説明

バイオ燃料の処理

バイオ燃料を処理するための方法、吸着剤、及び装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ燃料を処理するための方法、及びバイオ燃料を処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ燃料を効率的且つ有効に精製及び乾燥する方法に関する必要性が当該技術において存在する。更に、バイオ燃料をコスト的に有効な方法で処理する方法に関する必要性が当該技術において存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、産業において求められている特定の仕様に適合するように精製及び乾燥することによってバイオ燃料を処理する方法を見出すことに関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの代表的な態様においては、本発明は、バイオ燃料を含む流体を吸着剤と接触させることを含み、吸着剤が少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含む、アルキルエステルの処理方法に関する。
【0005】
他の代表的な態様においては、本発明は、バイオ燃料を含む流体を吸着剤と接触させ;そして吸着剤を再生する;ことを含む、バイオ燃料の処理方法に関する。
更なる代表的な態様においては、本発明は、バイオ燃料を含む流体を、バイオ燃料の製造において用いた極性溶媒と接触させることを含む、バイオ燃料の処理方法に関する。
【0006】
更なる代表的な態様においては、本発明は、脂肪酸エステルを含む流体を第1の吸着剤と接触させ;この流体を第2の吸着剤と接触させ;そして、第1及び第2の吸着剤を再生する;ことを含む、バイオ燃料の処理方法に関する。
【0007】
他の代表的な態様においては、本発明は、少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含む、バイオ燃料を処理するための吸着剤に関する。
更なる代表的な態様においては、本発明は、少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含む吸着剤を含む容器を含む、バイオ燃料を処理するための装置に関する。好ましい態様においては、吸着剤は固定床の形態であってよい。
【0008】
更なる代表的な態様においては、本発明は、第1の無機金属酸化物吸着剤を、第1の金属酸化物吸着剤と異なる組成を有する第2の無機金属酸化物吸着剤と組み合わせて含む、バイオ燃料を処理するための吸着剤に関する。第1の金属酸化物吸着剤は、第2の金属酸化物吸着剤の層と隣接する層の形態であってよく、或いは第2の金属酸化物吸着剤の複数の層の間であってもよく、或いは第2の金属酸化物吸着剤の層と1以上の金属酸化物吸着剤の層との間であってもよい。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴は、開示された態様の以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を検討すれば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、バイオディーゼル燃料を製造する代表的な方法のフロー図を示す。
【図2】図2は、本発明によってバイオディーゼル燃料を処理する代表的な方法のフロー図を示す。
【図3】図3は、本発明のバイオディーゼル燃料を処理するのに好適な代表的な装置の概略図を示す。
【図4】図4は、本発明のバイオディーゼル燃料を処理するのに好適な代表的な装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の原理の理解を促進するために、以下において本発明の特定の態様の説明を行い、特定の用語を用いて特定の態様を説明する。しかしながら、特定の用語を用いることによって本発明の範囲を限定することは意図していないことが理解されよう。議論される本発明の原理の変更、更なる修正、及びかかる更なる適用は、本発明が属する技術の当業者に通常的に想到されると考えられる。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲において用いる単数形「a」、「and」、及び「the」は、記載が他に明確に示さない限り複数の指示物を包含することに注意すべきである。したがって、例えば「酸化物(an oxide)」という記載は複数のかかる酸化物を包含し、「酸化物(oxide)」という記載は1種類以上の酸化物及び当業者に公知のその均等物などの記載を包含する。
【0013】
例えば、本発明の幾つかの態様の説明において用いる組成物中の成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、回収率又は収率、流速、及び同様の値、並びにその範囲を修飾する「約」は、例えば典型的な測定及び取り扱い手順を通して、これらの手順における偶然のエラーを通して、方法を行うために用いる成分における差を通して起こる可能性のある数量の変動;並びに同様の近似考慮事項を指す。「約」という用語はまた、特定の初期濃度を有する配合物又は混合物の熟成によって相違する量、並びに特定の初期濃度を有する配合物又は混合物の混合又は処理によって相違する量も包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲はこれらの量の均等範囲を包含する。
【0014】
ここで用いる「金属酸化物」という用語は、金属又はメタロイドの酸化物として定義される。金属としては、周期律表上のホウ素からポロニウムへ引かれる対角線の左側の元素が挙げられる。メタロイド又は半金属としては、この線上の元素が挙げられる。金属酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、アルミノシリケート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
ここで用いる「脂肪物質」とは、主として脂肪酸基を含む有機分子から構成される植物性物質又は動物性物質から誘導される物質、例えばグリセリドを含む油脂として定義される。油脂は、バター脂、カカオバター、カカオバター代替品、イリッペ脂、コカムバター、乳脂、マーワ脂、フルワラバター、サル脂、シアバター脂、ボルネオ獣脂、豚脂、ラノリン、牛脂、羊脂、獣脂又は他の動物性脂肪、キャノーラ油、ヒマシ油、ココナッツ油、コリアンダー油、コーン油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、麻実油、亜麻仁油、マンゴー核油、メドウフォーム油、牛脚油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、パームオレイン、パームステアリン、パーム核オレイン、パーム核ステアリン、ピーナツ油、菜種油、米糠油、ベニバナ油、サザンカ油、大豆油、ヒマワリ油、トール油、椿油、植物油、プラスチック又は固体脂肪に転化させることができる魚油、例えばメンヘーデン、ユーラカン油、タラ肝油、オレンジラッフィー油、パイルヘルド(pile herd)、鰯油、鯨油及び鰊油、1,3−ジパルミトイル−2−モノオレイン(POP)、1(3)−パルミトイル−3(1)−ステアロイル−2−モノオレイン(POSt)、1,3−ジステアロイル−2−モノオレイン(StOSt)、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、ベヘン酸トリグリセリド、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、中鎖脂肪酸のグリセリド、又はこれらの組み合わせを含んでいてよい。
【0016】
ここで用いる「グリセリド」という用語は、化学式:CHRCHR’CHR”(式中、R、R’、及びR”は、アルコール(OH)、又は−OC(=O)R’”(ここでR’”は、置換基を有するか又は有しない、飽和、不飽和、又は多飽和の、直鎖又は分岐の炭素鎖である)によって与えられる脂肪酸基である)によって与えられる分子を含む。与えられたグリセリド上のR、R’、R”、及び脂肪酸基は、同一であっても異なっていてもよい。酸基R、R’、及びR”は、ここで記載する任意の遊離脂肪酸から得ることができる。本発明のためのグリセリドとしては、R、R’、及びR”が全て脂肪酸基であるトリグリセリド;R、R’、及びR”の2つが脂肪酸基であり、1つのアルコール官能基が存在するジグリセリド;R、R’、及びR”の1つが脂肪酸基であり、2つのアルコール官能基が存在するモノグリセリド;並びにR、R’、及びR”のそれぞれがアルコール基であるグリセロール;が挙げられる。本発明の出発物質として有用なグリセリドとしては、天然、加工、精製、及び合成油脂が挙げられる。精製油脂の例は、本明細書及びStauffer, C., Fats and Oils, Eagan Press, St. Paul, Minn.に記載されている。加工油脂の例は、水素化及び分別油脂である。
【0017】
「脂肪酸基」又は「酸基」という用語はいずれも、−OC(=O)R’”によって与えられる化学基を指す。かかる「脂肪酸基」又は「酸基」は、カルボニル炭素に単結合している酸素原子への共有結合を介してグリセリドの残りの部分に結合する。これに対して、「脂肪酸」又は「遊離脂肪酸」という用語はいずれも、HOC(=O)R’”を指し、グリセリドに共有結合していない。「脂肪酸基」、「酸基」、「遊離脂肪酸」、及び「脂肪酸」において、R’”は、ここで議論したような、置換基を有するか又は有しない、飽和、不飽和、又は多飽和の、直鎖又は分岐の炭素鎖である。当業者であれば、ここで記載する「遊離脂肪酸」又は「脂肪酸」(則ちHOC(=O)R’”)のR’”は、本発明の脂肪物質として用いるグリセリド又は他のエステルに結合する「脂肪酸基」又は「酸基」におけるR’”として有用であることを認識するであろう。則ち、本発明の脂肪物質は、ここで議論する遊離脂肪酸又は脂肪酸から形成される脂肪酸基を有する脂肪、油、又は他のエステルを含んでいてよい。
【0018】
ここで用いる「アルキルエステル」という用語は、生のディーゼル燃料又はディーゼル燃料エキステンダー(則ちバイオディーゼル)として用いることができる油脂のアルキルエステル誘導体として定義される。「バイオディーゼル」という用語は、動物性又は植物性グリセリド上に見られる脂肪酸基の低級アルキルエステルを含む。低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、及びイソプロピルエステルが挙げられる。バイオディーゼルの具体化においては、初めの脂肪物質は油脂を含み、これをここで記載するように脱臭する。この脂肪物質に1種類以上の低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノール)を加え、次に混合物を酵素と接触させる。酵素によってアルコールが脂肪酸基とエステル化し、これが油脂グリセリドの一部となる。例えば、グリセリド上のR、R’、又はR”は、−OC(=O)R’”によって与えられる脂肪酸基である。メタノールをエステル化すると、バイオディーゼル材料はCHC(=O)R’”である。また、バイオディーゼル材料は、油脂に加える遊離脂肪酸又は他のエステルとの低級アルコールのエステル化も含む。エステル化は、また米国特許5,578,090;5,713,965;及び6,398,707(これらの全ての主題は参照として本明細書中に包含する)において議論されているようなバイオディーゼルの製造に関係するプロセスも包含する。
【0019】
ここで用いる「吸着剤」という用語は、有機材料(例えば天然及び合成ポリマー等)及び/又は無機材料(例えば、クレー、シリカ、アルミナ等のような金属酸化物)を含む天然又は合成吸着剤などの、脱ガムしたグリセリドに接触させるのに用いることができる任意の商業的に入手できる吸着剤材料として定義される。例としては、天然ミネラル、加工/活性化ミネラル、モンモリロナイト、アタパルジャイト、ベントナイト、パリゴルスカイト、フラー土、珪藻岩、スメクタイト、ホルマイト、ケイ砂、石灰石、カオリン、ボールクレー、タルク、葉蝋石、パーライト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカヒドロゲル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、透析シリカ、繊維状材料、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、微結晶質セルロース、アルミナ、ゼオライト、デンプン、モレキュラーシーブ、珪藻土、イオン交換樹脂、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂、キレート樹脂、モミ殻粉、逆相シリカ、漂白クレー、及び全てのタイプの活性炭、並びにこれらの混合物が挙げられる。商業的に入手できるシリカ粒子としては、W.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できるTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子が挙げられるが、これらに限定されない。TriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子の説明は、米国特許5,336,794;5,231,201;4,939,115;4,734,226;及び4,629,588(これらのそれぞれの主題はその全部を参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。モレキュラーシーブ又はゼオライトは、異なる比及び形態のシリカ及びアルミナを含んでいてよく、更なる金属カチオンを含んでいてもよい。ゼオライトは、アピカル位の酸素原子を共有することによって互いに結合しているSiO及びAlO四面体を含む構造単位の三次元ネットワークを有していてよい。ケイ素及びアルミニウム原子は、四面体の中心に位置する。アルミノシリケート構造は、非常に多孔質であり、分子サイズの窓を通して接近することができる三次元の孔を有する。水和状態においては、ゼオライトは式:M2/nO:Al:xSiO:yHO(式中、Mは金属カチオンであり;nはカチオンの価数であり;x及びyはそれぞれシリカ及び水のモル数を表す)によって表すことができる。かかるゼオライトとしては、菱沸石(ゼオライトD)、クリノプチロライト、エリオナイト、フォージャサイト(ゼオライトX及びゼオライトY)、フェリエライト、モルデナイト、ゼオライトA、ゼオライトP等を挙げることができ、米国特許4,440,871;4,310,440;及び4,567,027(これらの全ての主題は参照として本明細書中に包含する)に示されている。
【0020】
ここで用いる「バイオ燃料」という用語は、バイオマスから構成されるか又はこれから誘導される、固体、液体、又は気体の燃料として定義される。本出願においては、バイオ燃料は、好ましくはバイオマスから誘導される液体又は気体の燃料の形態である。例としては、アルキルエステル及びアルコールが挙げられる。
【0021】
ここで用いる「不純物」という用語は、水、モノ、ジ、トリグリセリド、残留アルコール、遊離グリセリン、石鹸、触媒のような固体、リン脂質、並びにCa、Mg、Na、及びKのような金属として定義される。
【0022】
本発明による1つの代表的な態様においては、バイオディーゼルをバイオ燃料として用いる。バイオディーゼル前駆体及びバイオディーゼル燃料は、共に係属している米国特許出願60/777,303(その全ての主題は参照として本明細書中に包含する)において示されている方法を用いて製造することができる。
【0023】
あるいは、アルキルエステルを含むバイオ燃料は、米国特許5,525,126;5,532,392;5,578,090;5,713,965;5,308,365;6,015,440;及び6,447,557(これらの全ての主題は参照として本明細書中に包含する)に記載されているもののような種々の技術及びプロセスによって製造することができる。
【0024】
バイオディーゼル燃料前駆体(例えば原料油)は、更に処理してバイオディーゼル燃料を製造することができる。この態様においては、バイオディーゼル燃料前駆体をエステル交換工程にかけて、バイオディーゼル燃料前駆体をより小さいエステル分子及びグリセリンに転化させる。代表的なエステル交換工程は、下記:
【0025】
【化1】

【0026】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、約3〜約22個の炭素原子(より通常的には約12〜約18個の炭素原子)を有するアルキル基であり;Rは、約1〜約4個の炭素原子(より通常的には約1〜約2個の炭素原子)を有するアルキル基である)
に示す反応を含む。
【0027】
上記のエステル交換反応において示されるように、1モルのバイオディーゼル燃料前駆体から3モルの低級アルキルエステル(則ちバイオディーゼル燃料)を製造することができる。上記の反応においては、反応を開始させるために触媒を用いる。典型的には、エステル交換反応において用いる触媒は、酸及び塩基から選択される。好適な触媒としては、NaOH、KOH、及びNaOCHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
上記の反応は、3モルの低級アルキルアルコールが1モルのトリグリセリドと反応することを示唆する。しかしながら、典型的には、反応のグリセリン/アルキルエステル側に向かって反応を推進させるために、トリグリセリド1モルあたり、3モルより多い低級アルキルアルコールを用いることが通常であり、約6モルより多い低級アルキルアルコールを用いることがより通常である。
【0029】
エステル交換反応に続いて、通常の分離技術を用いてグリセリンを低級アルキルエステルから分離する。
続いて、アルキルエステルを清浄化又は精製して副生成物又は不純物(例えば、石鹸、水、微量元素、遊離グリセリン)を除去して、バイオディーゼル燃料(例えばASTM D 6751及びDIN EN 14214に適合するもの)を製造するのに好適なバイオディーゼル燃料前駆体を得る。得られるアルキルエステルは、燃焼機関においてバイオディーゼル燃料として用いることができる。
【0030】
バイオディーゼル燃料を製造する1つの代表的な方法100を図1に示す。脱ガム及び精製されたグリセリドを含むバイオディーゼル燃料前駆体(例えば原料油)101を、反応容器(図示せず)中に導入する。更に、1種類以上の低級アルキルアルコール(例えば、メタノール、エタノール、又はこれらの組み合わせ)102及び触媒103を、反応容器中に導入する。エステル交換反応(則ち、前駆体のアルキルエステルへの転化)104を開始し、通常のプロセス制御装置(図示せず)を用いて、バイオディーゼル燃料前駆体101と1種類以上の低級アルキルアルコール102との間の反応の進行を監視する。例えば、プロセス制御装置を用いて、1種類以上の反応物質(例えば、バイオディーゼル前駆体101、アルコール102等)、及び/又は反応の1種類以上の生成物(例えばアルキルエステル105)の濃度を監視することができる。
【0031】
プロセス制御装置によって、反応が所望の程度まで(例えばバイオディーゼル燃料前駆体101が1種類以上の低級アルキルエステル105へ完全に転化するまで)完了したかどうかを決定する。反応が所望の程度まで進行していないという決定がなされたら、反応を継続する。反応が所望の程度まで進行したという決定がなされたら、1種類以上の低級アルキルエステル105及びグリセリン106(並びに任意の未反応の反応物質)を含む反応混合物を分離ユニット(図示せず)に導入し、ここで1種類以上の低級アルキルエステル105をグリセリン106(及び任意の未反応の反応物質、例えばアルコール)から分離して、バイオディーゼル燃料を形成する。任意の未反応のアルコール107は、分離して反応104に再循環することができる。
【0032】
バイオ燃料が製造されたら、精製及び乾燥することによって処理して、産業において求められている特定の仕様に適合するようにすることができる。かかる仕様としては、EN 14214及びASTM 6751が挙げられ、これらは、燃料が特定量の水、塩、遊離グリセリン、モノ、ジ、及びトリグリセリド、石鹸、イオウ、及びリンしか含まないことを求める。典型的には、かかる精製及び乾燥は、洗浄及び分離を行い、続いて乾燥109を行うことによって実施する。しかしながら、本発明による代表的な態様においては、洗浄、分離、及び乾燥を、吸着剤を用いる精製及び乾燥110に置き換え、これによって純粋なバイオディーゼル生成物111を与える。これにより、従来のバイオディーゼル処理のために必要な大きな製造コスト、時間、及び装置が排除される。
【0033】
1つの代表的な態様においては、本発明は、バイオ燃料を含む流体を、少なくとも2種類の金属酸化物を含む吸着剤と接触させることによってバイオ燃料を処理する方法に関する。バイオ燃料は、バイオディーゼル、エタノール、又はこれらの混合物などのアルキルエステル又はアルコールを含んでいてよい。好ましくは、バイオ燃料は、脂肪酸基を有するアルキルエステルを含むバイオディーゼルである。金属酸化物は、ここで定義するような複数の金属酸化物の任意の組み合わせを含んでいてよく、これにより不純物及び湿分も好ましく除去される。例としては、ゼオライト、シリカ、アルミナの混合物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。金属酸化物は、粒状物、顆粒、ビーズ、モノリス、円筒体、押出物等のような任意の形態であってよく、成形、押出、混合、造粒、圧縮など(しかしながらこれらに限定されない)の任意の方法によって形成することができる。異なる金属酸化物を、緩い混合物又は自由流動混合物、固定床、共成形、共押出、又はこれらの組み合わせで組み合わせることができる。バイオ燃料は、垂直又は水平固定床、反応器/濾過、反応器/充填床システム、放射床、又は他の通常の接触プロセスなどによる任意の数の異なる方法で吸着剤と接触させることができる。
【0034】
他の代表的な態様においては、本発明は、バイオ燃料を含む流体を吸着剤と接触させ、吸着剤を再生することを含む、バイオ燃料の処理方法に関する。吸着剤は、米国特許出願2007/0088182A(その全ての主題は参照として本明細書中に包含する)に示されているものなどの種々の方法によって再生することができる。再生プロセスは、溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)によって吸着剤を洗浄して、吸着剤から全ての不純物を除去し、吸着剤から溶媒を排液し、不活性キャリアガス(例えば、窒素、二酸化炭素等、或いはこれらの混合物)を導入しながら、吸着剤を、吸着剤上の水及び全ての残留バイオ燃料を気化させるのに十分な温度(例えば70〜200℃)に所定時間(例えば10〜90分間)加熱することを伴う。続いて、不活性ガスの流れを継続しながら、吸着剤を所定時間(例えば10〜90分間)冷却する。その結果、吸着剤はここで示すようなバイオ燃料の処理において再使用することができる状態になっている。再生プロセスは任意の圧力において行うことができるが、典型的には大気圧において行う。
【0035】
更なる代表的な態様においては、本発明は、バイオ燃料を含む流体を、バイオ燃料の製造において用いた極性溶媒と接触させることを含む、バイオ燃料の処理方法に関する。この態様においては、種々の溶媒を用いてバイオディーゼルのようなバイオ燃料を製造することができる。例えば、ここで言及したように、アルコールは、典型的にはバイオディーゼルの製造のためのエステル交換反応において過剰に用いられる。過剰の未反応アルコールをバイオディーゼル生成物から取り出し、次に蒸留などによって全ての副生成物から分離し、これを次に、エステル交換反応において用いるために再循環するか、或いはここで言及する再生プロセスにおいて用いることができる。
【0036】
更なる代表的な態様においては、本発明は、バイオ燃料を含む流体を第1の吸着剤と接触させ、流体を第2の吸着剤と接触させ、第1及び第2の吸着剤の少なくとも1つを再生することを含む、バイオ燃料の処理方法に関する。更なる態様においては、バイオ燃料を、第3の吸着剤のような少なくとも2種類の吸着剤と接触させることができる。第1、第2、及び第3の吸着剤は同じ組成であってよいが、典型的には異なる。全ての吸着剤は、種々のファクターによって同じ容器内か又は異なる容器内に配置することができる。例えば、第1の吸着剤がより頻繁な再生を必要とする場合には、これはより好適には第2の吸着剤と異なる容器内に配置する。吸着剤は、典型的にはここで示す形態及び組成である。好ましくは、第1の吸着剤はシリカ質材料を含み、第2の吸着剤はゼオライト材料を含む。異なる吸着剤が複数の層の形態である場合には、第1及び第3の層を、同じか又は異なる組成又は物理的構造であってよいシリカ質材料で構成する。第1の層は、W.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できるTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子のようなシリカゲルなどの、ゼオライト材料を望ましくない不純物から保護する材料で構成することができる。ゼオライト材料は任意のゼオライトタイプであってよいが、典型的には3A又は4Aゼオライトである。第3の層は、キセロゲル、例えばW.R. Grace (Columbia, MD)から入手できるSG 111のようなシリカ質材料で構成することができる。
【0037】
本発明によるバイオディーゼルの1つの代表的な処理方法を図2に示す。図2に示すように、代表的な方法200はブロック201で開始して工程202に進み、ここでバイオディーゼルを約25℃〜約150℃の温度、大気圧以上(例えば30bar以下)において吸着剤に通すことによって、粗バイオディーゼルを精製及び/又は乾燥プロセスにかける。吸着剤は、ここで参照した無機金属酸化物材料を含み、典型的にはこれらの材料の混合物を含む。上記で議論したように、粗バイオディーゼルは、一定量の水、塩、遊離グリセリン、モノ、ジ、及びトリグリセリド、石鹸、イオウ、及びリンを含み、これらの大部分を吸着剤によって除去する(例えば、DIN 14214及びASTM 6751−03標準規格にしたがって可能な限り低く減少させる)。吸着剤は、その中に異なる吸着剤の複数の層を有する充填床の形態であってよい。代表的な方法は、工程202から工程203に進み、ここで処理されたバイオディーゼルを貯蔵するか分配のために移送する。代表的な方法は工程203から工程204に進み、ここで粗バイオディーゼルの処理のために用いられ、現時点では失活している吸着剤を再生する。この再生プロセスは、有機溶媒を、吸着剤を収容する容器中に、ほぼ室温(例えば25℃)乃至約40℃又は50℃の温度、約30bar以下の圧力において、約10分間〜約60分間導入することを含む、続いて、有機溶媒を吸着剤から排液する。吸着剤を、全ての水を気化させ、全ての残留有機溶媒を除去するのに十分な温度(例えば約70〜約200℃)に加熱し、不活性ガス(例えば、窒素、二酸化炭素等)を吸着剤中に30bar以下の圧力において所定時間(例えば10〜90分間)導入する。続いて、不活性ガスの流れを継続しながら、吸着剤を所定時間(例えば10〜90分間)冷却する。再生条件は、吸着剤の状態(則ち、失活段階)及び再生に求められている時間によって変化させることができる。その結果、吸着剤はここで示すようなバイオ燃料の処理において再使用することができる状態になっている。再生プロセスは任意の圧力において行うことができるが、典型的には大気圧において行う。バイオディーゼルの製造において用いられるエステル交換プロセスにおいて用いた有機溶媒を再生工程において用いることができ、この場合には、メタノールのようなアルキルアルコールであってよい。別の態様においては、2以上の吸着剤容器を用いて、精製及び乾燥プロセスを1以上の他の容器内で行いながら、同時に再生プロセスを1以上の容器内で行うようにすることができる。代表的な方法は工程204から工程205へ進み、ここで吸着剤再生プロセスから得られる有機溶媒流を分離プロセスにかけて、全ての残留バイオディーゼルをそれから除去する。代表的な方法は工程205から工程206へ進み、ここで有機溶媒を、蒸留などによって更に処理して他の不純物を除去する。有機溶媒は、次に工程207へ進んで、再生プロセス204に再循環することができ、或いはバイオディーゼルの製造において用いるエステル交換プロセスに戻すこともできる。
【0038】
更なる代表的な態様においては、本発明は、少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含む吸着剤を含む容器を含む、バイオ燃料を処理するための装置に関する。好ましい態様においては、吸着剤は固定床の形態であってよい。
【0039】
1つの代表的な態様においては、バイオディーゼル燃料のようなバイオ燃料を処理するための装置は、バイオ燃料を乾燥させるだけでなく更に不純物を除去する吸着剤とバイオ燃料を接触させるのに好適な少なくとも1つの吸着剤容器;1つ又は複数の吸着剤容器と直列配置の有機溶媒流(場合によってはバイオ燃料製造ユニットから再循環されたもの)を加熱するための装置;有機溶媒からバイオ燃料を分離するのに好適な、1つ又は複数の吸着剤容器と直列配置の分離装置;場合によっては、1つ又は複数の吸着剤容器と直列配置の、不活性ガスを加熱するための装置;及び場合によっては、有機溶媒から不活性ガスを分離するのに好適な、1つ又は複数の吸着剤容器と直列配置の第2の分離装置;を含む。バイオ燃料処理プロセスを連続法で行うためには、本装置に、1つの吸着剤容器内でバイオ燃料の処理、及び他の吸着剤容器内で失活した吸着剤の再生を行うのに好適な導管/ラインを含ませることもできる。更に、本装置には、バイオ燃料製造ユニットにおいて用いた有機溶媒を、本発明のバイオ燃料処理装置内の少なくとも1つの吸着剤容器に再循環するのに好適な導管/ラインを含ませることができる。図3に示すように、代表的な装置300は以下の要素:未処理のバイオ燃料の貯蔵容器321;溶媒の貯蔵容器322;第1及び第2の熱交換器323及び324;不活性ガスの貯蔵容器325;第3の熱交換器326;混合容器331中への未処理のバイオ燃料、溶媒、及び不活性ガスのそれぞれの流速を制御するための一方向弁327、328、及び329;混合容器331から排出される処理されたバイオ燃料、規格外のバイオ燃料及び液体溶媒、並びに溶媒オフガスを連行した不活性ガスのそれぞれの流速を制御するための一方向弁332、333、及び334;第4の熱交換器335;溶媒から不活性ガスを分離するための分離ユニット336;不活性ガスパージ337;不活性ガス圧縮機338(場合によって用いる);或いは、閉止ループ内で再生するための(不活性ガスの節約)、工場における利用可能な源によって蒸気ヒーター326の代替としての加熱ヒーター339の使用(オプション);第5の熱交換器340;規格外のバイオ燃料及び溶媒の貯蔵ユニット341;溶媒から規格外のバイオ燃料を分離するための分離ユニット342;溶媒の貯蔵ユニット343;規格外のバイオ燃料の貯蔵容器344;処理されたバイオ燃料の貯蔵容器345;及び吸着剤容器331から排出されるバイオ燃料を監視して、どの時点で吸着剤が失活したかを決定し、一方向弁327及び328へのフィードバックを与え、それによって容器331中への及び容器331から並びに一方向弁328及び333への未処理のバイオ燃料の流れを調節し、容器331中への及び容器331からの溶媒の流れを調節し、且つ、吸着剤容器331に導入され及びこれから排出される不活性ガスを監視して、どの時点で吸着剤の再生が完了したかを決定し、一方向弁329及び334へのフィードバックを与えるためのプロセス制御ユニット(図示せず):を含む。運転においては、バルブ327及び332を開放し、未処理のバイオ燃料を容器331中に導入して、処理されたバイオ燃料を容器345中に生成させる。吸着剤が失活したとプロセス制御ユニットが決定したら、バルブ327及び332を閉止し、バルブ328及び333を開放して、溶媒を容器331に導入し、吸着剤から不純物を除去する。容器331から排出される溶媒が十分な不純物を除去したとプロセス制御ユニットが決定したら、一方向弁328及び333を閉止し、一方向弁329及び334を開放して、容器331中への及び容器331からの不活性ガスの流れを調節する。吸着剤容器331が再生されたら、次にプロセス制御ユニットによって一方向弁329及び334を閉止し、バルブ327及び332を開放して、吸着剤容器331内でのバイオ燃料の処理を可能にすることができる。
【0040】
図3には示していないが、溶媒を、バイオ燃料製造装置(これも図示せず)において用いた未反応の溶媒から貯蔵容器322に供給して、これによって未反応の溶媒を再循環することができる。また、溶媒を溶媒貯蔵容器343から溶媒容器322に再循環し、規格外のバイオ燃料を貯蔵容器344から未処理のバイオ燃料容器321に再循環することもできる。
【0041】
図4に示すように、代表的な装置400は以下の要素:未処理のバイオ燃料の貯蔵容器421;溶媒の貯蔵容器422;第1及び第2の熱交換器423及び424;不活性ガスの貯蔵容器425;第3の熱交換器426;吸着剤容器433及び434中への未処理のバイオ燃料の流速を制御するための一方向弁427及び428;吸着剤容器433及び434中への溶媒の流速を制御するための一方向弁429及び430;混合容器433及び434中への不活性ガスの流速を制御するための一方向弁431及び432;吸着剤容器433及び434から排出される処理されたバイオ燃料の流速を制御するための一方向弁435及び436;吸着剤容器433及び434から排出される規格外のバイオ燃料及び液体溶媒の流速を制御するための一方向弁437及び438;吸着剤容器433及び434から排出される溶媒を連行した再生不活性ガスの流速を制御するための一方向弁439及び440;第4の熱交換器441;溶媒から不活性ガスを分離するための分離ユニット442;不活性ガスパージ443;不活性ガス圧縮機444(場合によって用いる);閉止ループ内で再生するための(不活性ガスの節約)、工場における利用可能な源によって蒸気ヒーター426の代替として用いる加熱ヒーターの使用(オプション);第5の熱交換器446;規格外のバイオ燃料及び溶媒の貯蔵ユニット447;溶媒から規格外のバイオ燃料を分離するための分離ユニット448;溶媒の貯蔵ユニット449;規格外のバイオ燃料の貯蔵容器450;バイオ燃料の貯蔵容器451;及び吸着剤容器433及び434から排出される処理されたバイオ燃料のそれぞれを監視して、どの時点で吸着剤が失活したかを決定し、一方向弁427、428、435、及び436へのフィードバックを与えて、容器433及び434中への及び容器433及び434から並びに一方向弁429、430、437、及び438への未処理のバイオ燃料の流れを調節し、再生プロセス中の容器433及び434中への及び容器433及び434からの溶媒の流れを調節し、且つ、吸着剤容器433及び434に導入され及びこれから排出される不活性ガスを監視して、どの時点で吸着剤の再生が完了したかを決定し、一方向弁431、432、439、及び440へのフィードバックを与えるためのプロセス制御ユニット(図示せず):を含む。この構成においては、装置400は、単にプロセス制御ユニットによって容器433及び434中への及びこれらからの適当なバルブを開閉することによって、吸着剤容器433又は434の一方によってバイオ燃料を処理し、他方を再生するように連続的に運転することができる。例えば、吸着剤容器433が失活し、これを再生する場合には、吸着剤容器434は同時にバイオ燃料を処理するように用い、プロセス制御ユニットによってバルブ427及び435を閉止して、容器433に導入され及びこれから排出される未処理のバイオ燃料の流れを調節し、及びバルブ429及び437を開放して、容器433中への溶媒の流れを調節する。容器433から排出される溶媒が十分な不純物を除去したとプロセス制御ユニットが決定したら、一方向弁429及び437を閉止し、一方向弁431及び439を開放して、容器433中への及びこれからの不活性ガスの流れを調節する。吸着剤容器433が再生され、吸着剤容器434が失活したら、吸着剤容器434の再生を行い、吸着剤容器433内でのバイオ燃料の処理を可能にするために、プロセス制御ユニットによってバルブの位置を逆転させることができる。或いは、両方の吸着剤容器を制御して、同時にバイオ燃料を処理し、同時に再生することもできる。図4には示していないが、装置400内に任意の数の吸着剤容器を存在させることができる。
【0042】
或いは、1つ又は複数の吸着剤容器から失活した吸着剤を取り出して、異なる容器内で再生するか又は廃棄することができる。
更なる代表的な態様においては、本発明は、第2の無機金属酸化物の複数の層の間の層の形態の第1の無機金属酸化物を含む、バイオ燃料を処理するための吸着剤に関する。好ましくは、第1の無機金属酸化物はシリカ質材料から構成され、第2の無機金属酸化物はゼオライト材料から構成され、第3はシリカ質材料から構成される。
【0043】
金属酸化物には、ここで定義するような好ましくは不純物及び湿分も除去する金属酸化物の任意の組み合わせも含ませることができる。例としては、ゼオライト、シリカ、アルミナの混合物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。金属酸化物は、粒状物、顆粒、ビーズ、モノリス、円筒体、押出物等のような任意の形態であってよく、成形、押出、混合、造粒、圧縮など(しかしながらこれらに限定されない)の任意の方法によって形成することができる。異なる金属酸化物を、緩い混合物又は自由流動混合物、固定床、共成形、共押出、又はこれらの組み合わせで組み合わせることができる。バイオ燃料は、垂直又は水平固定床、反応器/濾過、反応器/充填床システム、放射床、又は他の通常の接触プロセスなどによる任意の数の異なる方法で吸着剤と接触させることができる。吸着剤は、典型的にはここで示す形態及び組成である。好ましくは、第1の吸着剤はシリカ質材料を含み、第2の吸着剤はゼオライト材料を含む。異なる吸着剤が複数の層の形態である場合には、第1及び第3の層を、同じか又は異なる組成又は物理的構造であってよいシリカ質材料で構成する。第1の層は、シリカゲル、例えばW.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できるTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子のような、ゼオライト材料を望ましくない不純物から保護する材料で構成することができる。ゼオライト材料は任意のゼオライトタイプであってよいが、典型的には3A又は4Aゼオライトである。第3の層は、キセロゲル、例えばW.R. Grace(Columbia, MD)から入手できるSG 111のようなシリカ質材料で構成することができる。
【0044】
更なる態様においては、バイオ燃料をその製造中に処理してバイオ燃料を精製及び乾燥する代わりに、製造後、例えば長時間の貯蔵後に処理することができる。
【実施例】
【0045】
以下の実施例によって本発明を更に説明するが、これらはいかなるようにもその範囲に対して限定を与えるように解釈すべきではない。それどころか、本解決手段は種々の他の態様、修正、及びその均等物を有することができ、これらは本明細書中の記載を読んだ後は、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲から逸脱することなくそれ自体当業者に示唆されることが明確に理解される。
【0046】
実施例1〜5:
実験室スケール下で、パーム油から得られた100gの粗バイオディーゼル試料を、種々の投与濃度(0.5%、1.0%、及び2.0%)の異なる吸着剤タイプ(下表1に示す)で処理した。バイオディーゼルを60℃に加熱し、吸着剤を加え、磁気スターラーを用いて混合物を15分間撹拌し、次に濾過して吸着剤を除去した。次に、TriSyl(登録商標)吸着剤で処理したバイオディーゼルの試料を真空乾燥した。結果を下表1に示す。参照として、粗バイオディーゼルを10%の脱イオン水で洗浄した。
【0047】
【表1】

【0048】
実施例6:
本実施例においては、どの時点で吸着剤が消耗したかを決定するために破過試験を行った。この破過試験のために、Grace GmbH & Co. KG.から564Cとして入手できる250gのモレキュラーシーブを、630mmの高さ及び26mmの内径を有するガラスカラム中に充填した。カラムを通るバイオディーゼルの流速を3.24kg/時に調節した。バイオディーゼルの入口温度は50℃であった。832ppmの含水率を有する取引先のプラントからのバイオディーゼルを用いた。下表2に試験結果を要約する。
【0049】
【表2】

【0050】
実施例7:
本実施例においては、実施例6のモレキュラーシーブを再生した。再生のために、70gの飽和又は消耗したモレキュラーシーブ(MS564)の3つの試料を以下のようにして処理した。
【0051】
試料1に関して:ガラスカラムからバイオディーゼルを排液した後、モレキュラーシーブを窒素流中、230℃において3時間活性化した。
試料2に関して:ガラスカラムからモレキュラーシーブを取り出した後、79gのメタノールを含むビーカー内に充填し、5.5分間撹拌して、モレキュラーシーブを動かし続けた。この工程の後、モレキュラーシーブを活性化ガラスカラム内に充填し、まず窒素で0.5時間パージし、次に窒素流中、288℃において3時間活性化した。
【0052】
試料3に関して:バイオディーゼルを、試料2と同様に、しかしながら11分の撹拌時間を用いて処理した。
下表に3つの試料全てに関する分析結果を示す。
【0053】
【表3】

【0054】
本発明を限られた数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は本明細書において他に記載され特許請求されている発明の範囲を限定することを意図するものではない。更なる修正、均等物、及び変更が可能であることは、本明細書中の代表的な態様を検討することにより当業者に明らかである。実施例及び明細書の残りの部分における全ての部及びパーセントは、他に特定しない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求の範囲において示す全ての数値範囲、例えば特性の特定の組、測定値の単位、条件、物理的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている任意の範囲内の数の任意の部分集合を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限R及び上限Rを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示されている。特に、この範囲内の次式の数R:R=R+k(R−R)(式中、kは1%の増分で1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つの値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。ここで引用した全ての公報は、その全部を参照として本明細書中に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)バイオ燃料を含む流体を吸着剤と接触させ;そして
(b)該吸着剤を再生する;
ことを含み、該吸着剤が少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含む、バイオ燃料の処理方法。
【請求項2】
該バイオ燃料が、エステル、アルコール、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該金属酸化物が、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法によって製造される生成物。
【請求項5】
請求項1に記載の方法を用いる装置。
【請求項6】
(a)バイオ燃料を含む流体を第1の吸着剤と接触させ;
(b)該流体を第2の吸着剤と接触させ;そして
(c)第1及び第2の吸着剤の少なくとも1つを再生する;
ことを含む、バイオ燃料の処理方法。
【請求項7】
(a)バイオ燃料を含む流体を吸着剤と接触させ;そして
(b)バイオ燃料の製造において用いた極性溶媒を用いて吸着剤を再生する;
ことを含む、バイオ燃料の処理方法。
【請求項8】
該極性溶媒がアルコールを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項9】
(a)アルキルエステルを含む流体を吸着剤と接触させ;そして
(b)該吸着剤を再生する;
ことを含む、アルキルエステルの処理方法。
【請求項10】
少なくとも2種類の異なる金属酸化物を含む、バイオ燃料を処理するための吸着剤。
【請求項11】
該吸着剤が、粒子、押出物、膜、複合体、層、床、又はこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の吸着剤。
【請求項12】
該金属酸化物が、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、又はこれらの混合物を含む、請求項11に記載の吸着剤。
【請求項13】
該吸着剤が固定床の形態である、請求項11に記載の吸着剤。
【請求項14】
少なくとも2種類の異なる金属酸化物が、第2の金属酸化物の第1の層と第2の金属酸化物の第3の層との間の層の形態の第1の金属酸化物を含む、請求項11に記載の吸着剤。
【請求項15】
該第1の吸着剤がアルミノシリケートを含み、該第2の吸着剤がシリカを含む、請求項15に記載の吸着剤。
【請求項16】
該第1の層が第1のシリカを含み、該第3の層が、第1のシリカと同じ組成、形状、又は物理的形態を有する第2のシリカを含む、請求項15に記載の吸着剤。
【請求項17】
該第1の層が、該第3の層中の第2のシリカと異なる組成、形状、又は物理的形態を有する第1のシリカを含む、請求項15に記載の吸着剤。
【請求項18】
請求項11に記載の吸着剤を含む、バイオ燃料を処理するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−506709(P2011−506709A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538462(P2010−538462)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010835
【国際公開番号】WO2009/080287
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(500445446)グレース・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・カーゲー (12)
【Fターム(参考)】