説明

バックライト装置及びそれを備えた液晶表示装置

【課題】導光板を容易に位置決めできるとともにしっかりと固定でき、且つ塵の侵入を防止したバックライト装置を提供することである。
【解決手段】バックライト装置12は、導光板17と、導光板17の端面に対向配置した線状のランプ18と、導光板17から光を取り出す開口部を有する額縁状のケース15とを備え、ケース15の内側全周に、導光板17を嵌める段部15aを設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特にそのバックライト装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に搭載されるバックライト装置は、薄型構造とするために導光板の端に光源ユニットを配置したエッジライト型のものが主流になっている。このエッジライト型のバックライト装置においては、図5、図6に示すような構造により導光板が位置決め・固定されている。図5はバックライト装置の導光板の角付近の平面図である。図5では、裏蓋を切り起こして形成されたL字型の爪30が導光板40の角に合致し、導光板40の位置決め・固定を行っている。
【0003】
また図6は他の形態のバックライト装置の導光板の角付近の平面図である。図6では、裏蓋を切り起こして形成された直線状の爪31が導光板41の角の面取りされた部分に当接し、導光板41の位置決め・固定を行っている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−35235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図5の構成によると、爪30によって遮光される領域が多くなるとともに、導光板40とランプとの間隔が広くなるという問題がある。また、図6の構成によると、導光板41の角が大きく面取りされているため、液晶パネルのアクティブエリア14aを小さくしなければ、アクティブエリアの角が導光板からはみ出して表示できなくなるという問題がある。
【0005】
また、爪30、31は裏蓋を切り起こして形成されているため、切り起こした後の孔から塵が入るおそれがある。
【0006】
更に、液晶表示装置の軽量化のため、一般的に裏蓋は薄い(例えば0.5mm)ので、切り起こした爪30、31は変形して倒れるおそれがある。その場合、導光板40、41の位置がずれるという問題が生じる。更に、上記ずれにより、ランプが割れる事もある。
【0007】
本発明は、導光板を容易に位置決めできるとともにしっかりと固定でき、且つ塵の侵入を防止したバックライト装置を提供することを目的とする。またそのバックライト装置を搭載した液晶表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、導光板と、該導光板の端面に対向配置した線状のランプと、前記導光板から光を取り出す開口部を有する額縁状のケースとを備えたバックライト装置において、前記ケースの内側全周に、前記導光板を嵌める段部を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
この構成によると、導光板が段部で位置決め・固定される。また、導光板固定用に裏蓋を切り起こす必要がなくなる。
【0010】
上記のバックライト装置において、前記導光板の端面と前記段部の側面との隙間が0.1mm以上0.5mm以下であることが望ましい。
【0011】
この隙間が0.1mm未満の場合は狭すぎて、導光板の外径寸法の公差と段部の外形寸法の公差とにより導光板が段部に嵌まらない場合がある。一方、この隙間が0.5mmを超える場合は位置決めが甘くなり、導光板がケース内で正規な位置からずれるおそれがある。
【0012】
また上記のバックライト装置において、前記段部の高さが0.3mm以上1.0mm以下であることが望ましい。
【0013】
この高さが0.3mm未満の場合は低すぎて、液晶表示装置の輸送や設置時の振動により、段部から導光板が外れてしまう場合がある。一方、この高さが1.0mmを超える場合は高すぎて、ランプからの光の一部が段部で遮られ、段部に収まっている導光板の端部に光が入らない。その結果として、液晶パネルの端部付近では十分に照明されずに暗線が生じる。
【0014】
また本発明の液晶表示装置は、上記のバックライト装置を搭載したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1によれば、ケースの内側全周に段部を設けることにより、導光板を容易に位置決めできるとともにしっかりと固定でき、且つバックライト装置への塵の侵入を防止することができる。
【0016】
請求項2によれば、隙間を0.1mm以上0.5mm以下とすることにより、導光板が段部の定位置に収まり、均一な照明を実現できる。
【0017】
請求項3によれば、段部の高さを0.3mm以上1.0mm以下とすることにより、導光板が段部から外れることなく、均一な照明を実現できる。
【0018】
請求項4によれば、上記のバックライト装置を液晶表示装置に搭載することにより、導光板を容易に位置決めできるとともにしっかりと固定でき、且つバックライト装置への塵の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は液晶表示装置の分解斜視図、図2は液晶表示装置の断面図、図3はケース及び導光板の分解斜視図、図4はバックライト装置の導光板の角付近の平面図である。液晶表示装置10は、図1に示すように、液晶表示部11をエッジライト型のバックライト装置12上に積層して構成される。液晶表示部11は、金属製の前面枠13と、この前面枠13とケース15とで狭持される液晶パネル14とから構成される。
【0020】
バックライト装置12は、開口部を有する額縁状樹脂製のケース15と、ケース15の開口部に嵌め込まれた2枚の拡散板16a、16b及び導光板17と、L字型で線状の冷陰極管等からなるランプ18と、導光板17やランプ18を覆いケース15に嵌合する裏蓋19とを備えている。導光板17の厚みは例えば約5mmである。
【0021】
ランプ18には、ランプケーブル(不図示)が接続される。そしてランプ18及びランプケーブルの接続部は、ランプホルダ(不図示)により覆われる。またランプホルダを固定するとともにランプ18からの発光を反射するランプリフレクタ(不図示)も設けられる。
【0022】
更に図2に示すように、裏蓋19の背面には制御基板20が配設される。制御基板20はTCP(テープキャリアパッケージ)21により液晶パネル14に接続される。そして前面枠13に嵌合する裏カバー(不図示)により制御基板20やTCP21が覆われる。
【0023】
次に、バックライト装置12の構造について詳しく説明する。ケース15には、図2に示すような断面L字型の段部15aがケース15の全周に亘って形成されている。この段部15aは、導光板17の位置決めと固定を行うものである。導光板17は段部15aと裏蓋19とで狭持される。また、段部15aよりも小さい段部15cがケースの全周に亘って形成されている。この段部15cと導光板17とで拡散板16a、16bが狭持される。
【0024】
ここで、導光板17の位置決めと固定のため、段部15aは導光板17がきっちり嵌まる形状と大きさに設計する必要がある。そこで、段部15aの側面15bと導光板17の端面との隙間Aが重要になる。この隙間Aが0.1mm未満の場合は狭すぎて、導光板17の外径寸法の公差と段部15aの外形寸法の公差とにより導光板17が段部15aに嵌まらない場合がある。一方、この隙間Aが0.5mmを超える場合は位置決めが甘くなり導光板17がケース15内で正規な位置からずれるおそれがある。従って、この隙間Aが0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、この範囲のとき導光板17が段部15aの定位置に収まり、均一な照明を実現できる。
【0025】
また、段部15aの高さBも重要である。この高さBが0.3mm未満の場合は低すぎて、液晶表示装置10の輸送や設置時の振動により、段部15aから導光板17が外れてしまう場合がある。一方、この高さBが1.0mmを超える場合は高すぎて、ランプ18からの光の一部が段部15aで遮られ、段部15aに収まっている導光板17の端部に光が入らない。その結果、液晶パネル14aの端部付近では十分に照明されずに暗線が生じる。従って、段部15aの高さBは、0.3mm以上1.0mm以下であることが好ましく、この範囲の時、導光板17が段部15aから外れることなく、均一な照明を実現できる。
【0026】
なお上記の構成のとき、ランプ18と導光板17の端面との距離Cは約0.5mmであり、ランプ18と液晶パネル14方向のケース15の内壁面との距離Dは約0.7mmである。また、拡散板16aを抑えているケース15の端部と液晶パネル14のアクティブエリアの端部との距離は約1.2mmである。
【0027】
なお、図2のように平面型導光板を用いる場合は、段部15aの断面はL字型とすることが望ましいが、他の形状の導光板を用いる場合は、段部は導光板に合致する形状であればよい。
【0028】
このように、ケース15に形成された段部15aに導光板17を嵌めることにより、導光板を容易に位置決めでき、固定もできる。段部15aをケース15の全周に亘って設けることにより変形にも強く、導光板17をしっかり固定することができる。また、従来のように、裏蓋19を切り起こして爪を形成することがないので、切り起こした後の孔から塵が入るおそれがない。更に、図6の従来の液晶表示装置では導光板41の角が大きく面取りされているため、液晶パネルのアクティブエリア14aを小さくしなければ、アクティブエリア14aの角が導光板41からはみ出して表示できなくなるという問題があったが、図4の本発明の液晶表示装置10では導光板17の角は小さく面取りされているだけなのでアクティブエリア14aを大きくとることができる。従って、アクティブエリア14aの端部からランプ18までの距離が短くなる。その結果、液晶表示装置の狭額縁化が可能となる。
【0029】
なお、本発明では導光板17の角は必ずしも面取りする必要はない。図4では、ランプ18の曲げ部分に導光板の角が当たらないようにするため、更には破損防止や段部15aへの嵌め易さのために、導光板17の角を面取りしている。
【0030】
なお、本発明において、裏蓋19に替えて、ケース15の下端を導光板17の方向に延ばして導光板17を支持するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のバックライト装置はエッジライト型であり、冷陰極管等からなる線状のランプを用いた光源ユニットを搭載するものである。また本発明の液晶表示装置は、そのバックライト装置を搭載し、直視型と投射型どちらにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の液晶表示装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の断面図である。
【図3】本発明のケース及び導光板の分解斜視図である。
【図4】本発明のバックライト装置の導光板の角付近の平面図である。
【図5】従来のバックライト装置の導光板の角付近の平面図である。
【図6】従来の他の形態のバックライト装置の導光板の角付近の平面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 液晶表示装置
11 液晶表示部
12 バックライト装置
13 前面枠
14 液晶パネル
14a アクティブエリア
15 ケース
15a、15c 段部
15b 段部の側面
16a、16b 拡散板
17 導光板
18 ランプ
19 裏蓋
20 制御基板
21 TCP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、該導光板の端面に対向配置した線状のランプと、前記導光板から光を取り出す開口部を有する額縁状のケースとを備えたバックライト装置において、前記ケースの内側全周に、前記導光板を嵌める段部を設けたことを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記導光板の端面と前記段部の側面との隙間が0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記段部の高さが0.3mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のバックライト装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のバックライト装置を搭載した液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−92766(P2006−92766A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273009(P2004−273009)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】