説明

バケット装置

【課題】 バケットの任意の角度においてバケットの開放口を蓋で閉鎖できる
ようにしたバケット装置を提供する。
【解決手段】 操作アームの先端にバケットのブラケットをバケットピンの圧
入によってピン連結するとともに、バケットの開放口を蓋で閉鎖するようにしたバケット装置において、上記蓋(20)の基部にはレバー(23)の一端部が一体的に設けられ、該レバーは上記バケット(10)のブラケット(11)に回動自在に連結され、上記レバーの他端部にはアクチュエータ(30)の駆動部分(30A)が連結され、上記アクチュエータの基部は上記バケットのブラケットに回動自在に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はバケット装置に関し、例えば海岸や河川における浚渫工事に用いるのに適した油圧ショベル用のバケット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、海岸や河川の浚渫工事では油圧ショベルを利用した工事が増加する傾向にある。油圧ショベルで浚渫工事を行う場合、操作アーム先端にバケットをピン連結するとともに蓋を設け、バケットの開放口を蓋で閉鎖して土砂や泥水などがバケットの開放口からこぼれるのを防止することが行われている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−330793号公報
【特許文献2】特開2003−336280号公報
【特許文献3】特開2009−19405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のバケットでは蓋は操作アームの先端部に固定されているので、蓋で閉鎖できるバケットの角度が限定されてしまい、バケット作業の自由度が低い。
【0005】
また、特許文献2、3記載のバケットでは蓋をシリンダ又は駆動ギアによって開閉できるようにしているものの、シリンダの基部及び蓋の基部あるいは駆動ギアが操作アームに取付けられているので、蓋を開閉できる角度が制限されてしまい、バケット作業の自由度が低い。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み、バケットの任意の角度においてバケットの開放口を蓋で閉鎖できるようにしたバケット装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係るバケット装置は、操作アームの先端にバケットのブラケットをバケットピンの圧入によってピン連結するとともに、バケットの開放口を蓋で閉鎖するようにしたバケット装置において、上記蓋の基部にはレバーの一端部が一体的に設けられ、該レバーは上記バケットのブラケットに回動自在に連結され、上記レバーの他端部にはアクチュエータの駆動部分が連結され、上記アクチュエータの基部は上記バケットのブラケットに回動自在に連結されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の特徴の1つは蓋の基部とアクチュエータの基部をバケットのブラケットに取付けるようにした点にある。
【0009】
これにより、蓋をバケットの開放口に対して任意に開閉動作させることができるので、バケットが操作アームに対してどのような角度であっても、蓋でバケットの開放口を閉鎖することができ、バケット作業の自由度を大幅に向上させることができる。
【0010】
アクチュエータの基部はバケットのブラケットにピン連結されていればよいが、蓋開閉の自由度を向上させる上で、バケットのブラケットに対する操作アームのピン連結の位置とバケットの本体部分との間に回動自在に連結されるのが好ましい。
【0011】
アクチュエータは蓋を開閉させることができればよく、例えば駆動モータとラック・ピニオンの組み合わせを採用することができるが、構造の簡単さ及び動作の高速性の観点からは、エアーシリンダや油圧シリンダを用いるのがよい。
【0012】
本発明のバケット装置は油圧ショベルの操作アームにセットして用いると、その効果が大きいが、台船の操作アームの先端にセットして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るバケット装置の好ましい実施形態の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】上記実施形態を示す側面図である。
【図3】上記実施形態の操作アームへの取付け状態を示す図である。
【図4】上記バケット装置の動作の1例を示す図である。
【図5】上記バケット装置の動作の他の例を示す図である。
【図6】上記バケット装置の動作のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図6は本発明に係るバケット装置の好ましい実施形態を示す。図において、バケット10は前方面が開放され、開放口10Aの下縁には複数の掘削爪10Bが相互に間隔をあけて取り付けられ、又バケット10の上壁面には左右の取付けブラケット11が相互に平行に配置され溶接等によってバケット10の上壁面に固定され、左右の取付けブラケット11の対向する位置には各々取付け穴が穿設されて2つのブッシュ11Aが取り付けられている。
【0015】
他方、油圧ショベル等ではブームの先端に操作アーム40が連結され、操作アーム40には油圧シリンダ41が併設されるとともに、操作アーム40の先端部40Aには先端部40Aの左右両側面を挟んで左右のリンク機構42の一方のリンク42Bの先端が連結ピンによって連結されている。このリンク機構42は各々一対のリンク42A、42Bの端部を連結ピンによって相互に回転可能に連結して構成され、リンク42A、42Bの中間の連結ビンには油圧シリンダ41のピストンロッド41Aの先端が共連結されている。
【0016】
バケット10の左右の取付けブラケット11の2つのブッシュ11Aのうちの一方には操作アーム40の先端部40Aが差し込まれ、バケットピンが圧入されることによってピン連結され、他方のブッシュ11Aの間にはリンク機構41の他方のリンク42Aの先端が差し込まれ、バケットピンが圧入されることによって連結されている。
【0017】
また、取付けブラケット11の先端部には取付け穴が対向して穿設され、取付け穴には取付けピン15がバケット幅方向に圧入し、公知の方法、例えば取付けピン15の外端部にC型リングを嵌め込むことによって抜け止めして取付けられ、取付けピン15には左右一対のレバー23の中間部位が回転自在に外嵌され、レバー23の先端部は枢支ピン22に固定され、枢支ピン22は左右のブラケット21によって蓋20の基部に固定されており、こうしてレバー23は蓋20の基部に一体的に設けられ、レバー23を取付けピン15の回りに回動させることによって蓋20をバケット10の開放口10Aに対して開閉できるようになっている。
【0018】
左右のレバー23の他端部には挿通穴が対向して穿設されてジョイントピン24が挿通され、ジョイントピン24にはピストンロッド(駆動部分)30Aの先端部が外嵌されている。他方、バケット10の取付けブラケット11後端縁のブッシュ11Aとバケット10の上壁面との間に位置する部位には挿通穴12が対向して穿設され、挿通穴12には取付けピン13が挿入され、公知の方法、例えば取付けピン13の外端部にC型リングを嵌め込むことによって抜け止めして取付けられ、取付けピン13にはピストンロッド30Aの油圧シリンダ(アクチュエータ)30の基部が回転可能に外嵌されている。
【0019】
また、バケット10の開放口10Aの下端縁には複数の掘削爪10Bが取り付けられ、蓋20の先端縁には複数の爪20Bが掘削爪10Bの間に位置するように取り付けられている。
【0020】
バケット作業を行う場合、ブーム(図示せず)及び操作アーム40を上下前後に揺動させることによってバケット10を上下及び前後にスイングさせ、バケット10で土砂や泥水をすくい、土砂や泥水を排出することができる。
【0021】
今、図4に示されるように、バケット10を操作アーム40の延長線上に位置する姿勢に保ち、油圧シリンダ30を作動させ、ピストンロッド30Aを伸長させると、蓋20を図4の(a)に示される開いた状態から、図4の(b)に示すように徐々に閉じさせ、図4の(c)に示すようにバケット10の開放口10Aを完全に閉鎖した状態とすることができる。
【0022】
また、図5に示されるように、油圧シリンダ41のピストンロッド41Aを少し収縮させ、バケット10を操作アーム40の延長線上よりも開いた姿勢に保ち、油圧シリンダ30を作動させ、ピストンロッド30Aを伸長させると、蓋20を図5の(a)に示される開いた状態から、図5の(b)に示すように徐々に閉じさせ、図5の(c)に示すようにバケット10の開放口10Aを完全に閉鎖した状態とすることができる。
【0023】
さらに、図6に示されるように、油圧シリンダ41を作動させると、バケット10を操作アーム40に対して開いた姿勢から閉じた姿勢に動作させることができる。その際、バケット10がどのような姿勢であっても、例えば図6の(c)に示されるように、油圧シリンダ30を作動させてピストンロッド30Aを伸長させると、蓋20でバケット10の開放口10Aを閉鎖することができる。
【0024】
以上のように、蓋20をバケット10の開放口10Aに対して任意に開閉動作させることができるので、バケット10が操作アーム40に対してどのような角度であっても、蓋20でバケット10の開放口10Aを閉鎖することができ、バケット作業の自由度を大幅に向上させることができる。
【符号の説明】
【0025】
10 バケット
10A 開放口
11 ブラケット
20 蓋
21 ブラケット
22 枢支ピン
23 レバー
30 油圧シリンダ(アクチュエータ)
30A ピストンロッド(駆動部分)
40 操作アーム
41 油圧シリンダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作アームの先端にバケットのブラケットをバケットピンの圧入によってピン連結するとともに、バケットの開放口を蓋で閉鎖するようにしたバケット装置において、
上記蓋(20)の基部にはレバー(23)の一端部が一体的に設けられ、該レバー(23)は上記バケット(10)のブラケット(11)に回動自在に連結され、上記レバー(23)の他端部にはアクチュエータ(30)の駆動部分(30A)が連結され、上記アクチュエータ(30)の基部は上記バケット(10)のブラケット(11)に回動自在に連結されていることを特徴とするバケット装置。
【請求項2】
上記アクチュエータ(30)の基部は、上記バケット(10)のブラケット(11)に対する操作アーム(40)のピン連結の位置と上記バケット(10)の本体部分との間に回動自在にピン連結されている請求項1記載のバケット装置。
【請求項3】
上記アクチュエータ(30)がシリンダであり、駆動部分(30A)がピストンロッドである請求項1又は2記載のバケット装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24014(P2013−24014A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163324(P2011−163324)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(503267261)
【出願人】(511181625)海洋開発興業株式会社 (1)
【出願人】(511181636)株式会社石本建設 (1)
【Fターム(参考)】