説明

バケットエレベータ

【課題】投入口から確実にバケットに土砂を投入することにより、土砂の飛散を防止し耐用年数を向上させたバケットエレベータを提供する。
【解決手段】各バケット8を左右方向支持軸8bによりチェン7aに吊下し、バケット8の下面開口前半部8’を閉鎖すると共に上記バケット8側面に軸支され、前方側に回動することにより下面前半部を開放し得る前半回動底部11aと、バケット8の下面開口後半部8”を閉鎖すると共に上記バケット8側面に軸支され、後方側に回動することにより上記下面後半部を開放し得る後半回動底部11bとを上記バケット8に設け、上記回動底部の側面に突起14を設け、投入口3近傍に一定範囲の案内レールガイド15を設け、上記バケット8は上記案内レールガイド15に沿って上昇する際に、上記突起14がレールガイド15に当接することにより、バケット8全体がその上面開口8aを投入口3に向けて傾斜し得るように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば粘性のある土砂等を地下から地上に搬送するためのバケットエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バケットエレベータは、上下のスプロケット間に張設したチェンに設けた複数のバケットにより、土砂等を地中から地上に循環搬送するものであるが、そのバケットは一端部がチェンに固定され、下方位置において土砂投入口により投入された土砂等を受け、上方に搬送し、上部スプロケットにおいて反転することにより排出口に土砂を排出し、該バケットは反転した状態のまま下降して、下部スプロケットにおいて再度反転することにより、土砂投入口に向けて上昇し、該投入口において土砂等を受けるという構成である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−292132号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のバケットエレベータでは、投入時に土砂等の被搬送物がバケット以外に飛散し、エレベータ底面において土砂等の被搬送物が停留するため、下部スプロケットにおいてバケットが反転する際、底部停留土砂等を掻き出しながら回転する必要があり、当該掻き出し抵抗のために回転時にバケット及びチェンに大きな負荷がかかるという課題がある。また、上記バケットエレベータでは飛散した土砂等がチェン等に容易に付着するため動作不良等の故障の原因となり、これらの問題から全体としてバケット及びチェン等の耐用年数が短いという課題がある。
【0005】
また、上記バケットエレベータは、特に排出部においてバケットを上部大径スプロケットの外周に沿って移動させているため、装置自体が大型化するという課題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、投入口から確実にバケットに土砂等を投入することにより、バケット以外への土砂等の飛散を防止し、バケット、チェン等への負荷を低減し得て、耐用年数を向上させたバケットエレベータを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、装置構成の小型化を実現したバケットエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、下部スプロケット及び上部スプロケット間に張設した左右一対のチェン間に所定間隔で複数のバケットを設け、下方の投入口からバケットに投入された被搬送物を、上部の排出シュートに循環移送するバケットエレベータにおいて、上記バケットは上面開口バケットであって、その上部の左右方向支持軸を以って上記チェンに回動自在に吊下されており、上記バケットに突起を設けると共に、上記投入口の近傍の機枠に一定範囲の傾斜用案内レールガイドを設け、上記バケットは上記案内レールガイドに沿って上昇する際に、上記突起が上記レールガイドに当接した状態で移動することにより、上記バケットが上記左右方向支持軸を回動軸としてその上面開口を上記投入口に向けて傾斜し得るように構成されたものであることを特徴とするバケットエレベータにより構成される。
【0009】
傾斜用案内レールガイド(15)は、その案内レールガイドをバケット(8)の突起(14)の仮想上昇経路(R)上に位置させることで、上記バケット(8)がチェンにより移送される過程において、その上記突起(14)が上記レールガイド(15)に当接し、これにより上記左右方向支持軸(8b)を以って水平姿勢から投入口(3)方向に傾斜するように構成することができる。従って、バケット(8)により投入口(3)からの土砂等の被搬送物を確実にバケット内に投入することができ、バケット以外への土砂等の飛散を極力防止し得る。
【0010】
第2に、上記傾斜用案内レールガイドは、上記突起に接触して上記バケットを傾斜させる第1傾斜部と、上記突起との係合状態を解除して上記バケットの上記傾斜を解除する第2傾斜部とを有しており、当該レールガイドは上記機枠に対して前後方向又は上下方向に位置調整可能に設けられているものであることを特徴とする上記第1記載のバケットエレベータにより構成される。
【0011】
従って、上記バケット(8)はその突起(14)が上記第1傾斜部に当接することで投入口方向に傾斜し、当該傾斜状態で土砂等の被搬送物を受け、その後上記突起(14)が上記第2傾斜部(15c)に移行し上記突起(14)と上記第2傾斜部(15c)との係合状態が解除されることで、傾斜状態が解除されるように構成することができる。上記案内レールガイド(15)の前後方向又は上下方向の調整は、例えば上記レールガイド又は機枠に設けられた長孔(41a,45a’等)にボルト(43,44等)を係合し、上記長孔或いはボルトの長さの範囲内にて上記レールガイド(15)を前後方向又は上下方向に調整可能に構成することができる。従って、上記レールガイド(15)の上記機枠に対する位置を調整することで、バケット(8)の傾斜角度或いはバケット(8)の傾斜タイミングを調整して、最適な条件で土砂等の被搬送物をバケットに投入することができる。
【0012】
第3に、傾斜状態の上記バケットの前端縁に対向する機枠に開口部を設け、該開口部をガイド板にて閉鎖し得るように構成し、上記ガイド板の上記開口部への取り付け位置を前後方向に位置調整し得るように構成し、該ガイド板のバケット側の板面と上記傾斜バケット前端縁とのクリアランスを調整可能に構成したものであることを特徴とする上記第1又は2記載のバケットエレベータにより構成される。
【0013】
上記ガイド板(49)の上記開口部(50)の取付位置の調整は、例えばガイド板と機枠の取り付け位置との間に所定厚のシム板(52)を介装することにより行うことができる。このように構成すると、バケット(8)の傾斜角度に応じて、ガイド板(49)とバケット前端縁(51)とのクリアランス(T)を最適に設定することができ、これによりバケット外への土砂等の被搬送物の漏れ、飛散を最小限に抑えることができる。
【0014】
第4に、上記案内レールガイドの上記第1傾斜部と上記第2傾斜部との間に、上記突起が当接することで上記バケットをさらに投入口方向に傾斜させるための第3傾斜部及び該傾斜を解除するめの第4傾斜部を設けたものであることを特徴とする上記第2に記載のバケットエレベータにより構成される。
【0015】
従って、例えば上記投入口(3)に接近した位置において上記バケット(8)の突起(14)が上記第3傾斜部(53a)に当接することでバケット(8)の傾斜角度をより大きくすることができ、これにより土砂等の被搬送物をより確実にバケット内に投入することができ、またバケット(8)の傾斜角度を大きくすることで、バケットの投入口側の前面側側面(8e)の傾斜角度が大きくなるので、土砂等のバケット前面側側面への付着を防止することができる。
【0016】
第5に、上記一対のチェンに沿って、両チェンの対向部にゴム製のカバーを設けると共に、当該カバーの中央部にスリットを形成し、上記バケットの上記左右方向支持軸は上記スリットを介して上記チェンに接続されているものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のバケットエレベータにより構成される。
【0017】
このように構成すると、土砂等の被搬送物のチェンへの飛散を阻止することにより、チェンの負担を低減してバケットエレベータの耐用年数を向上することができる。
【0018】
第6に、上記投入口近傍の所定範囲において、上記バケットの左右側面と上記一対のチェンとの間に左右一対の飛散防止板を設けたものであることを特徴とする上記第1〜5の何れかに記載のバケットエレベータにより構成される。
【0019】
このように構成すると、特に土砂等の被搬送物の飛散の多い投入口近傍の所定範囲において、飛散防止板によって土砂等のチェン方向への飛散を確実に阻止し得る。
【0020】
第7に、上記上部スプロケットは、対向する一対のスプロケットにより構成され、これら上部スプロケットの回転中心軸は互いに外側にのみ設けられており、両上部スプロケットの対向する内側を上記バケットが通過するものであることを特徴とする上記第1〜6の何れかに記載のバケットエレベータにより構成される。
【0021】
このように構成すると、バケット(8)は上部スプロケット(6a,6b)の対向する内側を通過することができるので、上部スプロケットの径を小さくすることができ、バケットエレベータの上部スプロケット近傍の装置構成を小型化することができる。
【0022】
第8に、上記下部スプロケットにアームの一端を接続し、該アームの他端に重錘を設けたものであることを特徴とする上記第1〜7の何れかに記載のバケットエレベータにより構成される。
【0023】
このように構成すると、上記チェンに常に適切なテンションを作用させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上述のように、投入口近傍にてバケットを傾斜することで、バケットに土砂等の被搬送物を確実に投入することができ、土砂等の飛散等を防止し得て、上記バケット、チェン等に不要な負荷がかからないので、耐用年数を大幅に向上したバケットエレベータを実現し得るものである。
【0025】
また、バケットの傾斜角度又は傾斜タイミングを調整することで、土砂等の被搬送物の種類、性状等に応じた最適の条件でバケットに被搬送物を確実に投入することができ、下部スプロケット周辺でのバケット或いはチェンにかかる負担を軽減して、バケットエレベータの耐用年数を向上することができる。
【0026】
また、ゴム製のカバーや飛散防止板によって、土砂等の被搬送物のチェン等への飛散を極力防止して耐用年数の向上を実現したものである。
【0027】
また、上部スプロケットの直径を小さく構成することができ、スペース効率の高いバケットエレベータを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るバケットエレベータの側面図である。
【図2】同上バケットエレベータの正面図である。
【図3】同上バケットエレベータの最下部近傍の側面図である。
【図4】同上バケットエレベータの投入口近傍の側面図である。
【図5】同上バケットエレベータの排出部の側面図である。
【図6】同上バケットエレベータの上部スプロケット近傍の側面図である。
【図7】同上バケットエレベータの上部スプロケット近傍の側面図である。
【図8】同上バケットエレベータの上部スプロケット近傍の平面図である。
【図9】(a)(b)共に同上バケットエレベータのバケットの斜視図である。
【図10】同上バケットエレベータの投入口近傍の正面図である。
【図11】同上バケットエレベータの案内筒の傾斜用案内レールガイド近傍の分解斜視図である。
【図12】同上バケットエレベータの案内筒の傾斜用案内レールガイド近傍の斜視図である。
【図13】同上バケットエレベータの傾斜用案内レールガイドの取り付け状態を示す斜視図である。
【図14】(a)は同上バケットエレベータの傾斜バケットとガイド板とのクリアランスを示す図、(b)は同上バケットエレベータのバケットの傾斜角度を示す図である。
【図15】(a)(b)は同上バケットエレベータのガイド板の調整状態を示す側面図、である。
【図16】同上バケットエレベータの投入口近傍の側面図である。
【図17】同上バケットエレベータの投入口近傍の側面図である。
【図18】同上バケットエレベータのバケットの斜視図である。
【図19】同上バケットエレベータのカバー近傍の横断面図である。
【図20】同上バケットエレベータの左右方向支持軸とカバーとの関係を示すバケットを取り去った状態の斜視図である。
【図21】同上バケットエレベータの傾斜用案内レールガイド近傍の斜視図である。
【図22】図21においてバケットの側面を取り去った状態の斜視図である。
【図23】同上バケットエレベータにおけるガイド板とバケットの関係を示すガイド板近傍の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るバケットエレベータを詳細に説明する。
【0030】
図1、図2に本発明に係るバケットエレベータ1の全体構成を示す。このバケットエレベータ1は、排出シュート9を含む排出部1aを地面G上に支柱2,2により立設し、地中にバケット案内筒1bを垂直に埋設し、最下点(地中約30m地点)近傍に土砂等の投入口3を介設し、該投入口3からバケット案内筒1b内に投入コンベア4により投入される土砂をバケット8で受けて上部の排出シュート9に搬送するものである。尚、上記案内筒1bの構成機枠を機枠45という。
【0031】
このバケットエレベータ1は、下部スプロケット5及び上部スプロケット6a,6b間に張設した左右一対のチェン7a,7b間に所定間隔で複数のバケット8を吊下げ、下方の上記投入口3から上記バケット8に投入された土砂を、上部の排出シュート9に循環移送する。
【0032】
尚、以下の説明において、図1においてバケット8の昇降方向を「上下方向」、図1の側面図における前後を「前後方向」、図2の正面図における左、右を「左右方向」という。
【0033】
上記バケット8は図9(a)(b)、図18に示すように、上面開口バケットであって(上面開口8a)、その上部の左右方向の同一中心軸上に位置する左右方向支持軸8b,8bの各両端部を以って上記チェン7a,7bに接続されており、該バケット8は上記支持軸8bを中心として矢印A,B方向に回動自在となっている。これらの支持軸8bは当該バケット8の前後方向の中心に設けられているため、上記吊下げ状態において、当該バケット8は下面開口を鉛直下方に向け、前後重量が吊り合った水平状態となり、傾斜することなく吊下げ支持されている。このように、上記バケット8は上記左右方向支持軸8bの両端部が左右のチェン7a,7bに支持されることで、常時は水平状態で上記チェン7a,7bに吊下げられている。
【0034】
このバケット8は、その下面開口前半部8’を閉鎖すると共に上記バケット側面8c,8cに軸支され(支持軸10a,10a)、前方側(矢印A方向)に回動することにより、上記下面開口前半部8’を開放し得る前半回動底部11aと、その下面開口後半部8”を閉鎖すると共に上記バケット側面に軸支され(支持軸10b,10b)、後方側(矢印B方向)に回動することにより上記下面開口後半部8”を開放し得る後半回動底部11bとを有している。
【0035】
上記前半回動底部11aは、図9(b)に示すように、上記左右の支持軸10a,10aにおいて各々扇状の側板11’,11’の各頂点部が軸支されており、両側の側板11’,11’の円弧状の下端縁間に複数の回動ローラ12が各々回転自在に軸支されている(図18参照)。これらのローラ12は前後方向に近接した状態で配列されており、各ローラ12は各々自在に回転可能となっている。
【0036】
上記後半回動底部11bは、図9(b)に示すように、上記左右の支持軸10b,10bにおいて各々扇状の側板11”,11”の各頂点部が軸支されており、両側の側板11”,11”の円弧状の下端縁間に複数の回動ローラ12が各々回転自在に軸支されている(図18参照)。これらのローラ12は同様に前後方向に近接した状態で配列されており、各ローラ12は各々自在に回転可能となっている。
【0037】
さらに、上記前半回動底部11aと後半回動底部11bの上記各ローラ12の上面には各々ゴム板13a,13bが敷設されており(図18参照)、各ゴム板13a,13bの中央縁13a’,13b’を接合すると共に、上記前半回動底部11aのゴム板13aの外側縁部13a”を該上記バケット8の下面開口前端縁8dに複数のボルトb等で接続固定し、上記後半回動底部11bのゴム板13bの外側縁部13b”を上記バケット8の下面開口後端縁8d’に複数のボルトb等で接続固定する。
【0038】
上記前半回動底部11aの側板(側面)11’下方位置に突起14を固設すると共に、上記被搬送物投入口3の近傍に一定範囲の傾斜用案内レールガイド15を左右一対に設け(図4、図11、図21参照)、上記バケット8は上記案内レールガイド15に沿って上昇する際に、上記突起14がレールガイド15に当接した状態で移動することにより、上記前後半回動底部11a,11bが閉鎖された状態のまま、上記バケット8全体がその上面開口8aを上記投入口3に向けて傾斜し得るように構成されている。尚、上記突起14は左右の側板11’の対称位置に設けられており、当該突起14の周囲にはローラ14aが回転自在に設けられている。
【0039】
上記前半回動底部11aと上記後半回動底部11bの各支持軸10a,10bはリンク機構16により連結されている。このリンク機構16は(図4、図9、図18参照)、上記支持軸10aに接続され斜め上方に延出し、前半回動底部11aに溶接されたアーム部16aと、上記支持軸10bに接続され斜め下方に延出され、後半回動底部11bに溶接されたアーム部16cと、上記アーム部16aと16cの端部に各々軸支され、両アーム部を連結するリンクプレート16bとから構成されている。尚、このリンク機構16も上記左右の支持軸10a,10bに一対に設けられている(図10参照)。
【0040】
このようなリンク機構16の構成により、前後半回動底部11a,11bの閉鎖状態(図9、図4の状態)から上記前半回動底部11aの側板に設けられた突起14を矢印C方向(図4参照)に押圧すると、上記支持軸10a(前半回動底部11a)を矢印B方向に回転させようとするが、当該力は上記リンク機構16a,16b,16cを通じてもう一方の支持軸10b(後半回動底部11b)を矢印A方向に回転させようとする。しかしながら、当該支持軸10bを矢印A方向に回転させようとする力は上記支持軸10a(前半回動底部11a)を矢印B方向に押圧する力と相殺されるので、上記底部11a,11bは閉鎖状態を維持する。そして、さらに上記突起14に矢印C方向の押圧力が作用すると、上記支持軸8bを中心としてバケット8全体が矢印B方向に回動してその上面開口部8aを投入口3方向に向けるように構成されている(図4参照)。
【0041】
このように、上記バケット8は上記案内レールガイド15に沿って上昇する際に、上記突起14が上記レールガイド15に当接した状態で移動することにより、上記下面の開閉用の底部(前後半回動底部11a,11b)が閉鎖された状態のまま、上記バケット全体がその上面開口部8aを上記投入口3に向けて傾斜し得るように構成されている(図21、図22参照)。尚、上記バケット8が底面開閉型ではない場合(バケットを反転して土砂を排出する場合)等は、上記突起14は上記バケット8の左右側面8c,8cに独立して設けても良いし、上記底面開閉型であっても、底面開閉用の突起とは別に独立して上記側面8c,8cに設けても良い。
【0042】
上記傾斜用案内レールガイド15は(図4、図11、図17)、投入口3側(前側)から後方側に傾斜した下向き傾斜部から構成される下部傾斜部(第1傾斜部)15aと、その傾斜部15aに引き続いて形成され、上記チェン7a,7bに平行な直線部15bと、該直線部15bに引き続いて形成され、後方側から投入口3側(前側)に傾斜した上向き傾斜部(上記下部傾斜部15aとは逆方向の傾斜部)から構成される上部傾斜部(第2傾斜部)15cとから構成されている。そして、当該レールガイド15は、その直線部15bが、上記案内レールガイド15がないと仮定した場合の上記突起14の仮想上昇経路R(図4)よりも後方側で、さらに上記チェン7a,7bの位置よりも若干後方側に位置し、かつ上記下部傾斜部15a及び上部傾斜部15cの位置が、下方から上昇してくる上記バケット8の突起14の上記仮想上昇経路R上に位置し、さらに上記直線部15bが上記チェン7a,7bに平行となるように、上記投入口3下方位置近傍の機枠45に固定されている。尚、このレールガイド15の位置調整構造については図11等に基づいて後述する。
【0043】
このように上記案内レールガイド15を設置することにより、下部スプロケット5を旋回してきたバケット8は、チェン7a,7bに沿って上昇していくが、下部スプロケット5の出口付近にて、上記突起14はその仮想上昇経路R上の上記下部傾斜部15aに当接し、当接状態のまま上昇していくので、上記突起14は上記下部傾斜部15aから矢印C方向の押圧力を得て、これによりバケット8はその突起14が上記下部傾斜部15aに沿って上昇していく間に上記左右方向支持軸8bを中心として後方側(矢印B方向)に徐々に傾斜して行き、上記突起14が上記直線部15bに移行した後は、当該傾斜姿勢を保持したまま当該直線部15bの区間、該直線部15bに沿って上昇していく。
【0044】
このとき、バケット8の上面開口8aは投入口3側に向いているので、該投入口3から投入される土砂等を確実に受け止めることができる。
【0045】
上記バケット8は土砂を受け取った後、上記直線部15bに沿って上昇して行き、上記突起14が直線部15bから上記上部傾斜部15cに移行して行き、上記突起14が逆方向傾斜である上記上部傾斜部15cに沿って移動することで、上記上部傾斜部15cが上記突起14の上記仮想上昇経路から徐々に遠ざかるため、上記バケット8の傾斜は上記突起14が上記上部傾斜部15cに沿って移動する過程で徐々に解除されて行き、上記突起14が上記上部傾斜部15cを外れた時点で上記バケット8は上記チェン7a,7bに吊下げられた水平姿勢に戻り、以降は水平状態を保ったまま上昇していく。
【0046】
尚、上記案内レールガイド15は上述のように、バケット8を傾斜させるための下部傾斜部15aと、バケットの傾斜状態を維持するための直線部15bと、上記傾斜状態を解除するための上部傾斜部15c(上記上部傾斜部15aに対して逆方向傾斜)とから構成したが、傾斜部全体を直線部のない円弧状、湾曲状或いは三角形状として、バケットを傾斜状態から傾斜のない水平状態まで連続的に移行するように構成しても良い。従って、上記上下の傾斜部は円弧状の傾斜部をも含む概念である。
【0047】
このように上記案内レールガイド15は、上記投入口3の近傍から下端方向に、略バケット2つ分の範囲にわたって設けられており(図4参照)、上記突起14が当接してバケット8を後方(矢印C方向)に向けて押圧するための下部傾斜部(第1傾斜部)15aと該下部傾斜部15aに連続し、上記チェン7a,7bに沿って設けられた直線部15bと、上記バケットを傾斜しない吊下げ状態に戻すための上部傾斜部(第2傾斜部)15cとから構成されている。
【0048】
また、上記リンク機構16は、上記突起14に矢印D方向(図6参照)に力が作用したときは、支持軸10aを矢印A方向に回転する力が作用し、当該回転力はアーム部16a,リンクプレート16b,アーム部16cを通じて支持軸10bを矢印B方向に回転させる力となる。よって、この場合は、前半回動底部11aは矢印A方向に回動して開放状態となり(図6参照)、後半回動底部11bも矢印B方向に回動して開放状態となり、結果として前後半回動底部11a,11bが完全に開放した状態となる(図6、図7参照)。また、これと同時に上記ゴム板13a,13bが垂下して上記底部が完全に開放される。
【0049】
上記バケット8の上記排出シュート9の近傍(上方)に一定範囲(略バケット2個分)の水平方向の開閉用案内レールガイド20を設け、上記バケット8は上記開閉用案内レールガイド20に沿って移動する際に、上記突起14が上記案内レールガイド20に当接することで上記開放押圧力(矢印D方向)を受け、これにより前半回動底部11aと後半回動底部11bが開放して被搬送物(土砂)を上記排出シュート9に落下させるように構成している。
【0050】
上記バケット8の側面8cの後方側上面には浮き上がり防止突起31が設けられており、当該突起31の先端部には回転ローラ31aが設けられている(図9、図18参照)。この回転ローラ31aは、図6、図7に示すように、上記バケット8が排出シュート9上方の水平移動に移行するとき、水平移行するチェン7aに平行に水平に設けられた回動制御用案内レールガイド(第3の案内レールガイド)32上を移動するように構成されている。かかる構成により、上記突起14に矢印D方向の力が作用したとき、バケット8自体に左右方向支持軸8bを中心として矢印A方向に回転させようとする力が作用するが、上記浮き上がり防止突起31を上記案内レールガイド32上面に押し当てることにより、バケット8自体の浮き上がり(矢印A方向の回動)を防止するものである。
【0051】
上記開閉用の案内レールガイド20は、上部スプロケット6a,6b間において、左右に一対として設けられており、上記突起14に矢印D方向の押圧力を与えて上記前後半底部11a,11bを開放するための前半傾斜部20aと上記開放状態を維持する直線部20bと上記矢印A方向の押圧力を解除するための後半傾斜部20cとから構成されている。
【0052】
このように、上記前半回動底部11aと上記後半回動底部11bの各支持軸10a,10bをリンク機構16で連結し、上記突起14に上記一方の回動底部11aが開放する方向の開放押圧力(矢印D方向)が作用した場合にのみ、上記リンク機構16を介して他方の回動底部11bを開放する方向に回動するように構成し、上記バケット8の排出シュート9の近傍に一定範囲の開閉用案内レールガイド20を設け、上記バケット8は上記開閉用案内レールガイド20に沿って移動する際に、上記突起14が上記案内レールガイド20に当接することで上記開放押圧力を受け、これにより前半回動底部11aと後半回動底部11bが開放して被搬送物(土砂)を上記排出シュート9に落下させるように構成している。
【0053】
上記排出シュート9の下端部には搬出コンベア9aを設け(図1、図2)、排出された土砂等を当該コンベア9aで所定の場所に搬送する。また、このような排出シュート9の構成によると、図2の二点鎖線にて示すように、上記排出シュート9の向きを左方向又は右方向に傾斜させることにより、搬出コンベア9aの排出口の位置を左又は右にずらすことも容易に行うことができ、設置場所或いは土砂等の搬送場所に応じて、搬出コンベア9aの設置位置を設定することができる。
【0054】
上記上部スプロケット6a,6bは、図8に示すように、対向する一対のスプロケット6a,6a、6b,6bにより構成され、これらスプロケット6a,6bの回転中心軸21a,21bは互いに各スプロケットの外側方向にのみ設けられており、両スプロケット6a,6bの対向する内側6a’,6b’を上記バケット8が通過するように構成されている。即ち、上記スプロケット6a,6bの各々の回転軸21a,21bは、各々上記スプロケット6a,6bから外側方向に延出形成されており、当該回転軸21a,21bは各々上記バケットエレベータの上部機枠35上に設けられた軸受(ピローブロック)22,23によって回転可能に支持されている。よって、上記スプロケット6a,6a間、上記スプロケット6b,6b間を連結する中心軸は存在しない。
【0055】
上記チェン7a,7bは上記スプロケット6a,6bに巻回されており、両チェン7a,7b間にバケット8が吊下されているため、該バケット8は上記スプロケット6aを介して排出シュート9上面に向けて水平に方向変換する。このとき、上記バケット8は、図6に示すように、両スプロケット6a,6a間の中心軸21aの位置を通過するが、両スプロケット6a,6a間を連結する中心軸がないので、何ら支障なく、通過することができる。かかる構成により、スプロケット6aの直径を非常に小さく形成することができ、排出シュート9近傍の装置構成を小型化することができる。かかる機能は上部スプロケット6b,6b側でも同一である。
【0056】
上記スプロケット6b,6bの回転軸21b,21bには各々独立したモータM1,M2の駆動プーリに接続された駆動チェン30,30が連結されており、当該モータM1,M2を同期状態で駆動することにより、上記スプロケット6b,6bを同一タイミングで回転駆動し、これにより上記チェン7a,7bを矢印E方向(図1)に回転駆動し得るように構成されている。
【0057】
上記一対のチェン7a,7bは、昇降用レールガイド24に沿って設けられているが(図9(a)、図20参照)、上記レールガイド24の両チェン7a,7bの対向部にゴム製のカバー25,25を設けると共に、当該カバー25,25の対向縁を近接させて中央部にスリット26を形成し、上記バケット8の上記左右方向支持軸8bは上記スリット26を介して上記チェン7a,7bに接続されるように構成されている。
【0058】
即ち、図9(a)、図20に示すように、上記バケット8の左右方向支持軸8bは上記ゴム製カバー25のスリット26を介して上記チェン7a,7bに接続されている。このように構成すると、上記カバー25のスリット26はゴムの弾性により常時は近接状態に略閉鎖されているので、土砂等がチェン7a,7bに直接飛散、付着することがなくなり、チェン7a,7bの不具合等を効果的に防止することができる。
図19に示すように、上記レールガイド24は、上記チェン7b(7a)の両側に設けられており、上記チェン7bの両側における上記バケット側面8cに対する平行面24a,24aの両端縁部を、それらの各端縁が上記バケット8から離間する方向に同一角度に折り曲げて、共に上記左右方向支持軸8bの中心軸の方向に向かって傾斜する傾斜支持面24b,24bを具備している。上記カバー25,25は各々上記傾斜支持面24b,24bに各一縁の面がボルトにて固定されている。従って、上記カバー25,25は、両一縁から各他縁側が上記左右方向支持軸8bの中心軸の方向に突出するように傾斜した状態で固定されており、上記両カバー25,25の各他縁が近接することでスリット26が形成されている。このように、上記カバー25,25は上記傾斜支持面24b,24bからそのスリット26が上記バケット8方向に突出するような山状傾斜面を形成した状態で取り付けられているので、左右方向支持軸8bの通過に伴ってカバー25,25の内側(チェン7a,7b方向)へのカバーの巻き込みを防止することができ、より効果的に土砂等のチェン7a,7bへの飛散等を防止することができる。
【0059】
27はチェン7a,7bのテンション維持用の重垂であり(図1)、上記下部スプロケット5にアーム28を介して設けられ、該下部スプロケット5に常時下向きの力を与えて、上記チェン7a,7bに常にテンションをかけるために設けられたものである。
【0060】
上記投入口3における上記傾斜用の案内レールガイド15が形成された範囲において、上記チェン7a,7bと上記バケット8との間に、左右一対の飛散防止板29,29が固定されている(図4、図10)。この飛散防止板29,29は投入口3から搬入コンベア4により投入される土砂等(図4、図10におけるX)をバケット8の上面開口8aの方向に案内するものであり、上記投入口3の左右に広い面積の飛散防止部29a,29aが設けられていると共に、当該飛散防止部29a,29aから下方向けて垂下部29b,29bが設けられている。この防止板29,29は、上記投入口3からバケット8に向けて投入される土砂を上記バケット8の上面開口8aに案内すると共に飛散を防止するものである。尚、図中36は上記投入コンベア4のスプロケットである。
【0061】
本発明は上述のように構成されているため、バケット8は左右方向支持軸8bにより上部中央をチェン7a,7bに支持された吊り下げ状態で移行し、下部スプロケット5を回って投入口3に至る。このとき、前半回動底部11aの突起14が傾斜用の案内レールガイド15の下部傾斜部15aに当接することにより、バケット8全体が上記左右方向支持軸8bを中心に後方に回動され、直線部15bに移行して該直線部15bの区間、上面開口8aを投入口3の方向に向けた傾斜状態で垂直に上昇していく(図4参照)。
【0062】
このとき、投入口3から土砂が投入されるが、上記上面開口8aが投入口3方向を向いているので、投入された土砂は上記バケット8内に確実に投入されて行き、土砂こぼれを抑制することができる。
【0063】
上記バケット8は傾斜用の案内レールガイド15の上部傾斜部15cを通過することにより傾斜の無い吊り下げ状態(水平吊下状態)に復帰し、当該吊り下げ状態で上昇して行く。
【0064】
土砂を投入された上記バケット8は上部スプロケット6aによって水平に方向変換され、開閉用の案内レールガイド20の前半傾斜部20aに上記突起14が当接することにより、当該突起14が矢印D方向に押され、これにより前半回動底部11aが矢印A方向に開くと同時に、リンク機構16を介して後半回動底部11bが矢印B方向に開く。このとき、同時にゴム板13a,13bは各々下方に垂下され、内部に収納した土砂等を排出シュート9に落下させる。
【0065】
このとき、上記バケット8の底部は完全に開放されるため、粘着性の高い土砂であっても確実に落下させることができる。
【0066】
上記バケット8は後半傾斜部20cに位置すると(図7)、上記突起14に対する押圧が解除されるため、上記前後半回動底部11a,11bは閉鎖方向に回動する。このとき、上記前後半回動底部11a,11bの各ローラ12が上記ゴム板13a,13bの裏面側に接触し、各ローラ12が回転しながら閉鎖するので、ゴム板13a,13bを円滑に閉鎖することができる。
【0067】
土砂の排出の終了したバケット8は上記上部スプロケット6bを介して下方に移行して行き、以降は上記動作を繰り返し行うものである。
【0068】
以上のように、本発明によると、常時は水平な姿勢で移動しているバケット8を傾斜させることでバケット8に土砂等の被搬送物を確実に投入することができ、土砂等の飛散等を防止し得て、上記バケット8に不要な負荷がかからないので、バケットエレベータとしての耐用年数を大幅に向上し得るものである。
【0069】
また、バケット8が投入口を通過するとき、バケットの上面開口が上記投入口の方向に傾斜するように構成したので、土砂等の被搬送物を確実にバケットに投入することができる。
【0070】
また、バケットはその上部中央を左右方向支持軸8bに前後方向に釣り合った吊り下げ状態で移行する構成であり、かつ土砂等の飛散が抑制された構成であるため、下部スプロケットを移行するときバケット8、チェン7a,7b、スプロケット等に不要な負荷が作用することなく、これによりバケットエレベータとしての耐用年数を向上し得るものである。また、上述のような不要な負荷が作用しないので、モータM1,M2を小型化でき、消費電力を低減できると共に、チェン7a,7b、排出部1a、バケット案内筒1bのケーシングの簡素化、小型化が可能となり、全体としてのコスト削減が可能となる。
【0071】
また、バケット8の底部を完全に開閉することで被搬送物を排出し得るので、粘性の高い被搬送物であっても確実に排出することができる。
【0072】
また、上部スプロケット6a,6bの直径を小さく構成することができ、スペース効率の高いバケットエレベータを構成することができる。
【0073】
また、チェンにゴム製のカバーを設けることにより、チェンに対して土砂等の飛散、付着を極力防止することができ、土砂等の付着に基づくチェン、スプロケット等の故障等を極力防止することができる。
【0074】
図11〜図13に上記傾斜用案内レールガイド15の詳細な構成を示す。これらの案内レールガイド15は同図に示すように、上記下部傾斜部(第1傾斜部)15a,直線部15b,上部傾斜部(第2傾斜部)15cを有する細長板状のレールにより構成されており、上記直線部15bの直線状の背面部15dの上下2箇所に上下前後方向位置調整を実現するための取付部40,40が各々形成されている。尚、左右のレールガイド15,15の構造は左右対称であり、各取付部40の構造も各々左右対称構造となっている。
【0075】
これら取付部40は、前方側に突出するチャンネル41と上記背面部15dに沿って上下方向に設けられたチャンネル42とから構成され、上記チャンネル41の上面には前後方向の長孔41aが形成されており、該長孔41aに上下のナットN,Nにより高さ調整ボルト43が垂直方向に起立状態で係合されている(図13参照)。また、上記チャンネル41の側面には前後方向の長孔41bが形成されており、この長孔41bには固定用ボルト55が係合している。
【0076】
上記チャンネル42の上方には、前後方向位置調整用のボルト44が上記チャンネル41の突出方向に平行に前方向に突出固定されている。
【0077】
上記バケット案内筒1bの前側の機枠45には、左右方向に水平の取付板45aに上記左右の傾斜用案内レールガイド15,15を取り付けるため、上記取付部40(4箇所)に各々対応した固定部46(4箇所)が設けられている(図13参照)。尚、上段の固定部46,46と下段の固定部46,46は各々左右対称構造である。
【0078】
これらの固定部46は、上記取付板45aに上下方向の開口47を設け、該開口47の下側と上側に前方側に突出する起立片48a,48bを形成し、上方の起立片48bにボルトの貫通孔48b’が設けられている。また、上記取付板45aにおける上記上側起立片48bから上方に垂直に連続する上記取付板45aには、高さ調整用の上下方向の長孔45a’が貫通形成されている。また、上記起立片48a,48bを内側方向に連結する垂直板56には上下方向の長孔56aが設けられている(図12)。
【0079】
よって、上記下側の各起立片48a上に上記案内レールガイド15の各チャンネル41を各々載置することで上記左右の案内レールガイド15,15を上記機枠45の左右位置に取り付け、このとき上記ボルト44の先端を上記長孔45a’内に挿通させる。そして、上記高さ調整用ボルト43を上記上側の起立片48bの貫通孔48b’から上記チャンネル41の長孔41a内に挿通し、上下のナットN,Nで当該ボルト43を上記チャンネル41に固定し、上記固定用ボルト55を長孔41bを介して上記垂直板56の長孔56aに挿通してナット等で固定し、さらに上記ボルト44に前後のナットN,Nを螺合して、ボルト44を取付板45aに固定することにより、当該傾斜用案内レールガイド15を上記機枠45に固定することができる。
【0080】
ここで、上記傾斜用の案内レールガイド15の位置を前後方向に調整する場合は、各ナットN及び上記ボルト55を緩めてレールガイド15を前後にフリー状態とし、取付板45aの両側の前後のナットN,Nを所定の方向に回転させる。例えば、レールガイド15を前方に移動させる場合は、上記取付板45aの前方側のナットNを例えば右方向に締め込むことでレールガイド15を前方に移動させ、レールガイド15を後方に移動させる場合は、上記取付板45aの後方側のナットNを逆方向に締め込むことで上記レールガイド15を後方に移動させることができる。レールガイド15の固定時は、上記取付板45a及び上記チャンネル41の両側のナットNを締め込み、ゆるみ止めでボルト55を締め込む。このように構成すると、上記案内レールガイド15を通過する際のバケット8の傾斜角度を調整することができる。即ち、上記レールガイド15を後方に移動させると、該ガイド15がチェン7a,7bに対して後方側に移動し、上記バケットの突起14がより後方側で上記レールガイド15(直線部15b)に当接するのでバケットの傾斜角度をより大きくすることができる(図14(a)参照)。逆に、上記レールガイド15を前方に移動させると、該レールガイド15がチェン7a,7bに対して前方側に移動し、上記突起14がより前方側で上記レールガイド15(直線部15b)に当接するので、バケット8の傾斜角度をより小さくすることができる(図14(a)参照)。
【0081】
このように、上記傾斜用案内レールガイド15を前後方向に調整することで、バケット8の傾斜角度を例えば0°から30°の範囲で調整することができ(図14(b)参照)、投入される土砂の性状、土砂の投入角度等に応じて最適のバケットの傾斜角度とすることができる。
【0082】
また、上記案内レールガイド15を上下方向に調整する場合は、図13において各ナットN及び固定用ボルト55を緩めて上下にフリー状態とし、チャンネル41の両側のナットN,Nを所定の方向に回転させる。例えば、レールガイド15を上方に移動させる場合は、上記チャンネル41の上側のナットNを例えば右方向に締め込むことでレールガイド15を上方に移動させ、レールガイド15を下方に移動させる場合は、上記チャンネル41の下方側のナットNを逆方向に締め込むことで上記レールガイド15を下方に移動させることができる。レールガイド15の固定時は、上記チャンネル41及び取付板45aの両側のナットN,Nを締め込み、ゆるみ止めでボルト55を締め込む。このように構成すると、上記バケット8の傾斜の開始タイミング、傾斜の終了タイミングを調整することができ、投入口3の位置或いは投入される土砂の性状に応じて最適の傾斜タイミングを設定することができる。また、上記案内レールガイド15の前後上下の調整は、スパナ一つで機外よりナットNを回転させるだけで調整をすることができる。
【0083】
上記案内レールガイド15の前後上下方向の調整機構は、例えば前後方向のみの調整機構、或いは上下方向のみの調整機構のように何れか一方でも良いが、本実施形態のように両方の調整機能を設けることが好ましい。
【0084】
上記案内筒1bの上記案内レールガイド15が取り付けられる位置に対応する前面側、より具体的には上記上下左右の固定部46間の機枠45には、長方形の開口部50が形成されており、当該開口部50を前方側から閉鎖し得るガイド板49が設けられている(図11参照)。
【0085】
上記ガイド板49は上記開口部50を閉鎖し得る板面49aとその周縁に設けられた取付用周縁板49bとから構成されており、上記板面49aにて前方から上記開口部50を閉鎖した状態で上記取付用周縁板49bが上記機枠45の開口部周縁50aに当接するので、上記開口部周縁50aと上記取付用周縁板49bとをボルト及びナットBNにて締結して上記開口部50に装着するものである(図12、図23参照)。かかる取り付け状態においては、上記ガイド板49の板面49aと上記バケット8の前面側側面8eの前端縁51とのクリアランスT(例えば図14(a)のT1,T2等)が決定される。この場合、投入口3からバケット8に投入される土砂等ができるだけバケット下方に落下しないように最小のクリアランスTに設定することが好ましい。
【0086】
上記案内レールガイド15を前後方向に移動した場合、上記クリアランスTが変化するので(図14(a)参照)、この場合、図15に示すように、上記ガイド板49の上記取付用周縁板49bと上記機枠45の上記開口部周縁50a間にシム板52を入れる等してガイド板49の前後方向位置を調整することができる(図15(b)参照)。尚、図15(a)のガイド板49の板面49aを例えば同図2点鎖線の位置まで下げたい場合は、同図(b)に示すようにシム板52を取付用周縁板49bと開口部周縁50aとの間に介装することにより、上記板面49aの位置を調整することができる。このように構成すると、レールガイド15の前後方向位置を変化させた場合であっても、ガイド板49とバケット8とのクリアランスTを常に最適な値に設定することができる。
【0087】
図16に示すものは、上記傾斜用案内レールガイド15の他の実施形態であり、上記投入口3に接近する位置において、レールガイド15の隆起部53を設けたものである。この隆起部53は、傾斜バケット8をさらに同方向に傾斜させる下部傾斜部(第3傾斜部)53aと、傾斜状態を維持する直線部53bと、バケットの傾斜を終了させる上部傾斜部(第4傾斜部)53cとから構成されており、上記上部傾斜部53cは上記上部傾斜部15cに連続するものである。従って、上記第3傾斜部53a、直線部53b及び第4傾斜部53cは上記下部傾斜部15aと上記上部傾斜部15cの間に形成されている。
【0088】
また、この隆起部53の位置は、上記投入口3からの土砂を受ける直前のタイミングであって、図16に示すように、案内レールガイド15の下部傾斜部15aによって所定角度に傾斜した状態のバケット8は、上記隆起部53の下部傾斜部53aによってさらに同方向に傾斜を強める。これにより、土砂の投入角度に対して、バケット8の開口部8aがより最適な角度となり、投入された土砂を適切にこぼすことなくバケット8に投入することができる。
【0089】
また、上記隆起部53によってバケット8をさらに傾斜させることにより、土砂の投入角度θ1に比較してバケット8の前面側の側面(前面側側面)8eの傾斜角度θ2を大きくすることで(θ1<θ2)、バケット8の前面側の側面8eへの土砂の付着をなくすことができる。これによって、バケット8への土砂の付着等の汚れを軽減することができ、バケット側面の付着土砂の飛散等を防止して、漏れのない効率的な土砂の投入、土砂の漏れ、飛散等をさらに効果的に抑制することができる。このように、バケット8の傾斜角度を大きくすることで、バケット8の投入口側の前面側側面8eの傾斜角度が下方寄りに大きい角度θ2となるので、土砂等のバケット側面への付着を効果的に防止することができる。図16中54は土砂の投入シュートである。
【0090】
尚、上記隆起部53は下部傾斜部53a、直線部53b、上部傾斜部53cにより構成したが、全体の傾斜部を円弧状、湾曲状に形成することで直線部53bが存在しない形状としても良い。従って、傾斜部の概念には円弧状のものも含む。
【0091】
本発明は以上のように、投入口3近傍にてバケット8を傾斜させることで、バケット8に土砂等の被搬送物を確実に投入することができ、バケット以外への土砂等の飛散、漏れ等を大幅に防止し得て、バケット内充填効率を向上させることができる。
【0092】
また、土砂等の飛散を防止することで、上記バケット、チェン等に不要な負荷がかからないので、バケットエレベータの耐用年数を大幅に向上することができる。
【0093】
また、バケットの傾斜角度又は傾斜タイミングを調整するができ、土砂等の被搬送物の種類、性状等に応じた最適の条件でバケットに被搬送物を投入することができ、下部スプロケット周辺でのバケット或いはチェンにかかる負担を軽減して、バケットエレベータの耐用年数を向上することができる。
【0094】
また、バケットの傾斜角度を増加させることで、バケット側面への土砂等の付着を効果的に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のバケットエレベータは、土木工事現場における土砂等の搬送の他、他の各種の被搬送物の搬送に利用することができるものである。
【符号の説明】
【0096】
1 バケットエレベータ
1b 案内筒
3 投入口
5 下部スプロケット
6a,6b 上部スプロケット
7a,7b チェン
8 バケット
8a 上面開口
8b 左右方向支持軸
8c 側面
14 突起
15 傾斜用案内レールガイド
15a 下部傾斜部(第1傾斜部)
15c 上部傾斜部(第2傾斜部)
21a,21b 回転中心軸
25 カバー
26 スリット
28 アーム
27 重錘
29 飛散防止板
40 取付部
45 機枠
46 固定部
49 ガイド板
50 開口部
51 前端縁
53 隆起部
53a 下部傾斜部(第3傾斜部)
53c 上部傾斜部(第4傾斜部)
T クリアランス
X 被搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部スプロケット及び上部スプロケット間に張設した左右一対のチェン間に所定間隔で複数のバケットを設け、下方の投入口からバケットに投入された被搬送物を、上部の排出シュートに循環移送するバケットエレベータにおいて、
上記バケットは上面開口バケットであって、その上部の左右方向支持軸を以って上記チェンに回動自在に吊下されており、上記バケットに突起を設けると共に、上記投入口の近傍の機枠に一定範囲の傾斜用案内レールガイドを設け、
上記バケットは上記案内レールガイドに沿って上昇する際に、上記突起が上記レールガイドに当接した状態で移動することにより、上記バケットが上記左右方向支持軸を回動軸としてその上面開口を上記投入口に向けて傾斜し得るように構成されたものであることを特徴とするバケットエレベータ。
【請求項2】
上記傾斜用案内レールガイドは、上記突起に接触して上記バケットを傾斜させる第1傾斜部と上記突起との係合状態を解除して上記バケットの上記傾斜を解除する第2傾斜部とを有しており、
当該レールガイドは上記機枠に対して前後方向又は上下方向に位置調整可能に設けられているものであることを特徴とする請求項1記載のバケットエレベータ。
【請求項3】
傾斜状態の上記バケットの前端縁に対向する機枠に開口部を設け、
該開口部をガイド板にて閉鎖し得るように構成し、上記ガイド板の上記開口部への取り付け位置を前後方向に位置調整し得るように構成し、
該ガイド板のバケット側の板面と上記傾斜バケット前端縁とのクリアランスを調整可能に構成したものであることを特徴とする請求項1又は2記載のバケットエレベータ。
【請求項4】
上記案内レールガイドの上記第1傾斜部と上記第2傾斜部との間に、上記突起が当接することで上記バケットをさらに投入口方向に傾斜させるための第3傾斜部及び該傾斜を解除するめの第4傾斜部を設けたものであることを特徴とする請求項2記載のバケットエレベータ。
【請求項5】
上記一対のチェンに沿って、両チェンの対向部にゴム製のカバーを設けると共に、当該カバーの中央部にスリットを形成し、上記バケットの上記左右方向支持軸は上記スリットを介して上記チェンに接続されているものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のバケットエレベータ。
【請求項6】
上記投入口近傍の所定範囲において、上記バケットの左右側面と上記一対のチェンとの間に左右一対の飛散防止板を設けたものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のバケットエレベータ。
【請求項7】
上記上部スプロケットは、対向する一対のスプロケットにより構成され、これら上部スプロケットの回転中心軸は互いに外側にのみ設けられており、両上部スプロケットの対向する内側を上記バケットが通過するものであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のバケットエレベータ。
【請求項8】
上記下部スプロケットにアームの一端を接続し、該アームの他端に重錘を設けたものであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のバケットエレベータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate