説明

ハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物

【課題】 本発明の目的は、作業環境の改善及び環境保護の面で良好であり、かつ保存時の析出耐性及び容器中での膨張防止効果に優れ、連続処理安定性に優れたハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物を提供することにある。
【解決手段】 ナトリウムイオンまたはカリウムイオンを0.05mol/L以上、8.0mol/L以下含有し、かつアルキレンオキサイド類を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、ハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)を処理して色素画像を形成する方法は、像様露光を与えた後、発色現像液にて発色現像処理し、次いで感光材料中に含まれる銀粒子を銀イオンに酸化する漂白工程と酸化によって生成した銀イオンを感光材料から溶解除去する定着工程の2つの工程を含む脱銀工程を経て、リンスまたは色素を安定化させるための安定化工程により処理される。また、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーの処理では、迅速化の観点から漂白工程及び定着工程を漂白定着工程処理として同一浴で処理されている。
【0003】
ところで、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理において、一般ユーザーへの迅速プリントサービスや写真店と現像所間の集配輸送合理化のため、写真店の店頭に設置して感光材料の処理を行うミニラボと称する自動現像処理機が普及している。また、ミニラボ用の処理に用いられる現像処理組成物は、あらかじめ構成処理薬品を水などの溶媒に溶解した液体組成物の形態であれば,使用に際して混合及び水希釈などの簡単な調製作業で処理液を調製できる利点があるので、この形態で供給されることが多い。また、液体組成物の形態は、処理組成物成分の溶解に要する水などの溶媒と組成物を収納する容器とを伴うことで、輸送コスト及びスペース等の点において不利となることから、濃縮化して容積を減らした液体濃縮組成物の形で供給がされるのが一般的である。一方、ミニラボを設置している写真店等への処理薬品の供給過程において、これら処理組成物は様々な環境下で保管され、例えば、夏季のような時期では、処理組成物が保管されている付近の雰囲気が気温50度以上の高温環境になり、逆に、寒冷地などの冬季においては、輸送の過程等で低温環境になる場合も有り、保管環境下で影響を受けにくい安定な処理組成物が望まれている。更に、これら処理組成物は、輸送及び市場において使用されるまでの期間が、長ければ数年間にわたり保存される場合もあり、長期保存時の保存安定性の向上が望まれている。
【0004】
一方、作業環境改善及び環境保護の観点から、現像処理組成物中のアンモニウム塩の使用量を低減する試みが盛んになされている。しかしながら、アンモニウム塩に代えて、カリウムイオンあるいはナトリウムイオンを用いると溶解性が低下するという課題を抱えている。特に、濃縮率が高い安定化工程で用いる濃縮組成物(安定化処理用濃縮組成物)では、アンモニウム塩に代えて、カリウム塩またはナトリウム塩を含む化合物を用いて濃縮組成物を調製し、これを低温条件あるいは高温環境下で長期間保管しておくと、保存安定性が乏しく、濃縮組成物の析出や容器膨張等といった問題を起こすことがある。これら問題は、商品価値を低下させるばかりでなく、析出により成分変化が生じ、有効成分がその活性を失い、十分な処理特性が得られなくなるといった問題を引き起こす。また、析出等の影響で、廃容器をリサイクルしようとする環境保護的運用にも支障をきたすこととなる。
【0005】
一方、アルキレンオキサイド類を含有する処理組成物については、環式アルデヒド化合物とグリコール系溶媒を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用安定液が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の方法に従えば、低湿下で色素退色を改良し、濃縮組成物の保存安定性が改良され、感光材料処理時の故障を低減できるとされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1には、安定化処理用濃縮組成物に含まれるカリウムイオンまたはナトリウムイオンの特定濃度における保存時の析出耐性や容器膨張の改良に対し、アルキレンオキサイド類を用いる事については、何ら言及及び示唆もされていない。
【特許文献1】特許第3146383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、作業環境の改善及び環境保護の面で良好であり、かつ保存時の析出耐性及び容器中での膨張防止効果に優れ、連続処理安定性に優れたハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0009】
(請求項1)
ナトリウムイオンまたはカリウムイオンを0.05mol/L以上、8.0mol/L以下含有し、かつアルキレンオキサイド類を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【0010】
(請求項2)
前記ナトリウムイオンまたはカリウムイオンの濃度が、0.25mol/L以上、6.0mol/L以下であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【0011】
(請求項3)
pHが4.0以上、10.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【0012】
(請求項4)
下記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【0013】
一般式〔I〕
RSO2
〔式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基またはアリール基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または4級アミンを表す。〕
(請求項5)
包装材料で包装され、該包装材料の酸素透過係数が50ml/m2・atm・day以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保存時の析出耐性及び容器中での膨張防止効果に優れたハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0016】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンを0.05mol/L以上、8.0mol/L以下含有し、かつアルキレンオキサイド類を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物により、保存時の析出耐性及び容器中での膨張防止効果に優れ、連続処理安定性に優れたハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0017】
すなわち、前述の如く、濃縮率が高い安定化処理用濃縮組成物において、従来、構成成分のカウンターカチオンとして或いはpH調整のため、アンモニウム塩を用いていたが、これをカリウム塩またはナトリウム塩に置き換えた事で、保存安定性が低下し、特に低温環境下あるいは高温環境下で長期間にわたり保管しておくと、濃縮組成物の析出、また分解等に伴うガスの発生による保存後の容器膨張をきたすという課題に対し、本発明者が鋭意検討を進めた結果、カリウムイオンまたはナトリウムイオンを特定の濃度範囲で含有する安定化処理用濃縮組成物では、アルキレンオキサイド類を添加することで、濃縮組成物の安定性向上を図れる事が判り、析出や分解ガスの発生を防止できることを見出した。
【0018】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0019】
はじめに、本発明の安定化処理用濃縮組成物について説明する。
【0020】
本発明の安定化処理用濃縮組成物とは、脱銀処理を行った後の処理工程で用いられる使用液(タンク液)や補充液を調製するための濃縮された安定化処理組成物であり、従来から言われるリンス液あるいは水洗液も含まれる。また、本発明では、安定化使用液(タンク液)と安定化補充液とを区別するのに格別の意味がない限り、両者を併せて安定化処理組成物と表現している。
【0021】
本発明の安定化処理用濃縮組成物(以下、安定化処理組成物ともいう)は、目的効果を発揮する点から、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンの濃度は、0.05mol/L以上、8.0mol/L以下であることを特徴とし、更には、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンの濃度が0.25mol/L以上、6.0mol/L以下の範囲では、良好な容器膨張耐性や低温析出耐性効果を発揮する観点から好ましい。
【0022】
また、前記ナトリウムイオンまたはカリウムイオンは、アルカリ剤、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)、或いはナトリウム塩、カリウム塩等、どのような状態で添加しても良い。
【0023】
次に本発明の安定化処理用濃縮組成物の特徴であるアルキレンオキサイド類について説明する。
【0024】
本発明に係るアルキレンオキサイド類としては、例えば、アルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレンオキサイド類等が挙げられ、好ましくは、下記一般式〔II〕で表される化合物等が挙げられる。
【0025】
一般式〔II〕
RO−(W−O)p−R
上記一般式〔II〕において、Rは水素原子またはアルキル基を表す。Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−または−CH2CH2CH2CH2−を表す。また、pは1〜300の整数であり、1〜160の整数が好ましく、かつ平均分子量は10000以下であることが、溶解性の観点から好ましい。
【0026】
本発明に係る一般式〔II〕で表されるアルキレンオキサイド類の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0027】
II−1:エチレングリコール
II−2:プロピレングリコール
II−3:ジエチレングリコール
II−4:ブチレングリコール
II−5:ポリエチレングリコール#400(平均分子量400)
II−6:ポリエチレングリコール#600(平均分子量600)
II−7:ポリエチレングリコール#1000(平均分子量1000)
II−8:ポリエチレングリコール#2000(平均分子量2000)
II−9:ポリエチレングリコール#4000(平均分子量4000)
II−10:ポリエチレングリコール#6000(平均分子量6000)
II−11:ポリエチレングリコール#10000(平均分子量10000)
II−12:ポリプロピレングリコール#400(平均分子量400)
II−13:ポリプロピレングリコール#700(平均分子量700)
II−14:ポリプロピレングリコール#1000(平均分子量1000)
II−15:ポリプロピレングリコール#2000(平均分子量2000)
II−16:ポリプロピレングリコール#4000(平均分子量4000)
II−17:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量700)
II−18:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000)
等が挙げられる。また、アルキレンオキサイド類の添加量としては、溶解性の点から、安定化処理用濃縮組成物1Lあたり、0.1g〜200gが好ましい。
【0028】
また、本発明の安定化処理用濃縮組成物は、より過酷な保存条件等で本発明の目的効果をより発揮することができる観点から、前記一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体を含有することが好ましい。
【0029】
前記一般式〔I〕において、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基またはアリール基を表すが、Rがアルキル基である場合、炭素数1〜10が好ましく、より好ましくは1〜3のアルキル基である。また、シクロアルキル基の場合は炭素数6〜10が好ましく、炭素数6の場合が最も好ましい。アルケニル基及びアルキニル基の場合は炭素数3〜10が好ましく、より好ましくは炭素数3〜6である。アリール基の場合は炭素数6〜10が好ましく、炭素数6の場合が最も好ましい。ヘテロ環基の場合は、炭素数1〜6が好ましい。これら基は各種置換基を有するものを含み、好ましい置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アミノ基、スルフォン酸基、カルボン酸基、ニトロ基、リン酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、メルカプト基、シアノ基、アルキルチオ基、スルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、ウレイド基及びチオウレイド基が挙げられる。また、これらの置換基が酸基である場合は、上記のMを伴う塩の場合を含んでいる。
【0030】
以上のうち、好ましいRとしては、炭素数1〜3のアルキル基や、フェニル基である場合が好ましく、好ましい置換基としては、アミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシル基を挙げることができる。一般式〔I〕におけるMは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または4級アミン基を表すが、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましい。
【0031】
また、前記一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体のなかで、溶解性の観点から、Rがアリール基であるアリールスルフィン酸誘導体が好ましい。
【0032】
以下に、本発明に係る一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体の具体的化合物を例示するが、一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体はこれらに限定されるものではない。また、下記例示化合物は、主にスルフィン酸基及びカルボン酸基が中性塩の形で示してあるが、上記のMで示した塩の形であってもよい。
【0033】
【化1】

【0034】
【化2】

【0035】
本発明に係る前記一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体は、スルホニルクロリド化合物の還元により合成する方法が一般的であり、還元剤としては亜鉛末、亜硫酸イオン、アルカリ金属硫化物等が用いられる。また、その他の方法も知られている。上記を含めて、一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体の一般的合成方法は、例えば、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)、4508巻、69(1951)、オーガニック・シンセシス(Organic Synthesis),Collective Vol.I.492(1941)、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)、72巻、1215(1950)、ibid、50巻、792、274、(1928)等に示されている。
【0036】
添加濃度としては、本発明の安定化処理用濃縮組成物1Lあたり、0.01〜0.5molが好ましく、更には0.04〜0.4molが好ましい。また、安定化処理組成物1Lあたりの添加量は、2.0mmol以上、30.0mmol以下が好ましい。前記濃度範囲では、安定した処理液特性が得られる。
【0037】
本発明の安定化処理用濃縮組成物には、上記添加剤の他に、緩衝剤(例えば、炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(例えば、ディアサイド702(ディアボーン社製)、トップサイド2520(パーマケム社製)、1−ブロモ−3−クロロー5,5’−ジメチルヒダントイン、1、3−ビス(ヒドロキシメチル)ブロモ−3ー5,5’−ジメチルヒダントイン、2−ブルモ−2−ニトロプロパンー1,3−ジオール、p−クロロ−m−クレゾール、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、o−フェニルフェノール、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸等)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(例えば、亜鉛塩、マグネシウム塩等)、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の界面活性剤、キレート剤、分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体、蛍光増白剤またはトリアジン系化合物等を適宜添加することができる。
【0038】
キレート剤の具体的化合物としては、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。また添加濃度としては、溶解性の点から、安定化処理用濃縮組成物1Lあたり、1g〜500gの範囲が好ましい。
【0039】
上記の分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体としては、平均分子量が1,000〜70,000のものが好ましく、その代表的具体例を以下に示す。
【0040】
〔1〕ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン(*1)
〔2〕ポリ−N−(2−アクリロイルオキシ)エチル−1−ピロリドン
〔3〕ポリ−N−グリシジル−2−ピロリドン
〔4〕ポリ−N−アリル−2−ピロリドン
〔5〕ポリ−N,N−ジメチル−N−〔3(1−ピロリドニル)−2−ヒドロキシ〕プロピル−アミン−N′−アクリロイルイミン
〔6〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−アクリロイルモルホリン(モル比42:58)
〔7〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−アクリロイルピペリジン(モル比35:65)
〔8〕ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−メタクリロイル−2−メチルイミダゾール(モル比55:45)
〔9〕コポリ−N−(2−アクリロイルオキシ)−エチル−2−ピロリドン/アクリル酸ジエチルアミド(モル比60:40)
〔10〕コポリ−N−(2−メタクリロイルオキシ)エチル−2−ピロリドン/アクリル酸ナトリウム(モル比75:25)
〔11〕コポリ−N−(3−アクリロイルオキシ)プロピル−2−ピロリドン/メタクリル酸メチル(モル比65:35)
〔12〕コポリ−N,N−ジメチル−N−〔3−(1−ピロリドニル)−2−ヒドロキシ〕−プロピルアミン−N′−アクリロイルイミン/アクリル酸エチル(モル比70:30)
〔13〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/酢酸ビニル(モル比70:30)
〔14〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/アクリル酸メチル(モル比70:30)
〔15〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/スチレン(モル比80:20)
〔16〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/アクリル酸アミド/N−ビニル−2−メチルイミダゾール(モル比50:30:20)
〔17〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−(1,1−ジメチル−3−オキソ)−ブチル−アクリルアミド(モル比70:30)
〔18〕コポリ−N−アリル−2−ピロリドン/酢酸ビニル(モル比64:36)
〔19〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/4−ビニルピリジン(モル比60:40)
〔20〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/アクリル酸エチル/アクリル酸モノエタノールアミン酸(モル比50:45:5)
〔21〕コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/ピペリジノマレアミック酸ピペリジン酸(モル比53:47)
〔22〕コポリ−N−ビニルピロリドン/4−ビニルピリジノ−N−メチルアイオダイド(モル比42:58)
〔23〕コポリ−N−ビニルピロリドン/マレイン酸チオ尿素ハーフアンモニウム塩(モル比60:40)
*1:例示化合物〔1〕はゼネラル・アニリン・アンド・フィルム・コーポ(Generalaniline and film Corp.)からPVP K−15、PVP K−17、PVP K−30、PVP K−60、PVP K−90の商品名として、また、ビーエーエスエフジャパン社(BASF Aktiengesellschaft)から、コリドン12、コリドン17、コリドン25、コリドン30、コリドン90、ルビスコールK−17、ルビスコールK−30、ルビスコールK−90の商品名で市販されている。
【0041】
分子構造中にピロリドン核を有する重合体の添加量は、本発明の安定化処理用濃縮組成物1リットル当たり0.1g〜100gの範囲が、溶解性の観点から好ましい。
【0042】
蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販の物を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、チノパールSFP、Blankophor BSU liq.、Hakkol BRK、Hakkol 508等が好ましい。その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16等が挙げられる。これら蛍光増白剤の添加量は、処理組成物1リットルあたり0.1ミリモル〜0.1モルとなるように安定化処理用濃縮組成物に添加することが、良好な白地性を発揮する点から好ましい。
【0043】
トリアジン系化合物の具体的化合物としては、特開2002−139822号公報の段落番号〔0023〕〜同〔0031〕に記載の化合物A−1〜A−34または特開2002−196460号公報の段落番号〔0022〕〜同〔0021〕に記載の化合物P−1〜P−20等が挙げられる。その他、特開2003−255502号公報の段落番号〔0017〕〜同〔0026〕に記載の1)〜20)等を含有しても良い。これらトリアジン系化合物または特開2003−255502号公報に記載の化合物添加量は、溶解性の観点から処理組成物1Lあたり0.1ミリモル〜0.1モルとなるように安定化処理用濃縮組成物に添加することが好ましい。
【0044】
本発明の安定化処理用濃縮組成物には、液保存性の点から亜硫酸塩を含有することが好ましい。亜硫酸塩は、亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。具体的化合物としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これら亜硫酸塩は処理組成物1Lあたり、1×10-5モル/L以上、更には5×10-5モル/L〜5×10-2モル/Lとなるように濃縮処理組成物に添加する事が好ましい。
【0045】
本発明の安定化処理用濃縮組成物のpHは、いかなる範囲でも良いが、本発明の目的効果を発揮しやすい点から、4.0〜10.0の範囲が好ましい。
【0046】
次に、本発明の安定化処理用濃縮組成物の濃縮について説明する。
【0047】
本発明の安定化処理用濃縮組成物の濃縮とは、濃縮組成物を水等の溶媒で希釈して、目的とする処理組成物(補充液や使用液(タンク液))を調製した際、完成した処理組成物のもとの濃縮組成物に対する体積比で表す。また、この体積比の度合いを濃縮率と称す。本発明において、濃縮率は、経時安定性や処理組成物の失活など無ければ何倍でも良いが、保管スペース、輸送上または取り扱い性等の点から好ましくは、10倍〜100倍である。
【0048】
本発明の安定化処理用濃縮組成物を収納する包装材料(包装容器あるいは単に容器ともいう)の材質は、いかなる素材でもあっても良いが、プラスチック材料が好ましく、また、本発明の目的効果の観点から、酸素透過係数は50ml/m2・atm・day以下が好ましく、更には20ml/m2・atm・day以下が好ましい。なお、ここでいう酸素透過係数は、温度23℃、湿度40%RH条件下で、JIS K7126 B法(等圧法)で測定した値である。
【0049】
具体的な包装容器の材料としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリハロゲン化ビニリデン系樹脂、ポリハロゲン化ビニル系樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート(ポリブチレンスクシネート/アジペート共重合体、ポリブチレンスクシネート/カーボネート共重合体も含む)、ポリエチレンスクシネート、ポリビニルアルコール、脂肪属ポリエステル、テレフタール酸/1,4−ブタンジオール/アジピン酸共重合体、β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシヴァレリン酸共重合体、キト酸−セルロース−澱粉混成物、酢酸セルロース、メチルセルロースなどを挙げることができる。
【0050】
ポリオレフィン系樹脂層に用いられる樹脂としては、ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)のいずれも使用することができる。HDPEは、密度が0.941〜0.969のものである。また、LDPEは高圧重合法で合成された物が好ましく、その密度は0.910〜0.925である。また、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリエチレンスクシネート及び酢酸セルロース等のプラスチック材料等も使用する事ができる。
【0051】
市販品としては、例えば、ポリ乳酸では、エコプラ(カーギルジャパン社製、カーギルダウポシマーズ社製)、ラクティ(島津製作所製)、レイシア(三井化学(株)製)、ポリカプロラクトンでは、セルグリーンPH(ダイセル化学工業(株)製)、ポリブチレンスクシネートでは、ビオノーレ(昭和高分子(株)製)、ユーベック(三菱ガス化学(株)製)、ポリエチレンスクシネートでは、ルナーレSE(日本触媒(株)製)、ポリビニルアルコール系では、ポバ−ル(クラレ(株)製、ユニチカ(株)製)、脂肪属ポリエステルでは、グリーンブロック(JSP社製)、テレフタ−ル酸/1,4−ブタンジオール/アジピン酸共重合体では、エコフレックス(BASFジャパン(社)製)、β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシヴァレリン酸共重合体として、ビオファン(グンゼ(株)製)、バイオポール(ICI社製)、キト酸−セルロース−澱粉反応物では、ドロンCC(アイセロ化学社製)、酢酸セルロースでは、セルグリーンPCA(ダイセル化学工業(株)製)などを挙げることができる。これらの包装材料には、耐熱安定剤、耐候安定剤、改質剤、滑剤、着色剤、充填剤などを配合することができる。それらの配合成分は、カーボンブラックやチタンホワイト、カルシウムシリケート、シリカ、炭酸カルシウム、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などの添加剤、ジセチルサルファイド、トリス(ラウリルチオ)フォスファイト、その他アミン系、チオエーテル系、フェノール系などの既知の酸化防止剤、ステアリン酸またはその金属塩などのすべり剤、2−ハイドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンを始めとする可塑剤などが挙げられる。
【0052】
包装容器の材料は、単一で成型して使用しても良いが、2種類以上の材料を適宜用いても良く、必要に応じて、空気透過性が低いプラスチック材料、機械的強度が強いプラスチック材料などの組み合わせや対薬品性の強い化学的に安定なプラスチック材料を内側に、機械的強度の強いプラスチック材料を外表面側に配する構成などを挙げることができる。また、容器の成形は、射出成形、ブロー成形(射出ブロー成形、押出しブロー成形を含む)、押出し成形、真空成形等の成形方式があり、目的に応じて成形方式を採用することができる。容器はある程度の柔軟性と衝撃吸収性を有する容器本体とこの容器本体から突出した硬質の口部とを有するのが好ましい。また口部は、これに螺合するキャップ(蓋部材)の着脱により上部開口部が開閉されるように構成されていることが好ましく、形状は問わないが、例えば従来から一般に用いられている角形の広口容器あるいは丸形の広口容器等が挙げられる。その他には、例えば、特開2000−2973号及び特開2000−3014号の各公報に開示されている自動現像機に装着されて自動開栓されて自動調液が可能な容器なども挙げられる。また、本発明において、包装容器はインフレーション成形法や射出延伸成形法によって成形したフィルムを常法によって積層した袋状容器でも良い。その代表例は、当業界で、キュビテナの名で呼ばれて汎用されているカードボードで裏打ちした袋状容器などが挙げられる。
【0053】
次に、本発明の安定化処理用濃縮組成物が使用される安定化工程を含む現像処理工程について説明する。
【0054】
現像処理工程は、安定化工程(水洗、リンス工程)の他に、発色現像工程、脱銀工程(漂白工程、定着工程または漂白及び定着工程を同一工程で処理する漂白定着工程)及び乾燥工程を含み、各工程間には中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。また、現像処理工程は、発色現像工程、脱銀工程で処理した後、安定化工程、次いで乾燥工程の順で処理されることが好ましい。また、それぞれの処理工程では、補充用発色現像処理液、補充用漂白処理液、補充用定着処理液、補充用漂白定着処理液、または補充用安定化処理液を補充しながら連続的に現像処理することもできる。
【0055】
各処理液の補充量としては、発色現像工程では、現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、感光材料1m2当たり15〜200mlが好ましく、より好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。一方、現像処理される感光材料がカラ−ネガフィルムの場合には、感光材料1m2当たり100〜800mlが好ましく、より好ましくは200〜500ml、特に好ましくは250〜400mlである。漂白工程の補充量では感光材料当り1m2あたり80〜500mlが好ましく、より好ましくは、80ml〜200mlである。また、漂白定着工程の補充量では、感光材料当り1m2あたり20〜250mlが好ましく、より好ましくは、20ml〜110ml、さらに好ましくは30ml〜100mlである。定着工程の補充量では、感光材料1m2当たり3000ml以下が好ましく、より好ましくは200〜1000ml以下である。安定化工程の補充量では液全体で1000ml以下が好ましい。また、各工程の処理時間は、発色現像時間(発色現像工程を行う時間)は迅速性の点から、感光材料がカラーペーパーの場合は、45秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは26秒以下、6秒以上である。一方、感光材料がカラ−ネガフィルムの場合は、20秒〜6分が好ましく、さらに好ましくは、30〜200秒である。漂白工程では、処理に要する時間は2分以内に設定することが好ましく、より好ましくは60秒以内、更に好ましくは45秒以内である。漂白定着工程の処理時間は90秒以内に設定することが好ましく、特に好ましくは45秒、さらに好ましくは26秒以内である。定着時間(定着工程を行う時間)は3分以内が好ましく、より好ましくは2分以内である。安定化時間(安定化工程を行う時間)は、90秒以下が好ましい。
【0056】
なお、発色現像時間は、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、発色現像槽中に入ってから次の処理工程の漂白または漂白定着槽に入るまでの時間をいい、その間のクロスオーバータイム(液外搬送時間)を含む。同様に、漂白時間も、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続する定着処理槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。漂白定着工程に要する時間も該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続する安定化槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。
【0057】
定着時間も、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続する安定化槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。
【0058】
また、安定化時間も第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、安定化槽に入ってから乾燥工程に入るまでの時間を言い、その間のクロスオーバータイムを含む。前記クロスオーバータイムとしてはステイン及びカブリ防止の点から、短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下、更に好ましくは3秒以下である。
【0059】
また安定化工程では、クロスオーバータイムが5秒以下、実質的には0であることがエッジ汚染抑制の点から好ましい。尚、ここで言うエッジ汚染とは、処理後の感光材料の紙支持体端部切断面(エッジ部)の汚れを指す。クロスオーバータイムを実質的0にする手段としては、特開平5−66540号の図2〜図5に記載されるような液中ブレード等の搬送方式を用いることで達成できる。
【0060】
また、安定化工程は1槽でも良いが、2〜10槽程度と槽の数を増やすことで、補充量を減少させることができる点で好ましい。好ましい槽数としては2〜6程度である。また、安定化工程が複数の場合の補充は、何カ所かに分けて補充しても良いが、感光材料の搬送方向の下流側槽に補充し、そのオーバーフロー液(槽間を液面下に位置する管で連結させた場合、該管を溶液が通る場合も含む)を該槽の前槽に流入させる、カウンターカレント方式(多段向流方式)にするのが好ましく、カスケードフロー方式もその1つに含まれる。更に好ましくは2槽以上の安定化槽で最後の槽へ補充液を補充し、オーバーフロー液を順次前の槽へ流し込むことである。
【0061】
発色現像工程、脱銀工程、安定化工程の処理液温度は、一般には30〜40℃であるが、迅速処理では、38〜60℃が好ましく、より好ましくは38〜50℃である。乾燥工程は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像膜への水分の持込み量を減じる観点から現像処理工程の安定化工程を行った後すぐにスクイズロ−ラ−や布などで水分を吸収することで乾燥を早めることも可能である。また当然のことではあるが、温度を高くすることや吹き付けノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0062】
また、漂白工程ではエアレーションを実施しても良い。エアレーションには当業界で公知の手段を使用できる。エアレーションに関してはイーストマン・コダック社発行のZ−121、ユージング・プロセス・C−41第3版(1982年)、BL−1〜BL−2頁に記載の事項を利用できる。また、漂白工程では撹拌を強化することが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。その中でも感光材料の乳剤面に漂白処理組成物を吹き付けるジェット撹拌方式が好ましい。また、漂白工程及び漂白定着工程では処理に使用後のオーバーフロー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再利用(再生)することも出来る。
【0063】
具体的な例としては、「写真工学の基礎−銀塩写真編−」(日本写真学会編、コロナ社発行、1979年刊)等に記載の方法が利用できる。具体的には、電解再生の他、臭素酸や、亜塩素酸、臭素、臭素プレカーサー、過硫酸塩、過酸化水素、触媒を利用した過酸化水素、亜臭素酸、オゾン等が挙げられる。
【0064】
次いで、現像処理工程に用いられる各処理組成物について説明する。
【0065】
はじめに、発色現像処理組成物について説明する。
【0066】
本発明に係る発色現像処理組成物に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0067】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは、例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは上述のように遊離塩基型である。上記芳香族第1級アミン現像主薬の使用液中の濃度は、発色現像液1リットル当たり2ミリモル〜200ミリモル、好ましくは6ミリモル〜100ミリモル、より好ましくは10ミリモル〜40ミリモルとなるように加えられる。
【0068】
発色現像処理組成物には、有機保恒剤を添加してもよい。有機保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、芳香族第一級アミン発色現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、発色現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であり、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
【0069】
また、その他の有機保恒剤としては下記一般式(X)または(Y)で表される化合物を含有させることもできる。
【0070】
【化3】

【0071】
上記一般式(X)において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキル置換してもよいスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
【0072】
上記一般式(X)において、Lは炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、または、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基またはスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、または、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
【0073】
以下に、一般式(X)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0074】
【化4】

【0075】
【化5】

【0076】
【化6】

【0077】
次いで、一般式(Y)で表される化合物について説明する。
【0078】
【化7】

【0079】
上記一般式(Y)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素を表わす。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表わす。sは0または1を表す。
【0080】
sが1をとる場合、Aは
【0081】
【化8】

【0082】
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(Y)で表わされるポリマーを示し、一般式(Y)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
【0083】
sが0をとる一般式(Y)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ」(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。以下、一般式(Y)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0084】
【化9】

【0085】
【化10】

【0086】
また、その他の有機保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
【0087】
上記有機保恒剤の添加量は、発色現像処理液1L当たり1×10-3モル以上、1×10-1モル以下とすることが好ましい。また、発色現像処理液には、対象とする感光材料の種類によって少量の亜硫酸イオンを含んだり、あるいは実質的に含まない場合もあるが、本発明においては、亜硫酸イオンを少量含むことが好ましい。また、ヒドロキシルアミンを少量含有してもよい。ヒドロキシルアミン( 通常塩酸塩や硫酸塩の形で用いるが、以下塩の形を省略する) は、亜硫酸イオンと同様に現像液の保恒剤として作用するが、同時にヒドロキシルアミン自身の銀現像活性のために写真特性に影響することもあるので、この添加量も少量に留める必要がある。また、発色現像処理組成物は、本発明に係る前記一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体を含有しても良い。
【0088】
発色現処理組成物のpHは、使用液では9.0〜13.5が好ましく、補充液pHは9.0〜13.5が好ましい。発色現像処理処理組成物には、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含有させることもできる。
【0089】
上記pHを保持するための緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像処理組成物に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった点から、特に好ましい緩衝剤である。
【0090】
上記緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0091】
上記緩衝剤の添加量は、発色現像処理組成物1Lあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0092】
発色現像処理組成物には、その他の成分として、例えば、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。各種キレート剤の具体例としては、上記のニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像処理組成物中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1L当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
【0093】
発色現像処理組成物には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像処理組成物及びその補充液ともに1Lあたり0.001〜0.2mol、好ましくは0.01〜0.05molが好ましい。
【0094】
発色現像処理組成物には、必要に応じて、前記ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0095】
発色現像処理組成物には、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の界面活性剤を添加しても良い。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.0001〜0.2molが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05molになるように添加量が決められる。
【0096】
発色現像処理組成物には、必要に応じて、蛍光増白剤または前記トリアジン系化合物等を添加することができる。蛍光増白剤としては、前記で説明したビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。これらの中でもチノパールSFP、Blankophor BSU liq.HakkolBRK、Hakkol508が好ましい。また、これら蛍光増白剤またはトリアジン系化合物の添加量は、発色現像処理組成物1Lあたり、0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0097】
カラーネガフィルム用の発色現像処理組成物では、通常、臭素イオンを0.2×10-2〜15.0×10-2モル/リットル、好ましくは0.5×10-2〜5.0×10-2モル/リットル含有する場合が多いが、臭素イオンは、通常、現像の副生成物として使用液中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。また、沃素イオンを0.2×10-3〜15.0×10-3モル/リットル、好ましくは0.5×10-3〜5.0×10-3モル/リットル含有することが多いが、沃素イオンも通常現像の副生成物として使用液中に放出されることもあるので補充液には添加不要のことが多い。
【0098】
カラーペーパー用の発色現像処理組成物には、通常塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有する場合が多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として使用液中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。
【0099】
次に、漂白工程あるいは漂白定着工程で用いる漂白処理組成物または漂白定着処理組成物について説明する。
【0100】
本発明において、漂白処理組成物または漂白定着処理組成物には、漂白主剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸の第2鉄錯塩、過硫酸塩、過酸化水素などのいかなる漂白主剤を用いることができるが、その中でも、アミノポリカルボン酸から錯形成される第2鉄錯塩が、処理の迅速適性や環境適性の観点から好ましい。アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩としては、例えば、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸等のアミノポリカルボン酸との第2鉄錯塩等を挙げることができ、これら化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩またはアンモニウム塩を任意に用いることができる。これらの中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸の第2鉄錯塩が、漂白性能が良好な点から好ましい。
【0101】
これら第2鉄錯塩は、錯塩の形で使用してもよいし、例えば、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などと上記したアミノポリカルボン酸と溶液中で錯形成させてもよい。
【0102】
また、前記したアミノポリカルボン酸と鉄イオンとのモル比率は、キレート構造の安定性から、アミノポリカルボン酸:鉄イオン=1.01:1.00〜1.10:1.00が好ましい範囲である。前記した漂白主剤は、単独或いは2種類以上併用しても良い。
【0103】
前記漂白主剤の濃度としては、漂白処理組成物または漂白定着処理組成物1L当たり、0.01〜1.5モルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.8モル/リットルであり、この範囲とすることにより、低補充適性及び迅速条件での処理性に優れる。また、漂白処理組成物における好ましいpHは、3.0〜7.0であり、特に3.5〜6.5が好ましい。一方、漂白定着処理液では、好ましいpHは3.0〜8.0であり、より好ましくは4.0〜7.5である。上記pHの範囲では、高い漂白能が得られるばかりか、ステイン等の発生もなく、優れた処理性能が得られる。上記pH範囲に調節するには、種々の有機酸塩(例えば、酢酸、乳酸、グリコール酸、琥珀酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、スルホ琥珀酸、酒石酸、グルタル酸など)、有機塩基(例えば、イミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)あるいは、2−ピコリン酸やコージ酸等を適用することができる。これらの中でも、イミダゾール、グリコール酸、琥珀酸及びマレイン酸が漂白能への影響が比較的少ないことから好ましい。また、添加量としては、漂白定着処理組成物1L当たり、0.05〜3.0モルが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.0モルである。
【0104】
また、漂白処理組成物または漂白定着処理組成物においては、本発明に係る前記一般式〔I〕で表されるスルフィン酸化合物を、各処理組成物1L当たり、0.01〜3.0モル程度含有しても良い。
【0105】
上記化合物の他に、漂白処理組成物または漂白定着処理組成物には銀の酸化を促進する為の再ハロゲン化剤として、塩化物、臭化物、ヨウ化物の如きハロゲン化物を添加しても良い。また、ハロゲン化物の代わりに難溶性銀塩を形成する有機性配位子を加えてもよく、ハロゲン化物はアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩、あるいはグアニジン、アミンなどの塩として加える。具体的には、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化カリウム、塩酸グアニジンなどが挙げられる。その添加量は、処理液として調製した際の濃度が、1L当たり0.01〜2.0モルとなる範囲が好ましい。
【0106】
その他、燐酸塩またはポリ燐酸塩燐酸塩を添加しても良い。燐酸塩としては、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸三アンモニウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、及び燐酸三ナトリウム等をあげることができる。ポリ燐酸塩の具体的な化合物としては、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、四燐酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、N(−2−カルボキシエチル)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、N,N−ビス−(カルボキシメチレン)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、モルホリノメタン−ジホスホン酸、ニトリロトリスメチレン−ホスホン酸、エチレンジアミン−テトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、及び2−カルボキシエタン−ホスホン酸、メチレンジホスホン酸等を挙げられる。これら燐酸塩またはポリ燐酸塩は単独或いは2種類以上併用しても良く、添加濃度としては漂白または漂白定着処理組成物1リットルあたり、0.01モル〜2.5モルが好ましい。
【0107】
また、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸等の蛍光増白剤を含んでも良い。これら濃度は、漂白または漂白定着処理液1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.01モルが好ましい。
【0108】
前記トリアジン系化合物を含有しても良い。これら添加濃度は、漂白処理組成物または漂白定着処理組成物1L当たり0.02〜20ミリモルであり、より好ましくは0.05〜10ミリモル、特に好ましくは0.1〜5ミリモルである。
【0109】
硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどの硝酸塩を添加する事もでき、添加濃度としては、漂白または漂白定着処理組成物1リットルあたり0.5〜7.0モルが好ましい。また、各種の消泡剤或いは界面活性剤、前記ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることもできる。
【0110】
漂白処理組成物または漂白定着処理組成物には、迅速処理適性を考慮するときはアンモニウムイオンを使用することが好ましく、一方で、作業環境性に重点をおく場合は、実質上、アンモニウムイオンを含まない方が好ましい。
【0111】
また、漂白定着処理組成物には、保恒剤を含有させることが、下記の定着主剤の経時安定性の点から好ましい。保恒剤としては、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニなど)または亜硫酸イオン放出性化合物等が好ましい。濃度としては、1リットルあたり、亜硫酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。
【0112】
次に、漂白定着処理組成物に含まれる定着主剤について説明する。
【0113】
定着主剤としては、公知のハロゲン化銀溶剤を用いることができ、例えば、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなどチオ硫酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。その他としては、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。定着主剤の濃度は、漂白定着処理組成物1リットル当たり、0.3〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。これらは、1種あるいは2種以上併用しても良い。その他に副次的定着主剤として、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物及びチオ尿素、エチレンチオ尿素などのチオ尿素類などを1種あるいは2種以上併用して含んでも良い。これら副次的定着主剤の濃度としては、好ましくは1.8モル/L以下であり、より好ましくは0.1〜1.6モル/Lの範囲である。
【0114】
次に定着処理組成物について説明する。
【0115】
定着処理組成物には、公知のハロゲン化銀溶解剤である前記定着主剤(例えば、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなど)を含み、必要に応じて副次的な定着主剤(例えば、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物及びチオ尿素、エチレンチオ尿素など)を含んでも良い。定着主剤の濃度としては、定着処理組成物1リットル当たり、0.3〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。また、定着処理組成物のpHは4〜9が好ましく、さらには5.5〜8が好ましい。上記pHの範囲であれば、優れた定着能が得られるばかりか、臭気等の発生も無く、良好な処理性能が得られる。前記pH領域に調節する為には、前記有機塩基(例えば、イミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)などが挙げられる。また、定着処理組成物には、亜硫酸塩やスルフィン酸化合物を含有させることが処理液の経時安定性から好ましく、濃度としては定着処理液1リットルあたり、亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。
【0116】
次いで、現像処理工程で使用されるハロゲン化銀カラー感光材料について説明する。
【0117】
現像処理工程に使用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料としては、主に、支持体上に、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層及び非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0118】
例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができる。好ましくはカラーネガフィルムまたはカラーペーパーである。
【0119】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の代表的構成要素としては、例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
【0120】
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、RDNo.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion, Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0121】
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
化学増感剤 996 III−A項 23 648
分光増感剤 996 IV−A−A、
B、C、D、 23〜24 648〜649
H、I、J項
強色増感剤 996 IV−A−E、J項
23〜24 648〜649
カブリ防止剤 998 VI 24〜25 649
安定剤 998 VI 24〜25 649
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕〔RD17643〕〔RD18716〕
色濁り防止剤 1002VII−I項 25 650
色素画像安定剤 1001VII−J項 25
増白剤 998V 24
紫外線吸収剤 1003VIII−I項、
XIII−C項 25〜26
光吸収剤 1003VIII 25〜26
光散乱剤 1003VIII
フィルター染料 1003VIII 25〜26
バインダー 1003IX 26 651
スタチック防止剤1006XIII 27 650
硬膜剤 1004X 26 651
可塑剤 1006XII 27 650
潤滑剤 1006XII 27 650
活性剤・塗布助剤1005XI 26〜27 650
マット剤 1007XVI
現像剤(ハロゲン化銀カラー写真感光材料に含有)
1001XXB項
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
【0122】
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕
イエローカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
マゼンタカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
シアンカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
カラードカプラー 1002VII−G項 VIIG項
DIRカプラー 1001VII−F項 VIIF項
BARカプラー 1002VII−F項
その他の有用残基放出 1001VII−F項
カプラー
アルカリ可溶カプラー 1001VII−E項
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することが出来る。
【0123】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることも出来る。
【0124】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることが出来る。
【0125】
次に現像処理を機械で行う場合の処理装置(自動現像機)について説明する。
【0126】
本発明において、自動現像機は搬送の線速度が100mm/秒以下であることが好ましく、より好ましくは27.8mm/秒〜80mm/秒、特に好ましくは27.8mm/秒〜50mm/秒である。カラーペーパー用自動現像機の搬送では、カラーペーパーを最終サイズにカットしてから現像処理を行う方式(シート型搬送方式)と、長巻で現像処理し、処理後に最終サイズにカットする方式(シネ型搬送方式)とがある。シネ型搬送方式は画像間に2mm程度の感光材料の無駄がでるため、シート型搬送方式が好ましい。本発明に係わる処理組成物は、処理槽及び補充液槽で、液が空気と接触する面積(開口面積)はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、開口面積(cm2)を槽中の液体槽(cm3)で割った値を開口率とすると、開口率は0.08(cm-1)以下が好ましい。空気と接触する面積を小さくする為には、処理槽及び補充槽では液面に浮かぶ固体または液体の空気非接触手段を設けることが好ましい。
【0127】
具体的には、プラスチック製の浮きなどを液面に浮かべる方法や、処理液と混ざらず、また化学反応を起こさない液体で覆うことが好ましく、液体の例としては、流動パラフィン、液状飽和炭化水素などが挙げられる。自動現像機で迅速に処理を行うためには、各処理液間を感光材料が移動する際の空中時間、即ちクロスオーバー時間は、前記説明した時間以下に設定する事が好ましい。また、クロスオーバー時間を短縮し、かつ処理液の混入を防止するためには、混入防止板を取り付けたクロスオーバーラックの構造が好ましい。また、クロスオーバー時間をなくす方法としては、特開2002−55422号記載のブレードによる液中搬送構造を用いることが好ましい。このブレードによる液中搬送構造は、特開2002−339383号記載の液循環方向を下方向に流す液循環構造、循環系に多孔材質プリーツ状フィルターを設置することが好ましい。また、本発明にかかわる各処理液には、処理液の蒸発分に相当する水を供給する、いわゆる蒸発補正を行うことが好ましい。特に、カラー現像タンク液や漂白定着タンク液において好ましい。このような水の補充を行う具体的方法としては、特に制限はないが、中でも特開平1−254959号や同1−254960号公報記載の漂白定着槽とは別のモニター水槽を設置し、モニター水槽内の水の蒸発量を求め、この水の蒸発量から漂白定着槽における水の蒸発量を算出し、この蒸発量に比例して漂白定着槽に水を補充する方法や液レベルセンサーやオーバーフローセンサーを用いた蒸発補正方法が好ましい。最も好ましい蒸発補正方法は、蒸発分に相当する水を予想して加えるもので、日本発明協会公開技報94−49925号1頁右欄26行目〜同3頁左欄28行目に記載されているように自動現像機の運転時間、停止時間及び温調時間の情報に基づいて予め求められた係数により計算された加水量を添加するものである。また、蒸発量を減少させる工夫も必要であり、開口面積を少なくしたり、排気ファンの風量を調節することが要求される。蒸発量を減少させる手段として、特開平6−110171号記載の「処理槽の上部空間の湿度を80%RH以上に保持する」ことが特に好ましく、上記公報の図1、2記載の蒸発防止ラック及びローラー自動洗浄機構を有する構造が特に好ましい。温調時の結露防止のために排気ファンが通常取り付けられているが、好ましい排気量としては毎分0.1m3〜1m3であり、特に好ましくは、0.2m3〜0.4m3である。感光材料の乾燥条件も処理液の蒸発に影響する。乾燥方式としては、セラミック温風ヒーターを用いるのが好ましく、供給風量としては毎分4m3〜20m3が好ましく、特に6m3〜10m3が好ましい。セラミック温風ヒーターの加熱防止用サーモスタットは、伝熱によって動作させる方式が好ましく、取り付け位置は、放熱フィンや伝熱部を通じて風下または風上が好ましい。乾燥温度は、処理される感光材料の含水量によって調整することが好ましく、カラーペーパーでは50〜70℃、APSフォーマット及び35mm幅のフィルムでは45〜55℃、ブローニーフィルムでは55〜65℃が最適である。乾燥時間は5秒〜2分が好ましく、特に5秒〜60秒がより好ましい。使用液の補充では、補充ポンプが用いられるが、ベローズ式の補充ポンプが好ましい。また、補充方式としては、直接処理槽に濃縮処理組成物を添加するとともに、希釈率に見合った水を処理槽に直接加えても良く、また補充タンク内で濃縮処理組成物を溶解・希釈して補充液として補充しても良く、また補充タンク内で自動調製装置を用いて濃縮処理組成物を自動的に溶解・希釈して補充液として補充しても良い。また、補充精度を向上させる方法としては、ポンプ停止時の逆流を防止するため、補充ノズルへの送液チューブの径を細くしておくことが有効である。好ましい内径としては1〜8mm、特に好ましい内径として2〜5mmである。次に、自動現像機に用いられる種々の部品材料について、以下に記載する。
【0128】
処理槽及び温調槽等のタンク材質は、変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)樹脂が好ましい。変性PPOは、日本ジーイープラスチック社製「ノリル」、変性PPEは、旭化成工業製「ザイロン」、三菱瓦斯化学製「ユピエース」等が挙げられる。また、これらの材質は、処理ラック、クロスオーバー等の処理液に接触する可能性のある部位に適している。処理部のローラー材質は、PVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、TPX(ポリメチルペンテン)等の樹脂が適している。また、これらの材質は、その他の処理液接触部にも使用することが可能である。尚、PE樹脂はブロー形成による補充タンクの材質にも好ましい。処理部、ギヤ、スプロケット、軸受などの材質には、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、UHMPE(超高分子量ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(全芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリマー)等の樹脂が適している。PA樹脂は、66ナイロンや12ナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂で、ガラス繊維や炭素繊維等を含有したものは、処理液による膨潤に対して強く、使用可能である。またMCナイロンの様な高分子量品やコンプレッション形成品は、繊維強化なしでも使用することが可能である。UHMPE樹脂は、未強化品が適しており、三井石油化学(株)製の「リューブマ」、「ハイゼックス・ミリオン」、作新工業(株)製の「ニューライト」、旭化成工業(株)製の「サンファイン」等が適している。分子量は、好ましくは100万以上、より好ましくは100万〜500万である。PPS樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維強化のものが好ましい。LCP樹脂は、ICIジャパン(株)製の「ビクトレックス」、住友化学(株)製の「エコノール」、日本石油(株)製の「ザイダー」、ポリプラスチック(株)製の「ベクトラ」などが含まれる。特に搬送ベルトの材質としては、特開平4−151656号公報に記載の超高強力ポリエチレン繊維やポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。スクイズローラー等の軟質材料としては、発泡塩化ビニル樹脂や発泡シリコン樹脂、発泡ウレタン樹脂が適している。発泡ウレタン樹脂としては東洋ポリマー(株)製の「ルビセル」が挙げられる。配管の継手やアジテーションジェットパイプの継手、シール材などのゴム材質としては、EPDMゴム、シリコンゴム、バイトンゴムなどが好ましい。また、自動現像機において用いられる補充液は、各工程用の補充液を個別に製品形態とするほかに、一組にまとめたカートリッジ形態でも良く、その場合はカートリッジを一括して装着できる装置を自動現像機が有している事が好ましい。
【実施例】
【0129】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0130】
実施例1
《安定化処理用濃縮組成物の調製》
下記の組成からなる安定化処理用濃縮組成物1−1〜1−53を調製した。
【0131】
エチレンジアミン四酢酸 50.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 40.0g
ベンゾイソチアゾリン−3−オン 5.0g
トリアジン系化合物(T−1) 20.0g
アルキレンオキサイド類:一般式〔II〕で表される化合物(表1、2に記載の化合物) 表1、2に記載の添加量
スルフィン酸誘導体:一般式〔I〕で表される化合物(表1、2に記載の化合物)
表1、2に記載の添加量
アルカリ剤*1)(表1、2に記載の化合物) 表1、2に記載の添加量
純水を用いて、1Lに仕上げ、pHを7.3に調整した。
【0132】
なお、*1)アルカリ剤は、所定のpH(pH7.3)に調整するために必要なカウンターカチオンの供給素材であり、表1記載の添加量でpHが7.3とならない濃縮組成物は、水酸化アンモニウム或いは50%硫酸を適宜添加し、調整した。また、安定化処理用濃縮組成物1−1は水酸化アンモニウムでpH調整した。
【0133】
【化11】

【0134】
《包装容器への収納》
上記調製した各安定化処理用濃縮組成物を、酸素透過度係数が50ml/m2・day・atmとなるようにプラスチックの厚み及び材質を適宜選択、調整した包装容器に、空隙率20%で装填し、50℃の恒温槽中で2ヶ月間保存した。次いで、保存後の安定化処理用濃縮組成物について、析出耐性及び容器膨張耐性の評価を行った。得られた各結果を、表1、2に示す。
【0135】
〔析出耐性の評価〕
上記保存後の安定化処理用濃縮組成物及び容器の汚れ状態を目視観察し、下記の基準に従って、析出耐性を評価した。
【0136】
◎:保存後の安定化処理用濃縮組成物に析出物の発生は認められず、また容器内壁への沈析物または汚れの付着も全くない
○:保存後の安定化処理用濃縮組成物に析出物の発生は見られないものの、僅かに容器内壁へ沈析物または汚れ付着が認められる
△:保存後の安定化処理用濃縮組成物に析出物の発生が認められ、かつ容器内壁への沈析物または汚れ付着も僅かに認められ、実用上問題となる品質である
×:保存後の安定化処理用濃縮組成物に明らかな析出物の発生が認められ、かつ容器内壁への沈析物または汚れ付着も認められ、実用上問題となる品質である
〔容器膨張耐性の評価〕
保存後の安定化処理用濃縮組成物の容器状態を目視観察し、以下の基準に従って容器膨張耐性を評価した。
【0137】
◎:容器の変形及び破損が観察されない
○:容器に僅かな膨張が観察されるものの、実用上問題ない
△:容器の膨張が観察され、実用上及び商品イメージ上問題となる品質である
×:容器の強い膨張が発生し、容器の一部で破損、亀裂及び液漏れが観察され、実用上問題となる品質である
【0138】
【表1】

【0139】
【表2】

【0140】
表1、2に記載の結果より明らかなように、従来、pH調整にアンモニウムイオンを用いていたが、それを表1,2に記載のようにナトリウムイオンまたはカリウムイオンに置き換えた結果、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンが本発明の濃度範囲である0.05mol/L以上、8.0mol/L以下では、一般式〔II〕で表されるアルキレンオキサイド類を添加する事で、比較例に対し、析出耐性や容器膨張耐性に優れ、高温環境下での長期保存性に優れた効果を発揮することが分かる。
【0141】
また、本発明の構成の中でもナトリウムイオンまたはカリウムイオンが本発明の濃度範囲が0.25mol/L以上、6.0mol/L以下では、特に良好な容器膨張耐性を発揮し、更に、本発明の構成の中でも、一般式〔I〕で表されるスルフィン酸誘導体を含有させることにより、上記効果がより奏していることが分かる。
【0142】
実施例2
《安定化処理用濃縮組成物2−1〜2−12の調製》
実施例1に記載の安定化処理用濃縮組成物1−4、1−12の調製において、アルカリ剤の添加量(モル/L)を表3に記載のように変更した以外は同様にして、安定化処理用濃縮組成物2−1〜2−12を調製した。
【0143】
《安定化処理用濃縮組成物の低温析出耐性の評価》
上記調製した安定化処理用濃縮組成物2−1〜2−12と、実施例1で調製した安定化処理用濃縮組成物1−4、1−12を、それぞれ90mlを100mlのガラス瓶に収納した後、下記の方法に従って低温析出耐性を評価した。
【0144】
〔低温析出耐性の評価〕
ガラス瓶に入れた各安定化処理用濃縮組成物に、結晶核としてエチレンジアミン四酢酸と1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の混合結晶(1:1)を10mg添加した後、密栓した。次いで、これらを−8℃の環境下で2週間保存した後、安定化処理用濃縮組成物の状態を目視観察し、下記の基準に従って、低温析出耐性を評価した。
【0145】
◎:結晶の増加が全く認められない
○:結晶の増加がほぼ認められない
△:わずかに結晶の増加が認められる
×:多量の析出した結晶が認められる
以上により得られた結果を、表3に示す。
【0146】
【表3】

【0147】
表3に記載の結果より明らかなように、ナトリウムイオンを0.05mol/L以上、8.0mol/L以下含有し、かつ一般式〔II〕で表されるアルキレンオキサイド類を含有する本発明の安定化処理用濃縮組成物は、比較例に対し、−8℃という極低温環境下で保存した際の低温析出耐性に優れていることが分かる。更に、本発明の安定化処理用濃縮組成物の中でも、ナトリウムイオンを0.25mol/L以上、6.0mol/L以下の範囲において、同濃度のナトリウムイオンを含有する比較例に対し、低温析出耐性の改良効果が顕著であることが分かる。
【0148】
実施例3
《安定化処理用濃縮組成物3−1〜3−7の調製》
実施例1に記載の安定化処理用濃縮組成物1−12の調製において、pHを表4に記載のように変更した以外は同様にして、安定化処理用濃縮組成物3−1〜3−7を調製した。
【0149】
《安定化処理用濃縮組成物の評価》
上記調製した各安定化処理用濃縮組成物を、酸素透過度係数が50ml/m2・day・atmとなるようにプラスチックの厚み及び材質を適宜選択、調整した包装容器に、空隙率20%で装填し、65℃の恒温槽中で2ヶ月間保存した。次いで、安定化処理用濃縮組成物について、実施例1に記載の方法と同様にして、析出耐性及び容器膨張耐性の評価を行った。得られた各結果を、表4に示す。
【0150】
【表4】

【0151】
表4に記載の結果より明らかなように、より過酷な高温保存条件では、本発明の安定化処理用濃縮組成物のpHを4.0〜10.0の範囲とすることで、特に優れた析出耐性及び容器膨張耐性を発揮することが分かる。
【0152】
実施例4
プラスチックの厚み及び材質を適宜調整して、表5記載の酸素透過係数を有するプラスチック容器を作製した。
【0153】
上記作製した各プラスチック容器に、実施例1に記載の安定化処理用濃縮組成物1−12を空隙率20%で充填した後、65℃の恒温槽で4ヶ月間保存し、これを保存試料4−1〜4−6とした。
【0154】
次いで、保存試料4−1〜4−6を実施例1に記載の方法と同様にして、析出耐性及び容器膨張耐性の評価を行った。得られた各結果を、表5に示す。
【0155】
【表5】

【0156】
表5に記載の結果より明らかなように、より過酷な保存環境下では、収納する容器の酸素透過係数が50ml/m2・atm・day以下であれば、特に優れた析出耐性及び容器膨張耐性を発揮し、20ml/m2・atm・day以下であれば更に良好であることが分かる。
【0157】
実施例5
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーを作製した。
【0158】
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。ただし、各乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンの分散物(含有量は15質量%)を含有する溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体Aを作製した。この反射支持体Aをコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設し、カラーペーパーである試料101を作製した。ただし表6、7中、ハロゲン化銀乳剤の添加量は、銀に換算して記載した。
【0159】
上記試料101の作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0160】
【表6】

【0161】
【表7】

【0162】
なお、表6、表7に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0163】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフル オロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
【0164】
【化12】

【0165】
【化13】

【0166】
【化14】

【0167】
【化15】

【0168】
【化16】

【0169】
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
【0170】
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
【0171】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
【0172】
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
【0173】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10-4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
【0174】
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
【0175】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
【0176】
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10-3モル添加した。
【0177】
【化17】

【0178】
《露光及び現像処理》
上記作製したカラーペーパーである試料101を用いて、実写シーンが撮影されたカラーネガフィルムから像様露光を行った後、1日あたりの試料101の処理量が10m2で、2Rになるまで下記の現像処理条件で連続処理(ランニング処理)を行った。なお、2Rとは安定化タンク液容量分の2倍の安定化補充液が補充されることを意味する。また、現像処理機としては、コニカミノルタフォトイメージング(株)製の自動現像機NPS−808GOLDを、以下の処理条件となるように改造した処理機を用いた。
【0179】
〔現像処理条件〕
(処理工程) (処理温度) (時間) (補充量) (タンク容量)
発色現像 40.0℃ 25秒 80ml/m2 125L
漂白定着 38.0℃ 25秒 100ml/m2 12.3L
安定化−1 38.0℃ 25秒 11.8L
安定化−2 38.0℃ 25秒 11.8L
安定化−3 38.0℃ 25秒 200ml/m2 11.8L
乾燥 60〜80℃ 30秒
なお、安定化工程は、安定化−3→安定化−2→安定化−1への多段向流方式である。
【0180】
〔各処理液の調製〕
(発色現像処理組成物:1L当たり)
タンク液 補充液
ジエチレングリコール 20.0g 20.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 12.0g 12.0g
塩化カリウム 3.0g −
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)アニリン硫酸塩 6.0g 12.0g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩
5.0g 10.0g
炭酸カリウム 30.0g 30.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム 6.0g 6.0g
pH 10.3 12.0
タンク液及び補充液ともに、水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0181】
(漂白定着処理組成物:1L当たり)
タンク液 補充液
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2モル 0.25モル
チオ硫酸アンモニウム 0.54モル 0.70モル
亜硫酸アンモニウム 0.15モル 0.30モル
コハク酸 16.0g 20.0g
イミダゾール 8.0g 10.0g
pH 6.0 5.5
タンク液及び補充液ともに、水を加えて1Lとし、pHは25%水酸化アンモニウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
【0182】
(安定化処理組成物の調製)
実施例1に記載の本発明の安定化処理用濃縮組成物1−12及び安定化処理用濃縮組成物1−12を50℃の恒温槽中で2ヶ月間保存したものを水で、それぞれ25倍に希釈し、これにチノパールSFP(チバガイギー社製、蛍光増白剤)を0.5g/L添加し、安定化補充液及び安定化タンク液を調製した。
【0183】
なお、安定化補充液及び安定化タンク液のpHは、50%硫酸を用いて7.5に調整した。
【0184】
《連続処理後の特性評価》
次に、これら安定化処理組成物を用いて、それぞれ2Rのランニング処理を行った後、未露光の試料101を処理し、白地部の反射濃度を、Gretag Machbeth社製の反射濃度計(Spectroscan)を用いて測定して白地特性を評価した。結果、高温保存処理を施した安定化処理組成物及び高温保存処理を施していない安定化処理組成物ともに、同等の白地特性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウムイオンまたはカリウムイオンを0.05mol/L以上、8.0mol/L以下含有し、かつアルキレンオキサイド類を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【請求項2】
前記ナトリウムイオンまたはカリウムイオンの濃度が、0.25mol/L以上、6.0mol/L以下であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【請求項3】
pHが4.0以上、10.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
【請求項4】
下記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。
一般式〔I〕
RSO2
〔式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基またはアリール基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または4級アミンを表す。〕
【請求項5】
包装材料で包装され、該包装材料の酸素透過係数が50ml/m2・atm・day以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物。

【公開番号】特開2007−17745(P2007−17745A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199870(P2005−199870)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】