説明

バイオディーゼル燃料生成装置

【課題】バイオディーゼル燃料を生成する装置において、ナトリウムメトキシド含有メタノールを安全に投入でき、低コストで、簡易な構造を提供することを課題とする。
【解決手段】油脂と反応液とを混合し、バイオディーゼル燃料を生成する撹拌反応槽10と、開閉弁22を途中に有する排出パイプが下部に設けられた、前記反応液を貯める反応液投入容器20とを有するバイオディーゼル燃料生成装置において、前記撹拌反応槽10の上部に、前記反応液投入容器10を着脱可能に保持する保持部13を設けるとともに、前記撹拌反応槽10表面に前記排出パイプの排出口と前記撹拌反応槽10内部とを連結させる連結口を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油脂からバイオディーゼル燃料を生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の拡大により、植物油などの廃油を燃料に再利用することが行われ始めている。このうち、植物油からエステル交換によってグリセリンを取り除いた、バイオディーゼル燃料は、軽油に近くディーゼルエンジンに好適な燃料である。
バイオディーゼル燃料を生成する装置は、撹拌混合槽に投入された廃油等の油脂とナトリウムメトキシドを含有するメタノールとを撹拌しながら反応させて、エステル交換によりグリセリンとメチルエステルとを分離し、得られるメチルエステルを精製して燃料として抽出するものである。
このようなバイオディーゼル燃料を生成する装置において、ナトリウムメトキシド含有メタノールの混合攪拌層への投入する方法として、簡易なものでは、作業者がナトリウムメトキシドを含有するメタノール溶液をポリバケツやステンレス容器で生成した後、このまま、容器を持ち上げて撹拌混合容器に生成した溶液を投入していた。
また、より自動化が進んだものでは、ナトリウムメトキシド含有メタノールを溜めたタンクを混合攪拌層に併設するように内蔵したり、また、離れた場所に設置したりして、ポンプによりナトリウムメトキシド含有メタノールを混合攪拌層に投入する方法が採られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナトリウムメトキシドは強塩基であり、人体にとってきわめて有害な物質であるため、作業者が直接ポリバケツ等を用いて、混合攪拌容器に投入する方法は、投入時に作業者がナトリウムメトキシドを浴びたり、発散ガスを吸引するなどの作業者への暴露の危険や、ナトリウムメトキシド溶液が外部に漏れたりする危険がある。
一方、自動的に混合する構造を有するものは、このような問題は生じないが、ポンプなどの装置が必要でコストが上がり、また、メンテナンスが容易でないという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みて、バイオディーゼル燃料を生成する装置において、ナトリウムメトキシド含有メタノールを安全に投入でき、低コストで、簡易な構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、油脂と反応液とを混合し、バイオディーゼル燃料を生成する撹拌反応槽と、開閉弁を途中に有する排出パイプが下部に設けられた、前記反応液を貯める反応液投入容器とを有するバイオディーゼル燃料生成装置であり、前記撹拌反応槽の上部に、前記反応液投入容器を着脱可能に保持する保持部が設けられるとともに、前記撹拌反応槽表面に前記排出パイプの排出口と前記撹拌反応槽内部とを連結させる連結口が設けられたものである。
請求項2に記載の発明は、前記バイオディーゼル燃料生成装置において、前記撹拌反応槽の動作を制御する制御装置を内蔵する制御ボックスが設けられるとともに、前記撹拌反応槽は、棒体からなるフレームにより、外表面が表出するように支持され、当該制御ボックスは前記フレームに着脱可能に形成されるものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、開閉弁を開けることで反応液を投入することができるので、液漏れや反応液への暴露を防止できる。また、反応液投入容器から重力により溶液を攪拌反応層に投入するので、ポンプなどの高コストかつ複雑な構造部分を排除でき、また、反応液投入容器が取り外せるので、洗浄等のメンテナンスも簡易に行うことができる。
請求項2に記載の発明は、制御ボックスを分離可能とすることで、制御ボックスを装置に固定したり、取り外して壁面などに固定したり等、レイアウトの自由度を高めることができる。また、フレームを棒体により形成し、攪拌反応層の外表面を表出させることで、攪拌反応槽の外表面にラバーヒーターや断熱材、フィルターハウジング等の追加装着が比較的容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施形態に係るバイオディーゼル燃料生成装置の正面図である。
【図2】実施形態に係るバイオディーゼル燃料生成装置の正面図である。
【図3】実施形態に係るバイオディーゼル燃料生成装置の正面図である。
【図4】実施形態に係るバイオディーゼル燃料生成装置の反応液投入容器を分離した状態を示す正面図である。
【図5】制御ボックスを分離して壁面に固定した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に本実施形態に係るバイオディーゼル燃料生成装置Xの正面図を示し、図2にバイオディーゼル燃料生成装置Xの側面面図を示し、図3にバイオディーゼル燃料生成装置X
の平面図を示す。バイオディーゼル燃料生成装置Xは、混合攪拌槽10、反応液投入容器20、フレーム30、制御ボックス40とから構成される。
混合攪拌槽10は、下端に開閉弁が設けられ、上面が封止されたホッパー状の槽体本体11、槽体内に設けられる図示しない攪拌羽根と当該攪拌羽根の回動軸を回転させる槽体本体11の上部に設けられるモーターとからなる攪拌装置12と、槽体本体11の上部に設けられる反応液投入容器20を載置し保持する保持台13とから構成される。保持台13は、4本の棒体からなる脚部と、脚部の上部に固定される扁平な皿状体であって後述する反応液投入容器20の容器本体の底面に係合する枠が外周に設けられた台座部とから構成される。また、混合攪拌槽10の上面には、蓋により開閉可能な油脂を投入する油脂投入口と、反応液を投入する後述する移送パイプの先端が係合する連結口が設けられている。
【0008】
反応液投入容器20は、有底の円筒体の容器に開閉可能な蓋体が設けられた容器本体21、容器の底面近傍の側面に設けられる容器内部から外部に連通する排出パイプを構成するL字管の先端に設けられる開閉弁22、開閉弁22の開口から延びるパイプであり、先端が前記反応液投入口に係合する排出パイプを構成する移送パイプ23とから構成される。反応液投入容器20は、混合攪拌槽10の保持台13に係合して載置されているものであり、図4の正面図に示すように容易に取り外すことができるようになっている。
フレーム30は、棒材を4本の垂直に配置された脚部にリング状の補強部材を組んで溶接固定したものであり、これに攪拌反応槽10が取り付けられている。
制御ボックス40は、混合攪拌槽10の攪拌装置12の動作時間等など、各種動作を制御するため制御装置や電源ボックスなどが内蔵された箱体であり、フレーム30の側面にボルトにより着脱可能に固定されている。
【0009】
次に、以上のような構成を有するバイオディーゼル燃料生成装置Xの使用方法について説明する。使用者は、まず、反応液投入容器20を保持台13から取外して、作業台などに置き、開閉弁22を閉じた状態で蓋を空けて、容器内に反応液となるナトリウムメトキシド含有メタノールを入れる。反応液は、容器内で生成してもよく、また、別の場所で生成したものを入れてもよい。その後、容器に蓋を固定して、これを保持台13に係合させて載置し、さらに、移送パイプ23の先端を槽体本体11の連結口に係合させる。また、混合攪拌槽10の槽体本体11には、油脂投入口より廃油などの油脂を投入しておく。この状態で、制御ボックスを操作し、攪拌装置の作動させ、反応液投入容器20の開閉弁22を開ける。反応液投入容器20は槽体本体11よりも高い位置に載置されているので、開放弁22を開けると、自動的に移動パイプ23を通って反応液が槽体本体11内へと投入される。この状態で、一定時間経過すると、グリセリンとメチルエステルとが分離するので、この中からグリセリンを抜き取り、粗メチルエステルを精製することでバイオディーゼル燃料を得ることができる。
【0010】
本実施形態に係るバイオディーゼル燃料生成装置Xは、反応液投入容器20が、攪拌反応槽10と分離して取り外すことができるので、危険な反応液を作業台など安全な場所で容器内に入れることができ、また、これを安全に攪拌反応層10の保持台13に載置することができる。さらに、反応液投入容器20から攪拌反応層10への反応液の投入は重力により行われるので、ポンプなどの高価かつ複雑な構成を必要とせず、コスト低減とメンテナンスの簡易化を図ることができる。さらに、攪拌反応槽10を骨組みだけのフレーム30により支持することで槽体本体11の外表面が外部に表出するので、必要に応じて容易に槽体本体11の外表面にラバーヒーターや断熱材を取り付けることができる。さらに、制御ボックス40もフレーム30に着脱可能に固定されているので、必要に応じて、例えば、図5の平面図に示すように制御ボックス40をフレーム30から取り外して壁面に固定するなど、レイアウトの自由度が高い。
【0011】
なお、上記実施形態では、開閉弁22を手動のものにしているが、電磁弁を用いてもよい。この場合、制御ボックス40内の制御装置に連結して電磁弁の動作も制御できるようにすることができる。さらに、槽体本体11の外表面にラバーヒーターを取り付ける場合にも、制御ボックス40内の制御装置によりラバーヒーターの動作を制御するようにできる。
また、反応液投入容器20に移送パイプ23を固定しているが、移送パイプ23は開閉弁22の直後で分離可能として槽体本体11に固定するような構成でもよい。この場合、移送パイプ23の基端開口が連結口となる。さらには、開閉弁22の位置と反応液投入容器20の載置位置を適宜調節することにより移送パイプを省略することもできる。
【符号の説明】
【0012】
X バイオディーゼル燃料生成装置
10 攪拌反応槽
11 槽体本体
12 攪拌装置
13 保持台
20 反応液投入容器
21 容器本体
22 開閉弁
23 移動パイプ
30 フレーム
40 制御ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂と反応液とを混合し、バイオディーゼル燃料を生成する撹拌反応槽と、
開閉弁を途中に有する排出パイプが下部に設けられた、前記反応液を貯める反応液投入容器とを有するバイオディーゼル燃料生成装置であって、
前記撹拌反応槽の上部に、前記反応液投入容器を着脱可能に保持する保持部が設けられるとともに、前記撹拌反応槽表面に前記排出パイプの排出口と前記撹拌反応槽内部とを連結させる連結口が設けられた
バイオディーゼル燃料生成装置。
【請求項2】
前記バイオディーゼル燃料生成装置には、前記撹拌反応槽の動作を制御する制御装置を内蔵する制御ボックスが設けられるものであって、 前記撹拌反応槽は、棒体からなるフレームにより、外表面が表出するように支持され、当該制御ボックスは前記フレームに着脱可能に形成されるものである請求項1に記載のバイオディーゼル燃料生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−184951(P2010−184951A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28010(P2009−28010)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(509040662)有限会社オー・エフ・シー (2)
【Fターム(参考)】