説明

バケットエレベータの投入制御装置

【課題】 エレベータケーシングの投入口を、バケットの移動に伴い自動的にしかもごく単純な機構で開閉できるとともに、部品点数が少なく、しかも開閉のためのガイドが不要で、バケットに投入する搬送物により開閉動作が阻害される問題がなく、更に単純な機構でありながら、バケットに定量投入できるバケットエレベータの投入制御装置を提供する。
【解決手段】 エレベータケーシング1の投入口2に、上昇するバケット4との係合と離脱により開閉されるシュート兼用遮板7を装着する。このシュート兼用遮板7は、通常は投入口2に対して傾斜姿勢を保持して投入口2を開放し、投入口2からの搬送物をバケット4内へ案内するシュートとして機能するが、搬送物の投入を行ったバケット4の上昇により持ち上げられることにより、投入口2を閉じて搬送物を遮断する遮板として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータケーシングの投入口からの搬送物を、エレベータケーシング内で循環されるバケットに投入して搬送するバケットエレベータ、特に、投入口からバケットへの搬送物の投入を制御する投入制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の投入制御装置として、特許文献1(特開平8−225127号公報)及び特許文献2(実公平3−16815号公報)に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、ホッパーの下端開口部(投入口)に、シャッタ板をスライド自在に設け、該シャッタ板の下側にバケット側が下がるように傾斜したシュートを、進退可能に装着すると共に、これらが連動するように直線駆動機構(シリンダ)を連結している。そして、シャッタ板が開口部を閉じていると共にシュート先端がバケット上から退いている後退位置から、直線駆動機構により、シャッタ板が開口部を開くと共にシュート先端がバケット上に位置する進出位置まで移動することにより、バケットに所定量の粒状体をシュートを通じて供給できるようになっている。
【0004】
しかし、これによると、シャッタ板及びシュートの他に、これらを連動して駆動する直線駆動機構(シリンダ)並びにこれらを案内する案内機構を必要とするため、機構が複雑であるとともに、その案内部に粉粒体が入り込んで、シャッタ板及びシュートの摺動が阻害される問題がある。また、シリンダ等の直線駆動源や、その駆動をバケットの移動と同調させるための制御系が必要で、装置が高価になるばかりでなく、ランニングコストもかかる。
【0005】
特許文献2に記載されたものは、下縁側部に開口部(投入口)を形成したホッパの前面に、その開口部と一致する開口部(入口)及び突出した出口部を有するシャッタを、ガイドに沿って上下摺動可能に、しかもスプリングで上方へ付勢して装着している、また、シャッタの突出した出口部の下側に当板を突設するとともに、バケット側には突出した入口部を設けている。
【0006】
そして、バケットの下降時には、その入口部がシャッタの当板に当接し、バケットの入口部とシャッタの出口部とが連通した状態でシャッタがバケットにより押し下げられ、シャッタの開口部(入口)がホッパの開口部(投入口)と一致することにより、ホッパからの錠剤やカプセル等が、シャッタの突出した出口部及びバケットの突出した入口部を通じてバケット内に投入されるようになっている。
【0007】
一方、バケットの上昇時には、シャッタがスプリングにより上昇復帰することにより、シャッタがホッパの開口部(投入口)を閉じるようになっている。
【0008】
しかし、これによると、バケットの昇降によりシャッタを自動的に開閉できるが、バケットが上下に往復移動する往復式バケットエレベータであることが必要で、バケットが循環する循環式バケットエレベータには適用できない。また、シャッタ側に突出した出口部、バケット側に突出した入口部を設けなければならないとともに、シャッタの上下摺動を案内するガイド及び上方へ付勢するスプリングが必要で、機構が複雑になるとともに、シャッタのガイドに錠剤やカプセル等が入り込み、シャッタの開閉が阻害される問題がある。
【特許文献1】特開平8−225127号公報
【特許文献2】実公平3−16815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、エレベータケーシングの投入口を、バケットの移動に伴い自動的にしかもごく単純な機構で開閉できるとともに、部品点数が少なく、しかも開閉のためのガイドが不要で、バケットに投入する搬送物により開閉動作が阻害される問題がなく、更に単純な機構でありながら、バケットに定量投入できるバケットエレベータの投入制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エレベータケーシングの投入口からの搬送物を、エレベータケーシング内で循環されるバケットに投入して搬送するバケットエレベータにおいて、エレベータケーシングの投入口に、上昇するバケットとの係合と離脱により開閉されるシュート兼用遮板を装着する。このシュート兼用遮板は、通常は投入口に対して傾斜姿勢を保持して投入口を開放し、投入口からの搬送物をバケット内へ案内するシュートとして機能するが、搬送物の投入を行ったバケットの上昇により持ち上げられることにより、投入口を閉じて搬送物を遮断する遮板として機能する。
【0011】
シュート兼用遮板は、具体的形態では、投入口を開放する傾斜姿勢を自重により保持し、上昇するバケットにシュート兼用遮板の先端部が係合して持ち上げられることによりシュート兼用遮板が投入口を閉じていき、シュート兼用遮板の先端部がバケットから離脱することにより、投入口を開放する傾斜姿勢に自動的に復元するように、回動自在となっている。
【0012】
この場合、シュート兼用遮板は、投入口の傾斜した底面に当接して傾斜姿勢を保持する。
シュート兼用遮板の両側に側板を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シュート兼用遮板が投入口を開いて傾斜姿勢を保持しているときは、投入口からの搬送物がこのシュート兼用遮板をシュートとしてバケットに投入され、その投入を行ったバケットの上昇によりシュート兼用遮板が持ち上げられると、投入口が閉じて搬送物の投入が停止し、バケットが更に上昇することによりシュート兼用遮板との係合が離脱すると、シュート兼用遮板が再び投入口を開いて傾斜姿勢となって次のバケットに搬送物が投入され、同様の動作が繰り返される。
【0014】
従って、シュート兼用遮板の開閉に駆動源やガイドが不要なごく単純な機構であり、従来に比べ格段に安価に提供できるとともに、バケットに投入する搬送物により開閉動作が阻害される問題がなく、しかも単純な機構であっても搬送物を定量投入できる。
【0015】
また、シュート兼用遮板の両側に側板を設けることにより、シュート兼用遮板の両側からの搬送物の落下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
本発明による投入制御装置Aは、図1に示すように、バケットエレベータBの縦長のエレベータケーシング1の下部に設けられた投入口2に装着され、エレベータケーシング1内でチェーン3により矢印方向に循環されるバケット群4に対し、投入口2からの搬送物の投入を制御する。この投入制御装置Aにてバケット4に投入された搬送物は、バケット4の上昇により上方へ搬送され、エレベータケーシング1内の上端でバケット4が反転して下向きになることにより、エレベータケーシング1の上端部の排出口5から排出される。
【0018】
図2〜図4にバケットエレベータBの全体の外観を示し、投入口2の外側に上面を開口させたホッパ6が設けられている。
【0019】
図5〜図7に本発明による投入制御装置Aを示す。この投入制御装置Aは、両側に側板7aを有するシュート兼用遮板7にて投入口2を下側から開閉できるように、その底面、つまりホッパ6の傾斜した底面6a上に、シュート兼用遮板7の基端を蝶番8にて回動自在に装着したものである。
【0020】
シュート兼用遮板7はこのように装着されていて、通常では、図5に示すように、シュート兼用遮板7が、その自重によりホッパ6の傾斜した底面6aに当接するところまで下方へ回動し、投入口2を開いた傾斜姿勢を保持する。このとき、シュート兼用遮板7の先端部(遊端部)は、投入口2よりエレベータケーシング1の内方へ突入し、上昇してくるバケット4の上端角部が、このときのシュート兼用遮板7の先端部に係合するようになっている。
【0021】
従って、シュート兼用遮板7が図5の状態になったときには、ホッパ6内の搬送物は、開いた投入口2からシュート兼用遮板7上を滑動し、シュート兼用遮板7の先端部の下側直近まで上昇して来たバケット4に投入される。その際、シュート兼用遮板7の両側の側板7aにより、シュート兼用遮板7の両側からの落下を防止される。
【0022】
その投入されたバケット4が上昇して行くと、このバケット4の上端角部がシュート兼用遮板7の先端部に係合してシュート兼用遮板7が持ち上げられるため、シュート兼用遮板7が上方へ回動しながら、図6に鎖線で示すように投入口2を閉じて行き、ホッパ6内の搬送物Cはシュート兼用遮板7により遮断される。
【0023】
バケット4が更に上昇すると、その上端角部とシュート兼用遮板7の先端部との係合が離脱するため、シュート兼用遮板7が図6に実線で示すように下方に回動しながら投入口2を開いて行き、ホッパ6内の搬送物Cがシュート兼用遮板7上を滑動して次のバケット4に投入され、シュート兼用遮板7は図5の状態に復元する。
【0024】
このような動作の繰り返しにより、順次上昇して来るバケット4に次々に定量ずつ搬送物が投入される。
【0025】
なお、搬送物としては、粉体や粒体に限らず、チェーン3の速度とホッパ6内への投入量とを調整することにより、塊状のものや缶やボトル等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による投入制御装置を適用したバケットエレベータの断面図である。
【図2】その正面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】同じく背面図である。
【図5】本発明による投入制御装置の断面図で、そのシュート兼用遮板が開いた状態である。
【図6】同じく閉じたシュート兼用遮板が開いて行く途中の状態である。
【図7】この投入制御装置の正面図である。
【符号の説明】
【0027】
A 投入制御装置
B バケットエレベータ
C 搬送物
1 エレベータケーシング
2 投入口
3 チェーン
4 バケット
5 排出口
6 ホッパ
6a 底面
7 シュート兼用遮板
7a 側板
8 蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータケーシングの投入口からの搬送物を、エレベータケーシング内で循環されるバケットに投入して搬送するバケットエレベータにおいて、前記投入口に、上昇する前記バケットとの係合と離脱により開閉されるシュート兼用遮板を装着し、このシュート兼用遮板は、通常は前記投入口に対して傾斜姿勢を保持して投入口を開放し、投入口からの搬送物を前記バケット内へ案内するシュートとして機能し、搬送物の投入を行ったバケットの上昇により持ち上げられることにより、投入口を閉じて搬送物を遮断する遮板として機能するようになっていることを特徴とするバケットエレベータの投入制御装置。
【請求項2】
シュート兼用遮板は、投入口を開放する傾斜姿勢を自重により保持し、上昇するバケットにシュート兼用遮板の先端部が係合して持ち上げられることによりシュート兼用遮板が投入口を閉じていき、シュート兼用遮板の先端部がバケットから離脱することにより、投入口を開放する傾斜姿勢に自動的に復元するように、回動自在となっていることを特徴とする請求項1に記載のバケットエレベータの投入制御装置。
【請求項3】
シュート兼用遮板が、投入口の傾斜した底面に当接して傾斜姿勢を保持することを特徴とする請求項2に記載のバケットエレベータの投入制御装置。
【請求項4】
シュート兼用遮板の両側に側板を設けたことを特徴とする特徴とする請求項1、2又は3に記載のバケットエレベータの投入制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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