説明

バケット型フライトコンベヤ

【課題】バケット型フライトの底面板とコンベヤケースの底板との間に粉粒体が詰まらないようにすることができ、上方傾斜方向に搬送するとき掬い取った粉粒体がこぼれ落ちないようにすることができると共に、粉粒体の排出が確実にできるバケット型フライトコンベヤを提供することを目的とする。
【解決手段】バケット型フライトコンベヤ1は、一対のチェーン6間に保持されたバケット型フライト5がコンベヤケース2内を循環走行して粉粒体Mを搬送する。バケット型フライト5は底面板5aを有するバケット形状のもので、底面板5aとチェーン6のピッチラインPlとのなす角度αが粉粒体の安息角θより約10〜15度小さい角度でチェーン6の外プレート6aに取り付けられる。バケット型フライト5が搬出口2c手前で水平走行すると粉粒体はバケット型フライト5から払い出され、搬出口2cから排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類の粉体、粒体、その他粉粒物などの粉粒体をコンベヤケース内で循環走行するチェーンに取り付けたバケット型フライトを使って搬送し、搬出口から排出するバケット型フライトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対のチェーン間に保持されたバケット型フライトが、コンベヤケース内を循環走行し、粉粒体を水平方向、上方傾斜方向に搬送し搬出口から排出するバケット型フライトコンベヤが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記従来のバケット型フライトコンベヤ(特許文献1)は、一対のチェーン又はベルト間に保持されたバケットからなるもので、このバケットは、上方及び搬送体の移動方向前方が開放した立法体状のもので、金網や金属板により形成されている。
【特許文献1】特開昭56−48314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のバケット型フライトコンベヤは、バケットが底面板を有する立法体状のものであるため、バケット底面板とコンベヤケースの底板との間に粉粒体が詰まり、こじりが発生して動かなくなったり、無理に動かそうとするとチェーン張力が大きくなり、寿命が短くなる、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来の問題点を解決し、バケット型フライトの底面板とコンベヤケースの底板との間に粉粒体が詰まらないようにすることができ、上方傾斜方向に搬送するとき掬い取った粉粒体がこぼれ落ちないようにすることができると共に、粉粒体の排出が確実にできるバケット型フライトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明は、一対のチェーン間に保持されたバケット型フライトが、コンベヤケース内を循環走行し、コンベヤケースの底板に沿って粉粒体を水平方向、上方傾斜方向に搬送した後、水平方向に搬送し搬出口から排出するバケット型フライトコンベヤにおいて、前記バケット型フライトが底面板と、前方から後方に向かって高く傾斜している両側側面板と、該両側側面板間に設けられた後方面板とからなるバケット形状をなし、前記バケット型フライトは、前記底面板と前記チェーンのピッチラインとのなす角度が粉粒体の安息角より小さい角度で該チェーンの外プレートに取り付けられると共に、該バケット型フライトの前方先端とコンベヤケースの底板との間に前記粉粒体の最大粒径と略同じ程度の隙間が形成されているバケット型フライトコンベヤ、という構成とすることにより前記課題を解決したものである。
【0007】
請求項2に係る本発明は、前記請求項1に記載のバケット型フライトコンベヤにおいて、前記バケット型フライトが、前記底面板と前記チェーンのピッチラインとのなす角度が粉粒体の安息角より約10〜15度小さい角度で該チェーンの外プレートに取り付けられている、という構成とするものである。
【0008】
なお、本明細書において、前方とはバケット型フライトが粉粒体を搬送するように進行する方向のことであり、後方とはその逆方向のことである。また、安息角とは、粉体、粒体、その他粉粒物などの粉粒体を積みあげた斜面が崩れ落ちないで安定している最大角のことであり、積んだ状態を円錐形とみなし、水平面と母線とのなす角度で表す。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る本発明のバケット型フライトコンベヤによれば、バケット型フライトが底面板と、前方から後方に向かって高く傾斜している両側側面板と、該両側側面板間に設けられた後方面板とからなるバケット形状をなし、このバケット型フライトが、前記底面板とチェーンのピッチラインとのなす角度が粉粒体の安息角より小さい角度で該チェーンの外プレートに取り付けられているので、バケット型フライトがコンベヤケースの底板に沿って、粉粒体を掻き取りながら水平方向に搬送し、粉粒体を掬い取ってこぼさずに上方傾斜方向に搬送することができる。次いで、水平方向に搬送したところで、バケット型フライトの底面板が粉粒体の安息角より小さい角度で傾斜するため、粉粒体を全てバケット型フライトから払い出して搬出口から排出することができる。その結果、粉粒体を効率よく搬送排出することができる。
【0010】
また、バケット型フライトは、底面板とチェーンのピッチラインとのなす角度αが粉粒体の安息角より小さい角度で該チェーンのプレートに取り付けられると共に、該バケット型フライトの前方先端とコンベヤケースの底板との間に前記粉粒体の最大粒径と略同じ程度の隙間が形成されているので、コンベヤケースの底板に対してバケット型フライトの底面板が傾斜状態にあるため、コンベヤケースの底板とバケット型フライトの底面板との間に粉粒体が詰まらないようにすることができる。その結果、粉粒体の詰まりによるチェーンの伸びを抑制することができ、寿命の短縮化を抑制することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明のバケット型フライトコンベヤによれば、バケット型フライトが、前記底面板と前記チェーンのピッチラインとのなす角度αが粉粒体の安息角より約10〜15度小さい角度で該チェーンの外プレートに取り付けられているので、水平方向に搬送したところで、バケット型フライトの底面板が粉粒体の安息角より約10〜15度小さい角度で傾斜するため、確実に粉粒体を全てバケット型フライトから払い出して搬出口から排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を図1〜図8を参照して説明する。図1はバケット型フライトコンベヤの概略側面図であり、図2はバケット型フライトの走行状態の説明図であり、図3はバケット型フライトコンベヤの一部平面図、図4はバケット型フライトコンベヤの一部側面図、図5はバケット型フライトの側面図、図6はバケット型フライトのチェーンへの取付け状態の説明図、図7はバケット型フライトの側面板にアタッチメントを取り付けた要部断面図、図8はアタッチメントを有するチェーンの一部斜視図である。
【0013】
図1に示すように、バケット型フライトコンベヤ1は、コンベヤケース2内に設けられた駆動スプロケット3と、従動スプロケット4とに、バケット型フライト5を取り付けたチェーン6が巻き掛けられて循環走行するものである。粉粒体Mは、コンベヤケース2の上方に設けた投入口2aから投入され、バケット型フライト5の間からコンベヤケース2の底板2b上に落下し、水平方向に掻き取られながら搬送され、バケット型フライト5で掬い取られて上方傾斜方向に搬送された後、水平方向に搬送されたところで搬出口2cから自然落下し排出される。この場合、粉粒体Mが上方傾斜方向に搬送されるコンベヤケース2の底板2bは、最大で約65度傾斜している。
【0014】
バケット型フライト5は、図5、図6に示すように、底面板5aと、前方から後方に向かって高く傾斜している両側側面板5b,5bと、該両側側面板5b,5bの間に設けられた後方面板5cとからなる断面三角形のバケット形状のものである。この両側側面板5b,5bは底面板5aに折り曲げ形成される。また、図7に示すように、この側面板5bにはボルト締め用の貫通孔5eを有する断面L字形状のアタッチメント5dが溶接固定されている。
【0015】
図8に示すように、バケット型フライト5を取り付けるチェーン6は、外プレート6a、ローラ6b、内プレート6cからなり、外プレート6aは、その上端に折り曲げ形成されたアタッチメント6dを有する。なお、図8における符号6eはボルト締め用の貫通孔である。
【0016】
図3、図4に示すように、バケット型フライト5は一対のチェーン6,6間に保持され、チェーン6の一つおきの外プレート6aに取り付けられる。チェーン6へのバケット型フライト5の取付けに際しては、図6に示すように、チェーン6の外プレート6aに形成されたアタッチメント6dに、バケット型フライト5の側面板5bに固定されたアタッチメント5dをボルト(図示略)締めして固着する。
【0017】
このバケット型フライト5をチェーン6に取り付ける場合、図6に示すように、底面板5aとチェーン6のピッチラインPlとのなす角度αが粉粒体Mの安息角θより約10〜15度小さい角度でチェーン6の外プレート6aに取り付けられる。それと同時に、バケット型フライト5の底面板5aの前方先端とコンベヤケース2の底板2bとの間に粉粒体Mの最大粒径と略同じ程度の隙間hが形成するようにバケット型フライト5が取り付けられる。
【0018】
以上、バケット型フライトコンベヤ1の構成について説明したが、以下作用効果を説明する。粉粒体Mは、コンベヤケース2の上方に設けた投入口2aから投入されると、戻り走行する隣り合うバケット型フライト5の間から落下し、次いで搬送走行する側のバケット型フライト5の間からコンベヤケース2の底板2b上に落下堆積する。
【0019】
バケット型フライト5は、図2に示すように、水平方向、上方傾斜方向に走行し、次いで水平方向に移る。上記のように、コンベヤケース2の底板2b上に堆積した粉粒体Mは、図1に示すように、コンベヤケース2の底板2bに沿って水平方向に走行するバケット型フライト5で掻き取られながら搬送され、上方傾斜方向に方向変換して走行するところで、バケット型フライト5に掬い取られて上方傾斜方向に搬送された後、水平方向に搬送されたところで搬出口2cから排出される。
【0020】
バケット型フライト5の水平方向走行中、バケット型フライト5は、その底面板5aとチェーン6のピッチラインPlとのなす角度αが粉粒体Mの安息角θより約10〜15度小さい角度でチェーン6の外プレート6aに取り付けられていると共に、底面板5aの先端がコンベヤケース2の底板2bとの間に、粉粒体Mの最大粒径と略同じ程度の隙間hが形成されているので、底板2bに堆積している粉粒体Mを掻き取りながら搬送することができると共に、コンベヤケース2の底板2bに対してバケット型フライト5の底面板5aが傾斜状態にあり、平行になることがないため、コンベヤケース2の底板2bとバケット型フライト5の底面板5aとの間に粉粒体Mが詰まらないようにすることができる。その結果、チェーン6の不要な張力による伸びを抑制することができ、寿命の短縮化を抑制することができる。
【0021】
ここで、底面板5aとチェーン6のピッチラインPlとのなす角度αが粉粒体Mの安息角θ(例えば、θ=40°)より約10度以上大きい(例えば、α>50°)と、上方傾斜走行時に粉粒体Mがこぼれだし、また、安息角θ(例えば、θ=40°)より小さい(例えば、α<20°)と、水平走行して搬出するとき粉粒体Mを十分にバケット型フライト5から排出できない。
【0022】
また、上方傾斜方向に走行するときには、バケット型フライト5で掬い取った粉粒体Mをこぼさずに上方傾斜方向に搬送することができ、次いで水平方向に走行するところでは、粉粒体Mをバケット型フライト5の内部に残さないように払い出しつつ搬送し、粉粒体を効率よく搬出口から排出することができる。
【0023】
上記の場合、一般に穀物の粉体,粒体などの粉粒体Mは、安息角θが40度前後であり、この粉粒体Mを金属製(ステンレス)あるいはプラスチック製(エンジニアリングプラスチック)の板体上に円錐形に積んでから約31度傾斜させると、殆ど全ての粉粒体Mは滑り落ちる。そのため、バケット型フライト5の底面板5aとチェーン6のピッチラインPlとのなす角度αが粉粒体Mの安息角θより約10〜15度小さい角度(25°<α<30°)でチェーン6の外プレート6aに取り付けられていると、バケット型フライト5が水平走行するとき、底面板5aが25〜30度傾き粉粒体Mは滑り出される。なお、実験を行った結果、底面板5aが約21度傾いたところで粉粒体Mは滑り出し始め、さらに傾けると約25度傾いたところでは、殆ど全ての粉粒体Mは滑り出した。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明実施例のバケット型フライトコンベヤの概略側面図である。
【図2】バケット型フライトコンベヤの作動説明図である。
【図3】バケット型フライトコンベヤの一部平面図である。
【図4】バケット型フライトコンベヤの一部側面図である。
【図5】バケット型フライトの側面図である。
【図6】バケット型フライトのチェーンへの取付け状態の説明図である。
【図7】バケット型フライトの側面板にアタッチメントを取り付けた要部断面図である。
【図8】アタッチメントを有するチェーンの一部斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 バケット型フライトコンベヤ
2 コンベヤケース
2a 投入口
2b コンベヤケースの底板
2c 搬出口
3 駆動スプロケット
4 従動スプロケット
5 バケット型フライト
5a 底面板
5b 側面板
5c 後方面板
5d アタッチメント
5e 貫通孔
6 チェーン
6a 外プレート
6b ローラ
6c 内プレート
6d アタッチメント
6e ボルト締め用の貫通孔
Pl ピッチライン
M 粉粒体
θ 安息角
α 底面板とチェーンのピッチラインとのなす角度
h 隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のチェーン間に保持されたバケット型フライトが、コンベヤケース内を循環走行し、コンベヤケースの底板に沿って粉粒体を水平方向、上方傾斜方向に搬送した後、水平方向に搬送し搬出口から排出するバケット型フライトコンベヤにおいて、
前記バケット型フライトが底面板と、前方から後方に向かって高く傾斜している両側側面板と、該両側側面板間に設けられた後方面板とからなるバケット形状をなし、
前記バケット型フライトは、前記底面板と前記チェーンのピッチラインとのなす角度が粉粒体の安息角より小さい角度で該チェーンの外プレートに取り付けられると共に、該バケット型フライトの前方先端とコンベヤケースの底板との間に前記粉粒体の最大粒径と略同じ程度の隙間が形成されていることを特徴とするバケット型フライトコンベヤ。
【請求項2】
前記バケット型フライトが、前記底面板と前記チェーンのピッチラインとのなす角度が粉粒体の安息角より約10〜15度小さい角度で該チェーンの外プレートに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のバケット型フライトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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