説明

バイパスシリンジを用いるエアレス混合

バイパスカートリッジ(12)およびシリンジ(20)を利用する移送および混合装置である。乾燥した成分と希釈液を上記バイパスカートリッジ(12)内で混合した後、混合物は、通路(74)を覆う疎水性膜(76)をそこに持つ、上記流体通路(74)を有するシリンジプランジャー(72)を含むシリンジ(20)へ通される。混合物は、混合を成し遂げるために、特にミクロスフィアがサスペンションの状態にある(held in suspension)場合、小さなボア(60)を通して上記バイパスカートリッジ(12)と上記シリンジ(20)との間を前後に移送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジの改良に関連し、特に、2つ以上の物質が混合される改良されたシリンジに関連し、また、シリンジ内で2つ以上の物質を混合する方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
医薬品配送システムにおいて、患者に薬品を届けることができるように、パウダー状の薬品が希釈液と混合されることが必要とされる。現在まで、パウダー状の薬品が入っている薬びん内に希釈液を挿入し、薬品を希釈液と混合し、次に患者に注入するために、シリンジ内へ液状の薬品を吸引することによってこれはしばしば行われていた。このような手動の混合は、扱いにくく不便であり、また、薬びん内に残るいくらかの薬品が廃棄されてしまう。
【0003】
薬品と希釈液とを混合する他の自動システムが開発されており、US特許5,817,055および5,716,338で示されている。これらの特許において、薬品と希釈液との混合は、1つには薬品が、もう1つには希釈液が入っている2つのコンパートメントを持つバイパスシリンジとして知られているように成し遂げられている。
【0004】
これらの装置は、凍結乾燥された、あるいは“フリーズドライされた”薬品を希釈液とともに無菌で梱包するために、長年用いられてきた。近年、特別にコーティングされた薬品マイクロユニット(drug micro-units)が、投与されると血流内へゆっくり放出するミクロスフィアの形で製造され、現在はこれらの装置に入れられている。凍結乾燥された薬品の梱包は、全ての水分が、一度フリーズされると残りの製剤の乾燥した固形物(a dried cake)を残して真空状態で昇華するように、液状の薬品混合物が、容器上部内に満たされることを必要とする。このため、水性の希釈液は、フリーズドライサイクル(the freeze drying cycle)の後、シリンジの容器下部に満たされる必要がある。ミクロスフィアのような、粉末にされた生成物の製造は、最初に希釈液が下部容器に満たされ、その後パウダーが上部容器内に満たされることを必要とする。これによって、不必要なパウダーの汚染が心配な充分に分離されたパウダーで満たす環境に入る前に、希釈液が充分にシールされることを確実にする。
【0005】
しかしながら、これら2つの容器を持つバイパスシリンジにおける投与の準備はほとんど同じであり、装置は、常に出口ノズルが上向きになるように垂直に保たれる必要がある。混合の作用は、後部プランジャーが非常にゆっくりと前方へ押されたときに起こる。この動きは、ねじ式プランジャーロッドを用いることによって緩衝されるので、使用者は、ロッドを締め、後部プランジャーの、緩速制御された(a slow controlled)上向きの動きを提供しなければならない。この動きは、上部プランジャーを含む全希釈液をバイパスエリア内へ上向きに移動させる(あらゆる急速な制御されていない移動は、プランジャーを、バイパスエリアを越えて移動させ、希釈液の流れをブロックする)。継続されたゆっくりとした上向きの移動によって、希釈液全ては、上部プランジャーの周りのバイパスを通り、薬品成分を混合して上部にあるいくらかの空気を排出する上部容器へ流れる。
【0006】
ここで、使用者は、プランジャーに圧力をかけるのを止め、薬剤を確実に溶解またはサスペンション(suspension)するためにスワール(swirling)または振り動かし始める。混合物のいずれかの成分が湿潤を促進する表面活性剤を含んでいる場合、混入空気の泡の問題と同様に、過度な泡立ちが問題となる。いくらか時間がたち、混合物が適切に混合されると気泡または泡は散逸されるので、使用者はゆっくりとプランジャーロッドを押して、薬品表面の上部にある空気を排出し、針を取り付け、薬品を注入することができる。
【0007】
上述の内容はさておき、分離してシリンジタイプの構造物に移送される必要がある混合物を再混合する必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許5,817,055
【特許文献2】米国特許5,716,338
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、空気の排出を可能にするガス抜き構造を持つバイパスタイプのシリンジを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、混合物を剪断作用にかけさせるために、比較的小さな開口部を通して成分を前後に通すことによって混合を成し遂げる、シリンジを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、シリンジ構造の中で2つの物質を混合する方法を提供することである。
【0012】
本発明の一様態によると、移送および混合装置が提供されており、外側ハウジングと、バイパスカートリッジが外側ハウジング内に取り付けられている、前記バイパスが形成されているバイパスカートリッジと、バイパスカートリッジの前端に置かれている隔壁と、バイパスカートリッジの後端に置かれている第1のプランジャーと、第2のプランジャーがバイパスの後方に置かれている、隔壁と第1のプランジャーとの中間に置かれている第2のプランジャーと、シリンジソケットが、隔壁の方へ向かって内部に延在している穴あけ部材を含む、外側ハウジングの前端にあるシリンジソケットと、シリンジソケットに固定可能なシリンジと、シリンジプランジャーが流体通路を持ち、疎水性膜は通路を覆い、通路はそこをとおるガスの通過を可能にする、シリンジ内に取り付けられているシリンジプランジャーと、プランジャーロッドと、を有する。
【0013】
本発明のさらなる様態によると、容器内に入っている製薬混合物を混合する方法が提供されており、容器は、最も近い後端に置かれているプランジャーと、前端に置かれている流体出口と、を有し、シリンジがシリンジプランジャーを有し、流体通路はプランジャーを貫通し、疎水性膜は流体通路を覆って延在する、シリンジを提供するステップと、空気が疎水性膜を通して排出され、混合物がシリンジ内に入るような形で、混合物がシリンジプランジャーと通じているボアを通過するように容器のプランジャーを押すステップと、ボアが、ボアを通過する製薬混合物に、混合する動作を提供するようにサイズを合わせられて作られており、混合物が流体通路と容器との間に延在しているボアを通して戻るような形で、シリンジプランジャーを実質上押すステップと、を有する。
【0014】
本発明のさらなる様態によると、製薬混合物を移送および混合する方法が提供され、前記方法は、以下のステップを備える。第1の装置を供給するステップであって、前記第1の装置が、外側ハウジングと、バイパスがその中に形成されたバイパスカートリッジと、を含み、前記バイパスカートリッジは前記外側ハウジング内に取り付けられており、さらに、前記バイパスカートリッジの前端に置かれている隔壁と、前記バイパスカートリッジの後端に置かれている第1のプランジャーと、前記隔壁と前記第1のプランジャーとの中間に置かれている第2のプランジャーと、を含み、前記第2のプランジャーが前記バイパスの後方に置かれており、さらに、前記外側ハウジングの前端にあるシリンジソケットを含み、前記シリンジソケットが、前記隔壁に向かって内方に延在している穴あけ部材を含んでおり、さらに、前記隔壁と前記第2のプランジャーとの間に画定されておりその中に製薬物質を有する第1のコンパートメントと、前記第1および第2のプランジャー間に画定されておりその中に希釈液を有する第2のコンパートメントを含んでいる、第1の装置を供給するステップと、前記シリンジソケットにシリンジを固定するステップであって、前記シリンジが、前記シリンジに取り付けられているシリンジプランジャーを有し、前記シリンジプランジャーは、その内部に流体通路を有し、疎水性膜は前記通路を覆い、前記疎水性膜は、そこを通るガスの通過を可能にする、前記シリンジソケットにシリンジを固定するステップと、 プランジャーロッドを、前記バイパスカートリッジの後端にある前記第1のプランジャーに固定するステップと、前記第2のプランジャーが前記バイパスに移動し、前記第2のコンパートメント内の前記希釈液が前記第1のコンパートメント内の前記物質と混合して混合物を形成するように、前記第1のプランジャーを促進するステップと、空気が、前記疎水性膜を通して前記第1のコンパートメントから前記シリンジまで進むように、継続された圧力を前記プランジャーロッドにかけるステップと、前記第1のコンパートメントからの前記混合物を、前記穴あけ部材を通して前記シリンジ内へ通過させるような形で、継続している圧力を前記プランジャーロッドにかけるステップと、前記シリンジプランジャーを移動させて、前記混合物を前記バイパスカートリッジの第1のコンパートメント内へ再移送するようにプランジャーを使用するステップ。
【0015】
本明細書では、“容器(container)”という用語は、1つ以上の物質を受け入れるように設計されている空洞を有するあらゆるタイプの容器を含む。概して、容器は、対向する端部に注入口/排出口を有する。それゆえ、容器という単語は、好適な実施形態において、様々なシリンジおよび/またはカートリッジを含む。
【0016】
さらに、本明細書では、“混合(mixture)”という用語は、2つ以上の成分の化合を示し、化合は、混合(mixture)、サスペンション、混合(admixture)、溶解、乳化などの形をとる。好適な実施形態において、本発明の混合は、ミクロスフィアおよび希釈液のサスペンションである。
【0017】
上記で言及されたバイパスカートリッジは、当技術分野で周知の、適切なあらゆるタイプのバイパスカートリッジである。それゆえ、複数のバイパスを有するものを含む様々なタイプのバイパスカートリッジが使用される。
【0018】
バイパスカートリッジを用いて、乾燥した製薬成分に希釈液を移送する装置は周知である。概して、装置は、2つの異なる貯蔵コンパートメントを形成するプランジャーを含む。中心に置かれているプランジャーは、通常、バイパスカートリッジの前部にある乾燥した製薬成分と、後部のコンパートメント内の希釈液または液状の成分とを分ける。圧力は、(通常、プランジャーにあるプランジャーロッドの付属品によって)プランジャーにかけられ、後方のプランジャーが前方へ促進されることによって、中心に置かれているプランジャーに圧力がかかり、その後このプランジャーは、希釈液が、乾燥した製薬成分と混合するために、前部コンパートメントに移送できる場所へと進む。
【0019】
起こりうる1つの問題は、後部プランジャーがあまりにも速く促進されて、カートリッジ内に形成されているバイパスを“通り越す”ので、希釈液が前部コンパートメントに到達するのを不可能にしてしまうということである。当業界では、この問題を克服するために、促進を遅くするようなねじ動作(screwthreaded motion)を用いることが提案されている。
【0020】
本発明の一様態において、プランジャーを促進する間、同じようにより優れた制御を成し遂げるラックおよびピニオン装置が提供されている。さらに詳しく後述されるように、この装置によって、オペレータは、プランジャーに、ゆっくりとした一様な力をかけることができ、中心に置かれているプランジャーは制御された状態でバイパスエリアに進む。
【0021】
本発明の一様態において、外側ハウジングの前端に置かれている穴あけ部材によって穴をあけられるような形で、バイパスカートリッジが促進されるようにする活性キャップが提供されている。この穴あけ部材は、そこを貫通するボアを含むので、流体通路はバイパスカートリッジの内部からシリンジを通して延在する。
【0022】
シリンジソケットに固定されているシリンジは、当技術分野で周知のルアーフィッティング(a luer fitting)を用いて固定されている。シリンジはその中に、プランジャーを含み、プランジャーは、好ましくはシリンジの前端に置かれている。プランジャーは、そこを通る流体通路を持つことを特徴とし、この流体通路は、そこに疎水性膜を持つ。疎水性膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはTyvecまたはPFA、PFEP、PVDA、ポリスルホン、ナイロンなどの同様の原料のようなあらゆる適切な原料から形成されている。疎水性膜に適度な圧力をかけたとしても、コンパートメント内の空気が排出される間、液体はそこを通過しないということが知られているが、このような疎水性膜は、そこを通る空気の通過を可能にする。
【0023】
それゆえ、液体において気泡の泡立ちまたはエントレインメント(entrainment)が防がれる混合が提供される。
【0024】
当然のことながら、必要であれば、他のガス抜き構造が使用される。それゆえ、混合コンパートメントを設ける壁のうちの1つにガス抜き構造を提供することが可能である。
【0025】
プランジャーロッドは利用されるが、シリンジプランジャーは、プランジャーロッドに付属品を受け入れる手段を持たないのが好ましい。このことは、混合コンパートメント内に空気が入るのを可能にするあらゆる逆流圧(reverse pressure)または吸引(aspiration)を防ぐ。
【0026】
本発明の一実施形態の方法によると、バイパスカートリッジの後端に置かれている第1のプランジャーは、そこに取り付けられているプランジャーロッドを有する。その後、後部コンパートメントからの希釈液は、バイパスを通って、2つの成分が共に混合される前部コンパートメントへ促進される。空気はいまだに第1のコンパートメントの上部部分を占めている。
【0027】
続いて、混合物は、穴あけ部材を通ってシリンジ内へ移送される。バイパスカートリッジにおけるプランジャーの継続された促進によって、混合物はシリンジ内へと進む。混合物の上部にある空気は、疎水性膜を通して排出される。結果として、エアレス混合が成し遂げられる。
【0028】
続いて、現在空気のない混合物は、バイパスカートリッジの前部コンパートメント内へ戻され、混合物は、穴あけ部材内の通路を通過するとき、“剪断”作用を受ける。バイパスカートリッジからシリンジまでの継続した移送は、混合物の所望の均質性またはサスペンションが成し遂げられるまで持続される。
【0029】
本発明は、以下の添付図面を参照して言及される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態による移送および混合アセンブリの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による移送および混合アセンブリの分解組み立て図である。
【図3A】疎水性膜を持つプランジャーの断面図である。
【図3B】疎水性膜を持つプランジャーの断面図である。
【図3C】疎水性膜を持つプランジャーの断面図である。
【図4】本発明のさらなる実施形態の断面図である。
【図5】本発明のアセンブリのさらなる実施形態を図示する断面図である。
【図6】移送および混合アセンブリのさらなる実施形態を図示する断面図である。
【図7】通気性のある部分を持つ前部キャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な図面および図面の参照記号を参照すると、概して参照数字10によって示されている混合および移送アセンブリが図示されている。
【0032】
移送および混合アセンブリ10は、概して参照数字12によって示されているバイパスカートリッジと、バイパスカートリッジ12に対する外側ハウジングおよび概して参照数字14によって示されている外側ハウジングと、活性キャップ(an activation cap)16と、プランジャーロッド18と、シリンジ20と、シリンジプランジャーロッド22と、を含む。
【0033】
バイパスカートリッジ12は、当技術分野で周知のように、バイパス28を持つ外壁26を有する。隔壁30は、バイパスカートリッジ12の出口を覆い、キャップ32は出口を覆って延在する。
【0034】
バイパスカートリッジ12内に取り付けられているのは、メス型ルアーフィッティング36を持つ後部プランジャー34である。中間または中央プランジャー38は、バイパス28の後方に位置している。それゆえ、壁26と、後部プランジャー34と、中間プランジャー38との間のスペースとして定義される後部コンパートメント40が形成される。前部コンパートメント42は、壁26、中間プランジャー38および隔壁30によって定義される。ほとんどの場合、前部コンパートメント42に乾燥および有効製薬成分が入っていると共に、後部コンパートメント40には希釈液が入っている。
【0035】
プランジャー18は、シャフト48を容易に押すためにヘッド46を含む。シャフト48には、後部プランジャー34にあるルアーフィッティング36と係合するように設計されているオス型ルアーフィッティング50がある。
【0036】
外側ハウジング54は、バイパスカートリッジ12を囲んで支持し、また、側壁54および上部壁56を含む。穴あけ部材58は、上部のメス型ルアーフィッティング6が備えられていると同時に、穴あけ部材58を貫通しているボア60を持つ。
【0037】
シリンジ20は、その端部にフランジ68を持つ従来のシリンジ胴体66を含む。シリンジ胴体66には、外側ハウジング14内にあるルアーフィッティング62と係合するように設計されているルアーフィッティング70がある。シリンジ胴体66の内部に取り付けられているのは、プランジャー72を貫通している通路74を持つプランジャー72である。疎水性膜76は、通路74を覆う。
【0038】
シリンジプランジャーロッド22は、その一端にヘッド82を持つシャフト80およびベース84を含む。操作中、活性キャップ16は、バイパスカートリッジ12を前方へ押すために用いられるので、隔壁30はそれによって穴をあけられ、シリンジ20と前部コンパートメント42との間の流体通路が構築される。
【0039】
その後、プランジャー18が後部プランジャー34に取り付けられ、圧力が後部プランジャー34にかかる。後部コンパートメント40内の液体は、実質上圧縮しないので、圧力は中間プランジャー38にかかり、中間プランジャー38はバイパス28のエリアに向かって前方へ動く。この時点で、希釈液は、前部コンパートメント42内に入り、その中の製薬成分と混合する。プランジャーロッド18にかかる圧力によって継続された促進は、両プランジャー34,38を促進し、前部コンパートメント42内に含まれている空気は、穴あけ部材58のボア60を通過する。空気は、シリンジ胴体66に入り、通路74を通って排出される。その間、疎水性膜76はあらゆる液体が通路74を通過するのを防ぐ。
【0040】
プランジャー34,38に対して継続された促進は、プランジャー72を前方へ押すと同時に、混合物をシリンジ胴体66内に促進する。一度全ての混合物がシリンジ66に移動されると、その後プランジャーロッド22が促進され、混合物は前方コンパートメント42内へ移動される。この前後の動きは、成分の完全な混合を確実にするために必要なだけ継続される。比較的小さい、貫通しているボア60は、泡立ちまたは気泡を防ぐと同時に、2つの成分の混合を確実にする。
【0041】
プランジャーロッド22は、プランジャー70に固定されていないのが好ましい。このことによって、空気が混合物に入るのを可能にする吸引運動(aspiration movement)を防ぐ。
【0042】
図面3A,3Bおよび3Cに示されているように、プランジャー72は、それぞれ異なる形状をとる。それゆえ、プランジャー72は、弾性材料92が延在しているインサート90を有する。疎水性膜94はインサート90の上部に渡って延在している。
【0043】
図2Bの実施形態において、疎水性膜94は、弾性材料92に渡って延在しているに過ぎない。図2Cの実施形態において、疎水性膜94は、弾性材料92の2つの部分の間に挟まれている。
【0044】
図4の実施形態に目を向けると、図1に図示されている装置と同様の混合および移送装置が図示されており、100番台における同様の参照数字が同様の構成部品に対して使用されている。
【0045】
この実施形態において、プランジャー118は、その一部にねじ山115が形成されているシャフト148を有する。ねじ山115は、活性キャップ116に形成されているフランジ127と係合する。
【0046】
この配置によって、最初の動作はプランジャーロッド118の回転に依存しているため、プランジャーの比較的ゆっくりした動作が可能である。ねじ山115が完了した後、前述した実施形態にあるように最後の押す動作が採用される。
【0047】
図5の実施形態において、200番台における参照数字が同様の構成部品に対して使用されている。
【0048】
移送および混合装置210は、その一側面に複数の歯229を持つプランジャーロッド248を含む。
【0049】
ハウジング231は、活性キャップ216に固定されている。ハウジング231は、サムホイール(a thumb wheel)235によって回転可能なピニオン233を含む。それゆえ、サムホイール235の動作は、上述した方法においてプランジャーロッド218を駆動させる。
【0050】
キャップ237は、プランジャーロッド218に対して取り付けられており、そこにおける最後の押す動作のために取り除かれる。
【0051】
さらに、この図面に記されているように、シリンジ220は、そこに取り付けられているコイルばね239を持つ。
【0052】
図5の配置を参照して、シリンジ220内への混合物の移送は、圧力がプランジャーロッド218にかかっている限り継続する。一度圧力が取り除かれると、ばね239はプランジャー272を偏らせ、混合物は自動的に前部コンパートメント242に戻される。
【0053】
図6において、300番台における参照数字は、同様の構成部品を示す同様の参照数字を使用している。この実施形態において、プランジャーロッド318は、ヘッド346に最も近いシャフト348の端部にある複数の歯343を含む。この配置において、キャップ337は取り除かれ、プランジャーロッド318は回転されるので、歯343は、その後ピニオン333と係合する。
【0054】
図7において、前述の実施形態の外側ハウジングを採用する前部キャップが図示されている。キャップ351は、オス型ルアー接続(a male luer connection)355を持つ内部の通路を覆って延在している疎水性膜353を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送および混合装置(10)であって、
外側ハウジング(14)と、
バイパス(28)がその内部に形成されているバイパスカートリッジ(12)であって、前記バイパスカートリッジ(12)は前記外側ハウジング(14)内に取り付けられている、バイパスカートリッジ(12)と、
前記バイパスカートリッジ(12)の前端に置かれている隔壁(30)と、
前記バイパスカートリッジ(12)の後端に置かれている第1のプランジャー(34)と、
前記隔壁(30)と前記第1のプランジャー(34)との中間に置かれている第2のプランジャー(38)であって、前記第2のプランジャー(38)は前記バイパス(28)の後方に置かれている、第2のプランジャー(38)と、
前記外側ハウジングの前端にあるシリンジソケットであって、前記シリンジソケットが、前記隔壁の方へ向かって内部に延在している穴あけ部材(58)を含む、シリンジソケットと、
前記シリンジソケットに固定可能なシリンジ(20)と、
前記シリンジ(20)内に取り付けられているシリンジプランジャー(72)であって、前記シリンジプランジャー(72)がその内部に流体通路(74)を持ち、疎水性膜(76)は前記通路を覆い、前記通路(74)はそこを通るガスの通過を可能にする、シリンジプランジャー(72)と、
プランジャーロッド(18)と、
を具備する移送および混合装置(10)。
【請求項2】
前記疎水性膜(76)はポリテトラフルオロエチレン材料から形成されている、請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項3】
活性キャップ(16)をさらに含み、前記活性キャップは、前記穴あけ部材(58)を用いて前記隔壁(30)に穴をあけるために、前記外側ハウジング内で前記バイパスカートリッジ(12)を促進するように作用される、請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項4】
前記第1のプランジャー(34)内に形成されているメス型ルアーフィッティング(36)をさらに含む請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項5】
前記プランジャーロッド(18)はその一端にオス型ルアーフィッティング(50)を有する請求項4に記載の移送および混合装置。
【請求項6】
前記ハウジングの後端に延在しているフランジをさらに含む請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項7】
前記外側ハウジングの前端に置かれているメス型ルアーフィッティング(62)をさらに含む請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項8】
前記シリンジプランジャーロッドは、前記シリンジプランジャー(72)に固定されていないシリンジプランジャーロッド(22)をさらに含む請求項7に記載の移送および混合装置。
【請求項9】
前記プランジャーロッドはヘッド部分(46)とシャフト部分(48)とを有する請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項10】
前記プランジャーロッド(218)は、ラックおよびピニオン(229、233)装置によって移動可能であり、ピニオン(233)は、前記プランジャーロッドに形成されているラックと係合するように取り付けられている請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項11】
前記プランジャーロッドは、前記プランジャーロッド(348)の一つの側面に形成されている第1組の歯(329)と、前記プランジャーロッド(348)のもう一つの側面に形成されている第2組の歯(343)と、を有し、前記プランジャーロッドは、前記第1組の歯(329)を用いて第1の距離のために前記ラックおよびピニオン装置によって促進され、さらに、前記第2組の歯(343)を用いて第2の距離のために促進される請求項10に記載の移送および混合装置。
【請求項12】
前記疎水性膜(76)は前記シリンジプランジャーの前面に固定されている請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項13】
前記疎水性膜(76)は前記シリンジプランジャー内に挟まれている請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項14】
前記シリンジ(220)に置かれているばね部材(239)をさらに含み、前記ばね部材(239)は前記シリンジプランジャーを前記シリンジソケットの方へ偏らせる、請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項15】
疎水性膜(353)を有するキャップ(351)をさらに含む請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項16】
前記バイパスカートリッジ(12)内の前部コンパートメント(42)は前記隔壁(30)および前記第2のプランジャー(38)によって画定されており、前記前部コンパートメントは乾燥した製薬成分を含む、請求項1に記載の移送および混合装置。
【請求項17】
後部コンパートメント(40)は前記第1および第2のプランジャー(34,38)間のスペースによって画定されており、前記後部コンパートメント(40)は希釈液を含む、請求項16に記載の移送および混合装置。
【請求項18】
容器内に入っている製薬混合物を混合する方法であって、
前記容器は、最も近い後端に置かれているプランジャーと、前端に置かれている流体出口と、を有し、
前記方法は、以下のステップを備える。
シリンジを提供するステップであって、前記シリンジがシリンジプランジャーを有し、流体通路は前記プランジャーを貫通し、疎水性膜は前記流体通路を覆って延在する、シリンジを提供するステップと、
空気が前記疎水性膜を通して排出され、前記混合物が前記シリンジ内に入るような形で、前記混合物が前記シリンジプランジャーと通じているボアを通過するように前記容器の前記プランジャーを押すステップと、
前記ボアが、前記ボアを通過する前記製薬混合物に、混合する動作を提供するようにサイズを合わせられて作られており、前記混合物が前記流体通路と前記容器との間に延在している前記ボアを通して戻るような形で、引き続いて前記シリンジプランジャーを押すステップ。
【請求項19】
製薬混合物を移送および混合する方法であって、
前記方法は、以下のステップを備える。
第1の装置を供給するステップであって、
前記第1の装置が、
外側ハウジングと、バイパスがその中に形成されたバイパスカートリッジと、を含み、前記バイパスカートリッジは前記外側ハウジング内に取り付けられており、
さらに、前記バイパスカートリッジの前端に置かれている隔壁と、前記バイパスカートリッジの後端に置かれている第1のプランジャーと、前記隔壁と前記第1のプランジャーとの中間に置かれている第2のプランジャーと、を含み、前記第2のプランジャーが前記バイパスの後方に置かれており、
さらに、前記外側ハウジングの前端にあるシリンジソケットを含み、前記シリンジソケットが、前記隔壁に向かって内方に延在している穴あけ部材を含んでおり、
さらに、前記隔壁と前記第2のプランジャーとの間に画定されておりその中に製薬物質を有する第1のコンパートメントと、前記第1および第2のプランジャー間に画定されておりその中に希釈液を有する第2のコンパートメントを含んでいる、
第1の装置を供給するステップと、
前記シリンジソケットにシリンジを固定するステップであって、前記シリンジが、前記シリンジに取り付けられているシリンジプランジャーを有し、前記シリンジプランジャーは、その内部に流体通路を有し、疎水性膜は前記通路を覆い、前記疎水性膜は、そこを通るガスの通過を可能にする、
前記シリンジソケットにシリンジを固定するステップと、
プランジャーロッドを、前記バイパスカートリッジの後端にある前記第1のプランジャーに固定するステップと、
前記第2のプランジャーが前記バイパスに移動し、前記第2のコンパートメント内の前記希釈液が前記第1のコンパートメント内の前記物質と混合して混合物を形成するように、前記第1のプランジャーを促進するステップと、
空気が、前記疎水性膜を通して前記第1のコンパートメントから前記シリンジまで進むように、継続された圧力を前記プランジャーロッドにかけるステップと、
前記第1のコンパートメントからの前記混合物を、前記穴あけ部材を通して前記シリンジ内へ通過させるような形で、継続している圧力を前記プランジャーロッドにかけるステップと、
前記シリンジプランジャーを移動させて、前記混合物を前記バイパスカートリッジの第1のコンパートメント内へ再移送するようにプランジャーを使用するステップ。
【請求項20】
前記製薬物質は、ミクロスフィアの形をとっている請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−516352(P2010−516352A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546621(P2009−546621)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000123
【国際公開番号】WO2008/089550
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(503236599)デュオジェクト・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】