説明

バイオセンサのためのコントロール溶液中の内部基準としての酸化可能種

生物学的サンプル中の分析目的物の存在、特に全血中のグルコースの存在を測定するのに用いられる電気化学的測定器の性能試験には、所定量の分析目的物および所定量の内部基準化合物を含むコントロール溶液を導入することが含まれる。内部基準化合物は、分析目的物の酸化に用いられる電位よりも高い電位で酸化されるように選抜されることで、コントロール溶液を生物学的サンプルから識別することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
[0001] 本発明は、一般的に、医療機器の分野に関する。
本発明の背景
[0002] より具体的には、本発明は体液中の分析目的物の量の測定に使用されるバイオセンサに関する。このような測定を行うためには光学的方法がしばしば使用されるが、本発明は電気化学的バイオセンサの改良に関する。本明細書中に記載される方法は、コレステロール、尿素、クレアチニン、およびクレアチンを含む他の分析目的物の測定にも適用できるが、全血中のグルコース測定を特に目的としている。本明細書中の記載は本発明の適用をグルコース測定として強調しているが、本発明は幅広い応用があることを理解されるべきである。
【0002】
[0003] 本発明は、生物学的サンプルおよび試薬に接触する電極に電位が印加される電気化学的機器に関する。分析目的物が試薬と反応している間に生じた電流は測定され、また、生じた電流はサンプル中の分析目的物量と相関する。全体の測定時間を通じての電流を積算することによるサンプル反応から生じる全電荷(クーロン値として)を測定する電量測定器(coulometric instrument)に対して、このような機器は電流測定器といわれる。電流測定器は、用量依存性および時間依存性が少ないという利点がある。電流測定器は分析目的物の全体量が反応されるのを待つ必要はなく、所定の時点での反応速度をサンプリングすることにより分析目的物の測定を行うことのみを必要とする。
【0003】
[0004] このようなバイオセンサのための多くのデザインが当該技術分野で記載されており、例えば、公開された米国特許出願第2001/0042683号に記載される。電極は、一般的に、作用電極および対電極として記載されている。電極は、サンプル中の分析目的物を酸化する試薬(例えば、グルコースオキシダーゼ)、および還元された酵素を再酸化させるメディエータを含む固体層と接触する。還元されたメディエータそれ自体は、作用電極で酸化され、測定可能電流を生じる。この電流値は試験されるサンプル中のグルコース量の計算に用いられるが、これはサンプル中のグルコース酸化の間接的な測定値であるためである。この反応は以下のステップにより記載できる。
グルコース + Eoxid → Ered + 生成物(グルコン酸、グルコノラクトン)
Ered + Medoxid → Medred + Eoxid
Medred → Medoxid + n e-
【0004】
[0005] ここで、EoxidとEredはそれぞれ、酵素のレドックス中心の酸化型および還元型で、MedoxidとMedredはそれぞれメディエータの酸化型および還元型である。
[0006] グルコース測定のため、酵素はグルコースオキシダーゼであってもよく、メディエータはフェリシアン化物であってもよい。他の分析目的物を測定する場合は、それぞれに適した酵素およびメディエータを採用する。酵素、メディエータおよび分析目的物の典型的な組み合わせは表1に記載される。
【0005】
【表1】

【0006】
[0008] 正確な測定を確実にするため、既知量のグルコースを含むコントロール溶液を使用して、機器が適切に操作されているかを検証する。コントロール溶液の組成は、多くの特許および刊行物の主題となっている。代表的なものは、米国特許番号3,920,580号、4,572,899号、4,729,959号、5,028,542号および5,605,837号、WO 93/21928号、WO 95/13535号およびWO 95/13536号である。血清を含むコントロール溶液が使用される一方、より最近の特許では、血清を主成分としたコントロール溶液から血清を有さない溶液に置換することに関心が持たれており、これは無血清溶液が血清を含む溶液に比べてより一貫して安定であるためである。コントロール溶液は血清のようなマトリックス中で既知濃度のグルコースを含むべきであり、それによって酵素的なバイオセンサおよびポテンショスタットの両方の正確さを決定する。組成は使用前の長期間貯蔵にかけて安定でなければならないことは明らかであろう。
【0007】
[0009] コントロール溶液はグルコースモニタリングシステム機能をチェックする目的を果たすべきであるが、同時にコントロール溶液は本来の血液サンプルの測定値から同定され、また分離されるべきである。これはコントロール溶液が既知量のグルコースを含み、治療目的を持たない測定値を提供するためである。コントロール溶液が同定されることが出来ず、またこれらの応答が試験測定器による血液サンプルの応答と分離されることが出来ない場合、コントロール溶液のグルコース測定値がグルコース測定の履歴に含まれることになり、このことが患者の糖尿病状態の誤った解釈を引き起こすことにつながりかねない。または、もしコントロール溶液が血液サンプルと置換されてしまった場合、医師によって治療変更の必要性が指示されるなど、誤った考慮がされかねない。その上、コントロール溶液の温度応答は血液サンプルの温度応答と異なることから、試験測定器が血液サンプルとコントロール溶液とを区別することが出来ないのであれば、25℃以外の温度でされた測定の温度補正は正確性をより欠くであろう。したがって、グルコースモニタリングシステムが自動的にコントロール溶液を検出しそして同定することが、コントロール溶液のグルコース測定値を血液サンプルのグルコース測定値から分離するため、そして血液サンプルおよびコントロール溶液の両方への別々の温度補正を提供するために非常に望ましい。
【0008】
[00010] 様々なメカニズムを通してコントロール溶液を同定する方法を記載したいくつかの特許がある。米国特許番号5,723,284号では、血中グルコースの電気化学的測定が検討される。この米国特許番号5,723,284号は、コントロール溶液を修正して、静止期間により隔てられた二回の酸化期間から得られた電流測定値の比を変化させることを提唱している。測定器はコントロール溶液が測定されていると認識し、またこの結果が血液サンプルでの結果に含まれることを防ぐために適切に作動すると考えられる。この米国特許番号5,723,284号はまた、コントロール溶液が効率的であるためにpH 4.8から7.5の範囲内で緩衝されるべきであると教示する。
【0009】
[00011] グルコース含量を測定されている物質が、コントロール溶液かまたは血液サンプルかを検出するための他の方法は、米国公開出願第2002/0139692A1号に開示される。試験を行われるサンプルの性質も対する電流低下に関する指標が決定される。
【0010】
[00012] 米国特許番号5,620,579号および5,653,863号は、使用前の還元メディエータを再酸化するために、初期陽電位パルスを短時間供給することによりサンプルの試験を開始することを提唱した。このような初期パルスは「バーンオフ期間」(burnoff period)と称された。
【0011】
[00013] 電位が作用電極および対電極間に印加されて液体サンプルがセンサ内に導入されたとき、乾燥試薬は液体サンプルによって再水和されて電流が流れ始め、通常はピークまで増加した後、通常は約10秒間の「バーン期間」(burn period)を経て低下する。この期間に、既に還元されたメディエータは再酸化され、不正確な高い結果に向かうバイアスを減少させる。もしサンプル量が十分でない場合、全ての試薬が反応のために利用出来ないおそれがあり、または作用電極および対電極がサンプルに完全に接触出来ずに「バーン期間」での電流が減少する可能性があるため、付加的なエラーが導入される可能性がある。
【0012】
[00014] バーン期間が完了した後に、静止期間がより低い電位または無電位(開回路)で供給される。この静止期間のあいだ、グルコース酸化反応は連続的に起こり、またメディエータは還元される。その後、定常電位が再度作用電極および対電極間に印加され、通常約2秒から10秒間の短時間で電流値が測定される。電流値は最初高いが、メディエータの拡散が制御し始めるのにつれて、急速に低下する。所定時間において測定された電流値を使用して、サンプル中のグルコース含量を決定する。
【0013】
[00015] 内部基準化合物の添加が、分析化学では一般的に実行され、定量的基準シグナルを提供する。この作用原理は最近公開された特許出願番号WO 2005/078118で用いられており、ここでは内部基準が試薬システムに加えられることで、いくつかの配合目的を達成する。
【0014】
[00016] WO2004/040286A1では、コントロール溶液が尿酸、ビリルビン、アスコルビン酸、メチレンブルー、bis(2-ヒドロキシエチル)イミノtris(ヒドロキシメチル)メタン、N,N-bis(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸およびアセトアミノフェンから選抜された還元物質を含み、そのために静止期間により隔てられた2回の酸化反応期間から得られた電流測定値の比が変化し、またコントロール溶液が同定されることを可能とすると提唱する。
【0015】
[00017] 本発明者は、コントロール溶液を生物学的サンプルから区別する方法の改善を追求している。それらの方法については以下に詳述する。
本発明の概要
[00018] 本発明は、電気化学的測定器の操作のあいだ定量的インデックスを通じてコントロール溶液を生物学的サンプルから区別する方法を提供する。一つの態様では、本発明は、既知量のグルコース、適したpH値の緩衝液システムおよび内部基準化合物を含むコントロール溶液である。内部基準化合物がコントロール溶液に加えられて、グルコースモニタリングシステムによってコントロール溶液を同定する。本発明は、内部基準化合物の存在を検出して、定量的インデックスを計算し、コントロール溶液が試験される物質であることを同定する方法を提供する。
【0016】
[00019] 一つの態様では、生物学的サンプル中の分析目的物は全血中グルコースであり、そのメディエータはフェリシアン化カリウムである。内部基準化合物は、分析目的物の酸化を測定するのに用いられるメディエータを酸化するのに必要とされる電位よりも高い電位で酸化されうる。内部基準は、所定濃度のグルコースとともに、コントロール溶液中で所定濃度を有する。グルコース関連メディエータおよび内部基準は異なる電位(低電位および高電位)によって電極で選択的に酸化される。グルコースが分析目的物である場合、内部基準化合物は還元されたメディエータを再酸化するのに用いられる電位よりも少なくとも100 mV高い電位で酸化可能であるべきである。
【0017】
[00020] コントロール溶液中のグルコースを測定するために有用な内部基準化合物には、有機金属化合物、配位化合物および有機アミン化合物のような、適切な電位において電極で酸化可能な種が含まれる。使用される内部基準化合物の量は、コントロール溶液中のグルコース量に関連する。好ましくは、内部基準化合物の量は、コントロール溶液中のグルコースが、電気化学的グルコース測定器の試験で要求される最大量である場合に、コントロール溶液が認識されうるように選抜される。あるいは、内部基準化合物の量はグルコース量に比例して変化させてもよい。
【0018】
[00021] 低電位および高電位で生じた測定値の比較は、内部基準化合物、そして結果的にコントロール溶液の検出方法を提供する。測定プロトコルが静止期間により隔てられる2つの期間を使用する場合、高電圧および低電圧がどちらかの期間、または両方の期間に印加されうる。電位はコントロール溶液を入れたセンサに印加される。内部基準化合物を酸化出来る電位で生じた電流値は、内部基準化合物ではなく分析目的物(例えばグルコース)のみを酸化出来る電位を用いたときに生じた電流値と比較される。2つの測定電流値間の比はディファレンシャルインデックス(Differential Index, DI)と称し、内部基準化合物を含まない液体サンプルとコントロール溶液とを識別する手段を提供する。
DI = i high volt /i low volt
式中のi high voltおよびi low voltは高電圧および低電圧での測定電流値である。高電圧では、内部基準化合物および還元メディエータの両方は酸化され、一方低電圧ではメディエータのみ酸化される。
【0019】
[00022] 約1のDI値はサンプルが内部基準化合物を欠き、また生物学的サンプルであると推定されることを示し、一方、DI値が明らかに1より大きい場合、好ましくは少なくとも約1.5である場合、サンプルがコントロール溶液であることを示す。
【0020】
[00023] 別の態様では、本発明は電気化学的バイオセンサ/ポテンショスタットシステムの正確性を試験するのに用いられるコントロール溶液の存在を示すのに適した内部基準化合物である。分析目的物が全血中のグルコースである場合、内部基準化合物は酸化可能な有機金属化合物、配位化合物または有機アミンであってもよい。
【0021】
[00024] 本発明の一つの成果は、測定電流値の一貫性の改良と分析結果の正確性の改良である。もし高電位および低電位が、グルコースの酸化に用いられるバーン期間および読み取り期間のような、同じ酸化期間にわたって印加されると、サンプル移動または環境温度のような外因がディファレンシャルインデックスに影響することが一層少なくなると考えられる。高電圧および/または低電圧での発生電流の複数の読みとり値により結果の正確性を向上出来る。また、コントロール溶液の存在が決定されている場合、コントロール溶液に特有の温度補正アルゴリズムを適用することが出来る。コントロール溶液および生物学的サンプル(例えば全血)のための異なる温度アルゴリズムを用いることにより、臨床結果が改善出来るとともに、より厳密なコントロール範囲値を割り当てられることが出来る。
【0022】
図面の詳細な説明
好ましい態様の説明
[00037] 本発明は、全血中のグルコース含量の測定に適用されるような、商業的に重要な方法を以下に記載される。しかしながら、本発明の方法は、コレステロール、尿素、クレアチニンおよびクレアチンのような、他の分析目的物が尿、唾液および間質液などの生物学的液体中に見いだされる場合、および、コントロール溶液を使用して電気化学的測定器の正確性をチェックする場合にその用途を有する。
【0023】
電気化学的バイオセンサ
[00038] 本発明は、これまでに当該技術分野で開示されている多数の中でも、特定のバイオセンサ設計に制限されない。使用されてもよいバイオセンサの例は、米国特許第6,531,040号で記載されるもので、図1および図2で図解される。
【0024】
[00039] バイオセンサ10は、図1に分解組立図として示される。バイオセンサ10は、連続的に印刷(通常はスクリーン印刷技術による)された絶縁基板12、伝導体パターン14、電極パターン(部品16と18)、絶縁(誘導体)パターン20、反応層22を含み、カバー層28によって完成する。カバー層28と試薬層22の間に形成されるキャピラリ30は、液体試験サンプルの流路となる。図2で示されるバイオセンサの基板上の全てのエレメントは同じ平面上で示される。
【0025】
[00040] 反応層22の機能は、液体試験サンプル中のグルコースまたは他の分析目的物との化学反応を引き起こすことであり、そして存在する分析目的物の量に相関した、測定される電流値を生じることである。反応層22は、一般的に一または複数の酵素、および電子受容体を含む。酵素は分析目的物と反応して電子を生じ、その電子が電子受容体によって作用電極の表面に伝達される。メディエータとしても呼ばれる電子受容体は、分析目的物と酵素の反応に応答して還元される。反応層中の酵素はポリエチレンオキシドのような親水性ポリマーと組み合わされてもよい。グルコースと反応するのに用いることができる酵素の一つはグルコースオキシダーゼであり、メディエータはフェリシアン化塩であってもよく、これらはpHを約5から7に維持する緩衝液とともに用いられる。用いることができる他の酵素はグルコースデヒドロゲナーゼで、ピロロキノリンキノン(PQQ)のような補助因子とともに用いられ、これらはpHを約6から8に維持する緩衝液とともに用いられる。
【0026】
[0041] 電極パターンの二つの部品16および18は、分析目的物濃度の電気化学的な測定をするのに必要な作用電極および対電極それぞれに対応する。図示された設計の特徴は、対電極の主要部が作用電極16aの露出部分から下流(流路に沿った液流の方向という意味)に位置するように、作用電極および対電極が形成されることである。
【0027】
[00042] しかしながら、対電極のサブエレメント18aが、作用電極の上部エレメント16aより上流に位置し、それにより、作用電極を完全にカバーするには不適切な量の試験液体サンプル(例として全血サンプル)がキャピラリスペースに入った場合、全血サンプルの伝導性のために、対電極サブエレメント18aと作用電極の露出部16aとの間での電気的接続が形成される。しかしながら、全血サンプルによる接触のために利用可能な対電極領域は非常に小さいため、電極間でそして従って電流検出器を通して、非常に微弱な電流しか流れることが出来ない。受信するシグナルが一定の所定レベル以下であった場合に、センサ装置は使用者に、センサの供給孔に十分な血液量が入っていないこと、および再度試験を行うべきか、またはより多くの血液を加えるべきかを使用者に通達する。具体的な電極の寸法は重要ではないが、一般的に対電極サブエレメント18aの領域が、作用電極の領域に比べて約10%小さく、さらに具体的には約6%小さい。
【0028】
[00043] 作用電極および対電極は、一般的に、電極インクを使用して印刷され、それは一般的には約14μm(0.00055インチ)厚で、通常電気化学的に活性のあるカーボンを含む。導体インクの成分はカーボンと銀の混合物であってもよく、これは電極とセンサのフィッシュテール状の伝導体パターン26との接触を通して機能的に接続される測定器との間の低い耐薬剤性の経路を提供するために選抜される。対電極は、銀/塩化銀から構成されてもよいが、カーボンが好ましい。測定器の読みとり値の再現性を高めるため、電極パターン24の中心付近の限定された領域を除き、誘導性パターンは液体試験サンプルから電極を絶縁する。図2で表しているように、限定された領域は、このタイプの電気化学的な測定には重要である。というのも、測定された電流値は、分析目的物濃度と反応層22の領域だけではなく、分析目的物を含む試験サンプルに暴露された作用電極の領域16aにも依存しているためである。
【0029】
[00044] 代表的な誘電体層20は、UV硬化型変性アクリレートモノマー、オリゴマーおよびポリマーを含み、約10μm(0.0004インチ)厚である。誘電体層はまた、湿気硬化可能または加熱硬化可能であってもよい。フタまたはカバー28は基板とかみ合わせ、液体試験サンプルを入れるスペースを形成し、そこに対電極および作用電極が位置するように適応させる。フタ28は、凹面スペース30を提供し、これは通常、変形可能な材質の平面シートを打ち出すことによって形成される。フタ28は穿刺され、空気孔32をもたらし、封着操作で基板12と接合される。フタと基板は音波溶接により一緒に封着され、その場合は基板12とフタ28は最初に並べ、そのあと、振動熱接着部材または角と固定ジョーとの間で一緒にプレスされるフタの打ち出されていない平面領域のみに接触する。水晶または他の振動子による超音波エネルギーは、熱可塑性材料の接着をしながら、重合体のジョイント部において熱として消散する。打ち出されたフタおよび基板はまた、フタの下側に接着性物質を使用することによって接合されてもよい。フタと基板の接合方法は、米国特許第5,798,031号にさらに十分に記載されている。
【0030】
[00045] 基板12の絶縁に適した材料には、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、寸法安定性のあるビニル系ポリマーおよびアクリル系ポリマー、およびポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレートなどのポリマー混合物、金属ホイル構造(例えばナイロン/アルミニウム/塩化ビニルラミネート)が含まれる。フタは通常、ポリカーボネートなどの変形可能なポリマーシート物質から、またはポリエチレンテレフタレートの打ち出し可能グレードのもの、グリコール修飾されたポリエチレンテレフタレート、または金属ホイル組成物(例えばアルミホイル構造)上に作製される。
【0031】
[00046] 他の電気化学的センサデザインが本発明において使用されてもよい。グルコース濃度を測定するのに使用できる電気化学的センサの例として、Bayer HealthCare社のAscensiaTM DEX(登録商標)システムおよびAscensiaTM ELITE(登録商標)システムにおいて使用されるものがある。このような電気化学的センサに関するさらに詳細な記載は、米国特許第5,120,420号および第5,320,732号で見られる。他の電気化学的センサは、松下電器産業株式会社から入手できる。電流測定モニタリングシステムにおいて使用することができる電気化学的センサに関するさらなる例は、米国特許第5,429,735号に開示されている。
【0032】
[00047] 電気化学的センサは、複数のセンサまたはテストエレメントを搭載した血中グルコースセンサディスペンシング装置中に位置づけられてもよい。センサディスペンシング装置に搭載されたセンサパックの一例は、米国特許第5,660,791号に開示されている。
【0033】
全血中のグルコース測定
[00048] 全血中のグルコース量測定用の典型的なバイオセンサでは、作用電極および対電極が一層の試薬層でコートされており、これらは印刷または膜形成のいずれかによる。試薬層には、通常いくつかのポリマーおよび反応性成分が含まれており、ここで反応性成分とは血液サンプル中のグルコースを酸化する酵素およびメディエータ、すなわちレドックス化合物であり、これはグルコースを酸化することによって還元された後に酵素を再酸化する。還元されたメディエータは、グルコース酸化の酵素反応に由来する電子を作用電極に輸送し、電極表面で再酸化される。2つの電極間での印加電圧差は、結果としてメディエータが作用電極に電子を受け渡すことをもたらし、サンプル中のグルコース量に比例する測定可能な電流を生じる。バイオセンサはまた、複数の試薬層を含んでもよく、または異なる一層または複数層の試薬層を、作用電極および対電極それぞれに含んでもよい。
【0034】
[00049] 前述のように、電流測定センサが固定電位を電極間に印加して、生じた電流は所定の極めて短時間である例えば5秒から10秒にわたって測定されることで、メディエータの早発性還元によって存在しうるバイアスを補正する。好ましいシステムでは、電位は静止期間により隔てられていた2回の期間に印加される。最初の、または「バーン期間」における、電位対時間の代表的なプロットを図3に提示する。図4は、その結果の電流対時間の代表的なプロットを示す。電流は、サンプルが試薬層を再水和し、酸化および還元反応が起こりうる間にピークにまで上昇し、その後拡散が制御し始めるのにつれて低下する。この短い時間の後、印加された電位がゼロにされるか、または少なくとも静止期間中は減少され、一方グルコースの酸化反応およびメディエータの還元反応が行われ続ける。その後、電位は二回目の期間のあいだに再印加されて、「読み取り」期間(例えば10秒間)にわたり電流値が測定される。還元メディエータが酵素の同時的な酸化の結果として存在することから、生じた電流は最初に高く、その後急速に低下し、定常状態の拡散制御条件へと達する。読み取り期間の最後の電流値と既知濃度のグルコースが含まれる試験サンプル中のグルコース量との間の、事前に得られた相関を通して、短い「読み取り」期間の最後に記録された電流値を使用して、血液サンプル中のグルコース量を決定する。
【0035】
コントロール溶液
[00050] 上記で考察されたように、コントロール溶液が正確な測定値を提供し、また生物学的サンプルから区別されうることを確実にするために、様々なアプローチが取られている。本発明は酸化可能種(すなわち内部基準)を採用しており、この酸化可能種はグルコース(または他の分析目的物)の測定に用いられるよりも高い電圧でのみ酸化されうる。このことは、グルコース関連メディエータを十分に酸化するか内部基準化合物を酸化しない適切な低い電位で、グルコースのみが測定されることを意味する。しかしながら、電位が、加えられた内部基準化合物を酸化するのに十分なほど高い場合、グルコースおよび内部基準化合物の両方が酸化されるであろう。グルコースはより高い電位で酸化されるが、低電圧で行われた測定はすでに拡散制限され、また酵素によって酸化されるグルコースの総量に依存しない。したがって、このような内部基準種をコントロール溶液に加えること、および生物学的サンプルとしてではなく、コントロールとしての溶液を同定するために用いることが可能である。
【0036】
[00051] 高電圧および低電圧で測定された電流値の差を比較して、コントロール溶液の内部基準特性の存在を示すことが出来る。ディファレンシャルインデックス(Differential Index : DI)は以下に示すグルコースおよび内部基準化合物に関連する電流成分で表され:
DI = i high volt / i low volt =(i int ref + i glucose) / i glucose = 1 + i int ref / i glucose
ここで、i high voltは高電圧時に測定された電流値であり、
i low voltは低電圧時に測定された電流値である。
【0037】
[00052] 内部基準が存在しない場合(血液サンプルのような場合)、i int refはゼロになるはずであり、i high voltはi low voltと実質的に同値となる。その結果、DI値は1に近づくことになる。内部基準が存在する場合、グルコース量に対する基準化合物の量に依存して、DI値は1以上になる。コントロール溶液に加えられた内部基準の量が、グルコース関連メディエータの酸化によって生じる電流値に近い電流値を生じるならば、DI値は約2となりうる。内部基準は、高いグルコース濃度に対応する、コントロール溶液に適した量で含まれてもよい。低グルコース濃度、正常グルコース濃度および高グルコース濃度にそれぞれ対応するいくつかのコントロール溶液を用いて、グルコース測定器の試験をすることが一般的である。例えばもしコントロール溶液中のグルコース濃度が最も高い場合に、DI値が1.75またはそれ以上になるように内部基準の量が選抜される場合、内部基準についての電流値はグルコース濃度が最も低いコントロール溶液中のグルコースによる電流値と比較して、相対的に大きくなる。そして同じ量の内部基準を低グルコース濃度のコントロール溶液とともに用いた場合、より高いDI値を示す。このような高DI値は、全血のような生物学的サンプルより、むしろコントロール溶液の存在下で高い信頼性を提供する。明らかに、DI値のような定量的指標は、他の特許で示されているような、バーン期間または読み取り期間を電流対時間の曲線の形状に頼るより定性的な方法よりも利点がある。より高い電圧で酸化される内部基準の添加は、酵素反応に非依存的でおよびコントロール溶液の組成に非依存的な結果を提供する。
【0038】
[00053] 一つの態様では、コントロール溶液に加えられる内部基準化合物の量は、存在するグルコース量に関連する。すなわち、コントロール溶液中の内部基準の量は、グルコース濃度に比例的であり、ほぼ一定のDI値を維持する。一つの方法は、約300 mg/dLという最大量のグルコースが使用されたとき、DI値が約1.5またはそれ以上となるように、充分な量の内部基準を使用することである。次に、内部基準量を減少させることで、より低濃度のグルコースを含むコントロール溶液が1.5またはそれ以上のDI値を維持する。
【0039】
[00054] コントロール溶液への内部基準の添加は、コントロール溶液と生物学的サンプルとを容易に区別することを可能とし、解析の正確性の改善を提供する。内部基準化合物は、望ましい電位で電気化学的に酸化されるどのような化合物であってもよい。化学的に酸化する全ての化合物が、適切な電位またはどのような酸化可能電位でも電気化学的に酸化するわけではないことを理解することが重要である。化学的な酸化可能種(例えば均質溶液)は適切な電位で電気化学的に酸化されず、それは電極での電子移動のカイネティックバリアが克服されなければならないためである。したがって、化学的性質による還元剤は、電極で電気化学的に酸化可能ではない場合がある。試薬センサシステムのメディエータの酸化還元電位に応じて、異なる酸化還元電位を持つ内部基準化合物が必要とされる。例えば、試薬システム中のメディエータがヘキサアミンルテニウム(Ru(NH36+3)である場合、配位化合物であるフェロシアン化カリウムまたは有機金属化合物であるフェロセンおよびその誘導体を、コントロール溶液中の内部基準として使用することが出来る。一方、試薬システム中のメディエータがフェリシアン化物である場合は、Bis-Trisまたは4-アミノベンゾニトリルのような他の化合物をコントロール溶液の内部基準として使用することが出来る。それぞれの場合で、内部基準化合物はメディエータの酸化還元電位より少なくとも100 mV高い酸化還元電位である。
【0040】
[00055] 内部基準化合物の例には、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸[MOPS]、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)[HEPES]、2-[-2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸[TES]、2-モルホリノエタンスルホン酸[MES]、bis(2-ヒドロキシエチル)アミノ-tris(ヒドロキシメチル)メタン[Bis-Tris]、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸および4-ヨードアニリンなどの有機アミンが含まれるが、これらに制限されない。以下の実施例では、Bis-Trisおよびいくつかの他の化合物が、グルコースを含むコントロール溶液で使用されるための有用な内部基準として示される。
【0041】
[00056] Bis-Trisを内部基準として用いることが出来るが、緩衝液として使用されてもよい。グルコースオキシダーゼのような酵素によってグルコースが酸化される反応において、コントロール溶液のpHは重要な因子である。グルコースの測定には、グルコースオキシダーゼが用いられる場合は約5から7 のpHが好ましく、一方でグルコースデヒドロゲナーゼが用いられる場合は約6から8のpHが好ましい。緩衝液は通常、グルコースの酸化が予想された速度で進行するのを確実にするために用いられる。本発明の利点は、基準化合物および緩衝液が別々にすることが出来て、それぞれが異なる機能を果たすことが出来るために、基準化合物および緩衝液のそれぞれの機能の最適化を別々に行うことが可能であることである。緩衝液は酵素試薬への適合性から選抜されてもよい。例として、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液が含まれるが、これらに制限されない。
【0042】
[00057] 血液の流体特性を模倣するために用いられるポリマー物質は、ポリエチレンオキシド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、キサンタンガムを、約12から20重量%含んでもよい。グルコースは、コントロール溶液中に通常約30から400 mg/dLに相当する量で存在し、この範囲は血液サンプル中の予測されるグルコース量をカバーする。
【0043】
[00058] 他の添加物には、塩、緩衝剤、色素、抗菌剤、ポリマー、増粘剤および界面活性物質を含まれていてもよい。
コントロール溶液を操作するモード
[00059] グルコース関連メディエータを酸化するのに使用される電圧よりも高い電圧で酸化する内部基準物質を導入することが、測定プロトコルのあいだに同じ高電圧を印加する必要性を生じることは明らかであろう。上述したように2つの期間、すなわち「バーン期間」と「読み取り期間」とが使用される場合、バーン期間および読み取り期間内のおよびバーン期間および読み取り期間にかけての電位段階の様々な組み合わせを使用して、コントロール溶液を同定するDI値、およびコントロール溶液中のグルコース量を決定しうる電流値の両方を提供することができる。最も簡単な方法は、バーン期間に高電圧が印加され、また読み取り期間に低電圧が印加されることである。したがって、ディファレンシャルインデックスはDI = i burn / i readである。
【0044】
[00060] 内部基準が存在する場合、バーン期間に測定された電流には、内部基準の酸化によって生じる電流に加え、グルコース関連メディエータの酸化によって生じる電流とが含まれる。読み取り期間に測定された電流は、グルコースの酸化によって生じる電流のみであり、これは電圧が内部基準を酸化するには低すぎるためである。したがって、バーン電流と読み取り電流の比は、グルコース測定の電流値に対する内部基準電流値の値を反映する。
【0045】
[00061] 代わりに、高電圧および低電圧の両方をバーン期間のあいだ印加して、内部基準の存在を検出できるが、読み取り期間のあいだは低電圧のみが用いられる。電位段階のこの組み合わせは、高電圧による電流と、低電圧による電流との比を用いる動作原理を依然として維持することになる。電流の明らかな変化は、低電圧から高電圧へ、またはその逆へと変化が生じた場合に見られる。「低い」電圧は、グルコース測定のために読み取り期間に用いられる低電圧とは同一である必要はない。比較電圧は、内部基準を酸化するのに必要とされる電圧よりも単に低くなる。バーン期間はサンプルが試薬に水和されたときと一致するため、図4の一般的な図で示唆されるように、電流はバーン期間のあいだ変化してもよい。結果的に、一つよりも多い偏位を高電圧および低電圧間で形成し、DI値がバーン期間に試薬の有効性の変化によって影響されないことを確実にするのに有利であると考えられる。
【0046】
[00062] 別の代替法では、高電圧(すなわち内部基準を酸化する電圧)は読み取り期間の一部のあいだに用いられる。したがって、DIは読み取り期間のあいだのみ、高電流および低電流の測定によって読み取り期間のあいだに決定されてもよい。この方法はバーン期間に見られる試薬有効性のどのような変化もさけられるという利点を提供することが出来る。さらに、低電圧および高電圧間で一つより多い偏位を用いることは、有利であると考えられる。
【0047】
[00063] 本発明の他の態様において、高電圧と低電圧間での頻繁な電位のサイクルを使用して、一般的に図4に示されるように、読み取り期間の電流値対時間の波形に影響を与える。この曲線は通常、電極での、および電極付近の還元メディエータの枯渇により引き起こされる電流の急速な減衰を示す。したがって、総グルコース含量は、コントロール溶液中の総グルコースを測定するのではなく、拡散律速された電流との相関によって決定される。一貫して正確な測定値を得る場合には、グルコースの測定として選抜された時間が、重要であることは明らかである。
【0048】
[00064] 一般的に、本発明のコントロール溶液は、グルコースを酸化するのに必要な電位よりも高い電位で電気化学的に酸化出来る化合物を含む。グルコース関連メディエータ(例えばフェリシアン化カリウム)の酸化がフェリシアン化物の対電極での電位に対して200 mVの電位を必要とする場合、内部基準化合物の酸化電位は同じ対電極に対して少なくとも400 mVであるべきである。例えば、Bis-Trisを基準として用いると、対電極がフェリシアン化物の還元によって支持されるならば、酸化電位は約600 mVである。他の例には、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸、4-ヨードアニリンがふくまれ、これらもフェリシアン化物の還元によって支持された対電極の電位に対し、+400から+600 mVの範囲電位で酸化されうる。
【0049】
[00065] コントロール溶液に内部基準を添加することの効果を検討する一つの方法は、サイクリックボルタメトリを使用することである。固定電位を印加する代わりに、対電極に対して負電位から正電位の広範囲にわたる様々な電圧が使用される。以下の実施例は内部基準の概念と応用、およびコントロール溶液の自動検出の方法について説明する。
【実施例】
【0050】
実施例1
[00066] 50 mMの塩化ナトリウムを含む水溶液は、50 mM塩化ナトリウムおよび50 mM Bis-Trisを含む内部基準としての別の水溶液と比較された。同組成ではあるが350 mg/dLのグルコースを含む2組目のサンプルが試験された。酵素またはメディエータが含まれていないため、グルコース酸化は起こらなかった。図5は、CH Instrument社の電気化学的ワークステーションを用い、銀/塩化銀の基準電極に対して、電位差を毎秒25 mVで−400 mVと+1200 mVの間でサイクルさせた電位に対する電流値を示す。電位差が+600 mVに達するまでは電流が電極間を流れ始めなかったことが見いだされる。Bis-Trisを含まないサンプルに関しては、酸化電流は電位の範囲を通じて実質的にゼロである。一方Bis-Trisが存在する場合、有意な電流が約+600 mVから始まり+800 mVで見られる。Bis-Trisの酸化は、酵素およびメディエータの非存在下でのグルコースの有無と同じであると結論づけられる。図5で、Bis-Trisの有無でのボルタモグラムのあいだの+800 mVでのボルタメトリ電流で比較すると、50 mMのBis-Trisを含む溶液は明確に識別された。
【0051】
実施例2
[00067] 本実施例では、実施例1の試験を図6で示されるように繰り返されるが、対電極が実施例1で用いられた銀/塩化銀対電極ではなく、フェリシアン化カリウム層のカーボン電極であった。Bis-Trisの酸化は、酵素およびメディエータが含まれていない場合、グルコースの有無によって影響されない。しかしながら、酸化電流は+400mVの後に上昇し始め、+600mVで有意な高さに達する。したがって、図5でのボルタメトリの特徴と比較すると、内部基準を含まなければ、背景電流が実質的にゼロである。唯一の違いは、低電位での酸化電流の上昇である。この違いは対電極が異なることに完全に起因する。+400mV以下で酸化電流がないことは重要である。したがって、Bis-Trisは、次の実施例で見られるような、ゼロ電位よりすぐ上で始まるグルコース酸化とは明確に区別されうる。
【0052】
実施例3
[00068] 図5、図6で示された実施例1および実施例2は、グルコースの有無にかかわらず、グルコースの存在を検出するのに必要とされるグルコースオキシダーゼおよびメディエータの非存在下で、溶液中の内部基準(Bis-Tris)の存在を示す。図7に示される実施例では、実施例1および2の溶液が使用されるが、グルコースオキシダーゼおよびフェリシアン化カリウム(メディエータ)が含まれ、そのためにグルコースが存在する場合、グルコースが電気化学的なグルコースセンサ中に存在するため、グルコースは酸化される。図7を図6と比較すると、サイクリックボルタモグラムにおいて見られるボルタメトリの特徴(電流対電位パターン)は有意に異なる。ゼロボルト付近で生じている酸化電流のピークは、グルコースが酸化されていることを示す。グルコースが存在しなかった場合、何らかのバックグラウンド活性のために電位が0 mVより上に移動したため、小さい電流のみが生じた。350 mg/dLのグルコースが存在する場合、相当量の電流が0 mVの上下で特徴的なピークとともに生じる。定常状態の条件では約+400 mVで達せられ、存在するグルコースの量と相関するように用いられることが出来る。0 mg/dLおよび350 mg/dLの両方のグルコース濃度で、400 mV以下の酸化電流は内部基準化合物の添加の有無にかかわらず同じである。電位が+600 mVに達する場合、Bis-Trisを含む溶液で観察される電流は、グルコース濃度が0 mg/dLか350 mg/dLであるか否かに関係なく、Bis-Trisを含まない溶液で観察される電流より常に高い。したがって、内部基準化合物を含むコントロール溶液を同定することが出来る。
【0053】
実施例4
[00069] 実施例1から3では基準化合物としてBis-Trisが使用された。本実施例では、いくつかの他の内部基準化合物が示される。図8は、3種類の付加的な内部基準化合物、4-アミノ安息香酸、4-アミノベンゾニトリルおよび4-ヨードアニリンのサイクリックボルタモグラムを示す。これら3つのサイクリックボルタモグラムは、市販されているAscensiaTM AUTODISC(DEX)(登録商標)の商業的グルコースセンサストリップによって得られた。3つの内部基準種は、20から24 %のPVPポリマー、pH5から5.5のクエン酸緩衝液で、グルコースを含まない、コントロール同等溶液に個々に加えられた。4-アミノ安息香酸、4-アミノベンゾニトリルおよび4-ヨードアニリンの濃度はそれぞれ50 mMであった。図8からわかるように、ゼロボルトの後すぐに起こる最初の酸化ピークは実質的に同一であるが、+0.3ボルト以降の電流は、含まれている内部基準化合物に応じて異なる。図8では、0.1 Vと0.3 Vの間の電位が、メディエータのみを酸化することによるグルコースの測定に用いられる低電位と考えられる。+0.4ボルトから+0.8ボルトで開始する電位は、メディエータおよび内部基準の両方を酸化できる高電位と考えられる。+0.3から+0.8ボルトの電位領域では、コントロール溶液に内部基準が存在する場合のほうが、内部基準が存在しない場合に比べて全ての電流は高い。
【0054】
実施例5
[00070] グルコース濃度を測定しながらコントロール溶液の存在を検出するために、高電位および低電位を組み合わせて内部基準を酸化して測定する多くの方法がある。図9Aから9Eは、高電位および低電位を組み合わせるためのいくつかの電位シーケンス(波形)を示す。それぞれのケースでは、「バーン」期間は静止期間に引き続いており、その後前述のように「読み取り」期間が続く。図9Aは、バーン期間での高電位および読み取り期間での低電位による電位シーケンスを示し、これは単純なバーン−静止−読み取り電位シーケンスと同等である。図9Bは、バーン期間の前半を低電位で行い、引き続いて同じバーン期間の後半を高電位で行う電位シーケンスを示す。図9Cでは、バーン期間の前半を高電位で行い、引き続いて同じバーン期間の後半を低電位で行う電位シーケンスを示す。図9Dは、読み取り期間の前半を高電位で行い、引き続いて同じ読み取り期間の後半を低電位で行う電位シーケンスを示す。図9Eでは、読み取り期間の前半を低電位で行い、引き続いて同じ読み取り期間の後半を高電位で行う同様の電位シーケンスが示される。
【0055】
実施例6
[00071] 図10aおよび10bは、内部基準、この場合はBis-Tris、の濃度を増加したときの効果を示す。図10aでは、50 mMの塩化ナトリウムを含むコントロール同等溶液(グルコースが含まれていない溶液)が、内部基準のBis-Tris濃度を0から50 mM、および0から100 mMに増加させたときの効果を示す(100 mM塩化ナトリウムを伴う)。Bis-Trisの存在は明確に可視化出来、またその濃度が増加することで、+600mVでの電流がさらに増加する。図10bでは、ちょうど0 mVよりやや高い電位で強いピークによって示されるように、350 mg/dLのグルコースが同じ組成のコントロール溶液中に存在する。グルコース電流は約+600 mVで依然として注目に値するため、Bis-Trisの存在を検出するにはグルコース非存在下よりも多い量を必要とする。したがって、内部基準の濃度は、コントロール溶液が高いグルコース濃度を含む場合、内部基準の存在の明瞭な兆候が検出できるような量であるべきである。さらに、コントロール溶液が低濃度のグルコースを含む場合、内部基準の存在はさらに明らかになると考えられる。
【0056】
実施例7
[00072] 本実施例に関しては、内部基準としてのBis-Trisを含むコントロール溶液、またBis-Trisを含まないコントロール溶液、および全血サンプルを比較する試験が行われた。これら3種類全ての場合で、サンプルは市販されているAscensia AUTODISC(登録商標)テストストリップであった。テストシーケンスは、+400 mVの電位を4秒間、次に+600 mVを4秒間印加され、開回路にて5秒間静止され(電極に電位を印可しない)、その後+200 mVを5秒間印加した。これら3種類のサンプルタイプの電流特性は図11に示される。ディファレンシャルインデックス(DI)は2つのデータの比較をすることで計算された。ケースI-a:8秒間のバーン期間に測定された電流値が、4秒間のバーン期間に測定された電流値と比較される。ケースI-b:8秒間のバーン期間に測定された電流値が、2秒間の読み取り期間に測定された電流値と比較される。100 mMの塩化ナトリウムおよび100 mM Bis-Trisの試験溶液、または全血サンプルに対して、グルコースは添加されなかった。ケースI-aは図9Bのシーケンスと同等であり、一方ケースI-bは図9Aと同等である。これらの試験のDI値およびDI値の相対的な変化は表2に示される。どちらのケースでも、内部基準であるBis-Trisを含むコントロール溶液のDI値は、コントロール溶液および全血サンプルが内部基準を含まない場合に見いだされるDI値のおよそ500%のDI値が見られた。これらの結果は、内部基準を含むコントロール溶液が、容易に検出されうること、また基準化合物を含まないコントロール溶液または全血と比較されうることを示す。
【0057】
【表2】

【0058】
実施例8
[00073] 実施例7の試験が繰り返されたが、コントロール溶液は350 mg/dLのグルコースを含みおよび全血サンプルは400 mg/dLのグルコースを含んだ。同様の電位シーケンスがこの試験に用いられた。高いグルコース濃度の3種類のサンプルの典型的な電流特性は図12で示される。DI値およびDI値の相対的な変化は、表3で示される。表2のケースII-aおよびII-bについてのDI値は、実施例7で示されているものと同様であり、内部基準を含む溶液のDI値の、内部基準を含まない溶液のDI値および全血サンプルのDI値に対する相対的な変化である。350 mg/dLという高いグルコース濃度のため、内部基準を含むコントロール溶液のDI値は、全血サンプルのDI値よりもおよそ100 %高い。このDI値の差は、内部基準を含むコントロール溶液が、内部基準を含まないコントロール溶液および全血サンプルから区別されうることを確実にする。
【0059】
【表3】

【0060】
コントロール溶液試験のためのプロトコル
[00074] バーン期間および読み取り期間のあいだに生じた電流値は多くの方法で比較された。いくつかのテストシーケンスは実施例5および図9で説明される。最も簡単な代替方法として、一回の測定は内部基準化合物を酸化するのに必要な電位で行われ、別の測定は分析目的物を酸化するのに使用されるより低電位で行われる。次に、ディファレンシャルインデックスが計算され、その結果に基づき、電気化学的測定器は試験されているのがコントロール溶液なのか、または生物学的サンプルなのかを報告する。好ましくは、最初の測定はバーン期間の後半部、二回目の測定は読み取り期間に行われるが、両方の測定がバーン期間または読み取り期間に行われてもよい。電流値を得るのに必要とされる時間の長さは異なっていてもよく、例えば、約1秒から10秒の間である。しかしながら、内部基準化合物またはグルコースの存在を適切に表示するのに十分な長さであれば、どのような時間であってもよい。
【0061】
[00075] 結果の信頼性をさらに高めるため、一回より多い測定期間が高電位および低電位の両方で用いられてもよい。すなわち、内部基準を酸化する電位、すなわちBis-Trisであれば+600 mV、またグルコースを酸化する電位、すなわち+200から400 mVが、バーン期間または読み取り期間のあいだ一回より多く印加されてもよい。
【0062】
[00076] また、分析目的物または内部基準の酸化に必要とされるよりも高い電位を印加することも可能である。すなわち、例えばグルコースメディエータの酸化電位が+200 mVであるならば、+200 mVの電位およびより高い電位は内部基準が酸化される電位の限界値として使用されてもよい。
【0063】
[00077] 一つの態様では、印加電位の複数のバリエーションを使用して、高電位および低電位で測定された電流値間の差異の、より一貫した徴候を提供する。その上、電位のサイクルは電流対時間の曲線を滑らかにし、正確性を改善する利点がある。例えば、印加電位はバーン期間および/または読み取り期間で1秒ごとに高電位および低電位間をサイクルさせてもよい。
【0064】
[00078] 代替態様A
コントロール溶液および前記生物学的サンプル中の分析目的物の量を測定する電気化学的センサの操作中に、前記コントロール溶液を生物学的サンプルから区別する方法であって:
(a) 前記コントロール溶液に内部基準化合物を添加する工程〔前記化合物は前記分析目的物の酸化を測定するのに必要な電位よりも高い電位で電気化学的に酸化され、前記コントロール溶液中の所定量の分析目的物と比較してコントロール溶液中の前記内部基準化合物の存在を示すのに十分な量で加えられるものである〕;
(b) 前記内部基準化合物および前記所定量の前記分析目的物を含む前記コントロール溶液を、作用電極および基準電極、また前記分析目的物を酸化するための試薬を含む反応層を有する電気化学的センサへ導入する工程;
(c) 前記電気化学的センサの前記電極に、前記内部基準化合物および前記分析目的物を酸化するのに十分な電位を少なくとも一回印加して、結果的に生じる電気的電流を測定する工程;
(d) 前記電気化学的センサに(C)の電位よりも低く、前記分析目的物の酸化を測定するのに十分なものであるが、前記内部基準化合物を酸化するには不十分である電位を少なくとも一回印加し、結果的に生じる電気的電流を測定する工程;
(e) DI = i high volt / i low voltとして定義されたディファレンシャルインデックス(DI)を計算する工程〔式中のi high voltは(c)で測定された電流値、i low voltは(d)で測定された電流値である〕;
(f) 内部基準化合物を所定量の分析目的物と区別するように(e)でのディファレンシャルインデックスが1より十分に大きい場合、コントロール溶液が存在することを決定する工程;および
(g) (e)でのディファレンシャルインデックスが約1である場合に生物学的サンプルが存在することを決定する工程;
を含む前記方法。
【0065】
[00079] 代替方法B
(f)で決定された前記ディファレンシャルインデックスが1.5またはそれより高い、代替態様Aの方法。
【0066】
[00080] 代替方法C
前記コントロール溶液中に存在する分析目的物の量に比例した量で前記内部基準化合物が添加される、代替態様Aの方法。
【0067】
[00081] 代替方法D
前記コントロール溶液中に用いられる分析目的物の量が最大量であるときに、ディファレンシャルインデックスが1.5またはそれより高くなるように、前記内部基準化合物が添加される、代替方法Cの方法。
【0068】
[00082] 代替方法E
(d)の電位が印加される前に、(c)の電位が印加される、代替方法Aの方法。
[00083] 代替方法F
(c)の電位の前に(d)の電位が印加される、代替方法Aの方法。
【0069】
[00084] 代替方法G
(c)および(d)の電位が一回より多く印加される、代替方法Aの方法。
[00085] 代替方法H
前記分析目的物を酸化するのに十分な第一の電位を第一の所定時間印加し、引き続いて前記分析目的物を酸化するには不十分な前記第一の電位より低い第二の電位を第二の所定時間印加し、そして引き続いて前記分析目的物を酸化するのに十分な前記第二の電位より高い第三の電位を第三の所定時間印加することによって、前記分析目的物が測定される、代替方法Aの方法。
【0070】
[00086] 代替方法I
前記(c)の電位が、前記第一の所定時間で印加され、かつ前記(d)の電位が、前記第三の所定時間で印加される、代替方法Hの方法。
【0071】
[00087] 代替方法J
前記(c)の電位および前記(d)の電位の両方が、前記第一の所定時間印加される、代替方法Hの方法。
【0072】
[00088] 代替方法K
前記(c)の電位および前記(d)の電位の両方が、前記第三の所定時間印加される、代替方法Hの方法。
【0073】
[00089] 代替方法L
前記(d)の電位が前記第一の所定時間印加され、かつ前記(c)の電位が前記第三の所定時間印加される、代替方法Hの方法。
【0074】
[00090] 代替方法M
前記(c)の電位および前記(d)の電位の少なくともどちらか一方が、一回より多く印加される、代替方法Hの方法。
【0075】
[00091] 代替方法N
前記分析目的物がグルコースであり、前記生物学的サンプルが全血である、代替方法Aの方法。
【0076】
[00092] 代替方法O
前記内部基準化合物が、酸化可能な有機金属化合物、配位化合物または有機アミン化合物である、代替方法Aの方法。
【0077】
[00093] 代替方法P
前記内部基準化合物が、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)、2-[2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸、2-モルホリノエタンスルホン酸、およびbis(2-ヒドロキシエチル)アミノ-tris(ヒドロキシメチル)メタン[Bis-Tris]、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸、または4-ヨードアニリンである有機アミン化合物である、代替方法Oの方法。
【0078】
[00094] 代替方法Q
前記内部基準化合物がBis-Trisである、代替方法Pの方法。
[00095] 代替方法R
前記内部基準化合物が、フェロセンまたはフェロセン誘導体である前記酸化可能有機金属化合物である、代替方法Oの方法。
【0079】
[00096] 代替方法S
前記内部基準化合物が、フェロシアン化カリウムである配位化合物である、代替方法Oの方法。
【0080】
[00097] 代替方法T
グルコースがグルコースオキシダーゼによって酸化され、かつ前記コントロール溶液がpHを5から7の間に維持出来る緩衝液を含む、代替方法Nの方法。
【0081】
[00098] 代替方法U
グルコースがグルコースデヒドロゲナーゼによって酸化され、かつ前記コントロール溶液がpHを6から8の間に維持出来る緩衝液を含む、代替方法Nの方法。
【0082】
[00099] 代替態様V
(a) 所定量の前記分析目的物;および
(b) 前記内部基準化合物の存在を検出されうるような、分析目的物の前記所定量に比例する所定量の前記分析目的物を酸化するのに必要とされる電位より高い電位で酸化された内部基準化合物;
を含む、生物学的サンプル中の分析目的物の量を測定するための電気化学的システムの試験を行う際に用いられるコントロール溶液。
【0083】
[000100] 代替態様W
前記分析目的物がグルコースであり、前記生物学的サンプルが全血である、代替態様Vのコントロール溶液。
【0084】
[000101] 代替態様X
前記内部基準化合物が酸化可能な有機金属化合物、配位化合物、または有機アミン化合物である、代替方法Wのコントロール溶液。
【0085】
[000102] 代替態様Y
前記内部基準化合物が、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)、2-[2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸、2-モルホリノエタンスルホン酸、およびbis(2-ヒドロキシエチル)アミノ-tris(ヒドロキシメチル)メタン[Bis-Tris]、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸、または4-ヨードアニリンである有機アミン化合物である、代替態様Xのコントロール溶液。
【0086】
[000103] 代替態様Z
前記内部基準がBis-Trisである、代替態様Yのコントロール溶液。
[000104] 代替態様AA
前記内部基準化合物が、フェロセンまたはフェロセン誘導体である酸化可能有機金属化合物である、代替態様Xのコントロール溶液。
【0087】
[000105] 代替態様BB
前記内部基準化合物が、フェロシアン化カリウムである配位化合物である、代替態様Xのコントロール溶液。
【0088】
[000106] 代替態様CC
グルコースが、グルコースオキシダーゼによって酸化され、かつ緩衝液が含まれてpHを5から7の間に維持する、代替態様Wのコントロール溶液。
【0089】
[000107] 代替態様DD
グルコースがグルコースデヒドロゲナーゼによって酸化され、かつ緩衝液が含まれてpHを6から8の間に維持する、代替態様Wのコントロール溶液。
【0090】
[000108] 代替態様EE
電気化学的グルコース測定器を試験するために使用されるコントロール溶液に添加するための、グルコースの酸化を測定するのに必要とされる電位よりも高い電位で酸化される化学物質を含む、内部基準化合物。
【0091】
[000109] 代替態様FF
グルコースの酸化を測定するのに必要とされる電位よりも少なくとも100 mV高い電位で酸化可能である、代替態様EEの内部基準。
【0092】
[000110] 代替態様GG
酸化可能有機金属化合物、配位化合物または有機アミン化合物である、代替態様EEの内部基準。
【0093】
[000111] 代替態様HH
3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)、2-[2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸、2-モルホリノエタンスルホン酸、およびbis(2-ヒドロキシエチル)アミノ-tris(ヒドロキシメチル)メタン[Bis-Tris]、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸、または4-ヨードアニリンである、代替態様GGの内部基準。
【0094】
[000112] 代替態様II
Bis-Trisである、代替態様HHの内部基準。
[000113] 代替態様JJ
フェロセンまたはフェロセン誘導体である酸化可能有機金属化合物である、代替態様GGの内部基準。
【0095】
[000114] 代替態様KK
フェロシアン化カリウムである配位化合物である、代替態様GGの内部基準。
[00115] 本発明は様々な変更および代替の形状の影響を受けやすいが、特定の態様は図面による例によって示されるとともに詳細に説明された。しかしながら本発明は開示された特定の形状に制限されるものではなく、逆に本発明は添付の特許請求の範囲に定義される本発明の真の思想および範囲内の全ての変更、均等物および代替手段をカバーすると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】[00025] 図1は、一つの態様にしたがったバイオセンサの分解図である。
【図2】[00026] 図2は、図1のバイオセンサの組立図である。
【図3】[00027] 図3はバーン期間における、電位対時間をプロットした図である。
【図4】[00028] 図4は図3と同様に印加された電位における、電流対時間をプロットした図である。
【図5】[00029] 図5は実施例1で記載されたサイクリックボルタモグラムである。
【図6】[00030] 図6は実施例2で記載されたサイクリックボルタモグラムである。
【図7】[00031] 図7は実施例3で記載されたサイクリックボルタモグラムである。
【図8】[00032] 図8は実施例4で記載されたサイクリックボルタモグラムである。
【図9】[00033] 図9Aから9Eは、実施例5で記載された電位シーケンスの図を示す。
【図10a】[00034] 図10a、10bは実施例6で記載されたサイクリックボルタモグラムである。
【図10b】[00034] 図10a、10bは実施例6で記載されたサイクリックボルタモグラムである。
【図11】[00035] 図11は実施例7で得られた電流対時間をプロットした図である。
【図12】[00036] 図12は実施例8で得られた電流対時間をプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロール溶液および前記生物学的サンプル中の分析目的物の量を測定する電気化学的センサの操作中に、前記コントロール溶液を生物学的サンプルから区別する方法であって:
(a) 前記コントロール溶液に内部基準化合物を添加する工程〔前記化合物は前記分析目的物の酸化を測定するのに必要な電位よりも高い電位で電気化学的に酸化され、前記コントロール溶液中の所定量の分析目的物と比較してコントロール溶液中の前記内部基準化合物の存在を示すのに十分な量で加えられるものである〕;
(b) 前記内部基準化合物および前記所定量の前記分析目的物を含む前記コントロール溶液を、作用電極および基準電極、また前記分析目的物を酸化するための試薬を含む反応層を有する電気化学的センサへ導入する工程;
(c) 前記電気化学的センサの前記電極に、前記内部基準化合物および前記分析目的物を酸化するのに十分な電位を少なくとも一回印加して、結果的に生じる電気的電流を測定する工程;
(d) 前記電気化学的センサに(C)の電位よりも低く、前記分析目的物の酸化を測定するのに十分なものであるが、前記内部基準化合物を酸化するには不十分である電位を少なくとも一回印加し、結果的に生じる電気的電流を測定する工程;
(e) DI = i high volt / i low voltとして定義されたディファレンシャルインデックス(DI)を計算する工程〔式中のi high voltは(c)で測定された電流値、i low voltは(d)で測定された電流値である〕;
(f) 内部基準化合物を所定量の分析目的物と区別するように(e)でのディファレンシャルインデックスが1より十分に大きい場合、コントロール溶液が存在することを決定する工程;および
(g) (e)でのディファレンシャルインデックスが約1である場合に生物学的サンプルが存在することを決定する工程;
を含む前記方法。
【請求項2】
(f)で決定された前記ディファレンシャルインデックスが1.5またはそれより高い、請求項1の方法。
【請求項3】
前記コントロール溶液中に存在する分析目的物の量に比例した量で前記内部基準化合物が添加される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記コントロール溶液中に用いられる分析目的物の量が最大量であるときに、ディファレンシャルインデックスが1.5またはそれより高くなるように、前記内部基準化合物が添加される、請求項3の方法。
【請求項5】
(d)の電位が印加される前に、(c)の電位が印加される、請求項1の方法。
【請求項6】
(c)の電位の前に(d)の電位が印加される、請求項1の方法。
【請求項7】
(c)および(d)の電位が一回より多く印加される、請求項1の方法。
【請求項8】
前記分析目的物を酸化するのに十分な第一の電位を第一の所定時間印加し、引き続いて前記分析目的物を酸化するには不十分な前記第一の電位より低い第二の電位を第二の所定時間印加し、そして引き続いて前記分析目的物を酸化するのに十分な前記第二の電位より高い第三の電位を第三の所定時間印加することによって、前記分析目的物が測定される、請求項1の方法。
【請求項9】
前記(c)の電位が、前記第一の所定時間で印加され、かつ前記(d)の電位が、前記第三の所定時間で印加される、請求項8の方法。
【請求項10】
前記(c)の電位および前記(d)の電位の両方が、前記第一の所定時間印加される、請求項8の方法。
【請求項11】
前記(c)の電位および前記(d)の電位の両方が、前記第三の所定時間印加される、請求項8の方法。
【請求項12】
前記(d)の電位が前記第一の所定時間印加され、かつ前記(c)の電位が前記第三の所定時間印加される、請求項8の方法。
【請求項13】
前記(c)の電位および前記(d)の電位の少なくともどちらか一方が、一回より多く印加される、請求項8の方法。
【請求項14】
前記分析目的物がグルコースであり、前記生物学的サンプルが全血である、請求項1の方法。
【請求項15】
前記内部基準化合物が、酸化可能な有機金属化合物、配位化合物または有機アミン化合物である、請求項1の方法。
【請求項16】
前記内部基準化合物が、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)、2-[2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸、2-モルホリノエタンスルホン酸、およびbis(2-ヒドロキシエチル)アミノ-tris(ヒドロキシメチル)メタン[Bis-Tris]、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸、または4-ヨードアニリンである有機アミン化合物である、請求項15の方法。
【請求項17】
前記内部基準化合物がBis-Trisである、請求項16の方法。
【請求項18】
前記内部基準化合物が、フェロセンまたはフェロセン誘導体である前記酸化可能有機金属化合物である、請求項15の方法。
【請求項19】
前記内部基準化合物が、フェロシアン化カリウムである配位化合物である、請求項15の方法。
【請求項20】
グルコースがグルコースオキシダーゼによって酸化され、かつ前記コントロール溶液がpHを5から7の間に維持出来る緩衝液を含む、請求項14の方法。
【請求項21】
グルコースがグルコースデヒドロゲナーゼによって酸化され、かつ前記コントロール溶液がpHを6から8の間に維持出来る緩衝液を含む、請求項14の方法。
【請求項22】
(a) 所定量の前記分析目的物;および
(b) 前記内部基準化合物の存在を検出されうるような、分析目的物の前記所定量に比例する所定量の前記分析目的物を酸化するのに必要とされる電位より高い電位で酸化された内部基準化合物;
を含む、生物学的サンプル中の分析目的物の量を測定するための電気化学的システムの試験を行う際に用いられるコントロール溶液。
【請求項23】
前記分析目的物がグルコースであり、前記生物学的サンプルが全血である、請求項22のコントロール溶液。
【請求項24】
前記内部基準化合物が酸化可能な有機金属化合物、配位化合物、または有機アミン化合物である、請求項23のコントロール溶液。
【請求項25】
前記内部基準化合物が、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)、2-[2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸、2-モルホリノエタンスルホン酸、およびbis(2-ヒドロキシエチル)アミノ-tris(ヒドロキシメチル)メタン[Bis-Tris]、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸、または4-ヨードアニリンである有機アミン化合物である、請求項24のコントロール溶液。
【請求項26】
前記内部基準がBis-Trisである、請求項25のコントロール溶液。
【請求項27】
前記内部基準化合物が、フェロセンまたはフェロセン誘導体である酸化可能有機金属化合物である、請求項24のコントロール溶液。
【請求項28】
前記内部基準化合物が、フェロシアン化カリウムである配位化合物である、請求項24のコントロール溶液。
【請求項29】
グルコースが、グルコースオキシダーゼによって酸化され、かつ緩衝液が含まれてpHを5から7の間に維持する、請求項23のコントロール溶液。
【請求項30】
グルコースがグルコースデヒドロゲナーゼによって酸化され、かつ緩衝液が含まれてpHを6から8の間に維持する、請求項23のコントロール溶液。
【請求項31】
電気化学的グルコース測定器を試験するために使用されるコントロール溶液に添加するための、グルコースの酸化を測定するのに必要とされる電位よりも高い電位で酸化される化学物質を含む、内部基準化合物。
【請求項32】
グルコースの酸化を測定するのに必要とされる電位よりも少なくとも100 mV高い電位で酸化可能である、請求項31の内部基準化合物。
【請求項33】
酸化可能有機金属化合物、配位化合物または有機アミン化合物である、請求項31の内部基準化合物。
【請求項34】
3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)、2-[2-ヒドロキシ-1,1-bis(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸、2-モルホリノエタンスルホン酸、およびbis(2-ヒドロキシエチル)アミノ-tris(ヒドロキシメチル)メタン[Bis-Tris]、4-アミノベンゾニトリル、4-アミノ安息香酸、または4-ヨードアニリンである、請求項33の内部基準化合物。
【請求項35】
Bis-Trisである、請求項34の内部基準化合物。
【請求項36】
フェロセンまたはフェロセン誘導体である酸化可能有機金属化合物である、請求項33の内部基準化合物。
【請求項37】
フェロシアン化カリウムである配位化合物である、請求項33の内部基準化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−536125(P2008−536125A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505549(P2008−505549)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/012940
【国際公開番号】WO2006/110504
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)