説明

バイアル及び予備取り付けされた流体移送デバイスを含むバイアルアッセンブリ

【課題】バイアルと、ニードルレス注射器とバイアルとの間を流体連通できるようにするために、ニードルレス注射器で使用するための予備取り付けされた流体移送デバイスと、を含むバイアルアッセンブリを提供する。
【解決手段】流体移送デバイスは、ニードルレス注射器との流体連通をシールするためのコネクタと、ニードルレス注射器とバイアル内部との間を流体連通できるようにするためにバイアルを穿刺するためのスパイク端を有するスパイクと、を含む、細長いチューブ状流れ部材を備える。スパイク端はバイアルのストッパとぴったりと密封接触する。流体移送デバイスは、更に、最初はコネクタをシールし、取り外されたときにコネクタを露出する、手動で取り外すことができる閉鎖体を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアル及びニードルレス注射器で使用するための予備取り付けされた流体移送デバイスを含むバイアルアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
バイアルに入れて供給される薬剤を復元するための液薬復元は、一般的に、多数の工程を含む。とりわけ、使用するためにカニューレが装着されたバイアルアダプタを準備するため、バイアルアダプタのパッケージを開封する工程と、使用するために密封バイアルを準備する工程と、バイアルアダプタとバイアルとを同軸に位置合わせした後、バイアルアダプタのカニューレがバイアルのストッパを穿刺するようにバイアルアダプタをバイアルに手でスナップ嵌めする工程とを含む。このようなバイアルアダプタは、例えば、イスラエル国ラーナナのメディモップ・メディカル・プロジェクツ・リミテッドから商業的に入手できる。このような多数の工程は、かなりの準備時間を要し、手順で間違いを冒す余地がある。更に、多くの使用者が誤ってバイアルアダプタとバイアルとを誤って位置合わせしてしまい、バイアルアダプタのカニューレがバイアルのストッパを流体連通の目的で穿刺できない場合がある。更に、使用者によっては、最初、バイアルアダプタとバイアルとを正確に位置合わせしたが、後にバイアルを穿刺するためにバイアルアダプタを手でスナップ嵌めする際にバイアルアダプタを傾けてしまい、これにより流体連通をし損なう場合がある。
【0003】
バイアル及び予備取り付けされた流体移送デバイスを含むバイアルアッセンブリは、とりわけ、EP1008337、EP1029526、FR2029242、GB1442210、US2326490、US6090093、US6681946、US2002/121496、WO94/03373、WO96/00053、WO98/32411、WO98/37854、WO01/28490、WO01/32524、及びWO2007/015233に例示されており且つ説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1008337
【特許文献2】EP1029526
【特許文献3】FR2029242
【特許文献4】GB1442210
【特許文献5】US2326490
【特許文献6】US6090093
【特許文献7】US6681946
【特許文献8】US2002/121496
【特許文献9】WO94/03373
【特許文献10】WO96/00053
【特許文献11】WO98/32411
【特許文献12】WO98/37854
【特許文献13】WO01/28490
【特許文献14】WO01/32524
【特許文献15】WO2007/015233
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バイアルと、注射器とバイアルとの間を流体連通できるようにするために、ニードルレス注射器で使用するための予備取り付けされた流体移送デバイスと、を含むバイアルアッセンブリに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
バイアルは、代表的には、ストッパによって従来の方法でシールされている。ストッパには軸線状のめくら穴が予備成形されている。めくら穴の穴端には、穴端とバイアル内部との間に縮小されたストッパ厚さが残っている。流体移送デバイスは、コネクタ及びスパイクを含む細長いチューブ状流れ部材を有する。スパイクは、最初は、めくら穴をぴったりと密封し、穿刺していない状態でめくら穴に予備挿入される。コネクタは、無菌状態を維持するため、閉鎖体によってシールされる。スパイクチップは、バイアル内部との流体連通を形成するためのストッパの穿刺を容易にするため、穴端の直ぐ近くにあり、場合によっては接触する。コネクタは、好ましくは、雄ねじ(外ねじ)を有し、閉鎖体は、好ましくは、コネクタに螺着するねじキャップによって構成される。コネクタは、注射器と対応するコネクタとの流体連通を適切にシールするための雌ねじ、または、雄ねじのいずれであってもよい。コネクタは、好ましくは、ルアーコネクタである。他の適当な閉鎖体には、とりわけ、引き剥がしシール(tear off seal) 等が含まれる。
【0007】
流体移送デバイスは、初期未連通セットアップ位置から流体連通位置まで手動で押圧される。流体移送デバイスは、好ましくは、流体連通の目的でスパイク端がバイアル内部内に所定距離突出するように流体連通位置に手動で押圧されたときに、バイアルに向かう流れ部材の変位を停止するための流れ部材拘束構成を備える。好ましくは、流体移送デバイスは、更に、閉鎖体を手動で取り外すことにより流れ部材をめくら穴から誤って引き出されないようにするための流れ部材固定構成を備える。ねじキャップの場合には、流れ部材固定構成は、ねじキャップを捩じって緩めるとき、及び注射器をコネクタに螺着するとき、流れ部材がストッパに対して回転しないようにする。
【0008】
流体移送デバイスは、ストッパが誤って穿刺されることがないようにするため、後に流体移送デバイスを流体未連通セットアップ位置から流体連通位置まで手動で押されることに対して準備される必要がある安全キャッチ機構を更に備えていてもよい。安全キャッチ機構は、好ましくは、流れ部材が解放されるまで、流れ部材がバイアルに向かって又はバイアルから遠ざかる方向に実質的に移動しないように流れ部材を係止する。安全キャッチ機構は、ひとたび使用者が流れ部材を初期の流体未連通セットアップ位置から流体連通位置まで手動で押圧することができるように安全キャッチ機構を準備した後、使用者が安全キャッチ機構をその初期位置に戻すことができないようにする変更防止構成を更に備えていてもよい。
【0009】
本発明のバイアルアッセンブリは、液体薬剤の復元を便利に且つ無菌状態で行ない、バイアル及びバイアルアダプタの初期準備工程、及びこの工程に続いて行われる、バイアルアダプタをバイアルにスナップ嵌めする前にバイアルアダプタとバイアルとを位置合わせする組み立て工程をなくす。更に、穴端の厚さを従来のストッパよりもかなり小さくしたストッパにより、予備挿入したスパイクがストッパを確実に穿刺し、バイアル内部との流体連通を確保する。更に、めくら穴は、上述の手動で押す操作中、予備挿入したスパイクを案内するように作用する。これによって、流体移送デバイスがバイアルに関して誤って傾斜する可能性を低減する。
【0010】
次に、本発明を理解し、本発明を実際にどのように実施するのかを理解するため、好ましい実施例を、添付図面を参照して単なる非限定的例として説明する。添付図面では、同様の部分には同様の参照番号が付してある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】バイアルと、初期流体未連通セットアップ位置にある予備取り付けされた流体移送デバイスの第1の好ましい実施例とを含む、直立したバイアルアッセンブリを前方から見た等角図である。
【図2】図1のA−A線に沿った、図1のバイアルアッセンブリの長手方向断面図である。
【図3】図1のバイアルアッセンブリの分解図である。
【図4】流体連通位置にした後の図1のバイアルアッセンブリを前方から見た等角図である。
【図5】図4のA−A線に沿った、図4のバイアルアッセンブリの長手方向断面図である。
【図6】図1のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【図7】図1のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【図8】図1のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【図9】イアルと、初期セットアップ位置のプルリング型安全キャッチ機構を持つ予備取り付けされた流体移送デバイスの第2の好ましい実施例と、を含む直立したバイアルアッセンブリを前方から見た等角図である。
【図10】図9のB−B線に沿った図9のバイアルアッセンブリの長手方向断面図である。
【図11】図9のバイアルアッセンブリの分解図である。
【図12】安全キャッチ機構の取り外しを示す図である。
【図13】安全キャッチ機構の取り外しを示す図である。
【図14】バイアルと、初期セットアップ位置の捩じり−押し下げ安全キャッチ機構を持つ予備取り付けされた流体移送デバイスの第3の好ましい実施例と、を含む直立したバイアルアッセンブリを前方から見た正面図である。
【図15】図14のC−C線に沿った図14のバイアルアッセンブリの長手方向断面図である。
【図16】図14のバイアルアッセンブリの分解図である。
【図17】続く流体連通位置での図14のバイアルアッセンブリを前方から見た等角図である。
【図18】図17のC−C線に沿った図17のバイアルアッセンブリの長手方向断面図である。
【図19】図14のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【図20】図14のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【図21】図14のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【図22】図14のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【図23】図14のバイアルアッセンブリの使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図5は、バイアル101及び予備取り付けされた流体移送デバイス102を含む二部構造のバイアルアッセンブリ100Aを示す。バイアル101は長手方向軸線101Aを有し、バイアル本体103を備える。バイアル本体103は、粉体状又は液体状の薬剤106を収容するためのバイアル内部104と、バイアル開口部を形成するバイアルリム107と、バイアル内部104とバイアルリム107との間の中間が縮径したバイアルネック108とを備える。バイアル101は、最上ストッパ面109Aが露出されたストッパ109によってシールされている。バイアル101はバンド111によって気密封止されている。ストッパ109には、穴端112Aを有するめくら穴112が形成されており、穴端112Aとバイアル内部104との間のストッパ厚さは縮小している。
【0013】
流体移送デバイス102は、長手方向軸線101Aと実質的に同軸の長手方向軸線102Aを有し、細長いチューブ状流れ部材113を備える。流れ部材113は、コネクタ114と、スパイク116と、コネクタ114とスパイク116との間を流体連通するため、これらの間を縦さ方向に延びる単一の内腔117とを備える。スパイク116はストッパ109とぴったりと密封接触しており、初期流体未連通セットアップ位置(図1及び図2参照)ではストッパ109を穿刺せず、流体連通位置(図4及び図5参照)では穴端112Aを穿刺する、穴端112Aと近接したスパイク端116Aを有する。コネクタ114は雄ねじ118を有し、雄ねじ118は、コネクタ114を無菌状態に保つための、ねじキャップによって構成された閉鎖体119によってシールされている。添付図面に示すコネクタ114は、雌ルアーコネクタである。
【0014】
流体移送デバイス102は、バイアル101に向かう流れ部材113の変位を停止するための流れ部材拘束構成120を備える。流れ部材113の変位の停止は、流れ部材113をその流体未連通セットアップ位置(図1及び図2参照)からその流体連通位置(図4及び図5参照)まで手動で押圧したとき、流体連通の目的でスパイク端116Aがストッパ109を所定距離まで穿刺するように行われる。流れ部材拘束構成120は、コネクタ114とスパイク116との間の環状フランジ121によって構成される。環状フランジ121は、流体未連通セットアップ位置では最上ストッパ面109Aの上方に配置され、流体連通位置では最上ストッパ面109Aに当接する。
【0015】
流体移送デバイス102は、閉鎖体119をコネクタ114から手動で取り外すときに流れ部材113がストッパ109から変位しないようにするための流れ部材固定構成130を備える。流れ部材固定構成130は、ねじキャップ119を捩じって外すとき及びこれに続いて注射器140をコネクタ114に螺着するときに流れ部材113がストッパ109に対して回転しないようにする。流れ部材固定構成130は、反対方向に延びる一対の半径方向返し131によって構成される。これらの返し131は、バイアルアッセンブリ100Aのセットアップ位置(図1及び図2参照)ではストッパ面109Aの上方に配置され、バイアルアッセンブリ100Aの流体連通位置(図4及び図5参照)ではストッパ109に挿入される。
【0016】
図6乃至図8は、雄ルアーロックコネクタ141を有する注射器140とともにバイアルアッセンブリ100Aを使用する方法を示す。注射器140には、バイアルの粉体状薬剤106を以下に説明するように復元するための希釈剤142が入っている。
【0017】
図6は、スパイク116がストッパ109を穿刺しておらず、ねじキャップ119がコネクタ114をシールしているセットアップ位置でのバイアルアッセンブリ100Aを示す。
【0018】
図7は、ストッパ面109Aに当接するフランジ121によって流れ部材113が停止され、スパイク端116Aがストッパ109を穿刺した状態になるまで、矢印Aで示すように、流れ部材113をバイアル101に向かって押した後の流体連通位置でのバイアルアッセンブリ100Aを示す。
【0019】
図8は、ねじキャップ119を反時計回り方向Bに捩じって外し、コネクタ114を露出させた後のバイアルアッセンブリ100Aを示す。返し131により、ねじキャップ119を捩じって外す際の流れ部材113の回転が防止されるとともに、流れ部材113がストッパ109から引き出されることが防止される。
【0020】
注射器140は、注射器140とバイアル内部104との間を流体連通できるようにするために、時計回り方向Cに捩じってコネクタ114に螺着される。注射器140をコネクタ114に螺着するとき、返し131により流れ部材113の回転が防止される。
【0021】
図9乃至図11は、バイアルアッセンブリ100Aと同様のバイアルアッセンブリ100Bを示す。従って、同様の部分には同様の参照番号が付してある。バイアルアッセンブリ100Bは、流れ部材113がそのセットアップ位置からその流体連通位置に向かって誤って変位し、ストッパ109を誤って穿刺することがないようにするためのプルリング型安全キャッチ機構150を有する流体移送デバイス102を含むという点で、バイアルアッセンブリ100Aと異なる。
【0022】
安全キャッチ機構150は、フランジ122をグリップするためのほぼ環状の上部スプリットフランジグリップ152と、バイアルネック108をグリップするためのほぼ環状の下部ネックグリップ153と、フランジグリップ152とネックグリップ153との間を延びる直立ロッド154とを有する安全キャッチ151を備える。安全キャッチ機構150は、更に、安全キャッチ151を取り外すことによって流れ部材113を手動でバイアル101に向かって押すことができるようにするための安全プルリング156を備える。安全プルリング156は、バイアルの長手方向軸線101Aと同じ方向で下方に垂下した初期位置を有し、手動で上方に押圧されることによって、安全キャッチ151を取り外すことができるようにするための、バイアルの長手方向軸線101Aに対して横方向の位置をとる。
【0023】
安全キャッチ機構150は、ひとたび使用者が流れ部材113をその初期セットアップ位置から流体連通位置までいつでも手動で押圧することができるように安全キャッチ機構150を準備した後には、使用者が安全キャッチ機構150をその初期位置に戻すことができないようにする変更防止構成160を備える。この変更防止構成160は、安全リング156が横方向位置から下方に垂下した初期位置に戻らないようにすることによって、バイアルアッセンブリ100Bが確実に、不当に変更されないようにするための戻り止め161が形成された直立ロッド154によって構成される。
【0024】
バイアルアッセンブリ100Bの使用方法は、最初に安全キャッチ機構150の準備を行う必要があり、その後、図6乃至図8に示す工程に従って作業を行なう前に取り外される必要がある点を除くと、バイアルアッセンブリ100Aと同じである。図12は、安全リング156を下方に垂下した初期位置から、矢印Dで示すように図13に実線で示す横方向位置まで手動で押圧することによるバイアルアッセンブリ100Bの最初の準備を示す。図13は、安全キャッチ機構150を矢印Eで示すように側方に取り外していつでも使用できるようにするための、バイアルアッセンブリ100Bの最後の準備を示す。
【0025】
図14乃至図16は、バイアル101及び流体移送デバイス201を備えるバイアルアッセンブリ100Cを示す。流体移送デバイス201の長手方向軸線201Aは、バイアルの長手方向軸線101Aと実質的に同軸である。流体移送デバイス201は、雄118を有するコネクタ114を含む細長いチューブ状流れ部材113と、スパイク端116Aを含むスパイク116と、内腔117と、ねじキャップ119とを備える。流体移送デバイス201は、流れ部材113を、流体未連通セットアップ位置から流体連通位置まで手動で押圧したときにバイアル101に向かう流れ部材113の変位を停止するための流れ部材拘束構成120を備える。流体移送デバイス201は、閉鎖体119をコネクタ114から手動で取り外すときに流れ部材113が上方に変位しないようにするための流れ部材固定構成130を備える。
【0026】
流体移送デバイス201は、流れ部材113が、初期流体未連通セットアップ位置から、ストッパ109を貫通してスパイク端116Aをバイアル内部104に押し込むための、その後の流体連通位置まで、誤って下方に変位しないようにするための捩じり−押下安全キャッチ機構202を備える。安全キャッチ機構202は、流れ部材113と一体成形されたキャップ状部材203を備える。このキャップ状部材203は、バイアルグリップ部材204に入れ子式に取り付けられている。バイアルグリップ部材204は、バイアルリム107に入れ子式にスナップ嵌めするため、下方に垂下した間隔が隔てられた可撓性部材206を有する。図16は、外部から見えないスパイク116を示すための切欠き部203Aを有するキャップ状部材203を示す。切欠き部203Aは本当には設けられていない。流体移送デバイス201は、更に、変更防止構成160を備える。変更防止構成160は、ひとたび、使用者が流れ部材113を初期セットアップ位置から流体連通位置まで手動で押圧することができるように安全キャッチ機構202の準備を整えると、使用者が安全キャッチ機構202を初期位置に戻すことができないようにするための構成である。
【0027】
キャップ状部材203は、上壁207と、直径方向に向かい合った一対のスロット209が形成され、下方に垂下したスカート208とを備える。各スロット209は、開放端が横向き配置された略U字形状の形態を有する。このU字形状の開放端は反時計回り方向に向いている。図14、図16及び図17には前側のスロット209のみを示している。U字形状スロット209は、各々、実質的に水平であり、最下に位置する部分209Aと、実質的に水平であり、最上に位置する部分209Bと、部分209Aと209Bとの間に延びて、上方に傾斜した部分209Cとを含む。スカート208には、最上部分209Bと傾斜区分209Cとの間の接続箇所に、流れ部材固定構成130及び変更防止構成160の一部として作用する一対のラッチ部材211が形成されている。
【0028】
バイアルグリップ部材204は、向き合った側壁212A及び212Bと、これらの向き合った側壁212A及び212B間に配置され、向き合って直立した、弾性的に撓むことができる安全キャッチ213A及び213Bとを備える。安全キャッチ213は、各々、対応するU字形状スロット209に沿って移動するための、半径方向の外側に向いたピン214を有する。安全キャッチ213は、撓んでいない直立位置に対して時計回り方向及び反時計回り方向に意図的に撓ませることができる。ピン214は、ラッチ部材211によって、最上部分209Bにラッチ止めされた状態に保持される。これによって、ねじキャップ119を反時計回り方向に捩じって外すことが容易になる。これは、ピン214がラッチ部材211に当接するためである。注射器140を時計回り方向に捩じってコネクタ114に螺着するとき、ピン214は、最上部分209Bにラッチ止めされた状態に保持される。これは、ピン214が最上部分209Bの自由端に当接するためである。
【0029】
安全キャッチ機構202、流れ部材拘束構成120、流れ部材固定構成130、及び変更防止構成160は、単一のスロット209及び安全キャッチ213によっても作動する。二つの安全キャッチ213を設ければ、更に堅固な構成が提供される。
【0030】
図19乃至図23は、バイアルアッセンブリ100Cの使用方法を示す。
【0031】
図19は、セットアップ位置にあるバイアルアッセンブリ100Cを示す。セットアップ位置では、キャップ状部材203がバイアルグリップ部材204に対して持ち上げられており、安全キャッチ213が直立位置にあり、これらのキャッチに設けられたピン214が下部分209Aの自由端に配置され、スパイク端116Aが穴端112Aの近くまでストッパ109に予め挿入され、ねじキャップ119がコネクタ114をシールしている。
【0032】
図20は、バイアルアッセンブリ100Cをいつでも使用できるようにする準備を示す。この準備は、キャップ状部材203を、矢印Fで示すようにバイアルグリップ部材204に対して時計回り方向に手動で回転することによって行われる。これによって、ピン214は下部分209Aと直立部分209Cとの間の接続部に配置される。
【0033】
図21は、キャップ状部材203を、矢印Gで示すようにバイアルグリップ部材204に向かって押し、ストッパ109を穿刺した後の流体連通位置にあるバイアルアッセンブリ100Cを示す。キャップ状部材203が押されたとき、ピン214が直立部分209Cに沿って強く押圧されるため、安全キャッチ213は、最初、反時計回り方向に撓む。安全キャッチ213は、これらのキャッチに設けられたピン214が押圧され、ラッチ部材211を迅速に乗り越えることによって撓んでいない位置に戻ることができる。これによって、使用者がキャップ状部材203をその元の位置(図19参照)に戻すことが阻止される。
【0034】
図22は、ねじキャップ119を矢印Hで示すように反時計回り方向に捩じって外し、コネクタ114を露出するところを示す。
【0035】
図23は、注射器140とバイアル内部104との間を流体連通できるようにするため、ニードルレス注射器140を時計回り方向Jに捩じってコネクタ114に装着するところを示す。
【0036】
限られた数の実施例について本発明を説明したが、添付の特許請求の範囲の範疇で、本発明の多くの変形、変更、その他の応用を行えることが理解されよう。
【符号の説明】
【0037】
100A・・・バイアルアッセンブリ
101・・・バイアル
101A・・・長手方向軸線
102・・・流体移送デバイス
102A・・・長手方向軸線
103・・・バイアル本体
104・・・バイアル内部
106・・・薬剤
107・・・バイアルリム
108・・・バイアルネック
109・・・ストッパ
109A・・・最上ストッパ面
111・・・バンド
112・・・めくら穴
112A・・・穴端
113・・・チューブ状流れ部材
114・・・コネクタ
116・・・スパイク
116A・・・スパイク端
117・・・内腔
118・・・雄ねじ
119・・・閉鎖体
120・・・流れ部材拘束構成
121・・・環状フランジ
130・・・流れ部材固定構成
131・・・半径方向返し
140・・・注射器
142・・・希釈剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルレス注射器とともに使用するためのバイアルアッセンブリであって、
(a)長手方向軸線を有するバイアルであって、医薬品を貯蔵するためのバイアル内部を有するバイアル本体と、バイアル開口部を形成するバイアルリムと、前記バイアルをシールするためのストッパとを含む、バイアルを備え、
前記ストッパは、最上ストッパ面と、予備成形された軸線方向のめくら穴とを有し、前記めくら穴の穴端では、前記めくら穴と前記バイアル内部との間のストッパの厚さが縮小され、
前記バイアルアッセンブリは、また、
(b)前記バイアルの長手方向軸線と実質的に同軸に整合された長手方向軸線を有する流体移送デバイスを備え、
前記流体移送デバイスは、
i)前記ニードルレス注射器との流体連通をシールするためのコネクタと、
前記ニードルレス注射器と前記バイアル内部との間を流体連通できるようにするために、前記ストッパを穿刺するためのスパイク端を有するスパイクと、
を有する細長いチューブ状流れ部材を含み、
前記流れ部材は、前記スパイク端が前記ストッパ内に配置された初期流体未連通セットアップ位置から流体連通位置まで手動で押圧され、前記流体連通位置において、前記スパイク端が前記穴端を穿刺して前記バイアル内部内に所定距離突出し流体連通できるようになっており、
前記スパイク端は、前記流体未連通セットアップ位置では前記ストッパとぴったりと密封接触しており、前記流体連通位置では前記穴端を越えて前記バイアル内部内に突出し、
前記流体移送デバイスは、また、
ii)最初、前記流体未連通セットアップ位置で前記コネクタをシールし、取り外されると、前記ニードルレス注射器に密封をなして連通できるようにするために、前記流体連通位置で前記コネクタを露出するための、手動で取り外すことができる閉鎖体を備える、バイアルアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記コネクタは外ねじを有し、
前記閉鎖体は、前記外ねじに螺着するねじキャップによって構成され、これによって、前記ねじキャップを捩じって前記ねじから外すとき、前記流れ部材固定構成により、前記流れ部材が前記ストッパに対して回転しないようにされる、アッセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記流体移送デバイスは、前記流体連通位置において、前記流れ部材の変位を前記所定距離で停止するための流れ部材拘束構成を含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記流れ部材拘束構成は、前記コネクタと前記スパイクとの中間のフランジを含み、
前記フランジは、前記流体未連通セットアップ位置において、前記最上ストッパ面の上方に配置され、前記流体連通位置において、前記最上ストッパ面に当接する、バイアルアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記流体移送デバイスは、前記閉鎖体を前記コネクタから手動で取り外すとき、前記流れ部材が上方に変位しないようにするための流れ部材固定構成を含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のバイアルアッセンブリにおいて、
前記流れ部材固定構成は、前記流れ部材に沿った少なくとも一つの返であって、前記流体未連通セットアップ位置において、前記最上ストッパ面の上方に配置され、前記流体連通位置において前記ストッパ内に配置される返しを含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記流体移送デバイスは、更に、前記流れ部材が前記流体未連通セットアップ位置から前記流体連通位置まで誤って変位しないようにする安全キャッチ機構を含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記流体移送デバイスは、更に、ひとたび使用者が前記安全キャッチ機構を、前記流れ部材を前記流体未連通セットアップ位置から前記流体連通位置までいつでも手動で押圧することができるように前記安全キャッチ機構を準備した後、使用者が前記安全キャッチ機構をその初期位置に戻すことを阻止するための変更防止構成を含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項9】
請求項7に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記バイアルは、前記バイアルリムと前記バイアル本体との中間にバイアルネックを含み、
前記流れ部材拘束構成は、前記コネクタと前記スパイクとの中間にフランジを含み、
前記フランジは、前記流体未連通セットアップ位置において前記最上ストッパ面の上方に配置されており、
前記安全キャッチ機構は、前記フランジをグリップするための上方フランジグリップと、前記バイアルネックをグリップするための下方ネックグリップと、及び前記上方フランジグリップと前記下方ネックグリップとの間を延びる直立ロッドとを有する、取り外し自在の安全キャッチを含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項10】
請求項7に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記安全キャッチ機構は、前記取り外し自在の安全キャッチを前記バイアルから取り外すための安全プルリングを含み、
前記安全プルリングは、
前記バイアルの長手方向軸線と同じ方向に延びる初期下方位置を有し、
前記安全キャッチを取り外すことができるようにするために、前記バイアルの長手方向軸線に対して横方向の位置に手動で上方に押圧される、バイアルアッセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記安全プルリングが前記横方向位置から前記初期下方位置に戻らないようにするための戻り止めを含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項12】
請求項7に記載のバイアルアッセンブリにおいて、
前記安全キャッチ機構は、バイアルグリップ部材であって、
前記バイアルリムに入れ子式にスナップ嵌めするための、下方に垂下した間隔が隔てられた撓み部材と、
前記流れ部材と一体形成され、前記バイアルグリップ部材に入れ子式に取り付けられたキャップ状部材であって、前記スパイク端を、前記ストッパを貫通して前記バイアル内部内に押圧するために、前記流体未連通セットアップ位置から前記流体連通位置まで手動で押圧するためのキャップ状部材と
を有するバイアルグリップ部材を含む、バイアルアッセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記バイアルグリップ部材は、半径方向の外側に向いたピンが設けられた、少なくとも一つの直立し、弾性的に撓むことができるキャッチ部材を含み、
前記キャップ状部材は少なくとも一つのスロットを含み、
前記少なくとも一つの半径方向の外側に向いたピンは、前記キャップ状部材を前記バイアルグリップ部材に入れ子式に取り付けることができるように、対応する前記スロットに沿って移動する、バイアルアッセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記スロットの各々は、前記バイアルアッセンブリが直立位置にある場合に、開放端が反時計回り方向に向いた略U字形状の形態を有し、これによって前記流れ部材固定構成として作用する、バイアルアッセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載のバイアルアッセンブリであって、
前記スロットの各々は、実質的に水平な最下部分、実質的に水平な最上部分、及び前記実質的に水平な最下部分と前記実質的に水平な最上部分との間に延びて、上方に傾斜した部分を含み、
ラッチ部材が、前記実質的に水平な最上部分と、前記上方に傾斜した部分との間の接続箇所に配置されており、
これによって、前記半径方向の外側に向いたピンは、ひとたび使用者が前記安全キャッチ機構を、前記流れ部材を前記初期セットアップ位置から前記流体連通位置までいつでも手動で押圧することができるように前記安全キャッチ機構を準備した後、使用者が前記安全キャッチ機構をその初期位置に戻すことを阻止するため、前記流体連通において、対応する前記ラッチ部材を乗り越える、バイアルアッセンブリ。
【請求項16】
請求項1乃至15のうちのいずれか一項に記載のバイアルアッセンブリで使用するためのバイアル。
【請求項17】
請求項1乃至15のうちのいずれか一項に記載のバイアルアッセンブリで使用するための流体移送デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2013−506490(P2013−506490A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531551(P2012−531551)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000777
【国際公開番号】WO2011/039747
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(506361719)メディモップ・メディカル・プロジェクツ・リミテッド (16)
【Fターム(参考)】