説明

バイオバーデン表示器付き呼吸器

【課題】ユーザーが呼吸器の中の微生物の存在を迅速且つ効果的に評価することを可能とするバイオバーデン表示器を実現する。
【解決手段】分析対象の空気を浸入させる入力弁(5)と、バイオバーデン分析素子(6)と、分析対象の空気を吸引する吸引システムに接続できるようにした吸引弁(7)とを備える、バイオバーデン表示器(2)から成る呼吸器(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオバーデン表示器付き呼吸器に関する。
【0002】
現在、麻酔科および集中治療室(ICU:Intensive Care Units)で機械換気用に用いられているような呼吸器については、ユーザーは呼吸器自体の中の微生物の存在を迅速且つ効果的に評価することはできない。そのために、明らかに、患者は感染のリスクに晒されており、そういった感染の結果は必ずしも予見できるものではない。
【0003】
上記の問題を正確に評価するために覚えておかねばならないのは、そのような呼吸器が使用される環境が病院あるいはそれに類似した環境、すなわち感染のリスクが高い場所であるということである。さらに、そのような呼吸器は、多くの場合免疫系が弱体化していて、病原体あるいは日和見性細菌の双方により引き起こされる感染によりさらに危険に晒される患者に対して使用されている。
【0004】
本発明の目的は、ユーザーが呼吸器の中の微生物の存在を迅速且つ効果的に評価することを可能とするバイオバーデン表示器を実現することである。
【0005】
本発明は、バイオバーデン表示器を有することを特徴とする呼吸器に関し、上記バイオバーデン表示器は、分析対象の空気を浸入させるための入力弁と、バイオバーデン分析用の素子と、および分析対象の空気を吸引するための吸引システムに連結できるようにした吸引弁とを備える。
【0006】
以下の例は、図面を補助として用い、本発明をより分かりやすくするためになされた、例示的なものであって、何等本発明を限定する意図をもってなされたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のバイオバーデン表示器を示しており、当該バイオバーデン表示器は、呼吸器の呼吸器枝に接続されている。
【図2】図1に示したバイオバーデン表示器の分解図である。
【0008】
図1において、符号1は、呼吸器全体を表しており、当該呼吸器は簡素化を期するためその一部のみ表示している。呼吸器1は、呼吸器枝3(当該呼吸器枝は、たとえば、ICU換気システムにおけるチューブ、あるいは呼吸フィルターの呼気ホースであり得る)と、バイオバーデン表示器2と、およびバイオバーデン表示器2と呼吸器枝3を接続できるようにしたルーアー・コネクタ4とを有する。
【0009】
バイオバーデン表示器2は、組み立ての順から言えば、前記ルーアー・コネクタ4に嵌合させた単一方向入力弁5と、微生物バーデンの存在の可視レスポンスを供給できるようにしたバイオバーデン分析素子6と、および入力弁5の反対側でバイオバーデン分析素子6に接続された吸引弁7とを備える。
【0010】
使用時には、吸引弁7は、吸引システム(たとえばシリンジなど)に連結され、呼吸器枝3から空気を吸引する。
【0011】
図2において、より明確に示したように、バイオバーデン分析素子6は、任意に互いに接続される底部8aおよび天部8bを有する容器構造8、分析ディスク9と、分析ディスク9と吸引弁7との間に設置される細菌またはウィルス用のフィルター10とを有し、当該のフィル
ター10は分析対象の空気の流れに関して言えば分析ディスク9の下流にある。
【0012】
分析ディスク9は、分析対象空気内に存在するあらゆる細菌バーデンの成長に好適であり、細菌バーデンが所定のレベルに達すると、色を変える能力を有するバイオバーデン成長媒体を有する。この目的のため、容器構造8は、分析ディスク9の色が変わった時に、ユーザがそれを見ることができるように透明の材質により形成されているか、あるいは少なくとも透明の窓を有している必要がある。
【0013】
使用時には、ルーアー・コネクタ4は、呼吸器枝3にネジ接続により任意のサンプリング・ポートに接続され、バイオバーデン表示器2は、ルーアー・コネクタ4に、単一方向入力弁5上のオス/メス連結部により連結されている。上記に記したように作動構成が実現されると、吸引弁7は吸引システムに接続され、その吸引システムの動作により空気が呼吸器枝3から吸引され、分析ディスク9と接触する。単一方向入力弁5により、分析素子6が確実に、効果的に患者から隔離された状態に保たれる。
【0014】
その後、細菌の存在が所定のコロニー形成レベルを超えているか否かによって、分析ディスク9に色の変化が起こる。この変化により、ユーザーは、バイオバーデンの存在が多量であるために、少なくとも呼吸器の不良部品を取り替える必要性を知ることができる。
【0015】
適切に密封された細菌またはウィルス用のフィルター10により、分析ディスク9に存在するバイオバーデンが吸引弁7から漏れないように保たれることが確実となる。これは、オペレーターおよび環境の安全のため、明らかに有利である。
【0016】
上記に説明により明らかであるように、本発明の呼吸器は、患者あるいは操作者に対していかなる種類のリスクも伴わず、呼吸器枝内のバイオバーデンの存在の程度を即座に知ることができるという特筆に値する利点を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオバーデン表示器(2)を有することを特徴とする呼吸器(1)において、
前記バイオバーデン表示器(2)は、
分析対象の空気を浸入させる入力弁(5)と、
バイオバーデン分析素子(6)と、
分析対象の空気を吸引する吸引システムに接続できるようにした吸引弁(7)と、
を備える、呼吸器(1)。
【請求項2】
前記バイオバーデン分析素子(6)が、バイオバーデンが所定のレベルに達した場合に色を変える能力を有する比色分析素子を有することを特徴とする、
請求項1に記載の呼吸器(1)。
【請求項3】
前記バイオバーデン分析素子(6)が、
分析ディスク(9)と、
前記分析ディスク(9)と前記吸引弁(7)の間に設置される細菌またはウィルス用のフィルター(10)とを有し、
前記分析ディスク(9)が分析対象空気内に存在するあらゆる細菌バーデンの成長に好適であるバイオバーデン成長媒体を有することを特徴とする、
請求項2に記載の呼吸器(1)。
【請求項4】
前記バイオバーデン分析素子(6)が、色変化を見ることができる少なくとも1つの透明の窓を有する容器構造(8)から成ることを特徴とする、
請求項2又は請求項3に記載の呼吸器(1)。
【請求項5】
呼吸器(1)の呼吸器枝(3)に接続できるようにしたバイオバーデン表示器(2)において、
前記バイオバーデン表示器(2)が、
分析対象の空気を呼吸器枝から浸入させる単一方向入力弁(5)と、
バイオバーデンが所定のレベルに達した場合に色を変えることができるようにした比色分析素子を有するバイオバーデン分析素子(6)と、
前記呼吸器枝(3)からの空気を吸引する吸引システムに接続することができるようにした吸引弁7と、
を備えることを特徴とする、バイオバーデン表示器(2)。
【請求項6】
前記バイオバーデン分析素子(6)が、
分析ディスク(9)と、
前記分析ディスク(9)と前記吸引弁(7)の間に設置される細菌またはウィルス用のフィルター(10)とを有し、
前記分析ディスク(9)が分析対象空気内に存在するあらゆる細菌バーデンの成長に好適であるバイオバーデン成長媒体を有することを特徴とする、
請求項5に記載のバイオバーデン表示器(2)。
【請求項7】
前記バイオバーデン分析素子(6)が、色変化を見ることができる少なくとも1つの透明の窓を有する容器構造(8)を有することを特徴とする、
請求項5又は請求項6に記載のバイオバーデン表示器(2)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−219878(P2009−219878A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62661(P2009−62661)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(507253897)コヴィディエン アクチエンゲゼルシャフト (11)