説明

バイオリアクター内で増殖した細胞を採取する時の予測器

本発明は細胞増殖システムおよび細胞増殖システムからいつ細胞を採取するかを決定する方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2008年8月12日に出願された米国特許仮出願第61/088,223号および2009年3月13日に出願された米国特許仮出願第61/160,082号の利点を請求するものである。
【背景技術】
【0002】
(背景)
少量のドナー細胞から培養されて増殖されたヒト幹細胞は損傷したまたは欠陥のある組織を修復または置き換えるのに使用することができ、また広範囲の病気の治療に対する広範な臨床応用を有する。再生医療の分野における最近の進歩はヒト幹細胞が自己複製能力、特殊化されない状態を維持する能力、および特定の条件の元で特殊化された細胞へ分化する能力等のユニークな特性を有することを示している。
【0003】
再生医療の重要なコンポーネントとして、バイオリアクターすなわち細胞増殖システムは細胞成長および増殖のための最適化された環境を提供する役割を果たしている。バイオリアクターはクローズド滅菌システム内での細胞成長を助長する物理化学的環境を提供するだけでなく、細胞に栄養を与え代謝物を除去する。細胞増殖システムは幹細胞だけでなく他のタイプの細胞を増殖させるのにも使用することができる。
【0004】
多くの種類のバイオリアクターを現在入手することができる。最も一般的な2つは平板型バイオリアクターおよび中空糸型バイオリアクターである。平板型バイオリアクターは大きな平面上で細胞を増殖させることができ、中空糸型バイオリアクターは中空糸の内側または外側で細胞を増殖させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイオリアクターの内側を見てクローズド・システムの無菌性を破壊することなくいつ増殖された細胞を採取するかを決定するのは現在の慣行ではない。無菌性を維持しながらいつ細胞を採取するかを決定する方法が必要とされている。本発明はこのような方法に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は細胞増殖システムの細胞増殖室からいつ細胞を採取するかを決定する方法に関連している。細胞増殖室内に最初に装填された細胞の数を測定するステップと、細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間に生成される乳酸塩の濃度を測定するステップと、測定値を使用して細胞増殖サイクルの終りに細胞増殖室からいつ細胞を採取するかを決定するステップとを含んでいる。
【0007】
本発明は細胞を含む細胞増殖室、少なくとも1台のポンプおよびデジタル・コンピュータを含む細胞増殖システムにも関連している。デジタル・コンピュータは、さらに、少なくとも1つのプロセッサと、メモリと、ユーザ・インターフェイスと、コントローラ・インターフェイスとを含んでいる。ユーザ・インターフェイスは細胞増殖室内に最初に装填された細胞の数および細胞増殖サイクル中のさまざまな時間において測定された乳酸塩の濃度をオペレータが入力できるように構成される。メモリは細胞増殖室内に最初に装填された細胞の数および細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間に測定された乳酸塩の濃度を取得して細胞増殖室内の細胞をいつ採取すべきかを決定する。次に、メモリはプロセッサを介してコントローラ・インターフェイスへ信号を送り、少なくとも1台のポンプが細胞増殖室を介して流体を汲み上げて細胞増殖室から細胞を除去するよう命令する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】細胞増殖室の実施例の正面図である。
【図2】細胞増殖システムの実施例の略図である。
【図3】採取手順をいつ開始するかを示すグラフである。
【図4】採取手順をいつ開始するかを決定する方法の実施例のステップのフロー図である。
【図5】細胞増殖システムのデジタル・コンピュータ側面を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(詳細な説明)
前記したように、いくつかのバイオリアクターすなわち細胞増殖室構成が細胞培養のために存在している。本発明に対して特定の構成は必要とされない。しかしながら、限定はしないが、一例として中空糸型バイオリアクターが図1に示されている。
【0010】
図1に細胞増殖室100の例が正面図で示されている。細胞増殖室100は縦軸LA−LAを有し、細胞増殖室ハウジング104を含んでいる。少なくとも1つの実施例では、細胞増殖室ハウジング104は4つの開口すなわちポート、IC入口ポート108、IC出口ポート120、EC入口ポート128、EC出口ポート132を含んでいる。
【0011】
第1の循環経路内の流体は細胞増殖室100の第1の長手方向端部112におけるIC入口ポート108を介して細胞増殖室100へ入り、複数の中空糸116(中空糸は一般的に膜(membrane)とも呼ばれる)の毛細血管内側(さまざまな実施例において、中空糸膜の毛細血管内(intracapillary)(「IC」)側または「ICスペース」と呼ばれる)を通過し、細胞増殖室100の第2の長手方向端部124にあるIC出口ポート120を介して細胞増殖室100から出てゆく。IC入口ポート108およびIC出口ポート120間の流体経路は細胞増殖室100のIC部126を画定する。第2の循環経路内の流体はEC入口ポート128を介して細胞増殖室100へ流入し、毛細血管外側すなわち中空糸116の外側(膜の「EC側」または「ECスペース」と呼ばれる)と接触し、EC出口ポート132を経て細胞増殖室100を出る。EC入口ポート128およびEC出口ポート132間の流体経路は細胞増殖室100のEC部136を含んでいる。EC入口ポート128を経て細胞増殖室に入る流体は中空糸116の外側と接触する。小分子(たとえば、水、酸素、乳酸塩、等)が中空糸中をその内部すなわちICスペースからECスペースへ、またはECスペースからICスペースへ拡散することができる。増殖因子等の高分子量の分子は典型的に中空糸膜中を通過するには大き過ぎ、中空糸のICスペース内に留まる。媒体は必要に応じて交換することができる。また、必要に応じて媒体は人工肺中を循環してガスを交換することができる。細胞は第1の循環経路および/または第2の循環経路内に収納することができ、膜のIC側および/またはEC側とすることができる。
【0012】
細胞増殖室ハウジング104は円筒形として示されているが、長方形キューブ等のさまざまな形を有することができる。細胞増殖室ハウジング104は任意タイプの生体適合性高分子材料で作ることができる。
【0013】
次に、図2には細胞増殖システム(CES)の1つの可能な実施例の概略が示されている。CES200は第1の流体循環経路202(「毛細血管内ループ」または「ICループ」とも呼ばれる)および第2の流体循環経路204(「毛細血管外ループ」または「ECループ」とも呼ばれる)を含んでいる。第1の流体流路206が細胞増殖室100と流体的に連結されて第1の流体循環経路202を形成する。流体はIC入口ポート108を通って細胞増殖室100へ流入し、細胞増殖室100内の中空糸中を流れ、IC出口ポートを経て出てゆく。圧力計210が細胞増殖室100を離れる媒体の圧力を測定する。媒体はその流量を制御するのに使用できるIC循環ポンプ212中を流れる。次に、媒体は弁214中を流れる。当業者ならばお判りのように、追加弁および/または他の装置をさまざまな場所に配置して、流体経路の一部に沿って媒体を分離しかつ/またはその特性を測定することができる。したがって、図示した略図はCESのさまざまなエレメントに対する1つの可能な構成を表し、図示した略図の修正は1つ以上の本発明の範囲内である。
【0014】
ICループに関して、操作中にサンプル・ポート216またはサンプル・コイル218から媒体のサンプルを得ることができる。第1の流体循環経路202内に配置された圧力/温度計220により操作中の媒体圧力および温度を検出することができる。また、バイオセンサ(図示せず)を第1の流体循環経路202内に流体的に配置して流体流路内の代謝レベルを測定することができる。次に、媒体はIC入口ポート108へ戻って流体循環経路202を完了する。細胞増殖室100内で成長/増殖された細胞はライン296および弁298を経て細胞増殖室100から流し出すか、あるいはさらに増殖させるために中空糸内で再配分することができる。
【0015】
第2の流体循環経路204はループ内の細胞増殖室100と流体的に連結される第2の流体流路222を含んでいる。第2の流体循環経路204はEC入口ポート128を経て細胞増殖室100に入り、EC出口ポート132を経て細胞増殖室100を離れる。媒体は細胞増殖室100内の中空糸の外側に接触するため、小分子は中空糸内外で拡散することができる。
【0016】
第2の流体循環経路204内に配置された圧力/温度計224により、媒体の圧力および温度は媒体が細胞増殖室100のECスペースへ入る前に測定することができる。圧力計226により第2の流体循環経路204内の媒体の圧力は媒体が細胞増殖室100を離れた後で測定することができる。ECループに関して、媒体のサンプルは操作中にサンプル・ポート230から得ることができる。ICループ内で見つかるようなサンプル・コイル218はEC媒体のサンプルを除去するECループ内でも見つけることができる。
【0017】
細胞増殖室100のEC出口ポート132を離れた後で、第2の流体循環経路204内の流体はEC循環ポンプ228を介して人工肺232へ通過する。第2の流体流路222は人工肺入口ポート234および人工肺出口ポート236を経て人工肺232と流体的に連結されている。操作において、流体媒体は人工肺入口ポート234を経て人工肺232へ流入し、人工肺出口ポート236を経て人工肺232を出る。人工肺232はCES内の媒体へ酸素を加えそこから気泡を除去する。さまざまな実施例において、第2の流体循環経路204内の媒体は人工肺232へ入る気体と平衡状態にある。人工肺232は当技術分野で知られている適切なサイズの人工肺とすることができる。空気または気体がフィルタ238を経て人工肺232へ流入し、フィルタ240を経て人工肺232から流出する。フィルタ238および240は人工肺232および関連する媒体の汚染を低減または防止する。
【0018】
CES200に対して示す構成において、第1の流体循環経路202および第2の流体循環経路204内の流体媒体は細胞増殖室100中を同方向に流れる(並流構成(co−current configuration))。当業者ならば、CES200は流体を逆流構造(counter−current conformation)で流すようにも構成できることを認識するであろう。当業者ならば、各入口および出口ポートは細胞増殖室内の任意の場所に配置できることも認識するであろう。
【0019】
少なくとも1つの実施例では、細胞および流体媒体は第1の流体入口経路242を経て流体循環経路202へ導入される。流量容器244(たとえば、溶剤)および流量容器246(たとえば、IC媒体)は、それぞれ、弁248および250を経て第1の流体入口経路242と流体的に連結されている。さまざまな入口経路のプライミングの目的で、第1および第2のシール可能な無菌プライミング経路208および209が設けられる。細胞および流体は熱交換機252(使用される場合)、IC入口ポンプ254中を進んで空気除去室256内に入る。空気除去室256は第1の循環経路202と流体的に連結されている。空気除去室256はその中の特定の測定位置における空気または流体の欠如を検出するための1つ以上の超音波センサを含むことができる。たとえば、超音波センサは空気除去室256の底部付近および/または頂部付近で使用してこれらの場所における空気または流体を検出することができる。プライミング・シーケンスの部分中にCES200から追い出された空気や気体は空気除去室256と流体的に関連付けられているライン258を経て大気排気空気弁(atmosphere out air valve)260へ放出することができる。
【0020】
流体容器262(たとえば、細胞入口バッグ(または塩類液プライミング流体))が弁264を経て第1の循環経路202と流体的に連結されている。追加流体を流体容器266(たとえば、洗浄液)および流体容器268(たとえば、EC媒体)から第1または第2の流体循環経路202および204へ加えることができる。流体容器266は弁270と流体的に連結されており、それは分配弁272および第1の流体入口経路242を経て第1の流体循環経路202と流体的に連結されている。あるいは、流体容器266は弁270を開き分配弁272を閉じることにより第2の流体入口経路274と流体的に連結することができる。同様に、流体容器268は弁276と流体的に連結されており、それは第1の流体入口経路242を経て第1の流体循環経路202と流体的に連結されている。あるいは、流体容器268は弁276を開き分配弁272を閉じることにより第2の流体入口経路274と流体的に連結される。
【0021】
ICループ内で、流体は最初にIC入力ポンプ254により進められる。ECループ内で、流体は最初にEC入力ポンプ278により進められる。超音波センサ等の空気検出器280をEC入口経路284と連結することができる。
【0022】
少なくとも1つの実施例では、第1および第2の流体循環経路202および204が廃棄ライン288と接続される。弁290が開かれると、IC媒体は熱交換機252に繋がれ次に廃棄バッグ286に繋がれる廃棄ライン288中を流れることができる。同様に、弁292が開かれると、EC媒体は熱交換機252に繋がれ次に廃棄バッグ286に繋がれる廃棄ライン288中を流れることができる。熱交換機252は廃棄ライン288から熱を回収して、それぞれ、第1または第2の流体入口経路242および274を経て入ってくる流体を加熱するのに利用できるようにする。
【0023】
細胞は細胞採取経路296を経て採取することができる。ここで、細胞増殖室100からの細胞は細胞採取経路296および弁298を介して細胞採取バッグ299へ細胞を含む媒体を汲みあげて採取することができる。細胞を採取する時、または他の所望する時に、分配ポンプ294は第1および第2の流体循環経路202および204間に配置されたコネクタ経路282を介して媒体を汲みあげることができる。
【0024】
CESのさまざまなコンポーネントをインキュベータ(図示せず)内に収納することができ、インキュベータは細胞および媒体を所望温度に維持する。
【0025】
当業者ならばお判りのように、任意数の流体容器(たとえば、媒体バッグ)を任意の組合せでCESと流体的に連結することができる。さらに、空気除去室、または空気除去室から独立したセンサ、の場所はIC入口ポート108の前のCES内の任意の場所とすることができる。
【0026】
図5に示すように、デジタル・コンピュータ1600がCES200と有効に関連付けられている。デジタル・コンピュータ1600はメモリ1604、少なくとも1つのプロセッサ1608、およびユーザ入力装置(マウス、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、光センサまたは言葉による指示)を経てユーザから命令を受信するユーザ・インターフェイス1612を含んでいる。さらに、デジタル・コンピュータ1600はセンサ(圧力、温度、およびバイオセンサ)等のCESエレメント1624に対して情報を中継し、ポンプおよび弁等のCES200のさまざまな機械的システムを命令するCESコントローラ・インターフェイス1620を含んでいる。デジタル・コンピュータ1600は、1つ以上の流体バッグがローおよび/または空であるかどうか等の、CES200の他の側面を監視するための追加センサと通信することができる。デジタル・コンピュータ1600により利用されるプログラミングは、限定はしない例として、ソフトウエアまたはファームウェアを含むことができる。
【0027】
増殖サイクル中に、ある量の流体が細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間に流体循環経路(ICおよび/またはEC回路)から典型的に除去され、流体内の代謝産物および細胞増殖の他の副産物の量について解析される。流体流回路から除去された流体は任意の市販されている血液ガス分析装置(ここで使用された血液ガス分析装置はシーメンス800シリーズであった)へ通されて流体内に含まれる代謝産物の量を測定することができる。血液ガス分析装置を使用して、乳酸塩(またはグルコース)の濃度をmM/Lで測定することができる。直接化学等の他の測定方法も使用することができる。
【0028】
代謝産物はバイオセンサを使用して測定することもできる。任意の市販されているバイオセンサを使用することができる。バイオセンサが滅菌されているか、あるいは酸化エチレンやガンマ線照射により滅菌できる材料で作られておれば、それを直接流体ライン内に流体的に接続することができる(インライン)。バイオセンサを滅菌できない場合、それは無菌バリア・フィルタを経て間接的に流体ライン内に接続することができる。
【0029】
グルコースおよび乳酸塩分子は十分小さく膜を横切って均等に拡散し、平衡している。したがって、IC202またはEC204側、あるいは廃棄ライン288内で任意の手段により正確な測定を行うことができる。流体はサンプリング・ポート216またはサンプル・コイル218を介してICループ202から、さらに/またはサンプリング・ポート230を介してECループ204から除去することができる。
【0030】
好気的に増殖する細胞はグルコースおよび酸素を消費して乳酸塩を作り出す。細胞増殖室内に存在する細胞が多いほど、多くのグルコースおよび酸素が消費されて多くの乳酸塩が作り出される。細胞が高密度で、特に粘着性の細胞であれば、コロニー間の増加した細胞間相互作用により細胞増殖は減速する。細胞凝集も高い細胞密度において生じる。細胞増殖室の内側を直接見て細胞がシステムの無菌性を破壊することなく互いに増殖しているかを確かめることは現在慣例的に行われてはいない。したがって、乳酸塩等の細胞増殖の代謝産物、またはグルコースおよび酸素等の細胞増殖中に消費される産物を間接測量として使用し、細胞が合流点に達していて採取されなければならないかを決定できれば有利である。
【0031】
細胞倍増数を決定し、次に、それは細胞増殖が鈍化する前に細胞を再播種または採取するための最善の時間を決定するようなアルゴリズムを発生することができる。倍増数は生成された乳酸塩の質量および細胞増殖システム内に最初に装填された細胞の数を使用して決定することができる。
再播種または採取は倍増数=d’の時に行われるべきであり、
N=システム内の細胞数
=細胞増殖室内に装填された開始細胞数
乳酸塩の質量mの変化率はNに比例する
【数1】


倍増数を決定し、次に、それが再播種または採取する最善の時間を決定するようなアルゴリズムが使用される。倍増数は乳酸塩質量mおよびシステム内の初期細胞数Nから決定することができる。
【数2】

【0032】
作り出される乳酸塩の割合は任意の時点におけるシステム内の細胞の数に比例する。細胞の数が増加すると細胞増殖率が減少するため、乳酸塩生成率も減少すると予期される。アルゴリズムに最初に入れられる数はcおよびラインが平坦化するポイントの両方を変える。
【0033】
細胞増殖室内に最初に装填される細胞の数、採取された細胞の数、および採取時の乳酸塩生成率を使用して、細胞増殖が鈍化し細胞が凝集を開始する前にいつ細胞を採取するか決定することができる。これは図4に示されている。
【0034】
このアルゴリズムは図3に示すようにグラフ表示することができる。予期されるように、またグラフに示すように、曲線はコロニーがお互いの中に増殖するのに十分大きくなる時に指数関数的であることをやめ平坦化する。
【0035】
限定はしないが1つの例として、1千万個の細胞が最初に細胞増殖室内に装填されており、オペレータは採取時に1億4千万個の細胞を望んでおれば、乳酸塩生成率がおよそ2.2mM/日の時に細胞を採取しなければならない。
【0036】
オペレータはアルゴリズムの物理的発現(図3)を使用していつ細胞を採取するか決定することができ、あるいはアルゴリズムをデジタル・コンピュータ1600で使用するためにコンピュータ・プログラム内に埋め込むことができる。
【0037】
少なくとも1つの実施例では、図4に示すように、デジタル・コンピュータ1600はアルゴリズムを含むメモリを有するプロセッサに接続される。細胞増殖サイクル中に、特定量の乳酸塩が増殖する細胞により生成されておれば、プロセッサは細胞を採取する時であることをオペレータに通知する。もう1つの実施例では、特定量の乳酸塩が生成されておればプロセッサは採取プロトコルを開始することができる。
【0038】
このアルゴリズムを使用して、任意タイプのバイオリアクターに対して付着細胞を採取するのに最適の時はいつであるかを決定することができる。
【0039】
当業者ならば、本発明の範囲および精神から逸脱することなく本発明の構造および方法論をさまざまに修正および変更できることは自明である。本発明は特許請求の範囲および同等のものの範囲内に入る修正および変更を包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞増殖システムの細胞増殖室からいつ細胞を採取するかを決定する方法であって、
前記細胞増殖室内に最初に装填された細胞の数を測定するステップと、
細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間において生成された乳酸塩の濃度を測定するステップと、
測定値を使用して細胞増殖サイクルの終りに前記細胞増殖室から増殖された細胞をいつ採取するかを決定するステップと、
を含む前記方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、細胞増殖サイクルの終りに前記細胞増殖室から前記細胞を採取する時はいつであるかを決定する前記ステップはlnm=c+lnNである前記方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間において生成された乳酸塩の前記濃度を測定する前記ステップは、さらに、前記細胞増殖システムの廃棄ラインの乳酸塩を測定するステップを含む前記方法。
【請求項4】
細胞増殖システムと動作可能に結合されたデジタル・コンピュータであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記細胞増殖システム内に最初に装填された細胞の数、および、
細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間において測定された乳酸塩の濃度を、
オペレータが入力できるように構成されたユーザ・インターフェイスと、
コントローラ・インターフェイスと、
細胞増殖室内に最初に装填された細胞の前記数および前記細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間において測定された乳酸塩の前記濃度を取得して前記細胞をいつ採取すべきか決定するアルゴリズムを含むメモリと、
を含む前記デジタル・コンピュータ。
【請求項5】
細胞を含む細胞増殖室と、
少なくとも1台のポンプと、
細胞増殖システムと動作可能に結合されたデジタル・コンピュータと、
を含む細胞増殖システムであって、前記デジタル・コンピュータは、
少なくとも1つのプロセッサと、
メモリと、
前記細胞増殖室内に最初に装填された細胞の数、および
細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間において測定された乳酸塩の濃度を、オペレータが入力できるように構成された
ユーザ・インターフェイスと、
コントローラ・インターフェイスと、を含み、
前記メモリは前記細胞増殖室内に最初に装填された細胞の前記数および前記細胞増殖サイクル全体を通してさまざまな時間において測定された乳酸塩の前記濃度を取得して前記細胞増殖室内の前記細胞をいつ採取すべきかを決定し、さらに、少なくとも1つのプロセッサを介して前記コントローラ・インターフェイスへ信号を送って前記少なくとも1台のポンプに前記細胞増殖室を介して流体を汲み上げ前記細胞増殖室から前記細胞を除去するよう命令する細胞増殖システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−530310(P2011−530310A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523049(P2011−523049)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/052970
【国際公開番号】WO2010/019439
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(507145514)カリディアンビーシーティ、インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】