説明

バイアルシールド

【課題】放射性薬液を充填するバイアルにおいて、内部が視認でき、遮へい能力が高く、加工性のよいバイアルを提供する。
【解決手段】複数の放射線遮へい部材を用い、それぞれを交換可能に収容したバイアルシールド。破損しても当該部材のみを交換すればよく、また透明放射線遮へい部材として単純な円筒形状の部材を使用したので視認性が良く、低コストのバイアルシールドを実現した。遮へい部材同士の接触面には弾性放射線遮へい部材を使用し、漏洩を抑えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性核種溶出装置における溶出液流出ニードルに接続して溶出液を採取するバイアルや放射性医薬品の調製を行うためのバイアルに使用する放射線遮へい容器(以下、バイアルシールド)に関する。
【背景技術】
【0002】
過テクネチウム酸ナトリウム注射液等の放射性医薬品を医療現場で製造する際に用いられる放射性核種溶出装置として、図6に示すものが知られている。図6において、102はプラスチック製本体ケース、104は本体ケース102に着脱可能に取り付けられて本体ケース102の上端開口部を閉塞するプラスチック製蓋体を示す。蓋体104には、生理食塩液バイアル挿入凹部106及び無菌減圧バイアル挿入凹部108が形成されている。また、図中110は本体ケース102内に配設された放射性核種溶出カラム、112は生理食塩液流通管(溶離液流入管)、114は溶出液流通管(溶離液流出管)を示す。生理食塩液流通管112は、蓋体104の生理食塩液バイアル挿入凹部106の底部に突出した生理食塩液流入ニードル(溶離液流入ニードル)116を一端側に有し、他端側が放射性核種溶出カラム110に接続されたものである。溶出液流通管114は、蓋体104の無菌減圧バイアル挿入凹部108の底部に突出した溶出液流出ニードル118を一端側に有し、他端側が放射性核種溶出カラム110に接続されたものである。なお、本体ケース102内のカラム110の周囲には、放射線遮へい金属としてカラム収納部を有する鉛、タングステンあるいはそれらを組み合わせた遮へい部材(図示せず)が装填され、無菌減圧バイアル122は放射線遮へい材料で周囲が覆われたバイアルシールド124で遮へいされている。
【0003】
図6に示した放射性核種溶出装置100を用いて放射性医薬品を調製する場合、生理食塩液バイアル挿入凹部106に生理食塩液バイアル120を挿入した後、無菌減圧バイアル挿入凹部108にバイアルシールド124内に収容された無菌減圧バイアル122を挿入する。すると、無菌減圧バイアル122内は減圧されているため、生理食塩液バイアル120中の生理食塩液は生理食塩液流入ニードル116から吸引され、生理食塩液流通管112を通ってカラム110内に入り、カラム110内で生理食塩液に放射性核種が溶出される。その後、カラム110を流出した溶出液は溶出液流通管114を通って溶出液流出ニードル118から無菌減圧バイアル122内に入る。無菌調製バイアルは放射線遮へい金属で周囲が遮へいされているので、このまま次の操作に使用することができる。例えば、得られた放射性核種は無菌バイアル内で薬学的に許容される試薬と混合する等により放射性医薬品に調製された後注射器に移されて投与される。或いは無菌バイアルから注射器で放射性核種を抜き取り、薬学的に許容される試薬の入った別のバイアルに移して混合することにより放射性医薬品が得られる。
【0004】
放射性核種による被ばくから術者を守るため、放射性核種溶出装置から溶出液を取り出すためのバイアルや、放射性核種を注射器から移して調製する際に使用するバイアルは放射線遮へい金属を使用したバイアルシールドで覆われている。バイアルシールドで覆われたバイアルを用いて放射性医薬品を調合する場合には、バイアルシールドの上部に設けられた開口を通してバイアルの上部のゴム栓から試薬等が注射器によりバイアルに注入される。また、バイアル内の液を注射器に移す場合には、バイアルをバイアルシールドごと逆さにしてゴム栓を注射針で貫通し、針先が放射性医薬品を吸引できる状態になっていることを確認しながら注射器本体内に吸引する操作が行われる。
【0005】
バイアルシールドは放射線被ばくから術者を守ると共に上記の操作に支障が無いよう使いやすいものが望まれる。従来使用されているバイアルシールドの例を図7、図8に示す。図7のバイアルシールド200は全体がプラスチックでできた本体ケース201で覆われていて、内部には鉛遮へい部と図9に示すようなバイアル90を収容するための空間が設けられている。バイアルシールドの上部及び下部には鉛をプラスチックで覆った上蓋203及び底蓋204が設けられていて、上蓋203には溶出液流出ニードルや注射器の針をバイアルに通すための開口部202が設けられている。また、上蓋203を開閉することにより、バイアル瓶をバイアルシールド内に収容することを可能にしている。鉛遮へい部は側面の一部が突出しており、ここに透明放射線遮へい材料である鉛ガラスが嵌めこまれた窓部205が形成されている。術者はこの窓を通して、放射性核種溶出装置の溶出液がバイアルに流入する様子やバイアルから液を抜く場合液面の位置等を知る。
【0006】
図8のバイアルシールド300は、透明プラスチックの本体ケース301の内部に全体が透明の鉛ガラスでできた放射線遮へい部材302を有している。本体ケース301は、両端に鉛とプラスチックで形成された上蓋303、下蓋304を有し、上蓋の開閉により、バイアルがバイアルシールド内に収容される。上蓋の中央部は溶出液流出ニードルや注射器の針をバイアルに通すための開口部305が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7のバイアルシールドは、鉛ガラスが嵌めこまれたところ以外、光を通さない金属鉛で覆われている。このため、内部が比較的暗く、前述した放射性核種溶出装置からバイアル内に溶出液が流出する様子や、バイアルから液を抜き取る際に注射針を視認するのも容易ではなく、特にバイアルから放射性医薬品を抜き取るには熟練した操作を必要とした。
また、図8のバイアルシールドは、鉛ガラスが多用されているため、内部に光が入りやすく使いやすさは大いに改良されたものの、使用されている鉛ガラスは金属鉛と比較して遮へい能力が低く、それ自体極めて高価であり、また内部の視認性を高めるため、内表面、外表面の両表面を極めて平滑になるまで磨く必要があること、さらに鉛ガラスは極めて壊れやすいため複雑な形状に加工することが困難であることからコストがかかる点が問題であった。さらに、プラスチック製の本体ケースで覆われてはいるものの、周囲にあるものとぶつけると鉛ガラスは簡単に割れ、或いはひびが入ってしまう。さらに鉛ガラスには湿度の影響により変色してしまう問題もある。このように問題の多い鉛ガラスの一部が変色したり、欠けたりしただけで全体を交換しなければならないことも、問題となっていた。
【0008】
以上の通り、これまでのバイアルシールドは安価に供給しようとして鉛を多用すれば内部が暗くなって操作に熟練を要することとなり、内部を明るくしようとして鉛ガラスを多用すると壊れやすく、交換する場合には高価になってしまうという問題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上に鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、バイアルシールドに使用する放射線遮へい部材の一部に円筒状の透明放射線遮へい材料を用い、これを交換可能にバイアルシールド内に収容することで、上記問題を解決できることを見出した。
【0010】
すなわち第一の本発明は、第一の開放端および第二の開放端を有する略円筒状の本体ケースであって、第一の開放端には内側に向かって張り出した縁状の出っ張りにより本体ケースの内径より小さく、収容するバイアルの外径より大きな口径を有する開口部が形成され、第一の開放端から軸方向に第二の開放端に向う一定高さ部分には透明材料で形成された本体ケース上部が形成され、第二の開放端側の側面の一部には本体ケースから突き出して設けられた窓枠部が形成され、窓枠部の外側の面が透明材料で形成されている本体ケースに、円筒状であって、本体ケース上部の高さとほぼ等しい高さを有し、収容するバイアルの外径以上の内径を有し、バイアル内の放射能を遮へいするのに十分な厚みを持ち、本体ケースの第一の開放端の開口部の口径より大きく、本体ケース内径よりも小さい外径を有する透明放射線遮へい材料で構成された第一放射線遮へい部材、略円筒状であって、第一放射線遮へい部材とほぼ等しい外径及び内径を有し、軸方向に一定の高さを有する放射線遮へい材料で構成された第二放射線遮へい部材であって、該第二放射線遮へい部材の側面の一部が開口部を有し、該開口部周縁から突出させた枠体であって、本体ケースの窓枠部に対応する形状を有し、該窓枠部に重なってはめ込まれるよう形成された透明放射線遮へい部材用枠部を設け、該透明放射線遮へい部材用枠部に断面が少なくとも該開口部のすべてを覆い、透明放射線遮蔽用枠部の奥行きとほぼ等しい厚みを有する透明な放射線遮へい材料で構成された放射線遮へい窓部材を配置した第二放射線遮へい部材、および外径が第二放射線遮へい部材の外径とほぼ同じで、軸方向に一定の高さを有する略円盤状の放射線遮へい材料により構成された底部放射線遮へい部材が本体ケースの第一の開放端側から順に交換可能に配置され、前記第一放射線遮へい部材の高さ、第二放射線遮へい部材の高さの合計が収容するバイアルの高さとほぼ等しく、本体ケースの第二の開放端に着脱可能に設けられる底蓋を装着することにより前記部材が本体ケース内に固定され、本体ケースの第一の開放端側には、一部または全部が放射線遮へい材料で構成された、中央に開口部を有する円盤状の放射線遮へい性上蓋が着脱可能に固定されている、内部にバイアルを収容するためのバイアルシールドである。本発明に係るバイアルシールドは、本体ケースの第一の開放端側の口径を、収容されるバイアルの外径よりも大きくしているので、上蓋を外せば、第一の開放端からバイアルの出し入れを容易に行う事が可能である。
【0011】
本発明のバイアルシールドは、バイアルを内部に挿入した状態で使用する。バイアルシールドを構成する部材の内、本体ケース上部及び第一放射線遮へい部材は透明材料で構成されているため、本体ケース上部及び第一放射線遮へい部材を通してバイアルシールド内に作業環境の明かりが入りバイアルシールドを放射性核種溶出装置に装着した場合にも、バイアルから液を抜き取る場合にも、バイアルシールド内が明るく、内部が良く見え、遮へい効果を損なうことなく操作性が向上する。
また、本体ケース内に第一放射線遮へい部材、第二放射線遮へい部材及び底部放射線遮へい部材を接着剤等を用いることなく、順に収容しているだけなので、万一高価な透明の第一放射線遮へい部材が破損した場合でも、第一放射線遮へい部材のみを交換すれば良い。また、第一放射線遮へい部材は、単純な円筒形をしているので加工が容易であり、従って費用を抑えることができる。第一放射線遮へい部材以外の部材が壊れた場合も、当該部材のみを交換すれば良いので経済的である。
【0012】
第二の本発明は、第一の開放端および第二の開放端を有する略円筒状の本体ケースであって、第一の開放端は内側に向かって張り出した縁状の出っ張りにより本体ケースの内径より小さく、収容するバイアルの外径より大きな口径を有する開口部が形成されている、全体が透明材料で構成された略円筒状の本体ケースに、円筒状であって収容するバイアルの外径以上の内径を有し、バイアル内の放射能を遮へいするのに十分な厚みを持ち、本体ケースの第一の開放端の開口部の口径より大きく、本体ケース内径よりも小さい外径を有し、軸方向に一定の高さを有する透明放射線遮へい材料で構成された第一放射線遮へい部材、円筒状であって第一放射線遮へい部材とほぼ等しい外径及び内径を有し、軸方向に一定の高さを有する透明放射線遮へい材料で構成された円筒状の第二放射線遮へい部材、および外径が第二放射線遮へい部材の外径とほぼ同じで、一定の高さを有する略円盤状の放射線遮へい部材により構成された底部放射線遮へい部材が本体ケースの第一の開放端側から順に交換可能に配置され、前記第一放射線遮へい部材の高さと第二放射線遮へい部材の高さの合計が収容されるバイアルの高さとほぼ等しく、本体ケースの第二の開放端に着脱可能に設けられる底蓋を装着することにより前記部材が本体ケース内に固定され、本体ケースの第一の開放端側には、一部または全部が放射線遮へい材料で構成された、中央に開口部を有する円盤状の放射線遮へい性上蓋が着脱可能に固定されている、内部にバイアルを収容するためのバイアルシールドである。
第二の本発明のバイアルシールドは、ケース全体が透明材料で構成され、第一放射性遮へい部材、第二放射性遮へい部材も透明材料で構成されているため、第一の発明のバイアルシールドよりもさらに内部が明るく、操作性が向上している。また、また、第一の発明と同様に、本体ケース内に第一放射線遮へい部材、第二放射線遮へい部材及び底部放射線遮へい部材を接着剤等を用いることなく、順に収容しているだけなので、万一高価な透明の第一放射線遮へい部材または第二放射線遮へい部材が破損した場合でも、当該部材のみを交換すれば良い。また、第一放射線遮へい部材、第二放射線遮へい部材とも、単純な円筒形をしているので加工が容易であり、従って費用を抑えることができる。
【0013】
本発明は、また、上記バイアルシールドの、第一放射線遮へい部材と第二放射線遮へい部材の間に放射線遮へい性弾性部材をさらに設けたものであっても良い。これによって、両者が直接接触しなくなるため割れを防止できるだけでなく、バイアルシールドを組み立てる際の底蓋をねじ締めする場合の緩衝材にもなり、遮へい能力を損なうことなくより確実に遮へい部材を固定できる。
【発明の効果】
【0014】
以上の通り、本発明のバイアルシールドは透明部材を多く使用しているため内部が明るく、操作性を向上させることができる。また透明放射線遮へい部材自体は壊れやすいが、各部材を独立して交換することができる様になっているので、壊れてもその放射線遮へい部材だけを交換することができ、経済性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のバイアルシールドの分解斜視図である。
【図2】本発明のバイアルシールドを組み立てた状態における、底蓋付近の断面図である。
【図3】本発明のバイアルシールドを組み立てた状態における、上蓋付近の断面図である。
【図4】本発明のバイアルシールドにオーバーキャップを被せた図である。
【図5】ア、イ、ウは、それぞれバイアルシールドから漏洩する放射能を測定する検出器の位置を示している。
【図6】放射線核種溶出装置の断面図である。
【図7】従来技術のバイアルシールドである。
【図8】従来技術のバイアルシールドである。
【図9】バイアルを表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しながら本発明を詳述するが、好ましい態様の例示であって、本発明の技術的思想の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明のバイアルシールドの分解斜視図である。本体ケース10は、略円筒形で、プラスチック等で形成され、第一の開放端11側に縁状出っ張り13を有する。本発明のバイアルシールドは図6で示したような放射性核種溶出装置の無菌バイアル挿入凹部に嵌めるためにも使用されるので、好ましい態様におけるその外形も無菌バイアル挿入部の大きさに合わせた大きさとなる。本体ケースの縁状出っ張り13の存在により第一の開放端側の開口部18の口径は内部に収容した第一放射線遮へい部材30等の外径より小さくなり、これによって第一放射線遮へい部材30が第一の開放端11側から抜け落ちるのを防止している。本体ケースの第一の開放端11および第二の開放端12の周囲にはそれぞれネジ部16およびねじ部17が設けられており、放射線遮へい性上蓋80および底蓋70が着脱可能に取り付けられる。本体ケース10の第二の開放端側に当たる本体ケース胴部15には、後述する第二放射線遮へい部材40に設けた透明放射線遮へい部材用枠部42が重なってはめ込まれるよう、透明放射線遮へい部材用枠部42の外形に対応した形状の窓枠21が側面の一部に突き出して設けられ、窓枠の外側の面には覗き窓23が配置されている。覗き窓23は図6に示したような放射性核種溶出装置にバイアルシールドを取り付けたとき、溶出液流出ニードル118からバイアル内に流入した放射性溶液の状態を視認するため設けられている。窓枠には後述する第二放射線遮へい部材の透明放射線遮へい部材用枠部および透明放射線遮へい部材がはめ込められる。透明放射線遮へい部材は比重が金属鉛の半分以下であるため放射線遮へい部材と同程度に放射線を遮へいするためには鉛の2倍以上の厚みを必要とする。窓枠を突出させて設けるのは厚みのある透明放射線遮へい部材を本体ケースに収容するためである。窓枠の底にあたる部分及び本体ケース下ねじ部17の内、窓枠の下方に該当する部分は第二放射線遮へい部材をケース内に収容するため開放されている。窓枠は内部の様子を視認するのに必要な大きさがあればよく、図6の放射性核種溶出装置の無菌減圧バイアル挿入凹部108に本体ケースを挿入する際に邪魔にならない大きさであることが必要となる。好ましい態様において本体ケースの第一の開放端側は、円筒の軸方向に、第一の開放端から第二の開放端に向かって第一放射線遮へい部材の高さとほぼ等しい長さまで透明材料で形成された本体ケース上部14が構成されている。その高さは、バイアルシールドを無菌バイアル挿入凹部118に装着する際に、バイアルシールド内に収容されているバイアルに溶出液流出ニードルが挿入される様子が視認できる程度あれば良い。流出液溶出ニードルが挿入される様子が視認できる高さがあれば、バイアルシールドに格納された無菌バイアル内に溶出された液の使用時において、注射器を用いてバイアルから放射性液を抜き取る際にも注射針の先端を視認できるので使いやすい。なお、本発明にかかるバイアルシールドの本体ケースにおいて少なくとも一部が透明材料である限りにおいて特に限定する必要はなく、ケース全体を透明材料で構成しても特に問題は無い。要は、第一放射線遮へい部材と第二の放射線遮へい部材をケース内に収容でき、透明材料で形成された第一の放射線遮へい部材を通してバイアル内部が視認できればよい。
【0017】
本体ケース内の第一の開放端11側に収容する第一放射線遮へい部材30には鉛ガラスや鉛フリー放射線遮へいガラス等の透明放射線遮へい材料が使用され、内部のバイアルの状態が視認できるように構成される。この部分に透明放射線遮蔽材料を使用することによって、放射線被ばくを防ぎつつ、図6に示したような放射性核種溶出装置100の溶出液流出ニードルへの取り付け状況やバイアルから液を取り出す際の注射針の穿刺状況を視認することができる。第一放射線遮へい部材30の形状は、均一な壁厚を有する円筒形であり、円筒の外径は本体ケースに収容可能なように本体ケースの内径より小さく、また本体ケースの第一の開放端側から脱落しないよう本体ケースの縁状出っ張り13の存在により本体ケースの内径より小さくなった開口部の口径よりも大きい。円筒の厚みはバイアル内の溶出液からの放射線を遮へいすることができる厚みを有することが必要である。また、円筒の内径はバイアルを収容するため、バイアルの外径より大きいことが必要である。これらの条件を満たすため、第一放射線遮へい部材の材料は、バイアルに溶出される放射性溶液の核種や放射能濃度、放射性薬液の量を考慮した適切な材料や厚みが選択される。第一放射線遮へい部材は内部を視認できるよう透明部材を使用しているので、同じく透明材料を使用している本体ケース上部14と重なるようにすることで透明材料を用いた効果が発揮されることから、好ましくはその高さは本体ケース10の透明部分の高さとほぼ等しい。第一放射線遮へい部材30の外側面及び内側面は内部が視認可能なように磨かれ、上下面は加工のしやすさから平行な平面が好適である。第一放射線遮へい部材30はこのように簡単な形状を有しているので、製造が容易であり、高価な放射線遮へいガラスを材料とした場合であっても、比較的低価格で提供することができる。
【0018】
第一放射線遮へい部材30の次に本体ケース10の第二の開放端12側から第一の開放端11側に収容されるのは、第二放射線遮へい部材40である。第二放射線遮へい部材40は略円筒状で一定の高さを有し、内径、外径は第一放射線遮へい部材とほぼ等しい。第一放射線遮へい部材と第二放射性遮へい部材の向き合う面は放射線漏洩が無いよう、隙間のないよう構成される。向き合う面は互いに平行な平面であってもよいが、凹凸部分が噛み合うような構成であってもよい。第二放射線遮へい部材の内径、外径は第一放射線遮へい部材とほぼ同じで、本体ケースに収まり、かつバイアルを収容できる大きさであれば良い。本体ケース胴部15の内側にある第二放射線遮へい部材40は必ずしも透明放射線遮へい材料を使用する必要はないため、安価で加工性の良い鉛や必要に応じてタングステン等の放射線遮へい性の金属が使用できる。第二の放射線遮へい性部材40が金属鉛等の光不透過性材料で構成されている場合、第二放射線遮へい部材40の側面の一部には開口部が設けられ、該開口部周縁から透明放射線遮へい部材用枠部42が本体ケースの側面の一部に窓枠部21及び覗き窓23と重なるよう突出して設けられる。透明放射線遮へい部材用枠部42に一定の厚みを有する鉛ガラスや鉛フリー放射線遮へいガラス等の透明放射線遮へい体44を備えることによって放射線を遮へいしつつ、バイアルシールド内部の明るさを確保し、また前記図6に示したような放射性核種溶出装置100に取り付けた状態で溶出液の流出状態を確認したり、放射性医薬品の調製を行ったりするのを容易にできる。窓枠部の本体ケースから突出した方向の断面の上下方向は高くするほどバイアルシールド内が明るく見やすくなるが、上限は本体ケース胴部の高さであり、断面横方向は放射線核種溶出装置の無菌バイアル挿入部に差し込むのに支障が無い程度におさめられる。
【0019】
第二の本発明では、第一の本発明における本体ケース10の全体が透明材料で形成されており、透明の第一放射線遮へい部材30及び第二の放射線遮へい部材40の両方に透明放射線遮へい部材を使用する。この場合、第二放射線遮へい部材40には鉛ガラスや鉛フリー放射線遮へいガラス等の透明放射線遮へい材料を使用する。これによってバイアルシールドの内部の視認性を一層高め、またバイアル内部の明るさを確保できる。本体ケース10、第二放射線遮へい部材40が共に透明であれば、内部が視認できるので第一の本発明において述べた第二放射線遮へい部材の側面に設けた覗き窓は必要なく、したがって第二放射線遮へい部材は第二の開放端側の窓枠部や透明放射線遮へい部材用枠部は必要なく、単純な円筒形であれば良いので、加工が容易である。
【0020】
第一の本発明及び第二の本発明における別の態様においては、上記バイアルシールドの、第一放射線遮へい部材と第二放射線遮へい部材の間に放射線遮へい性弾性部材をさらに設けることができる。これによって、両者が直接接触しなくなるため割れを防止できるだけでなく、バイアルシールドを組み立てる際の底蓋をねじ締めする場合の緩衝材にもなり、遮へい能力を損なうことなくより確実に遮へい部材を固定できる。
放射線遮へい性弾性部材35は外径、内径ともに第一放射線遮へい部材、第二放射線遮へい部材にほぼ等しい円筒状で、第一放射線遮へい部材30と第二放射線遮へい部材40の間に圧接して使用する。放射線遮へい性弾性部材の好ましい態様としては、タングステン、鉛、ビスマス等の重金属粉をゴムに練り込んで製造されたものが使用できる。放射線遮へい性弾性部材は、圧力に応じて変形し、第一放射線遮へい部材と第二放射線遮へい部材の隙間を埋める要求を満たすため第一放射線遮へい部材や第二放射線遮へい部材、底蓋が本体ケースに収まる範囲内で一定以上の厚みを有することが望ましい。たとえば0.2mmから1.0mm厚みのものが好適に使用される。放射線遮へい性弾性部材は弾性を有するため、圧接することによって、容易に隙間を無くすことができ、放射線漏洩を防止することができる。圧接は、後述する底蓋70を本体ケースに取りつける際のネジ締めと同時に行われる。
【0021】
図2は本発明の第一の発明と第二の発明に共通するバイアルシールドを組み立てた状態における、底蓋付近の断面図である。図2に示すように、本体ケース10内にはさらに一定の高さを有する円盤状の放射線遮へい材料で構成された底部放射線遮へい部材50が組み込まれる。第2図において底部放射線遮へい部材50の上部外縁52は第二放射線遮へい部材40の下部が丁度収まるよう、少し張り出した形態となっている。張り出した部分は第二放射線遮へい部材40と底部放射線遮へい部材50の隙間から放射線が漏洩するのを防止する作用も有している。底部放射線遮へい部材50にはタングステンや鉛等の放射線遮へい性金属が用いられるが、バイアルシールド内をより明るくしたい場合には、鉛ガラス、バリウムガラス、鉛フリー放射線遮へいガラス等の透明放射線遮へい材料を用いることもできる。底部放射線遮へい部材50には必要に応じ、バイアル瓶の破損を防止するため、緩衝材75が設けられる。緩衝材75としては、発泡剤を使用したプラスチックや、布、ゴム、不織布等が使用可能である。バイアルシールド内部の視認性を高めたい場合には底部放射線遮へい部材50及緩衝材75および底蓋70に透明材料が用いられる。たとえば底部放射線遮へい部材に鉛ガラス、底蓋70には明プラスチック、緩衝材75に光透過性の高い発砲ポリスチレン材料等を用いることによって、バイアルシールド内部の明るさを確保することができる。
【0022】
本体ケース10内に組み入れられた第一放射線遮へい部材30、放射線遮へい性弾性部材35、第二放射線遮へい部材40、底部放射線遮へい部材50等を固定するため、底蓋70が使用される。底蓋に設けられたねじ部72は本体ケースの下ネジ部17に取り付けられる。第一放射線遮へい部材30および第二放射線遮へい部材40の高さの合計は収容するバイアルよりも高くなるよう設計される必要があり、好ましく態様はほぼ同じ高さである。そうすることによってバイアルをバイアルシールド内にしっかり固定できる。放射線遮へい性弾性部材を第一放射線遮へい部材30と第二放射線遮へい部材40の間に放射線遮へい性弾性部材を挿入して底蓋を装着すれば、本体ケース内に組み込まれた遮へい部材はしっかりと固定される。放射線遮へい性弾性部材35を使用した場合も第一放射線遮へい部材30、第二放射線遮へい部材40、放射線遮へい性弾性部材35及び底蓋70の高さの合計をほぼ本体ケースの高さにすることによって、底蓋を装着することによって本体ケース内に組み込まれた遮へい部材はしっかりと固定される。底蓋70を本体ケースから外せば、本体ケース内に組み入れた放射線遮へい部材はすべて取り出すことができ、ばらばらになるので、一部の部品が傷つき、または破損等していても当該部品のみを容易に交換することができる。底蓋70は通常、光不透過性の着色プラスチックが使用されるが、バイアルシールドの内部をより明るくするため底部放射線遮へい部材50に透明材料が使用されている場合には、底蓋70にも透明プラスチック材料が使用される。
底蓋70を取り付けると、本体ケース内部には図9に示したバイアル90を収容する空間が形成される。
【0023】
これまで述べたように、本発明においては放射線遮へい材料として、鉛ガラスや鉛フリー放射線遮へいガラスなどの透明材料や、放射線遮へい能力の高い鉛、タングステンなどで構成された部材が使用できる。鉛ガラスの比重は約5.2、鉛フリー放射線遮へいガラスの比重は約2.7、鉛の比重は約11、タングステンの比重は約18であり、一定厚みあたりの放射線遮へい能力は比重にほぼ比例する。一方、本発明で使用される本体ケースの大きさが図6に示したような放射線核種溶出装置100の無菌減圧バイアル挿入凹部108の大きさによって定まる場合には、放射性遮へい材料の厚みは、内部に収容するバイアルサイズの大きさによって制限されてしまう。したがって、価格や透明性の有無だけでなく、バイアル中の放射性物質の放射能量やエネルギーに応じて、適切な放射線遮蔽材料が適宜選択される。選択した部材の交換は、底蓋7を開閉するだけで行うことができる。
【0024】
放射線遮へい性上蓋80は、バイアルシールド内部にバイアルを収容する際に外される。本発明のバイアルシールドに使用されるバイアルは、本体ケースの第一の開放端側の縁状出っ張り13の口径より小さく、また第一放射線遮へい部材30の内径よりも小さいので、放射線遮へい性上蓋80を外せばバイアルをバイアルシールド内に導入することができる。バイアルを導入すると、放射線遮へい性上蓋80のねじ部82を本体ケース上部のねじ部16にねじ込むことによって放射線遮へい性上蓋80が本体ケースに装着されバイアルはバイアルシールドから抜けなくなる。放射線遮へい性上蓋80には開口部85があるが、バイアルよりも小さい径となっており、放射線遮へい性上蓋80をしていればバイアルがバイアルシールドから抜けることはない。
放射線遮へい性上蓋80の断面図を図3に示す。好ましい態様において、放射線遮へい性上蓋80は、ほぼ全体がアンチモンを加えて硬性を高めた鉛合金やタングステン等で構成された上蓋放射線遮へい材部81で構成されており、上蓋放射線遮へい材部81の外周はさらにプラスチック部83で覆われている。放射線遮へい性上蓋80は、図6に示したような放射性核種溶出装置100の溶出液流出ニードルや薬液調製の際に注射針がバイアル90のゴム栓95を穿刺できるようにするための開口部85を中央に有している。放射性遮へい性上蓋80の外周プラスチック部83には本体ケース10のねじ部16と結合するための上部ネジ部82が設けられている。また好ましい態様において、上蓋放射線遮へい材部81は、放射線遮へい性上蓋80を本体ケースに装着した際に、第一放射線遮へい部材の内側に少し入り込む形となるよう突出部84を有している。突出部84は上蓋放射線遮へい材部81と第一放射線遮へい部材30との間に生じる隙間をふさぎ、放射線が漏洩するのを防止している。
【0025】
本発明のバイアルシールドは図9のバイアル90を収容することができる。バイアル90の頂部はゴム栓95で密封されており、ゴム栓は頂部の中央付近を除いた周囲をアルミシール97で締め付けられている。バイアルは本体ケース10の上部開口部18から本体ケースに挿入され、放射線遮へい性上蓋80をネジ式で取り付けることによって固定される。上蓋80の中央部には開口部85が設けられており、バイアル90をバイアルシールドに入れたまま図6に示したような放射性核種溶出装置100の無菌バイアル挿入部に嵌め、バイアルのゴム栓を溶出液流出ニードル118に穿刺することができる。また、放射性薬液を調製する場合にもバイアルをバイアルシールドに入れたまま、注射針を穿刺できるので放射線の被ばくを避けることができる。
【0026】
バイアルシールドは放射線遮へい性上蓋80の中央に開口部85を有するため、この方向の放射線を遮へいすることができない。このため、バイアルの待機時、保管時等は、図4のように放射線遮へい性のオーバーキャップ99をバイアルシールドの上にかぶせておく。オーバーキャップ99は、バイアル瓶中の放射性核種が発する放射線を遮へいできるものであれば材質を問わない。
【実施例】
【0027】
以下、本発明のバイアルシールドにおいて、十分な放射線遮へい効果が得られることについて、実施例を挙げ、説明する。
本体ケースに、第一放射線遮へい部材として鉛ガラス製の放射線遮へい部材(外径37mm 内径25mm 高さ12mm 比重5.2 )、第二放射線遮へい部材として金属鉛(外径37mm 内径25mm 高さ20 比重11 )製の放射線遮へい部材、および金属鉛製の底部放射線遮へい部材を収容したバイアルシールドと、第一放射線遮へい部材と第二放射線遮へい部材の間にさらに放射線遮へい性弾性部材(宮坂ゴム株式会社製、外径37mm 内径25mm 高さ1mm 比重8.0 )を収容したバイアルシールドの2種を用意した。第二放射線遮へい部材は透明放射線遮へい部材用枠部を有しているため、漏洩放射線は、透明放射線遮へい部材用枠部が放射線測定器の背後に来るようにして測定した(図5)。
Tc−99m溶液5mlをいれたバイアル瓶を2本用意し、上記のバイアルシールドに収容した。Tc−99m溶液の液面は第一放射線遮へい部材の中央付近に位置している。
線源の放射能量をキャピンテック社製キュリーメータで測定したところ、12.06GBqであった。
バイアルからの漏洩線量をNaI(よう化ナトリウム)シンチレーションサーベーメータTCS−161(製品名、アロカ社製)を用い、サーベーメーターの測定プローブ先端と本体ケースが3cm(図5のA)離れた位置で横方向から測定したところ以下の結果が得られた。なお、サーベーメーターの測定プローブの上下位置は、上部1が第一放射線遮へい部材の中央付近(図5ア)、上部2は第一放射線遮へい部材と第二放射線遮へい部材の境界線付近(図5イ)、下部は第二の放射線遮へい部材の中央付近(図5ウ)とした。
【0028】
【表1】

【0029】
放射性医薬品基準(平成8年10月1日)において、放射線遮へい容器には、容器の外装の表面において2mSv毎時以下、容器の外装の表面から1m離れた位置において100μSv以下となる遮へい能力が要求されているが、表1に示したとおり、本発明の2つの態様においていずれもこの要求を十分に満たす遮へい能力を有することが確認された。
【符号の説明】
【0030】
10・・・・本体ケース
11・・・・第一の開放端
12・・・・第二の開放端
13・・・・縁状出っ張り
14・・・・本体ケース上部
15・・・・本体ケース胴部
16・・・・本体ケース上ねじ部
17・・・・本体ケース下ねじ部
18・・・・開口部
21・・・・窓枠部
23・・・・覗き窓
30・・・・第一放射線遮へい部材
35・・・・放射線遮へい性弾性部材
40・・・・第二放射線遮へい部材
42・・・・透明放射線遮へい部材用枠部
44・・・・透明放射線遮へい窓部材
50・・・・底部放射線遮へい部材
52・・・・上部外縁
70・・・・底蓋
72・・・・底蓋ねじ部
75・・・・緩衝材
80・・・・放射線遮へい性上蓋
81・・・・上蓋放射線遮へい材部
82・・・・上蓋ねじ部
83・・・・上蓋プラスチック部
84・・・・突出部
85・・・・開口部
90・・・・バイアル
95・・・・ゴム栓
97・・・・アルミシール
98・・・・サーベーメーター
99・・・・オーバーキャップ
100・・・放射線核種溶出装置
102・・・本体ケース
104・・・蓋体
106・・・生理食塩液バイアル挿入凹部
108・・・無菌減圧バイアル挿入凹部
110・・・放射性核種溶出カラム
112・・・生理食塩液流通管
114・・・溶出液流通管
116・・・生理食塩液流入ヌードル
118・・・溶出液流出ニードル
120・・・生理食塩液バイアル
122・・・無菌減圧バイアル
124・・・バイアルシールド
200・・・バイアルシールド
201・・・本体ケース胴部
202・・・開口部
203・・・上蓋
204・・・底蓋
205・・・鉛ガラス製窓部
300・・・バイアルシールド
301・・・本体ケース
302・・・透明遮へい部材
303・・・上蓋
304・・・底蓋
305・・・開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の開放端および第二の開放端を有する略円筒状の本体ケースであって、第一の開放端には内側に向かって張り出した縁状の出っ張りにより本体ケースの内径より小さく、収容するバイアルの外径より大きな口径を有する開口部が形成され、第一の開放端から軸方向に第二の開放端に向う一定高さ部分には透明材料で形成された本体ケース上部が形成され、第二の開放端側の側面の一部には本体ケースから突き出して設けられた窓枠部が形成され、少なくとも窓枠部の外側の面が透明材料で形成されている本体ケースに、
円筒状であって、本体ケース上部の高さとほぼ等しい高さを有し、収容するバイアルの外径以上の内径を有し、バイアル内の放射能を遮へいするのに十分な厚みを持ち、本体ケースの第一の開放端の開口部の口径より大きく、本体ケース内径よりも小さい外径を有する透明放射線遮へい材料で構成された第一放射線遮へい部材、
略円筒状であって、第一放射線遮へい部材とほぼ等しい外径及び内径を有し、軸方向に一定の高さを有する放射線遮へい材料で構成された第二放射線遮へい部材であって、該第二放射線遮へい部材の側面の一部が開口部を有し、該開口部周縁から突出させた枠体であって、本体ケースの窓枠部に対応する形状を有し、該窓枠部に重なってはめ込まれるよう形成された透明放射線遮へい部材用枠部を設け、該透明放射線遮へい部材用枠部に断面が少なくとも開口部のすべてを覆い透明放射線遮蔽用枠部の奥行きとほぼ等しい厚みを有する透明な放射線遮へい材料で構成された放射線遮へい窓部材を配置した第二放射線遮へい部材、および
外径が第二放射線遮へい部材の外径とほぼ同じで、軸方向に一定の高さを有する略円盤状の放射線遮へい材料により構成された底部放射線遮へい部材
が本体ケースの第一の開放端側から順に交換可能に配置され、
前記第一放射線遮へい部材の高さ、第二放射線遮へい部材の高さの合計が収容するバイアルの高さとほぼ等しく、本体ケースの第二の開放端に着脱可能に設けられる底蓋を装着することにより前記各部材が本体ケース内に固定され、
本体ケースの第一の開放端側には、一部または全部が放射線遮へい材料で構成された、中央に開口部を有する円盤状の放射線遮へい性上蓋が着脱可能に固定されている、内部にバイアルを収容するためのバイアルシールド。
【請求項2】
第一の開放端および第二の開放端を有する略円筒状の本体ケースであって、第一の開放端には内側に向かって張り出した縁状の出っ張りにより本体ケースの内径より小さく、収容するバイアルの外径より大きな口径を有する開口部が形成されている、全体が透明材料で構成された本体ケースに、
円筒状であって収容するバイアルの外径以上の内径を有し、バイアル内の放射能を遮蔽するのに十分な厚みを持ち、本体ケースの第一の開放端の開口部の口径より大きく、本体ケース内径よりも小さい外径を有し、軸方向に一定の高さを有する透明放射線遮へい材料で構成された第一放射線遮へい部材、
円筒状であって第一放射線遮へい部材とほぼ等しい外径及び内径を有し、軸方向に一定の高さを有する透明放射線遮へい材料で構成された第二放射線遮へい部材、および
外径が第二放射線遮へい部材の外径とほぼ同じで、一定の高さを有する略円盤状の放射線遮へい部材により構成された底部放射線遮へい部材
が本体ケースの第一の開放端側から順に交換可能に配置され、前記第一放射線遮へい部材の高さと第二放射線遮へい部材の高さの合計が収容するバイアルの高さとほぼ等しく、本体ケースの第二の開放端に着脱可能に設けられる底蓋を装着することにより前記部材が本体ケース内に固定され、
本体ケースの第一の開放端側には、一部または全部が放射線遮へい材料で構成された、中央に開口部を有する円盤状の放射線遮へい性上蓋が着脱可能に固定されている、内部にバイアルを収容するためのバイアルシールド。
【請求項3】
第一放射線遮へい部材と第二放射線遮へい部材の間に、弾性を有し、薄厚で第一放射線遮へい部材とほぼ同じ外径及び内径を有する円筒状の放射線遮へい材料で構成された放射線遮へい性弾性部材を交換可能に有する請求項1または2のバイアルシールド。


【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−247885(P2011−247885A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101907(P2011−101907)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000230250)日本メジフィジックス株式会社 (75)