説明

バックライト装置、その制御方法、及び画像表示装置

【課題】ローカルディミング制御が可能なバックライト装置において、発光ブロックの輝度が変更された場合に、変更後の輝度を維持する。
【解決手段】各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動手段と、発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御手段と、発光ブロック毎に光源の輝度を検出する輝度検出手段と、発光ブロック毎に光源の輝度の目標値を決定する目標値決定手段と、発光ブロック毎に光源の輝度の検出値と光源の輝度の目標値との乖離を低減するように光源の駆動量を補正する補正手段と、を備え、前記目標値決定手段は、制御により光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックの光源の輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで検出される当該発光ブロックの光源の輝度により更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックライト装置、その制御方法、及び画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バックライトの透過量を液晶シャッターで調整することにより、画像を表示する液晶表示装置では、黒と表現したい箇所でも僅かに明るく見えてしまう、黒浮きと呼ばれる現象が発生する。この現象は、バックライトの透過量を調整する液晶部が、十分にバックライトを遮光することができず、一部の光が透過してしまうことにより生じる。黒浮き現象は、表示画像のコントラスト比(最大輝度と最低輝度の比)が低下する要因となっていた。
【0003】
そこで、近年の液晶表示装置では、コントラスト比を高めるためにローカルディミングと呼ばれる技術が採用されている。これはバックライトを個別に発光制御可能な複数の発光ブロックに分割し、表示する画像に応じて個々の発光ブロックの輝度を調整(減光)することで、表示画像の最低輝度をより低下させる技術である。
【0004】
写真やイラストなどの静止画像をより高画質で表示するために、ローカルディミング技術を応用し、ユーザが表示画像に応じてバックライトの各発光ブロックの輝度を任意に調整することが考えられる。
【0005】
一般的にバックライトを構成するLED(Light Emitting Diode)等の光源(発光素子)は、周囲温度や自己の発熱により、同一の駆動信号を入力しても出力輝度が変化するという特性(以下、温度特性)を持つ。動画像の表示時にローカルディミングを行う場合、表示画像が次々と変わるためにバックライトの光源の温度特性による輝度の変化が目立ち難い。しかし、静止画像の表示時にローカルディミングを行う場合、長時間同一画像が表示されることが想定され、そのような場合バックライトの光源の温度特性による輝度の変化が視認され易くなる。
【0006】
一方、バックライトの温度特性等による輝度の変化を抑え、輝度を一定に維持するためのドリフト補正と呼ばれる技術が考案されている。これは、バックライトの輝度をフォトダイオード等の光センサを用いて検出し、検出値が目標値に近づくようバックライトの駆動量を補正することで、輝度を一定に維持するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−123818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のドリフト補正の輝度の目標値は、製造時等に特定の輝度でバックライトが発光している状態(例えば、全ての光源が均一の輝度で発光した状態)における輝度に基づき決定されていた。そのため、ローカルディミングにより発光ブロックの輝度が変更された場合、輝度の変更後にその発光ブロックの輝度を維持するためのドリフト補正の目標値が記録されていないので、適切なドリフト補正を行えない。そのため、図16の実線Line Aに示すように、輝度変更直後の状態から輝度が徐々に変化してしまい、ローカルディミングにより変更した直後の輝度でその発光ブロックが発光した状態を長時間維持して画像表示を行うことができなかった。
【0009】
また、ローカルディミングにより発光ブロックの輝度が変更された後に、変更前の輝度を目標値とするドリフト補正が行われると、ドリフト補正が行われるタイミングでその発光ブロックの輝度は変更前の輝度に戻ってしまう。そのため、図16の実線Line Bに示すように、ドリフト補正のタイミングで、その発光ブロックの輝度がローカルディミングにより変更後の輝度から変更前の輝度に変化してしまう。そのため、ローカルディミングにより変更した直後の輝度でその発光ブロックが発光した状態を長時間維持して画像表示を行うことができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、ローカルディミング制御が可能なバックライト装置において、ローカルディミング制御によりバックライトの輝度が変更された場合に、変更後の輝度変化を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライトと、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動手段と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御手段と、
発光ブロック毎に光源の輝度を検出する輝度検出手段と、
発光ブロック毎に光源の輝度の目標値を決定する目標値決定手段と、
発光ブロック毎に光源の輝度の検出値と光源の輝度の目標値との乖離を低減するように光源の駆動量を補正する補正手段と、
を備え、
前記目標値決定手段は、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックの光源の輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出手段により検出される当該発光ブロックの光源の輝度により更新することを特徴とするバックライト装置である。
【0012】
本発明は、独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライトと、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動手段と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御手段と、
複数の発光ブロックからなる発光ブロックグループ毎に輝度を検出する輝度検出手段と、
発光ブロックグループ毎に輝度の目標値を決定する目標値決定手段と、
発光ブロックグループ毎に輝度の検出値と輝度の目標値との乖離を低減するように各発光ブロックグループに属する発光ブロックの光源の駆動量を補正する補正手段と、
を備え、
前記目標値決定手段は、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックが属する発光ブロックグループの輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出手段により検出される当該発光ブロックグループの輝度により更新することを特徴とするバックライト装置である。
【0013】
本発明は、独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライト装置の制御方法であって、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動工程と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御工程と、
発光ブロック毎に光源の輝度を検出する輝度検出工程と、
発光ブロック毎に光源の輝度の目標値を決定する目標値決定工程と、
発光ブロック毎に光源の輝度の検出値と光源の輝度の目標値との乖離を低減するように光源の駆動量を補正する補正工程と、
を有し、
前記目標値決定工程は、前記制御工程により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックの光源の輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出工程により検出される当該発光ブロックの光源の輝度により更新することを特徴とするバックライト装置の制御方法である。
【0014】
本発明は、独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライト装置の制御方法であって、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動工程と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御工程と、
複数の発光ブロックからなる発光ブロックグループ毎に輝度を検出する輝度検出工程と、
発光ブロックグループ毎に輝度の目標値を決定する目標値決定工程と、
発光ブロックグループ毎に輝度の検出値と輝度の目標値との乖離を低減するように各発光ブロックグループに属する発光ブロックの光源の駆動量を補正する補正工程と、
を有し、
前記目標値決定工程は、前記制御工程により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックが属する発光ブロックグループの輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出工程により検出される当該発光ブロックグループの輝度により更新することを特徴とするバックライト装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ローカルディミング制御が可能なバックライト装置において、ローカルディミング制御によりバックライトの輝度が変更された場合に、変更後の輝度変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係る液晶表示装置の主要な構成を示すブロック図
【図2】実施例1に係るローカルディミング調整処理のフロー図
【図3】実施例に係るバックライトの構成を示す図
【図4】実施例1に係るバックライト点灯制御のフロー図
【図5】実施例に係る入力映像と駆動量と発光ブロックの発光状態の例
【図6】実施例1に係る駆動量データの例
【図7】実施例1に係る輝度のドリフト補正処理のフロー図
【図8】実施例1に係るドリフト補正処理実行時の輝度変化の例
【図9】実施例2に係るバックライト点灯制御のフロー図
【図10】実施例2に係る輝度のドリフト補正処理のフロー図
【図11】実施例2に係る輝度安定の判定方法を説明する図
【図12】実施例2に係るドリフト補正処理実行時の輝度変化の例
【図13】実施例3に係るLED、センサの配置例
【図14】実施例3に係る輝度のドリフト補正処理のフロー図
【図15】実施例3に係る駆動量データの補正例
【図16】従来の輝度のドリフト補正処理実行時の輝度変化の例
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明のバックライト装置及びその制御方法の実施形態について述べる。
【0018】
(実施例1)
本実施例では、液晶表示装置が外部装置から受信するドリフト補正処理の開始要求信号に基づいて、バックライトの輝度のドリフト補正を行う例について示す。
以下、図1〜図8を参照して、本発明の第1の実施例による液晶表示装置の制御方法について説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図1(A)の液晶表示装置111は、映像入力部112、入力制御部113、映像処理部114、液晶駆動部115、液晶パネル116、データ送受信部117、データ送受信制御部118、不揮発メモリ部119、メモリ部120、タイマー部121、システム制御部122、バックライト制御部123、バックライト124、光センサ群125、電源ボタン126を有する画像表示装置である。また、バックライト制御部123は発光調整部130、駆動量データ送信部131、センサ制御部132、発光補正部133を有する。液晶表示装置111には、外部装置140が接続されている。
【0020】
(電源オン時の動作について)
まず、液晶表示装置111の基本的な映像表示機能について説明する。
システム制御部122は電源ボタン126の押下による電源オン要求を検出すると、液晶表示装置111内の各ブロックに通電を開始する。
入力制御部113は外部装置140から入力される映像信号を、映像入力部112を介して映像処理部114に伝送する。
映像処理部114は映像信号を液晶パネル116の表示画素数、表示色数に適合する画像データに変換し、液晶パネル116のリフレッシュレートに適合するタイミングで液晶駆動部115に伝送する。
液晶駆動部115は映像処理部114から受信した画像データを液晶パネル116の制御信号に変換し、液晶パネル116を制御して液晶パネル116に映像を表示させる。
システム制御部122はバックライト制御部123に対して点灯制御開始要求を行い、バックライト124を点灯させる。バックライト制御部123の点灯開始動作については後述する。
【0021】
データ送受信制御部118は、データ送受信部117を介して外部装置140からバックライト124の発光ブロック毎の輝度レベルのデータやドリフト補正処理を開始する信号を受信すると、バックライト制御部123に伝送する。バックライト124の輝度のドリフト補正処理を開始する信号を以下、ドリフト補正処理開始信号という。
【0022】
バックライト制御部123は点灯制御開始要求や輝度レベルのデータを受け取ると、発光調整部130によりバックライト124の各発光ブロックの駆動量(発光量)を調整し、各発光ブロックを点灯させる。また、ドリフト補正処理開始信号を受け取ると、発光補正部133により、バックライト124の各発光ブロックの輝度を維持するためのドリフト補正処理を開始する。
バックライト制御部123の点灯制御と駆動量調整、ドリフト補正処理については後述する。
【0023】
外部装置140は、例えばPC(Personal Computer)である。外部装置140と液晶表示装置111とは、例えば映像信号を伝送するためのDVI(Digital Visual Interface)ケーブルと、データ通信するためのUSB(Universal Serial Bus)ケーブルと、を用いて接続される。
【0024】
外部装置140には液晶表示装置111のバックライト124の輝度を調整するための
アプリケーションがインストールされている。アプリケーションによりバックライト124のローカルディミングの調整が行われると、外部装置140から液晶表示装置111にバックライト124の発光ブロック毎の輝度レベルが送信される。また、アプリケーションがローカルディミングの調整を終了するタイミングで、外部装置140から液晶表示装置111へドリフト補正処理開始信号が送信される。ローカルディミング調整のアプリケーションは、例えば「強」「弱」「なし」の3つのローカルディミングモードのいずれかに切り替えることによりローカルディミング調整を行う。例えば、ローカルディミングモード「強」では、各発光ブロックの輝度レベルが0%(消灯)、25%、50%、75%、100%(全灯)の5段階で調整される。ローカルディミングモード「弱」では、各発光ブロックの輝度レベルが50%、75%、100%の3段階で調整される。
【0025】
アプリケーションは、液晶表示装置111に3つのローカルディミングモードの各々を表すテキストやボタン画像等のGUI部品と、それらGUI部品のいずれか1つにフォーカスするよう動作するカーソル等のGUI部品と、を含むGUIを出力する。GUIはグラフィカルユーザインターフェースを表す。ユーザは、外部装置140に備わるリモコンやキーボードやマウスのような入力装置(不図示)を用いてGUIを操作し、ローカルディミングモードを切り替える指示を入力することができる。例えば、ユーザがローカルディミングモードを表すGUI部品のいずれかにカーソルをフォーカスさせると、アプリケーションはフォーカスされたローカルディミングモードに対応した輝度レベルを算出して液晶表示装置111に送信する。アプリケーションによる輝度レベルの算出方法については、後述する。また、アプリケーションは、ユーザが入力装置を用いていずれかのローカルディミングモードに決定する指示を入力する(例えば「決定」ボタンのGUI部品を選択する)と、ドリフト補正処理開始信号を液晶表示装置111に送信する。
【0026】
以下、図2を用いて前記アプリケーションによるローカルディミング調整時の外部装置140の動作を説明する。以下で説明するアプリケーションの動作は、例えば外部装置140に備わるCPU(不図示)が外部装置140に備わる記憶装置(不図示)からアプリケーションのプログラムを読み込み、実行することにより行われる。
本動作は、ユーザがアプリケーションに指定した画像データを展開する指示を入力することで開始される。
【0027】
S10において、アプリケーションは、ユーザが指定した画像データを展開(デコード)し、液晶表示装置111へ画像信号を出力する。
S11において、アプリケーションは、展開した画像データが静止画像データか否か判断し、静止画像データである場合、ステップS12に遷移する。アプリケーションは、例えば、展開した画像データのファイル形式が、JPEG等の静止画像データのファイル形式であるかを識別することにより上記の判断を行う。
S12において、アプリケーションは、ローカルディミング調整のためのGUIを表示する。
S13において、アプリケーションは、ユーザによるローカルディミングモードの変更指示が行われたか判断し、変更指示がある場合、S14に遷移し、変更指示がない場合、S16に遷移する。
S14において、アプリケーションは、輝度レベルの算出を行う。算出方法については後述する。
S15において、アプリケーションは、輝度レベルをデータ送受信部117に送信する。
S16において、アプリケーションは、ユーザによるローカルディミングモードの決定指示が行われたか判断し、決定指示がある場合、S17に遷移し、決定指示がない場合、S13に遷移する。
S17において、アプリケーションは、ドリフト補正処理開始信号をデータ送受信部1
17に送信し、ローカルディミング調整を終了する。ドリフト補正処理開始信号は、輝度レベルが少なくとも1つの発光ブロックについて変化したことを示す情報である。
本実施例では、外部装置140が上記アプリケーションを実行することにより、発光ブロック毎の輝度レベルの決定が行われる。
【0028】
(バックライトについて)
バックライト124は液晶パネル116の背面に備わり、液晶パネル116を背面から照明する。バックライト124は光源として複数のLEDを備え、所定数のLEDから構成される発光ブロックにより分割され、発光ブロック毎に独立に発光を制御可能である。
図3(A)にバックライト124の発光ブロックによる分割の例を、図3(B)に各発光ブロックのLEDと光センサの配置例を、図3(C)に各発光ブロックのLEDの接続例を、図3(D)に光センサの接続例をそれぞれ示す。
【0029】
図3(A)に示すように、本実施例におけるバックライト124は4行6列、計24個の発光ブロックから構成される。なお、ここで示したバックライト124の発光ブロックによる分割のしかたは一例であり、上記の分割のしかたに限らない。
【0030】
図3(B)に示すように、各発光ブロックには4つのLED151と1つの光センサ152が配置される。なお、本実施例において、ある発光ブロックに配置された光センサ152は当該発光ブロックに配置されたLED151からの光を受光するものとする。なお、ここで示した各発光ブロックのLED数、配置、センサ数、配置は一例であり、上記の数、配置に限らない。
【0031】
図3(C)に示すように、各発光ブロックの4つのLED151は直列に接続し、さらにLED151に電流を流して発光させる為のLEDドライバ160が設けられる。LEDドライバ160は、バックライト制御部123の駆動量データ送信部131から受信する駆動量(発光量)データに基づき、LED151に流す電流量を決定する。LEDドライバ160は受信した駆動量データに基づき、PWM(Pulse Width Modulation)制御によりLED151を駆動する。本実施例において、LEDドライバ160は、4096レベルのデューティ比でPWM制御を行うものとする。LEDドライバ160が駆動量データ送信部131から受信する駆動量データにおいて、駆動量は0〜4095の値をとり、LEDドライバ160は駆動量に応じたデューティ比でPWM制御を行う。例えば駆動量が0の場合、PWM制御のデューティ比は0、電流量は0となりLEDは発光しない。駆動量が4095の場合、PWM制御のデューティ比は1、電流量は最大となりLEDは最大輝度で発光する。なお、ここで示したデューティ比のレベル数は一例であり、上記のレベル数に限らない。
【0032】
図3(D)に示すように、光センサ群125は発光ブロック数分の光センサ152から構成される。MUX(Multiplexer)165は、各光センサ152からの入力を切り替え、各光センサ152の電圧値を順次取得し、センサ制御部132へ出力する。センサ制御部132は、取得した電圧値をADC(Analog to Digital
Converter)166によりデジタル値である光センサ値に変換することで輝度検出を行う。本実施例において、センサ制御部132は、光センサ152からの電圧値を0〜1023の1024レベルの光センサ値に変換し、図1の発光補正部133へ出力する。なお、ここで示した光センサ値のレベル数は一例であり、上記のレベル数に限らない。
【0033】
(点灯制御と駆動量調整について)
次に、点灯制御開始要求や輝度レベルのデータを受信した時の、バックライト制御部123によるバックライト124の点灯制御及び駆動量調整の方法について説明する。
図4は、発光調整部130による、バックライト124の発光ブロック毎の駆動量を調整するローカルディミング制御の動作フロー例を示す。
【0034】
S100において、発光調整部130は、システム制御部122からの点灯制御開始要求や輝度レベルのデータを受け付けると、不揮発メモリ部119に記憶された初期駆動量データを取得する。ここで、初期駆動量データとはLEDの点灯を開始する際に適用されるPWM制御のデューティ比に対応する駆動量データであり、液晶表示装置111の不揮発メモリ部119に記録されている。本実施例における初期駆動量データは、全ての発光ブロックの駆動量が2000となるように作成されているものとする。なお、ここで示した初期駆動量データは一例であり、上記の値に限らないし、初期駆動量データをユーザが任意の値に変更可能な構成であっても良い。
【0035】
S101において、発光調整部130は、データ送受信制御部118を介して外部装置140から各発光ブロックの輝度レベルのデータを取得する。本実施例において、輝度レベルは0〜100の101段階の値をとるものとする。なお、輝度レベルの段階数や値は一例であり、輝度レベルは上記の段階数や値に限らない。なお、点灯開始時や外部装置140においてローカルディミング調整アプリケーションが動作していない場合のように、データ送受信制御部118に外部装置140から輝度レベルのデータが入力されない場合がある。そのような場合、発光調整部130は、輝度レベルを全ての発光ブロックについて均一に最大値100とする。
【0036】
ここで、外部装置140にインストールされたローカルディミング調整アプリケーションによる発光ブロック毎の輝度レベルの算出方法の一例を具体的に示す。アプリケーションは接続されている液晶表示装置111の機種を特定し、前記機種に応じた、バックライトのローカルディミング制御可否や発光ブロックの数・配置などの構成、駆動量の設定方法などの情報を予め保持している。
【0037】
外部装置140のアプリケーションが、図5(A)に示すような暗い背景画像の中央部に明るい部分が存在する画像を展開した場合を例に説明する。図5(A)において、破線は、バックライト124の各発光ブロックに対応する液晶パネル116の表示領域(以下、分割領域という)の境界を表す。アプリケーションは、分割領域毎に画像のAPL(平均映像レベル)を算出し、この値とローカルディミングモードと、に応じて発光ブロック毎の輝度レベルを決定する。図5(A)において、最も左上の分割領域を基準として縦方向にi番目、横方向にj番目の分割領域を(i,j)で表す。例えば分割領域(1,3)に着目すると、白色で示される高輝度領域の面積が分割領域の面積の約50%である。従って、アプリケーションは、ローカルディミングモード「強(例:消灯〜全灯までの5段階)」の場合、分割領域(1,3)に対応する発光ブロック(1,3)の輝度レベルを50とする。ローカルディミングモード「弱(例:50%点灯〜全灯までの3段階)」の場合、アプリケーションは、発光ブロック(1,3)に対応する発光ブロック(1,3)の輝度レベルを75とする。
【0038】
S102において、発光調整部130は、初期駆動量データと輝度レベルから発光ブロック毎に次式を用いて駆動量の算出を行う。

駆動量=初期駆動量*(輝度レベル/輝度レベルの最大値)

例えばローカルディミングモード「強」におけるバックライト124の各発光ブロックの輝度レベルが図5(B)に示すようになっていた場合、発光ブロック(1,3)に着目すると、駆動量は2000*(50/100)=1000となる。アプリケーションが、図5(B)に示す輝度レベルを用いて各発光ブロックの駆動量を計算すると、図6に示す
ような駆動量データが生成される。
【0039】
S103において、発光調整部130は、駆動量データを駆動量データ送信部131に送信する。なお、S101で外部装置140から輝度レベルのデータを取得できなかった場合は、発光調整部130は、S100にて取得した初期駆動量データを駆動量データ送信部131に送信しても良い。駆動量データ送信部131は駆動量データに基づき、各発光ブロックに対応する駆動量のデータを各発光ブロックのLEDドライバ160に送信する。これにより、各発光ブロックのLEDは各発光ブロックに対応する駆動量に応じたデューティ比で発光制御される。図5(C)に図6の駆動量データに基づきバックライト124の各発光ブロックを発光させた様子を模式的に示す。図5(C)に示すように、中央部の発光ブロックの輝度が高く、周辺部の発光ブロックの輝度は低くなっている。
【0040】
以上の動作により、バックライト124の各発光ブロックは、対応する分割領域に表示される画像のAPLとユーザが指定したローカルディミングモードに応じた輝度で点灯する。なお、アプリケーションは、APL以外の統計量に基づいて各発光ブロックの輝度レベルを決定しても良い。また、ローカルディミングモードの種類や各ローカルディミングモードにおける輝度レベルの段階数は一例であり、上記の例に限らない。
【0041】
(ドリフト補正処理について)
次に、ドリフト補正処理開始信号を受信したときの、バックライト制御部123によるバックライト124の各発光ブロックの輝度の検出値と目標値との乖離を低減するためのドリフト補正処理について説明する。
図7はドリフト補正処理における発光補正部133の動作フロー例を示す。
S111において、発光補正部133は、センサ制御部132から発光ブロック毎の光センサ値を取得する。
S112において、発光補正部133は、メモリ部120に、S111で取得した発光ブロック毎の光センサ値を発光ブロック毎の輝度の目標値として記録することにより目標値決定を行う。
S113において、発光補正部133は、センサ制御部132から再度発光ブロック毎の光センサ値を取得する。
【0042】
S114において、発光補正部133は、S112でメモリ部120に記録した発光ブロック毎の光センサ値(以下、目標値という)と、S113で取得した発光ブロック毎の光センサ値(以下、検出値という)との差分値を次式により算出する。

差分値=目標値−検出値

例えば発光ブロック(1,3)の目標値が510で検出値が500である場合、その差分値は510−500=10となる。発光補正部133は、この差分値の計算を全ての発光ブロックに対して行う。
【0043】
S115において、発光補正部133は、前記目標値と検出値との差分値から、各発光ブロックの駆動量の補正に用いる値(以下、補正係数)を算出し、補正係数を用いて各発光ブロックの駆動量を補正する。本実施例においては、説明を簡易にするため、LEDの入力(駆動量)と出力(輝度)は正比例の関係にあるものとする。発光補正部133は、S113で得た検出値とS114で得た差分値から、次式により補正係数を算出する。

補正係数=(差分値/検出値)*100

例えば発光ブロック(1,3)の目標値が510、検出値が500である場合、補正係
数は、(10/500)*100=2となる。この補正係数を用いて、発光補正部133は、発光ブロック(1,3)の駆動量を2%増加させるよう補正する。例えば、発光ブロック(1,3)の駆動量が1000であった場合、発光補正部133は、発光ブロック(1,3)の駆動量を2%増加補正して1020とする。これにより発光ブロック(1,3)のLEDは補正後の駆動量1020に対応するデューティ比でPWM制御され発光することになるため、輝度が2%高くなり目標値に近付くことが期待される。発光補正部133は、この補正係数の算出及び駆動量の補正を全ての発光ブロックに対して行う。
【0044】
前記S113〜S115を繰り返すことにより、ドリフト補正処理が行われ、各発光ブロックの輝度が目標値に維持される。
なお、発光補正部133は、前記S111〜S115の間にドリフト補正処理の中断指示を受信した場合(不図示)、ドリフト補正処理を中断し、図4で示した点灯制御に移行する。ドリフト補正処理の中断指示は、例えばユーザがローカルディミングモードを変更する指示を入力した場合や、表示画像が動画像に変更された場合等に外部装置140から送信される。
【0045】
また、前記S113〜S115の実行周期は、周期期間内でのLEDの輝度のドリフトが観察者に視認されにくい期間として予め実験的、経験的に予め定められる。実行周期は、例えば数秒周期である。実行周期はユーザが任意の値を設定可能な構成であっても良い。タイマー部121は、S115が実行された後の経過時間をカウントし、実行周期に相当する期間が経過するとシステム制御部122がバックライト制御部123の発光補正部133にS113の実行開始を要求する。
【0046】
図8に本実施例のドリフト補正処理を行った場合の液晶表示装置111の輝度変化の例を模式的に示す。本実施例のドリフト補正処理によれば、ローカルディミングにより少なくとも1つの発光ブロックについてLEDの駆動量に変化があったと判定された場合、駆動量の変化があった後の所定のタイミングで各発光ブロックの輝度が光センサにより検出される。そしてこの検出値により各発光ブロックの輝度の目標値が更新され、更新された目標値を用いて各発光ブロックの輝度のドリフト補正が行われる。従って、図8に示すように、ローカルディミングにより変更後の各発光ブロックの輝度を長時間維持できる。
【0047】
(実施例2)
実施例1では、ドリフト補正処理の開始タイミングは、外部装置にてユーザがローカルディミングモードを決定したタイミングであったが、本実施例では、液晶表示装置がドリフト補正処理の開始タイミングを決定する例について説明する。
以下、実施例1の説明で用いた図面、及び図9〜図12を参照して、本発明の第2の実施例による液晶表示装置の制御方法について説明する。
液晶表示装置の主要な構成を示すブロック図は実施例1と同様に図1である。
【0048】
本実施例では、液晶表示装置111が、輝度レベルが変更されたタイミングを判断する。そのため、液晶表示装置111は、データ送受信制御部118を介して外部装置140から入力された輝度レベルをメモリ部120に一時的に記録する。また、液晶表示装置111は、輝度レベルが変更されたことを判断するために、輝度レベルが変更されたか否かを示すフラグ(以下、輝度レベル変更フラグ)をメモリ部120に記憶する。さらに、液晶表示装置111は、ドリフト補正処理を開始するタイミングを判断するために、発光ブロック毎の光センサ値をメモリ部120に一時的に記録する。
【0049】
本実施例において、外部装置140にて動作するローカルディミングモード選択、決定のためのアプリケーションは、実施例1と同様である。なお、実施例1では、アプリケーションのGUIには、ユーザがローカルディミングモードを決定する指示を入力するため
のGUI部品があり、ローカルディミングモードが決定されたときにドリフト補正処理開始要求が送信された。本実施例では、アプリケーションのGUIに、ユーザがローカルディミングモードを決定する指示を入力するためのGUI部品はなくても良い。ユーザが3つのローカルディミングモードを示すGUI部品のいずれかにカーソルを合わせる操作を行うと、外部装置140から液晶表示装置111へ選択されたローカルディミングモードに応じて計算された輝度レベルが送信される点は実施例1と同様である。
【0050】
(点灯制御と駆動量調整について)
まず、点灯制御開始要求や輝度レベルのデータを受信した時の、バックライト制御部123による点灯制御及び駆動量調整の方法について、発光調整部130の動作を説明する。
図9はバックライト点灯制御開始時の発光調整部130の動作フロー例を示す。
S200において、発光調整部130は、システム制御部122からの点灯制御開始要求や輝度レベルのデータを受け付けると、不揮発メモリ部119に記憶された初期駆動量データを取得する。
S201において、発光調整部130は、データ送受信制御部118を介して外部装置140から入力された輝度レベルのデータを取得する。
【0051】
S202において、発光調整部130は、取得した輝度レベルのデータとメモリ部120に記録されている前回取得した輝度レベルのデータとを比較し相違があるか判定する。発光調整部130は、輝度レベルのデータに相違があると判断した場合、S203に遷移し、相違がないと判断した場合、S205に遷移する。なお、輝度レベルのデータを初めて取得した場合はメモリ部120に輝度レベルのデータは存在しないが、その場合も発光調整部130は輝度レベルが変更されたとみなして、S203に遷移する。発光調整部130は、少なくとも1つの発光ブロックについて輝度レベルが相違している場合に、前回取得した輝度レベルと今回取得した輝度レベルとに相違があると判定する。
【0052】
S203において、発光調整部130は、変更後の輝度レベルをメモリ部120に記録する。
S204において、発光調整部130は、輝度レベルが変更されたことを記録するため、メモリ部120の輝度レベル変更フラグをONにする。
S205において、発光調整部130は、輝度レベルが変更されなかったことを記録するため、メモリ部120の輝度レベル変更フラグをOFFにする。
【0053】
以上の動作により、液晶表示装置111は、輝度レベルが変更されたか否かを判定し、バックライト124の駆動量データの変更要否を判定する。輝度レベルは、例えば、外部装置140のアプリケーションにて展開される静止画像データが変更された場合や、ユーザが選択したローカルディミングモードが変更された場合に変更される。
【0054】
S206において、発光調整部130は、初期駆動量データと輝度レベルから発光ブロック毎に駆動量の算出を行う。
S207において、発光調整部130は、全ての発光ブロックの駆動量の情報を駆動量データとして駆動量データ送信部131に送信する。駆動量データ送信部131は入力される駆動量データに基づき各発光ブロックのLEDドライバ160に各発光ブロックの駆動量のデータを送信する。各発光ブロックのLEDドライバ160は、受信した駆動量に応じたデューティ比のPWM制御でLEDを発光させる。
【0055】
(ドリフト補正処理について)
次に、輝度レベル変更フラグがONになったときの、バックライト制御部123によるバックライト124の輝度のドリフト補正処理について説明する。
図10はドリフト補正処理における発光補正部133の動作フロー例を示す。
S210において、発光補正部133は、メモリ部120に記録されている輝度レベル変更フラグを確認し、輝度レベルが変更されたかを判定する。発光補正部133は、輝度レベルが変更されたと判定した場合、S211に遷移し、輝度レベルが変更されなかったと判定した場合、ドリフト補正処理を終了する。
S211において、発光補正部133は、センサ制御部132から発光ブロック毎の光センサ値を取得する。
【0056】
S212において、発光補正部133は、バックライト124の輝度が安定しているか判断する。輝度レベルが変更された直後は、バックライト124の温度が安定しておらず、発光ブロック毎に温度にばらつきが生じている場合があり、その場合、駆動量が同一の発光ブロック同士であっても輝度にばらつきが生じる。このような状態で取得された光センサ値を基にドリフト補正処理の目標値を決定すると、各発光ブロックの輝度にばらつきが生じ、ムラとなって視認される場合がある。本実施例では輝度レベル変更直後の輝度が安定しない期間、つまり発光ブロック毎に温度がばらついている可能性の高い期間を避け、ドリフト補正処理の目標値を作成する。
【0057】
ここで、S212のバックライト124の輝度の安定を判定する方法の一例を説明する。発光補正部133は、光センサ152による検出値を用い、全ての発光ブロックにおいて、取得した最新の光センサ値とメモリ部120に記録されている前回取得した光センサ値との差分が閾値以下となったときに、バックライトの輝度が安定したと判断する。図11にバックライトの輝度の安定を判定する方法を模式的に示す。発光補正部133は、バックライトの輝度が安定していると判定した場合S213に、バックライトの輝度が安定していないと判定した場合S211に遷移する。なお、発光補正部133は、ドリフト補正処理開始後、光センサ値を初めて取得した場合は、メモリ部120に前回取得した光センサ値は記録されていないが、その場合、発光補正部133は、光センサ値がまだ安定していないとみなして、S211に遷移する。発光補正部133は、バックライトの輝度が安定していないと判定した場合、メモリ部120に記録されている「前回取得した光センサ値」を、S211で取得した光センサ値によって更新してから、S211に遷移する。
【0058】
S213において、発光補正部133は、メモリ部120に、S211で取得した発光ブロック毎の光センサ値を発光ブロック毎にドリフト補正処理の目標値として記録する。
S214において、発光補正部133は、センサ制御部132から再度発光ブロック毎の光センサ値を取得する。
S215において、発光補正部133は、S213でメモリ部120に記録された発光ブロック毎の光センサ値(以下、目標値)と、S214で取得した発光ブロック毎の光センサ値(以下、検出値)との差分値を算出する。
【0059】
S216において、発光補正部133は、前記目標値と検出値との差分値から、各発光ブロックの駆動量の補正に用いる値(以下、補正係数)を算出し、補正係数を用いて各発光ブロックの駆動量を補正する。
なお、前記S210〜S216の間にドリフト補正処理の中断指示が来た場合(不図示)、発光補正部133は、ドリフト補正処理を中断して輝度レベル変更フラグをOFFにし、図9で示した点灯制御に移行する。
【0060】
なお、発光補正部133は、S210の輝度レベル変更フラグの確認を、所定期間おきに行う。所定期間は、例えば、表示映像のフレーム周波数に合わせて実行する。タイマー部121によって前回輝度レベル変更フラグの確認を実行してからの経過時間をカウントし、所定期間が経過したときにシステム制御部122がバックライト制御部123の発光補正部133に輝度レベル変更フラグの確認の実行を要求する。
【0061】
また、前記S214〜S216の実行周期は、周期期間内でのLEDの輝度のドリフトが観察者に視認されにくい期間として予め実験的、経験的に予め定められる。本実施例では輝度が安定している状態にて輝度状態の維持を行うため、例えば数十秒周期で実行する。実行周期はユーザが任意の値を設定可能な構成であっても良い。タイマー部121は、S216が実行された後の経過時間をカウントし、実行周期に相当する期間が経過するとシステム制御部122がバックライト制御部123の発光補正部133にS214の実行開始を要求する。
【0062】
図12に本実施例のドリフト補正処理を行った場合の液晶表示装置111の輝度変化の例を模式的に示す。図12に示すように、本実施例のドリフト補正処理によれば、ローカルディミングにより発光ブロック毎にLEDの駆動量が変更された場合でも、駆動量変更後の各発光ブロックの光センサによる検出値を目標値として輝度のドリフト補正が行われる。従って、ローカルディミングにより変更後の各発光ブロックの輝度を長時間維持できる。
【0063】
また、本実施例では、バックライトの輝度が安定した状態で検出された光センサ値に基づき、ドリフト補正処理の目標値が決定されるので、発光ブロック毎のばらつきを抑制することができる。
【0064】
(実施例3)
実施例1,2では1つの光センサを用いて1つの発光ブロックの輝度のドリフト補正処理を行った。本実施例では、1つの光センサを用いて複数の発光ブロックの輝度のドリフト補正処理を行う例について示す。
以下、実施例1の説明で用いた図面、及び図13〜図15を参照して、本発明の第3の実施例による液晶表示装置の制御方法について説明する。
【0065】
本実施例では、図13に示すように、4個の発光ブロックのグループにつき1つの光センサ152が配置される。なお、本実施例において、あるグループに属する光センサ152はそのグループに属する4つの発光ブロックに配置されたLED151からの光を受光するものとする。
また、本実施例では実施例1と同様に、外部装置140から受信するドリフト補正処理開始信号をトリガーとしてバックライト124の輝度のドリフト補正処理を開始するものとする。
液晶表示装置の主要な構成を示すブロック図は実施例1と同様に図1である。
【0066】
(ドリフト補正処理について)
ドリフト補正処理開始要求を受信したときの、バックライト制御部123によるバックライト124の輝度のドリフト補正処理について説明する。
図14はドリフト補正処理における発光補正部133の動作フロー例を示す。
S310において、発光補正部133は、センサ制御部132から各光センサ152の光センサ値を取得する。
S311において、発光補正部133は、メモリ部120に、S310で取得した発光ブロックのグループ(以下、発光ブロックグループという)毎の光センサ値をその発光ブロックグループの輝度の目標値として記録する。
【0067】
S312において、発光補正部133は、センサ制御部132から再度各光センサ152の光センサ値を取得する。
S313において、発光補正部133は、S311でメモリ部120に記録された発光ブロックグループ毎の光センサ値(以下、目標値)と、S312で取得した発光ブロック
グループ毎の光センサ値(以下、検出値)との差分値を算出する。
S314において、発光補正部133は、駆動量データ送信部131がバックライト124の各発光ブロックのLEDドライバに送信した駆動量のデータを取得する。
S315において、発光補正部133は、発光ブロックグループ毎に補正係数を算出し、補正係数を用いて各発光ブロックグループに属する発光ブロックの駆動量の補正を行う。
【0068】
以下、S315の補正係数の算出方法について、詳細に説明する。
発光補正部133は、S311で決定された発光ブロックグループの輝度の目標値と、S312で取得された発光ブロックグループの輝度の検出値と、の差分値を次式により計算する。

差分値=目標値−検出値

例えば、S314にて取得される発光ブロック毎の駆動量データが、図5(B)に示すような値であるとする。また、図13において、発光ブロック(1,1)(1,2)(2,1)(2,2)からなる発光ブロックグループに属する光センサAの光センサ値に基づき決定されたこの発光ブロックグループの輝度の目標値が510、検出値が500であったとする。その場合、差分値は510−500=10となる。
【0069】
発光補正部133は、各発光ブロックグループに属する発光ブロックLの駆動量の補正
に用いる補正係数を前記差分値から次式により計算する。

補正係数=(差分値/検出値)*100

上記の発光ブロック(1,1)(1,2)(2,1)(2,2)からなる発光ブロックグループの場合、補正係数は、(10/500)*100=2となる。この場合、発光補正部133は、この発光ブロックグループに属する4つの発光ブロックそれぞれの駆動量を2%増加させるよう4つの発光ブロックそれぞれの駆動量を補正する。図15に発光ブロック(1,1)(1,2)(2,1)(2,2)の初期駆動量、輝度レベル、駆動量、補正係数、補正後の駆動量の例を示す。図15に示すように、4つの発光ブロック(1,1)(1,2)(2,1)(2,2)の駆動量が一律2%増加補正されている。
【0070】
以上の動作によれば、発光ブロック数に対して少ない数の光センサしか備えない構成のバックライトにおいても、駆動量調整後の光センサによる検出値を目標値として発光ブロック毎に輝度のドリフト補正を行うことができる。従って、ローカルディミングにより変更後の輝度で各発光ブロックの輝度を長時間維持することができる。
【0071】
なお、上記各実施例では、外部装置においてアプリケーションが画像データに基づいて発光ブロック毎の輝度レベルを算出し、輝度レベルのデータが外部装置から液晶表示装置へ入力される構成を説明したが、輝度レベルの算出は液晶表示装置が行っても良い。その場合、図1の液晶表示装置111が、前記アプリケーションの機能を実行するローカルディミング制御部を備えることになる。ローカルディミング制御部は、例えば、バックライト制御部123を構成する処理ブロックの1つとしても良い。この場合、ローカルディミング制御部は、入力制御部113から画像データを取得して、画像データに基づき、各発光ブロックに対応する液晶パネル116の分割領域毎にAPL等の統計量を計算する。そして、ローカルディミング制御部は、計算した統計量に応じて輝度レベルを決定する。この場合、液晶表示装置111は、外部装置から輝度レベルのデータを取得するためのデータ送受信部117やデータ送受信制御部118を備える必要はない。また、上記各実施例で説明したアプリケーションが提供するGUIを生成するGUI生成部を液晶表示装置1
11が更に備え、ユーザによるローカルディミングモードの選択・決定の指示入力を液晶表示装置111が受け付けるように構成しても良い。また、上記各実施例では、少なくとも1つの発光ブロックで輝度レベルに変更があった場合に、各発光ブロックの光センサ値を取得して目標値として設定しているが、輝度レベルに変更があった発光ブロックについてのみ目標値を設定するようにしても良い。その場合、輝度レベルに変更がなかった発光ブロックの目標値については、既にメモリ部120に記憶されている値をそのまま用いればよい。こうすることで、目標値の設定処理に係る時間を短縮できる。また、上記各実施例は本発明の範囲をこれらの実施例に限定する主旨のものではなく、本発明の範囲内で可能な限り組み合わせて本発明を実施することができる。例えば、発光ブロックグループ毎に取得される目標値及び検出値に基づきドリフト補正処理を行う実施例3の構成において、実施例1のように外部装置からの信号に基づきドリフト補正処理を行っても良い。或いは、実施例2のように液晶表示装置がドリフト補正処理の開始を判断しても良い。或いは、目標値を決定するタイミングを実施例2のようにバックライトの輝度が安定したと判定されるタイミングとしても良い。
【符号の説明】
【0072】
124:バックライト、160:LEDドライバ、130:発光調整部、152:光センサ、133:発光補正部、123:バックライト制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライトと、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動手段と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御手段と、
発光ブロック毎に光源の輝度を検出する輝度検出手段と、
発光ブロック毎に光源の輝度の目標値を決定する目標値決定手段と、
発光ブロック毎に光源の輝度の検出値と光源の輝度の目標値との乖離を低減するように光源の駆動量を補正する補正手段と、
を備え、
前記目標値決定手段は、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックの光源の輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出手段により検出される当該発光ブロックの光源の輝度により更新することを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記駆動量の変化があった後、前記輝度検出手段に所定の周期で各発光ブロックの輝度を検出し、全ての発光ブロックについて、最新の検出値と前回の検出値との差分が閾値以下となった場合に、バックライトの輝度が安定したと判定する判定手段を更に備え、
前記所定のタイミングは、前記判定手段によりバックライトの輝度が安定したと判定されるタイミングである請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記目標値決定手段は、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、各発光ブロックの光源の輝度の目標値を、前記所定のタイミングで前記輝度検出手段により検出される各発光ブロックの光源の輝度により更新する請求項1又は2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライトと、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動手段と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御手段と、
複数の発光ブロックからなる発光ブロックグループ毎に輝度を検出する輝度検出手段と、
発光ブロックグループ毎に輝度の目標値を決定する目標値決定手段と、
発光ブロックグループ毎に輝度の検出値と輝度の目標値との乖離を低減するように各発光ブロックグループに属する発光ブロックの光源の駆動量を補正する補正手段と、
を備え、
前記目標値決定手段は、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックが属する発光ブロックグループの輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出手段により検出される当該発光ブロックグループの輝度により更新することを特徴とするバックライト装置。
【請求項5】
前記駆動量の変化があった後、前記輝度検出手段に所定の周期で各発光ブロックグループの輝度を検出し、全ての発光ブロックグループについて、最新の検出値と前回の検出値との差分が閾値以下となった場合に、バックライトの輝度が安定したと判定する判定手段を更に備え、
前記所定のタイミングは、前記判定手段によりバックライトの輝度が安定したと判定されるタイミングである請求項4に記載のバックライト装置。
【請求項6】
前記目標値決定手段は、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つ
の発光ブロックについて変化したと判定した場合に、各発光ブロックグループの輝度の目標値を、前記所定のタイミングで前記輝度検出手段により検出される各発光ブロックグループの輝度により更新する請求項4又は5に記載のバックライト装置。
【請求項7】
画像データに応じて発光ブロック毎に光源の輝度レベルを決定する決定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記決定手段により決定される発光ブロック毎の光源の輝度レベルに応じて発光ブロック毎の光源の駆動量を決定し、
前記目標値決定手段は、前記決定手段により決定される光源の輝度レベルが少なくとも1つの発光ブロックについて変化した場合に、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定する請求項1〜6のいずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項8】
画像データに応じて発光ブロック毎に決定される光源の輝度レベルの情報と、当該輝度レベルが少なくとも1つの発光ブロックについて変化したことを示す情報と、を外部の装置から取得する取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記取得手段により取得される発光ブロック毎の光源の輝度レベルに応じて発光ブロック毎の光源の駆動量を決定し、
前記目標値決定手段は、前記取得手段により前記輝度レベルが少なくとも1つの発光ブロックについて変化したことを示す情報を取得した場合に、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定する請求項1〜6のいずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項9】
画像データに応じて発光ブロック毎に決定される光源の輝度レベルの情報を外部の装置から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得される発光ブロック毎の光源の輝度レベルの情報を記憶する記憶手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記取得手段により取得される発光ブロック毎の光源の輝度レベルに応じて発光ブロック毎の光源の駆動量を決定し、
前記目標値決定手段は、前記取得手段により取得される最新の発光ブロック毎の光源の輝度レベルの情報と、前記記憶手段に記憶されている前記取得手段により前回取得した発光ブロック毎の光源の輝度レベルの情報と、を比較し、少なくとも1つの発光ブロックについて光源の輝度レベルが変化している場合に、前記制御手段により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定する請求項1〜6のいずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項10】
前記補正手段は、前記駆動量の補正を所定の周期で繰り返し実行する請求項1〜9のいずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のバックライト装置と、液晶パネルと、を備える画像表示装置。
【請求項12】
独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライト装置の制御方法であって、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動工程と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御工程と、
発光ブロック毎に光源の輝度を検出する輝度検出工程と、
発光ブロック毎に光源の輝度の目標値を決定する目標値決定工程と、
発光ブロック毎に光源の輝度の検出値と光源の輝度の目標値との乖離を低減するように
光源の駆動量を補正する補正工程と、
を有し、
前記目標値決定工程は、前記制御工程により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックの光源の輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出工程により検出される当該発光ブロックの光源の輝度により更新することを特徴とするバックライト装置の制御方法。
【請求項13】
独立に発光を制御可能な複数の発光ブロックにより分割されるバックライト装置の制御方法であって、
各発光ブロックに配置される光源を駆動する駆動工程と、
発光ブロック毎に光源の駆動量を決定する制御工程と、
複数の発光ブロックからなる発光ブロックグループ毎に輝度を検出する輝度検出工程と、
発光ブロックグループ毎に輝度の目標値を決定する目標値決定工程と、
発光ブロックグループ毎に輝度の検出値と輝度の目標値との乖離を低減するように各発光ブロックグループに属する発光ブロックの光源の駆動量を補正する補正工程と、
を有し、
前記目標値決定工程は、前記制御工程により決定される光源の駆動量が少なくとも1つの発光ブロックについて変化したと判定した場合に、少なくとも当該駆動量の変化があった発光ブロックが属する発光ブロックグループの輝度の目標値を、当該駆動量の変化があった後の所定のタイミングで前記輝度検出工程により検出される当該発光ブロックグループの輝度により更新することを特徴とするバックライト装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−62070(P2013−62070A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198452(P2011−198452)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】