説明

バックライト装置

【課題】液晶表示装置に用いられるバックライト装置において、品質維持、信頼性向上を図る。
【解決手段】基板と、基板に配置された複数のLEDと、LEDに供給する電流を制御する制御部とを備えた液晶表示装置に用いられるバックライト装置であって、基板は少なくとも第1の領域と第2の領域とを含み、第1の領域には所定の密度以上の密度で複数の第1のLEDが配置され、第2の領域には所定の密度より低い密度で複数の第2のLEDが配置され、制御部は、第1の領域の温度が所定の温度より高い場合における、第1の領域の温度に対する第1のLEDに供給する電流の実効値の変化率と、第2の領域の温度が所定の温度より高い場合における、第2の領域の温度に対する第2のLEDに供給する電流の実効値の変化率とが異なるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いられるバックライト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に用いられるバックライト装置の光源として、環境対応、省エネルギーなどの観点からLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)の導入が進んでいる。
【0003】
例えば、バックライト装置としてLEDを平面状の基板に複数配置したものが知られている。図11は、従来のバックライト装置900の構成を示す平面図及びD−D´線に沿った断面図である。平面状の基板901と、基板901上に配置された複数のLED902を備える。LED902は、基板101に均一な密度で配置されている。バックライト装置900は破線で表示した液晶パネル950の背面側に平行に近接して対向配置され、液晶表示装置960が構成される。
【0004】
LEDは、それ自体の温度及び供給される電流によって、輝度、色度、劣化速度等の特性が変動するため、所望の輝度又は色度を得つつ長寿命化するためには、温度に応じた電流等の最適な制御が必要となる。特許文献1は、バックライト装置の各部分に配置されたLED群の温度に基づいて各LED群への供給電流を制御することで、輝度を均一にする技術を開示している。また、特許文献2は、バックライト装置の高温となる部分に配置されたLEDに、他の部分に配置されたLEDに比べて低電流を供給し、各LEDの温度を同一にすることで、経時劣化の進行を一様化し輝度バランスを維持する技術を開示している。また、特許文献3は、LEDに供給するパルス電流の電流値とデューティ比とを制御することで、温度上昇を抑制しつつ、輝度及び色度をより安定化させる技術を開示している。
【0005】
また、液晶表示装置の表示画面周辺部は、輝度が低くても画質上問題になりにくい。そのため、バックライト装置の周辺部のLEDの配置密度を中央部より低くしても、画質低下を最小限に抑えることができ、LEDの個数の削減によるコスト及び消費電力の低減と信頼性向上とを図ることができる。特許文献4は、このようなLEDの疎配置部分によって液晶表示装置に発生する輝度ムラを低減する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−31977号公報
【特許文献2】特開2010−32731号公報
【特許文献3】特開2010−278366号公報
【特許文献4】特開2010−49994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LEDは、電流の供給により、電球等に比べて程度は低いものの、自ら発熱するため、密配置した領域は疎配置した領域より、温度上昇しやすく、LEDの品質低下及び短寿命化を招きやすい。したがって、密配置した領域については、温度上昇の防止を図ることが品質上重要である。しかし、疎配置した領域は、温度上昇しにくい代わりに、元々輝度が低いため、これ以上の輝度低下を防止することが画質上重要となる。従来、LEDを密配置した領域及び疎配置した領域を備えるバックライト装置において、このような品質維持上の各領域の特性の差異を考慮した電流制御は行われていなかった。
【0008】
それゆえに、本発明の目的は、液晶表示装置に用いられるバックライト装置において、LEDを密配置した領域及び疎配置した領域にそれぞれ適した電流制御を行い、LEDの品質低下、短寿命化及び画質の劣化を防止し、信頼性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面は、基板と、基板に配置された複数のLEDと、LEDに供給する電流を制御する制御部とを備えた液晶表示装置に用いられるバックライト装置であって、基板は少なくとも第1の領域と第2の領域とを含み、第1の領域には所定の密度以上の密度で複数の第1のLEDが配置され、第2の領域には所定の密度より低い密度で複数の第2のLEDが配置され、制御部は、第1の領域の温度が所定の温度より高い場合における、第1の領域の温度に対する第1のLEDに供給する電流の実効値の変化率と、第2の領域の温度が所定の温度より高い場合における、第2の領域の温度に対する第2のLEDに供給する電流の実効値の変化率とが異なるように制御することを特徴とする、バックライト装置である。
【0010】
また、制御部は、第1の領域の温度が所定の温度より高くなるに従い、第1のLEDに供給する電流の実効値をより低くなるように制御し、かつ、第2の領域の温度が所定の温度より高くなるに従い、第2のLEDに供給する電流の実効値を等しく又はより低くなるように制御し、第1の領域の温度に対する当該第1のLEDに供給する電流の実効値の低下率を、第2の領域の温度に対する第2のLEDに供給する電流の実効値の低下率より大きくなるよう制御することが好ましい。
【0011】
また、制御部は、第1の領域の温度が所定の温度以下のTである場合における、第1のLEDに供給する電流の実効値と、第2の領域の温度がTである場合における、第2のLEDに供給する電流の実効値とが等しくなるように制御することが好ましい。
【0012】
また、バックライト装置は、温度を測定する1又は複数の温度測定部をさらに備え、温度測定部が測定した温度に基づいて、第1の領域及び第2の領域の温度を算出することが好ましい。
【0013】
本発明の第2の局面は、基板と、基板に配置された複数のLEDと、LEDに供給する電流を制御する制御部と、温度を測定する1又は複数の温度測定部とを備えた液晶表示装置に用いられるバックライト装置であって、基板は少なくとも第1の領域と第2の領域とを含み、第1の領域には所定の密度以上の密度で複数の第1のLEDが配置され、第2の領域には所定の密度より低い密度で複数の第2のLEDが配置され、制御部は、温度測定部が測定した温度に基づく基準温度が所定の温度より高い場合、基準温度が高くなるに従い、第1のLEDに供給する電流の実効値をより低くなるように制御し、かつ、第2のLEDに供給する電流の実効値を等しく又はより低くなるように制御し、基準温度に対する当該第1のLEDに供給する電流の実効値の低下率を基準温度に対する第2のLEDに供給する電流の実効値の低下率より大きくなるよう制御することを特徴とする、バックライト装置である。
【0014】
また、制御部は、基準温度が所定の温度以下の場合における、第1のLEDに供給する電流の実効値と、第2のLEDに供給する電流の実効値とが等しくなるように制御することが好ましい。
【0015】
また、第1の領域は、基板上の中央部に位置し、第2の領域は基板の周辺部に位置することが好ましい。
【0016】
また、凹状の断面を有する反射板をさらに備え、
基板は、線状の形状を有し、反射板の底部を含む一部の領域に配置されることが好ましい。
【0017】
本発明の第3の局面は、上述のバックライト装置と、液晶パネルとを備える、液晶表示装置である。
【0018】
本発明は、第4の局面として、上述のバックライト装置において、LEDへの供給電流を制御するため制御部が実行する方法にも向けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液晶表示装置に用いられるバックライト装置において、LEDを密配置した領域及び疎配置した領域にそれぞれ適した電流制御を行い、LEDの品質低下、短寿命化及び画質の劣化を防止し、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバックライト装置の構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態に係るバックライト装置からの出射光の輝度分布を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電流制御方法を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電流制御方法を示す図
【図5】本発明の第1の実施形態に係る電流制御方法を示す図
【図6】本発明の第1の実施形態に係る電流制御方法を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係るバックライト装置の構成を示す図
【図8】本発明の第2の実施形態に係る電流制御方法を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態に係るバックライト装置の構成を示す図
【図10】本発明の第3の実施形態に係る基板の例を示す図
【図11】従来のバックライト装置の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。図1は、本実施形態に係るバックライト装置100の構成を示す平面図及びA−A´線に沿った断面図である。バックライト装置100は、平面状の基板101と、2つの温度測定部113及び114と、制御部104と、基板101上に配置された複数のLED102を備える。LED102は、基板101の中央部である密配置部105には密に配置され、基板101の周辺部である疎配置部106には疎に配置されている。温度測定部113及び114は温度測定機能を有し、制御部104とは、信号線107で接続されている。また、LED102はいずれも図示しない電力線で制御部104と接続されている。バックライト装置100は、破線で表示した液晶パネル200に平行に近接して配置され、液晶表示装置300が構成される。
【0022】
LED102は、白色LEDであってもよいし、3色のLEDが組み合わされたものであってもよい。いずれであっても、バックライト装置100全体から白色光が得られる構成であればよい。図2に液晶パネル200に入射するLED102からの光の輝度分布を示す。図2は、輝度の高い部分ほど明るく、輝度の低い部分ほど暗く、示している。密配置部105に対向する中央部分は輝度が高く、疎配置部106に対向する周辺部分は輝度が低いことが理解できる。一般に人がディスプレイなどを見る際には、画面の中央部に集中し、画面の周辺部にはあまり注意を払わない。したがって、画面の中央部は輝度を相対的に高くする必要がある一方、画面の周辺部は輝度を相対的に低くしても構わない。このように輝度を低くしても構わない周辺部にLEDを疎に配置することで、高価なLEDの個数を減らして、コスト削減を図ることができる。
【0023】
温度測定部113は、図1に示すように、密配置部105に配置された1つのLED102に近接して配置され、この密配置部105の領域の温度を測定する。温度測定部114は、疎配置部106に配置された1つのLED102に近接して配置され、この疎配置部106の領域の温度を測定する。
【0024】
制御部104は、温度測定部113及び114が測定した各温度を、例えば周期的に、信号線107を介して取得する。また、制御部104は、取得した各温度に基づいて、密配置部105及び疎配置部106に供給する各電流値を算出して、電力線を介して、密配置部105及び疎配置部106の各部のLED102へ算出した各電流を供給する。なお、制御部107は温度測定部113及び114が測定した温度をそのまま使用しても良いし、取得した温度に基づいて予め定めた補正方法により補正した温度を使用しても良い。
【0025】
以下に、制御部104による、電流制御の方法の例を示す。図3〜図6は、各例において横軸に温度、縦軸に電流値をとる。温度測定部113が測定した密配置部105の領域の温度と、制御部104が密配置部105のLED102に供給する電流値との関係を実線で示す。また、温度測定部114が測定した疎配置部106の領域の温度と、制御部104が疎配置部106のLED102に供給する電流値との関係を破線で示したグラフである。
【0026】
図3に示す例では、制御部104は、密配置部105のLED102に対しては、密配置部105の領域の温度が所定の温度T1以下の場合、略一定の電流を供給し、温度が所定の温度T1を超えると、温度が上昇するにつれて、供給する電流を低下させる。また、制御部104は、疎配置部106のLED102に対しては、疎配置部106の領域の温度が所定の温度T1以下の場合、略一定の電流を供給し、温度が所定の温度T1を超えると、温度が上昇するにつれて、供給する電流を低下させる。各供給電流の傾きは異なる。すなわち、密配置部105及び疎配置部106の各LED102に供給する各電流値は、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度が所定の温度T1をそれぞれ超えた場合に、異なる変化率で低下する。また、各供給電流が低下する場合における、密配置部105のLED102に供給する電流の低下率が、疎配置部106のLED102に供給する電流の低下率より大きい。密配置部105及び疎配置部106のLED102に要求される電流制御方法は、基板上での位置やLED102の密度によって異なる。そこで、各領域の温度が一定温度以上になった場合の、密配置部105及び疎配置部106のLED102に供給する電流の制御方法を異なるものとしている。なお、この例では、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度がそれぞれT1以下の場合の、密配置部105及び疎配置部106の各LED102への供給電流値が異なっている。
【0027】
図4に示す例では、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度がそれぞれ所定の温度T2以下の場合、制御部104は、略等しくかつ一定の電流を、密配置部105及び疎配置部106の各LED102に供給する。そのため、2つのグラフは重なっている。このように密配置部105と疎配置部106のLED102に供給する電流値を略等しくすることで、LED102の位置を問わず略等しい電流を供給するので、制御が容易になる。密配置部105の領域の温度が所定の温度T2を超えると、制御部104は温度が上昇するにつれて、密配置部105のLED102に供給する電流値を低下させる。これに対し、疎配置部106の領域の温度が所定の温度T2を超えても、制御部104は、疎配置部106のLED102に供給する電流値を略一定のままとする。したがって、制御部104は、領域の温度が所定の温度T2を超えた場合に、密配置部105と疎配置部106のLED102に供給する電流値の変化率が異なる制御をしている。なお、疎配置部106はLED102の密度が低いため、疎配置部106の領域の温度があまり高温になることを想定する必要がない場合があり得る。そこで、疎配置部106のLED102に供給する電流値を領域の温度によらず略一定として、制御を容易にしている。
【0028】
図5に示す例では、制御部104は、密配置部105のLED102に対しては、密配置部105の領域の温度が所定の温度T3以下の場合、略一定の電流を供給し、温度が所定の温度T3を超えると、温度が上昇するにつれて、供給する電流を低下させる。また、制御部104は、疎配置部106のLED102に対しては、疎配置部106の領域の温度が所定の温度T4(T4>T3)以下の場合、略一定の電流を供給し、温度が所定の温度T4を超えると、温度が上昇するにつれて、供給する電流を低下させる。また、密配置部105及び疎配置部106の各LED102に供給される電流は、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度がT3以下の場合、略同一であり、2つのグラフは重なっている。密配置部105と疎配置部106の領域の温度が所定の温度T3を超えても、制御部104が疎配置部106のLED102に供給する電流値の変化率(本実施例では、温度上昇に伴い電流値は低下しているので低下率)は、ゼロである。一方、制御部104が密配置部105のLED102に供給する電流値の変化率(低下率)は、ゼロではない。したがって、制御部104は、密配置部105と疎配置部106のLED102に供給する電流値の変化率(低下率)が異なる制御をしている。
【0029】
図6に示す例では、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度がそれぞれ所定の温度T5以下の場合、制御部104は、略等しくかつ一定の電流を、密配置部105及び疎配置部106の各LED102に供給する。そのため、2つのグラフは重なっている。密配置部105の領域の温度が所定の温度T5を超えると、制御部104は温度が上昇するにつれて、密配置部105のLED102に供給する電流値を低下させる。また、疎配置部106の領域の温度が所定の温度T5を超えると、制御部104は温度が上昇するにつれて、疎配置部106のLED102に供給する電流値を低下させる。また、各供給電流が低下する場合における、密配置部105のLED102に供給する電流の低下率が、疎配置部106のLED102に供給する電流の低下率より大きい。
【0030】
いずれの例であっても、本実施形態のバックライト装置100は、密配置部105のLED102が高温となったとき、密配置部105のLED102については、供給電流が速やかに減らされて発熱が抑制され、温度が低下し、LED102の品質低下及び短寿命化を防止するという効果が得られる。また、疎配置部106のLED102については、供給電流が緩やかに減らされるか、一定の電流値が維持されて輝度の低下が抑制され、液晶パネル200の周辺部の画質の劣化を防止でき、信頼性を向上するという効果が得られる。特に、密配置部105が基板101の中央部に配置された場合、構造上、密配置部105の領域の温度が下がりにくくなる。したがって、制御部104が密配置部105のLED102への供給電流を速やかに低下させ、発熱を抑制する必要性が大きい。一方、疎配置部106は基板101の周辺部に配置された場合、構造上、密配置部106の領域の温度が下がりやすくなる。したがって、制御部104が疎配置部106のLED102への供給電流を速やかに低下させ、発熱を抑制する必要性が小さい。そこで、本実施例のような制御を行うことで、上記効果を実現することができる。
【0031】
制御部104が算出した密配置部105の領域の温度と、制御部104が制御する各供給電流との関係は、以上の例に限られず、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度に関連する品質維持上の特性の差異に応じて、適宜適切な電流制御を行えばよい。
【0032】
また、制御部104は、供給する電流値を制御するものとしたが、電流の時間平均値等で表される実効値を制御できればよく、例えば、制御部104は、パルス電流を供給しデューティ比を制御するものとしてもよい。あるいは、電流値とデューティ比の両方を制御するものとしてもよい。パルス電流を供給する場合は、電流の実効値が、例えば、図3又は図4に示すグラフとなるようにパルス電流値又はデューティ比を制御すればよい。
【0033】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。図7は、本実施形態に係るバックライト装置400の構成を示す平面図及びB−B´線に沿った断面図である。バックライト装置400は、第1の実施形態におけるバックライト装置100において、1つの温度測定部113のみを備え、温度測定部114を備えないものである。バックライト装置400の他の構成要素はバックライト装置100と同様であるので、同一の参照符号を付す。
【0034】
温度測定部113は、図7に示す例では、密配置部105に配置された1つのLED102に近接して配置され、この密配置部105の領域の温度を測定する。しかし、基板101上の密配置部105に温度測定部103を配置するのが困難な場合もある。このような場合、温度測定部は、基板101の疎配置部106に配置してもよく、基板101のLED102が配置された面の反対側の面のいずれかの箇所に配置してもよい。あるいは、液晶パネル200に配置してもよく、最終的に液晶表示装置300が組み込まれる液晶テレビ装置等の製品のいずれかの部品に取り付けることとしてもよい。
【0035】
制御部104は、例えば周期的に、温度測定部113が測定した温度を基準温度として取得する。この基準温度は、温度測定部113が配置される位置によっては、密配置部105又は疎配置部106の各領域の温度とは一致しないものの、これらの各領域温度と一定の相関関係がある。そのため、基準温度から、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度を一定の精度で推測することが可能である。
【0036】
以下に、制御部104による、電流制御の方法の例を示す。本実施形態においては、制御部104は、各供給電流値を、同じ基準温度に基づいて制御する。この点において、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度に基づいて、各供給電流値を制御する第1の実施形態と異なっている。図8は、横軸に温度、縦軸に電流値をとり、温度測定部113が測定した基準温度と、制御部104が密配置部105及び疎配置部106の各LED102に供給する各電流値との関係をそれぞれ実線及び破線で示したグラフである。
【0037】
図8に示す例では、第1の実施形態の図6に示す例を、本実施例に適応させた場合の制御を示す。制御部104は、密配置部105のLED102に対しては、基準温度が所定の温度T5以下の場合、略一定の電流を供給し、温度が所定の温度T5を超えると、温度が上昇するにつれて、供給する電流を低下させる。また、制御部104は、疎配置部106のLED102に対しては、基準温度が所定の温度T6(T6>T5)以下の場合、略一定の電流を供給し、温度が所定の温度T6を超えると、温度が上昇するにつれて、供給する電流を低下させる。本実施例では、温度測定部113が密配置部105に配置されているので、基準温度と密配置部105の領域の温度が一致している。一方、疎配置部106の領域の温度は密配置部105の領域の温度と比べて一定温度低い。そこで、制御部104が、疎配置部106のLED102に供給する電流値を略一定から低下に変化させる温度を、温度差の分だけT5からT6にずらしている。また、密配置部105及び疎配置部106の各LED102に供給される電流は、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度がT5以下の場合、略等しく、2つのグラフは重なっている。さらに、基準温度が所定の温度T6を超えた場合、制御部104が、密配置部105のLED102に供給する電流値の低下率は、疎配置部106のLED102に供給する電流値の低下率に比べて大きくなるように制御をしている。
【0038】
これにより、本実施形態のバックライト装置400は、密配置部105の領域の温度が高温となったとき、密配置部105のLED102については、供給電流が速やかに減らされて発熱が抑制され、温度が低下し、LED102の品質低下及び短寿命化を防止するという効果が得られる。これとともに、疎配置部106のLED102については、供給電流が緩やかに減らされて輝度の低下が抑制され、液晶パネル200の周辺部の画質の劣化を防止でき、信頼性を向上するという効果が得られる。
【0039】
制御部104が取得した温度と、制御部104が制御する各供給電流との関係は、この例に限られず、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度に関連する品質維持上の特性の差異や、基準温度と密配置部105及び疎配置部106の各LED102の各温度との相関関係に応じて、適宜適切な電流制御を行えばよい。また、第1の実施形態と同様、制御部104はパルス電流を供給し、デューティ比を制御してもよい。
【0040】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について以下に説明する。図9は、本実施形態に係るバックライト装置500の構成を示す平面図及びC−C´線に沿った断面図である。バックライト装置500は、凹状に湾曲した断面を有する反射板508と、反射板508の凹形状の断面の底部にあたる中央部に配置された線状の基板501と、温度測定部503と、制御部504と、基板501上に配置された複数のLED502を備える。LED502は、基板501の中央部である密配置部505には密に配置され、基板501の周辺部である疎配置部506には疎に配置されている。温度測定部503は温度測定機能を有し、制御部504とは、信号線507で接続されている。また、LED502はいずれも図示しない電力線で制御部504と接続されている。バックライト装置500は、破線で表示した液晶パネル600に、反射板508の端縁と液晶パネル600の端縁とを接続して配置され、液晶表示装置700が構成される。
【0041】
LED502は、第1の実施形態のLED102と同様に、白色LEDであってもよいし、3色のLEDが組み合わされたものであってもよい。本実施形態においては、LED502からの出射光は、一部が直接液晶パネル600に入射するとともに、残りが反射板508によって反射され液晶パネル600に入射する。これによって、LED502の個数が第1の実施形態におけるLED102の個数より少なくても、液晶パネル600に入射する光の輝度分布を、第1の実施形態における図2に示したものと同様とすることができる。なお、図9では、LED502は基板501上に1列に配置される例を示したが、図10の(a)及び(b)に示すように2列以上に配置されてもよい。また、LED502の配置密度は、図10の(a)に示すように、密配置部105及び疎配置部506において、それぞれ一様であってもよいし、図10の(b)に示すように、密配置部105及び疎配置部506において、連続的に変化するものであってもよい。
【0042】
温度測定部503は、図9に示すように、密配置部505に配置された1つのLED502に近接して配置されるが、このような配置が困難な場合、第2の実施形態と同様、他の部分に配置してもよい。
【0043】
制御部504は、第2の実施形態の制御部104と同様、温度測定部503が測定した温度を基準温度として信号線507を介して取得し、取得した基準温度に基づいて、密配置部505及び疎配置部506に供給する各電流値を制御する。各電流値の制御方法は、第2の実施形態における制御方法と同様である。
【0044】
本実施形態のバックライト装置500においても、例えば図8に示す例と同様に各電流値を制御することにより、第2の実施形態と同様、密配置部505の領域の温度が高温となったとき、密配置部505のLED502については、供給電流が速やかに減らされて発熱が抑制され、温度が低下し、LED502の品質低下及び短寿命化を防止するという効果が得られる。これとともに、疎配置部506のLED502については、供給電流が緩やかに減らされて輝度の低下が抑制され、液晶パネル600の周辺部の画質の劣化を防止でき、信頼性を向上するという効果が得られる。また、制御部104が取得した温度と、制御部104が制御する各供給電流との関係は、この例に限られず、密配置部505及び疎配置部506の各領域の温度に関連する品質維持上の特性の差異や、基準温度と密配置部505及び疎配置部506の各LED102の各温度との相関関係に応じて、適宜適切な電流制御を行えばよい。また、第1の実施形態と同様、制御部504はパルス電流を供給し、デューティ比を制御してもよい。
【0045】
また、本実施形態のバックライト装置500において、第1の2つの温度測定部を備え、制御部504が、密配置部105及び疎配置部106の各領域の温度を各温度測定部から取得し、第1の実施形態同様、これらの温度に基づいて、各供給電流値を制御するものとしてもよい。
【0046】
本実施形態においては、LED502の個数を、第1及び第2の実施形態のLED102の個数より少なくすることができる。これによりコスト抑制を図るとともに、LED102の故障発生確率の低減等が期待でき、さらなる信頼性向上を図ることができる。
【0047】
以上説明した、各実施形態では、LEDの配置領域を、密配置部及び疎配置部の2つの領域に分割したが、LEDの配置密度や基板上の位置に応じて3つ以上の領域に分割し、供給電流をそれぞれ制御するものとしてもよい。また、温度測定部を3つ以上備えて、各領域の温度測定精度を高めてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、液晶表示装置等に用いられるバックライト装置において有用であり、とくに複数のLEDを密配置した領域と疎配置した領域とを有する基板を備えるバックライト装置において有用である。
【符号の説明】
【0049】
100、400、500、900 バックライト装置
101、501 基板
102、502 LED
113、114、503 温度測定部
104、504 制御部
105、505 密配置部
106、506 疎配置部
107、507 信号線
508 反射板
200、600、950 液晶パネル
300、700、960 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に配置された複数のLEDと、
前記LEDに供給する電流を制御する制御部とを備えた液晶表示装置に用いられるバックライト装置であって、
前記基板は少なくとも第1の領域と第2の領域とを含み、
前記第1の領域には所定の密度以上の密度で複数の第1のLEDが配置され、
前記第2の領域には前記所定の密度より低い密度で複数の第2のLEDが配置され、
前記制御部は、前記第1の領域の温度が所定の温度より高い場合における、前記第1の領域の温度に対する前記第1のLEDに供給する電流の実効値の変化率と、前記第2の領域の温度が前記所定の温度より高い場合における、前記第2の領域の温度に対する前記第2のLEDに供給する電流の実効値の変化率とが異なるように制御することを特徴とする、バックライト装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の領域の温度が前記所定の温度より高くなるに従い、前記第1のLEDに供給する電流の実効値をより低くなるように制御し、かつ、前記第2の領域の温度が前記所定の温度より高くなるに従い、前記第2のLEDに供給する電流の実効値を等しく又はより低くなるように制御し、
前記第1の領域の温度に対する当該第1のLEDに供給する電流の実効値の低下率を、前記第2の領域の温度に対する前記第2のLEDに供給する電流の実効値の低下率より大きくなるよう制御することを特徴とする、請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の領域の温度が前記所定の温度以下のTである場合における、前記第1のLEDに供給する電流の実効値と、前記第2の領域の温度がTである場合における、前記第2のLEDに供給する電流の実効値とが等しくなるように制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記バックライト装置は、温度を測定する1又は複数の温度測定部をさらに備え、前記温度測定部が測定した温度に基づいて、前記第1の領域及び第2の領域の温度を算出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバックライト装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板に配置された複数のLEDと、
前記LEDに供給する電流を制御する制御部と、
温度を測定する1又は複数の温度測定部とを備えた液晶表示装置に用いられるバックライト装置であって、
前記基板は少なくとも第1の領域と第2の領域とを含み、
前記第1の領域には所定の密度以上の密度で複数の第1のLEDが配置され、
前記第2の領域には前記所定の密度より低い密度で複数の第2のLEDが配置され、
前記制御部は、前記温度測定部が測定した温度に基づく基準温度が前記所定の温度より高い場合、前記基準温度が高くなるに従い、前記第1のLEDに供給する電流の実効値をより低くなるように制御し、かつ、前記第2のLEDに供給する電流の実効値を等しく又はより低くなるように制御し、
前記基準温度に対する当該第1のLEDに供給する電流の実効値の低下率を前記基準温度に対する前記第2のLEDに供給する電流の実効値の低下率より大きくなるよう制御することを特徴とする、バックライト装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記基準温度が前記所定の温度以下の場合における、前記第1のLEDに供給する電流の実効値と、前記第2のLEDに供給する電流の実効値とが等しくなるように制御することを特徴とする、請求項5に記載のバックライト装置。
【請求項7】
前記第1の領域は、前記基板上の中央部に位置し、前記第2の領域は前記基板の周辺部に位置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のバックライト装置。
【請求項8】
凹状の断面を有する反射板をさらに備え、
前記基板は、線状の形状を有し、前記反射板の底部を含む一部の領域に配置されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のバックライト装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のバックライト装置と、液晶パネルとを備える、液晶表示装置。
【請求項10】
基板と、前記基板に配置された複数のLEDと、温度測定部と、制御部とを備える、液晶表示装置に用いられるバックライト装置において、前記LEDへの供給電流を制御するため前記制御部が実行する方法であって、
前記温度制御部が測定した温度を取得するステップと、
前記測定した温度に基づいて、所定の密度以上の密度でLEDが配置された第1の領域の温度と前記所定の密度よりも低い密度でLEDが配置された第2の領域の温度を算出するステップと、
前記第1の領域の温度が所定の温度より高い場合における、前記第1の領域の温度に対する前記第1の領域に配置されたLEDに供給する電流の低下率を、前記第2の領域の温度が所定の温度より高い場合における、前記第2の領域の温度に対する前記第2の領域に配置されたLEDに供給する電流の低下率より大きくなるように制御するステップとを備える、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−151051(P2012−151051A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10247(P2011−10247)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】