説明

バケットコンベア

【課題】チェーンからの異物がバケットに混入しにくく、部品点数の少ないコンパクトな構成のバケットコンベアを提供する。
【解決手段】連続溝状の開口部18を備えた仕切板12に収納されたチェーン2が、開口部を挿通する連結部材17により仕切板12外のバケット3と連結され、これらは全体として本体1内に収容される。開口部18の開口は、バケット3から開口部18を介してチェーン2が望めないような向きとされており、チェーン2とバケット3を連結する連結部材17はこの開口部18を挿通するためにクランク状とされている。仕切板12内から開口部18を経て外側へ飛散する異物はバケットに到達しにくく、同異物はバケット3に混入しにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバケットコンベアに関し、特にチェーン等の搬送手段に起因する異物がバケットに混入しにくく、部品点数が少ない低コストのコンパクトな構成であり、清掃も容易なバケットコンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被搬送物を次工程まで搬送するバケットコンベアにおいては、バケット内にある被搬送物が汚染されるのを防止するために、その搬送路全体を略密閉構造のケーシングである本体内に収納する場合がある。これに加えて前記本体内において搬送用チェーンとバケットの間を構造的に分離し、前記チェーンに付着した潤滑油やスプロケットとチェーンの噛合による摩耗粉等の異物がバケット内の被搬送物に混入することを防止する構造とする場合もある。
【0003】
このような本体内におけるチェーンとバケットの分離構造としては、下記特許文献1に記載の発明が知られている。同文献に開示された発明に係るバケットコンベアは、図10又は図11に示すように、チェーン100とバケット101を互いに連結する連結軸103に、正面視円形の板状の仕切部材102を止め輪104で取付け、互いに隣接する仕切部材102,102同士を搬送経路(すなわちチェーン100の長手方向)に沿って連続的にオーバラップさせることにより、チェーン100とバケット101の間に連続した壁状の仕切を構成してチェーン100とバケット101を分離している。
【特許文献1】特開2005−350206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように多数の板状の仕切部材102を各バケット101ごとに設け、隣接する仕切部材102,102同士を互いにオーバラップさせて仕切壁としたバケットコンベアでは、バケット101の数に比例した点数の仕切部材102と、これらを連結軸103に取り付ける同数の止め輪104等の取付け部材が必要になる等、部品点数が多くコスト高になってしまう。また、仕切部材がオーバーラップする箇所数が多く、その隙間に異物が挟まり、付着した場合には清掃が大変である。さらに、上述した止め輪104等による仕切部材102の締結は信頼性が低く、不具合が生じた場合にはバケット101へ異物が混入する可能性が高くなってしまう。
【0005】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、特に縦方向にバケットが移動する場合に関して、搬送手段であるチェーン等に起因する異物がバケットに混入しにくく、部品点数の少ないコンパクトな構成であるために故障が少ないとともに製造コストも小さくて済み、しかも異物が付着した場合にも清掃が容易な異物混入防止構造を備えたバケットコンベアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載されたバケットコンベアは、本体1と、前記本体1内に設けられて循環して駆動される一対のチェーン2,2と、前記一対のチェーン2,2の間に配置された複数のバケット3,3aと、前記チェーン2と前記バケット3,3aを着脱可能に連結する連結部材17,17aと、前記チェーン2の駆動方向に沿って前記チェーン2と前記バケット3,3aを仕切る仕切板12と、被搬送物を前記バケット3,3aに収納して前記チェーン2の駆動に伴い前記バケット3,3aを移動させて前記被搬送物を搬送するバケットコンベアにおいて、前記仕切板12は、前記チェーン2を覆うように前記チェーン2の駆動方向に沿って前記本体1に設けられ、前記連結部材17,17aが挿通して移動可能なように前記チェーン2の駆動方向に沿って設けられた開口部18,18aを備え、前記バケット3,3a側から前記チェーン2が前記開口部18,18aを通して直接見えないようになっており、前記連結部材17,17aは、屈曲した形状とされていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載されたバケットコンベアは、請求項1記載のバケットコンベアにおいて、前記仕切板12が、前記バケット3,3aと前記チェーン2の間に配置された第1のフランジ15を備え前記本体1の内面に取り付けられた第1の仕切部材13と、前記第1のフランジ15の内面の一部に面する第2のフランジ16を備え前記第1の仕切部材13に隣接して前記本体1の内面に取り付けられた第2の仕切部材14とを有し、前記開口部18が前記第1のフランジ15及び前記第2のフランジ16によって形成されたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載されたバケットコンベアは、請求項1記載のバケットコンベアにおいて、前記仕切板12が、前記チェーン2の移動方向に直交する平面内において前記バケット3,3aを前記チェーン2から遮蔽するように前記バケット3,3aと前記チェーン2の間に配置された第1のフランジ15を備え前記本体1の内面に取り付けられた第1の仕切部材13を有しており、前記開口部18aが前記第1のフランジ15と前記本体1の内面によって形成されたことを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載されたバケットコンベアは、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のバケットコンベアにおいて、前記各バケット3の両端が一対の前記チェーン2に対して一対の前記連結部材17,17aを介して回転軸Lを中心にそれぞれ回転可能に連結されており、前記バケット3の重心が、前記回転軸Lを通過する鉛直面内の前記回転軸Lよりも下方にあることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載されたバケットコンベアは、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のバケットコンベアにおいて、前記バケット3,3aと前記仕切板12に覆われた前記チェーン2とを連結する前記連結部材17,17aと前記チェーン2との連結部位が該バケット3,3a側から直接見えるように、前記仕切板12の少なくとも一部が開閉可能とされたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載されたバケットコンベアによれば、仕切板内にあるチェーンと仕切板の外にあるバケットを連結する連結部材は仕切板の開口部を挿通しているが、仕切板の内部から該開口部の外側へ向けた異物の飛散方向乃至飛散範囲はバケットが存在している位置乃至範囲にかかっていないので、チェーンに起因する異物がバケットに混入しにくい。
【0012】
請求項2に記載されたバケットコンベアによれば、請求項1記載のバケットコンベアによる効果において、さらに前記仕切板が2つの仕切部材の組み合わせで構成されているので、仕切板の内部から該開口部の外側へ向けた異物の飛散方向乃至飛散範囲を、各仕切部材の各フランジの間隔及びオーバーラップの長さ等の設定により好適に定めることができる。
【0013】
請求項3に記載されたバケットコンベアによれば、請求項1記載のバケットコンベアによる効果において、さらに前記仕切板が前記バケットを前記チェーンから遮蔽する一つの仕切部材から構成されるので、2つの仕切部材で仕切板を構成する場合に比べて構成がより簡単でありながら、仕切板の内部から該開口部の外側へ向けた異物の飛散方向乃至飛散範囲を、仕切部材のフランジの寸法及び本体内面との間隔等の任意の設定により好適に定めることができる。
【0014】
請求項4に記載されたバケットコンベアによれば、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のバケットコンベアにおける効果に加え、さらにバケットの重心位置を連結部材の回転軸を通過する鉛直面内にあって前記回転軸よりも下方に設定したので、一対のチェーンの間に回動可能に連結されたバケットはバランスがとれ、バケットが傾いてバケット内の被搬送物が外にこぼれるといった不具合が発生しにくい。
【0015】
請求項5に記載されたバケットコンベアによれば、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のバケットコンベアにおける効果に加え、さらに仕切板の一部を開放することにより、仕切板の内部にある前記チェーンと前記連結部材の連結部位が視認可能となり、作業員が接近して作業することが可能となるので、バケットをチェーンから外して清掃する作業が従来よりも容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態であるバケットコンベアの全体構成を示す側面側から見た縦断面図、図2は図1のA−A切断線における断面図の一部、図3は同バケットコンベアにおける本体内の構造を示す斜視図、図4は同実施形態におけるバケットの重心位置を示す平断面図及び縦断面図、図5は第2の実施形態を示す平断面図、図6は第3の実施形態を示す平断面図、図7は第4の実施形態を示す部分拡大平断面図、図8は第5の実施形態を示す部分拡大平断面図である。
なお、異なる実施形態を表す各図面中、実質的に同一の構成部分には同一の符号を付して後出の実施形態の項では適宜説明を省略するものとする。
【0017】
1.第1実施形態(図1〜図4)
図1において、バケットコンベアの密閉型ケーシングを構成する本体1は、設置面上に設置された水平部1aと、水平部1aから垂直上方に連続する垂直部1bと、垂直部1bの上部にL字形をなして一体化した上方の水平部1cとを有する略Z字形をなす中空函体である。本体1の内部には、L字形の形状に沿って無端状に移動する左右一対のチェーン2と、左右のチェーン2,2間に連結部材をもって回動可能に両端を連結された複数のバケット3と、地表部側に配置されたチェーン駆動用スプロケット4及び回転駆動用モータ5と、各方向転換位置に配置された複数のガイド用スプロケット6と、天井側端部の搬送終端位置に配置された排出用スプロケット7とを備えている。
【0018】
そして、前記バケット3の搬送方向往路において、本体1の水平部1aと垂直部1bの隅部には被搬送物供給シュート8が設けられている。この被搬送物供給シュート8から本体1の内部に供給された被搬送物は、供給シュート8の直下に位置するバケット3に投入される。
【0019】
被搬送物を保持したバケット3は、駆動用スプロケット4の回転に伴い、水平を保ちつつ上昇し、次いで水平方向に変換され、排出用スプロケット7の位置でそれ自体が回動することにより被搬送物を排出する。
【0020】
スプロケット7の下方には、水平部1cの端部下面に開口する排出シュート9が設けられ、被搬送物は排出シュート9を経て落下し、その下方に位置する次工程の設備の一例である計量用ホッパ10に受渡される。このホッパ10の下部には例えば袋詰め装置11が配置され、ホッパ10で計量されて所定重量ごとに排出された被搬送物は、この袋詰め装置11で個別に梱包され、図示しないコンベアなどにより下流側に搬送される。
【0021】
排出用スプロケット7で方向転換し、復路側に移動する空荷のバケット3は往路の下部でに平行に水平移動し、次いで垂直に方向転換して下降し、駆動用スプロケット位置で再度往路方向に方向転換される動作が繰返され、以下各バケット3は、搬送始端から終端位置まで循環しつつ被搬送物を連続的に搬送する。
【0022】
図2及び図3に示すように、前記本体1内において、前記チェーン2は仕切板12で覆われている。この仕切板12は、前記チェーン2の移動方向を長手方向とする大略筒形のガイドレール状のケースであって、前記チェーン2と前記バケット3の連結部材が挿通する溝部がチェーンの長手方向に沿って連続して形成された構造である。
【0023】
ここで、仕切板12は、図2及び図3に示すように第1の仕切部材13と第2の仕切部材14の組み合わせによって構成されている。第1の仕切部材13は、前記バケット3の一側面とチェーン2の間に配置された平板状の第1のフランジ15を備えた全体として断面クランク形の板材であり、前記本体1の内面に取り付けられている。第2の仕切部材14は、この第1のフランジ15の内面の一部及び前記バケット3の一側面に平行に対面する平板状の第2のフランジ16を備えた全体として断面クランク形の板材であり、前記第1の仕切部材13の隣で前記本体1の内面に取り付けられている。
【0024】
そして、図2に示すような平面内における第1及び第2の各フランジ15,16の間隔及び対面している長さをそれぞれ所定寸法に設定することにより、バケット3とチェーン2を連結する連結部材17が挿通するための前記開口部18が、バケット3の側面側に直接向かない方向に開口するように構成されている。
【0025】
その結果、バケット3とチェーン2は、バケット3側から開口部18を介して仕切板12内のチェンを直接視認することができないような位置関係となり、この開口部18から吹き出す異物の到達範囲を図2中に例示すると扇状の領域Bのようになる。当該領域Bは実質的にバケット3と重ならないので、仕切板12の内部から開口部18を経て外に出た異物がバケット3に到達し、バケット3内の被搬送物を汚染するおそれは少ない。
【0026】
なお、開口部18から吹き出す異物の到達範囲には、仕切板12の内外の気圧差、チェーン2の駆動速度、その他の諸条件も影響を与えるが、基本的には開口部18の開口方向を大略バケット3に向けないような形状・寸法とし、バケット3とチェーン2が開口部18を通して実質的に直接対面しないようにすれば前記効果を奏することが可能である。
【0027】
前記開口部18を介するバケット3とチェーン2の連結部位の構造を説明すると、図2に示すように仕切板12の内部に収装されるチェーン2の側面側には、チェーン2のピンと同軸の連結用ピン2aが突設され、このピン2aは、前記バケット3の両側面に設けられて開口部18から前記仕切板12内に挿入されて突出したクランク形状の連結部材17の先端に着脱可能かつ回動可能に嵌合され、チェーン2の移動方向にバケット3を搬送するようにしている。なお、図2ではバケット3の一側面側における一方のチェーン2との連結構造のみを図示したが、バケット3の他側面側は後述するように対称形の同様の構造で他方のチェーン2に連結されている。
【0028】
図3及び図4から理解されるように、クランク形状の連結部材17は、バケット3の平面図における幾何学的中心点に関して回転対称となるように、バケット3の両側面にそれぞれ設けられており、バケット3の両側面が一対のチェーン2,2に対して一対の連結部材17,17により前記ピン2aの回転軸Lを中心にそれぞれ回転可能に連結されている。そして、バケット3の重心Gは、図4中に小黒丸にて示すように、前記回転軸L(図4(a)中では一点鎖線の中心線にて表示)を通過する鉛直面内にあって、同図(b)に示すように前記回転軸Lよりも下方にある。
【0029】
バケット3の重心Gがこのような位置にあれば、バケット3はチェーン2の駆動に伴って移動する際にバランスを崩すことなく水平を保持し、内部に収納している被搬送物を外に取りこぼすおそれはない。なお、図4(a)では、重心Gは平面視におけるバケット3の中心線中央に位置しているが、本例のバケット3は両側面の2点で一対のチェーン2,2に回動可能に連結され支持されているので、重心Gは必ずしも係る中央位置にある必要はなく、仮にこれからずれていても同図(b)に示すように前記鉛直面内で回転軸Lの下方に位置していればバケット3は水平状態を保持することができる。
【0030】
次に、本例では、図2及び図3に示すように、清掃時等にバケット3をチェーン2から取り外すために、仕切板12の一部が開閉可能な扉構造とされている。すなわち、図2に示すように、前記仕切板12を構成する2つの仕切部材13,14のうち、外側にある第1の仕切部材13の第1のフランジ15の一部が、その基部から外方に向けてヒンジ19を中心として開閉可能な扉部20とされている。ここで、図2中に示した扉部20の開閉時の軌跡から理解されるように、扉部20は開放時には平面内ではバケット3と干渉する位置に至るので、その鉛直方向の寸法(図2の紙面垂直方向の長さ)は、図3に示すように上下に隣接する2つのバケット3,3の間隔よりも小さく設定されている。そして、チェーン2を駆動してバケット3を適宜移動させ、扉部20にかからない位置にバケット3を位置決めし、扉部20を開く。ここで、さらにバケット3を移動し、バケット3とチェーン2の連結部分を開放された仕切部材の開口に移動させれば、作業員はバケット3をチェーン2から外す作業を行うことができる。
【0031】
2.第2実施形態(図5)
第1実施形態では、図4を参照して説明したように、クランク形状の連結部材17がバケット3の両側面に回転対称の配置で取り付けられてバケット3のバランスをとっていたが、連結部材17の配置はこれに限らない。図5に示す第2例では、回転軸Lに直交しバケット3の平面図における幾何学的中心点を通過するバケット3の中心線について対称となるように、一対の連結部材17,17をバケット3の両側面に取り付け、かつバランスをとるために回転軸Lを挟んで各連結部材17と反対側にそれぞれバランスウェイト21,21を取り付けてバケット3のバランスをとっている。
【0032】
3.第3実施形態(図6)
第2実施形態では、図5を参照して説明したように、回転軸を挟んで各連結部材17と反対側にそれぞれバランスウェイト21を取り付けたが、図6に示す第3例では、バランスをとるために、回転軸Lに関して各連結部材17と反対側の部分を連結部材17側よりも大きく重い非対称形状のバケット3aとし、バランスをとっている。
【0033】
4.第4実施形態(図7)
第1実施形態では、図2を参照して説明したように、仕切板12のフランジ15のみが扉部20として開閉するが、この扉部20がバケット3とぶつかるので、扉部20の鉛直方向の寸法は上下に隣接する2つのバケット3,3の間隔よりも小さく設定していた。これに対し、第4例では、図7に示すように、第1の仕切部材板13のうち、本体1への取付け部を除いた部分、すなわち第1のフランジ15と側部22からなるL字形の部分が本体1側に設けられたヒンジ19を中心として一体に回動するので、バケット3に干渉することがない。このため、本例の扉部20の鉛直方向の寸法は自由に設定することができる。
【0034】
ここで、数個のバケット3が含まれるような鉛直方向の寸法で扉部20を構成すれば、扉部20を開くことによって直ちにこれら複数個のバケット3とチェーン2との連結箇所に作業員が接近することができ、チェーン2からバケット3を取り外す作業を効率的に行うことができる。例えば、チェーン2の移動方向に関する扉部20及びその開口の寸法を、その中に3つのバケット3が配置されうるような長さとすれば、開口内に連結部材17が存在する3つのバケット3を一工程でチェーン2から外した後、バケット3つ分だけチェーン2を駆動して次の3つのバケット3の連結部材17を開口内に位置決めして次の3つのバケット3を外し、以下同様にして多数のバケット3の取外しを効率的に行うことができる。バケット3を洗浄した後、チェーン2にバケット3を取り付ける作業は取外しの逆であり、やはり効率的に取付けを行うことができ、極めて能率がよい。
【0035】
5.第5実施形態(図8)
第1実施形態では、図2を参照して説明したように、2つの仕切部材13,14を組み合わせることにより両者の隙間に開口部18を構成していた。これに対し、第5例では、図8に示すように、仕切板12を第1の仕切部材13だけで構成している。第1の仕切部材13は、第1の例におけるものと同様の構成であり、そのフランジ15に関して側部とは反対側の他側面側が開口部18aとされ、バケット3とチェーン2を連結する連結部材17aが挿通する空間となっている。また、この開口部18aを経てバケット3とチェーン2を連結する連結部材17aは、図8ではチェーン2側の直線部が長い略U字形となっているが、第1の例と同様のクランク状とすることもできる。
【0036】
本例によっても第一の例と同等の効果が得られる他、仕切板12の構成がより簡単であり、仕切部材13に開閉可能な扉部20を設けなくても、開口寸法の大きい開口部18aを介してチェーン2とバケット3の連結箇所に作業員が容易に接近でき、バケット3の着脱作業が容易であるという効果が得られる。
【0037】
6.第6実施形態(図9)
以上説明した実施形態では、縦方向に駆動されるチェーン2を覆う縦型の仕切板12に縦方向に連続する開口部18,18aを設け、これを挿通してバケット3,3aとチェーン2を連結部材17,17aで連結する構造において、バケット3,3a側から前記チェーン2が前記開口部18,18aを通して直接見えないようにしてバケット3,3aへの異物の混入を防止していたが、本発明はこのような縦型の構造だけに限るものではない。
【0038】
すなわち、前述のように縦型の構造であれば、図3のように縦方向に連続する開口部18,18aを垂直方向と見ると連結部材17,17aは、挿通方向が水平方向となるような構造となっていればよい。しかし、この構造だと図1における本体1の水平部1cでは2つの仕切部材13,14を組み合わせた仕切板12を用いることができない。元々、水平方向1cの異物の落下防止には、チェーン2の下に樋のような受け板を設けておくだけでよいと考えられているが、本体1の設置場所が空調機等からの風の影響を受ける環境下では、その受け板に落ちていた異物が再び舞い上がることも考えられる。そこで、図9のように連結部材17bを略45°傾けることで縦型の場合と同様な実施を行うことができる。 すなわち、図9に示すように、2つの仕切部材13,14を組み合わせて上向きに開口した開口部18を構成し、この開口部18をバケット3とチェーン2を連結するクランク形状の連結部材17bが挿通するようになっている。本例によっても、バケット3側からはチェーン2を開口部18を通して直接見ることができず、第1乃至第5の例と同等の効果が得られる。
【0039】
以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、バケット3,3aに混入する異物の発生源となるチェーン2を樋状の仕切板12で囲むとともに、このチェーン2と仕切板12外にあるバケット3を連結する連結部材17,17a,17bを挿通させるために仕切板12に連続して形成したスリット状の開口部18,18aを、バケット3の方向を向かないような配置として仕切板12内から開口部18,18aを通過して飛び出した異物がバケット3内に入らないようにした。すなわち、本実施形態によれば、仕切板12の開口部18、18aの形状・寸法・向き等を、チェーン2に起因する異物の飛散範囲がバケット3,3aを外れるような設定としたので、異物はバケット3,3aに混入しにくい。
【0040】
また、部品点数の少ないコンパクトな構成であるために故障が少なく、製造コストも小さくて済む。さらに、仕切板12の開口部18,18aはチェーン2の移動方向に沿って連続しており、この開口部18,18aに異物が付着した場合にも清掃が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の一実施形態であるバケットコンベアの全体構成を示す側面側から見た縦断面図である。
【図2】図2は図1のA−A切断線における断面図の一部である。
【図3】図3は同バケットコンベアにおける本体内の構造を示す斜視図である。
【図4】図4は同実施形態におけるバケットの重心位置を示す平断面図及び縦断面図である。
【図5】図5は第2の実施形態を示す平断面図である。
【図6】図6は第3の実施形態を示す平断面図である。
【図7】図7は第4の実施形態を示す部分拡大平断面図である。
【図8】図8は第5の実施形態を示す部分拡大平断面図である。
【図9】図8は第6の実施形態を示す図であり、同図(a)はバケットの斜視図、同図(b)はチェーンに連結されたバケットの一部切欠斜視図、同図(c)はチェーンに連結されたバケットの仕切板における断面図である。
【図10】図10は従来のバケットコンベアの一例を示す斜視図である。
【図11】図11は従来のバケットコンベアの一例における平断面図の一部である。
【符号の説明】
【0042】
1 本体1(1a 底板部、1b 垂直部、1c 水平部)
2 チェーン
3,3a バケット
12 仕切板
13 第1の仕切部材
14 第2の仕切部材
15 第1のフランジ
16 第2のフランジ
17,17a,17b 連結部材
18,18a 開口部
20 扉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(1)と、前記本体内に設けられて循環して駆動される一対のチェーン(2)と、前記一対のチェーンの間に配置された複数のバケット(3、3a)と、前記チェーンと前記バケットを着脱可能に連結する連結部材(17,17a)と、前記チェーンの駆動方向に沿って前記チェーンと前記バケットを仕切る仕切板(12)と、被搬送物を前記バケットに収納して前記チェーンの駆動に伴い前記バケットを移動させて前記被搬送物を搬送するバケットコンベアにおいて、
前記仕切板は、前記チェーンを覆うように前記チェーンの駆動方向に沿って前記本体に設けられ、前記連結部材が挿通して移動可能なように前記チェーンの駆動方向に沿って設けられた開口部(18,18a)を備え、前記バケット側から前記チェーンが前記開口部を通して直接見えないようになっており、
前記連結部材は、屈曲した形状とされていることを特徴とするバケットコンベア。
【請求項2】
前記仕切板(12)が、前記バケット(3,3a)と前記チェーン(2)の間に配置された第1のフランジ(15)を備え前記本体(1)の内面に取り付けられた第1の仕切部材(13)と、前記第1のフランジの内面の一部に面する第2のフランジ(16)を備え前記第1の仕切部材に隣接して前記本体の内面に取り付けられた第2の仕切部材(14)とを有し、前記開口部(18)が前記第1のフランジ及び前記第2のフランジによって形成されたことを特徴とする請求項1記載のバケットコンベア。
【請求項3】
前記仕切板(12)が、前記チェーン(2)の移動方向に直交する平面内において前記バケット(3,3a)を前記チェーンから遮蔽するように前記バケットと前記チェーンの間に配置された第1のフランジ(15)を備え前記本体(1)の内面に取り付けられた第1の仕切部材(13)を有しており、前記開口部(18a)が前記第1のフランジと前記本体の内面によって形成されたことを特徴とする請求項1記載のバケットコンベア。
【請求項4】
前記各バケット(3)の両端が一対の前記チェーン(2)に対して一対の前記連結部材(17,17a)を介して回転軸(L)を中心にそれぞれ回転可能に連結されており、前記バケット(3,3a)の重心が、前記回転軸を通過する鉛直面内の前記回転軸よりも下方にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のバケットコンベア。
【請求項5】
前記バケット(3,3a)と前記仕切板(12)に覆われた前記チェーン(2)とを連結する前記連結部材(17,17a)と前記チェーンとの連結部位が該バケット側から直接見えるように、前記仕切板の少なくとも一部が開閉可能とされたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のバケットコンベア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−320762(P2007−320762A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156278(P2006−156278)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】