説明

バイオセンサ、バイオセンサカートリッジ、測定装置及び測定方法

【課題】複数回の測定が可能で、付着・凝固した血液による導通不良を防止するバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ及び測定装置を提供する。また、これらバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ及び測定装置を用いた被検物、特に血液中のグルコースの連続した測定方法を提供する。
【解決手段】
本発明によると、第1の基材に複数の検出部を備え、前記検出部は電極系と前記電極系に電気的に接続された配線部とを有し、測定時に、前記電極系は前記第1の基材の第1の面に位置し、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面とは空間的に異なる第2の面に位置することを特徴とするバイオセンサが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサ、そのバイオセンサを有する連続測定用のバイオセンサカートリッジと、そのバイオセンサカートリッジを用いる測定装置に関する。さらに、本発明は、これらバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ及び測定装置を用いた被検物の連続した測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液等の生体試料中の特定成分について迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学的検出手段によるバイオセンサが実用化されている。このようなバイオセンサの一例として、電気化学的に血液中のグルコースを定量化するグルコースセンサがある。
【0003】
グルコースセンサでは、作用極と対極を含む電極系、酵素及び電子受容体を基本構成として備えている。酵素は血液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生じる。この還元体に電極系で一定の電圧を印加することで還元体が再び酸化され、その際に電流が発生する。この電流が血液中のグルコース濃度に依存することから、血液中のグルコースを定量化することができる。
【0004】
インスリン自己注射を要する糖尿病患者においては、食前食後、就寝前や起床後、インスリン自己注射前後等の血液中のグルコース、すなわち血糖のコントロールは生命に関わる重大な問題である。グルコースセンサは小型化が可能であるため、このような糖尿病患者による血糖自己測定に一般に用いられるが、グルコースセンサを使用する糖尿病患者は、小児から高齢者まで幅広く、簡便に測定可能な測定装置が求められている。
【0005】
従来のグルコースセンサは、測定装置に装着可能なセンサ部を形成したセンサチップを、測定毎に装置に装着しているため、患者の取り扱いが容易なように、センサチップをあえて大きくしていた。しかし、このような測定毎にセンサチップを装置に装着する方式の装置は、特に高齢者の患者には取り扱いが難しい場合が多い。このような取り扱いの煩雑さを解消するために、例えば、特許文献1には、複数のバイオセンサをシート状に形成したバイオセンサシートをカートリッジにした測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−83927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された測定装置では、センサ部を形成した血液採取を行う面と、電気信号を取り出すコネクタの接触面が同一面に配置されており、血液が付着することによるコネクタの汚染や複数回の測定で付着・凝固した血液による導通不良が発生する。このような導通不良が発生すると、正確な血糖値の測定ができず、糖尿病患者による血糖のコントロールが困難となり、ひいては糖尿病患者の生命に重大な影響を与えかねない。
【0008】
本発明は上述の問題点を解決するもので、複数回の測定が可能で、付着・凝固した血液による導通不良を防止するバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ及び測定装置を提供することを目的とする。また、これらバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ及び測定装置を用いた被検物、特に血液中のグルコースの連続した測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、第1の基材に複数の検出部を備え、前記検出部は電極系と、前記電極系に電気的に接続された配線部とを有し、測定時に、前記電極系は前記第1の基材の第1の面に位置し、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面とは空間的に異なる第2の面に位置することを特徴とするバイオセンサが提供される。
【0010】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0011】
前記バイオセンサにおいて、測定前に、前記電極系と前記配線部とは前記第1の基材の前記第1の面に配してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させるため、測定前には、電極系と配線部とは第1の基材の同一の面に配置してもよく、バイオセンサの製造が簡便となり、従って、センサの作り込みの精度を高く維持することができる。
【0013】
前記バイオセンサにおいて、前記第1の面と前記第2の面とがなす角は、0°以上180°未満であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサは、電極系が配置された面と、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部が配置された面とのなす角を0°以上180°未満にすることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0015】
前記バイオセンサにおいて、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面と反対側に配置され、前記電極系と前記配線部の少なくとも一部は前記第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続してもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサは、配線部の少なくとも一部が第1の面と反対側に配置され、電極系と配線部の少なくとも一部が第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されることにより、配線部が試料に直接触れるのを防止し、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0017】
前記バイオセンサにおいて、前記電極系は作用極と、対極とを含み、前記作用極上に位置する酵素及び電子受容体を含む酵素反応部を備えてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサは、電極系は作用極と、対極とを含み、作用極上に位置する酵素及び電子受容体を含む酵素反応部を備えることにより、被検出物の濃度に応じた電気信号を検出することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態によると、第1の基材に複数の検出部を備え、前記検出部は電極系と、前記電極系に電気的に接続された配線部とを有し、測定時に、前記電極系は前記第1の基材の第1の面に位置し、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面とは空間的に異なる第2の面に位置するバイオセンサを収納するバイオセンサカートリッジであって、容器内に、測定前の検出部を有するバイオセンサが巻き付けられた第1の回転部と、測定後の検出部を有するバイオセンサが収容される回収部と、を備えることを特徴とするバイオセンサカートリッジが提供される。
【0020】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させるバイオセンサを収容することにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。また、容器内に、測定前の検出部を有するバイオセンサが巻き付けられた第1の回転部を備えることにより、血液の付着による測定前の検出部の汚染を防止するとともに、測定後の検出部を有するバイオセンサが収容される回収部を備えることにより、付着・凝固した血液による第三者への感染を防止することができる。
【0021】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、測定前に、前記電極系と前記配線部とは前記第1の基材の前記第1の面に配置してもよい。
【0022】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、バイオセンサの電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させるため、測定前には、電極系と配線部とは第1の基材の同一の面に配置してもよく、バイオセンサの製造が簡便となり、従って、センサの作り込みの精度を高く維持することができる。
【0023】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記第1の面と前記第2の面とがなす角が0°以上180°未満となるように、前記バイオセンサを折り曲げてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、バイオセンサの電極系が配置された面と、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部が配置された面とのなす角を0°以上180°未満にすることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0025】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記検出部が前記第1の基材の前記第1の面に位置する状態で、前記バイオセンサが前記第1の回転部に巻きつけられており、前記第1の回転部から送り出され、かつ測定前の前記検出部を有する前記バイオセンサを折返す折返し部をさらに備えてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、測定前の前記検出部を有するバイオセンサを折返す折返し部を備えることにより、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させることができる。
【0027】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面と反対側に配置され、前記電極系と前記配線部の少なくとも一部は前記第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されてもよい。
【0028】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、配線部の少なくとも一部が第1の面と反対側に配置され、電極系と配線部の少なくとも一部は第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されることにより、配線部が試料に直接触れるのを防止し、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0029】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記電極系は作用極と、対極とを含み、前記作用極上に位置する酵素及び電子受容体を含む酵素反応部を備えてもよい。
【0030】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、バイオセンサの電極系が作用極と、対極とを含み、作用極上に位置する酵素及び電子受容体を含む酵素反応部を備えることにより、被検出物の濃度に応じた電気信号を検出することができる。
【0031】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記回収部に第2の回転部をさらに備えてもよい。
【0032】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、回収部に回転部をさらに備えることにより、測定後の検出部を有するバイオセンサをコンパクトに収容することができ、付着・凝固した血液による汚染を防止することができる。
【0033】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記配線部の一部と接触して、前記電極系からの電気信号を受信するための接続電極をさらに備えてもよい。
【0034】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、配線部の一部と接触して、電極系からの電気信号を受信するための接続電極をさらに備えることにより、電極系からの電気信号を測定装置に伝達することができる。また、バイオセンサと測定装置とが直接接触しないため、測定装置への血液による汚染を防止することができる。
【0035】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記バイオセンサの前記検出部を前記容器の外側に押し出す押出部をさらに備えてもよい。
【0036】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、バイオセンサの検出部を容器の外側に押し出す押出部をさらに備えることにより、測定時以外は、バイオセンサの検出部をバイオセンサカートリッジの内部に収容することができる。これにより、バイオセンサカートリッジや測定装置の輸送時や、測定装置へのバイオセンサカートリッジの装着時に、バイオセンサの検出部が外部に曝されることなく、検出部の劣化や損壊を防止することができる。
【0037】
前記バイオセンサカートリッジにおいて、前記押出部に、前記接続電極を備えてもよい。
【0038】
本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジは、押出部に、接続電極を備えることにより、電極系とは反対側の基材の面に配置した配線部の一部と接続電極とを押出部で接続することができる。
【0039】
また、本発明の一実施形態によると、前記の何れか一に記載のバイオセンサを収容するバイオセンサカートリッジを装着する測定装置であって、前記電極系からの電気信号を測定値に変換する演算部をさらに備えることを特徴とする測定装置が提供される。
【0040】
本発明の一実施形態に係る測定装置は、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させたバイオセンサを収容するバイオセンサカートリッジを装着することにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。また、演算部を備えることにより、電極系からの電気信号を測定値に変換して測定者に提供することができる。
【0041】
前記測定装置において、前記測定値を表示する表示部をさらに備えてもよい。
【0042】
本発明の一実施形態に係る測定装置は、測定値を表示する表示部をさらに備えることにより、測定者である患者に、測定値を視覚的に提供することができる。
【0043】
前記測定装置において、前記回転部を駆動する駆動部をさらに備えてもよい。
【0044】
本発明の一実施形態に係る測定装置は、回転部を駆動する駆動部をさらに備えることにより、バイオセンサの検出部を測定位置に移動することができる。
【0045】
前記測定装置において、前記駆動部は、前記バイオセンサの測定前の1つの検出部を前記測定装置の外側の測定位置に配置してもよい。
【0046】
本発明の一実施形態に係る測定装置は、駆動部がバイオセンサの測定前の1つの検出部を測定装置の外側の測定位置に配置することにより、測定者である患者の確実に測定を行えるようにすることができる。
【0047】
また、本発明の一実施形態によると、第1の基材に電極系と、前記電極系と電気的に接続された配線部と、を有する検出部を複数備えたバイオセンサを用い、前記電極系が前記第1の基材の第1の面に位置し、前記配線部の一部が前記第1の面とは空間的に異なる第2の面に位置するように前記バイオセンサを配置し、前記電極系に試料を接触させて、前記試料に含まれる被検物を測定し、前記第1基材の前記第2の面側に位置する前記配線部の一部から、前記電極系からの電気信号を受信することを特徴とする測定方法が提供される。
【0048】
本発明の一実施形態に係る測定方法は、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させることにより、電極系に試料を接触させて被検物を測定する一方で、付着・凝固した血液による導通不良を防止しつつ、電極系からの電気信号を第2の面側に位置する配線部の一部から受信することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0049】
前記測定方法において、測定前に、前記電極系と前記配線部とは前記第1の基材の前記第1の面に配置してもよい。
【0050】
本発明の一実施形態に係る測定方法は、バイオセンサの電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させるため、測定前には、電極系と配線部とは第1の基材の同一の面に配置してもよく、製造が簡便で作り込みの精度を高く維持することが可能なバイオセンサを用いて、測定精度を高く維持することができる。
【0051】
前記測定方法において、前記第1の面と前記第2の面とがなす角が0°以上180°未満となるように、前記バイオセンサを折り曲げてもよい。
【0052】
本発明の一実施形態に係る測定方法は、バイオセンサの電極系が配置された面と、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部が配置された面とのなす角を0°以上180°未満にすることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0053】
前記測定方法において、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面と反対側に配置され、前記電極系と前記配線部の少なくとも一部は前記第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されてもよい。
【0054】
本発明の一実施形態に係る測定方法は、配線部の少なくとも一部は第1の面と反対側に配置され、電極系と配線部の少なくとも一部は第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されることにより、配線部が試料に直接触れるのを防止し、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0055】
前記測定方法において、前記バイオセンサは、押出部を備えたバイオセンサカートリッジに収納され、前記押出部が前記バイオセンサの前記検出部を前記バイオセンサカートリッジの外側に押し出して、前記電極系に前記試料を接触させてもよい。
【0056】
本発明の一実施形態に係る測定方法は、バイオセンサが、押出部を備えたバイオセンサカートリッジに収納され、押出部がバイオセンサの検出部をバイオセンサカートリッジの外側に押し出して、電極系に試料を接触させることにより、測定時以外は、バイオセンサの検出部をバイオセンサカートリッジの内部に収容することができる。これにより、バイオセンサカートリッジや測定装置の輸送時や、測定装置へのバイオセンサカートリッジの装着時に、バイオセンサの検出部が外部に曝されることなく、検出部の劣化や損壊を防止することができる。
【0057】
前記測定方法において、前記電極系からの電気信号を測定値に変換してもよい。
【0058】
本発明の一実施形態に係る測定方法は、電極系からの電気信号を測定値に変換する演算部をさらに備えることにより、測定者である患者に、測定値を提供することができる。
【0059】
前記測定方法において、前記バイオセンサカートリッジは、回収部を備えて、測定後の検出部を有するバイオセンサを収容してもよい。
【0060】
本発明の一実施形態に係る測定方法は、回収部を備えることにより、測定後の検出部を有するバイオセンサを収容することができ、付着・凝固した血液による汚染を防止することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明によると、複数回の測定が可能で、付着・凝固した血液による導通不良を防止するバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ及び測定装置が提供される。また、これらバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ及び測定装置を用いた被検物、特に血液中のグルコースの連続した測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100を説明する図であり、(a)はバイオセンサ100を示し、(b)は検出部101が配置された面から見た測定時のバイオセンサ100の形状を示し、(c)は電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130が配置された面から見た測定時のバイオセンサ100の形状を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る配線部の一部130と接続電極520との接続を示す模式図であり、(a)はバイオセンサ100の配線部の一部130が配置された面から見た図であり、(b)は(a)の破線部における断面図であり、(c)は接続電極520の別の形態の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電極系10付近を拡大したバイオセンサ100の模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るバイオセンサ200を示し、(a)はバイオセンサ200を示し、(b)は検出部201が配置された面から見た測定時のバイオセンサ200の形状を示し、(c)は電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130が配置された面から見た測定時のバイオセンサ200の形状を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係る配線部の一部130と接続電極520との接続を示す模式図であり、(a)はバイオセンサ100の配線部の一部130が配置された面から見た図であり、(b)は(a)の破線部における断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るバイオセンサ300を示す模式図であり、(a)はバイオセンサ300を示し、(b)は電極系が配置された面から見たバイオセンサ300を示し、(c)は側面から見たバイオセンサ300を示す。
【図8】本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジ500を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジ600の模式図であり、(a)はバイオセンサカートリッジ600の上面図を示し、(b)は(a)の破線で示した折り曲げ部660の側面図を示す。
【図10】本発明の一実施形態に係るガイド665の模式図であり、(a)はガイド665を備えるバイオセンサカートリッジ650の模式図であり、(b)はガイド665の側面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジ700の模式図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る測定装置1000の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、図面を参照して本発明に係るバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ、測定装置及び測定方法について説明する。但し、本発明のバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ、測定装置及び測定方法は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0064】
上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、試料と接触して、試料中の被測定物の濃度を検出するバイオセンサの検出部の電極系と、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部とを、測定時に空間的に異なる2つの面にそれぞれ配置させることにより、電極系に付着・凝固した試料、特に血糖値測定時の血液よる配線部の導通不良を防止することができることを本発明者らは見出した。また、このような検出部を帯状の基材に複数備えるバイオセンサを用いる測定方法により、正確な被検出物の測定、特に血糖値の測定を行うことができることを本発明者らは見出した。なお、以下ではバイオセンサの一例として、グルコースセンサについて説明するが、本発明に係るバイオセンサ、バイオセンサカートリッジ、測定装置及び測定方法は、これに限定されるものではなく、血糖の他、様々な試料及び被検出物に対して適用可能である。
【0065】
(バイオセンサ)
図1は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ100を示す模式図である。図1(a)はバイオセンサ100を示し、図1(b)は検出部101が配置された面から見た測定時のバイオセンサ100の形状を示し、図1(c)は電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130が配置された面から見た測定時のバイオセンサ100の形状を示す。バイオセンサ100は、第1の基材である基材1上に複数の検出部101を備える。検出部101は、基材1の長手方向に所定の間隔で配置される。
【0066】
ここで、検出部が配置される所定の間隔とは、後述するバイオセンサカートリッジにおいて、測定位置の検出部が測定後の検出部に付着・凝固した血液による汚染を受けず、且つ、測定位置の検出部を用いた測定時に、測定前の検出部が血液による汚染を受けない間隔である。従って、バイオセンサを収容するバイオセンサカートリッジの形状に応じて任意に設定可能である。
【0067】
検出部101は、電極系10と配線部20とを有する。電極系10は、作用極11と、対極13と、参照極15とを含む。作用極11、対極13及び参照極15には、配線21、配線23及び配線25がそれぞれ接続され、配線部20を構成する。電極系10に接続する配線部20の一端とは反対側に、電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130が配置される。バイオセンサ100は、配線部20が屈曲して、電極系10と配線部の一部130とが、基材1の短手方向の両側にそれぞれ平行に配置される。
【0068】
図1(a)において、直線矢印はバイオセンサカートリッジに収容された時のバイオセンサ100の送り方向を示す。また、バイオセンサ100は、測定時には、バイオセンサ100の長手方向に平行な図1(a)中の破線に沿って山折された状態、すなわち、図1(b)に示した状態で、電極系10に試料を採取する。このとき、電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130は、基材1を介して電極系10の背面に配置される。
【0069】
バイオセンサ100を用いた測定において、図1(c)に示す基材1を介して電極系10の背面に配置された配線部の一部130に接続電極を接触させることにより、電極系10からの電気信号を測定装置に伝達する。図2は、配線部の一部130と接続電極520との接続を示す模式図である。図2(a)はバイオセンサ100の配線部の一部130が配置された面から見た図であり、図2(b)は(a)の破線部における断面図である。また、図2(c)は接続電極520の別の形態の例を示す図である。
【0070】
図2(a)及び図2(b)に示したように、バイオセンサ100は、基材1を介して電極系10の背面に配置された配線21、配線23及び配線25と、接続電極521、接続電極523及び接続電極525とを、それぞれ接触させることにより、測定装置に電極系10からの電気信号を測定装置に伝達することができる。接続電極521、接続電極523及び接続電極525は、後述するバイオセンサカートリッジまたは測定装置の何れかに配設され、結果として測定装置に電気信号を伝達可能であればよい。接続電極521、接続電極523及び接続電極525は、弾性体を用いて保持することにより、配線21、配線23及び配線25とスムーズに接触させることが出来る。
【0071】
また、接続電極520は、図2(c)に示したように、支柱に接続電極521、接続電極523及び接続電極525を平行に配置することにより構成してもよい。このような構成の接続電極520を用いると、弾性体を用いずに配線21、配線23及び配線25とスムーズに接触させることが出来る。なお、配線21、配線23及び配線25は必ずしも平行に配置されていることに限るものではない。それぞれ他の配線と交差しないように基材1の長手方向に沿って配置されていればよい。
【0072】
本実施形態においては、測定時の配線部の一部130の配置を電極系10の背面として説明したが、測定時の配線部の一部130の配置は、これに限定されるものではない。電極系10が配置された基材1の面を第1の面とし、測定時の配線部の一部130が配置される基材1の面を第2の面とした時に、図3に示すように、第1の面と第2の面とがなす角θは、0°以上180°未満であればよい。すなわち、測定時に、電極系10と配線部の一部130とが、空間的に異なる面に配置されるようにすれば良い。
【0073】
本実施形態においては、配線部の一部130の領域の配線21、配線23及び配線25は、バイオセンサ100の送り方向に沿って配設される。このため、バイオセンサ100は、接続電極との配線部の一部130の領域の配線21、配線23及び配線25の長さを十分に取ることにより、各配線と接続電極との位置合わせにおいて、バイオセンサ100の送り方向に対する制御が容易になり、測定時の精度を高く維持することができる。また、配線21、配線23及び配線25を基材1の長手方向(バイオセンサの送り方向)に沿って配置することで、接続電極521、接続電極523及び接続電極525をそれぞれ干渉しない位置に配置することが容易になる。
【0074】
本実施形態に係る基材1は電極系10を支持する基材であり、少なくとも電極系10が配置される面は絶縁性を有する。基材1には電気絶縁性を有し、弾性を有する部材を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリカーボネート(PC)等のフィルムを好適に用いることができる。特に、PETは、材料特性や加工性に優れ、製造コストも抑えることができ、測定頻度の高い糖尿病患者が用いるグルコースセンサには好適である。
【0075】
基材1の形状、大きさ、厚さは、本発明のバイオセンサを接続して使用する装置の接続電極の形状等により、適宜設定することができる。本実施形態に係る基材1は、0.2mm以上15.0mm以下の幅の帯状の形状が好ましい。より好ましくは、2.5mm以上10.0mm以下の幅である。この範囲の幅を有する基材1を用いることにより、測定に十分な血液を採取可能で、且つ、小型で軽量の測定装置に装着可能なバイオセンサカートリッジを実現することができる。また、基材1の厚さは、0.004mm以上2.5mm以下が好ましく、0.006mm以上0.075mm以下がより好ましい。基材1は、この範囲の厚さを有することによりロール加工し易すくなり、小型の測定装置に装着可能なバイオセンサカートリッジを実現することができる。
【0076】
図4は、本発明の一実施形態に係る電極系10付近を拡大したバイオセンサ100の模式図である。上述したように、電極系10は作用極11、対極13及び参照極15を含む。作用極11は還元体の電子受容体に電圧を印加するための一方の電極で、作用極11上に位置する酵素反応部17を備える。酵素反応部17は酵素及び電子受容体を含む。酵素反応部17は、酵素と電子受容体とを混合したものであってもよく、酵素と電子受容体とを別々に積層したものであってもよい。本実施形態では、酵素反応部17を作用極11の上部表面に直接配置した態様を用いて説明しているが、酵素反応部17は空間を介して作用極11に対向するように配置されてもよい。対極13は電子受容体から作用極11に放出された電子によって流れた電流を計測するための一方の電極である。また、参照極15は、作用極11の電位を決定する際の基準となる電極である。
【0077】
電極系10には、導電性、耐腐食性、平滑性及び濡れ性に優れた材料を用いる。電極系10には、例えば、カーボン、銀(Ag)、塩化銀(AgCl)、金(Au)、パラジウム(Pd)を用いることができ、特にカーボンは酸化や腐食に対する耐性に優れ、製造コストも抑えることができ、測定頻度の高い糖尿病患者が用いるグルコースセンサには好適である。電極系10は、カーボン顔料と有機バインダーの混合物により形成することができる。本発明の実施形態に係る電極系10に用いるカーボン顔料としては、例えば、黒鉛、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンファイバー、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等を用いることができる。有機バインダーとしてはアクリル樹脂、エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂等を用いることができる。
【0078】
電極系10の形状、大きさ、厚さは、材料や被検出物に応じて適宜設定することができる。本実施形態に係る電極系10は、0.05mm以上2.0mm以下の幅の矩形の形状が好ましい。より好ましくは、0.1mm以上0.5mm以下の幅である。この範囲の幅を有する基材1を用いることにより、バイオセンサの製造における各電極の面積精度と、測定における各電極と試料との十分な接触空間を提供することができる。また、電極系10の厚さは、0.0005mm以上2.0mm以下が好ましく、0.001mm以上0.1mm以下がより好ましい。電極系10は、この範囲の厚さを有することにより、バイオセンサに要求される隠蔽性と抵抗値を提供することができる。
【0079】
本実施形態に係る酵素反応部17は、酵素と電子受容体とを含む。グルコース濃度を測定する場合には酵素としてグルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。電子受容体はフェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体、オスミューム誘導体等を用いることができる。酵素と電子受容体は、適宜溶媒で希釈して用いる。本実施形態に係る溶媒としては、例えば、水、アルコール、水−アルコール混合溶媒がある。また、直鎖、環状の炭化水素貧溶媒に均一分散させてもよい。酵素と電子受容体とをそれぞれ1試験体当り0.3ユニット以上10ユニット以下と0.5μg以上200μg以下とすることが好ましい。グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼは、純度の高いものが好ましく、上述の範囲の活性を有するものであれば、特に由来となる生物種は限定されず、例えば、グルコースオキシダーゼとしては、東洋紡社製GLO−201を用いることができる。酵素反応部17の酵素及び電子受容体は、酵素量(力価/ユニット)に準じた反応量が得られるが、酵素反応部17の性能を担保する最適重量部の小過剰でよい。
【0080】
また、酵素反応部17は、作用電極11より小さい面積で形成することが好ましい。例えば、酵素反応部17は、0.1mm以上1.0mm以下の範囲で幅を狭くする。酵素反応部17の厚さは、1μm以上100μm以下の範囲が好ましい。酵素反応部17はその面積に比例した検出電流が得られるため、酵素反応部17の面積は可能な範囲で広く設定することが好ましい。
【0081】
本実施形態に係る配線部20には、導電性に優れた材料を用いる。配線部20には、例えば、カーボン、銀(Ag)、塩化銀(AgCl)、金(Au)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼(SUS)を用いることができ、特に銅、アルミニウム及びステンレス鋼は、金属配線の信頼性の観点から好適である。
【0082】
配線部20の形状、大きさ、厚さは、材料や被検出物に応じて適宜設定することができる。本実施形態に係る配線部20は、0.05mm以上2.0mm以下の幅の矩形の形状が好ましい。より好ましくは、0.1mm以上0.5mm以下の幅である。この範囲の幅を有する配線部20を用いることにより、バイオセンサの製造における各配線の面積精度を提供することができる。また、電極系10の厚さは、0.002mm以上2.0mm以下が好ましく、0.005mm以上1.0mmがより好ましい。配線部20は、この範囲の厚さを有することにより、バイオセンサに要求される加工性と信頼性を提供することができる。
【0083】
本実施形態に係るバイオセンサは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。このとき、電極系が配置された面と、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部が配置された面とのなす角を0°以上180°未満にすることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができる。また、本実施形態に係るバイオセンサは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させるため、測定前には、電極系と配線部とは第1の基材の同一の面に配置してもよく、バイオセンサの製造が簡便となり、従って、センサの作り込みの精度を高く維持することができる。
【0084】
図5は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ200を示す。図5(a)はバイオセンサ200を示し、図5(b)は検出部201が配置された面から見た測定時のバイオセンサ200の形状を示し、図5(c)は電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130が配置された面から見た測定時のバイオセンサ200の形状を示す。バイオセンサ200は、第1の基材である基材1上に複数の検出部201を備える。検出部201は、基材1の長手方向に所定の間隔で配置される。
【0085】
検出部201は、電極系10と配線部20とを有する。電極系10は、作用極11と、対極13と、参照極15とを含む。作用極11、対極13及び参照極15には、配線21、配線23及び配線25がそれぞれ接続され、配線部20を構成する。電極系10に接続する配線部20の一端とは反対側に、電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130が配置される。バイオセンサ200は、配線部20が直線状に配置され、電極系10と配線部の一部130とが、基材1の短手方向の両側に同一直線状に配置される。
【0086】
図5(a)において、直線矢印はバイオセンサカートリッジに収容された時のバイオセンサ200の送り方向を示す。また、バイオセンサ200は、測定時には、バイオセンサ200の長手方向に平行な図5(a)中の破線に沿って山折された状態、すなわち、図5(b)に示した状態で、電極系10に試料を採取する。このとき、電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130は、基材1を介して電極系10の背面に配置される。
【0087】
バイオセンサ200を用いた測定において、図5(c)に示す基材1を介して電極系10の背面に配置された配線部の一部130に接続電極を接触させることにより、電極系10からの電気信号を測定装置に伝達する。図6は、配線部の一部130と接続電極520との接続を示す模式図である。図6(a)はバイオセンサ100の配線部の一部130が配置された面から見た図であり、図6(b)は図6(a)の破線部における断面図である。
【0088】
図6(a)及び図6(b)に示したように、バイオセンサ200は、基材1を介して電極系10の背面に配置された配線21、配線23及び配線25と、接続電極521、接続電極523及び接続電極525とを、それぞれ接触させることにより、測定装置に電極系10からの電気信号を測定装置に伝達することができる。接続電極521、接続電極523及び接続電極525は、後述するバイオセンサカートリッジまたは測定装置の何れかに配設され、結果として測定装置に電気信号を伝達可能であればよい。接続電極521、接続電極523及び接続電極525は、弾性体を用いて保持することにより、配線21、配線23及び配線25とスムーズに接触させることが出来る。
【0089】
本実施形態においては、測定時の配線部の一部130の配置を電極系10の背面として説明したが、測定時の配線部の一部130の配置は、これに限定されるものではない。電極系10が配置された基材1の面を第1の面とし、測定時の配線部の一部130が配置される基材1の面を第2の面とした時に、第1の面と第2の面とがなす角は、0°以上180°未満であればよい。すなわち、測定時に、電極系10と配線部の一部130とが、空間的に異なる面に配置されるようにすれば良い。
【0090】
なお、本実施形態に係るバイオセンサ200において、基材1、電極系10及び配線部20のその他の構成はバイオセンサ100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
本実施形態に係るバイオセンサは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。このとき、電極系が配置された面と、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部が配置された面とのなす角を0°以上180°未満にすることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができる。また、本実施形態に係るバイオセンサは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させるため、測定前には、電極系と配線部とは第1の基材の同一の面に配置してもよく、バイオセンサの製造が簡便となり、従って、センサの作り込みの精度を高く維持することができる。
【0092】
上述したバイオセンサ100及びバイオセンサ200は、電極系10と配線部の一部130とを基材1の同一平面上に形成し、バイオセンサの長手方向と平行にバイオセンサを折り曲げることにより、電極系10と配線部の一部130とが異なる面に配置するようにして測定するバイオセンサの例として説明した。以下のバイオセンサ300は、基材1の表裏にそれぞれ電極系と配線部とを配置し、貫通孔を介して接続する例にとして説明する。
【0093】
図7は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ300を示す模式図である。図7(a)はバイオセンサ300を示し、図7(b)は電極系が配置された面から見たバイオセンサ300を示し、図7(c)は側面から見たバイオセンサ300を示す。図7(a)において、直線矢印はバイオセンサカートリッジに収容された時のバイオセンサ300の送り方向を示す。バイオセンサ300は、第1の基材である基材1上に複数の検出部301を備える。検出部301は、基材1の長手方向に所定の間隔で配置される。
【0094】
検出部301は、電極系と配線部とを有し、貫通孔を介して電極系と配線部とを接続する。電極系は、作用極51と対極53とを含み、作用極51を取り囲むように対極53が配置される。配線部は、配線61と配線63とを含む。作用極51は、貫通孔71を介して配線61に接続する。また、対極53は、貫通孔73を介して配線63に接続する。したがって、本実施形態に係るバイオセンサ300においては、電極系と配線部とは、互いに基材1の反対側に配置される。また、バイオセンサ100で説明したように、バイオセンサ300は、測定時に配線61と配線63とに、接続電極521と接続電極523とをそれぞれ接続することにより、電極系からの電気信号を測定装置に伝達することができる。
【0095】
バイオセンサ300において、検出部301は、対極53を用いて参照極として機能させる検出部の例を示す。検出部301は、例えばパルスや三角波電圧を用いて、作用極51と対極53に電圧を印加して、対極としての電流測定を行い、また、所定時間ずらして、対極53を参照極として電圧印加を印加して電流測定を行う、時間分解式の測定方法を適用することができる。このような測定方法は、後述する測定装置に配設される制御部により電圧を印加する電極を切り替え、受信した電気信号を演算部により測定値に変換することで可能となる。貫通孔を用いて表裏導通させる以外には、検出部301を作用極51、対極53により構成し、各極に接続する2本の配線を設けてもよい。また、対極53は作用極51の周囲を囲むように配置すればよい。このような2極法は、参照極を必要とする3極法に比して電極系の構成が簡易なものとなる。
【0096】
なお、本実施形態に係るバイオセンサ300において、基材1、電極系及び配線部のその他の構成はバイオセンサ100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0097】
本実施形態に係るバイオセンサは、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部を、基材を介して互いに反対側の面に形成するため、測定時に折り返した状態にすることなく、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0098】
(バイオセンサの製造方法)
上述の実施形態において説明したバイオセンサ100の製造方法について説明する。第1の基材1の上部表面に配線部20を配設する。配線部20の形成には、印刷法、蒸着法、エッチング、メッキ、切削、レーザー加工(レーザートラッキング)等を用いることができる。配線部20の材料に応じて適宜選択することができる。
【0099】
その後、配線部20の上面及び側面に電極系10を形成する。電極系10の形成には、印刷法、蒸着法、エッチング、メッキ、切削、レーザー加工(レーザートラッキング)等を用いることができる。配線部20の材料に応じて適宜選択することができる。
【0100】
このように形成した電極の1つの作用極11の上面に、酵素及び電子受容体を含む溶液をディスペンサーで塗布した後、40℃で乾燥させ、溶媒成分を除去する。このようにして、酵素反応部17を形成し、バイオセンサ100を製造することができる。
【0101】
(バイオセンサカートリッジ)
上述のバイオセンサを収容する本発明に係るバイオセンサカートリッジについて説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジ500を示す模式図である。バイオセンサカートリッジ500は、容器510の内部に回収部540と、第1の回転部551を備え、回収部540に第2の回転部553を備える。第1の回転部551は、バイオセンサ100を巻き付けて格納する。バイオセンサ100の一端は、回収部540に配置された第2の回転部553に固着し、測定済みの検出部101を第2の回転部553に巻き取って回収部540に回収する。
【0102】
バイオセンサカートリッジ500は、測定前の検出部101を有するバイオセンサ100を第1の回転部551で巻き付けて格納することにより、バイオセンサカートリッジ500の内部に、バイオセンサ100をコンパクトに収容することができる。また、回収部540を備えることにより、測定後の検出部101を有するバイオセンサ100を収容することにより、付着・凝固した血液による汚染を防止することができる。回収部540に第2の回転部553をさらに備えることにより、測定後の検出部101を有するバイオセンサ100をコンパクトに収容することができる。
【0103】
バイオセンサカートリッジ500は、測定時にバイオセンサ100の検出部101を容器510の外部に押し出す押出部530を備えてもよい。図中の矢印は、バイオセンサ100の送り方向を示す。例えば、押出部530は、楕円形状の回転部535を回転することにより、バイオセンサカートリッジ500の開口部方向に前後運動させることができる。また、押出部530はスライド式であってもよく、これらに限定されるものではない。バイオセンサカートリッジ500は、押出部530によりバイオセンサ100の検出部101を外部に押し出して、試料の採取及び被検出物の検出を可能にする。上述の第1の回転部551を回転させることにより、検出部101を押出部530の先端に位置する測定位置に移動させることができる。
【0104】
図示しないが、バイオセンサカートリッジ500の開口部に開閉機構を備えることがきできる。開閉機構は、押出部530の押出し方向にバイオセンサカートリッジ500を開口させる扉状の機構でもよく、スライドシャッターでもよい。なお、押出部530を固定式として、密閉性の高いキャップを用いて、測定時以外はバイオセンサカートリッジ500の開口部を塞ぐようにしてもよい。
【0105】
バイオセンサカートリッジ500は、バイオセンサ100の検出部101を外部に押し出す押出部530をさらに備えることにより、測定時以外は、バイオセンサ100の検出部101をバイオセンサカートリッジ500の内部に収容することができる。これにより、バイオセンサカートリッジ500や測定装置の輸送時や、測定装置へのバイオセンサカートリッジ500の装着時に、バイオセンサ100の検出部101が外部に曝されることなく、検出部101の劣化や損壊を防止することができる。
【0106】
バイオセンサカートリッジ500は、バイオセンサ100の検出部101の配線部の一部130と接触して、電極系10からの電気信号を受信するための接続電極520を備える。図中、接続電極520は、バイオセンサ100の送り方向に対して、押出部530より前に配置される。また、接続電極520に代わって、接続電極529の位置、すなわち、バイオセンサ100の送り方向に対して、押出部530より後ろに配置することもできる。測定時に、基材1を介して電極系10の背面に配線部の一部130を配置する場合には、バイオセンサカートリッジ500は、押出部530に接続電極520を備えてもよい。押出部530に接続電極520を備える場合には、検出部101の配線部の一部130と接触する押出部530の先端部付近に接続電極520を配設する。なお、電極系10が配置された面と、配線部の一部130が配置された面とのなす角を0°より大きく90°より小さい場合には、接続電極520や接続電極529は、バイオセンサ100の角度に応じた位置とすればよい。
【0107】
バイオセンサカートリッジ500は、配線部の一部と接触して、電極系からの電気信号を受信するための接続電極をさらに備えることにより、電極系からの電気信号を測定装置に伝達することができる。また、バイオセンサカートリッジ500が接続電極を備えることにより、バイオセンサと測定装置とが直接接触しないため、測定装置への血液による汚染を防止することができる。
【0108】
本実施形態に係るバイオセンサカートリッジ500は、図1(a)及び図1(b)に示したように、基材1を介して、電極系10からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部130を電極系10の背面に配置した状態に折り曲げて、第1の回転部551にバイオセンサ100を巻き付けて格納してもよい。また、バイオセンサ100を折り曲げずに、第1の回転部551に巻き付けて格納してもよい。この場合、電極系10と配線部の一部130とが空間的に異なる2つの面にそれぞれ配置するように、測定時にバイオセンサ100を折り曲げればよい。
【0109】
図9は、測定時にバイオセンサ100を折り曲げる機構を備える本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジ600の模式図である。図9(a)はバイオセンサカートリッジ600の上面図を示し、図9(b)は図9(a)の破線で示した折り曲げ部660の側面図を示す。バイオセンサカートリッジ600は、測定時にバイオセンサ100を折り曲げる折り曲げ部660を備える点で、バイオセンサカートリッジ500と異なる。折り曲げ部660は、例えば、支柱661と支柱663とを有する。バイオセンサカートリッジ600において、バイオセンサ100は、折り曲げ部660の2つの支点である支柱661と支柱663との間を通過する間に、配線部の一部130が電極系10の背面に配置するように折り曲げられる。これ以外の構成は、バイオセンサカートリッジ500と同様であるため、説明は省略する。
【0110】
また、図10に折り曲げ部660にガイド665を用いる例を示す。図10(a)はガイド665を備えるバイオセンサカートリッジ650の模式図であり、図10(b)はガイド665の側面図である。ガイド665は、バイオセンサ100の送り方向に対して、入口よりも出口が狭い構造を有する。バイオセンサ100は、ガイド665を通過することにより、送りとともに折り曲げられる。このガイド部を用いることにより、バイオセンサ100の折り返しを確実に行うことができる。
【0111】
本実施形態に係るバイオセンサカートリッジ600は、折り曲げ部660を備えることにより、バイオセンサ100を折り曲げずに、第1の回転部551に巻き付けて格納することができるため、バイオセンサ100を折り曲げて格納する場合に比して巻き付けてロール状に格納した時の厚さ方向の嵩張りを減らせ、より多くのバイオセンサ100を収納可能であり、または、より省スペースでバイオセンサ100を収納可能である。
【0112】
上述の実施形態においては、回収部に第2の回転部を備えるバイオセンサカートリッジについて説明したが、本発明に係るバイオセンサカートリッジは、回収部に第2の回転部を備えるものに限定されない。図11は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサカートリッジ700の模式図である。バイオセンサカートリッジ700は、回収部740に第2の回転部に代わって、支柱755を備える点でバイオセンサカートリッジ500と異なる。バイオセンサカートリッジ700においては、バイオセンサ100の一端は、回収部740に配置された支柱755に固着している。なお、図中の矢印は、バイオセンサ100の送り方向を示す。
【0113】
バイオセンサカートリッジ700は、第1の回転部551をバイオセンサ100の送り方向に回転させることにより、バイオセンサ100の検出部101を押出部530の先端に位置する測定位置に移動させることができる。また、測定後の検出部101を有するバイオセンサ100は、回収部740を収容することにより、付着・凝固した血液による汚染を防止することができる。
【0114】
バイオセンサカートリッジ700は、回収部740にバイオセンサ100の一端を固着した支柱755を備えることにより、第2の回転部を別途配設することなく、回収部740に測定後の検出部101を有するバイオセンサ100を収容することができるため、小型軽量化を図ることが可能となる。
【0115】
なお、上述した実施形態に係るバイオセンサカートリッジ500及びバイオセンサカートリッジ700においては、バイオセンサ100を収容する例として説明したが、バイオセンサ200またはバイオセンサ300を収容することもできる。
【0116】
(測定装置)
以下に、上述したバイオセンサカートリッジを装着した本発明の一実施形態に係る測定装置について説明する。図12は、本実施形態に係る測定装置1000の模式図である。図12においては、一例としてバイオセンサカートリッジ500を装着した測定装置1000について説明する。測定装置1000は、図示しないが、電極系10で生じた電気信号をバイオセンサカートリッジ500から受信するための接続電極と演算部とを備える。また、測定装置1000は、表示部1100及び電源を備える。
【0117】
測定装置1000において、接続電極は、バイオセンサカートリッジ500に配設された接続電極520を介して電極系10で生じた電気信号を受信してもよく、接続電極が接続電極520を介さずに配線部20と直接接続して電極系10で生じた電気信号を受信してもよい。接続電極がバイオセンサカートリッジ500に配設された接続電極520を介して電極系10で生じた電気信号を受信する場合には、バイオセンサと測定装置とが直接接触しないため、測定装置への血液による汚染を防止することができる。
【0118】
また、測定装置1000は、電極系10から受信した電気信号を演算部で測定値に変換する。得られた測定値は、表示部1100に表示され、測定者は測定結果を視覚的に認識することができる。
【0119】
測定装置1000は、図示しないが、駆動部をさらに備えてもよい。駆動部は、バイオセンサカートリッジ500に配設された第1の回転部551や第2の回転部553を駆動し、バイオセンサ100の測定前の1つの検出部101を外部の測定位置に配置する。ここで、本実施形態に係る駆動部は、手動式のダイヤルでもよく、モータでもよい。駆動部がモータである場合には、制御部を備えることにより、電子制御することもできる。駆動部がバイオセンサ100の測定前の1つの検出部101を外部の測定位置に配置させることにより、測定者である患者の確実に測定を行えるようにすることができる。
【0120】
このように構成された本実施形態に係る測定装置は、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させたバイオセンサを収容するバイオセンサカートリッジを装着することにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。なお、本実施形態に係る測定装置は、バイオセンサカートリッジ500の他にバイオセンサカートリッジ600やバイオセンサカートリッジ700を装着することもでき、また、装着するバイオセンサカートリッジに応じてバイオセンサ200またはバイオセンサ300を用いることもできる。
【0121】
(測定方法)
以下に、上述した測定装置を用いる測定方法について説明する。本実施形態に係るバイオセンサを収納したバイオセンサカートリッジは、供給者より測定者に提供される。本実施形態に係る測定装置が、例えば、血糖測定装置である場合は、供給者は医師、病院、薬局等であり、測定者は糖尿病患者である。測定者は、バイオセンサカートリッジを測定装置に装着する。測定者は、電源を入れて、演算部、表示部1100、駆動部、制御部等を起動する。
【0122】
バイオセンサカートリッジを測定装置に装着するときや測定時以外には、測定前の検出部が押出部と接触しない位置にあることが好ましい。測定者は、測定時には、バイオセンサを外部に押し出し、駆動部により回転部を駆動して測定前の1つの検出部を外部の測定位置に配置する。このとき、本実施形態に係る測定方法においては、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させる。
【0123】
測定者は、被験物が含まれる試料を検出部の電極系に供給する。血糖値を測定する場合は、試料は血液であり、付着・凝固した血液による検出部の配線部の導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【0124】
測定により生じた電極系からの電気信号は、バイオセンサの配線部から、バイオセンサカートリッジの接続電極を介して、または直接に測定装置の接続電極で受信され、演算部で測定値に変換される。変換された測定値は、表示部に表示され、測定者は測定結果を認識することができる。
【0125】
測定後には、駆動部により回転部を駆動して、測定後の検出部を有するバイオセンサの一部を回収部に収容することにより、付着・凝固した血液による汚染を防止することができる。本実施形態に係るバイオセンサカートリッジは検出部を複数有するバイオセンサを収容しているため、この一連した測定動作を連続して複数回行うことができる。このため、従来のような測定毎のバイオセンサの着脱操作行う必要がない。また、電極系からの電気信号を測定装置に伝達するための配線部の一部を、測定時に電極系と空間的に異なる面に位置させることにより、付着・凝固した血液による導通不良を防止することができ、正確な血糖値の測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0126】
1:第1の基材、10:電極系、11:作用極、13:対極、15:参照極、17:酵素反応部、20:配線部、21:配線、23:配線、25:配線、50:電極系、51:作用極、53:対極、60:配線部、61:配線、63:配線、70:貫通孔、71:貫通孔、73:貫通孔、100:バイオセンサ、101:検出部、130:配線部の一部、200:バイオセンサ、201:検出部、300:バイオセンサ、301:検出部、500:バイオセンサカートリッジ、510:容器、520:接続電極、521:接続電極、523:接続電極、525:接続電極、529:接続電極、530:押出部、535:楕円形状の回転部、540:回収部、551:第1の回転部、553:第2の回転部、600:バイオセンサカートリッジ、650:バイオセンサカートリッジ、660:折り曲げ部、661:支柱、663:支柱、700:バイオセンサカートリッジ、740:回収部、755:支柱、1000:測定装置、1100:表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材に複数の検出部を備え、
前記検出部は電極系と、前記電極系に電気的に接続された配線部とを有し、
測定時に、前記電極系は前記第1の基材の第1の面に位置し、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面とは空間的に異なる第2の面に位置することを特徴とするバイオセンサ。
【請求項2】
測定前に、前記電極系と前記配線部とは前記第1の基材の前記第1の面に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記第1の面と前記第2の面とがなす角は、0°以上180°未満であることを特徴とする請求項2に記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面と反対側に配置され、前記電極系と前記配線部の少なくとも一部は前記第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項5】
前記電極系は作用極と、対極とを含み、
前記作用極上に酵素及び電子受容体を含む酵素反応部を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のバイオセンサ。
【請求項6】
第1の基材に複数の検出部を備え、前記検出部は電極系と、前記電極系に電気的に接続された配線部とを有し、測定時に、前記電極系は前記第1の基材の第1の面に位置し、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面とは空間的に異なる第2の面に位置するバイオセンサを収納するバイオセンサカートリッジであって、
容器内に、測定前の検出部を有するバイオセンサが巻き付けられた第1の回転部と、
測定後の検出部を有するバイオセンサが収容される回収部と、を備えることを特徴とするバイオセンサカートリッジ。
【請求項7】
測定前に、前記電極系と前記配線部とは前記第1の基材の前記第1の面に配置されたことを特徴とする請求項6に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項8】
前記第1の面と前記第2の面とがなす角は、0°以上180°未満であることを特徴とする請求項7に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項9】
前記検出部が前記第1の基材の前記第1の面に位置する状態で、前記バイオセンサが前記第1の回転部に巻きつけられており、
前記第1の回転部から送り出され、かつ測定前の前記検出部を有する前記バイオセンサを折返す折返し部をさらに備えることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項10】
前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面と反対側に配置され、前記電極系と前記配線部の少なくとも一部は前記第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項6に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項11】
前記電極系は作用極と、対極とを含み、前記作用極上に酵素及び電子受容体を含む酵素反応部を備えることを特徴とする請求項6乃至10の何れか一に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項12】
前記回収部に第2の回転部をさらに備えることを特徴とする請求項6乃至11の何れか一に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項13】
前記第1の基材の第2の面側で前記配線部の一部と接触し、前記電極系からの電気信号を受信する接続電極をさらに備えることを特徴とする請求項6または12に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項14】
前記バイオセンサの前記検出部を前記容器の外側に押し出す押出部をさらに備えることを特徴とする請求項6乃至13の何れか一に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項15】
前記押出部に、前記接続電極を備えることを特徴とする請求項14に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項16】
請求項6乃至15の何れか一に記載のバイオセンサカートリッジを装着する測定装置であって、
前記電極系からの電気信号を測定値に変換する演算部をさらに備えることを特徴とする測定装置。
【請求項17】
前記測定値を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の測定装置。
【請求項18】
前記回転部を駆動する駆動部をさらに備えることを特徴とする請求項16または17に記載の測定装置。
【請求項19】
前記駆動部は、前記バイオセンサの測定前の1つの検出部を前記測定装置の外側の測定位置に配置することを特徴とする請求項18に記載の測定装置。
【請求項20】
第1の基材に電極系と、前記電極系と電気的に接続された配線部と、を有する検出部を複数備えたバイオセンサを用い、
前記電極系が前記第1の基材の第1の面に位置し、前記配線部の一部が前記第1の面とは空間的に異なる第2の面に位置するように前記バイオセンサを配置し、
前記電極系に試料を接触させて、前記試料に含まれる被検物を測定し、
前記第1基材の前記第2の面側に位置する前記配線部の一部から、前記電極系からの電気信号を受信することを特徴とする測定方法。
【請求項21】
前記バイオセンサは、測定前に前記電極系と前記配線部とが前記第1の基材の前記第1の面に配置されたことを特徴とする請求項20に記載の測定方法。
【請求項22】
前記第1の面と前記第2の面とがなす角が0°以上180°未満となるように、前記バイオセンサを折り曲げることを特徴とする請求項21に記載の測定方法。
【請求項23】
前記バイオセンサは、前記配線部の少なくとも一部は前記第1の面と反対側に配置され、前記電極系と前記配線部の少なくとも一部は前記第1の基材の厚さ方向に連通する貫通孔を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項20に記載の測定方法。
【請求項24】
前記バイオセンサは、押出部を備えたバイオセンサカートリッジに収納され、
前記押出部が前記バイオセンサの前記検出部を前記バイオセンサカートリッジの外側に押し出して、前記電極系に前記試料を接触させることを特徴とする請求項20乃至23の何れか一に記載の測定方法。
【請求項25】
前記電極系からの電気信号を測定値に変換することを特徴とする請求項20乃至24の何れか一に記載の測定方法。
【請求項26】
前記バイオセンサカートリッジは、回収部を備え、
測定後の検出部を有するバイオセンサを収容することを特徴とする請求項20乃至25の何れか一に記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−198163(P2012−198163A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63667(P2011−63667)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)