説明

ハロゲン系有機化合物の測定方法

【課題】土壌等に含有される微量なハロゲン系有機化合物を正確に定量することができるハロゲン系有機化合物の測定方法の提供を課題とする。
【解決手段】試料中のハロゲン系有機化合物を測定するハロゲン系有機化合物の測定方法あって、試料中のハロゲン系有機化合物を抽出溶剤で抽出する抽出工程10と、前記抽出工程で用いた抽出溶剤を濃縮する濃縮工程20と、前記濃縮工程で濃縮された抽出溶剤を気化濃縮する気化濃縮工程30と、前記気化濃縮工程で濃縮された抽出溶剤中のハロゲン系有機化合物を測定する測定工程40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハロゲン系有機化合物を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日々の市民生活空間において使用される電化製品または衣類、繊維製品、或いはプラスチック製品等は、火災防止対策の観点から、製品の発火、燃焼を抑制するために臭素化ジフェニルエーテル、四臭素化ビスフェノールA等(以下、ハロゲン系有機化合物と略記する)を添加して製品化されている。土壌、食品、繊維、排水、合成樹脂(以下、土壌等と略記する)に含有されるハロゲン系有機化合物は、環境ホルモン作用や、内臓、生殖器等への悪影響が指摘され、人類の生存を脅かす要因として、第2のPCBと恐れられる所以である。ハロゲン系有機化合物について、生態蓄積性、残留性に基づく有害性に関するデータ報告はしばしば見られるが、法規制されていないこともあって日常生活におけるリスク回避などの具体的な対策技術の開発が遅れていた。またリサイクル、焼却、埋め立て等の後処理についても系統的な浄化システムがなく、飛散防止に努める程度の処理が一般的であった。
しかし欧米、特にEU諸国では2006年7月1日より一部のハロゲン系有機化合物等難燃剤の製造、使用または処分に関する規制がなされており、EU―RoHS「EU―特定有害物質使用規制」が提示されている。わが国でも、過年に環境省が発表した難燃剤に関する調査結果を契機として議論が高まり、今後法律によって規制される方向にあり、土壌等中の微量なハロゲン系有機化合物の含有量を正確且つ迅速、厳密に測定する測定技術が必要不可欠な状態となった。
特に土壌等に含有されるハロゲン系有機化合物等の有害物質は、大気拡散、排水域放流を経て経口摂取されて生体に影響を及ぼすとされることから、より合理的且つ高性能で迅速、安価な測定技術・システムの開発が待たれる状況にある。
【0003】
ハロゲン系有機化合物の発生源は、繊維産業、プラスチック加工産業、電器産業などの製造過程において、原材料への難燃剤の添加、混合段階である製造装置、製造過程での難燃化処理、廃棄物として処理する過程等が発生源となる。
従ってこれらの経路をたどる土壌等には、ハロゲン系有機化合物の他に、大量の水分、有機・無機物質、油分、炭化水素、その他の汚染物質等を含有されているが、その毒性を考慮すれば、含有量が微量のハロゲン系有機化合物についても正確な測定が求められる。更にハロゲン系有機化合物は、土壌等の中において徐々に変化することも知られているため、共存する分解生成物の測定をも求められるのが通常である。
一方、特開2002−40006号公報には、塗装加工建材に含有される揮発性有機化合物の濃度を測定する揮発性有機化合物の測定方法が提供されている。
【特許文献1】特開2002−40006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す揮発性有機化合物の測定方法は、塗装建材に含有される揮発性有機化合物を効果的に測定できるものであるが、あくまで塗装建材に対応するものであって、土壌、食品、繊維、排水、合成樹脂等に含有される微量なハロゲン系有機化合物に対応するものではないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は従来の問題を解決し、土壌等に含有される微量なハロゲン系有機化合物を正確に定量することができるハロゲン系有機化合物の測定方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため本発明のハロゲン系有機化合物の測定方法は、試料中のハロゲン系有機化合物を測定するハロゲン系有機化合物の測定方法あって、試料中のハロゲン系有機化合物を抽出溶剤で抽出する抽出工程と、前記抽出工程で用いた抽出溶剤を濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で濃縮された抽出溶剤を気化濃縮する気化濃縮工程と、前記気化濃縮工程で濃縮された抽出溶剤中のハロゲン系有機化合物を測定する測定工程とを有することを第1の特徴としている。
また本発明のハロゲン系有機化合物の測定方法は、上記第1の特徴に加えて、抽出工程で用いる抽出溶剤はアセトン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤であり、まずアセトン等の水溶性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行う第1抽出工程と、その後でトルエン、キシレン等の疎水性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行う第2抽出工程とを備えることを第2の特徴としている。
また本発明のハロゲン系有機化合物の測定方法は、上記第1又は第2の特徴に加えて、気化濃縮工程は、濃縮工程で濃縮された抽出溶剤に窒素ガスを吹き付けて溶剤を気化させて行うことを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載のハロゲン系有機化合物の測定方法によれば、試料中のハロゲン系有機化合物を抽出溶剤で抽出する抽出工程を備える構成としたので、抽出溶剤を用いることによって試料中に含有されるハロゲン系有機化合物の形態を損なうことなく、正確且つ定量的に抽出させることができる。また抽出工程で用いた抽出溶剤を濃縮する濃縮工程を備える構成としたので、抽出溶剤中のハロゲン系有機化合物の濃度を上げることができる。よって測定成分の濃度を分析機器の信頼できる検出性能以上の濃度に高めることができる。また、濃縮工程で濃縮された抽出溶剤を気化濃縮する気化濃縮工程を備える構成としたので、測定に最適な分析試料液として調整することができる。また気化濃縮工程で濃縮された抽出溶剤中のハロゲン系有機化合物を測定する測定工程を備える構成としたので、試料中のハロゲン系有機化合物を効果的に測定することができる。
【0008】
請求項2に記載のハロゲン系有機化合物の測定方法によれば、請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、抽出工程で用いる抽出溶剤は、アセトン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤である構成としたので、土壌等の試料は多量の水分や油分を含有するところ、親水性・疎水性を併せ持つアセトン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤で抽出を行うことで、効率的な抽出を行うことができる。
また、まずアセトン等の水溶性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行う第1抽出工程と、その後でトルエン、キシレン等の疎水性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行う第2抽出工程とを備える構成としてある。よって水溶性で且つ浸透性、有機物の溶解度が大きいアセトン等の水溶性炭化水素系溶剤で第1段階の抽出を複数回行うことで、試料土壌等を芳香族溶剤に対する親和性に変えることができる。また有機物の溶解度、浸透性が大きいトルエン、キシレン等で第2段階の抽出を複数回行うことで、細孔内まで確実に浸透して微量なハロゲン系有機化合物を完全に抽出させることができる。
【0009】
請求項3に記載のハロゲン系有機化合物の測定方法によれば、請求項1又は2に記載の構成による作用効果に加えて、気化濃縮工程は、濃縮工程で濃縮された抽出溶剤に窒素ガスを吹き付けて溶剤を気化させて行う構成としたので、窒素ガスを用いることで濃縮された抽出溶剤を効果的に気化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係るハロゲン系有機化合物の測定方法について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るハロゲン系有機化合物の測定方法のシステムを示す説明図、図2は本発明の実施例1における臭素系難燃剤のマスクロマトグラムを示す図、図3は本発明の実施例2における臭素系難燃剤のマスクロマトグラムを示す図である。
【0011】
まず図1を参照して、本発明の実施形態に係るハロゲン系有機化合物の測定方法を説明する。
本発明に係るハロゲン系有機化合物の測定方法1は、抽出工程10と、濃縮工程20と、気化濃縮工程30と、測定工程40とを備える。
【0012】
前記抽出工程10は、土壌等の試料に含有される有機ハロゲン化合物を抽出溶剤を用いて抽出させるための工程である。
抽出溶剤としては、アセトン、イソプロピルアルコール、ブタノール、MEK、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤を用いる。このような炭化水素系溶剤は浸透性、溶解性が大きいことから、一般的に沸点の高いハロゲン系有機化合物の抽出を確実に行うことができる。
【0013】
また土壌等の試料中には多量の水分が存在することから、トルエン、キシレン等の疎水性炭化水素系溶剤のみを用いて抽出を行うと、土壌等の試料に存在する多量の水分が溶剤の浸透を阻害し、ハロゲン系有機化合物の抽出効率を低下させることになる。そこで本実施形態では、まず第1抽出工程としてアセトン等の水溶性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行い、その後で第2抽出工程としてトルエン、キシレン等の疎水性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行う構成としている。
このような構成とすることで、アセトン等の水溶性炭化水素系溶剤が有する浸透性、溶解性により、土壌等の試料に含有されるハロゲン系有機化合物の抽出を効率的に行うことができることに加えて、土壌等の試料に含有される過剰な水分を排出することが可能となり、土壌等の試料の性状を疎水性炭化水素系溶剤に対して親和性のあるものに変えることができる。よって、その後にアセトンよりもハロゲン系有機化合物の溶解度が大きい疎水性炭化水素系溶剤であるトルエン、キシレン等の疎水性炭化水素系溶剤を用いての抽出が可能となる。
【0014】
このように、まず第1抽出工程としてアセトン等の水溶性炭化水素系溶剤での抽出を行い、その後に第2抽出工程としてトルエン、キシレン等の疎水性炭化水素系溶剤での抽出を行う構成とすることで、水溶性炭化水素系溶剤のみ或いは疎水性炭化水素系溶剤のみで抽出を行う場合に比べて、土壌等の試料からのハロゲン系有機化合物の抽出効率を向上させることができる。更にそれぞれの処理を複数回行う構成とすることで、ハロゲン系有機化合物の抽出効率を飛躍的に向上させることができる。
【0015】
ここで、溶剤の使用量は土壌等の試料の容量により適宜変更可能であるが、コスト面、抽出効率、安全面を考慮して、第1抽出工程、第2抽出工程共に対象となる試料の容量の1.2倍とすることが望ましい。また試料と溶剤との接触時間も適宜変更可能であるが、抽出効率を考慮して、10分〜20分であることが望ましい。また第1抽出工程、第2抽出工程における抽出回数も適宜変更可能であるが、コスト面、抽出効率等を考慮して、第1抽出工程は2〜5回、第2抽出工程は4〜10回とすることが望ましい。
なお、ここで第1抽出工程において用いる水溶性溶剤として、水溶性炭化水素系溶剤に替えて、或いは水溶性炭化水素系溶剤に加えて、メタノール、エタノール等のアルコール類を用いることも可能であるが、抽出効率を考慮すれば、少なくとも水溶性炭化水素系溶剤を含むものであることが望ましい。
また第1抽出工程、第2抽出工程共に、抽出溶剤は1種類のみを単独で用いるような構成や、数種類を組み合わせて用いるような構成の何れであってもよい。
【0016】
前記濃縮工程20は、抽出工程10で抽出された抽出溶剤中のハロゲン系有機化合物の濃度を上げるための工程である。具体的には、抽出溶剤を減圧蒸発させて過剰な溶剤を部分濃縮させることにより行う。
減圧蒸発に用いる装置としては、ロータリーエバポレータや系内減圧・外部温水加熱蒸発器を用いることができる。また溶剤温度は30℃〜80℃、系内圧力は20〜500mmHgとすることが望ましいが、測定効率の観点から、溶剤温度は40℃〜60℃、系内圧力は30〜150mmHg前後とし、最終液量を20〜100mlとすることが更に望ましい。
【0017】
前記気化濃縮工程30は、測定に最適な分析試料液を調整するための工程である。
具体的には、濃縮工程20で濃縮された部分濃縮溶剤をガスクロマトグラフ−質量分析計(以下、GC−MSと略記する)又はイオン付着質量分析計(以下、IAMSと略記する)に導入して、特定成分を測定するための部分濃縮溶剤の濃縮調整(以下、気化濃縮と略記する)を行う。
更に詳しくは、濃縮工程20で濃縮された部分濃縮溶剤をバイアル瓶または試料瓶に採り、分子篩い吸着材(モレキュラーシーブ)を通過させて精製した窒素ガスを毛細管から吹き付けて気化濃縮を行う。
ここで、気化濃縮工程30で用いられる部分濃縮溶剤の液量は、例えば当初液量を20〜100mlとし、最終液量を0.1〜1.0mlとなるようにする。
【0018】
前記測定工程40は、気化濃縮工程30で調整された気化濃縮溶剤中のハロゲン系有機化合物の濃度を測定するための工程である。
具体的には、気化濃縮工程30で調整された気化濃縮溶剤の一定量をマイクロシリンジに分取し、GC−MS又はIAMSに導入して特定成分を測定する。
【実施例1】
【0019】
次のような試料汚泥及び試験方法で試料中の臭素化ジフェニルエーテル、四臭素化ビスフェノールA等を含む臭素系難燃剤の濃度試験を行った。
1.試料汚泥
試料1:臭素系難燃剤使用工場の排水より捕集した汚泥 80g
試料2:含有難燃剤濃度0.584mg/gの模擬汚泥 80g
試料3:含有難燃剤濃度1.337mg/gの模擬汚泥 80g
試料4:含有難燃剤濃度3.164mg/gの模擬汚泥 80g
2.試験方法
(1)抽出工程
試料1〜4について、次のような抽出溶剤、抽出回数で抽出した。
第1回目:アセトン 50ml 撹拌2分
第2回目:アセトン 30ml 撹拌2分
第3回目:トルエン 30ml 撹拌2分
第4回目:トルエン 30ml 撹拌2分
第5回目:トルエン 30ml 撹拌2分
撹拌、静置後に傾斜法により溶剤を分液した。
抽出溶剤量の合計は168ml(全使用溶剤170mlの内、約2mlが実験中の揮発ロスにより減少)であった。
(2)濃縮工程
次のような方法で濃縮を行った。
抽出溶剤を蒸発フラスコ容量500mlのロータリーエバポレータに移し、溶剤液を40〜50℃、内圧を100〜250mmHg減圧下で約20分、部分濃縮を行い、約10mlの部分濃縮溶剤に調整して20mlのバイアル瓶に採取した。
なお濃縮工程で用いた器具は、アルミ箔シートで丁寧に被覆、遮光し、紫外線による溶剤中の難燃剤の分解を抑制する対策を講じた。
(3)気化濃縮工程
次のような方法で気化濃縮を行った。
モレキュラーシーブ5Aを径20mm、120mm層高に充填した吸着管内に、窒素ガスを10ml/minの流速で通して不純物を除去し、その後、精製した窒素ガスを、部分濃縮溶剤を入れたバイアル瓶の部分濃縮溶剤液面に約30分吹き付け、0.4mlの気化濃縮溶剤を調整した。
(4)測定工程
次のような分析装置を用いて臭素系難燃剤等を測定した。
日本電子製のJMS−700 GC−MS
分離カラム:ZB−5ms DB−5ms 0.25mm内径 各5m長さ
カラム温度:120℃〜300℃ 昇温
【0020】
上記実施例1における臭素系難燃剤のマスクロマトグラムを図2に示す。また実施例1の実験結果の概要を以下に示す。
臭素系難燃剤濃度(mg/g) 測定結果(mg/g)
試料1 0.28
試料2 0.584 0.56
試料3 1.337 1.24
試料4 3.164 3.11
【0021】
実験結果より、既知量に対して95.6%(試料2〜試料4の平均値)の定量値を得た。従って本願測定方法は、この種の測定で妥当とされる範囲の信頼できる技術であることが実証された。
【実施例2】
【0022】
次のような試料排水及び試験方法で試料中の臭素系難燃剤の濃度試験を行った。
1.試料排水
試料5:臭素系難燃剤使用工場の排水 500ml
試料6:含有難燃剤濃度0.681mg/lの模擬排水 500ml
試料3:含有難燃剤濃度2.284mg/lの模擬排水 500ml
試料4:含有難燃剤濃度4.662mg/lの模擬排水 500ml
2.試験方法
(1)抽出工程
試料5〜8について、次のような抽出溶剤、抽出回数で抽出した。
第1回目:トルエン 100ml 撹拌10分
第2回目:トルエン 30ml 撹拌10分
第3回目:トルエン 30ml 撹拌10分
第4回目:トルエン 30ml 撹拌10分
第5回目:トルエン 30ml 撹拌10分
分液ロートに試料とトルエンを添加後、激振動約15分を経て静止して水相と溶剤相を分離し、液下層の水を排出して抽出溶剤のみを分液、採取した。
抽出溶剤量の合計は219ml(全使用溶剤220mlの内、約1mlが実験中の揮発ロスにより減少)であった。
(2)濃縮工程
次のような方法で濃縮を行った。
抽出溶剤を蒸発フラスコ容量500mlのロータリーエバポレータに移し、溶剤液を40〜50℃、内圧を100〜250mmHg減圧下で約20分、部分濃縮を行い、約10mlの部分濃縮溶剤に調整して20mlのバイアル瓶に採取した。
なお濃縮工程で用いた器具は、アルミ箔シートで丁寧に被覆、遮光し、紫外線による溶剤中の難燃剤の分解を抑制する対策を講じた。
(3)気化濃縮工程
次のような方法で気化濃縮を行った。
モレキュラーシーブ5Aを径20mm、120mm層高に充填した吸着管内に、窒素ガスを10ml/minの流速で通して不純物を除去し、その後、精製した窒素ガスを、部分濃縮溶剤を入れたバイアル瓶の部分濃縮溶剤液面に約30分吹き付け、0.4mlの気化濃縮溶剤を調整した。
(4)測定工程
次のような分析装置を用いて臭素系難燃剤等を測定した。
日本電子製のJMS−700 GC−MS
分離カラム:ZB−5ms DB−5ms 0.25mm内径 各5m長さ
カラム温度:120℃〜300℃ 昇温
【0023】
上記実施例2における臭素系難燃剤のマスクロマトグラムを図3に示す。また実施例2の実験結果の概要を以下に示す。
臭素系難燃剤濃度(mg/l) 測定結果(mg/l)
試料5 0.51
試料6 0.681 0.62
試料7 2.284 2.13
試料8 4.662 4.47
【0024】
実験結果より、既知量に対して93.8%(試料6〜試料8の平均値)の定量値を得た。従って本願測定方法は、この種の測定で妥当とされる範囲の信頼できる技術であることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るハロゲン系有機化合物の測定方法のシステムを示す説明図である。
【図2】本発明の実施例1における臭素系難燃剤のマスクロマトグラムを示す図である。
【図3】本発明の実施例2における臭素系難燃剤のマスクロマトグラムを示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ハロゲン系有機化合物の測定方法
10 抽出工程
20 濃縮工程
30 気化濃縮工程
40 測定工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のハロゲン系有機化合物を測定するハロゲン系有機化合物の測定方法あって、試料中のハロゲン系有機化合物を抽出溶剤で抽出する抽出工程と、前記抽出工程で用いた抽出溶剤を濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で濃縮された抽出溶剤を気化濃縮する気化濃縮工程と、前記気化濃縮工程で濃縮された抽出溶剤中のハロゲン系有機化合物を測定する測定工程とを有することを特徴とするハロゲン系有機化合物の測定方法。
【請求項2】
抽出工程で用いる抽出溶剤はアセトン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤であり、まずアセトン等の水溶性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行う第1抽出工程と、その後でトルエン、キシレン等の疎水性炭化水素系溶剤での抽出を複数回行う第2抽出工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン系有機化合物の測定方法。
【請求項3】
気化濃縮工程は、濃縮工程で濃縮された抽出溶剤に窒素ガスを吹き付けて溶剤を気化させて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン系有機化合物の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−58358(P2009−58358A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225587(P2007−225587)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人科学技術振興機構、革新技術開発研究事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(500483781)ツルイ化学株式会社 (8)
【Fターム(参考)】