説明

バイオマス燃料と加工技術

【課題】公園、街路、道路の法面、里山、山林原野、河川や堤防、遊休農地等に自生繁茂する雑草及び樹木や潅木の幹及び枝打ち枝葉、竹、篠、笹、蔦等の植物をエネルギーとして利用できる技術を提供する。
【解決手段】雑草や樹木、潅木の幹や枝打ち枝葉、及び竹、篠、笹、蔦等全ての植物をバイオマスとし、このバイオマスを乾燥した後、バイオマスのかさばりの原因である一部を粉砕し、かさばりを解消して、粉粒混合状態のバイオマス燃料とする。または、前記のバイオマスをかさばりの原因となる部分が炭化するまで乾燥、加熱した後、炭化した部分を粉砕して、かさばりを解消して、粉粒混合状態のバイオマス燃料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
バイオマス燃料とその加工技術に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草や樹木の枝葉、等をバイオマスとして一部が炭化するまで加熱、乾燥することによって生産されるバイオマス燃料とその加工技術
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特願2011−230177
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今の日本社会は全ての物資が買手市場であって物が有り余っていると言うのが現状である、そう言う中でどうしようもないのが石油、石炭等の化石燃料と電気である、化石燃料は外国から買えるが電気は買えない、買えない電気を作るために化石燃料を買っているのが現実である。
【0005】
電気を作るために膨大な量の化石燃料が輸入される、これによって膨大な燃料代が外国に支払われる、この負担を軽くするために原子力発電が導入され働いていたがその推進事業も2011年3月の震災で潰れてしまった。これを機に日本は原子力エネルギーに代わる新しいエネルギー源を探し始めたのです、そして雑草を主とするバイオマスに着目したのである、然し今の日本には雑草を燃料として活用する知識や技術は全く無いと言ってよい、従ってこれら一連の技術を確立することが大きな課題である。
【0006】
この技術に関する最大の課題は雑草と言うバイオマスを経済的に利用できる条件の燃料に加工する技術を確立することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この燃料の原料として収集されるバイオマスは主たるものが雑草と言うことであるが実際には雑草を始とする自然界に植生する全ての植物又はバイオマスとしての利用を目的として栽培された作物を主とする農作物等であって道路の法面、公園、街路、里山、山林原野、河川、堤防、耕作放棄農地等に繁茂する雑草、樹木の枝打ち枝葉、潅木類、竹、篠、笹、蔦等と休耕農地等で栽培される作物等植物と認められるものは全てが対象となる。
【0008】
これ等のバイオマスは採集しながら裁断するか普通に採集して搬入してから裁断するかの何れかの手段で一定の寸法に裁断した後にバイオマスの一部が炭化するまで加熱乾燥するものである。
【0009】
この加工技術は乾燥と言うよりも初歩的な炭化と解釈するのが適当であって比較的炭化が早い草や樹木の細枝、葉等かさばりの原因となる物だけを炭化させて粉砕し易くするものであるが珪酸を多く含む草の茎などはほとんど炭化しない。
【0010】
従って収集するバイオマスは無差別に収集裁断するので比較的太い幹や枝、茎等は大小様々なペレット状であって草や細枝、葉が炭化するまで加熱しても比較的大きなペレットは炭化せずに表面が焦げただけの所謂生焼けの状態であって炭化した草や細枝、葉と生焼けのペレット、変色した程度の草の茎などが混じった粗燃料ができる。
【0011】
この様な加工によってできた粗燃料はかなりのかさばりがあって取り扱いの上で不都合が多い、従ってこのかさばりを解消するために炭化した葉や細枝を粉砕するのであるが常識で考えると炭化した部分と生焼けペレットの部分を分別しないと粉砕できないが本発明はこれ等の作業を簡略化して生産コストを削減するために分別をせずスクリュウ搬送機で抵抗をかけながら搬送することで炭化した部分のみを粉砕するものである、この粉砕の技術は旧式の精米機の機能の応用である。
【0012】
このような手段で加工されたバイオマスは粗細混合の粉炭と比較的炭化が進んだ小、中粒のペレットと表面が焦げた中、大粒のペレットとほとんど炭化していない草の茎等が混合した状態で焚き火の燃え残りのごみの様な燃料となる。
【発明の効果】
【0013】
2010年に日本国内の道路、公園、堤防などから発生した植物ごみは約200万トンと言われる、これ等のごみの大半は焼却処分されているがそのごみ全てを燃料として火力発電をすると約45億キロワット時の電力が得られその電力量は標準家庭132万世帯が一年間に消費する量に相当すると言われる、(国土交通省試算−2011年9月18日茨城新聞掲載)因みに原発1基(標準=100万キロワット時)分の発電量は86億キロワット時/年と言われている、実にその半分のエネルギーが経費をかけてごみとして処分されているのが現実である。
【0014】
植物ごみもこの様に評価すれば立派な資源=バイオマスである、この試算の下に国内に存在するバイオマスの量を想定すると2010年度試算の数十万倍を下ることはないことは確実なものである、仮にこの存在量の10%が利用できたとすると試算の数万倍のバイオマスが燃料になりそれによって生産される電力量は最低でも原子力発電5000基分以上に達するはずである。
【0015】
又このバイオマス燃料はCO2削減対策の中のカーボンニュートラルな燃料であってこの対策に貢献するものは非常に大きなものがある、又貧資源国日本が大量に輪入している化石燃料に代わるエネルギー資源になることは間違いない。
【0016】
従ってこのバイオマスは未開発の資源であるので実用技術の確立によって新産業が興り労働力の雇用や関連産業を通して社会に貢献するものは非常に大きい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
このバイオマス燃料の原料となるバイオマスは道路、街路、公園、里山、河川、堤防、山林原野、耕作放棄農地等に自生繁茂する植物及び休耕農地等に栽培されるバイオマス作物等収集可能な全ての植物の幹、茎、枝葉、等であってその他に植物に由来する食品工業等の工業残渣等植物の性状が残っている物であれば全て原料として利用することが可能である。
【0018】
これ等のバイオマスは雑草、樹木の枝葉、間伐材、剪定枝葉、潅木類、竹、篠、笹、蔦等未利用の植物であって場所や種類に関係なく一律無差別に採集しながら一定の寸法に裁断するか普通に刈り取られて集められた物を一定の寸法に裁断するが裁断する寸法については特に拘る必要はなく加工する設備やバイオマスの条件にあったものにすればよいものであるがこの裁断は乾燥、炭化の工程の前処理の工程と考えられる。
【0019】
例えば雑草や樹木の枝打ち枝葉、篠、笹等の様な比較的細かいバイオマス扱う中小規模の設備の場合は長さ2〜3センチ程度が扱い易く樹木の間伐材や雑木、潅木を主として扱う大規模な設備の場合には長さ5センチでも10センチでも状況にあわせて裁断すればよいものであって裁断された草の茎や樹木の幹、太枝などは既にペレットになっていると考えればよい。
【0020】
本発明はこの様に前処理されたバイオマスのかさばりの原因となる草や細枝、葉のみを炭化し炭化した部分のみを粉化しかさばりの解消を計ると同時に乾燥を行うだけの極めて単純明解な加工技術である。
【0021】
その工業的な加工手段は前処理されたバイオマスを工業的な炭化装置によって雑草や樹木の細枝、葉等が炭化する程度まで加熱乾燥するだけのものである。
【0022】
この様に加熱処理されたバイオマスは雑草や樹木の細枝、葉、潅木類の細枝、葉、竹、篠、笹、等の細枝、葉等かさばりの原因となるものは炭化するが中程度以上のペレットは生焼けであったり表面が焦げただけであったり珪酸分の多い草の茎などは変色した程度のものの混合状態の粗燃料になる。
【0023】
この状態の粗燃料は炭化装置より排出された後攪拌機で攪拌するかスクリュウ搬送機で抵抗をかけながら搬送すると炭化した草や細枝、葉、は簡単に粉化しかさばりが解消して粉炭、生焼けや焦げたペレット、乾燥茎等の混合状態の焚き火の燃え残りごみのような粉粒混合炭燃料ができあがる。
【0024】
この様にしてできた粉粒混合炭燃料が目的とするバイオマス燃料でこの状態のバイオマス燃料の中の焦げた状態のペレットにはかなりの水分が残っているがこの水分の量は燃料全体の中の一部分の僅かなものなので時間の経過と共に全体に分散吸収されてしまうので品質や燃焼に影響を及ぼすものではない。
【0025】
このバイオマス燃料の特徴は原料のバイオマスの20〜30%が炭化し残りは半炭化又は表面が焦げたものや変色した程度のものの混合状態であってバイオマスの条件つまり草と樹木の枝葉、潅木類等の割合によって炭化物の割合の比は異なる。
【0026】
従ってこのバイオマス燃料は一見して半焼けのごみのような状態であるが燃料としての性状は木質チップや薪に比べて着火温度が低く燃焼速度も速いが燃焼温度は薪に近い良質な燃料である、然し全体的な傾向は炭化の程度が低いほど良く燃えるがかさばりが大きく保管性を始とする取り扱い上の不都合が大きい、又炭化が進みすぎると炭化物が多くなる、つまり粉炭やペレット炭が多くなってかさばりは解消して保管性を始とした取り扱いは良くなるが燃えがわるくなる、この傾向も燃焼炉内の温度が高くなればあまり拘ることではない。
【0027】
この燃料も使用目的によって炭化の程度を変えることや炭化部の粉砕を省略すること等も自由である、例えばバイオマスの大部分を炭化させ粉砕して木質チップや石炭等の助燃材として混合燃焼等に使うと燃焼効率がよくなる、又使用目的によって粉砕の必要がない場合等には粉砕をしない方がよく燃える。
【0028】
この様に本発明は日本中に溢れ返って手の施しようのない厄介物のバイオマスを極限まで下げた生産コストで加工できる技術で加工したバイオマス燃料であってバイオマスを炭化すると言うよりも過度に乾燥すると考えても差し支えはない、その上で炭化した部分のみを粉砕したことを特徴とするバイオマス燃料である。
【0029】
ここではロータリーキルン式炭化炉による炭化を実施例として説明しているが炭化装置の選択については特に拘る必要はなくどの様な手段を用いても結果が説明のバイオマス燃料になればよい。
【0030】
又これ等のバイオマスを完全に炭化した物を原料炭として粉砕し粉炭にすることで燃料以外の利用も可能である、例えば農業での土壌改良剤や工業では練炭等成形炭の原料として利用することもできる。
【0031】
又バイオマスの前処理についても特定の手段や形状に拘る必要はない、例えば裁断の寸法を微細にしたり、擂り潰したり、バイオマスの条件によっては裁断せずに炭化してから粉砕してもよい。
【0032】
又牧草や芝草ばかりの様な木質等が混じっていないか混じっていても小さいか少ない場合等には炭化するまで加熱せず粉砕できる程度に乾燥するだけでもよい、この手段は高温の熱風の利用が効果的であるので燃料の生産設備の条件や使用目的、使用条件によっては全てのバイオマスにも共通する、例えばこのバイオマス燃料生産技術以外の産業で排出される高温の熱を利用するもので廃棄物処分場等の焼却炉にこの乾燥炉を併設することによって熱風による乾燥は容易なものになる、又排煙などを利用する炭化炉等を併設することも有効な手段である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
欧米では栽培されたバイオマスによって火力発電が行われている、最新の情報によれば日本でもこれに習って環境整備等で発生する植物ごみをバイオマスとして火力発電を行う研究が始まると言うことである、従ってこの分野の利用の可能性が最も大きなものである。
【0034】
本発明のバイオマス燃料は実用バイオマス燃料として完成しているものなので効果的な燃焼技術が確立されれば農業用、工業用などの分野で化石燃料に代わる燃料として利用される可能性も大きなものである。
【0035】
バイオマスを完全炭化させて得るバイオマス炭とこのバイオマス炭を粉砕して得る粉炭は多目的利用を前提に考案したものであって燃料以外に農業用の土壌改良剤や融雪剤、工業では練炭などの成形炭や消臭剤の原料としての利用の可能性が大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑草や樹木、潅木の幹や枝打ち枝葉、及び竹、篠、笹、蔦等全ての植物をバイオマスとしこのバイオマスを乾燥した後バイオマスのかさばりの原因である一部を粉砕しかさばりを解消して得る粉粒混合状態のバイオマス燃料。
【請求項2】
請求項 1 のバイオマスをかさばりの原因となる部分が炭化するまで乾燥、加熱して炭化した後炭化した部分を粉砕してかさばりを解消して得る粉粒混合状態のバイオマス燃料。
【請求項3】
請求項 1 のバイオマスを炭化して得るバイオマス炭。
【請求項4】
請求項 3 のバイオマス炭を粉砕して得る粉炭及び紛粒混合炭。