説明

バイオマーカー参照パターンを作成する方法

本発明は、バイオマーカーを評価する方法に関する。特に本発明は、生物系に対する決定可能である少なくとも1つの影響を有する少なくとも1つの所定のエフェクターに関する少なくとも1つのパターンを確立する方法、所定の影響又は影響の群に関するエフェクターのクラスを確立する方法、所定のエフェクターの少なくとも1つの影響を特定する方法、並びにこれらの方法の実施に適合されたコンピュータプログラム及びコンピュータに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマーカーを評価する方法に関する。特に本発明は、生物系に対する決定可能である少なくとも1つの影響を有する少なくとも1つの所定のエフェクターに関する少なくとも1つのパターンを確立する方法、所定の影響又は影響群に関するエフェクターのクラスを確立する方法、所定のエフェクターの少なくとも1つの影響を確認する方法、並びにこれらの方法の実施に適合されたコンピュータプログラム及びコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
個々の生物又は生物集団などの生物系は、一般に、状態の変化、特にそれらの生化学的特性又は生化学的構成の変化と共に、エフェクターに応答する。この文脈では、外部又は内部エフェクターが作用する個々の生物は、例えば細胞活性の改変によって応答する。従って、この活性の改変は、細胞分子の構成又は定量組成の変化ももたらし得る。この文脈では、転写活性又はタンパク質機能とタンパク質代謝回転の両方の変化、並びに代謝変化を観察することができる。従って後者は、エフェクターの結果(メタボロームの改変)として、生物の定性的及び/又は定量的代謝物質構成の変化をもたらし得る。生化学的構成又は特性の同様の変化は、生物系を形成する生物集団において観察することができる。生物系を形成するこのような生物集団は、例えば局所限界がある微小生態系を形成する微生物である。
【0003】
多くの生物学的に関連した問題に関して、生物系に対するエフェクターの影響力(influence)を評価することが必要である。このようにして、エフェクターの干渉的又は有利な影響力を首尾よく回避又は利用することができる。例えば、エフェクターとして作用する化学物質は、例えば生物系に対する毒性の影響(effect)、又は他の場合有益若しくは治癒の影響を有することができる。化学物質から、放射などの物理的影響力、さらには意図的又は非意図的な遺伝子改変にまで及ぶ、ほとんど全てのエフェクターは、最終的にメタボロームに影響を及ぼす。この影響力はエフェクターの作用後非常に初期の段階で既に存在することが多く、従ってメタボロームの改変は、エフェクターがもたらし得る特定の影響又は結果の初期検出機構として使用することができる。
【0004】
エフェクターによって誘導されるメタボロームの改変は、一般に、その状態を次いでバイオマーカーとして知られるように使用することができる1つの代謝物質に影響するだけではない。頻繁に、様々な代謝物質に影響する。同じ影響を仲介するエフェクターは、この文脈では常に同じ代謝物質を改変する必要はない。しかしながら一般に、同じ影響を仲介するエフェクターによって改変される重要な代謝物質のセットが存在する。この改変される重要な代謝物質のセットは、現在常に有効な方法で特定することができるわけではない。とりわけ問題は、大部分のエフェクターが特徴的で重要な代謝物質だけでなく、個別のエフェクターのみに特徴的であるが、同じ影響を引き起こす他のエフェクターによっては引き起こされない個別の代謝物質の改変も引き起こすことである。更に、適用するエフェクターとは関係ないが、他の影響力によって又は測定技法が原因の変動性によって単に引き起こされる代謝物質の変動によって誘導される代謝改変が存在する。
【0005】
それにもかかわらず、特定エフェクターに対する生物系の応答として初期に改変される重要な代謝物質をメタボロームから抽出することは、非常に広範囲の用途に有用である可能性がある。このようにして、生物系に対して毒性がある化学物質を早い時点でさえ同定することができる。同様に、候補活性物質の治療活性を時間的に初期地点及び信頼できる方法で決定することができ、考えられる副作用は除外することができる。生物系に関する環境因子の有利又は有害な影響力を一般に同様に特定することができる。最終的には疾患を初期に同定することもでき、遺伝物質の改変の有利又は不利な影響を更によく試験することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、それによって特定エフェクターに対する生物系の応答を効率よく試験若しくは予想することができる、又はそれによって生物系の所定の応答を引き起こすことができる特定のエフェクターに関する計画的検索を行うことができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立クレームの特徴を有する方法及びコンピュータプログラムによって達成され、個別又は任意の望ましい組合せで実行することができる本発明の有利な改善は従属クレーム中に表す。
【0008】
本方法は以下に記載する方法ステップを含む。方法ステップは、示した順序で実施することが好ましい。しかしながら原則として、異なる順序で個々又は数個の方法ステップを実施することもできる。従って例えば、時系列で平行して又は時系列で重複して、個々又は数個の方法ステップを実施することもできる。更に、個々若しくは数個の方法ステップ又は方法全体を繰り返し実施することもできる。例えば、本明細書で以下に記載する方法ステップa)〜j1)は、例えば少なくとも2回の数回の反復、少なくとも5回の数回の反復、特に好ましくは少なくとも10回又は更に少なくとも20回の数回の反復で、個々に又は全体として繰り返し実施することができる。更に本方法は、特許請求の範囲中に言及しない追加的な方法ステップを含むこともできる。
【0009】
第一の態様では、本発明は、生物系に対する少なくとも1つの決定可能な影響を有する少なくとも1つの所定のエフェクターに関する少なくとも1つのパターンを確立する方法であって、以下のステップ:
a)所定のエフェクターの少なくとも1つのプロファイル(124)を提供するステップ、
b)プロファイル(124)の少なくとも1つのバイオマーカー、好ましくはプロファイル(124)の複数又は全てのバイオマーカーの少なくとも1つの値と、少なくとも1つの有意性閾値とを比較して、バイオマーカーが有意であるかどうか確認するステップ、
c)プロファイル(124)の有意なバイオマーカーを組合せてパターンを確立するステップ
を含む方法に関する。
【0010】
この方法によって、所定のエフェクター、例えば未だ研究されていない新規なエフェクター、即ち例えば、生物系をそれに曝したとき有意な改変を経るバイオマーカーのセットに関するパターンを集める(compile)ことができる。
【0011】
ここ及び本明細書の以降で、「提供」は原則として、提供する物品(item)の可用性を生み出す任意の方法として理解することができる。特に提供は、提供する物品、この場合、所定のエフェクターの少なくとも1つのプロファイルが利用可能であるように、方法中でアクセスすることができる電子フォームで、例えば揮発性又は不揮発性データメモリで実施することができる。代替として、又は追加的に、提供は例えばデータベースの使用も含み得る。しかしながら、他の形の提供も原則として考えられる。従って例えば、提供は、ユーザによる手作業、例えばコンピュータへの手操作による入力、又は別の形の手操作による提供によっても、実施することができる。提供する物品が能動的に方法に供給されるように能動的に、又は代わりに、単に利用可能性、例えばデータの回収可能性が確実であるように受動的にも提供を実施することができる。
【0012】
更に、「生物系」は、本発明の文脈内では、1つ又は複数の生物を含む系を意味するものとして理解される。複数の生物が提供される場合、これらの生物は特に空間的に結びついて位置し共通の代謝を含む可能性がある。生物は同じ種又は他の場合は異なる種であってよい。言及可能な生物系の考えられる非制限的な例は、哺乳動物、特に好ましくは、例えばイヌ、ネコ、マウス又はラットなどの制御条件下で飼育することができる哺乳動物であり、ラットが特に好ましい。制御条件下で例えば哺乳動物を飼育するのに適した方法はWO2007/014825からの方法である。言及することができる好ましい他の例は、細胞培養物及び植物、特に温室中の制御条件下で成長可能な植物、例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)又はコメなどである。
【0013】
本発明の文脈内で、「代謝物質」は、代謝プロセス、特に生化学的代謝プロセスの中間体を一般に意味するものとして理解される。「代謝」は、生物系の全ての代謝経路を指す。本発明の文脈内の代謝物質は、代謝経路の酵素の基質、このような経路の中間体、又はそれらの最終産物など、小分子(「小分子化合物」として知られる)である。代謝経路は従来技術においてよく知られており、異なる種間で異なりうる。好ましいのは、少なくともクエン酸回路、呼吸鎖、光合成、光呼吸、解糖、糖新生、ヘキソース一リン酸経路、酸化的ペントースリン酸経路、脂肪酸の合成及びβ-酸化、尿素サイクル、アミノ酸の生合成、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び核酸(tRNA、マイクロRNA(miRNA)又はmRNAを含む)の生合成、タンパク質分解、ヌクレオチド分解、脂質の生合成又は分解、ポリケチド(フラボノイド及びイソフラボノイドを含む)、イソプレノイド(テルペン、ステロール、ステロイド、カロテノイド又はキサントフィルを含む)の代謝経路、炭水化物、フェニルプロパノイド及びそれらの誘導体、アルカロイド、ベンゼノイド、インドール、インドール-イオウ化合物、ポルフィリン、アントシアニン、ホルモン、ビタミン、補欠分子族又は電子伝達体などの補因子、リグニン、グルコシノレート、プリン又はピリミジンの代謝経路である。従って代謝物質は、以下の群又はクラスの分子:アルコール、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族物質、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アミン、イミン、アミド、シアン化物、アミノ酸、ペプチド、チオール、チオールエステル、リン酸エステル、硫酸エステル、チオエーテル、スルホキシド、エーテル若しくはそれらの誘導体、又はこれらの組合せに属することが好ましい。代謝物質は、一次代謝物質、即ち生物又は器官の正常(生理)機能に必要とされる代謝物質であってよい。しかしながら代謝物質は、二次代謝物質も含む。二次代謝物質は、本質的に生態学的な機能を有する、即ち生物自体を環境に適合させる代謝物質である。しかしながら、これらの一次及び二次代謝物質以外に、代謝物質はいくつかの場合人工である他の分子も含む。これらは、例えば活性物質として取り込まれ次いで代謝中で更に改変され得る外因性分子に由来する。更に代謝物質は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド(RNA又はDNAなど)であり得る。代謝物質は、50da(ダルトン)〜30000da、より好ましくは30000da未満、20000da未満、15000da未満、10000da未満、8000da未満、7000da未満、6000da未満、5000da未満、4000da未満、3000da未満、2000da未満、1000da未満、500da未満、300da未満、200da未満、100da未満の分子量を有することが特に好ましい。本発明の文脈内の代謝物質は、しかしながら、約50da〜約1500daの分子量を有することが好ましい。
【0014】
本発明の文脈内では、「影響」は原則として、生物系の少なくとも1つの状態の、決定することができる任意の変化を意味するものとして理解することができる。特に、この状態は生物系の生物学的及び/又は生化学的及び/又は化学的状態であってよい。例えば、この影響は生物系のメタボロームの変化によって現れる可能性がある。本発明の文脈内の影響は、好ましくは、細胞形態、ゲノム、メタボローム(言い換えると、生物又はその亜群中の代謝物質の定性又は定量状態)、プロテオーム(言い換えると、生物又はその亜群中のタンパク質の定性又は定量状態)、トランスクリプトーム(言い換えると、生物又はその亜群中の転写産物の定性又は定量状態)、器官機能、細胞、組織若しくは器官の活力(毒性)及び/又は心理的若しくは社会的状態の変化であってよい。本発明の文脈において異なる影響が一緒に起こり得ることは理解されよう。従って当業者は、細胞形態、ゲノム、メタボローム、プロテオーム及び/又はトランスクリプトームの変化が器官機能の変化を誘導する可能性がある、又は更に生物の心理的若しくは社会的状態に影響し得る事実を熟知している。一般に、早い時点で、生物の器官損傷又は他の心理的ダメージなどの影響を検出することが望ましい。この目的のため、指標を与えるための事前の改変が特に好ましい。メタボロームの改変によって、器官障害又は他の損傷(ダメージ)を予想することが従って可能である。当然ながら、特定疾患の治癒、有用な植物の栽培における収率増大特性、又は微小生態系の環境にやさしい損傷などのプラスの影響を、事前に同様に予想することができる。異なるエフェクターの毒性学的、薬理学的又は生物環境的リスク層別化によって、これらのエフェクターを用いた有益な用途又は処理のより良い制御、及びこれらを用いた有害な用途又は処理の最大回避が可能である。
【0015】
本発明の範囲内では、「エフェクター」は、原則として生物系に対する任意のタイプであってよい少なくとも1つの影響をおそらく有する可能性がある、生物系に対する任意の影響力を原則として意味するものとして理解される。特に、この潜在的影響は前述のタイプの影響、特に代謝の変化によって現れ得る、特に生化学的及び/又は生物学的及び/又は化学的影響であってよい。このような影響力の例は、例えば医薬品及び/又は農薬などの1つ又は複数の化学物質及び/又は化合物への生物系の曝露、並びに/あるいは生物系に対する物理的作用、例えば電磁放射及び/又は粒子放射への生物系の曝露である。生物系に対する異なる期間及び/又は強度及び/又は線量(用量)の影響を、本発明の範囲内の適切なエフェクターによって目に見える状態にすることもできる。例えば、生物系に対する異なる期間及び/又は強度及び/又は線量(用量)の1つ及び同一の影響力は、異なるエフェクターであると考えることができる。例えば、エフェクターが少なくとも1つの化学物質及び/又は化学化合物及び/又は少なくとも1つの放射への生物系の曝露を含む場合、例えば、異なる期間及び/又は異なる強度及び/又は異なる線量(用量)のこの曝露は異なるエフェクターであると考えることができる。この文脈では、期間及び/又は線量(用量)及び/又は強度は2つ以上のレベルに分けることもできる。例えば、生物系を少なくとも1つの化学物質及び/又は化学化合物及び/又は少なくとも1つの放射に曝露するとき、必要に応じて生物系が曝露される低線量(用量)及び高線量(用量)は予め決定し、低線量(用量)への曝露と高線量(用量)への曝露は2つの異なるエフェクターであると考えられる。
【0016】
エフェクターは個々に、又は例えば一群のエフェクターが一緒に作用するように他のエフェクターと共に使用することができる。本発明の範囲内の好ましいエフェクターは、化学物質、医薬活性物質及び潜在的医薬活性物質(候補活性物質)、農薬(除草剤、殺虫剤又は殺菌剤)、成長促進剤、例えば肥料、放射線治療、遺伝物質の改変、例えば生物ゲノム中のランダム突然変異若しくは意図的に導入した突然変異の形態、又は組換え法による遺伝物質の組み込みによるもの、及び/又は環境条件(温度、放射、栄養、水分平衡、気体組成及び周囲大気圧など)の変化である。
【0017】
本発明の範囲内では、「バイオマーカー」は、代謝物質又は特定群の代謝物質の状態を一般に指す。この状態は、制約及び/又はパラメーター、例えば生物系の年齢、状態の記録時間、特に少なくとも1つのエフェクターに生物系を曝露した後の時間、及び場合によっては生物系に関する他の情報、例えば性別に特に依存し得る。従って例えば、特定レベルの代謝物質又は特定群の代謝物質は、生物系の性別及び/又は時間地点の関数として、バイオマーカーとして指定することができる。代替又は追加として、バイオマーカーは例えば、再度例えば前述のタイプの制約及び/又はパラメーターの関数として、代謝物質又は特定群の代謝物質の状態変化を記載することもできる。例えばそれによってバイオマーカーが有意であるかないかを決定することができる変数量、及びその数値として、バイオマーカー自体の間で区別を行う必要がある。本明細書において以下で更に詳細に説明するように、バイオマーカーが有意であるかないかのこの決定は、例えばその数値と1つ又は複数の有意性閾値とを比較することによって実施することができる。原則としてバイオマーカーは、例えば、参照値、特に正常状態、並びに/又は生物系が最初にエフェクター及び/若しくはエフェクター群及び/若しくは任意のエフェクターに曝されていない状態に対する変化として、任意の単位、例えば絶対単位又は相対単位で表すことができる。
【0018】
いくつかの場合、代謝プロファイルとも呼ばれる、特定のエフェクター又はエフェクターの群の「プロファイル」は、本発明の文脈内では、エフェクターへの生物系の曝露の最中又は後に記録される又は記録されている又は記録することができる、バイオマーカーの全体性を意味するものとして理解される。従ってそれは、記録することもできるバイオマーカーの完全セットの形、又は特定試験に考慮されるこの完全セットの部分セットの形を取る。この全体性は、エフェクター又はエフェクターの群への生物系の曝露の最中又は後に、制御条件及び標準条件下で記録することが好ましい。例えば、このプロファイルは、少なくとも1つのエフェクターへの生物系の曝露によって引き起こされるメタボローム又はメタボロームの部分セットであってよく、あるいはメタボローム又はメタボロームの部分セットを含むことができる。代謝物質のプロファイルは、生物中の代謝物質の定性的と定量的両方の決定を可能にする方法によって、決定可能であることが好ましい。この目的のため、代表的な代謝物質の抽出物を含む生物由来のサンプルを分析することができる。適切なサンプル材料には、血液、血清、血漿、尿、唾液、排泄物、涙液、分泌液若しくは分泌汁などの体液、又は生検によって得られる組織サンプルがある。当然ながら、サンプルは微小生態系又は培養細胞由来のサンプルであってもよい。サンプルを前処理して、例えば実際のサンプルとして細胞内画分(核、小胞体、光化学系、ペルオキシソーム、ゴルジ装置など)を得ることもできる。このようなサンプルの代謝プロファイルは、質量分析技法、NMR又は本明細書で以下に言及する他の方法によって得ることができることが好ましい。一般に質量分析技法は、質量分析装置及び/又は質量分析計を使用したサンプルの分析、特にイオンを感光性検出器によって分析する質量分離技法を意味するものとして理解することができる。質量分析技法と質量分光技法は、本発明の文脈内で等しく使用することができる。
【0019】
代謝物質の実際の定性的及び/又は定量的決定の前に、後者は最初に更に分離することができ、特に複雑な組成を有するサンプルの場合、これは前記決定を容易にする。この目的のため、従来技術でよく知られている分離法を利用することができる。これらは、「液体クロマトグラフィー(LC)」、「高速液体クロマトグラフィー(HPLC)」、ガスクロマトグラフィー(GC)、薄層クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー又はアフィニティクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー系技法であることが好ましい。しかしながら、LC及び/又はGCを利用することが最も好ましい。
【0020】
プロファイルに関する代謝物質の実際の定性的及び/又は定量的決定は、従って適切な測定又は分析法を使用して実施することができる。これらは、GC-MS、LC-MS、「直接導入」質量分析法、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析法(FT-ICR-MS)、キャピラリー電気泳動質量分析法、(CE-MS)、「高速液体クロマトグラフィー」と連結された質量分析法、四重極型質量分析法、MS-MS又はMS-MS-MSなどのシーケンシャル型質量分析法、「誘導結合プラズマ」質量分析法(ICP-MS)、熱分解質量分析法(Py-MS)、イオン移動度質量分析法又は「飛行時間型」質量分析法(TOF)などの質量分析法を含むことが好ましい。LC-MS及び/又はGC-MSを使用することが特に好ましい。これらの方法は、Nissen,Journal of Chromatography A,703,1995:37-57、米国特許第4,540,884号又は米国特許第5,397,894号中に記載される。これらの文書の開示はその全容を本明細書に組み込む。利用することができる質量分析法に対する代替は、「核磁気共鳴」(NMR)、「磁気共鳴イメージング」(MRI)、フーリエ変換赤外線分析(FT-IR)、紫外線(UV)分光法、屈折率(RI)、蛍光的定量、放射化学的定量、電気化学的定量、「光散乱」(LS)、分散型ラマン分光法又は水素炎イオン化検出器(FID)である。
【0021】
本明細書で前に言及した方法は、サンプル中の多数の代謝物質の状態を決定するのに、従ってプロファイルを集めるのに必要な特徴の値を記録するのに特に適している。これらの方法は、同一パラメーターに関する値、及び測定する代謝物質の物理的、化学的若しくは生物学的特性によって誘導される1つ又は複数のパラメーターに関する1つ又は複数の値を提供することが好ましい。従ってバイオマーカーのプロファイルは、代謝物質の化学的性質を決定することができる値だけでなく、代謝物質の定量的変化、言い換えると特定サンプル中で測定された量を反映することができる値も含むことができる。本明細書で前に言及した方法はハイスループット分析にも適しており、従って異なるサンプルを短い時間間隔で自動式に測定することができ、短い時間内で互いに比較することができる多数のプロファイルを集めることが可能である。
【0022】
本発明の範囲内の特定エフェクター又はエフェクター群の「パターン」は、特定エフェクター又は特定エフェクター群に生物系を曝露したとき有意な変化を示す、バイオマーカーのセットを意味するものとする。例えば、プロファイル自体、又は絶対値及び/若しくは相対値でのそれらの値、並びに/又は変化、例えば変化率、若しくは少なくとも1つの正常値との比較の変化において、バイオマーカーを指定することができる。変化は、絶対値で、並びに/あるいは、相対単位、例えば少なくとも1つの参照値、及び/又は正常状態、特にエフェクター及び/若しくはエフェクターの群及び/若しくは任意のエフェクターといかなる曝露もない、又はこれらといかなる曝露もしていない状態との比較での相対単位で、考えることもできる。
【0023】
この文脈内で有意であると考えなければならないものは個々の事例に依存し、例えばユーザ及び/又は評価デバイスによって予め選択し、及び/又は手作業で調節することができる。例えばこの文脈内では、本明細書の以降で有意性閾値とも呼ぶ1つ又は複数の閾値、例えば1つ又は複数のバイオマーカーに関する1つ又は複数の閾値、及び特にそれぞれのバイオマーカー又はそれぞれのバイオマーカーの群に関する有意性閾値を予め定義することができ、それによって変化が有意であるかないかを決定することができる。これらの閾値はこの文脈内では変動的である可能性があり、例えば感受性及び/又は選択性を調節するために繰り返し適合させることが可能である。
【0024】
本発明の範囲内では、「選択性」は、考えられる全体数の要素から特定要素を系統的に選択する能力又は特性を意味するものとして一般に理解される。従って選択性は、選択の狭さの尺度を表す可能性がある。本発明の範囲内でも可能であるように、データベースを使用する場合、選択性は、データベース、特にインデックスによるデータベース検索のデータの全内容中の選択要素の割合の尺度であり得る。従って、例えば選択性は、変更によって全数のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーの数を指定し、パターンに割り当てることができる。例えば高い閾値による高い選択性はパターン中のより少数のバイオマーカーを一般にもたらし、例えば低い閾値による低い選択性はパターン中のより多数のバイオマーカーを一般にもたらす。
【0025】
本発明の範囲内では、「感受性」は、真に陽性(+)である事象が陽性(正)の試験結果によって実際特定される可能性を一般に意味する。例えば感受性は、特定バイオマーカーの変化がエフェクター又はエフェクター群への曝露に実際起因し得るかどうか、又は変化がランダムな変化、測定誤差若しくはノイズ若しくは任意の他の干渉影響であるかどうかの尺度又は可能性を表す可能性がある。例えば感受性は、真の陽性率、感受性又はヒット率を記載することもできる。特に感受性は、実際陽性(+)である全数の事象から陽性(正)として正確に特定される事象の割合、即ち例えばエフェクター又はエフェクターの群への曝露が原因の有意な変化を示すものとする全数のバイオマーカーのうちの、有意であると正確に考えられる変化を有するバイオマーカーの割合であってよい。例えば低い閾値による高い感受性はパターン中の多数のバイオマーカーを一般にもたらし、一方、例えば高い閾値による低い感受性はパターン中の少数のバイオマーカーを一般にもたらす。
【0026】
生物系に対する少なくとも1つの決定可能な影響を有する少なくとも1つの所定のエフェクターに関する少なくとも1つのパターンを確立するための、本明細書で前に記載した本発明に係る方法は、広範囲の生物学的データの迅速なコンボリューション(convolution)を可能にする。所定の閾値によって、最も関連したバイオマーカーを所定のプロファイルから迅速且つ確実に確認することができる。本方法はコンピュータによる実行によって迅速に実施することもでき、従って特にハイスループット分析中で他の方法要素と共に使用することができる。この方法によって得たパターンは本記載中の他の箇所で論じる適用例において使用することができ、それらは生物学的データセットの簡潔でより有効な分析を可能にする。
【0027】
好ましい実施形態において、本発明に係る方法は、以下のステップ:
d)多数の更なるエフェクターに関するプロファイルが保存されたデータベースを提供するステップ、
e)データベースの少なくとも1つの更なるエフェクターの少なくとも1つの更なるパターンを確立するステップ
を更に含む。
【0028】
このようにして、例えば、既存のデータベースを評価することができる。多数の測定値によって、例えば、異なるエフェクターのプロファイルを有するデータベースを回収することができる。少なくともいくつかのこれらのエフェクターは、例えば、既知のエフェクター、言い換えると例えば生物系に対するその影響、例えばその毒性影響が既知のエフェクターであってよい。このデータベース内で、1つ又は複数のエフェクターに関するプロファイルを確立することによって評価を実施することができる。
【0029】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態では、それは、以下のステップ:
f)方法ステップe)中で確立された少なくとも1つの更なるパターンを方法ステップc)中で確立されたパターンと比較するステップ
を更に含む。
【0030】
このようにして、例えば、所定のエフェクターと、データベースの少なくとも1つの更なるエフェクター、例えば既に知られている少なくとも1つの更なるエフェクターとの、比較を実施することができる。従って例えば、類似のエフェクターに関して検索を実施することができる。
【0031】
具体的な目的の比較において、一般に様々な方法が本発明の範囲内に包含され得てもよい。例えば、2つのパターンの比較は、パターンが同じバイオマーカーを含むかどうかに関して実施することができる。
【0032】
例えば、この比較の結果は、一致度を説明する特徴的な量であり得る。例えば、これは割合(%)、例えば第一のパターンが第二のパターンと同じバイオマーカーからなる場合100パーセントであってよい。一致度を特徴付けるために相関情報又は類似情報を使用することもできる。
【0033】
更に、代替として又は追加的に、パターンの値を比較すること又は少なくとも比較中に値を含めることも可能である。従って、パターンが同じバイオマーカーを含むかどうかだけでなく、場合によっては、これらの一致するバイオマーカーの値がどの程度一致するかどうかも調べることが可能である。ここでも、これは、例えば相関関数又は同様の数学的方法を使用することにより実施することができる。更に、例えば所定の閾値を超える互いの2つの値の逸脱率が不一致であると考えられ、及び閾値未満である互いの値の逸脱率が一致であると考えられるように、1つ又は複数の類似性閾値を簡潔に事前に定義することも可能である。他の比較法を想定することもできる。
【0034】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態では、それは、以下のステップ:
g)少なくとも1つの更なるエフェクターが少なくとも1つの既知の影響を有するかどうか調べるステップ、
h)少なくとも1つの既知の影響を所定のエフェクターの予め決定した決定可能な影響と比較するステップ
を更に含む。
【0035】
従って、この方法の変形は、別の方法で次いで更に実際決定又は理解しなければならない所定のエフェクターの影響と、更なるエフェクターの既知の影響の実際の比較に関する。
【0036】
従って、影響の比較のために、様々な方法を利用することができる。従って例えば、影響を分類することができる。例えば、このようにして、影響はデジタル式に容易に示すことができ、例えば影響は「肝毒性」である。例えば「非常に肝毒性」、「平均的に肝毒性」又は「わずかに肝毒性」などの段階的情報で、影響は追加的に更に定量化することができる。他の定量化を見出すこともできる。従って、単純なデジタル表示「影響が一致する」又は「影響が一致しない」の代わりに、一致度を定量化することにより定量的表現を与えることが従って可能である。ここでも、これは、例えば割合(%)又は他の定量的情報を一致度に関する表示として順に使用することができるように、公知の数学的方法を使用して、例えば段階的情報に数値を割り当てることによって、順に行うことができる。
【0037】
純粋にデジタルな型の表示「影響が一致する」又は「影響が一致しない」(例えば「両エフェクターが肝毒性である」、又は「エフェクターの1つが肝毒性であり、もう1つは肝毒性ではない」)を与える場合、更なる評価は比較的簡単である。しかしながら、一致度を分類する中間値が与えられる場合、閾値法を用いて順に操作を実施することができる。従って例えば、影響の一致度は1つ又は複数の閾値と比較することができる。一致度が閾値を超える場合、影響は一致すると考えることができ、一方で一致度が閾値未満で存在する場合は不一致を考えることができる。
【0038】
この方法を実施した後、いくつかの選択肢が存在する。一般に、客観的に決定可能な影響によって開始地点を見出す。影響が一致し、一方パターンが一致しない場合、パターン決定は望ましい結果をもたらさず、場合によっては改善しなければならない。しかしながら、影響が一致し、続いてパターンの比較及び影響の比較が同じ結果をもたらす場合、従ってパターンの決定及び比較は、異なるエフェクターの影響を比較する、又は例えば未知の新たなエフェクターの影響を予想する首尾よい方法となる。
【0039】
従って、本発明に係る方法の別の好ましい実施形態では、それは、以下のステップ:
i)方法ステップf)中でパターンの少なくとも部分的な一致が見られる場合、以下のステップを実施するステップ、
i1)方法ステップh)中で一致が見られない場合、有意性閾値を変え、特に有意性閾値を増大させ、少なくとも方法ステップb)及びc)を繰り返すステップ
を更に含む。
【0040】
この方法の変形は、相応じてアルゴリズムを改良(refine)することによってパターン作成の改善を示す。言い換えると、この方法の変形は、事前に作成したパターンの少なくとも部分的な一致はあるが(例えば前述の記載により100パーセントの一致、所定の閾値を超える一致又は少なくとも所定の閾値による一致)、実際影響の不一致又はごくわずかな影響の一致(例えば所定の閾値未満)をこれらのエフェクターに関して見出すことができ、確認したパターンにより、(例えばここでも少なくとも1つの所定の程度又は所定の程度を超える)影響の少なくとも部分的な一致を有するはずである事例を記載する。言い換えると、これは、パターンが一致する一方で影響が一致しない事例を含み得る。
【0041】
これはパターンが不適切に選択された指標である。例えばこれは、パターンに関して誤って選択されその値が多数のランダムな一致を示すバイオマーカーに起因し得るが、しかしながらこれらのバイオマーカーは適切な影響に適した指標を示さない。例えばこれは、パターン作成中、特に方法ステップb)及びc)中の上述した閾値が全てのバイオマーカー、数個のバイオマーカー又は個々のバイオマーカーに関して過度に低く選択されたときに当てはまる可能性がある。相応じて、示した方法の変形により、パターン作成の完全又は部分的反復を実施することができる。例えば、影響に適した指標を示さないバイオマーカーをパターンから排除するように、全て、数個又は個々の有意性閾値を自動的又は手動的に増大させることができる。
【0042】
好ましい方法の変形では、特に方法ステップi)及びi1)を有意性閾値を段階的に増大させて繰り返し実施するような方法で、これを実施することができる。
【0043】
更に、パターンの一致は見られないが、ただし影響の一致を見出すことができる事例が生じる可能性がある。これは特に、実際は影響の適切な指標であり得るバイオマーカーが、例えば閾値を高く設定しすぎたために、閾値法によって方法ステップb)及びc)中でパターン作成から排除されたことを意味する可能性がある。
【0044】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態では、それは、以下のステップ:
j)方法ステップf)中でパターンの一致が見られない場合、以下のステップを実施するステップ、
j1)方法ステップh)中で一致が見られる場合、有意性閾値を変え、特に有意性閾値を低減させ、少なくとも方法ステップb)及びc)を繰り返すステップ
を更に含む。
【0045】
従ってこれは、閾値の適合によってパターン作成を改良(refine)することができることを意味する。この場合、特に好ましい方法は、方法ステップj)及びj1)を有意性閾値を段階的に低減させて繰り返し実施する方法である。
【0046】
記載した構成の1つにおける上述した方法は、それらの影響に応じて特にエフェクターの群に使用することができる。従って、別の態様において、本発明は、所定の影響又は影響の群に関するエフェクターのクラスを確立する方法に関する。その方法は少なくとも1つのパターンを確立するための前に示した方法に基づき、主要要素としてこの方法を含む。本方法は、以下のステップ:
A)エフェクターのクラスに割り当てられると考えられる少なくとも1つのエフェクターを指定し、エフェクターのクラスへ割り当てるステップ、
B)少なくとも1つのエフェクターの少なくとも1つのパターンを、特に前に記載した構成の1つにおけるパターンを確立するための方法を使用することによって、確立又は更新するステップ、
C)多数の更なるエフェクターに関するプロファイルが保存されたデータベースを提供するステップ、
D)同一又は類似のプロファイルを有するエフェクターを求めて、データベース内を検索するステップ、
E)ステップD)中で決定されたエフェクターをエフェクターのクラスに割り当てるステップ
を含む。
【0047】
方法ステップB)において、前に記載した構成の1つにおけるパターンを確立する方法を使用することが好ましい。しかしながら原則として、パターンを確立する他の方法を使用することもでき、又は既に知られているパターンを利用することができる。例えば、特定の影響のエフェクターの特定パターンは、いくつかの場合これまで文献から知られている。例えば、特定のエフェクターは特定の代謝物質に対して影響を有することが知られているからである。
【0048】
本発明の範囲内の「エフェクターのクラス」は、生物系に対して同じ既知の影響又は生物系に対して少なくとも類似した影響を有する、エフェクターのセットを意味するものとして理解される。従ってエフェクターのクラスを確立するための開始地点は、生物系に対して特定の影響、又は組合せた影響群である。エフェクターのクラスは、生物系の増殖及び/又は機能に対して少なくとも1つの特定の影響、例えば特定の毒性影響及び/又は特定の治癒影響を有するエフェクターのセットであってよい。原則としてエフェクターのクラスは最初に空セットとして形成することができ、次いで例えば、少なくとも1つのエフェクター、特に複数のエフェクターを好ましく含むように後に加えることができる。以下でより詳細に説明するように、エフェクターのクラスは、例えば最初に特定の影響又は影響の群を有する疑いがある少なくとも1つのエフェクターをそのエフェクターのクラスに割り当てることによって、場合によっては事前に確立することもできる。その後、本明細書中において以下でより詳細に説明するように、例えば反復的に、エフェクターのクラスに1つ又は複数の更なるエフェクターを補充することができる。
【0049】
考えられる影響により、エフェクターのクラスは、場合によっては特定分子作用機序により、特定の影響、例えば器官毒性、組織毒性又は細胞毒性を仲介する化学化合物を含むことができる。毒性リスク層別化のため、化合物の正確な作用機序を知ることは役立つ。エフェクターのクラスによって仲介される影響は、薬理学的影響であってもよい。ここでも、活性物質の初期類別は更なる薬理学的分類に役立ち、初期のリスク層別化を可能にし、従って臨床試験の開始前に不適切な候補活性物質を即座に排除することができる。同様に、エフェクターのクラスによって仲介される影響は、除草、殺菌若しくは殺虫の影響、又はこれらの影響の任意の組合せであってよく、又はこれらを含み得る。ここでも、活性物質の初期類別は更なる分類に役立ち、初期のリスク層別化を可能にし、従って更なる試験の開始前に不適切な候補活性物質を即座に排除することができる。エフェクターとしての遺伝子改変はエフェクターのクラスを同様に形成し得る。従って例えば、収率を増大する遺伝子改変、又は害虫耐性を増大する遺伝子改変を、それぞれの場合1クラスのエフェクターで組合せることができる。好ましいことに、本発明に係る方法は、個々のエフェクターの個々のパターンに基づいて、エフェクターを集め及び照合しエフェクターのクラスを形成することができる。エフェクターのクラスのエフェクターは、ここでは本質的に同一のパターンを有することが好ましい。これらの考慮事項に基づくと、エフェクターのクラスを確立するための本発明に係る方法は、前記エフェクターのクラスの確立を可能にする。
【0050】
ステップB)〜E)の全て又は少なくとも1つを繰り返し実施する方法が好ましい。
【0051】
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、専門知識をステップA)中で利用する。例えば、専門家、例えば毒物学者の知識を利用して、所定の影響、例えば所定の毒性影響を有することが知られている少なくとも1つのエフェクターを予め定義することができる。
【0052】
エフェクターのクラスを照合する可能性を更に使用して、少なくとも1つの新たなエフェクター、少なくとも未だ完全には知られていないエフェクターの少なくとも1つの影響に関して予想すること、及び/又はエフェクターの少なくとも1つの影響を決定することが可能である。この文脈では、本明細書で前に記載した1つ又は複数の構成に従い所定の影響又は影響群に関してエフェクターのクラスを確立する方法によって確立された可能性がある、1つ又は複数のエフェクタークラスを特に使用することができる。しかしながら、代替として又は追加的に、他の方法で得たエフェクターのクラスを使用することも原則として可能である。従って、特定のエフェクタークラスが文献から知られている。例えば、多くのエフェクターの影響が分類され、従って同じ影響を有するエフェクターをグループ分けすることができるからである。
【0053】
従って、別の態様では、本発明は更に、所定のエフェクターの少なくとも1つの影響を特定する方法であって、以下のステップ:
i)少なくとも1つの既知の影響に関する少なくとも1つのエフェクタークラスを、特に本明細書で前に記載したエフェクターのクラスを確立する本発明に係る方法によって、確立するステップ、
ii)所定のエフェクターの少なくとも1つのパターンを、特に本明細書で前に記載したパターンを確立するための本発明に係る方法の1つによって、確立するステップ、
iii)ステップii)中で確立されたパターンとステップi)中で確立されたエフェクターのクラスのパターンを比較するステップ
を含む方法に関する。
【0054】
少なくとも1つの影響の特定は、この文脈では、所定のエフェクターが少なくとも1つの特定の、具体的に示される影響を有する結果の確認として一般に理解することができる。代替として又は追加的に、少なくとも1つの影響を更に特定することができ、これは少なくとも1つの影響を特定することによって、少なくとも1つの他のエフェクターとの比較を実施することによって、及び従って、
-所定のエフェクターの影響を更なるエフェクターの少なくとも1つの影響と同等とすること、
-更なるエフェクターの少なくとも1つの影響と同等であるとして所定のエフェクターの影響を特定すること、又は
-更なるエフェクターの少なくとも1つの影響とは異なるとして所定のエフェクターの影響を特定すること
によって同様に理解される。
【0055】
従って例えば、所定のエフェクターが、比較を実施する少なくとも1つの更なるエフェクターと、少なくとも1つの同等、類似又は不同の影響を有することを確認することができる。
【0056】
本発明に係る前述の方法の好ましい実施形態では、ステップiii)中で一致又は類似性が見られる場合、エフェクターのクラスの既知の影響を、所定のエフェクターの、確認される影響と同等とする。これは、その影響が確認される問題のエフェクターは、その影響が実際知られている、比較に利用するエフェクターのクラスと同じ影響を特に有し得ることを意味する。このようにして、1つの未知のエフェクターのための室内実験を減らしながら、このエフェクターの影響の少なくとも1つの試算を迅速に入手することが効率よく可能である。これは相当な研究コストの節約を可能にし、それは例えば動物実験を最小に減らすことも可能にする。
【0057】
本明細書で前に記載した方法は、原則として、エフェクターのクラスを使用せずに実施することもでき、エフェクターのクラスを使用する方法とエフェクターのクラスを使用しない方法を組合せることもできる。少なくとも1つのエフェクタークラスを介した経路が選択されない、又は少なくとも独占的に選択されない場合、例えば確認されたパターンを直接用いることも可能である。ここで特に、本明細書で前に述べた構成の1つ又は複数に従い少なくとも1つのパターンを確立する方法によって得られた、1つ又は複数のパターンを利用することが再度可能である。しかしながら、代替的又は追加として、別の方法で得られたか又は例えば文献から知られている、1つ又は複数のパターンを利用することも従って可能である。
【0058】
従って、更なる態様では、本発明は更に、所定のエフェクターの少なくとも1つの影響を特定する方法であって、以下のステップ:
I)所定のエフェクターの少なくとも1つのパターンを、特にパターンを確立するための本発明に係る前に記載した方法の1つによって、確立するステップ、
II)多数の更なるエフェクターに関するプロファイルが保存されたデータベースを提供するステップ、
III)ステップI)中で確立されたパターンと類似又は同一のパターンを有するエフェクターを求めて、データベース内を検索するステップ、
IV)ステップIII)中で確認されたエフェクターが少なくとも1つの既知の影響を有するかどうか調べるステップ、
V)ステップIV)中で既知の影響が見いだされる場合、所定のエフェクターの影響と既知の影響を同等とするステップ
を含む方法に関する。
【0059】
本明細書で前に記載したように、この方法は原則として、少なくとも1つのエフェクターのクラスを介した経路を選択する方法と組合せることもできる。いずれの場合も、エフェクターの影響は、それらが現在エフェクターのクラスによりグループ分けされていようと、又は個別であろうと、既知のエフェクターとの比較によって、少なくとも暫定的に迅速且つ正確に予想することができる。
【0060】
本明細書で前に記載した方法はコンピュータによって完全又は部分的に実施することができ、あるいは他の場合、それらはコンピュータを使用して少なくとも部分的に実施することができる。特に、コンピュータを使用して以下の方法ステップ:a)、b)、c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)、i1)、j)、j1)、A)、B)、C)、D)、E)、i)、ii)、iii)、I)、II)、III)、IV)、V)、VI)の1つ又は複数を実施することができる。
【0061】
従って本発明は、コンピュータにおいて実施されるときに、前記方法クレームのいずれかに記載の方法に従う方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを更に含む。コンピュータプログラムを適合させて、方法ステップの1つ又は複数又は全てを実施する、あるいは少なくとも支援することが可能である。特に、方法ステップa)〜c)の全て、方法ステップA)〜E)の全て、方法ステップi)〜iii)の全て、又は方法ステップI)〜VI)の全ては、少なくとも1つのコンピュータ若しくはコンピュータネットワークを使用すること、又はコンピュータプログラムを使用することによって実施することができる。
【0062】
コンピュータプログラムは、販売可能な製品として特に設定することができる。本発明に係るコンピュータプログラムは、マシン可読媒体に保存されることが好ましい。
【0063】
本発明は、前記方法クレームのいずれかに記載の方法に従う方法の実施に適合されたコンピュータを更に含む。コンピュータは、少なくとも1つのデータ処理デバイス及び/又は1つのコンピュータネットワークを一般に含むことができる。
【0064】
最後に、本発明は更に、コンピュータ又はコンピュータネットワークのワーキングメモリ及び/又はメインメモリへのローディング後、前記方法クレームのいずれかに記載の方法に従う方法を実施する、データ構造が保存されたデータ媒体に関する。
【0065】
示した方法、コンピュータプログラム、コンピュータ及びデータ媒体は、従来技術から知られる方法及びデバイスに優る多くの利点を有し、これらのいくつかは本明細書において前で既に言及している。従って、非常に混乱した実験データセットにおいて関連を確認し予想することが特に可能である。データ、例えば多数の異なるエフェクターのバイオマーカーに関する生データ及び測定値はこのようにして効率よく評価及び分類することができ、新たな形の表現及び/又は表示を見出すことができ(例えば、パターン及び/又はエフェクターのクラスの形)、及び/又はデータセットを大幅に減らすことができる。更に、以前は知られていない又は不十分にのみ既知のエフェクターの影響を予想する可能性のため、多数の新たなエフェクターのスクリーニングに関する実験作業量及び時間を大幅に減らすことができる。
【0066】
本発明の他の考えられる詳細及び特徴は、以下の好ましい例示的な実施形態の説明中で見ることができる。いくつかの例示的な実施形態は図中に概略的に示す。異なる図内で同一である参照番号は、同一であるか若しくは機能的に同一であるか若しくはそれらの機能が互いに対応する要素を指す。本発明は例示的な実施形態に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1A】エフェクターのパターンを決定するための、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図1B】エフェクターのパターンを決定するための、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図2A】エフェクターのクラスを確立する、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図2B】エフェクターのクラスを確立する、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図2C】エフェクターのクラスを確立する、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図2D】エフェクターのクラスを確立する、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す図である。
【図3A】所定のエフェクターの少なくとも1つの影響を確認するための方法の、第一の例示的な実施形態を示す図である。
【図3B】所定のエフェクターの少なくとも1つの影響を確認するための方法の、第一の例示的な実施形態を示す図である。
【図4A】所定のエフェクターの影響を確認するための方法の、第二の例示的な実施形態を示す図である。
【図4B】所定のエフェクターの影響を確認するための方法の、第二の例示的な実施形態を示す図である。
【図5A】2つの化学的に類似した物質の影響を比較するための、図4A及び4Bによる方法の使用例を示す図である。
【図5B】2つの化学的に類似した物質の影響を比較するための、図4A及び4Bによる方法の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
例示的な実施形態
図1A及び1Bは、生物系に対する決定可能である少なくとも1つの影響を有する少なくとも1つの所定のエフェクターに関する少なくとも1つのパターンを確立するための、本発明に係る方法の例示的な実施形態を表す。この文脈において、図1はこの方法の概略フローチャートを示し、図1Bは例示的なスクリーン表示のスクリーンキャプチャーを示す。この2つの図は本明細書において以下で一緒に記載する。
【0069】
図1A中、参照番号110は所定のエフェクターの少なくとも1つのプロファイルの提供を示し、参照番号112は、バイオマーカーが有意であるかどうか確認するために、プロファイルの少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つの値と少なくとも1つの有意性閾値を比較する方法ステップを示し、参照番号114は、パターンを形成するためのプロファイルの有意なバイオマーカーの組合せを示す。
【0070】
この方法は例えば図1Bによって表される。それは本発明に係る方法に提供されるデータベース116の考えられる表示を示し、そこから、示した方法を実行する適切なソフトウェアによって評価を実施することができる。
【0071】
図1Bは、「代謝物質(Metabolites)」という見出しの表の縦列中に様々な代謝物質118を表し、その値又は変化は、生物系、この場合ラットを様々なエフェクター120に曝露しながらモニタリングする。代謝物質118は、場合によっては、適切な印によって考えられる代謝物質の一覧(縦列「選択(Select)」)から選択することができる。
【0072】
それぞれの代謝物質118に関する様々なバイオマーカー122を記録し、代謝物質118の後に横行中に示す。例えば、特定の代謝物質118の絶対値又は変化は、オス(m)及びメス(f)の試験対象(例えばラット)に関して記録することができる。更に、低線量又は用量(l)への試験対象の曝露に関して、及び高線量又は用量(h)への試験対象の曝露に関して、バイオマーカー122を記録することができる。更に、代謝物質118の絶対値又は変化は、所定の期間後、例えば数日間後、例えば7日後(7)、14日後(14)又は28日後(28)に記録することができる。従って例えば、縦列ml7内の代謝物質スレオニンに割り当てた横行中のバイオマーカー122は、オスの試験対象(m)を、エフェクター120、例えば表示「化合物1(Compound 1)」での物質、又は表示「化合物2(Compound 2)」での物質に試験対象を曝露した後に測定の7日間低用量(l)に曝露したときの、代謝物質スレオニンの絶対値又は変化を示す。従ってそれぞれの代謝物質118には多数のバイオマーカー122が割り当てられる。特定のエフェクター120のバイオマーカー122の合計数はプロファイル124とも呼ばれる。図1Bは、2つのエフェクター120、すなわち化合物1及び化合物2に関するプロファイル124又はこれらのプロファイル124の一部を表し、例えば、化合物1に関するプロファイルは参照番号126によって示し、化合物2に関するプロファイルは参照番号128によって示す。
【0073】
従って図1Bは、この場合では、コンピュータプログラムを使用する、データベース116、及びこのデータベース116中に含まれるバイオマーカー122を表示、グループ分け及び/又は評価するための対応する選択肢によって、プロファイル124、この場合では場合によっては複数のエフェクター120に関するプロファイル124、を提供する図1Aの方法ステップ110を最初に示す。
【0074】
更に他方で、図1Bは、バイオマーカー122の値と対応する有意性閾値とを比較する図1A中に述べた方法ステップ112も表示して示す。それぞれのバイオマーカー122及び/又はそれぞれの代謝物質122に関して、例えば、ユーザによって影響を受ける可能性もあり得る1つ又は複数の有意性閾値を指定することができる。従って例えば、プロファイル124が再現される表中に、例えば有意性閾値を超えたこれらのバイオマーカー122の値の増大である、有意に増大した値を有するバイオマーカー122を記す。更に、これは図1Bには見られないが、有意に減少したバイオマーカー122は、代替として又は追加的に、例えば異なる色によって強調することができる。例えば、「方向(Direction)」という見出しの縦列は、それぞれの代謝物質118に関するバイオマーカー122の変化の主要な方向を指定することができる。
【0075】
この評価によって、参照番号114によって本明細書で前に示した、図1Aに記載した方法の方法ステップを実行することができる。例えば、有意な増大及び/又は有意な減少を示すプロファイル124の全てのバイオマーカー122を組合せて、パターンを形成することができる。有意な増大を示す化合物2に関するプロファイル128のグレーの背景を有する全てのバイオマーカー122、及び/又は有意な減少を示す化合物2に関する図1B中に記さない全てのバイオマーカー122を組合せて、例えば化合物2に関するパターンを形成することができる。従ってこのパターンは、このエフェクター120に関するバイオマーカー122を含むが、ただし好ましくはこれらのバイオマーカー122の値ではないことを指摘するべきであろう。従って、図1B中に示す例示的な実施形態中の化合物2に関するパターンは、例えばバイオマーカースレオニンml7、スレオニンml14、スレオニンml28、スレオニンmh7、スレオニンmh14、スレオニンmh28、グリシンml7、グリシンml14など、言い換えると、表のこの部分の領域に入力した数値ではなく、パターン128に割り当てられた表部分の図1B中にグレーの背景で示す値を含む。
【0076】
このようにして、例えば所定のエフェクター120に関するパターンを確立することが可能である。場合によっては、この確立は、例えば閾値の相互作用的適合によって、前に記載したように繰り返し実施することもできる。パターンは参照番号130によって図1B中に符号により示す。この符号参照番号130は後の図中にはそれ以上示さず、従ってこの参照番号に関しては、例えば図1Bを参照することができる。
【0077】
図2A〜2Dは、例えば所定の影響又は影響群に関してエフェクターのクラスを確立する、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す。ここで図2Aは、本発明に係る方法の例示的な実施形態の概略フローチャートを示し、図2Bは反復法の変形を示し、図2C及び2Dは、データベース116を使用した、様々な段階での方法の例示的な実施形態のスクリーン表示を次いで示す。これらの図は本明細書において以下で一緒に再度説明する。
【0078】
図2A中では、参照番号210は、確立されるエフェクターのクラスに割り当てられる可能性がある少なくとも1つのエフェクター120を指定する方法ステップを示す。このエフェクター120は、確立されるエフェクターのクラスに割り当てられる。
【0079】
図2A中では、方法ステップ210に、エフェクターのクラスの少なくとも1つのエフェクターの少なくとも1つのパターンを確立する方法ステップ212が続く。図2Bによって説明される反復法では、確立は、少なくとも1つのパターンの再現ではなく、更新を意味するとして理解される。
【0080】
図2A中に同様に表し参照番号214によって示す更なる方法ステップでは、エフェクター120の多数の更なるプロファイル124がデータベース116中に保存された、データベース116を提供する。
【0081】
図2A中に参照番号216によって示す方法ステップでは、データベース116内で、エフェクターのクラスに既に割り当てられているエフェクター120のプロファイルと、同一又は類似のプロファイルを有するエフェクター120に関する検索を行う。これはプロファイル124の直接比較、又はパターンの使用のいずれかによって行うことができる。例えば、データベース116内のそれぞれの、数個の又は少なくとも1つの更なるエフェクター120に関する少なくとも1つのプロファイル、例えばエフェクターのクラスのエフェクターに関する方法ステップ212中で確立及び/又は更新された少なくとも1つのパターンに含まれる、同じバイオマーカー122を有するプロファイル、を確立することができる。このパターン比較によって、少なくとも1つの更なるエフェクターが、同一又は類似のプロファイル124を有するかどうか確認することができる。方法ステップ216中で、エフェクターのクラスに既に割り当てられているエフェクター120と同一又は類似のプロファイルを有するこのようなエフェクター120が確認される場合、従ってこれらのエフェクター120は方法ステップ218中でエフェクターのクラスに割り当てることができる。
【0082】
図2A中に記載する方法は特に反復的に実施することができる。これは図2B中に示す。ここで再度、方法ステップ210及び212中で、確立されるエフェクターのクラスに割り当てられる可能性がある1つ又は複数のエフェクター120を、例えば少なくとも1つのエフェクター120から始めて最初に指定する。エフェクターのクラスは図2B中で参照番号220によって示す。
【0083】
1つ又は複数のパターンを、暫定的なエフェクターのクラス220であると最初に考えることができるこのエフェクターのクラス220に関して、次いで方法ステップ212中で決定する。
【0084】
方法ステップ214及び216中では、更なるエフェクター120を有するデータベース116を順に指定し、同一又は類似のプロファイル124を有する、例えば同一又は類似のパターン130を有するエフェクター120に関して、このデータベース116内で検索を行う。この検索が成功した場合、この方法で可能な限り確認されたこの少なくとも1つの更なるエフェクター120を、方法ステップ218中でエフェクターのクラス220に割り当てる。従って図2B中に示したように、エフェクターのクラス220に割り当てられる更なるエフェクター220を確認するために、方法を再度実施することができる。
【0085】
この方法は、例えば図2C及び2Dによって更に詳細に例示する。従って、例えば図2Cは、方法ステップ210及び212を説明するスクリーン表示を再度示す。この表示はデータベース116の一部を表示する形式である。
【0086】
この例では、例えばペルオキシソーム増殖型の影響を有するエフェクター120を含むエフェクターのクラス220を、確立することが望ましい。
【0087】
このペルオキシソーム増殖の影響に関して、例えば専門知識及び/又は文献情報に基づく、暫定的なエフェクターのクラス220が最初に形成される。専門知識は、例えばメコプロップ-p(mecoprop-p)、フェノフィブラート(fenofibrate)及びフタル酸ジブチル(dibutyl phthalate)型のエフェクター120が前述の影響を有することにある。従ってこれらのエフェクター120は、図2C中に示すように、暫定的なエフェクターのクラス220に割り当てる。データベース116から及び/又は別の方法で、これらのエフェクターに関するプロファイル124を指定する。例えば図2C中にいくつかの場合引用として表す、これらのプロファイル124は、多数のバイオマーカー122をここでも含む。例えば、図1B中の表示中と同様に、これらのバイオマーカー122は、試験対象の性別、用量のレベル及び/又はエフェクター120、それぞれの場合異なる代謝物質118への試験対象の曝露後の時間によって特徴付けられるバイオマーカーである。図2C中の表示は単なる例示目的として解釈すべきであり、従って例えば例の引用を含み得ることを指摘するべきであろう。図1B中の表示とは対照的に、代謝物質118は単に数字によって指定する。
【0088】
更に、その値が有意な変化を示すバイオマーカー122を順に図2C中でグレーの背景に対して示し、その点に関して例えば図1Bの記載を参照することができる。バイオマーカー122又はそれらの値と対応する有意性閾値とのこの比較から、従ってパターンを集めることができる。例えば、このパターンは、暫定的なエフェクターのクラス220の3つのエフェクター120の3つ全てのプロファイル124の有意な変化を同じ方向で示すバイオマーカー122を含み得る。例えば、「代謝物質45」型の代謝物質に関する全てのエフェクター120の場合、表示fh7を有するバイオマーカー122及び表示fh14を有するバイオマーカーは有意な変化を示すので、これらのバイオマーカー122はパターン130に割り当てることが好ましいはずである。このようにして、暫定的なエフェクターのクラス220に関するパターンを照合することができる。
【0089】
この暫定的なエフェクターのクラス220を用いて、エフェクターのクラス220に同様に割り当てられる更なるエフェクター120に関して、データベース116内で次いで検索を行うことができる。これは例えば図2D中、図2Cと同様の表示中に表される。多数の代謝物質118に関するバイオマーカー122を図表示の横行中に再度入力する。これらのバイオマーカーは順にエフェクター120に割り当てる。エフェクターのクラス220に既に割り当てられているメコプロップ-p、フェノフィブラート及びフタル酸ジブチル型のエフェクター120以外に、エフェクターとしてベザフィブラート(bezafibrate)、クロフィブラート(clofibrate)、ジカンバ(dicamba)及びジクロロプロプ-p(dichlorprop-p)及びそれらの関連プロファイル124が更なるエフェクター120として示される。図2C中と同様に図2D中では明確に特定されないパターン130の比較によって、同一又は類似のプロファイル124を有する、及び特に同一又は類似のパターン130を有する、更なるエフェクター120を確認することができる。このようにして、例えば群によって又は反復的に、エフェクターのクラス220に割り当てられる更なるエフェクター120を決定することができる。
【0090】
図3A及び3Bは、それによって所定エフェクター120の少なくとも1つの影響を確認することができる、本発明に係る方法の第一の例示的な実施形態を表す。考えられる影響は参照番号310によって図3B中に示す。図3Aは示した方法の例示的な実施形態の基本形の概略フローチャートを順に示し、図3Bは、フタル酸ジエチルヘキシル(diethylhexyl phthalate)型のエフェクター120に関する影響310の検索を、データベース内で行う表形の一例を示す。
【0091】
図3A中に表す方法では、方法ステップ312中で、少なくとも1つの既知の影響310に関して少なくとも1つのエフェクタークラスを最初に確立する。例として、例えば図2A〜2Dに関して記載した方法によって、エフェクターのクラスを決定する影響310を指定することができる。
【0092】
方法ステップ314中では、その影響310が確認される所定のエフェクター120に関して、少なくとも1つのパターン130を確立する。
【0093】
最後には、方法ステップ316中では、その影響が確認される所定のエフェクター120に関して方法ステップ314中で確認したパターン130と、少なくとも1つのエフェクタークラス220と組合せたエフェクター120の少なくとも1つのパターン130の間で比較を行う。
【0094】
図3Bによって、抽象的に図3A中に記載した方法を具体的で例示的な実施形態で表す。例えば図3A中に記載した方法のコンピュータ支援の実行のスクリーン表示を再度示す、ここに示す表示中で、フタル酸ジエチルヘキシル型のエフェクター120の1つ又は複数の影響が決定される。
【0095】
この目的のため、多数の影響310を図3B中に示す表の第一縦列中に入力する。表示中のこれらの影響310は、例えば多少の特徴表示によって与えられる。従って例えば、表示「liver_oxidative_stress_m_ld_hd_group_ef_putative_06122007」は、肝臓における特定のタイプの酸化ストレスを指定することができる。図3B中の表の第一縦列中の他の表示は他のタイプの影響310を示し、それらはここで詳細には取り扱わない。
【0096】
エフェクターのクラス又は場合によっては複数のエフェクタークラスは、例えば図2A〜2D中に記載した方法によって、これらの影響310のそれぞれに関して事前に決定することが好ましい。例えば、このエフェクターのクラス220の関連パターン130を有するそれぞれの影響310に関して、エフェクターのクラス220を保存することができる。
【0097】
更に、図3Bに従う表の第二及び第三縦列は、その影響が確認されるエフェクター120(この場合例えばフタル酸ジエチルヘキシル)のパターン130を、エフェクターのクラス220のパターンと比較する、非常に簡潔な方法で表す。示した例示的な実施形態又は他の場合は本発明の他の例示的な実施形態では、例えばピアソン相関法として知られる方法によってこれを行う。後者は間隔尺度特徴間の直線相関の程度の無次元尺度である。ここで示す値はピアソン相関係数rである。第三縦列では、それぞれの影響310又はそれぞれのエフェクタークラス220に関して、ピアソン相関係数318をそれらの信頼区間を含めて箱型で入力する。これらのピアソン相関係数318は、例えば図2B中に記載した反復法により決定した、エフェクターのクラス220のパターンの信頼性を基本的に示す。完全に信頼できるパターン130に関して、ピアソン相関係数318は+1で正確に存在し、言い換えるとそれぞれの場合図3B内の第三縦列中の遠方右手端で、不確定区間は0に等しい。代替的又はピアソン相関法、又はピアソン相関係数以外に、他のタイプの相関法又は相関係数を利用することもできる。例えば、スピアマン相関法又はスピアマン相関係数を、代替として又は追加的に利用することができる。
【0098】
更に、その影響を決定する所定のエフェクター120に関してステップ314中で決定したパターンの相関法は、それぞれの影響310又はエフェクターのクラス220に関してそれぞれ不確定区間で、第二縦列中には数値で、及び第三縦列中にはドットの形で図3Bにおいて入力する。ここで示すのは、それぞれの場合、(第二縦列中の)数値の形で及び第三縦列中の-1(左手端)から+1(右手端)までのスケールでのプロットとしてのピアソン相関係数rである。従って、このピアソン相関係数320は、それぞれの場合、その影響が決定されるエフェクター120のパターン130とエフェクターのクラス220のパターン130の一致度を示す。理想的な例では、言い換えると、問題のエフェクター120がエフェクターのクラス220と同じ影響を有するとき、図3Bにおける第三縦列中のこのピアソン相関係数320は、スケールの右手端、言い換えると+1に存在するはずである。
【0099】
図3B中の具体的な実施形態では、後者は特に最初の4つのエフェクタークラス220に関する例である。従って、問題のエフェクター、フタル酸ジエチルヘキシルはこれらの最初の4つのエフェクタークラスと同じ影響を有すると、高い可能性で言及することができる。比較的高い一致度は、図3Bにおける表中で5番目〜8番目のエフェクタークラス220に関しても更に見ることができる。
【0100】
他方で、他のエフェクタークラス220に関しては比較的低度の一致がある。従って、エフェクターフタル酸ジエチルヘキシルが、これらのエフェクタークラス220と同じ影響を有するということは、高い蓋然性で除外することができる。
【0101】
図3A及び3Bに記載の方法の結果として、従って、図3Bに記載の表における最初の4つのエフェクタークラス220の影響は、高い可能性でエフェクターフタル酸ジエチルヘキシルに割り当てることができる。このようにして、本発明の例示的な実施形態において、このエフェクター120に関するいくつかの影響をここで確認している。
【0102】
図4A及び4Bは、所定のエフェクターの少なくとも1つの影響を特定するための図3A及び3Bの代替法を表す。再度、図4Aはこの方法の概略フローチャートを示す。
【0103】
図4A中の方法ステップ410は、その影響が確認される所定のエフェクター120の少なくとも1つのパターン130を確立する方法ステップを表す。再度、これは例えば図1A及び1B中に記載された方法によって行うことができる。
【0104】
参照番号412は、多数の更なるエフェクター120に関するプロファイル124が保存されたデータベース116を提供する方法ステップを示す。この点に関して、再度、前の例示的な実施形態を参照することができる。
【0105】
参照番号414は、ステップ410中で確立されたパターン130と類似又は同一のパターンを有するエフェクター120を、データベース116内で検索する方法ステップを示す。これは再度、例えば相関法を使用した比較によって行うことができる。この点において、例えば図3Bの記載を再度参照することができ、類似の相関法も、例えばパターン130を比較するための方法ステップ414中で利用することができる。
【0106】
方法ステップ416中では、ステップ414中で確認されたエフェクター120(必ずしもそうである必要はないが、少なくとも1つのこのようなエフェクター120が確認されていると仮定する)が少なくとも1つの既知の影響を有するかどうかに関して調べる。これは例えば、エフェクターのクラス220に既に割り当てられたステップ414中で確認したエフェクター120によって、及び/又は確認されているエフェクター120に関する専門知識を再度使用することによって、行うことができる。
【0107】
方法ステップ418は条件付き方法ステップを表す。具体的には、方法ステップ416中で既知の影響が見られた場合、所定のエフェクターの影響を既知の影響と同等とする(同様に、複数の既知の影響を特定することができる)。問題のエフェクター120の少なくとも1つの影響はそれによって特定される。他の場合、即ちステップ416中で既知の影響が見られないとき、図4中の方法は結果を伴わなかった。
【0108】
図4Bは、例えばエフェクターフタル酸ジエチルヘキシルの例を参照することによって、この方法を例示する。このエフェクター120に関するパターン130を確立し、このパターン130はデータベース116内の複数の他のエフェクター120の既知のパターン130と比較する。図4Bは、このパターン比較の結果の視覚表現を示す。問題のエフェクター、フタル酸ジエチルヘキシルはデータベース116内にも含有され、従ってそれ自体も図4Bに記載の表示中に列挙されるからである。
【0109】
更に、所定のエフェクターフタル酸ジエチルヘキシルのパターン130とそれぞれのエフェクター120のそれぞれのパターン130との比較結果は、それぞれのエフェクター120に関して図4B中に示す表の第三縦列中に表す。再度、これらの比較は例えばピアソン相関法によって実施する。再度、ここでそれぞれの場合において示すのはピアソン相関係数rである。これらの相関結果によって一致を見出すことができ、一致度に従う優先順位付けとしてランク付けを実施することができる。1に等しいピアソン相関係数rを有する最大一致度(ランク1)は、当然ながらフタル酸ジエチルヘキシル自体によって表される。このエフェクター120のパターン130は、その独自のパターン130との完全な一致を本来もたらすからである。
【0110】
ピアソン相関係数r=0.713を有する次に最も近いパターンとして、「処理(Treatment)294」としてここに示すエフェクター120を図4Bに記載の表中で確認した。従って、問題のエフェクター、フタル酸ジエチルヘキシルは、エフェクター「処理294」と同じ又は少なくとも類似した影響を有すると予想される。
【0111】
方法ステップ416及び418は図4B中には示さない。例えば、エフェクター「処理294」が、例えば専門知識に基づいて、又は少なくとも1つの既知の影響310を有するエフェクタークラス220へのこのエフェクターの既知の割り当てに基づいて、既知の影響310を有することが見出される場合、例えば予め定義した一致閾値を超えて存在し得る0.713に等しい高いピアソン相関係数rに基づくと、問題のエフェクター、フタル酸ジエチルヘキシルも、この影響を有することを確認することができる。このエフェクターフタル酸ジエチルヘキシルの少なくとも1つの影響は、このようにして確認した。
【0112】
一般に、例えば図4A及び4B中の方法では、1つ又は複数の一致閾値を予め定義することができる。これらの一致閾値は例えば概ね任意で選択することができ、例えば0.5に等しいrを超えて、好ましくはr>0.6、特に好ましくはr>0.7で設定することができる。この一致閾値の反復適合は、例えば別の試験が、低すぎるこの閾値が選択された、即ち問題のエフェクター120が実際にはそれが有していない影響310を不適切に割り当てられたことを確認したときでも可能である。
【0113】
図4A及び4B中に記載した方法の有効性は、図5A及び5Bによって更に詳細に例示する。2つの化学的に類似した物質をこの例示的な実施形態において試験し、これらは以下の通りである:
2-アセチルアミノフルオレン
【化1】

【0114】
及び
4-アセチルアミノフルオレン
【化2】

【0115】
2-アセチルアミノフルオレンは、以下の影響310を有するエフェクター120であることが知られている:
-強力な肝酵素誘導剤
-肝臓発癌物質
-免疫抑制剤
-膀胱発癌物質。
【0116】
他方で、化学的に類似した物質4-アセチルアミノフルオレンに関しては、このエフェクター120は以下の影響310を有することが知られている:
-微弱な肝酵素誘導剤
-肝臓発癌物質なし
-肝臓中に脂質蓄積
-免疫抑制剤。
【0117】
化学的類似性にもかかわらず、これらのエフェクター120の非常に異なる影響310を実際に結果として観察することができる。問題は、これらの異なる影響を、本発明に係る方法によって特定することができるかどうかである。
【0118】
従って、図2Cと類似した表示において、図5Aは、様々な他のエフェクター120と、これらのエフェクターである2-アセチルアミノフルオレン及び4-アセチルアミノフルオレンの、代謝プロファイル124の比較を表す。例えば図2C中と同様に、本明細書で前に記載した方法により、このようにして、これらのエフェクター120のそれぞれに関するパターン130を確認することができる。他方で、図4Bと類似の表示において、図5Bは、図5Aによって確認されたパターン130のパターン比較を示す。ピアソン相関係数によるランク付けを、図4Bと類似の表示で再度ここに表す。図5B中の左側の表は、エフェクター2-アセチルアミノフルオレンと図5A中の他のエフェクター120に関するパターン130の比較を示し、右側の表は、エフェクター4-アセチルアミノフルオレンのパターン130と図5A中の残りのエフェクター120のパターンの比較を示す。
【0119】
相応して、エフェクター2-アセチルアミノフルオレン自体は、ピアソン相関係数r=1で、図5B中の左側の表において、ランク付けの第一位を自然に占める。右側の表において、エフェクター4-アセチルアミノフルオレンは、同様にピアソン相関係数r=1で第一位を相応して占める。問題のこれらのエフェクター、それぞれ2-アセチルアミノフルオレン及び4-アセチルアミノフルオレンに、それらの類似性の順に類似したエフェクターが続く。
【0120】
図5B中底部の表引用において、化学的に類似したエフェクター4-アセチルアミノフルオレンは、非常に低いピアソン相関係数r=0.229を有する第282位まで、2-アセチルアミノフルオレンを図5A中の他のエフェクター120と比較する左側の表において出現しないのを見ることができる。
【0121】
これらの結果は、異なるエフェクター120の影響を比較するため図4A及び4Bによって記載した方法は、実際の状況を非常によく反映することを印象的に示す。更に、この例示的な実施形態は、化学的に類似したエフェクター120でさえ非常に異なる影響310を有し得ることを示す。
【符号の説明】
【0122】
110 所定のエフェクターの少なくとも1つのプロファイルの提供
112 プロファイルの少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つの値と少なくとも1つの有意性閾値の比較
114 パターンを形成するためのプロファイルの有意なバイオマーカーの組合せ
116 データベース
118 代謝物質
120 エフェクター
122 バイオマーカー
124 プロファイル
126 化合物1に関するプロファイル
128 化合物2に関するプロファイル
130 パターン
210 少なくとも1つのエフェクターの指定
212 少なくとも1つのエフェクターの少なくとも1つのパターンの確立又は更新
214 更なるエフェクターに関するプロファイルを有するデータベースの提供
216 同一類似のプロファイルを有するエフェクターの検索
218 エフェクターのクラスへの確認したエフェクターの割り当て
220 エフェクターのクラス
310 影響
312 少なくとも1つの既知の影響に関する少なくとも1つのエフェクタークラスの確立
314 所定のエフェクターの少なくとも1つのパターンの確立
316 ステップ314からのパターンとステップ312からのパターンの比較
318 エフェクターのクラスのパターンに関するピアソン相関係数
320 エフェクターのパターンに関するピアソン相関係数
410 所定のエフェクターの少なくとも1つのパターンの確立
412 多数の更なるエフェクターに関するプロファイルが保存されたデータベースの提供
414 ステップ410中で確立したパターンと類似又は同一のパターンを有するエフェクターを求める、データベース内の検索
416 ステップ414中で確認したエフェクターが少なくとも1つの既知の影響を有するかどうか調べる
418 ステップ416中で既知の影響が見られる場合、所定のエフェクターの影響と既知の影響を同等とする

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物系に対する少なくとも1つの決定可能な影響(310)を有する少なくとも1つの所定のエフェクター(120)に関する少なくとも1つのパターン(130)を確立する方法であって、以下のステップ:
a)所定のエフェクター(120)の少なくとも1つのプロファイル(124)を提供するステップ、
b)プロファイル(124)の少なくとも1つのバイオマーカー(122)、好ましくはプロファイル(124)の複数又は全てのバイオマーカー(122)の少なくとも1つの値と、少なくとも1つの有意性閾値とを比較して、バイオマーカー(122)が有意であるかどうか確認するステップ、
c)プロファイル(124)の有意なバイオマーカー(122)を組合せてパターン(130)を確立するステップ
を含む方法。
【請求項2】
以下のステップ:
d)多数の更なるエフェクター(120)に関するプロファイル(124)が保存されたデータベース(116)を提供するステップ、
e)データベース(116)の少なくとも1つの更なるエフェクター(120)の少なくとも1つの更なるパターン(130)を確立するステップ
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下のステップ:
f)方法ステップe)中で確立された少なくとも1つの更なるパターン(130)を方法ステップc)中で確立されたパターン(130)と比較するステップ
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
以下のステップ:
g)少なくとも1つの更なるエフェクター(120)が少なくとも1つの既知の影響(310)を有するかどうか調べるステップ、
h)少なくとも1つの既知の影響(310)を所定のエフェクター(120)の予め決定した決定可能な影響(310)と比較するステップ
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
以下のステップ:
i)方法ステップf)中でパターン(130)の少なくとも部分的な一致が見られる場合、以下のステップを実施するステップ、
i1)方法ステップh)中で一致が見られない場合、有意性閾値を変え、特に有意性閾値を増大させ、少なくとも方法ステップb)及びc)を繰り返すステップ
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
方法ステップi)及びi1)を有意性閾値を段階的に増大させて繰り返し実施する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
以下のステップ:
j)方法ステップf)中でパターン(130)の一致が見られない場合、以下のステップを実施するステップ、
j1)方法ステップh)中で一致が見られる場合、有意性閾値を変え、特に有意性閾値を低減させ、少なくとも方法ステップb)及びc)を繰り返すステップ
を更に含む、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
方法ステップj)及びj1)を有意性閾値を段階的に低減させて繰り返し実施する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
所定の影響(310)又は影響の群(310)に関するエフェクターのクラス(220)を確立する方法であって、以下のステップ:
A)エフェクターのクラス(220)に割り当てられると考えられる少なくとも1つのエフェクター(120)を指定し、エフェクターのクラス(220)へ割り当てるステップ、
B)少なくとも1つのエフェクター(120)の少なくとも1つのパターン(130)を、特に請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって、確立又は更新するステップ、
C)多数の更なるエフェクター(120)に関するプロファイル(124)が保存されたデータベース(116)を提供するステップ、
D)同一又は類似のプロファイル(124)を有するエフェクター(120)を求めて、データベース(116)内を検索するステップ、
E)ステップD)中で決定されたエフェクター(120)をエフェクターのクラス(220)に割り当てるステップ
を含む方法。
【請求項10】
ステップB)〜E)の全て又は少なくとも1つを繰り返し実施する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
専門知識をステップA)中で利用する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
所定のエフェクター(120)の少なくとも1つの影響(310)を特定する方法であって、以下のステップ:
i)少なくとも1つの既知の影響(310)に関する少なくとも1つのエフェクタークラス(220)を、特に請求項9から11のいずれか1項に記載の方法によって、確立するステップ、
ii)所定のエフェクター(120)の少なくとも1つのパターン(130)を、特に請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって、確立するステップ、
iii)ステップii)中で確立されたパターン(130)とステップi)中で確立されたエフェクターのクラス(220)のパターン(130)とを比較するステップ
を含む方法。
【請求項13】
ステップiii)中で一致又は類似性が見られる場合、エフェクターのクラス(220)の既知の影響(310)を、所定のエフェクター(120)の、確認される影響(310)と同等とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
所定のエフェクター(120)の少なくとも1つの影響(310)を特定する方法であって、以下のステップ:
I)所定のエフェクター(120)の少なくとも1つのパターン(130)を、特に請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって、確立するステップ、
II)多数の更なるエフェクター(120)に関するプロファイル(124)が保存されたデータベース(116)を提供するステップ、
III)ステップI)中で確立されたパターン(130)と類似又は同一のパターン(130)を有するエフェクター(120)を求めて、データベース(116)内を検索するステップ、
IV)ステップIII)中で確認されたエフェクター(120)が少なくとも1つの既知の影響(310)を有するかどうか調べるステップ、
V)既知の影響(310)がステップIV)中で見いだされる場合、所定のエフェクター(120)の影響(310)と既知の影響(310)を同等とするステップ
を含む方法。
【請求項15】
コンピュータにおいて実施されるときに、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項16】
マシン可読媒体に保存された、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法の実施に適合されたコンピュータ。
【請求項18】
コンピュータ又はコンピュータネットワークのワーキングメモリ及び/又はメインメモリへのローディング後、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を実施する、データ構造が保存されたデータ媒体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2013−508835(P2013−508835A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534632(P2012−534632)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065450
【国際公開番号】WO2011/048007
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512005634)ビーエーエスエフ プラント サイエンス カンパニー ゲーエムベーハー (8)