説明

ハンドル回動式掃除具

【目的】清掃時に回動軸が外れない強固な螺子式枢着構造をハンドル回動機構に簡易に構成でき、円滑に清掃作業を行うことができる清掃具を提供することを目的としている。
【構成】雄ねじ53をスプリングワッシャ57を介挿して雌ねじ52の筒部52aに挿入し雌ねじ部52bに螺着して、筒部52a及び雌ねじ52により回動軸を構成している。雄ねじ53を締め付けていくと、可撓性係合片59の先端部は突起体66の緩斜面66aに沿ってねじ中心側に撓みながら揺動して、締め付け完了まで突起体66を順々に越えていく。拡径凹部65の内周部に形成された複数個の突起体66による内周係合部と、雄ねじ53に形成された可撓性係合片59による頭部係合部との係合により、雄ねじ53の螺着回転方向の逆方向への回動を規制して、清掃時に回動軸が外れない強固な螺子式枢着構造のハンドル回動機構を構成して、円滑な清掃作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面や壁面を清掃するための払拭体の袋部に払拭体挿入部を挿脱自在にした清掃具に関し、特には、ハンドルを払拭体挿入部に対して回動自在にしたハンドル回動式掃除具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の清掃具としてハンディタイプや箒状の長柄ハンドル型のものが広く利用されている。例えば、特許文献1には長柄ハンドル型の清掃具が開示されている。
図21は長柄ハンドル型の清掃具を示す。図21の(21A)及び(21B)は夫々、パイル製払拭体40、同図(21B)はパイル製払拭体40を固定し保持する長柄保持具41を示す。
【0003】
払拭体40は、楕円状の基布42と、基布42の下面に植設された多数のパイル44からなる。基布42は綿繊維や合成繊維を網目状に織成して構成され、基布42の上面には同繊維種からなる袋状差込部43、43が設けられている。
【0004】
長柄保持具41は、基布42に装着される装着部45と、手動操作するためのパイプ状の柄47とからなり、柄47の先端側にはグリップ48が設けられている。柄47の先端はジョイント部46を介して装着部45に枢支されている。装着部45はジョイント部46を突設した略楕円状の長円板からなる。装着部45の両端部を袋状差込部43、43に挿入することにより、払拭体40が長柄保持具41に装着され、長柄ハンドル型の清掃具を構成する。殊に、払拭体を定期的に取り替えてメーカーなどからユーザーにレンタルする場合には、払拭体40をハンドルから分離可能にしておく必要があるが、係る構成の掃除具においては、払拭体40の取替えや洗浄時の作業を簡便にするために払拭体40をハンドル先端の装着部45に対し挿脱自在にしている。
【0005】
図21の場合、柄47の先端をジョイント部46により枢支して、ハンドルを払拭体挿入部に対して回動自在にしている。このジョイント枢支機構の他に、清掃具のハンドルの回動機構には種々の回動構造が用いられている。
【0006】
特許文献2には、ローラ状に形成した清掃用モップのモップ軸を回動自在に支持した掃除具が開示されている。この掃除具の場合には該モップ軸に自在継ぎ手の突起をハンドルの二股状先端部の凹部に嵌着して枢支しハンドルを回動自在にしている。
【0007】
特許文献3には、モップ体の筒状基部に棒状ヘッド本体を套挿して装着したヘッドを形成し、次いで、このヘッドをヘッドホルダの一筒側部を縦に切り欠いた筒状クランプ本体の切り欠き部に押しつけて、その弾性により該切り欠き部を一旦広げて、ヘッド中央部を抱持させて組み立てられた清掃具が開示されている。この掃除具の場合には該筒状クランプ本体に枢軸を挿着してハンドルを回動自在にしている。
【0008】
特許文献4には、清掃面を備える清掃本体部にジョイント部を介して回転可能に接続される柄部(ハンドル)を有し、該清掃面を床面に押し付けて用いる清掃具が開示されている。この清掃具では、清掃本体部に連結された軸支部材に柄部の一端部を回転可能に軸支すると共に、一端部に設けたラチェット凸部と、軸支部材に円周状に設けた複数のラチェット凹部のいずれかとの嵌着位置により決まる傾け方向に沿ってのみ、清掃本体部に対して柄部を回転可能にしている。
【0009】
上記特許文献1〜3における回動機構においては、ジョイント部材に枢着したり、枢軸を挿着したりして、ハンドルを回動自在にしているため、清掃作業を繰り返している間に回動部分に緩みが生じたり磨耗したりして、ハンドルが装着部45やモップ体から脱離して外れてしまう問題があった。また、特許文献4においては、柄部の一端部を二股形状にして、端部内側に回転軸を設けて、軸支部材に形成した軸受孔に該回転軸を挿入させて、柄部を所定角度の嵌着位置にセットするための回動式角度セット機構を構成している。しかし、この回動式角度セット機構では、柄部の一端部に設けた回転軸を軸支部材に形成した軸受孔に挿通させているので、清掃時に回転軸が柄部の一端部から折れて柄部が外れ清掃不能になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−270630号公報
【特許文献2】特開平10−328108号公報
【特許文献3】特開2002−65545号公報
【特許文献4】特開2010−264096号公報
【特許文献5】特開平3−131383号公報
【特許文献6】特開平11−93238号公報
【特許文献7】特開昭59−113307号公報
【特許文献8】実開昭59−98114号公報
【特許文献9】実開平2−87187号公報
【特許文献10】特開2009−180306号公報
【特許文献11】特開平9−2502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ハンドル回動式掃除具におけるハンドル脱離の防止のためには、ハンドル回動機構を回動軸が外れない強固な軸支構造にする必要がある。
【0012】
これには、ジョイント部材に雄ねじ部材とスリーブ状の円筒状雌ねじ部材を用いて雄ねじ部材を円筒状雌ねじ部材に螺着する枢着軸支構造が、ジョイント部材から回転軸が簡単には脱離しない有効な手段と考えられる。
しかしながら、係る螺子式枢着構造においても、ハンドルを把持してモップ等の払拭体を床面上に前後左右に動かして清掃することを繰り返していくうちに、ねじ部材の螺着が緩んで脱離してしまう問題を生じた。
そこで、螺子式枢着構造におけるねじの緩みによる脱離を解消するために、螺着状態を保持し且つ緩み止めを防止する脱離防止機構を設ける必要がある。
【0013】
一般に螺子の螺着保持機構には、例えば、特許文献5〜8に開示されているように、のこ刃状歯部と爪部との係合構造が多く用いられている。
例えば、特許文献5には、トルクナットにおいてボルトに対してナットが過度にねじ込まれるとねじ山が破損してしまうのを防ぐために、ねじ込みの際に所定トルク以上が加わると、弾性変形により係合解除してナットを空転させるナットカバー部材が開示されている。
【0014】
係る係合構造はナットの増し締めにも応用されている。例えば、特許文献9には、スタッドボルトの谷部分に係止する係止爪が形成された線材留め具において、線材取付け部の基部にスナップ止めする弾性係止部を形成することが開示されている。また、特許文献10には、内筒クリップと、内筒クリップと連結される外筒クリップからなるスタッドボルトのボルト係止具が開示されている。内筒クリップが外筒クリップに対して取り外し方向に回転可能であるが、増し締め方向には回転不能にするためのラチェットとラチェット係止爪が形成されている。
【0015】
また、緩み止め防止機構においても、例えば、特許文献11に、手動式液体ディスペンサーの栓に取り付ける容器のネックにラチェット歯を形成することが開示されている。
【0016】
しかしながら、清掃具においては、複雑な係合部材を付属部材として追加するのは部品点数が増えてコストアップとなった。また、清掃具には樹脂成型加工材が一般に使用されているため、前記トルクナットにおける弾性変形部材を付設することは難しいという問題があった。
【0017】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、清掃時に回動軸が外れない強固な螺子式枢着構造をハンドル回動機構に簡易に構成でき、円滑に清掃作業を行うことができる掃除具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、ハンドルと、払拭体の袋部が挿着される挿着軸体と、前記ハンドルの根元部と前記挿着軸体とを連結するジョイント部とを備え、前記ジョイント部を、前記挿着軸体に設けた軸受部材、前記根元部に設けた可動軸受材及び回動軸により構成して、前記軸受部材及び前記可動軸受材のいずれか一方を断面凹型形状とし、且つ他方を前記断面凹型形状部分に挿入自在にし、前記軸受部材及び前記可動軸受材を挿着したとき前記軸受部材及び前記可動軸受材を貫通する貫通穴を穿設し、前記貫通穴に前記回動軸を挿着して前記ハンドルを前記挿着軸体に対して回動自在に連結した清掃具であって、前記貫通穴を貫通して挿入される筒部と、前記筒部の内部に形成された雌ねじ部とからなる雌ねじと、前記筒部に挿入され、スプリングワッシャを介挿して前記雌ねじに螺着される樹脂製の雄ねじと、前記雄ねじを挿入する側の前記貫通穴の内周部に形成された内周係合部と、前記雄ねじの頭部に形成された頭部係合部とを有し、前記雄ねじを前記雌ねじに螺着して前記回動軸を構成し、前記内周係合部と前記頭部係合部の係合により前記雄ねじの螺着回転方向の逆方向への回動を規制した清掃具である。
【0019】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記頭部係合部は、前記頭部に片持形状に形成され、前記雄ねじの軸心側に揺動可能した可撓性係合片からなり、前記内周係合部は、前記内周部に突設され、前記螺着回転方向に前記可撓性係合片の移動を可能にし、その逆転方向に係止させる係合突起からなる清掃具である。
【0020】
本発明の第3の形態は、第2の形態において、前記可撓性係合片を前記頭部外周を片持状に切り欠いて揺動自在に構成した清掃具である。
【0021】
本発明の第4の形態は、第2又は第3の形態において、前記可撓性係合片は外側に向いた突起を形成した揺動端部を有し、前記係合突起は複数個の突起体からなり、前記突起体は、前記螺着回転方向側に形成した緩斜面と、前記螺着回転方向の逆方向側に形成した当接面とを有し、前記突起を前記当接面に当接させて前記雄ねじの螺着回転方向の逆方向への回動を規制する清掃具である。
【0022】
本発明の第5の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記雌ねじの頭部又はその近傍に、前記貫通穴の入口側と互いに係合する回り止め防止用係合部材を形成し、前記雄ねじを前記雌ねじに螺着するとき、前記回り止め防止用係合部材の係合により前記雌ねじの空転を防止した清掃具である。
【0023】
本発明の第6の形態は、第1〜第5のいずれかの形態において、前記挿着軸体を前記袋部内で前記ジョイント部に対して前記挿着軸体の軸回りに自転可能に枢支した清掃具である。
【0024】
本発明の第7の形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記袋部内部に当接する突部を前記挿着軸体の外側面に形成した清掃具である。
【0025】
本発明の第8の形態は、第1〜第7のいずれかの形態において、前記軸体本体は、一対の回転軸体と、夫々の前記回転軸体に外嵌された一対の中空体とからなり、夫々の前記中空体を独立して自転可能に各回転軸体に枢支し、各回転軸体を前記連結部に対して左右対称状に配置して前記一対の回転軸体を前記ハンドルに対してT字形又は略T字形に設けた清掃具である。
【0026】
本発明の第9の形態は、第8の形態において、夫々の前記回転軸体の一端を前記ジョイント部に固着した清掃具である。
【0027】
本発明の第10の形態は、第8又は第9の形態において、夫々の前記回転軸体が折曲自在に前記ジョイント部に連結され、前記払拭体の前記袋部に挿着するときに前記一対の回転軸体を前記T字形又は略T字形に固定して剛性保持する保持機構と、前記袋部が脱離する方向に各回転軸体を折曲させて前記保持状態を解除する解除機構とを備えた清掃具である。
【0028】
本発明の第11の形態は、第1〜第7のいずれかの形態において、前記挿着軸体は、前記ジョイント部に一端が連結された軸心体と、前記軸心体に外嵌されて枢支された筒体とからなり、前記軸心体を前記ハンドルに対してL字形又は略L字形に設けた清掃具である。
【0029】
本発明の第12の形態は、第11の形態において、前記軸心体の前記一端を前記ジョイント部に固着した清掃具である。
【0030】
本発明の第13の形態は、第11又は第12の形態において、前記軸心体を折曲自在に前記ジョイント部に連結され、前記払拭体の前記袋部に挿着するときに前記軸心体を前記L字形又は略L字形に固定して剛性保持する保持機構と、前記袋部が脱離する方向に前記軸心体を折曲させて前記保持状態を解除する解除機構とを備えた清掃具である。
【0031】
本発明の第14の形態は、第1〜第13のいずれかの形態において、前記袋部の全周囲に払拭材を多数設けた清掃具である。
【0032】
本発明の第15の形態は、第1〜第14のいずれかの形態において、前記払拭材がパイルからなる清掃具である。
【発明の効果】
【0033】
本発明の第1の形態によれば、前記ハンドルと前記挿着軸体を連結する前記ジョイント部において、前記雌ねじの前記筒部を前記貫通穴に挿入し、且つ前記雄ねじを前記筒部に挿入して前記スプリングワッシャを介挿して前記雌ねじに螺着して、前記筒部及び前記雌ねじにより前記回動軸を構成し、前記雄ねじを挿入する側の前記貫通穴の内周部に形成された前記内周係合部と、前記雄ねじの頭部に形成された前記頭部係合部との係合により前記雄ねじの螺着回転方向の逆方向への回動を規制するので、清掃時に回動軸が外れない強固な螺子式枢着構造をハンドル回動機構に簡易に構成でき、円滑な清掃作業を行える清掃具を実現することができる。また、前記貫通穴の内周部に前記内周係合部を形成し、樹脂製の前記雄ねじの頭部に前記頭部係合部を形成するだけであるので、複雑な係合部材を付属部材として追加することなく、前記回動軸の緩み止めを防止し、且つ強固に螺着状態を保持する脱離防止機構を樹脂成型加工により安価に構成することができる。しかも、複雑な係合部材を付属部材として付加する場合には付属部材が突出して清掃具の外観を損うおそれがあるに対し、前記貫通穴の内周部に前記内周係合部を形成し、樹脂製の前記雄ねじの頭部に前記頭部係合部を形成するので、これらの係合構造を前記内周部に収設することが可能になり、清掃具のユーザー層に好まれるコンパクトデザイン設計に影響を与えずに済む利点も有する。
前記軸受部材及び前記可動軸受材の挿入構造においては、前記軸受部材及び前記可動軸受材のいずれか一方を断面凹型形状とし、且つ他方を前記断面凹型形状部分に挿入自在にすることができ、例えば、いずれか一方を挿入片とし、他方を該挿入片を受け入れる凹部形状にすればよい。
本発明に係る前記挿着軸体には、軽量化の点で中空体が好ましいが、中実体も使用することができ、また、軸体の断面形状も前記袋部内での自転を妨げないものであれば、円形に限らず、楕円形や多角形状のものを使用することができる。
また、本発明は長柄ハンドル型清掃具に限らず、ハンディタイプ等の短尺ハンドル型清掃具にも適用することができる。
【0034】
本発明の第2の形態によれば、前記頭部に片持形状に形成され、前記雄ねじの軸心側に揺動可能した可撓性係合片と、前記内周部に突設された前記係合突起との係合により、前記螺着回転方向に前記可撓性係合片の移動を可能にし、その逆転方向に係止させるので、清掃時に回動軸が外れない強固な螺子式枢着構造をハンドル回動機構に簡易に構成でき、円滑な清掃作業を行える清掃具を実現することができる。
【0035】
本発明の第3の形態によれば、前記可撓性係合片を前記頭部外周を片持状に切り欠いて揺動自在に構成するので、複雑な係合部材を付属部材として追加することなく、前記頭部に前記可撓性係合片を樹脂成型加工により一体的に形成して、前記回動軸の緩み止めを防止し、且つ強固に螺着状態を保持する脱離防止機構を安価に形成することができる。
【0036】
本発明の第4の形態によれば、前記可撓性係合片は外側に向いた突起を形成した揺動端部を有し、前記係合突起は複数個の突起体からなり、前記突起体は、前記螺着回転方向側に形成した緩斜面と、前記螺着回転方向の逆方向側に形成した当接面とを有し、前記突起を前記当接面に当接させて前記雄ねじの螺着回転方向の逆方向への回動を規制するので、前記回動軸の緩み止めを確実に防止して強固に螺着状態を保持する脱離防止機構を形成した清掃具を実現することができる。
【0037】
本発明の第5の形態によれば、前記雌ねじの頭部又はその近傍に、前記貫通穴の入口側と互いに係合する回り止め防止用係合部材を形成し、前記雄ねじを前記雌ねじに螺着するとき、前記回り止め防止用係合部材の係合作用により前記雌ねじの空転を防止するので、前記脱離防止機構における強固な前記雄ねじの締め付けを可能にする組立作業性に優れた清掃具を実現することができる。
【0038】
本発明においては、前記内周係合部と、前記雄ねじの頭部に形成された前記頭部係合部との係合により前記雄ねじの螺着回転方向の逆方向への回動を規制し、清掃時に回動軸が外れない強固な螺子式枢着構造を具備すると共に、前記挿着軸体を軸心回りに自転可能にした自転機構により清掃操作性を向上させた操作性向上機能を付加して、ハンドルを把持して什器等の狭い空間の清掃を行う際して清掃面上を払拭体を楽に回転操作可能にして簡易且つ軽快に清掃作業を行えるハンドル回動式掃除具を実現することができる。
【0039】
以下、図21の従来の掃除具を用いて、ハンドル回動式掃除具における清掃操作性を説明する。
【0040】
払拭体40を装着部45に装着した状態では、大半のパイル44は装着部45の裏側に位置する。しかも、ジョイント部46を介して柄47の先端は装着部45に対して固定、保持され、装着部45の長軸の回りに動かせる自由度を持たない。
しかしながら、この従来の掃除具においては、柄47を装着部45の長手方向に傾けたりすることはできるものの、装着部45の長軸の回りに回動することができないため、清掃作業者は、パイル44の払拭面が床面等に当たるように、常時、柄47を動かす力に気を配って清掃作業を行う必要があり、円滑な清掃作業が妨げられる。
【0041】
図22は家具等の什器などの隙間51を上記掃除具で掃除するとき、床面49に対して柄47を寝かして清掃する状態を示す。図23の(23A)は寝かせ角度θで柄47を傾けた掃除具の側面を示す。
該隙間の清掃に際しては床面49に対する寝かせ角度θを45°以下にする場合が多い。このような寝かせ状態で隙間51の隅々を清掃するには、柄47を把持して矢印50に示すように床面49上をなぞるように回転させながら動かしていく必要がある。ジョイント部46に鉛直に柄47を立てるときは鉛直軸の回りに柄47を回せば、それに追随して払拭体40も回転していく。しかしながら、袋状差込部43、43に装着部45を密着状態で挿着しているため、係る寝かせ状態では、図23の(23B)に示すように、矢印50の向きに柄47を持って回動しても、払拭体40と装着部45が一体的に動いてしまい、回動方向前方側の床面部分で払拭体40の動きが止まり、(23B)の破線で示すように、床面との摩擦抵抗力を受けて回動開始側の床面部分で払拭体40が浮き上って宙に浮き、円滑な回転操作を行うことができなかった。
【0042】
また、上記従来の掃除具の場合には、払拭体40への装着部45の装着状態で払拭体40に対してT字形に柄47を配置し、柄47を前後左右に回動自在にするために装着部45上にジョイント部46を形成している。しかしながら、ジョイント部46を装着部45上に形成しているために、回動連結点が装着部45上方に位置することなり、柄47を持って力を加えても、装着部45上を上滑りして前記回転操作を円滑に行うための力を装着部45に十分に与えることが難しい。
【0043】
他の従来の清掃用モップにおける操作性について検証してみると、例えば特許文献2の清掃用モップにおいては、ワイヤをU字状に折り曲げた部分及びワイヤの各端部の夫々に組紐を嵌合させた後、U字状の内方に一定長さに切断された合成繊維束(清掃用糸条)を跨がせた状態でワイヤを撚り、ワイヤの先端部を内方に折り曲げて端部が組紐で覆われたモップ軸とし、該合成繊維束がこのモップ軸を中心として放射状に広がって形成されている。しかしながら、この清掃具では、ころがり摩擦を利用したローラ回転方式により清掃用モップを床平面に回転操作可能となるものの、モップ軸と一体に合成繊維束をローラ形態様に形成しているため、ワイヤ材料費やワイヤ撚り等の加工費を要するうえ、使用後には清掃用モップをモップ軸材ごと取り替える必要があり、合成繊維束だけ回収して再利用するといったレンタル製品に適用することができない。
【0044】
また、特許文献3の清掃具においては、ヘッド芯材としての棒状ヘッド本体に筒状基部を被せた状態で、ヘッドホルダである筒状クランプ本体の切り欠き部を把持させているので、回動連結点がヘッドの中心軸に近接させて、ヘッド操作に要する力をヘッドに与えやすくなっている。しかし、モップ体の筒状基部に棒状ヘッド本体を套挿するため、ヘッド芯材としての棒状ヘッド本体がモップ体と一体化して動いてしまい、床面との摩擦抵抗により、図21の場合と同様に、床面の回転清掃の際に、ヘッドの一端が床面から浮き上がり円滑な回転操作を行うことができない。
【0045】
そこで、本発明の第6の形態によれば、前記挿着軸体を前記袋部内で前記ジョイント部に対して前記挿着軸体の軸回りに自転可能に枢支したので、前記ハンドルを把持して什器等の狭い空間の清掃を行う際して、前記ハンドルを前記払拭体に対して鋭角に傾けて清掃面上を回転させるときに、前記ハンドルの動きに追随して、前記挿着軸体が前記袋部内部で自転しながら円弧を描くように円滑に回転操作することができ、簡易且つ軽快に清掃作業を行うことができる。また、前記ハンドルは前記ジョイント部を介して前記挿着軸体と連結されているため、前記挿着軸体の軸回りに、つまり前後方向に傾動操作可能となり、更に、前記ハンドルは前記回動軸により回動自在となっているので、前記ハンドルを把持して平面的に清掃操作を行える操作性に優れた清掃具を提供することができる。
【0046】
例えば、レンタル製品の場合には繰り返しの洗浄等によって前記袋部内部が伸びたりして、前記挿着軸体の挿着状態に緩みが生じて、前記回転清掃の際に前記挿着軸体が前後に動いて回動しにくくなるおそれも生ずる。そこで、本発明の第7の形態によれば、前記袋部内部に当接する突部を前記挿着軸体の外側面に形成したので、清掃面上での回転清掃の際に、前記ハンドルの動きに追随して前記突部が前記袋部内部に当接しながら、前記挿着軸体が前後に移動することなく前記袋部内部で自転しながら円弧を描くように回転操作することができ、簡易且つ軽快に清掃作業を行うことができる。
【0047】
本発明の第8の形態によれば、前記軸体本体は、一対の回転軸体と、夫々の前記回転軸体に外嵌された一対の中空体とからなり、夫々の前記中空体を独立して自転可能に各回転軸体に枢支し、各回転軸体を前記連結部に対して左右対称状に配置して前記一対の回転軸体を前記ハンドルに対してT字形又は略T字形に設けたので、前記ハンドルを把持して什器等の狭い空間の清掃を行う際して、前記ハンドルを前記払拭体に対して鋭角に傾けて清掃面上を回転させるときに、前記ハンドルの動きに追随して、夫々の前記中空体が前記回転軸体による枢支によって前記袋部内部で自転しながら円弧を描くように回転操作することができ、簡易且つ軽快に清掃作業を行えるT字形又は略T字形清掃具を提供することができる。しかも、T字形又は略T字形清掃具において、払拭体挿入部としての前記挿着軸体を、前記一対の回転軸体と、夫々の前記回転軸体に外嵌された一対の前記中空体とから構成されるので、簡単且つ安価な構造により払拭体挿入部を回動自在にすると共に、ハンドルの回動機構を一体的に設けて傾動可能にすることができる。
【0048】
本発明の第9の形態によれば、夫々の前記回転軸体の一端を前記ジョイント部に固着することにより、前記回転軸体に外嵌された前記中空体が前記回転軸体の外周に沿って摺接させる枢支構造を簡単に構成することができるので、円滑な前記回転操作が可能なT字形又は略T字形清掃具の低価格化を実現することができる。
【0049】
本発明の第10の形態によれば、夫々の前記回転軸体が折曲自在に前記ジョイント部に連結され、前記払拭体の前記袋部に挿着するときに前記一対の回転軸体を前記T字形又は略T字形に固定して剛性保持する保持機構と、前記袋部が脱離する方向に各回転軸体を折曲させて前記保持状態を解除する解除機構とを備えるので、前記保持機構により、前記回転軸体の前記保持状態において、前記一対の回転軸体を前記T字形又は略T字形に固定して剛性保持して、前記ハンドルの動きに追随して、夫々の前記中空体の前記袋部内部での自転作用を円滑に行わせて前記回転操作可能とし、使用後等においては前記解除機構により前記保持状態を解除して前記袋部が脱離する方向に前記回転軸体を折曲させて、前記払拭体を直に掴んで外さなくとも簡便に離脱させることができ、簡易且つ軽快に清掃作業を行え、しかも前記袋部にワンタッチで払拭体挿入部を挿脱することができるT字形又は略T字形清掃具を提供することができる。
【0050】
本発明は、T字形又は略T字形清掃具に限らず、前記ハンドルの根元部に対して前記挿着軸体がL字形又は略L字形に連結される掃除具に適用することができる。即ち、本発明の第11の形態によれば、前記挿着軸体は、前記ジョイント部に一端が連結された軸心体と、前記軸心体に外嵌されて枢支された筒体とからなり、前記軸心体を前記ハンドルに対してL字形又は略L字形に設けたので、前記ハンドルを把持して什器等の狭い空間の清掃を行う際して、前記ハンドルを前記払拭体に対して鋭角に傾けて清掃面上を回転させるときに、前記ハンドルの動きに追随して、前記筒体が前記軸心体による枢支によって前記袋部内部で自転しながら円弧を描くように回転操作することができ、簡易且つ軽快に清掃作業を行えるL字形又は略L字形清掃具を提供することができる。しかも、L字形又は略L字形清掃具において、払拭体挿入部としての前記挿着軸体を、前記軸心体と、前記軸心体に外嵌された前記筒体とから構成されるので、簡単且つ安価な構造により払拭体挿入部を回動自在にすると共に、ハンドルの回動機構を一体的に設けて傾動可能にすることができる。
【0051】
本発明の第12の形態によれば、前記軸心体の前記一端を前記ジョイント部に固着することにより、前記軸心体に外嵌された前記筒体が前記軸心体の外周に沿って摺接させる枢支構造を簡単に構成することができるので、円滑な前記回転操作が可能なL字形又は略L字形清掃具の低価格化を実現することができる。
【0052】
本発明の第13の形態によれば、前記軸心体を折曲自在に前記ジョイント部に連結され、前記払拭体の前記袋部に挿着するときに前記軸心体を前記L字形又は略L字形に固定して剛性保持する保持機構と、前記袋部が脱離する方向に前記軸心体を折曲させて前記保持状態を解除する解除機構とを備えるので、前記保持機構により、前記軸心体の前記保持状態において、前記軸心体を前記L字形又は略L字形に固定して剛性保持して、前記ハンドルの動きに追随して、前記筒体の前記袋部内部での自転作用を円滑に行わせて前記回転操作可能とし、使用後等においては前記解除機構により前記保持状態を解除して前記袋部が脱離する方向に前記軸心体を折曲させて、前記払拭体を直に掴んで外さなくとも簡便に離脱させることができ、簡易且つ軽快に清掃作業を行え、しかも前記袋部にワンタッチで払拭体挿入部を挿脱することができるL字形又は略L字形清掃具を提供することができる。
【0053】
本発明の第14の形態によれば、前記袋部の全周囲に払拭材を多数設けた払拭体を挿着して、前記払拭体の中心軸回り約360°に自由に動かして、清掃方向に制約されずに円滑に清掃作業を行える清掃具を実現することができる。
本発明の払拭体には、例えば、織布又は不織布の基布に、縫製加工や溶着加工等により中心軸回りに全周にわたり払拭材を植設した払拭体を使用することができる。本発明における払拭材には、ナイロン、綿、ポリエステル等の素材を使用することができる。
【0054】
本発明の第15の形態によれば、パイルの払拭材を使用して、床面等の清掃面を隅々まで疲労せずに円滑に清掃することができる清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る清掃具の外観斜視図である。
【図2】前記清掃具を床面F上に鉛直に立てた状態を示す正面図である。
【図3】前記清掃具の長柄ハンドル2全体組み立て状態図及び前記清掃具における払拭体1の挿着を説明するための図である。
【図4】前記清掃具の分解斜視図である。
【図5】前記清掃具の挿着軸体を長柄ハンドル2に対してT字形に開脚保持した保持状態を示す外観斜視図である。
【図6】前記保持状態の正面図及び背面図である。
【図7】前記保持状態の上面図である。
【図8】前記保持状態の側面図である。
【図9】前記清掃具の挿着軸体を閉じた閉脚状態を示す正面図である。
【図10】前記挿着軸体の開脚保持機構及び解除機構を示す横断面図及び前記挿着軸体の中空体12、13の正面図である。
【図11】前記清掃具の根元部材21に設けた回動軸構造の分解斜視図である。
【図12】根元部材21の正面図及び縦断面図である。
【図13】根元部材21に穿設した貫通穴64の外側入口部分の拡大図である。
【図14】前記回動軸構造に用いる雄ねじ53の側面図及び上面図である。
【図15】雄ねじ53の螺着に用いるスプリングワッシャ57の側面図及び平面図である。
【図16】前記回動軸構造に用いる雌ねじ52の外観図及び縦断面図である。
【図17】前記清掃具の払拭体1の縦断面構造を模式的に示す図である。
【図18】払拭体1の概略側面図及び上面図である。
【図19】長柄ハンドル2の伸縮調整機構及びグリップ5の取着構造を示す断面構成図である。
【図20】前記清掃具の回転操作機能の計測結果を示す表である。
【図21】従来の清掃具を示す外観図である。
【図22】従来の清掃具を寝かして清掃する状態を示す概略側面図である。
【図23】従来の清掃具における回転操作の困難性を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明に係る清掃具の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る長柄ハンドル型清掃具の全体を示す。図2は図1の清掃具を床面F上に鉛直に立てた状態を示す。
この清掃具は払拭体1、清掃作業時に把持する伸縮自在型長柄ハンドル2及び挿着軸体からなる。長柄ハンドル2は内径の異なる1組の長尺状の樹脂製パイプ部材からなる内パイプ3と外パイプ4からなる。内パイプ3と外パイプ4の間には、後述する伸縮調整機構のカバー部材6が配置されている。外パイプ4の開放端側にはグリップ5が取着されている。内パイプ3の下端はハンドル2の根元部を形成する根元部材21のパイプ挿入部21aに嵌着されている。根元部材21には回転軸受9が設けられている。挿着軸体は回転軸体10、11及び中空体12、13からなり、回転軸体10、11が取着される連結部材20の中央上部に軸受片54が設けられている。ハンドル2の根元部と挿着軸体は、回転軸受9と軸受片54からなるジョイント部1aにより連結されている。ハンドル2は後述の図5及び図6の矢印Aに示すように、ジョイント部1aを介して連結部材20の中心軸に対し左右方向に回動自在に連結されている。なお、清掃具の構成部材は後述のスプリングワッシャ57を除き、全て、例えばABS、アセタール樹脂、アルコール系樹脂等の合成樹脂により成形加工された加工材からなる。
【0057】
図3の(3A)は長柄ハンドル2の全体組立て状態を示す。図3の(3B)は本実施形態に係る長柄ハンドル型清掃具において払拭体1の挿着を説明するための図である。図4は本実施形態に係る清掃具の分解斜視図である。図5は挿着軸体を長柄ハンドル2に対してT字形に開脚保持した保持状態を示す。図6の(6A)及び(6B)は夫々、前記保持状態の正面、背面を示す。図7及び図8は夫々、前記保持状態の上面、側面を示す。図9は挿着軸体を長柄ハンドル2の軸方向に閉じた閉脚状態を示す。
【0058】
挿着軸体は、連結部材20の両端に対して横方向に延出された一対の回転軸体10、11と、回転軸体10、11夫々に外嵌された一対の中空体12、13とからなる。回転軸体10、11は、夫々、有底中空状の軸体本体10b、11bと、各軸体本体の開放側に嵌着された先端部10a、11aと、各軸体本体の他方の閉塞端部側に設けた保持部16、17とを有する。各回転軸体10、11は連結部材20に対して左右対称状に配置されている。先端部10aと保持部16は後述の図10に示すように、それらの間に挿着された中空体12の抜け止めとなっており、中空体12は独立して自転可能に各回転軸体10に枢支されている。また、先端部11aと保持部17は同様に、それらの間に挿着された中空体13の抜け止めとなっており、中空体13は独立して自転可能に各回転軸体10に枢支されている。
【0059】
連結部材20の両端部には回動軸穴19及び縦溝20cが形成されている。回転軸体10、11には、夫々、中空体12、13の保持部16、17より、軸芯方向に舌片状に形成された連結端14、15が延設されている。連結端14、15には回転軸体の軸心に直交する貫通穴10d、11dが穿設されている。縦溝20cに沿って連結端14を挿入し、回動軸穴19及び貫通穴10dを位置合わせした状態で、半割形状の中空金属軸体19aが回動軸穴19及び貫通穴10dに圧入挿入されて穴内部に圧接保持され、回転軸体10の回動軸を構成している。また、同様に、縦溝20cに沿って連結端15を挿入し、回動軸穴19及び貫通穴11dを位置合わせした状態で、回動軸穴19及び貫通穴11dに中空金属軸体19aが圧入挿入されて穴内部に圧接保持され、回転軸体11の回動軸を構成している。各回転軸体10、11の連結端14、15は中空金属軸体19aを回動軸として折曲自在に連結部材20に連結されている。縦溝20cに沿って連結端14、15を挿入した状態で、連結部材20の両端部及び連結端14、15に対して、中空金属軸体19aを貫通支持させて挿着することにより回転軸体10、11を折曲自在にする軸受部を構成して、各回転軸体の折曲機構が形成されている。
【0060】
連結部材20には、挿着軸体の払拭体1への挿着時に一対の回転軸体10、11をT字形に固定して剛性保持する保持機構と、払拭体1を脱離させる方向に各回転軸体10、11を折曲させて前記保持状態を解除する解除機構が内蔵されている。
【0061】
図10の(10A)及び(10B)は回転軸体10、11の開脚保持機構及び解除機構を示す。
回転軸体10、11の軸体本体10b、11bには軽量化のために中空部10e、11eが内設されている。連結部材20の中央にはロックボタン18が収設されている。ロックボタン18の頭部は連結部材20の中央の凹部20bより露出している。ロックボタン18の下方には係合脚部18aが形成され、内部にコイルバネ22が配置されており、コイルバネ22の押圧力を受けて該頭部が凹部20bに露出する向きに付勢されている。
【0062】
図10の(10A)及び(10B)は夫々、ロック解除状態、ロック状態を示す。図5、図6に示すように、回転軸体10、11を水平に開いて、連結部材20の軸心方向に回転軸体10、11を配置したとき、ロックボタン18の係合脚部18aがコイルバネ22の押圧力を受けて凹部20b側に上昇して、係合部10c、11cと係合する((10B)参照)。この係合ロックにより、回転軸体10、11を図5等に示すように、水平にT字開脚した保持状態を維持することができる。この保持状態で払拭体1を挿着軸体に挿着することにより図1の掃除具の使用状態が完成する。
【0063】
払拭体1を外すときには、長柄ハンドル2を鉛直方向に支えた状態で、ロックボタン18の頭部をコイルバネ22の押圧力に抗して押し込むと、ロックボタン18の係合脚部18aと係合部10c、11cとの係合が解除され((10A)参照)、図3の(3B)や図9に示すように、回転軸体10、11は自重により垂れ下がって、長柄ハンドル2の軸方向に沿って、僅かに開脚して回転軸体10、11が略ハ字状にほぼ並列するロック解除状態になる。
【0064】
回転軸体10、11の折曲が円滑に行えるように、連結部材20の両端部は円弧形状に形成されている。更に、該両端部の中央には僅かに突出した突出部20dが形成されている。ロック解除により、回転軸体10、11が連結部材20の両端部の円弧面に沿って当接しながら閉じる向きに閉脚動作するとき、保持部16、17の端部分が突出部20dに当接して規制され、図3の(3B)に示すように、回転軸体10、11のなす角度が約10°の略ハ字状の閉脚状態で閉じる。従って、ロック解除により、払拭体1は自重で閉じられた回転軸体10、11から脱離して下方に落下していく。回転軸体10、11が両並びで完全な平行な状態で閉じる場合と比較すると、係る平行なロック解除状態では払拭体1が一気にずり落ちてしまうおそれがあるため、誤って回収位置以外に離脱させてしまう事態を生ずる。一方、本実施形態においては、ロック解除時に回転軸体10、11が図3の(3B)に示すように、僅かに開脚した略ハ字状態となるため、汚れた払拭体1が一気にずり落ちることなく若干緩やかに離脱して円滑な取外し作業を行うことができる。上記のロック解除状態で払拭体1の後述の袋部23に回転軸体10、11を差し込んで、図2のように回転軸体10、11を左右に水平に拡げる操作だけで簡単に挿着することができる。上記のように、連結部材20の保持機構及び解除機構を用いて、払拭体1の挿脱作業をワンタッチで行うことができる。
【0065】
回転軸体10、11の各先端部10a、11aは、袋部23への挿入を円滑にする丸型尖頭形状のキャップ状部材からなり、各軸体本体10b、11bの中空部10e、11eに嵌着されている。軸体本体10b、11bの両端側で、先端部10a、11aと保持部16、17とが対向する夫々の近傍部分は、段差状の縮径部10f、11fが形成されている。一対の中空体12、13は、夫々、縮径部10f、11fに接触して自転可能に外嵌、収設されている。中空体12、13の断面は、図10の(10C)に示すように円形である。中空体12、13及び軸体本体10b、11bは真円形でなくとも、楕円形や多角形状のものを使用することができる。縮径部10f、11fは中空体12、13の長さに対応して、回転軸体10、11外周に段差状に形成されている。従って、本実施形態における挿着軸体は、払拭体1の挿着状態において、連結部材20に対して水平に延出され、直線上に広げた回転軸体10、11の軸回りに、払拭体1の袋部23内で自転可能に枢支されている。
【0066】
本実施形態に係る清掃具のハンドル回動機構を図11〜図16を参照して説明する。
図11は根元部材21に設けた回動軸構造の分解斜視図である。図12は根元部材21の正面図及び縦断面図である。
根元部材21内部には内パイプ3が挿入される貫通穴からなるパイプ挿入部21aが穿設されている。パイプ挿入部21a内には4本の列状突起70が軸心方向に突設されている。内パイプ3をパイプ挿入部21aに挿入したとき、列状突起70により内パイプ3の挿入部分を押圧して抜け止め保持することができる。根元部材21の下端部分には拡径状に膨らんだ回転軸受9が形成されている。図11及び図12に示す符号56は樹脂成形加工時に用いた加工用穴を示す。
【0067】
回転軸受9は縦溝67が軸心方向に形成された断面凹型形状を有する。縦溝67を挟んだ凹部には貫通穴64、68が根元部材21の軸心方向に直交する向きに穿設されている。貫通穴64、68には雌ねじ52が挿入可能な形状になっている。貫通穴68は貫通穴64より拡径され、雌ねじ52頭部裏側の段差部分52cが嵌入可能になっている。軸受片54にも雌ねじ52が挿通可能な貫通穴54aが連結部材20の軸心方向に直交する向きに穿設されている。貫通穴64の外側入口部分には、雄ねじ53が挿入されて、雄ねじ53の頭部53aが係着される拡径凹部65が形成されている。貫通穴68の外側入口部分には、雌ねじ52が挿入されて、雌ねじ52の頭部が嵌入される拡径凹部68aが形成されている。
【0068】
回転軸受9と軸受片54からなるジョイント部1aの回動軸は、縦溝67に連結部材20の軸受片54を挿入した挿着状態において挿入される雌ねじ52及び雄ねじ53により構成されている。本実施形態においては、根元部材21に可動軸受材として回転軸受9を設け、連結部材20に軸受部材として軸受片54を設けているが、根元部材21に可動軸受材として軸受片を設け、連結部材20に軸受部材として回転軸受を設けて挿入自在構造にしてもよい。
【0069】
図13は貫通穴64の外側入口部分の拡大図である。図14は雄ねじ53の側面(14A)及び上面(14B)を示す。図15は雄ねじ53の螺着に用いるスプリングワッシャ57の側面(15A)及び平面(15B)を示す。図16は雌ねじ52の外観(16A)及び外観(16A)のB−B矢視断面の縦断面(16B)を示す。
【0070】
雄ねじ53は頭部53aから雄ねじ部58が延出された樹脂性ビスからなる。一組の空所60及び可撓性係合片59が頭部53aに点対称状に一体的に形成している。頭部53a外周より内向きに一部切り欠いて空所60が形成され、片持状に揺動自在に構成した可撓性係合片59を形設している。可撓性係合片59は頭部外周に沿った本体部分と、頭部外周より後述の突起体66の高さにほぼ近い大きさで突出した先端部分(揺動端部)からなる。各可撓性係合片59の間には、螺子締め用の矩形凹部61が軸対称状に凹設されている。凹部61に嵌入配置された金属性突起軸体を4本(又は2本)をドライバー本体に植設した締付用ドライバー(図示せず)を用いて、各突起軸体を凹部61に嵌入して回転操作することにより雄ねじ53の締結作業を行うことができる。無論、一般的なマイナスドライバーないしプラスドライバーの先端が嵌り込む−又は+の溝を刻設して締結するようにしてもよい。
【0071】
貫通穴64の拡径凹部65はスプリングワッシャ57及び雄ねじ53の頭部53aが収設可能な大きさを有する。拡径凹部65の内周部には、図13に示すように、略台形状の突起体66が16個、所定間隔をおいて中心に向けて突設されている。各突起体66は可撓性係合片59の先端部分と係合する係合突起を構成する。突起体66は雄ねじ53の締付方向、つまり螺着回転方向側に形成した緩斜面66aと、螺着回転方向の逆方向側に形成した当接面66bとを有する。
【0072】
スプリングワッシャ57は図15に示すように、拡径凹部65に収容可能な外径と雌ねじ52を挿通可能な穴を有し、外周に沿って3個のばね体69が点対称状に形成されている。
【0073】
雌ねじ52は頭部からスリーブ状に延設された筒部52aと、筒部52a内に刻設された雌ねじ部52bを有する。雌ねじ52頭部の裏側には回り止め防止用係合部材63が突設されている。貫通穴68には図12の(12B)に示すように、拡径凹部68aとの境界部分に凹部68bが形成されている。雌ねじ52を貫通穴64、68及び縦溝67を貫通して挿入した状態で、回り止め防止用係合部材63を凹部68bに嵌入させることにより、雄ねじ53の雄ねじ部58を雌ねじ52の雌ねじ部52bに挿入して螺着するとき、回り止め防止用係合部材63と凹部68bとの嵌合による係合作用によって雌ねじ52の空転を防止するので、雄ねじ53の締め付けを強固に行うことができる。
【0074】
上記構成のジョイント部1aにおける回動機構において、回転軸受9と軸受片54とを挿着した挿着状態で、雌ねじ52の筒部52aを貫通穴64、68、縦溝67及び貫通穴54aを挿通させた状態で、雄ねじ53をスプリングワッシャ57を介挿して筒部52aに挿入し雌ねじ部52bに螺着して、筒部52a及び雌ねじ52により回動軸を構成している。雄ねじ53の頭部53aを拡径凹部65に嵌入させて雄ねじ53を締め付けていくと、可撓性係合片59の先端部は突起体66の緩斜面66aに沿ってねじ中心側に撓みながら揺動して、締め付け完了まで突起体66を順々に越えていく。当接面66bは拡径凹部65の内周面に対し垂直な方向に形成されており、可撓性係合片59の先端部は締付方向と逆方向に移動するとき当接面66bに当接してねじ中心側に撓むことができない。従って、雄ねじ52を挿入する側の拡径凹部65の内周部に形成された複数個の突起体66による内周係合部と、雄ねじ53の頭部53aに形成された可撓性係合片59による頭部係合部との係合により、雄ねじ53の螺着回転方向の逆方向への回動を規制することができる。即ち、本実施形態に係る清掃具においては、突起体66による内周係合部と、可撓性係合片59による雄ねじ53の頭部係合部とからなる簡易な構成により螺着回転方向の逆方向への回動を規制して、清掃時に回動軸が外れない強固な螺子式枢着構造のハンドル回動機構を具備し、円滑な清掃作業を行うことができる。
【0075】
拡径凹部65の内周部に前記内周係合部を形成し、樹脂製の雄ねじ53の頭部53aに前記頭部係合部を形成するだけであるので、複雑な係合部材を付属部材として追加することなく、回動軸の緩み止めを防止し、且つ強固に螺着状態を保持する脱離防止機構を樹脂成型加工により一体的に構成して安価に製造することができる。しかも、複雑な係合部材を付属部材として付加する場合には付属部材が突出して清掃具の外観を損うが、係合構造を拡径凹部65に形成して、拡径凹部65に雄ねじ53の頭部53aを面一状に収納し、且つ雌ねじ52の頭部も拡径凹部68aに面一状に収納することが可能になり、清掃具のユーザー層に好まれる凹凸のないコンパクトデザイン設計に影響を与えずに済む利点を有する。
【0076】
図17は払拭体1の縦断面構造を模式的に示す。払拭体1は、片面側に多数のパイル(払拭材)群24が植設された一組の長手形状の基布25、26からなる。払拭体1の中央には開口部27が形成され、内部には袋状の袋部23が形成されている。袋部23は、基布25、26の基布面のうちパイル群24が植設されていない面を対面させて重ね合わせ、基布の周縁部を、その一部を開口して縫着して形成されている。図17の縦断面においては、開口部27の下端側の周縁部31を横糸29で縫着した状態が示されている。袋部23は、回転軸体10、11及び中空体12、13からなる挿着軸体を開口部27から挿着可能にしたT字形状を有し、袋部23の全外周にわたりパイル30が植設されている。基布の素材には、パイル群を保持する強度を必要とし、厚手のキャンバス布、木綿や合成化学繊維の帆布等の布材等を使用するのが好ましい。本実施形態では、パイル材及び基布材として無色のナイロン素材を使用している。
【0077】
図18は払拭体1の概略側面及び上面を示す。
各基布25、26の長手方向の一辺側中央部32の一部が切り欠いて切除されており、図18の(18A)に示すように、切除端は縁縫い33が施されて布端が解れないようにしている。袋部23の形成により、中央部32は挿着軸体の導入口、つまり開口部27となる。
同図(18B)は(18A)のC−C断面を模式的に示す。同図(18B)に示すように、各基布の端部34、35と36、37は、縫糸38により結着されて、裏返されて袋部23の内側に取り込まれている。袋部23の開口部27に隣接した各基布の周縁部39は横糸28で縫着され、開口部27と対向した各基布の周縁部31は横糸29で縫着されている。従って、袋部23には開口部27のみが開口され、その全外周にわたりパイル30が植設された状態になっている。なお、図18の(18B)においてはパイル群24の一断面を模式的に示し、パイル間に隙間があるようにみえるが、各パイルが大きな間隙もなく密集状に植設され、互いに絡み合っている。
【0078】
図19の(19A)は長柄ハンドル2の伸縮調整機構を示す。内パイプ3と外パイプ4の接合部において、内パイプ3の開口部にパイプボタン8の頭部が露出している。パイプボタン8は、樹脂弾性片からなり、該頭部と、それに一体化された中空押圧変形部8aと、該接合部に密着する係止部8eとからなる。中空押圧変形部8aには上下にバネ係止用突起8b、8cが形成されている。バネ係止用突起8b、8cの間にはコイルバネ8cが取り付けられている。外パイプ4の端部に設けた穴にパイプ抜止片6cが嵌入されて、その上からカバー部材6が外嵌され、外パイプ4が抜けないようにしている。カバー部材6は内パイプ3の開口部に対応して形成した穴6bにカバー抜止片6aが嵌着されて、外パイプ4に取着されている。
【0079】
上記伸縮調整機構において、コイルバネ8cの押圧力により、パイプボタン8の頭部が該開口部に嵌り込み、内パイプ3と外パイプ4との接合状態が保持される。長さを調整する際には、パイプボタン8の頭部を内側に押し込むことにより、コイルバネ8cの押圧力が解除されて、外パイプ4をカバー部材6と共に内パイプ3に沿って摺動させることができ、所望の長さ位置でパイプボタン8の頭部を露出させることによりその位置での長さをセットすることができる。
【0080】
図19の(19B)はグリップ5の取着構造を示す。外パイプ4の上端側に設けた穴4aにグリップ5下端側の開口部よりカバー兼用のグリップ抜止片7を嵌着することにより、グリップ5を外パイプ4の上端に取着している。
【0081】
本実施形態においては、上記構成の強固な螺子式枢着構造を具備すると共に、挿着軸体の自転機構により清掃操作性を向上させる操作性向上機能を付加している。以下、本実施形態における操作性向上機能を説明する。
挿着軸体は、連結部材20の両端側で横方向に連結された一対の回転軸体10、11と、夫々の回転軸体10、11に外嵌された一対の中空体12、13とからなり、これらの2重構成により、中空体12、13を夫々独立して自転可能に各回転軸体10、11に枢支し、各回転軸体10、11を連結部材20に対して左右対称状に配置し、長柄ハンドル2に対してT字形又は略T字形に設けている。従って、長柄ハンドル2を把持して什器等の狭い空間の清掃を行うに際して、長柄ハンドル2を払拭体1に対して鋭角に傾けて清掃面上を回転させるときに、長柄ハンドル2の動きに追随して、夫々の中空体12、13が回転軸体10、11による枢支機構によって袋部23内部で自転しながら円弧を描くように回転操作することができるので、簡易且つ軽快に清掃作業を行うことができる。しかも、連結部材20を介して各回転軸体10、11を水平配置して、各軸体に袋部23が挿着されているので、ジョイント部の回動軸の軸中心(回動連結点)が各回転軸体10、11の軸心に極めて接近して位置しており、長柄ハンドル2により加える力が的確に挿着軸体に与えることができ、前記枢支機構の自転機能と相乗して前記回転操作をより円滑に行うことができる。
更に、T字形又は略T字形清掃具において、払拭体挿入部としての前記挿着軸体を、一対の回転軸体10、11と、夫々の回転軸体10、11に外嵌された一対の中空体12、13とから構成されるので、簡単且つ安価な構造により払拭体挿入部を回動自在にすると共に、ハンドルの回動機構を一体的に設けて傾動可能にすることができる。
【0082】
図20は本実施形態に係る清掃具の回転操作機能の計測結果を示す。この計測に際しては、図21の従来との比較を行った。即ち、本実施形態に係る掃除具と図21の掃除具を用いて、床面に対してハンドルを寝かして清掃を試み、清掃有効面積を比較した。清掃有効面積100%は、清掃具を該回転操作して床全面を斑なく清掃可能になったことを表す。図20において「ヘッド」と表記しているのは、払拭体及び払拭体挿入部を意味し、「スリーブ」は中空体12、13を意味する。また、床面に対するハンドルの寝かせ角度を30°、45°及び60°で試行した。
【0083】
従来のヘッド固定の場合には、寝かせ角度が60°のときには、回転操作ができるものの、寝かせ角度が30°あるいは45°により傾斜させると、「ヘッド」が浮き上って清掃有効面積が65〜90%に減少した(図20の(1)参照)。一方、本実施形態に係る清掃具では、寝かせ角度を30°、45°及び60°のいずれにおいても円滑な回転操作が可能となり、清掃有効面積を100%に維持できた。このときの中空体12、13自体の回転角度も、寝かせ角度を60°、45°及び30°に急傾斜するにつれより大きくなり、中空体12、13の自転作用が円滑な回転操作に寄与していることがわかる(図20の(2)参照)。
なお、中空体12、13の断面形状を図10の(10D)に示すように、袋部23内部に当接する突部(リブ)12bを中空体12aの外側面に形成したものを使用して、同様の回転操作性を検証した。6個の突部12bは中空体12aの外周に沿って形成されている。この検証実験によれば、図20の(3)に示すように、清掃有効面積について、リブなしの中空体12、13と同様の良好な結果を得ることができた。従って、リブ付きの中空体12aを用いれば、例えば、レンタル製品の場合には繰り返しの洗浄等によって袋部23内部が伸びたりして、挿着軸体の挿着状態に緩みが生じている場合でも、ハンドルの動きに追随して突部(リブ)12bが袋部23内部に当接しながら袋部23内部で自転して円弧を描くように回転操作させることができる。リブには突部12bのように互いに離間したものの他に、スパイラル状に中空体12aの外側面に形成したもの等を使用することができる。
【0084】
本実施形態の清掃具は長尺状の清掃具の場合であるが、本発明は、短尺状の清掃具やハンディタイプの清掃具に適用することができ、また払拭材としては、パイルの他に、化学繊維材等を使用することができる。
【0085】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明に係る清掃具は、家庭や事務所や工場の床材、及び店舗の床などを清掃するときに用いられ、払拭体を定期的に取り替えてメーカーなどからユーザーにレンタルするようにしてもよいものである。
【符号の説明】
【0087】
1 払拭体
1a ジョイント部
2 長柄ハンドル
3 内パイプ
4 外パイプ
4a 穴
5 グリップ
6 カバー部材
6a カバー抜止片
6b 穴
6c パイプ抜止片
7 グリップ抜止片
8 パイプボタン
8a 中空押圧変形部
8b バネ係止用突起
8c コイルバネ
8d バネ係止用突起
8e 係止部
9 回動軸受
10 回転軸体
10a 先端部
10b 軸体本体
10c 係合部
10d 貫通穴
10e 中空部
10f 縮径部
11 回転軸体
11a 中空部
11b 軸体本体
11c 係合部
11d 貫通穴
11e 中空部
10f 縮径部
12 中空体
12a 中空体
12b 突部
13 中空体
14 連結端
15 連結端
18 ロックボタン
19 回動軸穴
19a 中空金属軸体
20 連結部材
20b 凹部
20c 縦溝
21 根元部材
21a パイプ挿入部
22 コイルバネ
23 袋部
24 パイル群
25 基布
26 基布
27 開口部
28 横糸
29 横糸
30 パイル
31 周縁部
32 中央部
33 縁縫い
34 端部
35 端部
36 端部
37 端部
38 縫糸
39 周縁部
40 払拭体
41 長柄保持具
42 基布
43 袋状差込部
44 パイル
45 装着部
46 ジョイント部
47 柄
48 グリップ
49 床面
50 矢印
51 隙間
52 雌ねじ
52a 筒部
52b 雌ねじ部
52c 段差部分
53 雄ねじ
53a 頭部
54 軸受片
54a 貫通穴
57 スプリングワッシャ
58 雄ねじ部
59 可撓性係合片
60 空所
61 凹部
63 回り止め防止用係合部材
64 貫通穴
65 拡径凹部
66 突起体
66a 緩斜面
66b 当接面
67 縦溝
68 貫通穴
68a 拡径凹部
69 ばね体
70 列状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、払拭体の袋部が挿着される挿着軸体と、前記ハンドルの根元部と前記挿着軸体とを連結するジョイント部とを備え、前記ジョイント部を、前記挿着軸体に設けた軸受部材、前記根元部に設けた可動軸受材及び回動軸により構成して、前記軸受部材及び前記可動軸受材のいずれか一方を断面凹型形状とし、且つ他方を前記断面凹型形状部分に挿入自在にし、前記軸受部材及び前記可動軸受材を挿着したとき前記軸受部材及び前記可動軸受材を貫通する貫通穴を穿設し、前記貫通穴に前記回動軸を挿着して前記ハンドルを前記挿着軸体に対して回動自在に連結した清掃具であって、前記貫通穴を貫通して挿入される筒部と、前記筒部の内部に形成された雌ねじ部とからなる雌ねじと、前記筒部に挿入され、スプリングワッシャを介挿して前記雌ねじに螺着される樹脂製の雄ねじと、前記雄ねじを挿入する側の前記貫通穴の内周部に形成された内周係合部と、前記雄ねじの頭部に形成された頭部係合部とを有し、前記雄ねじを前記雌ねじに螺着して前記回動軸を構成し、前記内周係合部と前記頭部係合部の係合により前記雄ねじの螺着回転方向の逆方向への回動を規制したことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記頭部係合部は、前記頭部に片持形状に形成され、前記雄ねじの軸心側に揺動可能した可撓性係合片からなり、前記内周係合部は、前記内周部に突設され、前記螺着回転方向に前記可撓性係合片の移動を可能にし、その逆転方向に係止させる係合突起からなる請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記可撓性係合片を前記頭部外周を片持状に切り欠いて揺動自在に構成した請求項2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記可撓性係合片は外側に向いた突起を形成した揺動端部を有し、前記係合突起は複数個の突起体からなり、前記突起体は、前記螺着回転方向側に形成した緩斜面と、前記螺着回転方向の逆方向側に形成した当接面とを有し、前記突起を前記当接面に当接させて前記雄ねじの螺着回転方向の逆方向への回動を規制する請求項2又は3に記載の清掃具。
【請求項5】
前記雌ねじの頭部又はその近傍に、前記貫通穴の入口側と互いに係合する回り止め防止用係合部材を形成し、前記雄ねじを前記雌ねじに螺着するとき、前記回り止め防止用係合部材の係合により前記雌ねじの空転を防止した請求項1〜4のいずれかに記載の清掃具。
【請求項6】
前記挿着軸体を前記挿着軸体の軸回りに前記袋部内で自転可能に前記ジョイント部に枢支した請求項1〜5のいずれかに記載の清掃具。
【請求項7】
前記袋部内部に当接する突部を前記挿着軸体の外側面に形成した請求項1〜6のいずれかに記載の清掃具。
【請求項8】
前記軸体本体は、一対の回転軸体と、夫々の前記回転軸体に外嵌された一対の中空体とからなり、夫々の前記中空体を独立して自転可能に各回転軸体に枢支し、各回転軸体を前記連結部に対して左右対称状に配置して前記一対の回転軸体を前記ハンドルに対してT字形又は略T字形に設けた請求項1〜7のいずれかに記載の清掃具。
【請求項9】
夫々の前記回転軸体の一端をジョイント部に固着した請求項8に記載の清掃具。
【請求項10】
夫々の前記回転軸体が折曲自在に前記ジョイント部に連結され、前記払拭体の前記袋部に挿着するときに前記一対の回転軸体を前記T字形又は略T字形に固定して剛性保持する保持機構と、前記袋部が脱離する方向に各回転軸体を折曲させて前記保持状態を解除する解除機構とを備えた請求項8又は9に記載の清掃具。
【請求項11】
前記挿着軸体は、前記ジョイント部に一端が連結された軸心体と、前記軸心体に外嵌されて枢支された筒体とからなり、前記軸心体を前記ハンドルに対してL字形又は略L字形に設けた請求項1〜7のいずれかに記載の清掃具。
【請求項12】
前記軸心体の前記一端を前記ジョイント部に固着した請求項11に記載の清掃具。
【請求項13】
前記軸心体を折曲自在に前記ジョイント部に連結し、前記払拭体の前記袋部に挿着するときに前記軸心体を前記L字形又は略L字形に固定して剛性保持する保持機構と、前記袋部が脱離する方向に前記軸心体を折曲させて前記保持状態を解除する解除機構とを備えた請求項11又は12に記載の清掃具。
【請求項14】
前記袋部の全周囲に払拭材を多数設けた請求項1〜13のいずれかに記載の清掃具。
【請求項15】
前記払拭材がパイルからなる請求項1〜14のいずれかに記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−205637(P2012−205637A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71664(P2011−71664)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】