れている。
【0038】
本明細書においては、特定の実施態様を参照しながら本発明についての例証および説明をしているが、添付の特許請求項をそれら例示した詳細に限定するという意図を有するものではない。むしろ、これらの詳細に対して当業者が各種の修正を施してもよいが、それらの修正は本出願の特許請求の範囲の主題の精神と範囲の内に依然として入るであろうと考えており、これらの特許請求項はそのように解釈されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.10〜0.65pcf、好ましくは0.15〜0.50pcf、より好ましくは0.20〜0.45pcfの、密度変動(総合密度−コア密度によって定義される)を有するポリウレタンフォーム。
【請求項2】
(i)発泡剤を他のポリウレタンプレミックス成分と混合する工程;(ii)反応射出成形の高圧混合吐出装置;を含む、ポリウレタンフォームを製造する方法。
【請求項3】
ヒドロクロロフルオロオレフィン1233zdのトランス立体異性体を約70重量%またはそれ以上含む、ポリウレタンフォームのためのポリマー発泡剤組成物。
【請求項4】
前記ヒドロクロロフルオロオレフィン1233zdが、約90重量%またはそれ以上のトランス立体異性体を含む、請求項3に記載のポリマー発泡剤組成物。
【請求項5】
前記ヒドロクロロフルオロオレフィン1233zdが、約97重量%またはそれ以上のトランス立体異性体を含む、請求項3に記載のポリマー発泡剤組成物。
【請求項6】
ヒドロフルオロカーボンをさらに含む、請求項3に記載のポリマー発泡剤組成物。
【請求項7】
前記ヒドロフルオロカーボンが、ジフルオロメタン(HFC32);1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125);1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a);1,1,2,2−テトラフルオロタン(HFC134);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a);1,1−ジフルオロエタン(HFC152a);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea);1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)、および1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)からなる群より選択される、請求項6に記載のポリマー発泡剤組成物。
【請求項8】
ヒドロフルオロオレフィンをさらに含む、請求項3に記載のポリマー発泡剤組成物。
【請求項9】
前記ヒドロフルオロオレフィンが、テトラフルオロプロペン類(HFO1234);トリフルオロプロペン類(HFO1243);テトラフルオロブテン異性体類(HFO1354);ペンタフルオロブテン異性体類(HFO1345);ヘキサフルオロブテン異性体類(HFO1336);ヘプタフルオロブテン異性体類(HFO1327);ヘプタフルオロペンテン異性体類(HFO1447);オクタフルオロペンテン異性体類(HFO1438);ノナフルオロペンテン異性体類(HFO1429)、C49OCH3(HFE−7100)、C49OC25(HFE−7200)、CF3CF2OCH3(HFE−245cb2)、CF3CH2CHF2(HFE−245fa)、CF3CH2OCF3(HFE−236fa)、C37OCH3(HFE−7000)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサン(HFE 7500)、1,1,1,2,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−ペンタン(HFE−7600)、1,1,1,2,2,3,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE−7300)、エチルノナフルオロイソブチルエーテル/エチルノナフルオロブチルエーテル(HFE 8200)、CHF2OCHF2、CHF2−OCH2F、CH2F−OCH2F、CH2F−O−CH3、シクロ−CF2CH2CF2−O、シクロ−CF2CF2CH2−O、CHF2−CF2CHF2、CF3CF2−OCH2F、CHF2−O−CHFCF3、CHF2−OCF2CHF2、CH2F−O−CF2CHF2、CF3−O−CF2CH3、CHF2CHF−O−CHF2、CF3−O−CHFCH2F、CF3CHF−O−CH2F、CF3−O−CH2CHF2、CHF2−O−CH2CF3、CH2FCF2−O−CH2F、CHF2−O−CF2CH3、CHF2CF2−O−CH3(HFE254pc)、CH2F−O−CHFCH2F、CHF2−CHF−O−CH2F、CF3−O−CHFCH3、CF3CHF−O−CH3、CHF2−O−CH2CHF2、CF3−O−CH2CH2F、CF3CH2−O−CH2F、CF2HCF2CF2−O−CH3、CF3CHFCF2−O−CH3、CHF2CF2CF2−O−CH3、CHF2CF2CH2−OCHF2、CF3CF2CH2−O−CH3、CHF2CF2−O−CH2CH3,(CF32CF−O−CH3,(CF32CH−O−CHF2,(CF32CH−O−CH3、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項8に記載のポリマー発泡剤組成物。
【請求項10】
炭化水素類、C1〜C5アルコール類、C1〜C4アルデヒド類、C1〜C4ケトン類、C1〜C4エーテル類、二酸化炭素、C1〜C4ジエーテル類、およびそれらの混合物からなる群より選択される添加剤をさらに含む、請求項3に記載のポリマー発泡剤組成物。
【請求項11】
ヒドロフルオロエーテルをさら含む、請求項3に記載のポリマー発泡剤組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2013−504656(P2013−504656A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528829(P2012−528829)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047453
【国際公開番号】WO2011/031598
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
【Fターム(参考)】