説明

ハンガー付編地見本

【課題】編地を視覚的にイメージしやすい編地見本を、編地を実際に編成することなく、何時でもハンガー付編地見本を提供できるようにする。
【解決手段】ハンガー付編地見本1は、ハンガー部2と、ハンガー部2の下部に設ける編地形状部3とを有する。編地形状部3は、実際に編成した場合の編地の出来上がり形状と同じ大きさの輪郭を有するシート状部材4で形成され、このシート状部材4の一方の面に、前記編地の出来上がり状態の表面側画像5が、他方の面に編地の出来上がり状態の裏面側画像6が印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
編地のデザイン、形状などを確認するために、ハンガーに固定された編地見本に関する。
【背景技術】
【0002】
実際に編成された見本用の編地は、一般に、中央にフックが設けられた紙製のハンガーに取り付けられて、バーに吊るされる。編地は、ハンガーで吊るして保管を行いながら、吊るされた状態で、簡単に編地のデザイン、形状などを確認できるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3066141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際に編成された見本用の編地をハンガーに取り付ける場合、ハンガーは通常二つ折りになっており、この二つ折りの間に編地を差し込んでおいて、ミシンで編地をハンガーに縫い付けるようにしている。しかし、編地は、織物と異なり、カールしやすいので、ハンガー付けの作業を行う際、カールを伸ばしながら行わなくてはならない場合があり、そのときは作業が煩雑となる。さらに、ハンガーで吊るしている間も編地はカールしやすい。そのため、複数の編地サンプルを並べてバーに吊るした状態において、編地の確認が行いにくい場合がある。
【0005】
しかも、編地見本の追加の依頼があった場合に、見本用の編地を編成するための糸が無いときには、すぐに編地を編成できないので見本が出来上がるまでに時間を要する。
【0006】
また、編地を編成する際には、編み機に糸をセットしたり、デザインを制御装置に入力した後に編成しなければならないので、編地の編成作業に時間を要する。
【0007】
本発明は、編地を視覚的にイメージしやすい編地見本を、編地を実際に編成することなく、何時でも提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハンガー部と、ハンガー部の下部に一体に設ける編地形状部とを有する。編地形状部は、実際に編成した場合の編地の出来上がり形状と同じ大きさの輪郭を有するシート状部材で形成される。このシート状部材の一方の面に、前記編地の出来上がり状態の表面側画像が、他方の面に編地の出来上がり状態の裏面側画像が印刷される。
【0009】
本発明は、このように、編み上がり状態の画像が編み上がり時の編地輪郭に沿ってカットされたシート状部材の両面に印刷されて編地形状部を形成することにより、視覚的に実物の編地に近い状態の編地見本を製作する。
【0010】
シート状部材としては、紙、不織布、フィルムなどが挙げられる。特に紙は、実際の編地のようなカールや皺が起こらず、まっすぐな状態を保持できるので、サンプルが見やすく、画像も印刷しやすい。
【0011】
そして、編地画像の印刷は、シート状部材の両面に行うのであって、一方の面に編地の表面側の編地画像を印刷し、他方の面に編地の裏面側の編地画像を印刷する。このように編地画像をシート状部材の両面に印刷することにより、擬似的に編地を表現でき、編地全体のイメージを容易につかむことができる。
【0012】
編地画像は、例えば、前身頃、袖などのパーツごとの編地見本を形成する場合には、前身頃であれば、前身頃の表面の画像をシート状部材の表面に印刷し、身頃の裏面の画像を糸処理も分るようにシート状部材の裏面に印刷する。
【0013】
また、セーターなど、製品が出来上がった状態の編地見本を作製する場合には、シート状部材の表面に、前身頃の表面の編地画像と、後身頃の裏面が見える部分の編地画像とを印刷し、シート状部材の裏面に、後身頃の表面の編地画像を印刷する。
【0014】
また、セーターなどの筒状製品のサンプルを形成する場合には、2枚のシート状部材を用意して、一方のシート状部材の両面に前側編地の表面側の編地画像と裏面側の編地画像とを印刷し、他方のシート状部材の両面に後側編地の表面側の編地画像と裏面側の編地画像とを印刷して、編地の形状にカットする。そして、2枚のシート状部材を互いの裏面側編地画像が対向するように重ね合わせ、シート状部材の幅方向両端部のみを張り合わせて筒状に形成し、上端部をハンガー部に取り付けるようにする。このとき使用するシート状部材は、プリント可能な柔らかい不織布を用いると、実際に編成された編地の風合いにより近い状態にできる。なお、筒状編地の見本を形成する場合には、3枚以上のシート状部材を用いて見本を形成するようにしてもよい。例えば、前身頃の衿ぐりが深く形成されている場合、後身頃の裏面が前身頃側の衿ぐりから見える状態となる。そこで、3枚のシート状部材を用いて、後身頃の表面側の画像を一枚のシート状部材に印刷し、後身頃の衿ぐり近くの裏面の部分を二枚目のシート状部材で形成し、前身頃の表面側の画像を三枚目のシート状部材に印刷して、これらのシート状部材を重ね合わせて編地形状部を形成する。また、4枚のシート状部材を用いる場合は、一枚目に前身頃の表面の画像を、二枚目に前身頃の裏面の画像を、三枚目に後身頃の裏面の画像を、四枚目に後身頃の表面の画像を印刷し、後身頃、前身頃のそれぞれについて、非印刷面同士を対向させてシート状部材を重ね合わせて編地形状部を形成する。
【0015】
シート状部材に印刷する編地画像としては、画像処理装置でループ形状をシミュレーションして得られた編地画像や、実際の編地を写真撮影した実物大の写真画像、実物をスキャニングして得た画像などが挙げられる。これら編地画像は、現物の編地に近似させるために、編み上がり後に、ループ形状が安定した状態とそっくりの編地形状の編地画像とすることが好ましい。なお、画像処理装置で編地画像を作る場合、シミュレーションするのに必要なデータを入力する。入力するデータとしては、例えば、編成データや、使用する糸の情報(番手、材質、糸取り本数、色、外観状態など)や、ループ長、ゲージ、編地密度などが挙げられる。
【0016】
編地画像をシミュレーションされた画像とする場合は、画像処理装置を用いて実際に編成した編地の出来上がり状態のループ形状をシミュレーションし、このシミュレーションされた編地画像をシート状部材に印刷する。編地の出来上がり状態とは、編地のループ形態が、時間の経過やヒートセットにより安定した状態のことをいう。
【0017】
ループシミュレーションは、既存のループシミュレーション技術を用いることができる。例えば、特開平7−70890号公報、国際公開第WO03/032203A1号パンフレット、文献「The Art of Knitted Fabrics, Realistic & Physically Based Modelling
of Knitted Patterns, EUROGRAPHICS’98, Vol.17,(1998), Number3」に記載されているものが挙げられる。
【0018】
さらに、編地形状部に印刷される編地画像は、その輪郭に影を有するようにして、シート状部材に影とともに、編地画像を印刷することが好ましい。ここで、影とは、実際の編地に光を当てたときにできる影のことをいう。
【0019】
シート状部材を編地の形状に沿ってカットする際、影の輪郭に沿ってカットすることにより、編地画像がカットされることなく、シート状部材の未印刷部分が残らないようにカットしやすくなる。
【0020】
編地は端部処理を行うので、この端部処理の部分でのカットは難しく、影を形成することにより、簡単にカットできるし、この影により編地に立体感がでる。また、表面側が印刷されたシート状部材と、裏面側が印刷されたシート状部材を張り合わせてカットする際に、編地形状に多少の位置ずれが生じても、この影の部分で吸収できる。
【0021】
ハンガー部は、既存の紙製のハンガーを用いて構成してもよいし、編地形状部を形成するためのシート状部材を用い、シート状部材に編地画像とともにハンガー画像を印刷して、編地形状部と一体にハンガー部を形成するようにしてもよい。
【0022】
既存の紙製のハンガーを用いる場合には、編地形状部のみをシート状部材で形成し、編地形状部をハンガー部に固定する。例えば、シート状部材の一方の面に編地の表面側の画像を印刷し、他方の面に編地の裏面側の画像を印刷しておく。印刷されたシート状部材を、実際の編地の出来上がり形状となるようにカットして、このカットした部分をハンガーに接着剤や両面テープなどを用いて固定する。
【0023】
ハンガー部が、二つ折りされた矩形状のハンガー本体部と、このハンガー本体部の上部中央に設けられるフック部とを備える場合には、ハンガー本体部の二つ折りの部分で編地形状部を挟んだ状態で、編地形成部をハンガー本体部に固定する。
【0024】
シート状部材に編地画像とともにハンガー画像を印刷して、編地形状部と一体にハンガー部を形成する場合は、シート状部材の両面に、ハンガー部となるハンガー画像と編地形状部となる編地画像とを、これらが連続した状態で印刷し、ハンガー形状と編地形状の輪郭に沿って、シート状部材をカットしてハンガー付編地見本を形成する。このとき、画像処理装置には、前記したシミュレーションするのに必要なデータに加えて、ハンガー画像のデータも入力しておく。
【0025】
この場合は、縦長のシート状部材の一方の面に、表面側の編地形状部、表面側ハンガー部、裏面側ハンガー部、裏面側の編地形状部の順に連続させて印刷し、表面側ハンガー部と裏面側ハンガー部の上部境界部でシート状部材を折り曲げて、シート状部材を張り合わせる。そして、ハンガー部、編地形状部の型に沿って、シート状部材をカットすることによりハンガー付編地見本が得られる。なお、一枚のシート状部材の両面にハンガー部と編地形状部とを印刷してもよい。
【0026】
ハンガー部もシート状部材に印刷すると、ハンガー部と編地形状部とをシート状部材のみで形成できるので、コストの低廉化および作業時間の短縮化が図れる。
【0027】
さらに、シート状部材にハンガー画像を印刷する場合、このハンガー画像に編地情報を含むようにすることが好ましい。
【0028】
編地情報としては、例えば、デザインの管理番号、編地を編成した編み機の種類、使用した糸の情報(番手、材質など)、出来上がり編地の重量、ループ長、ゲージなどが挙げられる。これらの情報をハンガーの形状部分に同時に印刷しておく。編み機の種類については、ハンガー部の端部に種類に応じて色を変えて印刷することにより、ハンガー部を見ただけで、使用した編み機の種類が分る。
【0029】
既存のハンガーに編地情報を記載する場合には、編地情報をまずラベルシートにプリントアウトし、この情報がプリントされたラベルシートをハンガーに貼り付ける作業を要する。しかし、シート状部材にハンガー画像も印刷する際、このハンガー画像に編地情報も含ませるようして、編地情報も同時に印刷すれば、上記作業がいらなくなる。
【0030】
ところで、本発明では、1枚のシート状部材に対して、一方の面に画像を印刷した後、裏返して他方の面に画像を印刷するようにしてもよい。
【0031】
また、シート状部材は、2枚のシート状部材を用い、一方のシート状部材の一面に表面側の画像を、他方のシート状部材の一面に裏面側の画像を印刷して、印刷後の2枚のシート状部材の非印刷面を張り合わせて1枚のシート状部材に形成するようにしてもよい。
【0032】
例えば、同一形状の2枚のシート状部材を用意し、一方のシート状部材に表面側の画像を印刷し、他方のシート状部材に裏面側の画像を印刷する。なお、1枚のシート状部材の一方の面に表面側の画像と裏面側の画像を並列させて印刷し、印刷後にシート状部材を分割してもよい。次に、表面側画像が印刷されたシートと裏面側画像が印刷されたシートを印刷面が外側に向くように、非印刷面を張り合わす。張り合わされたシート状部材は、両面に画像が印刷された状態となる。張り合わされたシート状部材は、表面側画像と裏面側画像の位置合わせがなされているので、編地形状に沿ってシート状部材をカットする。
【0033】
このように、2枚のシート状部材を張り合わせて一枚のシート状部材にすることにより、シート状部材に一定の厚みが得られ、さらに、ロール紙を用いて画像を印刷した場合には、ロール紙のカールを打ち消すことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明では、編成された編地の状態の画像をシート状部材の両面に印刷して、実際に編み上げたときの型どおりにシート状部材の印刷部分をカットして、擬似的に編地を表現することができる。即ち、画像印刷部分は、視覚による風合いを、実際に編成された編地とそっくりに表現できるので、実物の編地でなくても、編地全体のイメージがつかみすくなり、デザインを確認しやすくなる。
【0035】
さらに、糸や編み機が無くても前記したシミュレーションするのに必要なデータと画像処理装置があれば、何度でも、実物の編地にそっくりな編地見本を作ることができる。編地見本の管理も、実際に編成された編地よりも容易となる。複数のサンプルを並べてハンガーで吊るした状態にしても、実際の編地と同じように少しの隙間からでも、編地のデザイン、風合いを確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明のハンガー付編地見本にかかる実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第一実施形態で、ハンガー付編地見本の編地表面が表されている正面図であり、図2は、図1のハンガー付編地見本の編地裏面が表されている背面図である。
【0037】
本実施形態のハンガー付編地見本1は、ハンガー部2と、ハンガー部2の下部に設ける編地形状部3とを有している。ハンガー部2と編地形状部3は、別々に形成し、編地形状部3をハンガー部2に固定するようになっている。
【0038】
ハンガー部2は、矩形状の紙を二つ折りにして形成されるハンガー本体部21と、このハンガー本体部21の上部中央に設けられるプラスチック製のフック部22とを備える。ハンガー本体部21の折り目中央部分にはスリット(図示せず)が形成されている。フック部22は、ハンガー本体部21のスリットにハンガー本体部21の内側からフック部22を差し込んで、図示していないフック部22に設けるストッパーでハンガー本体部21からフック部22が抜けないようにして取り付けられている。
【0039】
ハンガー本体部21の一方の面には、図2に示すように、編地情報が記載されている。この編地情報部分23は、本実施形態では、所定の大きさのラベルシートに編地情報を印刷し、このラベルシートをハンガー本体部21に貼り付けて構成している。編地情報部分23には、デザインの管理番号、編地を編成した編み機の種類、使用した糸の材質、出来上がり編地の重量などの編地情報が記載されている。
【0040】
編地形状部3は、実際に編成した場合の編地の出来上がり形状と同じ大きさの輪郭を有するシート状部材で形成される。本実施形態では、編地形状部3は、セーターの前身頃のみを編成した編地状態をシート状部材で表現している。
【0041】
本実施形態では、シート状部材として厚手の紙を使用しており、まず、図3に示すように、1枚のシート状部材4の一方の面に前身頃の表面側画像5と裏面側画像6を、シート状部材4の中央線41に対して左右対称となるように並列させて印刷する。なお、図3では、表面側画像5と裏面側画像6の図柄は省略してクロスハッチングで表している。
【0042】
表面側画像5は、図1に示すように、前身頃の表面の編み上がり状態を示す画像であり、裏面側画像6は、前身頃を図1の状態に編成した場合の編地の裏面の状態を示した画像であり、糸の処理状態も現物と同じ状態で表現されている。
【0043】
表面側画像5と裏面側画像6は、画像処理装置を用いて、図4のループ状態に示すように、実際に編成された編地のループ形状が安定した状態でシミュレーションされる。このシミュレーションされた編地画像をシート状部材に印刷する。シミュレーションを行う際には、編地に使用する糸をスキャニングして、糸の色や外観状態を画像処理装置に記憶するとともに、糸の番手、材質、編成時の糸取り本数などの物理的なデータ、およびループ長、ゲージ、編地密度などの編目のデータも記憶しておく。
【0044】
さらに、シミュレーションされた編地画像は、図4に示すように、編地の輪郭に影7の部分を有する状態でシミュレーションされている。そして、シート状部材4には、影7とともに編地画像を印刷する。
【0045】
次に、編地画像が印刷されたシート状部材4を、中央線41で切断することにより分割し、分割された2枚のシートを印刷されていない面で張り合わせて1枚のシート状部材に形成する。このとき、表面側画像5と裏面側画像6との上下方向の向きを同方向にして、2枚のシートを重ねると、2枚のシートは同じ大きさで、かつ、表面側画像5と裏面側画像6が左右対称に印刷されているので、表面側画像5と裏面側画像6の位置合わせも行われるようになっている。本実施形態では、シート状部材4としてロール紙を用いているので、シート状部材4にカールが残る場合がある。しかし、2枚のシート状部材を張り合わせているので、ロール紙のカールを打ち消すことができる。
【0046】
2枚のシートが張り合わされると、シート状部材4の一方の面に表面側画像5が印刷され、他方の面に裏面側画像6が印刷された状態となる。そして、切断装置を用いて、印刷された画像の編地形状の輪郭に沿って(図3において、太実線の部分)、シート状部材4をカットすることにより、印刷された編地形状部分が切り抜かれ、編地形状部3が形成される。
【0047】
本実施形態では、編地画像に編地輪郭に沿う影7を形成しているので、シート状部材4を編地の形状に沿ってカットする際、この影7の輪郭に沿ってカットする。影7の輪郭に沿ってカットすることにより、編地部分がカットされることなく、シート状部材の未印刷部分が残らないようにカットしやすくなる。しかも、この影により編地に立体感がでる。また、表面側がプリントされたシート状部材と、裏面側がプリントされたシート状部材を張り合わせてカットする際に、編地形状に多少の位置ずれが生じても、この影の部分で吸収できる。
【0048】
そして、印刷後のシート状部材4をカットして形成された編地形状部3は、実際の編地と同じ大きさで、一方の面に、前身頃の編地の出来上がり状態の表面側画像のみが、他方の面に前身頃の出来上がり状態の裏面側画像のみが表された状態になり、視覚的に実物の編地に近い状態が表現される。
【0049】
次に、編地形状部3をハンガー部2に固定する。具体的には、ハンガー部2におけるハンガー本体部21の二つ折りの部分で編地形状部3ののりしろ部分を挟み、接着剤や両面テープなどを用いて、編地形状部3をハンガー本体部21に固定する。
【0050】
このように編地形状部3をハンガー部2に固定することにより、ハンガー付編地見本1が形成される。
【0051】
前記した実施形態では、編地形状部3とハンガー部2を別々に形成しておいて、編地形状部3をハンガー部2に固定するようにしたが、図5に示す第二実施形態のように、シート状部材4に編地画像とともにハンガー画像を印刷して、編地形状部3と一体にハンガー部2を形成するようにしてもよい。第二実施形態では、画像処理装置に、編地画像を形成するための前記したシミュレーションするのに必要なデータと、ハンガー画像のデータと、編地情報のデータとを入力しておき、これらデータに基づいてシート状部材4に編地画像、ハンガー画像、編地情報を印刷する。
【0052】
図5に示す第二実施形態は、第一実施形態と同様に、前身頃の編地見本を作製する。第二実施形態では、縦長のシート状部材4の一方の面に、表面側の編地形状部3a、表面側ハンガー部2a、裏面側ハンガー部2b、裏面側の編地形状部3bの順に連続させて画像を印刷する。このとき、表面側画像5と、裏面側画像6とが、ハンガー部2におけるフック部22の上下境界線24で上下対称となるように画像を印刷する。編地画像は、第一実施形態と同様にしてシミュレーションにより画像を形成する。
【0053】
第二実施形態では、シート状部材4にハンガー部2のハンガー画像を印刷するときに、このハンガー画像に第一実施形態でラベルシートに記載した内容と同じ内容の編地情報を含ませて、ハンガー画像の印刷と編地情報の印刷を同時に行うようにしている。編地情報は、第一実施形態のラベルシートの状態と同じように印刷されるようにしている(図5に示す編地情報部分23)。このように、シート状部材に編地情報も印刷させているので、ラベルシートに情報を記載して、ラベルシートをハンガー部に貼り付ける作業がいらなくなる。
【0054】
そして、シート状部材4に画像を印刷した後、画像面が外に向くように、表面側ハンガー部2aと裏面側ハンガー部2bの上下境界線24でシート状部材4を折り曲げて、シート状部材4を張り合わせる。そして、第一実施形態と同様に、ハンガー部2、編地形状部3の輪郭に沿って、シート状部材4をカットすることによりハンガー付編地見本1が切り抜かれる。
【0055】
第二実施形態では、ハンガー部もシート状部材に印刷して、編地形成部と共にハンガー部もカットするだけでハンガー付編地見本を作製できる。このように、ハンガー部と編地形状部とをシート状部材のみで形成できるので、コストの低廉化および作業時間の短縮化が図れる。なお、ハンガー部は、フック部だけを別の部材で形成して、ハンガー本体部に取り付けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ハンガーに見本用の編地を取り付けて展示する編地見本として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第一実施形態にかかるハンガー付編地見本の編地表面が表されている正面図である。
【図2】図1のハンガー付編地見本の編地裏面が表されている背面図である。
【図3】第一実施形態にかかるハンガー付編地見本の編地形状部を形成する方法を説明するための説明図であって、シート状部材に編地画像が印刷された状態を示す。
【図4】編み上がり後の、編地のループ状態をシミュレーションした画像を示す。
【図5】第二実施形態にかかるハンガー付編地見本を形成する方法を説明するための説明図であって、シート状部材に編地画像とハンガー画像とが印刷された状態を示す。
【符号の説明】
【0058】
1 ハンガー付編地見本
2 ハンガー部 2a 表面側ハンガー部 2b 裏面側ハンガー部
21 ハンガー本体部 22 フック部 23 編地情報部分 24 上下境界線
3 編地形状部 3a 表面側編地形状部 3b 裏面側編地形状部
4 シート状部材 41 中央線
5 表面側画像 6 裏面側画像 7 影

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガー部と、ハンガー部の下部に設ける編地形状部とを有し、
編地形状部は、実際に編成した場合の編地の出来上がり形状と同じ大きさの輪郭を有するシート状部材で形成され、このシート状部材の一方の面に、前記編地の出来上がり状態の表面側画像が、他方の面に編地の出来上がり状態の裏面側画像が印刷されていることを特徴とするハンガー付編地見本。
【請求項2】
編地形状部は、実際に編成した編地の出来上がり状態のループ形状が画像処理装置を用いてシミュレーションされた編地画像が印刷されていることを特徴とする請求項1に記載のハンガー付編地見本。
【請求項3】
編地形状部に印刷される編地画像は、その輪郭に影を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハンガー付編地見本。
【請求項4】
編地形状部とハンガー部とが別々に形成され、ハンガー部に編地形状部が固定されて構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のハンガー付編地見本。
【請求項5】
シート状部材の両面に、ハンガー部となるハンガー画像と編地形状部となる編地画像とが連続した状態で印刷され、ハンガー形状と編地形状の輪郭に沿って、シート状部材がカットされてハンガー部と編地形状部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のハンガー付編地見本。
【請求項6】
ハンガー部に印刷されるハンガー画像に、編地情報が含まれていることを特徴とする請求項5に記載のハンガー付編地見本。
【請求項7】
2枚のシート状部材を用い、一方のシート状部材の一面に表面側の画像を、他方のシート状部材の一面に裏面側の画像を印刷して、印刷後の2枚のシート状部材の非印刷面を張り合わせて1枚のシート状部材に形成していることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のハンガー付編地見本。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−122524(P2006−122524A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317311(P2004−317311)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000151221)株式会社島精機製作所 (357)
【Fターム(参考)】