バイオセンサのための電気パターンおよびその製造方法
本発明は、複数の領域を含む発明性をもつバイオセンサを提供し、該領域において電気パターンが異なる導電性材料から形成される。また本発明は、前述のバイオセンサを大量生産する発明性をもつ方法を提供する。本発明の一実施の形態において、第1および第2の異なる導電性材料は、電気的に絶縁された基材の一部に並べて蒸着され、複数の電極パターンが基材の一部に形成される。各々の電気パターンは、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含む。導電性材料を基材上に層として蒸着し、層の部分を除去して電気パターンを形成することが可能であり、あるいは電気パターンは、レーザ直接転写法などにより、電気パターン状の導電性材料を直接基材に転写することにより形成可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して検体濃度に対する体液の試験に関し、より詳細には、このような試験のための電気化学バイオセンサおよび該センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テストストリップまたはバイオセンサは、試験試料流体中の選択された検体の有無および/または濃度を測定するために頻繁に使用される。たとえば、種々のテストストリップが、糖尿病を持つ人の血糖値をモニタするために血液中のグルコース濃度の測定に使用される。これらのテストストリップは、内部に試薬組成物が配置された反応室を含む。テストストリップにおける最新の傾向は、より少量の試験試料とより迅速な分析時間とを要求する。このことは患者にとって著しい利点を供し、体の感受性が低い領域から得られるより少量の血液試料の使用を可能にする。さらに、たとえば血糖測定システムに関して、より迅速な試験時間とより正確な結果とによって、患者は自身の血糖値をより良く制御可能となる。
【0003】
電気化学バイオセンサは周知であり、生体試料、特に血液からの種々の検体濃度を測定するために使用されている。このような電気化学バイオセンサの例は、米国特許第5413690号明細書、米国特許第5762770号明細書、米国特許第5798031号明細書、米国特許第6129823号明細書および米国特許出願公開第2005/0013731号明細書に記載されており、これらは、それぞれ参照としてここに組み入れられる。たとえば、米国特許出願公開第2005/0013731号明細書は、基板に重なる被覆層を有する電気化学バイオセンサを開示している。該基板は、その上に電極および試薬層を有する電気パターンを有する。基板および被覆層は、毛管現象によって流体試料を内部に引き込む試料受領チャンバを定め、流体試料はチャンバ内の試薬と反応する。電圧または電位は制御されるか、または電極に印加され、発生した電流は1回以上測定されて検体濃度と相関付けられる。「電量」および「電位差」技術も既知であり、電流の代わりに電荷または電位がそれぞれ測定され、検体濃度と相関付けられる。
【0004】
電気化学バイオセンサにおいて電気パターンを形成するための種々の技術が、先行技術において既知である。たとえば、スクリーン印刷は、通常、約75μm以上の間隙幅または特徴的寸法を有する電極構造およびパターンの信頼性のある形成を可能にする湿式材料技術である。
【0005】
レーザスクライビングは、通常、248nmの照射波長を有するフッ化クリプトンエキシマレーザなどの高出力エキシマレーザを使用し、導電面材料中の個々の線をエッチングまたはスクライビングすることにより、電極および他の所望の要素を形成する残存する導電性材料間に絶縁間隙を設ける。スクライビングは、切除される面にわたってレーザ光線を移動することにより達成され、このような技術は、複雑な電気パターンが表面に形成される場合は不必要に時間がかかる。
【0006】
広範囲レーザアブレーションは、これまで利用不可能であった追加の機能性を持つ、きわめて正確で高度に明確な電気パターンを有する電気化学バイオセンサを製造するために近年使用されている技術である。このような電気化学バイオセンサの例は、たとえば、米国特許第7073246号明細書、米国特許出願公開第2005/0103624号明細書、米国特許出願公開第2006/0200981号明細書および米国特許出願公開第2006/0200982号明細書に見ることができ、これらの開示は参照としてここに組み入れられる。出願公開第2005/0103624号明細書は、高い正確性および明確性のものを開示しており、電気パターンはレーザアブレーションにより形成可能である。同様に、またここに組み入れられる米国特許出願公開第2005/0023137号明細書は、きわめて小さく複雑な電気パターンをもつバイオセンサを開示しており、これは、とりわけ表示部および電源などの他の要素のために基板に広い面積を供する。レーザに関する他の既知の技術は、米国特許第6177151号明細書、米国特許第4752455号明細書および国際公開第2007/033079号パンフレットに開示されているようなレーザ誘起前方転写法、すなわちLIFTを含み、これらの各々の文献は参照としてここに組み入れられる。
【0007】
電気化学バイオセンサの電気パターンおよび該電気パターンの製造方法をさらに改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、新規な電気化学バイオセンサおよび該バイオセンサの発明性をもつ製造方法を提供する。特に、本発明は、異なる導電性材料から形成された電気パターンの複数の領域を含む発明性をもつバイオセンサを提供する。また本発明は、前述のバイオセンサを大量生産するための発明性をもつ方法を提供する。本方法の一実施の形態において、第1および第2の異なる導電性材料は、電気絶縁基材の一部に並べて蒸着され、複数の電気パターンが該基材の一部に形成される。各々の電気パターンは、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された、第1の導電性材料から形成された第1の領域を含む。導電性材料は基材上に層として蒸着され、層の一部が除去されて電気パターンを形成可能であり、あるいは電気パターンは、電気パターンの形状をした導電性材料をレーザ直接転写法などによって基材に直接転写することにより形成可能である。
【0009】
一実施の形態において、流体試料中の検体の有無または濃度を測定するためのバイオセンサが提供される。バイオセンサはその上に電気パターンが形成された基板を有し、作用電極、対極、導体パッド、および作用電極と対極とをそれぞれの導体パッドに電気的に接続するトレースを含む。1または複数のスペーサ層および被覆層は基板に重なって協働し、流体試料を受領するためのチャンバを定める。発明性をもつバイオセンサは、第1の導電性材料から形成された電気パターンのある第1の領域と、第2の導電性材料から形成された電気パターンのある第2の領域とを含む。少なくとも1つのトレースは、第2の領域に配置された第2の区画に電気的に接続された第1の領域に配置された第1の区画を含み、第1および第2の区画は、それぞれ、第1および第2の導電性材料から構成される。
【0010】
特定の実施の形態において、重なった配置の第1および第2の領域の電気パターンを設けることが有利であり、すなわち、電気パターンの一部は、領域から領域への移行部にて他方に重なる。移行点において、重複部分は、残りのパターンよりもわずかに厚くてよい。他の実施の形態において、ある領域から別の領域への移行は、移行部において互いに電気パターンを接することにより、あるいは移行部にわたって一方の領域を徐々に薄くして他方を徐々に厚くすることで、移行部にわたり正味の厚さを実質的に同一にすることにより構成可能である。さらに別の実施の形態において、以下により詳細に説明するように、重なった導電性材料間の良好な接続を得るためにシード層を形成することが望ましい。
【0011】
前述の教示によるバイオセンサは、幅よりも大きい長さを有する実質的に薄く平坦なバイオセンサ本体と、一般的に電極が配置される投与端と、一般的に接続パッドが配置される計器挿入端とからなる。バイオセンサ本体は、異なる導電性材料から形成された電気パターンの少なくとも2つの領域を有する。投与端はこれらの領域の一方に配置され、計器挿入端は他方に配置される。したがって、トレースは、一般的に、各々の電極をそれぞれの導体パッドに電気的に接続するために両領域に及ぶ。
【0012】
たとえば、多くの実施の形態において、試料受領チャンバ内の生物学的要素の存在および/または特定の試薬化学物質に悪影響を受けない、きわめて高品質な導電性材料の試料受領チャンバに配置された電気的特徴を設けることが望ましい。金、白金、パラジウムなどの貴金属は、この目的のために好適な導体であり、試料受領チャンバを含むバイオセンサの領域に設けることが可能である。他方で、試料受領チャンバを含まないバイオセンサの他の領域には、貴金属のような高価な材料または傷付きやすく損傷しやすい材料を設ける必要がなく、これらの領域においては実質的により強固な導電性材料を使用することができる。たとえば、バイオセンサの計器挿入端から試料受領チャンバを含む領域まで延びた領域の電気パターンに対して、銅は好適な材料選択である。
【0013】
同様に、別の実施の形態において、導体パッドを含むバイオセンサの領域には、好適な導電特性を有することを示すが、傷への耐性のために好適には強固でもあるスズドープ酸化インジウム(ITO)などの材料を設けることができる。バイオセンサの導体パッドが計器に挿入される際に傷が付き品質が低下すると、バイオセンサの耐性に影響し、試験結果の精度を損なうことになりうる。導電性材料として、たとえば、ITOまたは銅でバイオセンサの計器挿入端に電気パターンを設けることは、この問題に対処する。
【0014】
一般的に、バイオセンサの領域は、バイオセンサの長さ方向に沿って並んで位置決めされる。たとえば、バイオセンサの計器挿入端に位置する電気パターンの部分はある導電性材料から形成され、投与端に位置する電気パターンの部分は第2の導電性材料から形成され、その間の領域は、所望であれば、さらに第3の導電性材料から形成可能である。
【0015】
別の形態において、これらの教示は、前述のようなバイオセンサにおいて使用される電気パターンを大量生産するための発明性をもつ方法を提供する。このような方法の1つにおいて、電気絶縁基材が設けられる。第1および第2の異なる導電性材料は、互いに対して実質的に並べて基材の一部に蒸着される。複数の電気パターンは基材の一部に形成され、各々の電気パターンは、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含む。電気パターンの第1の領域は、少なくとも1つの電気的特徴からなり、これはたとえば電極である。
【0016】
一例示的実施の形態において、蒸着工程は、第1の導電性材料の層を基材の一部に蒸着し、第2の導電性材料の第2の層を、第1の層と実質的に並んで電気的に接触させて基材の一部に蒸着することを含む。一例示的製造方法において、基材のこの積層部分は供給ロール上に巻上げられ、製造工程において「製造準備が完了した」材料として提供可能である。その後、この材料は展開され、第1および第2の層の一部が除去されて、互いに電気的に接続された2つの領域を有する電気パターンが形成される。特定の実施の形態において、広範囲レーザアブレーションが導電性材料を除去して電気パターンを形成するために使用される。広範囲レーザアブレーションは、有利には、所望の通りに、一度の単一工程で、または連続工程において、いくつかの完成した電気パターンを形成することを可能にする。またこれは、このように形成される電気パターンの優れた精度および細部を得ることができる。しかしながら、電気パターンを形成するために、たとえば、フォトエッチング、プラズマ化学気相蒸着エッチング、レーザスクライビングおよびその他多数の、導電性材料を除去する多くの他の方法を使用することもできる。
【0017】
別の実施の形態において、複数の層または「ストライプ」の材料を、一般的に反復パターン状で基材に蒸着可能である。その後、基材は、前述のような、実質的に同一の製造準備が完了した材料に分割されるか、または小部分に切断される。その後、この材料は、ロールに巻き上げられ、さらなる製造ステーションに送られることができ、ここでロールは展開され、導電層の部分が除去されて電気パターンが形成され、その後さらに加工されてバイオセンサの完成品となる。したがって、特定の要求に応じて、基材は、わずか2つのみの並んだ異なる導電性材料の層から、一般的に反復パターンの100以上が並んだ層のものまで形成可能である。
【0018】
さらに別の実施の形態において、発明性をもつ電気パターンは、先行技術において既知であるレーザ誘起前方転写法(「LIFT」)または同様の技術などの技術により、基材に直接形成される。このような技術において、電気パターンを形成するための導電性材料のさらなる除去は不要である。その代わり、所望の電気パターンの形状をした導電性材料が、一般的にレーザ透過基板から基材まで直接転写される。この技術を組み入れた一実施の形態において、広範囲レーザ光線が電気パターン部分の形状の開口部を有するマスクを通って照射され、これにより、パターン形状の導電性材料の部分がこの薄膜から除去されて基材に転写される。したがって、本実施の形態において、電気パターンまたはその一部は、導電性材料の基板への転写の完了前に、その形状を呈する。同様の技術が、電気パターンのさらなる領域を基材に直接転写するために使用可能である。
【0019】
電気パターンが基材の一部に形成されると、さらなる加工工程を利用してバイオセンサの組立が完了する。一般的に、試薬は、電気パターンの1以上の電極の少なくとも一部上または電極部分にわたって被覆または蒸着され、試薬は、通常、作用電極の少なくとも一部を被覆する。その後、被覆層および/またはスペーサ層が基材の部分上に蒸着されてカバーを形成し、形成される各々のバイオセンサの試料受領チャンバを定める。最後に、大量生産様式に、刃物を使用して被覆層、スペーサ層および基材を切断して個々のバイオセンサを形成する。前述の通り、各々の個々のバイオセンサの電気パターンは、電気パターンの材料構成が異なる少なくとも2つの領域を含み、この利点は前述の通りであり、添付の図面を参照して以下からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】前述の教示にしたがって形成されたバイオセンサの斜視図である。
【図2】図1に示されたバイオセンサの分解斜視図である。
【図3】導電材料の複数の並んだ層またはフィルムの基材への蒸着を概略的に示す斜視図である。
【図3A】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図3B】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図3C】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図3D】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図4】基板ウェブを形成するために図3の基材の一部に電気パターンを形成する工程を示す部分斜視図である。
【図5】適用された試薬層またはストライプを有するバイオセンサの基板ウェブの斜視図である。
【図6】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図7】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図8】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図9】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図10A】3つの異なる導電性材料がその上に形成された電気パターンを有するバイオセンサ基板の斜視図である。
【図10B】代替的実施の形態によるバイオセンサ基板の斜視図である。
【図11】2つの導電層をその上に有する基材のロールおよび電気パターンの形成するために使用されるレーザスクライビング技術を示す斜視図である。
【図12】前述の教示を使用した代替的実施の形態のバイオセンサの製造を概略的に示す斜視図である。
【図13】前述の教示によるバイオセンサに有用な電気パターンを製造するための代替的実施の形態を概略的に示す斜視図である。
【図14】前述の教示によるバイオセンサに有用な電気パターンを製造するためのさらに別の代替的実施の形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面とともに、以下の本発明の実施の形態の説明を参照することにより、本発明の前述の特徴およびこれらを得る方法がより明確となり、本発明自体もより良く理解される。
【0022】
次に説明する本発明の実施の形態は、本発明を以下の詳細な説明に開示された厳密な形態に包括または限定することを意図するものではない。むしろ、実施の形態は、他の当業者が本発明の原理および実施を認識および理解しうるように選択および説明されている。
【0023】
ここで図1および2を参照して、本教示による有用なバイオセンサの実施の形態が示されている。バイオセンサ20は、基板22と、スペーサ層24と、本体カバー28およびチャンバカバー30を備えた被覆層とを含む。スペーサ層24は、基板22と被覆層との間に延びた試料受領チャンバ34を供する空隙部32を含む。代替的な被覆層は、スペーサ層24に重なり、試料受領チャンバ34と流体接続する通気口(図示せず)を含む上部カバー(図示せず)を備えうる。
【0024】
基板22は、少なくとも作用電極39および対極37を含む複数の電極38を含む電気パターン36を持つ。また電気パターン36は、導体パッド42にて終結する電極トレース40を含む。電極38は、試料受領チャンバ34内に位置決めされる。一実施の形態において、電極38は、測定シーケンスが開始可能になる前に投与の充足性を検出する別個の作用および対極50,51を含む。たとえば図11および12を参照して以下により詳細に説明するように、バイオセンサに対する所望の特定の電気的特徴に応じて、前述の教示にしたがって形成可能な種々の他の構成の電気パターンが形成できる。好適な試薬システム43(図2)は、特に作用電極である一方の電極の少なくとも一部に重なり、また図2に示されるように電極37,39および試料受領チャンバ内の電極50,51の一部に重なる。
【0025】
スペーサ層24に重なる本体カバー28とチャンバカバー30とはその間に間隙44を有し、これは試料受領チャンバ34に連通して、試料流体が縁開口部または流体受領開口部45(図1)からチャンバに入る際に空気をチャンバから排出可能にする通気開口部を定める。バイオセンサ20は、投与端46および計器挿入端48を含む。投与端は、通常、ユーザを補助するために計器挿入端からは区別可能である。たとえば、図1のバイオセンサは傾斜した投与端46を有し、これは、たとえば投与端のスペーサ層24の一部33を着色することにより、投与端と残りのバイオセンサとの間の色の対比を供する。これらの1つまたは両方は、投与端と計器挿入端とを区別する方法の例として充分である。さらに、ストリップの図描が直感的なストリップ設計をさらに改善するために使用可能であり、たとえば、矢印41はストリップの計器への挿入方向を示す。
【0026】
特に図2を参照して、バイオセンサは、電気パターン36およびバイオセンサの他の要素を支持する絶縁材料からなる基板22を含む。一般的に、ビニルポリマー、ポリイミド、ポリエステルおよびスチレンなどのプラスチックは、必要な電気絶縁および構造特性を供する。さらに、ロール材料から大量生産可能な本教示によるバイオセンサ20の実施の形態について、以下により詳細に説明するように、材料特性はロール加工のための充分な可撓性を有する一方で、完成品のバイオセンサに有用な剛性を付与することが望ましい。基板22の絶縁材料は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドなどのポリエステル、特に高温ポリエステル材料などの可塑性ポリマー材料、またはこれらの2以上の混合物から選択可能である。ポリイミドは、たとえばデラウェア州、ウィルミントンのE.I. duPont de Nemours and Company(デュポン社)により、商品名カプトン(登録商標)で市販されている。特に好適な基板絶縁材料は、デュポン社から入手可能なメリネックス(登録商標)329である。
【0027】
電極38、たとえば作用電極39および対極37を含む少なくとも測定電極は、試料受領チャンバ34内で少なくとも部分的に露出している。試料受領チャンバは、チャンバに入る試料流体が作用電極39および対極37の両方と電解接触するように構成される。これにより、電極38間において印加または制御された電位または電圧により生じた検体の電解酸化または電解還元の際に、電流が測定電極38間を流れることが可能となる。
【0028】
これらの教示は、電気パターン36が異なる導電材料から形成された2以上の領域を有するバイオセンサを開示する。たとえば、図2は、2つの一般領域70および72を示す。一実施の形態において、電極38(たとえば、作用電極と対極37,39および投与充足電極50,51)および1以上の電極トレース40の少なくとも一部などの電気的特徴を含む、領域70における電気パターン36は、図2の淡い灰色で示されるように、金、銀、パラジウムまたは白金などの貴金属から形成可能である。検体バイオセンサを含む通常の実施の形態について、領域70は、バイオセンサに投与がされて電気化学反応が生じた際に流体試料と反応する試薬を含むため、特定の実施の形態において、この領域は、貴金属など高感度の希少導電性材料で形成される。
【0029】
他方で、特定の実施の形態において、領域72を含む残りの電気パターン36は、希少導体を要しないことがある。したがって、銅、酸化インジウムスズまたはカーボンインクなどのより強固な材料により、図2に示された実施の形態の領域72における電気パターンが形成可能である。以下に示す製造方法の説明を参照するとより明らかになるように、本開示は、電気パターンにおいて各々の領域が異なる導電性材料を有する2以上の領域をバイオセンサに形成するための種々の選択肢を教示する。各々の領域に対する材料選択は、一般的にバイオセンサに対する仕様および/または用途に応じるものであり、通常の当業者の知識および技能によって、必要に応じまたは所望のとおりに最適化可能である。領域間の移行は、一般的にトレースにおいて生じるため、各々のトレースは、一方の領域の導電性材料から形成された第1のセグメントまたは区画と、他方の領域の導電性材料から形成された第2のセグメントまたは区画とを有する。
【0030】
ここで図3を参照して、電気化学バイオセンサのための電気パターン36の大量生産の一例示的方法が理解できる。本例示的実施の形態において、可撓性があり実質的に平坦な基材80が供給ロール82上に設けられる。ロール82上の基材80は、先行技術において既知のとおり、面83を清浄または改変し、導電層を受領する準備をするために、所望のとおりに前処理される。材料80が展開されると、これは、図3に概略的に示されるように、連続する加工ステーション84,86,88および90を通過する。これらの加工ステーションにおいて、導電性材料の薄膜または層は、並べて蒸着または適用されるが、ある程度の重なりは許容される。層がオフセットする、または仮に重なる場合の程度は、特定の適用および/または所望の電気的仕様または効果に応じて相違しうる。一実施の形態において、重なりまたはオフセットの度合いは、以下の説明から理解されるように、ロール内およびロール間の電気特性に関して実質的に同一のバイオセンサを形成するために、絶縁材料80の全長に沿って実質的に均一に保持される。
【0031】
図3に図示された実施の形態において、たとえばステーション84において、導電薄膜または層92が面83に蒸着されていることが示されている。ステーション86において、層92とは異なる導電性材料の層またはフィルム94が層92に隣接して蒸着されているため、層94は破線96で示されるように層92に重なる。ステーション88および90において、層98および100は、それぞれ層92および94と同様に蒸着される。さらに、本実施の形態において、層92および94は、それぞれ層98および100と同一幅であり、この利点は明白となる。本実施の形態において、層98は、層94と最小限の重なりとなるように適用される。これは、加工ステーション84,86,88,90を通過すると、基材80が図示されるようにナイフ102で切断されて、2つの同一の小部分104および106を形成するためであり、各々の小部分は、製造準備が完了した基材を含み、図3においてその1つが参照符号108で示された、2つの巻取りスプール上に巻き上げられる。層94と98とは最終的に切断分離されるため、これらの間には導電性は必要なく、よってこれらの層の重なりは不要である。層92および100は、それぞれ、面83の対向する側縁に適用可能であり、あるいは図示されるように縁部にて被覆されていない材料の小帯が残るように適用可能である。さらなるトリミングは、特定のバイオセンサ設計に応じて必要または不要となる。
【0032】
図3に示された「ステーション」は、導電層を適用するための任意の種々の技術を示すことを理解すべきである。好適な技術の例として、スパッタリング、物理気相成長法(PVD)、プラズマ化学気相蒸着法(PACVD)、化学蒸着法(CVD)、電子ビーム物理蒸着法(EBPVD)および/または有機金属気相成長法(MOCVD)を含むが、これに限定されない。蒸着は、一般的に真空下で実施される。これらの技術は先行技術において周知であり、図3に示されるように、基板に金属または他の導電性材料の均一で薄い被覆を選択的に設けるために使用可能である。得られた基材は検査され、導電被覆または層が均一で材料欠陥がないことを保証する。
【0033】
さらに、図3においてステーション84〜90は順々に配置されているが、当業者は、導電層を形成するための多くの変形を容易に認識することができるだろう。たとえば、導電材料蒸着ステーションは、およそ同一の位置に配置可能であり、ロール前後に指標付けされる。各々での通過中に、異なる導電層が適用される。他の変形例も可能である。
【0034】
前述の通り、バイオセンサに対する特定の適用に応じて、図3に示された層に対して多くの導電性材料が使用可能である。導電層は、純金属、合金またはカーボンインクなどの他の導電性材料を含みうる。好適な導体の例は次を含む:アルミニウム、炭素(黒鉛など)、コバルト、銅、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀(アマルガムなど)、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン(高ドープ多結晶シリコンなど)、銀、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの混合物、およびこれらの材料の合金または固溶体。酸化インジウムスズ(ITO)は、以下により詳細に説明するように、バイオセンサの計器挿入端に使用可能な導電性材料である。別の実施の形態において、材料は生体系に対して本質的に非反応性の材料から選択可能であり、このような材料は、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれらの金属の合金を含む。導電層は、任意の所望の厚さでよい。
【0035】
さらに、当業者は、隣接領域に対する特定の選択された組み合わせの導電性材料が、領域間の移行部、すなわち層が接触または重なる部分における2つの層の間の良好な物理的接着性と構造および化学安定性を保証するために、いわゆる「シード層」を必要としうることを認識するだろう。たとえば、2つの領域がそれぞれ銅および金から形成される場合、一手法として、最初に銅層を基材に蒸着し、その後、たとえばクロム、窒化チタンまたは窒化アルミニウムのシード層を金層が銅に接触または重なる部分において銅の上に適用して、金層を適用するだろう。シード層の使用は先行技術において既知であり、その例は参照としてここに組み入れられる米国特許第6822176号明細書に開示されている。
【0036】
重なる配置が採用される場合、重複幅は、たとえば1〜3mm、一般的に約2mmなど数ミリメータのみを要することが想定される。重なる配置が採用される実施の形態において、一般的に、製造上の制限による層幅の偏差があっても、層がその長さに沿って連続して接続されることを保証するために充分な重なりを設けることが望ましい。もちろん、電気パターンは、このような重なり領域においてより厚くてもよい。たとえば、図3Aは、導電層92および94の重なり領域、すなわち移行部97を示しており、この場合、層の配置は重なり領域97においてより厚い。前述のとおり、層は、図3Bに示されるように接触関係に形成することも可能であり、この場合、層92および94は、参照符号99で示される箇所で互いに接触している。一定の状況下において、接触接合部の形成の際の製造上の制限から生じる2つの層の間の潜在的な間隙を許容するために、さらなる導電シーム層101(図3Bにてファントムで図示)を含むことが望ましいこともある。
【0037】
当業者は、隣接する導電層を電気的に接続するための他の手段を認識するだろう。たとえば、蒸着技術は、重なる領域を横断して一方の層をより薄く、他方をより厚くすることで、たとえば図3Cの参照符号103に示されるように、2つの領域の間の移行部の厚さがおよそ同一のままであるようにできる。換言すれば、図3Cに示す移行部を形成するために使用される蒸着技術は、両方の層がその縁部においてより薄くなっているものである。また、たとえば図3Dに示されるように、層を最初は離間させ、その後、これらの層の間に第3の導電性材料を適用することにより電気的に接合することも可能であり、この場合、導電シーム層105は層92および94を接合する。この手法は、シード層に関して前述したように、直接接触する場合に互いに物理的または化学的に適合性のない2つの導電性材料の層を電気的に接続することを望む場合に特に有用であることがわかる。当業者は、本開示から、2つの導電領域間の移行部を形成するための種々の別の可能性を認識すると考えられ、これらのすべては本開示の精神および範囲内にあることが考慮される。
【0038】
ここで図4を参照して、図3に示すように形成された製造準備が完了した基材106は、ここで異なる工程段階にて展開され、図4に図式的に示されたレーザアブレーション装置110によって前進させられる。前述の教示に好適なレーザ装置および工程は、前述の参照として組み入れられた米国特許第7073246号明細書および米国特許出願公開第2005/0103624号明細書に記載されている。例示的実施の形態において、レーザ装置は、単一工程でいくつかの電気パターン112を形成するために、充分に大きな射出にて広範囲のレーザアブレーションを実施して導電性材料を切除する。図4に示された特定の実施例において基材106は指標付けされ、これによって電気パターンが画定される部分を除いて基材から導電性材料の部分を除去することにより単一工程において3つの電気パターンが形成される。図示されるように、導電性材料は、異なる導電性材料を有する各々の電気パターン112の2つの領域70および72が形成されるように除去される。得られる構造は、複数のバイオセンサを製造するためにさらに加工可能な基板ウェブ107(図5)である。
【0039】
一実施の形態において、図5に示されるように、基板ウェブ107は、試薬材料の層114を加えることによりさらに加工される。試薬層114に適した組成およびその適用方法は、参照としてここに組み入れられる米国特許出願公開第2005/0016844号明細書に開示されており、ここで詳細に繰り返すことは不要である。簡潔に、試薬層は、カーテンコーティング、ホットメルトコーティング、回転スクリーンコーティング、ドクターブレードまたはエアナイフコーティング、メイヤーバーコーティング、逆回転コーティング技術などの多くの好適な施与方法によって適用可能である。試薬層114は、一般的に、約50〜約100μmの間の厚さで湿潤組成物として基板ウェブ107に蒸着される。図5に示された実施の形態において、試薬層114が領域70(貴金属でよい)の導電性材料のみに接触することを保証し、層114の適用において製造公差を許容するために、領域70の一部120は、図示されるように試薬層114の下から延伸または突出しうる。試薬層が適用された後、一般的に米国特許出願公開第2005/0016844号明細書に記載されたようなロール加工技術によって、スペーサ層24および被覆層などの種々の他の層が組み立てられ、図1および2に示された完成品のバイオセンサを形成する。
【0040】
基材を必要に応じてより小さい製造準備の完了した基材に形成および切断すること、ならびに、バイオセンサ上の電気パターンの異なる領域の数、位置および材料組成の種々の変形が可能であることが容易に認識されるべきである。
【0041】
たとえば、図6は、実質的に並んで位置決めされ、互いに電気通信する2つのみの導電層602および604により形成可能な基材600の一実施の形態を示す。基材600は、2つのみの加工ステーションまたは経路によって、図3に関連して前述したように形成され、その後、前もって切断せずに、基板ウェブ107を形成する図4に関連して前述したものと同様に製造工程に直接提供可能である。すなわち、製造準備完了ロットの基材104,106に切断される図3の基材80とは対照的に、基材600は最初に製造準備完了基材として提供される。
【0042】
代替的に、図7は、たとえば図3の説明に関連して図示および説明した工程と同様の工程によってその上に形成された、3つの導電層702,704および706を有する基材700を示す。層702および706は同一の導電性材料から構成され、層704は破線708に沿って切断可能な異なる導電性材料から形成されて、2つの同一の製造準備完了ロットの基材を形成する。このような配置は、本質的に、単一工程において2つの層を形成可能にし(すなわち、層704は半分に分割され、異なる製造ラインにおいて最終的に2つの層となる)、一定の効率性をもたらす。
【0043】
図8は、反復層、すなわち「ストライプ」を有する多層の基材800を示す。層802,806および810は、同一の導電性材料から形成され実質的に同一の幅を有する。また、層804,808および812はすべて同一の導電性材料(層802,806および810とは異なる)から形成され、実質的に同一の幅を有する。したがって、3つのロットの製造準備完了基材は、それぞれ、線814および816に沿って2度切断することによって形成可能である。
【0044】
図9は、たとえば図3の説明に関連して示した工程と同様の工程によって、その上に形成された5つの導電層902,904,906,910および912を有する基材900を示す。層902および912は同一の導電性材料から構成され、層904および910は、層902および912とは異なる同一の導電性材料から構成される。層906は、第3の異なる導電性材料から形成される。基材900は破線914に沿って切断され、各々が実質的に並んで延びた3つの層またはストライプを有する、2つの同一のロットの製造準備完了基材が形成可能である。
【0045】
前述の教示から、反復層またはストライプの数および基材上でのこれらの構成(必要に応じて製造準備完了ロットに切断される前)は、製造効率と形成されるバイオセンサの電気パターンにおける領域の所望の数および種類との関数として所望のとおりに変更可能であることが容易に認識されるべきである。たとえば、前述の教示を使用した大規模な製造において有用な基材は、1.5m以上の幅で100以上の並んだ層またはストライプを含みうることが想定される。このストライプ状の基材をさらなる加工が施される複数の製造準備完了ロットに減少させるためには、明らかに多数の切断が行われる。
【0046】
図10Aを参照して、図9に関連して説明した基材の一部から形成された基板ウェブから形成されたバイオセンサ基板1000が示されている。基板1000は3つの領域1002,1004および1006を有し、該領域において電気パターンは異なる導電性材料からなる。しかしながら、3以上の電気パターン領域が設けられる実施の形態では、いくつかの領域が同一の導電性材料を有することが望ましい場合もあることを認識すべきである。たとえば、基板1000と同様に構成された基板を備えたバイオセンサにおいて、2つの端部の領域1002,1006を同一の材料から形成し、中間領域1004を異なる材料から形成することが望ましいことがある。3つの領域からなる電気パターンを有する基板1000については、事実上無限の種類の材料組成が採用可能であるが、一実施の形態において、金または白金などの貴金属から形成された領域1002、銅などの良導体から形成された領域1004、またITOなど(たとえば、完成したバイオセンサが計器に挿入される際の)傷に耐性のある強固な材料から形成された領域1006を含む。
【0047】
また、前述の電気パターンおよびこれらの形成は高度なものであるが、前述の教示はバイオセンサに採用される種々の電気パターンに対して有利に採用可能であることが理解されるべきである。たとえば、図10Bは、2つの領域1022および1024を有するバイオセンサ基板1020を示しており、該基板において電気パターンの導電トラック1026および1028は、異なる導電材料からなる。本実施の形態は、前述の教示を利用可能な電気パターンは相当単純でよく、この場合は2つの導電トラックのみを備える。基板1020は、破線1030で示された領域においてキャピラリー室を有する「側面充填」バイオセンサの一部を形成する。キャピラリー室および切り欠き1034のための通気口1032は、試料流体でチャンバを満たすことを補助するために設けられる。異なる導電性材料から形成された電気パターンの領域に加えて、このようなバイオセンサは先行技術において既知であり、この例は参照としてここに組み入れられる米国特許第6270637号明細書に見ることができる。
【0048】
図11は、前述の教示を採用可能なさらに別の単純な設計を示す。本実施の形態において、レーザスクライビングにより形成された、複数の基本的な電気パターンを備えた基板ウェブを形成するためのロール1108上の基材1106は、展開されて示されている。本実施の形態において、レーザ装置1110は、該装置1110が破線1114によって示された経路に沿って移動される際に光線1112を発射する。その際に、各々が、たとえば対極1116、作用電極1118およびトレース1120,1122を備えた複数の電気パターンが形成され、トレースは、電極の反対側に電気接点を備える。たとえば前述のように、個々のバイオセンサに組み立てられる別個の基板は、破線1124に沿って切断することにより形成可能である。レーザ装置1110の代わりに、当業者は、電気パターンを形成するために導電性材料を除去する、たとえばエッチング、導電性材料の機械的除去および他の多くの別の好適な手段を容易に認識する。
【0049】
また、当業者は、前述の教示を採用を容易に採用して、いわゆる「対向電極」を有するバイオセンサに見られるようなバイオセンサの複数層に電気パターンを形成することができる。たとえば、図12は、基板ウェブ1202の第1のロール1201を示しており、該ロールは、本記載の方法によって形成可能な、ある導電性材料の一連の作用電極1204と、異なる導電性材料のトレース1206とをその上に離間して有する。トレースの端部は、他の箇所において前述した、計器挿入のための電気接点を備える。同様に、第2の基板ウェブ1208はロール1209上に設けられ、その上にある導電性材料から形成された一連の対極1210と、異なる導電性材料のトレース1212とを離間して含む。電極1204および1210は同一または異なる材料から形成可能であり、トレース1206および1212もまた同様に可能である。
【0050】
図12に示された実施の形態において、電気絶縁材料の2つの中間層1218および1219は、それぞれロール1220および1221上に設けられる。ロール1220および1221は加工(展開)中に配置されるため、縁部1234および1236の間に定められた間隙1226が保持される。これらの中間層は製造されたバイオセンサにスペーサ層を形成し、また、バイオセンサに対してキャピラリー試料受領チャンバを定める。中間層1218は、形成された複数の長方形の切り欠き1228を含み、これは最終的に製造されたバイオセンサにおいて開口部1230を定めて、計器の電子機器による電気トレース1206および1212へのアクセスを可能にする。
【0051】
製造中、上下のウェブ1208および1202は、それぞれ、共に積層され、中間層1218および1219をその間に挟むことにより、前駆体、すなわち積層構造1222を形成する。前駆体1222は、下面に対極1210を有する材料1208から形成された上層と、材料1218および1219から形成された並んで離間する2つの中間層と、上側に形成された作用電極1204を有する材料1202から形成された下層とを含む。このような積層構造を形成するために使用されるロール加工技術の例は、米国特許出願公開第2005/0016844号明細書に見ることができ、この開示は前述のとおりに参照としてここに組み入れられている。
【0052】
前駆体1222は、層1218の切り欠き1228によって定められた一連の開口部1230を含む。トレース1206の端部、すなわち接触部分は、積層構造1222の開口部1230に見ることができる。縁部1234および1236は前駆体1222においてファントムで示されており、間隙1226は、長さに沿って離間されて互いに面する一連の作用電極1204および対極1210と共に四角形の通路1232を形成する。「対向電極」を有する完成品のバイオセンサは、破線1224に沿って切断することで形成される。このようにして形成された各々のバイオセンサは、先行技術において既知であるように、その両側に形成された試料受領開口部と、アクセス開口部1230とを有する。
【0053】
もちろん、一定の状況においては、1以上の導電性材料から一方の対向電極(または他の電気的特徴)のみを形成することが望ましいこともある。たとえば、図12の実施の形態において、対極1210およびトレース1212を同一の材料で形成することが望ましいこともある。通常、前述の教示が対向電極の配置において採用される場合、少なくとも一方の基板ウェブが、異なる導電性材料の少なくとも2つの領域を持つ電気パターンを有し、2つのウェブは、互いに面して配置された電気パターンおよび/または電気的特徴を有する積層体1222などの積層体に組み合わされる。
【0054】
前述の教示から、当業者は、前述の電気パターンおよびその形成が種々のバイオセンサ設計において採用可能であり、最も基本的な電気パターンを有するバイオセンサから複数の電気機能性をを供する高度なパターンを持つものまで、特に複数の基板上に電気パターンまたは電気的特徴を有するものにまでわたることが理解できる。さらに、前述の教示は、基材上に導電層を蒸着し、その後、電気パターンを形成するために導電層の部分を除去することに限定されない。
【0055】
代わりに、複数の領域を有する電気パターンは、電気パターンを完成させるために、基材から導電性材料のさらなる除去を必要とすることなく基板ウェブを形成するように基材に直接蒸着することが可能である。たとえば、「レーザ誘起前方転写法」(「LIFT」)などの技術において、パルスレーザ光線は、レーザ透過標的基板を通って導かれ、標的基板の反対側に被覆された材料のフィルムに達する。レーザはフィルムを気化し、また運動量の移動のために、材料は標的基板から除去され、標的基板に近接して配置された受領基板に蒸着される。このLIFT工程は明らかにきわめて迅速に生じるが、導電性材料を電気パターンまたはその一部の形状に形成することは、導電性材料の基板への転写が完了する前に少なくとも開始されることが理解できる。LIFTおよび同様の技術を実施するための種々の方法は、米国特許第6177151号明細書、米国特許第4752455号明細書、米国特許第5725706号明細書、米国特許第5292559号明細書、米国特許第5492861号明細書、米国特許第5725914号明細書、米国特許第5736464号明細書、米国特許第4970196号明細書および米国特許第5173441号明細書に開示されており、これらのすべての開示は参照としてここに組み入れられる。
【0056】
図13を参照して、それぞれ、異なる導電性材料1306および1308の2つのロール1302および1304が設けられる。前述で組み入れられた文献に記載されているように、各々のロールは、それぞれ、レーザ透過材料の上部可撓性層1310および1312を有し、これに導電性材料1306および1308が接着されるか、または被覆あるいは蒸着される。ロール加工に好適な可撓性レーザ透過層1310および1312は、たとえば、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリテトラフルオロエチレンから構成可能である。
【0057】
図13に示されるとおり、作用電極1320および対極1322を含む電気パターンの領域1328は、レーザ装置1325からマスク1326を通って広範囲レーザ光線1324を発射することによって形成され、これは、図示されるように、電気パターンの第1の領域1328の基材1330への蒸着をもたらす。一方で、同様の技術が、基材1330に沿った下流において、電気パターンの第2の領域1332を形成するために使用される。すなわち、広範囲レーザ光線1338はレーザ装置1340からマスク1341を通って発射され、これは、図示されるように、トレース1350および導体パッド1352を有する電気パターンの第2の領域1332の基材1330への蒸着をもたらす。このようにして、それぞれ巻き取りスプール1344,1346および1348を有するロール1302,1304および1342の展開および指標付けを調整することによって、複数の電気パターンが形成される。電気パターンをその上に有する基材1330の巻き取りスプール1348は、前述のように、さらなるロール加工および積層技術を通じてバイオセンサを製造するために、さらに加工可能な基板ウェブを備える。
【0058】
前述の通り、領域1328および1332に対して選択した特定の導電性材料に応じて、電気パターンの領域1332を蒸着する前に領域1328の上にシード層を蒸着する必要がありうる。このような部分的な電気パターン状のシード層は、領域1328および1332を蒸着するために使用されたものと同一のLIFT技術によって蒸着可能である。図3〜9を参照して説明した層の手法と同様に、領域1328および1332を離間して形成することも可能であり、部分的なパターン状の接続層をその間に蒸着することができる。たとえば、パターンが最も複雑でない場所に電気パターンの領域間に移行部を形成することが望ましく、このことは、指標付けにおいてより大きな公差を許容し、充分に整列するように部分的なパターンを蒸着しなければならない正確な場所において柔軟性を許容する。
【0059】
いくつかのレーザ直接書込転写技術においては、材料をレーザ透過基板から転写するが、これは必要でない。たとえば、クックに付与された米国特許第4895735号明細書(「‘735号特許」)は、導電性材料が基板上部に保持され、レーザを使用して導電性材料をパターンに蒸着する技術を開示する。前述で説明した技術とは異なり、導電性材料は、導電層が接着されるレーザ透過基板を使用せずに直接蒸着される。このような教示は、図14に関連して示す工程などに組み入れて使用可能である。
【0060】
図14に示されるように、異なる導電材料1406および1408の2つの層またはフィルムは、ロール1442に設けられた基材1430の真上に配置される。層1406および1408の移動を最小限にするために、これらは、‘735号特許に記載されているように、基材1430の上に固定または配置できる。図示されるように、作用電極1420および対極1422を含む電気パターンの領域1428は、広範囲レーザ光線1424をレーザ装置1425からマスク1426を通って発射することにより形成され、これは、図示されるように、電気パターンの第1の領域1428の基材1430への蒸着をもたらす。
【0061】
一方で、電気パターンの一部を基材に直接蒸着する同様の技術が、基材1430に沿った下流において、電気パターンの第2の領域1432を形成するために使用される。すなわち、広範囲レーザ光線1438はレーザ装置1440からマスク1441を通って発射され、これは、図示されるように、トレース1450および導体パッド1452を有する電気パターンの第2の領域1432の基材1430への蒸着をもたらす。このようにして、所望のとおりに、基材、フィルムおよび/またはレーザ装置の展開および移動を調整することによって、複数の電気パターンが形成される。電気パターンをその上に有する基材1430の巻き取りスプール1448は、前述のように、さらなるロール加工および積層技術を通じてバイオセンサを製造するために、さらに加工可能な基板ウェブを備える。
【0062】
図13および14に関して先程説明した電気パターンの基材への直接的な蒸着に加えて、広範囲レーザパルスを使用して材料の全部分または層を蒸着し、たとえば図3および6に図示されたような層を有する基材を製造することが可能である。その後、前述のレーザアブレーションまたは他の技術を使用して導電性材料の一部を除去し、各々が複数の領域を有する複数の電気パターンを有する基板ウェブを形成可能である。当業者は、このような技術を採用する他の変形例を容易に認識するだろう。
【0063】
たとえば、広範囲の導電層または完全に定義された電気的特徴としてなど、各々の導電性材料の層が基材に最終的に蒸着される方法に関わらず、本開示から、本発明の例示的実施の形態において、第1の領域は一般的に1以上の電気的に絶縁された電極からなり、第2の領域は一般的に導体パッドなどの1以上の電気的に絶縁された接触領域からなり、電極領域および接触領域は電気的に接続され、それぞれ、第1および第2の異なる導電性材料からなる。前述のとおり、電極領域は、LIFT技術または第1の導電性材料を基材に蒸着し、少なくとも一部を除去して電極領域に対して所望の電気的特徴を定めることにより形成可能である。同様に、接触領域は、LIFT技術または第2の導電性材料を基材に蒸着し、少なくとも一部を除去して接触領域に対して所望の電気的特徴を定めることにより形成可能である。また前述のとおり、電極領域と接触領域との間の移行部は、一般的に、これらの領域を接続するトレースに配置される。この場合、各々のトレースは、電極領域に接続された第1の導電性材料から形成された第1の部分と、接触領域に接続された第2の導電性材料から形成された第2の部分とを有する。
【0064】
以上に本発明の原理を組み入れた例示的実施の形態を開示したが、本発明は開示された実施の形態に限定されるものでない。むしろ、本適用は、この一般的原理を使用した本発明のあらゆる変形、用途または適合に及ぶことが意図される。さらに、本適用は、本発明が関連する技術において既知または慣行の範囲内にあって、また添付の請求項の限定の範囲内において、本開示から逸脱するものにも及ぶことが意図されている。
【0065】
次は本発明の好ましい実施の形態のリストである。
【0066】
1.電気化学バイオセンサにおいて使用される電気パターンをその上(基板上)に有する基板の製造方法であって、該方法が、
第1の導電性材料の第1の層を有する基材を提供する工程であって、該第1の層が、第2の導電性材料の第2の層と実質的に並んで位置決めされて電気的に接触する工程と、
電気パターンを基材上に形成するために第1の層および第2の層の少なくとも一部を除去する工程であって、該電気パターンが第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電極からなる工程を含む方法。
【0067】
2.第1および第2の層の両方から電気パターンを形成するために、レーザ装置によって基材上に電気パターンのイメージを投射することにより第1の層および第2の層の一部を切除する除去工程を含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0068】
3.複数の電気パターンをその上(基板ウェブ上)に有する基板ウェブを形成するために、基材に沿って離間した間隔において、複数回除去工程を反復する工程をさらに含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0069】
4.さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電極の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基板ウェブ上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板ウェブとを切断する工程とを含む好ましい実施の形態3記載の方法。
【0070】
5.前記除去工程が、第1の導電性材料から作用電極および対極を形成する工程と、第2の導電性材料から導体パッドを形成する工程とを含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0071】
6.貴金属から形成された第1の層と、貴金属よりも実質的に強固な導電性材料から形成された第2の層とを有する基材を提供する提供工程を含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0072】
7.前記貴金属が、金、銀、パラジウムおよび白金からなる群から選択される好ましい実施の形態6記載の方法。
【0073】
8.前記第2の導電性材料が、アルミニウム、炭素、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀、ニッケル、ニオブ、オスミウム、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、酸化インジウムスズおよびこれらの混合物からなる群から選択される好ましい実施の形態6記載の方法。
【0074】
9.前記提供工程が、第1および第2の層を有する基材を部分的に重なる配置で提供する工程を含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0075】
10.前記提供工程の前に、導電性材料の第1および第2の層を基材の一部に沿って実質的に並べて蒸着する工程をさらに含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0076】
11.前記提供工程の前に、導電性材料の第3および第4の層を基材の第2の部分に沿って実質的に並べて蒸着する工程であって、該第3の層が第2の導電層に隣接する工程と、
第2および第3の層の間にて基材を切断する工程とをさらに含む好ましい実施の形態10記載の方法。
【0077】
12.蒸着工程が、スパッタリング、物理気相成長法、プラズマ化学気相蒸着法、化学蒸着法、電子ビーム物理蒸着法、有機金属気相成長法およびレーザ誘起前方転写法のうちの1以上を含む好ましい実施の形態10記載の方法。
【0078】
13.その上(基材上)に形成された第2の電気パターンを有する第2の基材を提供する工程と、第1の基材と第2の基材とを、第1の電気パターンが第2の電気パターンに面する積層体に組み合わせる工程とをさらに含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0079】
14.電気化学バイオセンサにおいて使用される複数の電気パターンからなる基板ウェブの製造方法であって、該方法が、
電気的に絶縁された基材を提供する工程と、
第1および第2の異なる導電性材料を、互いに対して実質的に並べて基材の一部に蒸着する工程と、
複数の電気パターンを基材の一部に形成する工程であって、各々の電気パターンが、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電気的特徴からなる工程を含む方法。
【0080】
15.前記蒸着工程が、第1の導電性材料の第1の層を基材の一部に蒸着する工程と、第2の導電性材料の第2の層を基材の一部において、第1の層に実質的に並べて電気的に接触するように蒸着する工程を含み、さらに、電気パターンを形成する工程が、蒸着工程後に、第1および第2の層の一部を除去する工程を含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0081】
16.前記除去工程が、第1の導電性材料から作用電極および対極を形成する工程と、第2の導電性材料から導体パッドを形成する工程とを含む好ましい実施の形態15記載の方法。
【0082】
17.前記蒸着工程が、第1の導電性材料として貴金属を蒸着する工程と、第2の導電性材料として貴金属よりも実質的に強固な材料を蒸着する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0083】
18.前記貴金属が、金、銀、パラジウムおよび白金からなる群から選択される好ましい実施の形態17記載の方法。
【0084】
19.前記第2の導電性材料が、アルミニウム、炭素、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀、ニッケル、ニオブ、オスミウム、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、酸化インジウムスズおよびこれらの混合物からなる群から選択される好ましい実施の形態17記載の方法。
【0085】
20.蒸着工程の完了前に、少なくとも1つの第1および第2の導電性材料が、電気パターンの一部の形状を実質的に含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0086】
21.前記蒸着工程が、レーザ誘起前方転写を含む好ましい実施の形態20記載の方法。
【0087】
22.さらに、第3および第4の異なる導電性材料を基材の第2の部分に沿って実質的に並べて蒸着する工程と、第2の部分からその部分を分離するために基材を切断する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0088】
23.複数の第2の電気パターンを基材の第2の部分に形成する工程と、
第1および第2の導電性材料を有する基材の一部を第1組のバイオセンサに組み込む工程と、
第3および第4の導電性材料を有する基材の第2の部分を第2組のバイオセンサに組み込む工程とをさらに含む好ましい実施の形態22記載の方法。
【0089】
24.第1および第2の導電性材料が、それぞれ第3および第4の導電性材料と同一であり、第1および第2組のバイオセンサが同一である好ましい実施の形態23記載の方法。
【0090】
25.さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電気的特徴の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基材上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板とを切断する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0091】
26.さらに、その上(基材上)に形成された複数の第2の電気パターンを有する第2の基材を提供する工程と、
第1の基材および第2の基材を積層体に組み合わせる工程であって、複数の電気パターンの各々の電気パターンが、複数の第2の電気パターンのそれぞれの第2の電気パターンに面する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0092】
27.流体試料中の検体の有無または濃度を測定するためのバイオセンサであって、
電気パターンをその上(基板上)に有する基板であって、該電気パターンが、作用電極、対極、導体パッドおよび該作用電極と対極とをその各々の導体パッドに電気的に接続するトレースからなる基板と、
前記基板に重なり、該基板と協働して試料受領チャンバを定める1以上のスペーサ層および被覆層とを備え、
前記バイオセンサが、電気パターンが第1の導電性材料から形成される第1の領域と、電極パターンが第2の導電性材料から形成される第2の領域とを有し、少なくとも1つのトレースが第2の領域に配置された第2の部分と電気的に接続された第1の領域に配置された第1の部分を含み、第1および第2の部分が、それぞれ、第1および第2の導電性材料からなるバイオセンサ。
【0093】
28.前記第1の部分と第2の部分とが部分的に重なる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0094】
29.前記第1の導電性材料が、貴金属からなる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0095】
30.前記貴金属が、金である好ましい実施の形態29記載のバイオセンサ。
【0096】
31.前記第2の導電性材料が、貴金属より実質的に強固な材料からなる好ましい実施の形態29記載のバイオセンサ。
【0097】
32.前記第2の導電性材料が、銅または酸化インジウムスズである好ましい実施の形態31記載のバイオセンサ。
【0098】
33.前記電極が第1の領域に配置され、導体パッドが第2の領域に配置される好ましい実施の形態31記載のバイオセンサ。
【0099】
34.前記電極が第1の領域に配置され、試薬層が電極の少なくとも一部に重なる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0100】
35.前記試薬層が、第1の領域と第2の領域との間のインタフェースにて実質的に終結する好ましい実施の形態34記載のバイオセンサ。
【0101】
36.前記電気パターンの第1の領域の一部が、第1の領域と第2の領域との間の移行部に向かう方向において、試薬層を越えて延びている好ましい実施の形態34記載のバイオセンサ。
【0102】
37.前記電気パターンの第1の領域が貴金属から形成される好ましい実施の形態34記載のバイオセンサ。
【0103】
38.前記少なくとも1つのトレースが、4つのトレースからなる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0104】
39.幅より大きい長さを有する実質的に薄く平坦なバイオセンサ本体と、投与端と、計器挿入端とをさらに備え、該投与端は第1の領域に配置され、計器挿入端は第2の領域に配置される好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0105】
40.前記電気パターンが、第3の導電性材料から形成される第3の領域をさらに備えた好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0106】
41.前記第1、第2および第3の領域が、バイオセンサの長さ方向に沿って並んで位置決めされる好ましい実施の形態40記載のバイオセンサ。
【0107】
42.その上(基板上)に形成された少なくとも1つの電気的特徴を有する第2の基板をさらに備え、該電気的特徴が電気パターンに面する好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0108】
43.電気化学バイオセンサにおいて使用される、その上(基板上)に電気パターンを有する基板の製造方法であって、
電気的に絶縁された基材を提供する工程と、
該基材に電極領域を形成する工程であって、該電極領域が、第1の導電性材料から形成された少なくとも一対の電気的に絶縁された電極からなる工程と、
基材上に電極領域に隣接した接触領域を形成する工程であって、該接触領域が、第2の導電性材料から形成された、少なくとも第1および第2の電気的に絶縁された接触領域からなる工程と、
第1および第2の電気的に絶縁されたトレースを基材に形成する工程であって、各々のトレースが第1の部分と第2の部分とを有し、第1の部分が第1の導電性材料から形成されて電極領域に電気的に接続され、第2の部分が第2の導電性材料から形成され接触領域と電気的に接続される工程と、
第1および第2の接触領域が、各々、対応するトレースと通じて一対の電極のうちの対応するものと電気的に接触し、さらに、電極領域、トレースおよび接触領域が協働してバイオセンサのための電気パターンを定める方法。
【0109】
44.第1の導電性材料から形成された第2の層を基材に提供する工程であって、該第1の層が第2の導電性材料から形成された第2の層と電気的に接触され、実質的に並べて位置決めされる工程と、
電気パターンを基材上に形成するために、第1の層および第2の層の少なくとも一部を除去する工程とをさらに含む好ましい実施の形態43記載の方法。
【0110】
45.前記除去工程が、第1および第2の層の両方に電気パターンを形成するために、レーザ装置によって基材上に電気パターンのイメージを投射することにより第1の層および第2の層の一部を切除する工程を含む好ましい実施の形態44記載の方法。
【0111】
46.複数の電気パターンをその上(基板ウェブ上)に有する基板ウェブを形成するために、基材に沿って離間した間隔において、複数回除去工程を反復する工程をさらに含む好ましい実施の形態45記載の方法。
【0112】
47.さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電極の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基板上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板とを切断する工程とを含む好ましい実施の形態46記載の方法。
【0113】
48.前記提供工程が、第1および第2の層を有する基材を部分的に重なる配置で提供する工程を含む好ましい実施の形態44記載の方法。
【0114】
49.基材を提供する前に、第1および第2の層の導電性材料を、基材の一部に沿って実質的に並べて配置する工程を含む好ましい実施の形態44記載の方法。
【0115】
50.前記蒸着工程が、スパッタリング、物理気相成長法、プラズマ化学気相蒸着法、化学蒸着法、電子ビーム物理蒸着法、有機金属気相成長法およびレーザ誘起前方転写法のうちの1以上を含む好ましい実施の形態49記載の方法。
【0116】
51.前記第1の導電性材料が貴金属からなり、第2の導電性材料が貴金属より実質的に強固な材料からなる好ましい実施の形態43記載の方法。
【0117】
52.前記貴金属が、金、銀、パラジウムおよび白金からなる群から選択される好ましい実施の形態51記載の方法。
【0118】
53.前記第2の導電性材料が、アルミニウム、炭素、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀、ニッケル、ニオブ、オスミウム、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、酸化インジウムスズおよびこれらの混合物からなる群から選択される好ましい実施の形態51記載の方法。
【0119】
54.その上(基材上)に形成された第2の電気パターンを有する第2の基材を提供し、第1の基材と第2の基材とを、第1の電気パターンが第2の電気パターンに面する積層体に組み合わせる工程とをさらに含む好ましい実施の形態43記載の方法。
【0120】
55.前記電極領域、接触領域またはトレースの少なくとも一部がレーザ直接転写により形成される好ましい実施の形態43記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して検体濃度に対する体液の試験に関し、より詳細には、このような試験のための電気化学バイオセンサおよび該センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テストストリップまたはバイオセンサは、試験試料流体中の選択された検体の有無および/または濃度を測定するために頻繁に使用される。たとえば、種々のテストストリップが、糖尿病を持つ人の血糖値をモニタするために血液中のグルコース濃度の測定に使用される。これらのテストストリップは、内部に試薬組成物が配置された反応室を含む。テストストリップにおける最新の傾向は、より少量の試験試料とより迅速な分析時間とを要求する。このことは患者にとって著しい利点を供し、体の感受性が低い領域から得られるより少量の血液試料の使用を可能にする。さらに、たとえば血糖測定システムに関して、より迅速な試験時間とより正確な結果とによって、患者は自身の血糖値をより良く制御可能となる。
【0003】
電気化学バイオセンサは周知であり、生体試料、特に血液からの種々の検体濃度を測定するために使用されている。このような電気化学バイオセンサの例は、米国特許第5413690号明細書、米国特許第5762770号明細書、米国特許第5798031号明細書、米国特許第6129823号明細書および米国特許出願公開第2005/0013731号明細書に記載されており、これらは、それぞれ参照としてここに組み入れられる。たとえば、米国特許出願公開第2005/0013731号明細書は、基板に重なる被覆層を有する電気化学バイオセンサを開示している。該基板は、その上に電極および試薬層を有する電気パターンを有する。基板および被覆層は、毛管現象によって流体試料を内部に引き込む試料受領チャンバを定め、流体試料はチャンバ内の試薬と反応する。電圧または電位は制御されるか、または電極に印加され、発生した電流は1回以上測定されて検体濃度と相関付けられる。「電量」および「電位差」技術も既知であり、電流の代わりに電荷または電位がそれぞれ測定され、検体濃度と相関付けられる。
【0004】
電気化学バイオセンサにおいて電気パターンを形成するための種々の技術が、先行技術において既知である。たとえば、スクリーン印刷は、通常、約75μm以上の間隙幅または特徴的寸法を有する電極構造およびパターンの信頼性のある形成を可能にする湿式材料技術である。
【0005】
レーザスクライビングは、通常、248nmの照射波長を有するフッ化クリプトンエキシマレーザなどの高出力エキシマレーザを使用し、導電面材料中の個々の線をエッチングまたはスクライビングすることにより、電極および他の所望の要素を形成する残存する導電性材料間に絶縁間隙を設ける。スクライビングは、切除される面にわたってレーザ光線を移動することにより達成され、このような技術は、複雑な電気パターンが表面に形成される場合は不必要に時間がかかる。
【0006】
広範囲レーザアブレーションは、これまで利用不可能であった追加の機能性を持つ、きわめて正確で高度に明確な電気パターンを有する電気化学バイオセンサを製造するために近年使用されている技術である。このような電気化学バイオセンサの例は、たとえば、米国特許第7073246号明細書、米国特許出願公開第2005/0103624号明細書、米国特許出願公開第2006/0200981号明細書および米国特許出願公開第2006/0200982号明細書に見ることができ、これらの開示は参照としてここに組み入れられる。出願公開第2005/0103624号明細書は、高い正確性および明確性のものを開示しており、電気パターンはレーザアブレーションにより形成可能である。同様に、またここに組み入れられる米国特許出願公開第2005/0023137号明細書は、きわめて小さく複雑な電気パターンをもつバイオセンサを開示しており、これは、とりわけ表示部および電源などの他の要素のために基板に広い面積を供する。レーザに関する他の既知の技術は、米国特許第6177151号明細書、米国特許第4752455号明細書および国際公開第2007/033079号パンフレットに開示されているようなレーザ誘起前方転写法、すなわちLIFTを含み、これらの各々の文献は参照としてここに組み入れられる。
【0007】
電気化学バイオセンサの電気パターンおよび該電気パターンの製造方法をさらに改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、新規な電気化学バイオセンサおよび該バイオセンサの発明性をもつ製造方法を提供する。特に、本発明は、異なる導電性材料から形成された電気パターンの複数の領域を含む発明性をもつバイオセンサを提供する。また本発明は、前述のバイオセンサを大量生産するための発明性をもつ方法を提供する。本方法の一実施の形態において、第1および第2の異なる導電性材料は、電気絶縁基材の一部に並べて蒸着され、複数の電気パターンが該基材の一部に形成される。各々の電気パターンは、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された、第1の導電性材料から形成された第1の領域を含む。導電性材料は基材上に層として蒸着され、層の一部が除去されて電気パターンを形成可能であり、あるいは電気パターンは、電気パターンの形状をした導電性材料をレーザ直接転写法などによって基材に直接転写することにより形成可能である。
【0009】
一実施の形態において、流体試料中の検体の有無または濃度を測定するためのバイオセンサが提供される。バイオセンサはその上に電気パターンが形成された基板を有し、作用電極、対極、導体パッド、および作用電極と対極とをそれぞれの導体パッドに電気的に接続するトレースを含む。1または複数のスペーサ層および被覆層は基板に重なって協働し、流体試料を受領するためのチャンバを定める。発明性をもつバイオセンサは、第1の導電性材料から形成された電気パターンのある第1の領域と、第2の導電性材料から形成された電気パターンのある第2の領域とを含む。少なくとも1つのトレースは、第2の領域に配置された第2の区画に電気的に接続された第1の領域に配置された第1の区画を含み、第1および第2の区画は、それぞれ、第1および第2の導電性材料から構成される。
【0010】
特定の実施の形態において、重なった配置の第1および第2の領域の電気パターンを設けることが有利であり、すなわち、電気パターンの一部は、領域から領域への移行部にて他方に重なる。移行点において、重複部分は、残りのパターンよりもわずかに厚くてよい。他の実施の形態において、ある領域から別の領域への移行は、移行部において互いに電気パターンを接することにより、あるいは移行部にわたって一方の領域を徐々に薄くして他方を徐々に厚くすることで、移行部にわたり正味の厚さを実質的に同一にすることにより構成可能である。さらに別の実施の形態において、以下により詳細に説明するように、重なった導電性材料間の良好な接続を得るためにシード層を形成することが望ましい。
【0011】
前述の教示によるバイオセンサは、幅よりも大きい長さを有する実質的に薄く平坦なバイオセンサ本体と、一般的に電極が配置される投与端と、一般的に接続パッドが配置される計器挿入端とからなる。バイオセンサ本体は、異なる導電性材料から形成された電気パターンの少なくとも2つの領域を有する。投与端はこれらの領域の一方に配置され、計器挿入端は他方に配置される。したがって、トレースは、一般的に、各々の電極をそれぞれの導体パッドに電気的に接続するために両領域に及ぶ。
【0012】
たとえば、多くの実施の形態において、試料受領チャンバ内の生物学的要素の存在および/または特定の試薬化学物質に悪影響を受けない、きわめて高品質な導電性材料の試料受領チャンバに配置された電気的特徴を設けることが望ましい。金、白金、パラジウムなどの貴金属は、この目的のために好適な導体であり、試料受領チャンバを含むバイオセンサの領域に設けることが可能である。他方で、試料受領チャンバを含まないバイオセンサの他の領域には、貴金属のような高価な材料または傷付きやすく損傷しやすい材料を設ける必要がなく、これらの領域においては実質的により強固な導電性材料を使用することができる。たとえば、バイオセンサの計器挿入端から試料受領チャンバを含む領域まで延びた領域の電気パターンに対して、銅は好適な材料選択である。
【0013】
同様に、別の実施の形態において、導体パッドを含むバイオセンサの領域には、好適な導電特性を有することを示すが、傷への耐性のために好適には強固でもあるスズドープ酸化インジウム(ITO)などの材料を設けることができる。バイオセンサの導体パッドが計器に挿入される際に傷が付き品質が低下すると、バイオセンサの耐性に影響し、試験結果の精度を損なうことになりうる。導電性材料として、たとえば、ITOまたは銅でバイオセンサの計器挿入端に電気パターンを設けることは、この問題に対処する。
【0014】
一般的に、バイオセンサの領域は、バイオセンサの長さ方向に沿って並んで位置決めされる。たとえば、バイオセンサの計器挿入端に位置する電気パターンの部分はある導電性材料から形成され、投与端に位置する電気パターンの部分は第2の導電性材料から形成され、その間の領域は、所望であれば、さらに第3の導電性材料から形成可能である。
【0015】
別の形態において、これらの教示は、前述のようなバイオセンサにおいて使用される電気パターンを大量生産するための発明性をもつ方法を提供する。このような方法の1つにおいて、電気絶縁基材が設けられる。第1および第2の異なる導電性材料は、互いに対して実質的に並べて基材の一部に蒸着される。複数の電気パターンは基材の一部に形成され、各々の電気パターンは、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含む。電気パターンの第1の領域は、少なくとも1つの電気的特徴からなり、これはたとえば電極である。
【0016】
一例示的実施の形態において、蒸着工程は、第1の導電性材料の層を基材の一部に蒸着し、第2の導電性材料の第2の層を、第1の層と実質的に並んで電気的に接触させて基材の一部に蒸着することを含む。一例示的製造方法において、基材のこの積層部分は供給ロール上に巻上げられ、製造工程において「製造準備が完了した」材料として提供可能である。その後、この材料は展開され、第1および第2の層の一部が除去されて、互いに電気的に接続された2つの領域を有する電気パターンが形成される。特定の実施の形態において、広範囲レーザアブレーションが導電性材料を除去して電気パターンを形成するために使用される。広範囲レーザアブレーションは、有利には、所望の通りに、一度の単一工程で、または連続工程において、いくつかの完成した電気パターンを形成することを可能にする。またこれは、このように形成される電気パターンの優れた精度および細部を得ることができる。しかしながら、電気パターンを形成するために、たとえば、フォトエッチング、プラズマ化学気相蒸着エッチング、レーザスクライビングおよびその他多数の、導電性材料を除去する多くの他の方法を使用することもできる。
【0017】
別の実施の形態において、複数の層または「ストライプ」の材料を、一般的に反復パターン状で基材に蒸着可能である。その後、基材は、前述のような、実質的に同一の製造準備が完了した材料に分割されるか、または小部分に切断される。その後、この材料は、ロールに巻き上げられ、さらなる製造ステーションに送られることができ、ここでロールは展開され、導電層の部分が除去されて電気パターンが形成され、その後さらに加工されてバイオセンサの完成品となる。したがって、特定の要求に応じて、基材は、わずか2つのみの並んだ異なる導電性材料の層から、一般的に反復パターンの100以上が並んだ層のものまで形成可能である。
【0018】
さらに別の実施の形態において、発明性をもつ電気パターンは、先行技術において既知であるレーザ誘起前方転写法(「LIFT」)または同様の技術などの技術により、基材に直接形成される。このような技術において、電気パターンを形成するための導電性材料のさらなる除去は不要である。その代わり、所望の電気パターンの形状をした導電性材料が、一般的にレーザ透過基板から基材まで直接転写される。この技術を組み入れた一実施の形態において、広範囲レーザ光線が電気パターン部分の形状の開口部を有するマスクを通って照射され、これにより、パターン形状の導電性材料の部分がこの薄膜から除去されて基材に転写される。したがって、本実施の形態において、電気パターンまたはその一部は、導電性材料の基板への転写の完了前に、その形状を呈する。同様の技術が、電気パターンのさらなる領域を基材に直接転写するために使用可能である。
【0019】
電気パターンが基材の一部に形成されると、さらなる加工工程を利用してバイオセンサの組立が完了する。一般的に、試薬は、電気パターンの1以上の電極の少なくとも一部上または電極部分にわたって被覆または蒸着され、試薬は、通常、作用電極の少なくとも一部を被覆する。その後、被覆層および/またはスペーサ層が基材の部分上に蒸着されてカバーを形成し、形成される各々のバイオセンサの試料受領チャンバを定める。最後に、大量生産様式に、刃物を使用して被覆層、スペーサ層および基材を切断して個々のバイオセンサを形成する。前述の通り、各々の個々のバイオセンサの電気パターンは、電気パターンの材料構成が異なる少なくとも2つの領域を含み、この利点は前述の通りであり、添付の図面を参照して以下からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】前述の教示にしたがって形成されたバイオセンサの斜視図である。
【図2】図1に示されたバイオセンサの分解斜視図である。
【図3】導電材料の複数の並んだ層またはフィルムの基材への蒸着を概略的に示す斜視図である。
【図3A】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図3B】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図3C】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図3D】異なる導電性材料の2つの並んだ層の間の移行領域の配置を示す部分側面図である。
【図4】基板ウェブを形成するために図3の基材の一部に電気パターンを形成する工程を示す部分斜視図である。
【図5】適用された試薬層またはストライプを有するバイオセンサの基板ウェブの斜視図である。
【図6】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図7】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図8】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図9】複数のバイオセンサの電気パターンを形成可能な基材の斜視図である。
【図10A】3つの異なる導電性材料がその上に形成された電気パターンを有するバイオセンサ基板の斜視図である。
【図10B】代替的実施の形態によるバイオセンサ基板の斜視図である。
【図11】2つの導電層をその上に有する基材のロールおよび電気パターンの形成するために使用されるレーザスクライビング技術を示す斜視図である。
【図12】前述の教示を使用した代替的実施の形態のバイオセンサの製造を概略的に示す斜視図である。
【図13】前述の教示によるバイオセンサに有用な電気パターンを製造するための代替的実施の形態を概略的に示す斜視図である。
【図14】前述の教示によるバイオセンサに有用な電気パターンを製造するためのさらに別の代替的実施の形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面とともに、以下の本発明の実施の形態の説明を参照することにより、本発明の前述の特徴およびこれらを得る方法がより明確となり、本発明自体もより良く理解される。
【0022】
次に説明する本発明の実施の形態は、本発明を以下の詳細な説明に開示された厳密な形態に包括または限定することを意図するものではない。むしろ、実施の形態は、他の当業者が本発明の原理および実施を認識および理解しうるように選択および説明されている。
【0023】
ここで図1および2を参照して、本教示による有用なバイオセンサの実施の形態が示されている。バイオセンサ20は、基板22と、スペーサ層24と、本体カバー28およびチャンバカバー30を備えた被覆層とを含む。スペーサ層24は、基板22と被覆層との間に延びた試料受領チャンバ34を供する空隙部32を含む。代替的な被覆層は、スペーサ層24に重なり、試料受領チャンバ34と流体接続する通気口(図示せず)を含む上部カバー(図示せず)を備えうる。
【0024】
基板22は、少なくとも作用電極39および対極37を含む複数の電極38を含む電気パターン36を持つ。また電気パターン36は、導体パッド42にて終結する電極トレース40を含む。電極38は、試料受領チャンバ34内に位置決めされる。一実施の形態において、電極38は、測定シーケンスが開始可能になる前に投与の充足性を検出する別個の作用および対極50,51を含む。たとえば図11および12を参照して以下により詳細に説明するように、バイオセンサに対する所望の特定の電気的特徴に応じて、前述の教示にしたがって形成可能な種々の他の構成の電気パターンが形成できる。好適な試薬システム43(図2)は、特に作用電極である一方の電極の少なくとも一部に重なり、また図2に示されるように電極37,39および試料受領チャンバ内の電極50,51の一部に重なる。
【0025】
スペーサ層24に重なる本体カバー28とチャンバカバー30とはその間に間隙44を有し、これは試料受領チャンバ34に連通して、試料流体が縁開口部または流体受領開口部45(図1)からチャンバに入る際に空気をチャンバから排出可能にする通気開口部を定める。バイオセンサ20は、投与端46および計器挿入端48を含む。投与端は、通常、ユーザを補助するために計器挿入端からは区別可能である。たとえば、図1のバイオセンサは傾斜した投与端46を有し、これは、たとえば投与端のスペーサ層24の一部33を着色することにより、投与端と残りのバイオセンサとの間の色の対比を供する。これらの1つまたは両方は、投与端と計器挿入端とを区別する方法の例として充分である。さらに、ストリップの図描が直感的なストリップ設計をさらに改善するために使用可能であり、たとえば、矢印41はストリップの計器への挿入方向を示す。
【0026】
特に図2を参照して、バイオセンサは、電気パターン36およびバイオセンサの他の要素を支持する絶縁材料からなる基板22を含む。一般的に、ビニルポリマー、ポリイミド、ポリエステルおよびスチレンなどのプラスチックは、必要な電気絶縁および構造特性を供する。さらに、ロール材料から大量生産可能な本教示によるバイオセンサ20の実施の形態について、以下により詳細に説明するように、材料特性はロール加工のための充分な可撓性を有する一方で、完成品のバイオセンサに有用な剛性を付与することが望ましい。基板22の絶縁材料は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドなどのポリエステル、特に高温ポリエステル材料などの可塑性ポリマー材料、またはこれらの2以上の混合物から選択可能である。ポリイミドは、たとえばデラウェア州、ウィルミントンのE.I. duPont de Nemours and Company(デュポン社)により、商品名カプトン(登録商標)で市販されている。特に好適な基板絶縁材料は、デュポン社から入手可能なメリネックス(登録商標)329である。
【0027】
電極38、たとえば作用電極39および対極37を含む少なくとも測定電極は、試料受領チャンバ34内で少なくとも部分的に露出している。試料受領チャンバは、チャンバに入る試料流体が作用電極39および対極37の両方と電解接触するように構成される。これにより、電極38間において印加または制御された電位または電圧により生じた検体の電解酸化または電解還元の際に、電流が測定電極38間を流れることが可能となる。
【0028】
これらの教示は、電気パターン36が異なる導電材料から形成された2以上の領域を有するバイオセンサを開示する。たとえば、図2は、2つの一般領域70および72を示す。一実施の形態において、電極38(たとえば、作用電極と対極37,39および投与充足電極50,51)および1以上の電極トレース40の少なくとも一部などの電気的特徴を含む、領域70における電気パターン36は、図2の淡い灰色で示されるように、金、銀、パラジウムまたは白金などの貴金属から形成可能である。検体バイオセンサを含む通常の実施の形態について、領域70は、バイオセンサに投与がされて電気化学反応が生じた際に流体試料と反応する試薬を含むため、特定の実施の形態において、この領域は、貴金属など高感度の希少導電性材料で形成される。
【0029】
他方で、特定の実施の形態において、領域72を含む残りの電気パターン36は、希少導体を要しないことがある。したがって、銅、酸化インジウムスズまたはカーボンインクなどのより強固な材料により、図2に示された実施の形態の領域72における電気パターンが形成可能である。以下に示す製造方法の説明を参照するとより明らかになるように、本開示は、電気パターンにおいて各々の領域が異なる導電性材料を有する2以上の領域をバイオセンサに形成するための種々の選択肢を教示する。各々の領域に対する材料選択は、一般的にバイオセンサに対する仕様および/または用途に応じるものであり、通常の当業者の知識および技能によって、必要に応じまたは所望のとおりに最適化可能である。領域間の移行は、一般的にトレースにおいて生じるため、各々のトレースは、一方の領域の導電性材料から形成された第1のセグメントまたは区画と、他方の領域の導電性材料から形成された第2のセグメントまたは区画とを有する。
【0030】
ここで図3を参照して、電気化学バイオセンサのための電気パターン36の大量生産の一例示的方法が理解できる。本例示的実施の形態において、可撓性があり実質的に平坦な基材80が供給ロール82上に設けられる。ロール82上の基材80は、先行技術において既知のとおり、面83を清浄または改変し、導電層を受領する準備をするために、所望のとおりに前処理される。材料80が展開されると、これは、図3に概略的に示されるように、連続する加工ステーション84,86,88および90を通過する。これらの加工ステーションにおいて、導電性材料の薄膜または層は、並べて蒸着または適用されるが、ある程度の重なりは許容される。層がオフセットする、または仮に重なる場合の程度は、特定の適用および/または所望の電気的仕様または効果に応じて相違しうる。一実施の形態において、重なりまたはオフセットの度合いは、以下の説明から理解されるように、ロール内およびロール間の電気特性に関して実質的に同一のバイオセンサを形成するために、絶縁材料80の全長に沿って実質的に均一に保持される。
【0031】
図3に図示された実施の形態において、たとえばステーション84において、導電薄膜または層92が面83に蒸着されていることが示されている。ステーション86において、層92とは異なる導電性材料の層またはフィルム94が層92に隣接して蒸着されているため、層94は破線96で示されるように層92に重なる。ステーション88および90において、層98および100は、それぞれ層92および94と同様に蒸着される。さらに、本実施の形態において、層92および94は、それぞれ層98および100と同一幅であり、この利点は明白となる。本実施の形態において、層98は、層94と最小限の重なりとなるように適用される。これは、加工ステーション84,86,88,90を通過すると、基材80が図示されるようにナイフ102で切断されて、2つの同一の小部分104および106を形成するためであり、各々の小部分は、製造準備が完了した基材を含み、図3においてその1つが参照符号108で示された、2つの巻取りスプール上に巻き上げられる。層94と98とは最終的に切断分離されるため、これらの間には導電性は必要なく、よってこれらの層の重なりは不要である。層92および100は、それぞれ、面83の対向する側縁に適用可能であり、あるいは図示されるように縁部にて被覆されていない材料の小帯が残るように適用可能である。さらなるトリミングは、特定のバイオセンサ設計に応じて必要または不要となる。
【0032】
図3に示された「ステーション」は、導電層を適用するための任意の種々の技術を示すことを理解すべきである。好適な技術の例として、スパッタリング、物理気相成長法(PVD)、プラズマ化学気相蒸着法(PACVD)、化学蒸着法(CVD)、電子ビーム物理蒸着法(EBPVD)および/または有機金属気相成長法(MOCVD)を含むが、これに限定されない。蒸着は、一般的に真空下で実施される。これらの技術は先行技術において周知であり、図3に示されるように、基板に金属または他の導電性材料の均一で薄い被覆を選択的に設けるために使用可能である。得られた基材は検査され、導電被覆または層が均一で材料欠陥がないことを保証する。
【0033】
さらに、図3においてステーション84〜90は順々に配置されているが、当業者は、導電層を形成するための多くの変形を容易に認識することができるだろう。たとえば、導電材料蒸着ステーションは、およそ同一の位置に配置可能であり、ロール前後に指標付けされる。各々での通過中に、異なる導電層が適用される。他の変形例も可能である。
【0034】
前述の通り、バイオセンサに対する特定の適用に応じて、図3に示された層に対して多くの導電性材料が使用可能である。導電層は、純金属、合金またはカーボンインクなどの他の導電性材料を含みうる。好適な導体の例は次を含む:アルミニウム、炭素(黒鉛など)、コバルト、銅、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀(アマルガムなど)、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン(高ドープ多結晶シリコンなど)、銀、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの混合物、およびこれらの材料の合金または固溶体。酸化インジウムスズ(ITO)は、以下により詳細に説明するように、バイオセンサの計器挿入端に使用可能な導電性材料である。別の実施の形態において、材料は生体系に対して本質的に非反応性の材料から選択可能であり、このような材料は、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれらの金属の合金を含む。導電層は、任意の所望の厚さでよい。
【0035】
さらに、当業者は、隣接領域に対する特定の選択された組み合わせの導電性材料が、領域間の移行部、すなわち層が接触または重なる部分における2つの層の間の良好な物理的接着性と構造および化学安定性を保証するために、いわゆる「シード層」を必要としうることを認識するだろう。たとえば、2つの領域がそれぞれ銅および金から形成される場合、一手法として、最初に銅層を基材に蒸着し、その後、たとえばクロム、窒化チタンまたは窒化アルミニウムのシード層を金層が銅に接触または重なる部分において銅の上に適用して、金層を適用するだろう。シード層の使用は先行技術において既知であり、その例は参照としてここに組み入れられる米国特許第6822176号明細書に開示されている。
【0036】
重なる配置が採用される場合、重複幅は、たとえば1〜3mm、一般的に約2mmなど数ミリメータのみを要することが想定される。重なる配置が採用される実施の形態において、一般的に、製造上の制限による層幅の偏差があっても、層がその長さに沿って連続して接続されることを保証するために充分な重なりを設けることが望ましい。もちろん、電気パターンは、このような重なり領域においてより厚くてもよい。たとえば、図3Aは、導電層92および94の重なり領域、すなわち移行部97を示しており、この場合、層の配置は重なり領域97においてより厚い。前述のとおり、層は、図3Bに示されるように接触関係に形成することも可能であり、この場合、層92および94は、参照符号99で示される箇所で互いに接触している。一定の状況下において、接触接合部の形成の際の製造上の制限から生じる2つの層の間の潜在的な間隙を許容するために、さらなる導電シーム層101(図3Bにてファントムで図示)を含むことが望ましいこともある。
【0037】
当業者は、隣接する導電層を電気的に接続するための他の手段を認識するだろう。たとえば、蒸着技術は、重なる領域を横断して一方の層をより薄く、他方をより厚くすることで、たとえば図3Cの参照符号103に示されるように、2つの領域の間の移行部の厚さがおよそ同一のままであるようにできる。換言すれば、図3Cに示す移行部を形成するために使用される蒸着技術は、両方の層がその縁部においてより薄くなっているものである。また、たとえば図3Dに示されるように、層を最初は離間させ、その後、これらの層の間に第3の導電性材料を適用することにより電気的に接合することも可能であり、この場合、導電シーム層105は層92および94を接合する。この手法は、シード層に関して前述したように、直接接触する場合に互いに物理的または化学的に適合性のない2つの導電性材料の層を電気的に接続することを望む場合に特に有用であることがわかる。当業者は、本開示から、2つの導電領域間の移行部を形成するための種々の別の可能性を認識すると考えられ、これらのすべては本開示の精神および範囲内にあることが考慮される。
【0038】
ここで図4を参照して、図3に示すように形成された製造準備が完了した基材106は、ここで異なる工程段階にて展開され、図4に図式的に示されたレーザアブレーション装置110によって前進させられる。前述の教示に好適なレーザ装置および工程は、前述の参照として組み入れられた米国特許第7073246号明細書および米国特許出願公開第2005/0103624号明細書に記載されている。例示的実施の形態において、レーザ装置は、単一工程でいくつかの電気パターン112を形成するために、充分に大きな射出にて広範囲のレーザアブレーションを実施して導電性材料を切除する。図4に示された特定の実施例において基材106は指標付けされ、これによって電気パターンが画定される部分を除いて基材から導電性材料の部分を除去することにより単一工程において3つの電気パターンが形成される。図示されるように、導電性材料は、異なる導電性材料を有する各々の電気パターン112の2つの領域70および72が形成されるように除去される。得られる構造は、複数のバイオセンサを製造するためにさらに加工可能な基板ウェブ107(図5)である。
【0039】
一実施の形態において、図5に示されるように、基板ウェブ107は、試薬材料の層114を加えることによりさらに加工される。試薬層114に適した組成およびその適用方法は、参照としてここに組み入れられる米国特許出願公開第2005/0016844号明細書に開示されており、ここで詳細に繰り返すことは不要である。簡潔に、試薬層は、カーテンコーティング、ホットメルトコーティング、回転スクリーンコーティング、ドクターブレードまたはエアナイフコーティング、メイヤーバーコーティング、逆回転コーティング技術などの多くの好適な施与方法によって適用可能である。試薬層114は、一般的に、約50〜約100μmの間の厚さで湿潤組成物として基板ウェブ107に蒸着される。図5に示された実施の形態において、試薬層114が領域70(貴金属でよい)の導電性材料のみに接触することを保証し、層114の適用において製造公差を許容するために、領域70の一部120は、図示されるように試薬層114の下から延伸または突出しうる。試薬層が適用された後、一般的に米国特許出願公開第2005/0016844号明細書に記載されたようなロール加工技術によって、スペーサ層24および被覆層などの種々の他の層が組み立てられ、図1および2に示された完成品のバイオセンサを形成する。
【0040】
基材を必要に応じてより小さい製造準備の完了した基材に形成および切断すること、ならびに、バイオセンサ上の電気パターンの異なる領域の数、位置および材料組成の種々の変形が可能であることが容易に認識されるべきである。
【0041】
たとえば、図6は、実質的に並んで位置決めされ、互いに電気通信する2つのみの導電層602および604により形成可能な基材600の一実施の形態を示す。基材600は、2つのみの加工ステーションまたは経路によって、図3に関連して前述したように形成され、その後、前もって切断せずに、基板ウェブ107を形成する図4に関連して前述したものと同様に製造工程に直接提供可能である。すなわち、製造準備完了ロットの基材104,106に切断される図3の基材80とは対照的に、基材600は最初に製造準備完了基材として提供される。
【0042】
代替的に、図7は、たとえば図3の説明に関連して図示および説明した工程と同様の工程によってその上に形成された、3つの導電層702,704および706を有する基材700を示す。層702および706は同一の導電性材料から構成され、層704は破線708に沿って切断可能な異なる導電性材料から形成されて、2つの同一の製造準備完了ロットの基材を形成する。このような配置は、本質的に、単一工程において2つの層を形成可能にし(すなわち、層704は半分に分割され、異なる製造ラインにおいて最終的に2つの層となる)、一定の効率性をもたらす。
【0043】
図8は、反復層、すなわち「ストライプ」を有する多層の基材800を示す。層802,806および810は、同一の導電性材料から形成され実質的に同一の幅を有する。また、層804,808および812はすべて同一の導電性材料(層802,806および810とは異なる)から形成され、実質的に同一の幅を有する。したがって、3つのロットの製造準備完了基材は、それぞれ、線814および816に沿って2度切断することによって形成可能である。
【0044】
図9は、たとえば図3の説明に関連して示した工程と同様の工程によって、その上に形成された5つの導電層902,904,906,910および912を有する基材900を示す。層902および912は同一の導電性材料から構成され、層904および910は、層902および912とは異なる同一の導電性材料から構成される。層906は、第3の異なる導電性材料から形成される。基材900は破線914に沿って切断され、各々が実質的に並んで延びた3つの層またはストライプを有する、2つの同一のロットの製造準備完了基材が形成可能である。
【0045】
前述の教示から、反復層またはストライプの数および基材上でのこれらの構成(必要に応じて製造準備完了ロットに切断される前)は、製造効率と形成されるバイオセンサの電気パターンにおける領域の所望の数および種類との関数として所望のとおりに変更可能であることが容易に認識されるべきである。たとえば、前述の教示を使用した大規模な製造において有用な基材は、1.5m以上の幅で100以上の並んだ層またはストライプを含みうることが想定される。このストライプ状の基材をさらなる加工が施される複数の製造準備完了ロットに減少させるためには、明らかに多数の切断が行われる。
【0046】
図10Aを参照して、図9に関連して説明した基材の一部から形成された基板ウェブから形成されたバイオセンサ基板1000が示されている。基板1000は3つの領域1002,1004および1006を有し、該領域において電気パターンは異なる導電性材料からなる。しかしながら、3以上の電気パターン領域が設けられる実施の形態では、いくつかの領域が同一の導電性材料を有することが望ましい場合もあることを認識すべきである。たとえば、基板1000と同様に構成された基板を備えたバイオセンサにおいて、2つの端部の領域1002,1006を同一の材料から形成し、中間領域1004を異なる材料から形成することが望ましいことがある。3つの領域からなる電気パターンを有する基板1000については、事実上無限の種類の材料組成が採用可能であるが、一実施の形態において、金または白金などの貴金属から形成された領域1002、銅などの良導体から形成された領域1004、またITOなど(たとえば、完成したバイオセンサが計器に挿入される際の)傷に耐性のある強固な材料から形成された領域1006を含む。
【0047】
また、前述の電気パターンおよびこれらの形成は高度なものであるが、前述の教示はバイオセンサに採用される種々の電気パターンに対して有利に採用可能であることが理解されるべきである。たとえば、図10Bは、2つの領域1022および1024を有するバイオセンサ基板1020を示しており、該基板において電気パターンの導電トラック1026および1028は、異なる導電材料からなる。本実施の形態は、前述の教示を利用可能な電気パターンは相当単純でよく、この場合は2つの導電トラックのみを備える。基板1020は、破線1030で示された領域においてキャピラリー室を有する「側面充填」バイオセンサの一部を形成する。キャピラリー室および切り欠き1034のための通気口1032は、試料流体でチャンバを満たすことを補助するために設けられる。異なる導電性材料から形成された電気パターンの領域に加えて、このようなバイオセンサは先行技術において既知であり、この例は参照としてここに組み入れられる米国特許第6270637号明細書に見ることができる。
【0048】
図11は、前述の教示を採用可能なさらに別の単純な設計を示す。本実施の形態において、レーザスクライビングにより形成された、複数の基本的な電気パターンを備えた基板ウェブを形成するためのロール1108上の基材1106は、展開されて示されている。本実施の形態において、レーザ装置1110は、該装置1110が破線1114によって示された経路に沿って移動される際に光線1112を発射する。その際に、各々が、たとえば対極1116、作用電極1118およびトレース1120,1122を備えた複数の電気パターンが形成され、トレースは、電極の反対側に電気接点を備える。たとえば前述のように、個々のバイオセンサに組み立てられる別個の基板は、破線1124に沿って切断することにより形成可能である。レーザ装置1110の代わりに、当業者は、電気パターンを形成するために導電性材料を除去する、たとえばエッチング、導電性材料の機械的除去および他の多くの別の好適な手段を容易に認識する。
【0049】
また、当業者は、前述の教示を採用を容易に採用して、いわゆる「対向電極」を有するバイオセンサに見られるようなバイオセンサの複数層に電気パターンを形成することができる。たとえば、図12は、基板ウェブ1202の第1のロール1201を示しており、該ロールは、本記載の方法によって形成可能な、ある導電性材料の一連の作用電極1204と、異なる導電性材料のトレース1206とをその上に離間して有する。トレースの端部は、他の箇所において前述した、計器挿入のための電気接点を備える。同様に、第2の基板ウェブ1208はロール1209上に設けられ、その上にある導電性材料から形成された一連の対極1210と、異なる導電性材料のトレース1212とを離間して含む。電極1204および1210は同一または異なる材料から形成可能であり、トレース1206および1212もまた同様に可能である。
【0050】
図12に示された実施の形態において、電気絶縁材料の2つの中間層1218および1219は、それぞれロール1220および1221上に設けられる。ロール1220および1221は加工(展開)中に配置されるため、縁部1234および1236の間に定められた間隙1226が保持される。これらの中間層は製造されたバイオセンサにスペーサ層を形成し、また、バイオセンサに対してキャピラリー試料受領チャンバを定める。中間層1218は、形成された複数の長方形の切り欠き1228を含み、これは最終的に製造されたバイオセンサにおいて開口部1230を定めて、計器の電子機器による電気トレース1206および1212へのアクセスを可能にする。
【0051】
製造中、上下のウェブ1208および1202は、それぞれ、共に積層され、中間層1218および1219をその間に挟むことにより、前駆体、すなわち積層構造1222を形成する。前駆体1222は、下面に対極1210を有する材料1208から形成された上層と、材料1218および1219から形成された並んで離間する2つの中間層と、上側に形成された作用電極1204を有する材料1202から形成された下層とを含む。このような積層構造を形成するために使用されるロール加工技術の例は、米国特許出願公開第2005/0016844号明細書に見ることができ、この開示は前述のとおりに参照としてここに組み入れられている。
【0052】
前駆体1222は、層1218の切り欠き1228によって定められた一連の開口部1230を含む。トレース1206の端部、すなわち接触部分は、積層構造1222の開口部1230に見ることができる。縁部1234および1236は前駆体1222においてファントムで示されており、間隙1226は、長さに沿って離間されて互いに面する一連の作用電極1204および対極1210と共に四角形の通路1232を形成する。「対向電極」を有する完成品のバイオセンサは、破線1224に沿って切断することで形成される。このようにして形成された各々のバイオセンサは、先行技術において既知であるように、その両側に形成された試料受領開口部と、アクセス開口部1230とを有する。
【0053】
もちろん、一定の状況においては、1以上の導電性材料から一方の対向電極(または他の電気的特徴)のみを形成することが望ましいこともある。たとえば、図12の実施の形態において、対極1210およびトレース1212を同一の材料で形成することが望ましいこともある。通常、前述の教示が対向電極の配置において採用される場合、少なくとも一方の基板ウェブが、異なる導電性材料の少なくとも2つの領域を持つ電気パターンを有し、2つのウェブは、互いに面して配置された電気パターンおよび/または電気的特徴を有する積層体1222などの積層体に組み合わされる。
【0054】
前述の教示から、当業者は、前述の電気パターンおよびその形成が種々のバイオセンサ設計において採用可能であり、最も基本的な電気パターンを有するバイオセンサから複数の電気機能性をを供する高度なパターンを持つものまで、特に複数の基板上に電気パターンまたは電気的特徴を有するものにまでわたることが理解できる。さらに、前述の教示は、基材上に導電層を蒸着し、その後、電気パターンを形成するために導電層の部分を除去することに限定されない。
【0055】
代わりに、複数の領域を有する電気パターンは、電気パターンを完成させるために、基材から導電性材料のさらなる除去を必要とすることなく基板ウェブを形成するように基材に直接蒸着することが可能である。たとえば、「レーザ誘起前方転写法」(「LIFT」)などの技術において、パルスレーザ光線は、レーザ透過標的基板を通って導かれ、標的基板の反対側に被覆された材料のフィルムに達する。レーザはフィルムを気化し、また運動量の移動のために、材料は標的基板から除去され、標的基板に近接して配置された受領基板に蒸着される。このLIFT工程は明らかにきわめて迅速に生じるが、導電性材料を電気パターンまたはその一部の形状に形成することは、導電性材料の基板への転写が完了する前に少なくとも開始されることが理解できる。LIFTおよび同様の技術を実施するための種々の方法は、米国特許第6177151号明細書、米国特許第4752455号明細書、米国特許第5725706号明細書、米国特許第5292559号明細書、米国特許第5492861号明細書、米国特許第5725914号明細書、米国特許第5736464号明細書、米国特許第4970196号明細書および米国特許第5173441号明細書に開示されており、これらのすべての開示は参照としてここに組み入れられる。
【0056】
図13を参照して、それぞれ、異なる導電性材料1306および1308の2つのロール1302および1304が設けられる。前述で組み入れられた文献に記載されているように、各々のロールは、それぞれ、レーザ透過材料の上部可撓性層1310および1312を有し、これに導電性材料1306および1308が接着されるか、または被覆あるいは蒸着される。ロール加工に好適な可撓性レーザ透過層1310および1312は、たとえば、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリテトラフルオロエチレンから構成可能である。
【0057】
図13に示されるとおり、作用電極1320および対極1322を含む電気パターンの領域1328は、レーザ装置1325からマスク1326を通って広範囲レーザ光線1324を発射することによって形成され、これは、図示されるように、電気パターンの第1の領域1328の基材1330への蒸着をもたらす。一方で、同様の技術が、基材1330に沿った下流において、電気パターンの第2の領域1332を形成するために使用される。すなわち、広範囲レーザ光線1338はレーザ装置1340からマスク1341を通って発射され、これは、図示されるように、トレース1350および導体パッド1352を有する電気パターンの第2の領域1332の基材1330への蒸着をもたらす。このようにして、それぞれ巻き取りスプール1344,1346および1348を有するロール1302,1304および1342の展開および指標付けを調整することによって、複数の電気パターンが形成される。電気パターンをその上に有する基材1330の巻き取りスプール1348は、前述のように、さらなるロール加工および積層技術を通じてバイオセンサを製造するために、さらに加工可能な基板ウェブを備える。
【0058】
前述の通り、領域1328および1332に対して選択した特定の導電性材料に応じて、電気パターンの領域1332を蒸着する前に領域1328の上にシード層を蒸着する必要がありうる。このような部分的な電気パターン状のシード層は、領域1328および1332を蒸着するために使用されたものと同一のLIFT技術によって蒸着可能である。図3〜9を参照して説明した層の手法と同様に、領域1328および1332を離間して形成することも可能であり、部分的なパターン状の接続層をその間に蒸着することができる。たとえば、パターンが最も複雑でない場所に電気パターンの領域間に移行部を形成することが望ましく、このことは、指標付けにおいてより大きな公差を許容し、充分に整列するように部分的なパターンを蒸着しなければならない正確な場所において柔軟性を許容する。
【0059】
いくつかのレーザ直接書込転写技術においては、材料をレーザ透過基板から転写するが、これは必要でない。たとえば、クックに付与された米国特許第4895735号明細書(「‘735号特許」)は、導電性材料が基板上部に保持され、レーザを使用して導電性材料をパターンに蒸着する技術を開示する。前述で説明した技術とは異なり、導電性材料は、導電層が接着されるレーザ透過基板を使用せずに直接蒸着される。このような教示は、図14に関連して示す工程などに組み入れて使用可能である。
【0060】
図14に示されるように、異なる導電材料1406および1408の2つの層またはフィルムは、ロール1442に設けられた基材1430の真上に配置される。層1406および1408の移動を最小限にするために、これらは、‘735号特許に記載されているように、基材1430の上に固定または配置できる。図示されるように、作用電極1420および対極1422を含む電気パターンの領域1428は、広範囲レーザ光線1424をレーザ装置1425からマスク1426を通って発射することにより形成され、これは、図示されるように、電気パターンの第1の領域1428の基材1430への蒸着をもたらす。
【0061】
一方で、電気パターンの一部を基材に直接蒸着する同様の技術が、基材1430に沿った下流において、電気パターンの第2の領域1432を形成するために使用される。すなわち、広範囲レーザ光線1438はレーザ装置1440からマスク1441を通って発射され、これは、図示されるように、トレース1450および導体パッド1452を有する電気パターンの第2の領域1432の基材1430への蒸着をもたらす。このようにして、所望のとおりに、基材、フィルムおよび/またはレーザ装置の展開および移動を調整することによって、複数の電気パターンが形成される。電気パターンをその上に有する基材1430の巻き取りスプール1448は、前述のように、さらなるロール加工および積層技術を通じてバイオセンサを製造するために、さらに加工可能な基板ウェブを備える。
【0062】
図13および14に関して先程説明した電気パターンの基材への直接的な蒸着に加えて、広範囲レーザパルスを使用して材料の全部分または層を蒸着し、たとえば図3および6に図示されたような層を有する基材を製造することが可能である。その後、前述のレーザアブレーションまたは他の技術を使用して導電性材料の一部を除去し、各々が複数の領域を有する複数の電気パターンを有する基板ウェブを形成可能である。当業者は、このような技術を採用する他の変形例を容易に認識するだろう。
【0063】
たとえば、広範囲の導電層または完全に定義された電気的特徴としてなど、各々の導電性材料の層が基材に最終的に蒸着される方法に関わらず、本開示から、本発明の例示的実施の形態において、第1の領域は一般的に1以上の電気的に絶縁された電極からなり、第2の領域は一般的に導体パッドなどの1以上の電気的に絶縁された接触領域からなり、電極領域および接触領域は電気的に接続され、それぞれ、第1および第2の異なる導電性材料からなる。前述のとおり、電極領域は、LIFT技術または第1の導電性材料を基材に蒸着し、少なくとも一部を除去して電極領域に対して所望の電気的特徴を定めることにより形成可能である。同様に、接触領域は、LIFT技術または第2の導電性材料を基材に蒸着し、少なくとも一部を除去して接触領域に対して所望の電気的特徴を定めることにより形成可能である。また前述のとおり、電極領域と接触領域との間の移行部は、一般的に、これらの領域を接続するトレースに配置される。この場合、各々のトレースは、電極領域に接続された第1の導電性材料から形成された第1の部分と、接触領域に接続された第2の導電性材料から形成された第2の部分とを有する。
【0064】
以上に本発明の原理を組み入れた例示的実施の形態を開示したが、本発明は開示された実施の形態に限定されるものでない。むしろ、本適用は、この一般的原理を使用した本発明のあらゆる変形、用途または適合に及ぶことが意図される。さらに、本適用は、本発明が関連する技術において既知または慣行の範囲内にあって、また添付の請求項の限定の範囲内において、本開示から逸脱するものにも及ぶことが意図されている。
【0065】
次は本発明の好ましい実施の形態のリストである。
【0066】
1.電気化学バイオセンサにおいて使用される電気パターンをその上(基板上)に有する基板の製造方法であって、該方法が、
第1の導電性材料の第1の層を有する基材を提供する工程であって、該第1の層が、第2の導電性材料の第2の層と実質的に並んで位置決めされて電気的に接触する工程と、
電気パターンを基材上に形成するために第1の層および第2の層の少なくとも一部を除去する工程であって、該電気パターンが第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電極からなる工程を含む方法。
【0067】
2.第1および第2の層の両方から電気パターンを形成するために、レーザ装置によって基材上に電気パターンのイメージを投射することにより第1の層および第2の層の一部を切除する除去工程を含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0068】
3.複数の電気パターンをその上(基板ウェブ上)に有する基板ウェブを形成するために、基材に沿って離間した間隔において、複数回除去工程を反復する工程をさらに含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0069】
4.さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電極の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基板ウェブ上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板ウェブとを切断する工程とを含む好ましい実施の形態3記載の方法。
【0070】
5.前記除去工程が、第1の導電性材料から作用電極および対極を形成する工程と、第2の導電性材料から導体パッドを形成する工程とを含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0071】
6.貴金属から形成された第1の層と、貴金属よりも実質的に強固な導電性材料から形成された第2の層とを有する基材を提供する提供工程を含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0072】
7.前記貴金属が、金、銀、パラジウムおよび白金からなる群から選択される好ましい実施の形態6記載の方法。
【0073】
8.前記第2の導電性材料が、アルミニウム、炭素、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀、ニッケル、ニオブ、オスミウム、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、酸化インジウムスズおよびこれらの混合物からなる群から選択される好ましい実施の形態6記載の方法。
【0074】
9.前記提供工程が、第1および第2の層を有する基材を部分的に重なる配置で提供する工程を含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0075】
10.前記提供工程の前に、導電性材料の第1および第2の層を基材の一部に沿って実質的に並べて蒸着する工程をさらに含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0076】
11.前記提供工程の前に、導電性材料の第3および第4の層を基材の第2の部分に沿って実質的に並べて蒸着する工程であって、該第3の層が第2の導電層に隣接する工程と、
第2および第3の層の間にて基材を切断する工程とをさらに含む好ましい実施の形態10記載の方法。
【0077】
12.蒸着工程が、スパッタリング、物理気相成長法、プラズマ化学気相蒸着法、化学蒸着法、電子ビーム物理蒸着法、有機金属気相成長法およびレーザ誘起前方転写法のうちの1以上を含む好ましい実施の形態10記載の方法。
【0078】
13.その上(基材上)に形成された第2の電気パターンを有する第2の基材を提供する工程と、第1の基材と第2の基材とを、第1の電気パターンが第2の電気パターンに面する積層体に組み合わせる工程とをさらに含む好ましい実施の形態1記載の方法。
【0079】
14.電気化学バイオセンサにおいて使用される複数の電気パターンからなる基板ウェブの製造方法であって、該方法が、
電気的に絶縁された基材を提供する工程と、
第1および第2の異なる導電性材料を、互いに対して実質的に並べて基材の一部に蒸着する工程と、
複数の電気パターンを基材の一部に形成する工程であって、各々の電気パターンが、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電気的特徴からなる工程を含む方法。
【0080】
15.前記蒸着工程が、第1の導電性材料の第1の層を基材の一部に蒸着する工程と、第2の導電性材料の第2の層を基材の一部において、第1の層に実質的に並べて電気的に接触するように蒸着する工程を含み、さらに、電気パターンを形成する工程が、蒸着工程後に、第1および第2の層の一部を除去する工程を含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0081】
16.前記除去工程が、第1の導電性材料から作用電極および対極を形成する工程と、第2の導電性材料から導体パッドを形成する工程とを含む好ましい実施の形態15記載の方法。
【0082】
17.前記蒸着工程が、第1の導電性材料として貴金属を蒸着する工程と、第2の導電性材料として貴金属よりも実質的に強固な材料を蒸着する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0083】
18.前記貴金属が、金、銀、パラジウムおよび白金からなる群から選択される好ましい実施の形態17記載の方法。
【0084】
19.前記第2の導電性材料が、アルミニウム、炭素、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀、ニッケル、ニオブ、オスミウム、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、酸化インジウムスズおよびこれらの混合物からなる群から選択される好ましい実施の形態17記載の方法。
【0085】
20.蒸着工程の完了前に、少なくとも1つの第1および第2の導電性材料が、電気パターンの一部の形状を実質的に含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0086】
21.前記蒸着工程が、レーザ誘起前方転写を含む好ましい実施の形態20記載の方法。
【0087】
22.さらに、第3および第4の異なる導電性材料を基材の第2の部分に沿って実質的に並べて蒸着する工程と、第2の部分からその部分を分離するために基材を切断する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0088】
23.複数の第2の電気パターンを基材の第2の部分に形成する工程と、
第1および第2の導電性材料を有する基材の一部を第1組のバイオセンサに組み込む工程と、
第3および第4の導電性材料を有する基材の第2の部分を第2組のバイオセンサに組み込む工程とをさらに含む好ましい実施の形態22記載の方法。
【0089】
24.第1および第2の導電性材料が、それぞれ第3および第4の導電性材料と同一であり、第1および第2組のバイオセンサが同一である好ましい実施の形態23記載の方法。
【0090】
25.さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電気的特徴の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基材上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板とを切断する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0091】
26.さらに、その上(基材上)に形成された複数の第2の電気パターンを有する第2の基材を提供する工程と、
第1の基材および第2の基材を積層体に組み合わせる工程であって、複数の電気パターンの各々の電気パターンが、複数の第2の電気パターンのそれぞれの第2の電気パターンに面する工程とを含む好ましい実施の形態14記載の方法。
【0092】
27.流体試料中の検体の有無または濃度を測定するためのバイオセンサであって、
電気パターンをその上(基板上)に有する基板であって、該電気パターンが、作用電極、対極、導体パッドおよび該作用電極と対極とをその各々の導体パッドに電気的に接続するトレースからなる基板と、
前記基板に重なり、該基板と協働して試料受領チャンバを定める1以上のスペーサ層および被覆層とを備え、
前記バイオセンサが、電気パターンが第1の導電性材料から形成される第1の領域と、電極パターンが第2の導電性材料から形成される第2の領域とを有し、少なくとも1つのトレースが第2の領域に配置された第2の部分と電気的に接続された第1の領域に配置された第1の部分を含み、第1および第2の部分が、それぞれ、第1および第2の導電性材料からなるバイオセンサ。
【0093】
28.前記第1の部分と第2の部分とが部分的に重なる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0094】
29.前記第1の導電性材料が、貴金属からなる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0095】
30.前記貴金属が、金である好ましい実施の形態29記載のバイオセンサ。
【0096】
31.前記第2の導電性材料が、貴金属より実質的に強固な材料からなる好ましい実施の形態29記載のバイオセンサ。
【0097】
32.前記第2の導電性材料が、銅または酸化インジウムスズである好ましい実施の形態31記載のバイオセンサ。
【0098】
33.前記電極が第1の領域に配置され、導体パッドが第2の領域に配置される好ましい実施の形態31記載のバイオセンサ。
【0099】
34.前記電極が第1の領域に配置され、試薬層が電極の少なくとも一部に重なる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0100】
35.前記試薬層が、第1の領域と第2の領域との間のインタフェースにて実質的に終結する好ましい実施の形態34記載のバイオセンサ。
【0101】
36.前記電気パターンの第1の領域の一部が、第1の領域と第2の領域との間の移行部に向かう方向において、試薬層を越えて延びている好ましい実施の形態34記載のバイオセンサ。
【0102】
37.前記電気パターンの第1の領域が貴金属から形成される好ましい実施の形態34記載のバイオセンサ。
【0103】
38.前記少なくとも1つのトレースが、4つのトレースからなる好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0104】
39.幅より大きい長さを有する実質的に薄く平坦なバイオセンサ本体と、投与端と、計器挿入端とをさらに備え、該投与端は第1の領域に配置され、計器挿入端は第2の領域に配置される好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0105】
40.前記電気パターンが、第3の導電性材料から形成される第3の領域をさらに備えた好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0106】
41.前記第1、第2および第3の領域が、バイオセンサの長さ方向に沿って並んで位置決めされる好ましい実施の形態40記載のバイオセンサ。
【0107】
42.その上(基板上)に形成された少なくとも1つの電気的特徴を有する第2の基板をさらに備え、該電気的特徴が電気パターンに面する好ましい実施の形態27記載のバイオセンサ。
【0108】
43.電気化学バイオセンサにおいて使用される、その上(基板上)に電気パターンを有する基板の製造方法であって、
電気的に絶縁された基材を提供する工程と、
該基材に電極領域を形成する工程であって、該電極領域が、第1の導電性材料から形成された少なくとも一対の電気的に絶縁された電極からなる工程と、
基材上に電極領域に隣接した接触領域を形成する工程であって、該接触領域が、第2の導電性材料から形成された、少なくとも第1および第2の電気的に絶縁された接触領域からなる工程と、
第1および第2の電気的に絶縁されたトレースを基材に形成する工程であって、各々のトレースが第1の部分と第2の部分とを有し、第1の部分が第1の導電性材料から形成されて電極領域に電気的に接続され、第2の部分が第2の導電性材料から形成され接触領域と電気的に接続される工程と、
第1および第2の接触領域が、各々、対応するトレースと通じて一対の電極のうちの対応するものと電気的に接触し、さらに、電極領域、トレースおよび接触領域が協働してバイオセンサのための電気パターンを定める方法。
【0109】
44.第1の導電性材料から形成された第2の層を基材に提供する工程であって、該第1の層が第2の導電性材料から形成された第2の層と電気的に接触され、実質的に並べて位置決めされる工程と、
電気パターンを基材上に形成するために、第1の層および第2の層の少なくとも一部を除去する工程とをさらに含む好ましい実施の形態43記載の方法。
【0110】
45.前記除去工程が、第1および第2の層の両方に電気パターンを形成するために、レーザ装置によって基材上に電気パターンのイメージを投射することにより第1の層および第2の層の一部を切除する工程を含む好ましい実施の形態44記載の方法。
【0111】
46.複数の電気パターンをその上(基板ウェブ上)に有する基板ウェブを形成するために、基材に沿って離間した間隔において、複数回除去工程を反復する工程をさらに含む好ましい実施の形態45記載の方法。
【0112】
47.さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電極の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基板上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板とを切断する工程とを含む好ましい実施の形態46記載の方法。
【0113】
48.前記提供工程が、第1および第2の層を有する基材を部分的に重なる配置で提供する工程を含む好ましい実施の形態44記載の方法。
【0114】
49.基材を提供する前に、第1および第2の層の導電性材料を、基材の一部に沿って実質的に並べて配置する工程を含む好ましい実施の形態44記載の方法。
【0115】
50.前記蒸着工程が、スパッタリング、物理気相成長法、プラズマ化学気相蒸着法、化学蒸着法、電子ビーム物理蒸着法、有機金属気相成長法およびレーザ誘起前方転写法のうちの1以上を含む好ましい実施の形態49記載の方法。
【0116】
51.前記第1の導電性材料が貴金属からなり、第2の導電性材料が貴金属より実質的に強固な材料からなる好ましい実施の形態43記載の方法。
【0117】
52.前記貴金属が、金、銀、パラジウムおよび白金からなる群から選択される好ましい実施の形態51記載の方法。
【0118】
53.前記第2の導電性材料が、アルミニウム、炭素、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀、ニッケル、ニオブ、オスミウム、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、酸化インジウムスズおよびこれらの混合物からなる群から選択される好ましい実施の形態51記載の方法。
【0119】
54.その上(基材上)に形成された第2の電気パターンを有する第2の基材を提供し、第1の基材と第2の基材とを、第1の電気パターンが第2の電気パターンに面する積層体に組み合わせる工程とをさらに含む好ましい実施の形態43記載の方法。
【0120】
55.前記電極領域、接触領域またはトレースの少なくとも一部がレーザ直接転写により形成される好ましい実施の形態43記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学バイオセンサにおいて使用される電気パターンを有する基板の製造方法であって、該基板上に該電気パターンを有し、該方法が、
第1の導電性材料の第1の層を有する基材を提供する工程であって、該第1の層が、第2の導電性材料の第2の層と実質的に並んで位置決めされて電気的に接触する工程と、
電気パターンを基材上に形成するために第1の層および第2の層の少なくとも一部を除去する工程であって、該電気パターンが第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電気的特徴からなる工程を含む方法。
【請求項2】
第1および第2の層の両方から電気パターンを形成するために、レーザ装置によって基材上に電気パターンのイメージを投射することにより第1の層および第2の層の一部を切除する除去工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の電気パターンを有する基板ウェブであって、該基板ウェブ上に電気パターンを有する基板ウェブを形成するために、基材に沿って離間した間隔において、複数回除去工程を反復する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電極の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基板ウェブ上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板ウェブとを切断する工程とを含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記除去工程が、第1の導電性材料から作用電極および対極を形成する工程と、第2の導電性材料から導体パッドを形成する工程とを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
貴金属から形成された第1の層と、貴金属よりも実質的に強固な導電性材料から形成された第2の層とを有する基材を提供する提供工程を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記提供工程が、第1および第2の層を有する基材を部分的に重なる配置で提供する工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記提供工程の前に、導電性材料の第1および第2の層を基材の一部に沿って実質的に並べて蒸着する工程をさらに含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記提供工程の前に、導電性材料の第3および第4の層を基材の第2の部分に沿って実質的に並べて蒸着する工程であって、該第3の層が第2の導電層に隣接する工程と、
第2および第3の層の間にて基材を切断する工程とをさらに含む請求項7記載の方法。
【請求項10】
第2の電気パターンを有する第2の基材を提供する工程であって該第2の基板上に第2の電気パターンが形成されてなる工程と、第1の基材と第2の基材とを、第1の電気パターンが第2の電気パターンに面する積層体に組み合わせる工程とをさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数の第2の電気パターンを基材の第2の部分に形成する工程と、
第1および第2の導電性材料を有する基材の一部を第1組のバイオセンサに組み込む工程と、
第3および第4の導電性材料を有する基材の第2の部分を第2組のバイオセンサに組み込む工程とをさらに含む請求項9記載の方法。
【請求項12】
電気化学バイオセンサにおいて使用される複数の電気パターンからなる基板ウェブの製造方法であって、該方法が、
電気的に絶縁された基材を提供する工程と、
第1および第2の異なる導電性材料を、互いに対して実質的に並べて基材の一部に蒸着する工程と、
複数の電気パターンを基材の一部に形成する工程であって、各々の電気パターンが、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電気的特徴からなる工程を含む方法。
【請求項13】
第1の導電性材料の第1の層を基材の一部に蒸着する蒸着工程と、第2の導電性材料の第2の層を基材の一部において、第1の層に実質的に並べて電気的に接触するように蒸着する工程を含み、さらに、電気パターンを形成する工程が、蒸着工程後に、第1および第2の層の一部を除去する工程を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
蒸着工程の完了前に、少なくとも1つの第1および第2の導電性材料が、電気パターンの一部の形状を実質的に含む請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記蒸着工程が、レーザ誘起前方転写を含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
流体試料中の検体の有無または濃度を測定するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法によって製造されたバイオセンサであって、
電気パターンを有する基板であって、該基板上に電気パターンを有し、該電気パターンが、作用電極、対極、導体パッドおよび該作用電極と対極とをその各々の導体パッドに電気的に接続するトレースからなる基板と、
前記基板に重なり、該基板と協働して試料受領チャンバを定める1以上のスペーサ層および被覆層とを備え、
前記バイオセンサが、電気パターンが第1の導電性材料から形成される第1の領域と、電極パターンが第2の導電性材料から形成される第2の領域とを有し、少なくとも1つのトレースが第2の領域に配置された第2の部分と電気的に接続された第1の領域に配置された第1の部分を含み、第1および第2の部分が、それぞれ、第1および第2の導電性材料からなるバイオセンサ。
【請求項1】
電気化学バイオセンサにおいて使用される電気パターンを有する基板の製造方法であって、該基板上に該電気パターンを有し、該方法が、
第1の導電性材料の第1の層を有する基材を提供する工程であって、該第1の層が、第2の導電性材料の第2の層と実質的に並んで位置決めされて電気的に接触する工程と、
電気パターンを基材上に形成するために第1の層および第2の層の少なくとも一部を除去する工程であって、該電気パターンが第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電気的特徴からなる工程を含む方法。
【請求項2】
第1および第2の層の両方から電気パターンを形成するために、レーザ装置によって基材上に電気パターンのイメージを投射することにより第1の層および第2の層の一部を切除する除去工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の電気パターンを有する基板ウェブであって、該基板ウェブ上に電気パターンを有する基板ウェブを形成するために、基材に沿って離間した間隔において、複数回除去工程を反復する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記複数の電気パターンの各々の電気パターンの少なくとも1つの電極の少なくとも一部にわたって基板ウェブ上に試薬層を蒸着する工程と、
基板ウェブ上に少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層を積層する工程であって、これにより形成される個々のバイオセンサにカバーおよび試料受領チャンバを形成する工程と、
複数のバイオセンサを形成するために、少なくとも1つの被覆層またはスペーサ層と基板ウェブとを切断する工程とを含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記除去工程が、第1の導電性材料から作用電極および対極を形成する工程と、第2の導電性材料から導体パッドを形成する工程とを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
貴金属から形成された第1の層と、貴金属よりも実質的に強固な導電性材料から形成された第2の層とを有する基材を提供する提供工程を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記提供工程が、第1および第2の層を有する基材を部分的に重なる配置で提供する工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記提供工程の前に、導電性材料の第1および第2の層を基材の一部に沿って実質的に並べて蒸着する工程をさらに含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記提供工程の前に、導電性材料の第3および第4の層を基材の第2の部分に沿って実質的に並べて蒸着する工程であって、該第3の層が第2の導電層に隣接する工程と、
第2および第3の層の間にて基材を切断する工程とをさらに含む請求項7記載の方法。
【請求項10】
第2の電気パターンを有する第2の基材を提供する工程であって該第2の基板上に第2の電気パターンが形成されてなる工程と、第1の基材と第2の基材とを、第1の電気パターンが第2の電気パターンに面する積層体に組み合わせる工程とをさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数の第2の電気パターンを基材の第2の部分に形成する工程と、
第1および第2の導電性材料を有する基材の一部を第1組のバイオセンサに組み込む工程と、
第3および第4の導電性材料を有する基材の第2の部分を第2組のバイオセンサに組み込む工程とをさらに含む請求項9記載の方法。
【請求項12】
電気化学バイオセンサにおいて使用される複数の電気パターンからなる基板ウェブの製造方法であって、該方法が、
電気的に絶縁された基材を提供する工程と、
第1および第2の異なる導電性材料を、互いに対して実質的に並べて基材の一部に蒸着する工程と、
複数の電気パターンを基材の一部に形成する工程であって、各々の電気パターンが、第2の導電性材料から形成された第2の領域に電気的に接続された第1の導電性材料から形成された第1の領域を含み、電気パターンの第1の領域が少なくとも1つの電気的特徴からなる工程を含む方法。
【請求項13】
第1の導電性材料の第1の層を基材の一部に蒸着する蒸着工程と、第2の導電性材料の第2の層を基材の一部において、第1の層に実質的に並べて電気的に接触するように蒸着する工程を含み、さらに、電気パターンを形成する工程が、蒸着工程後に、第1および第2の層の一部を除去する工程を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
蒸着工程の完了前に、少なくとも1つの第1および第2の導電性材料が、電気パターンの一部の形状を実質的に含む請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記蒸着工程が、レーザ誘起前方転写を含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
流体試料中の検体の有無または濃度を測定するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法によって製造されたバイオセンサであって、
電気パターンを有する基板であって、該基板上に電気パターンを有し、該電気パターンが、作用電極、対極、導体パッドおよび該作用電極と対極とをその各々の導体パッドに電気的に接続するトレースからなる基板と、
前記基板に重なり、該基板と協働して試料受領チャンバを定める1以上のスペーサ層および被覆層とを備え、
前記バイオセンサが、電気パターンが第1の導電性材料から形成される第1の領域と、電極パターンが第2の導電性材料から形成される第2の領域とを有し、少なくとも1つのトレースが第2の領域に配置された第2の部分と電気的に接続された第1の領域に配置された第1の部分を含み、第1および第2の部分が、それぞれ、第1および第2の導電性材料からなるバイオセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−501169(P2011−501169A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530358(P2010−530358)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009143
【国際公開番号】WO2009/056299
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009143
【国際公開番号】WO2009/056299
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
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