説明

バックライト

【課題】 発光面の輝度の均一性を向上させるとともに、光のロスを少なくし、かつ有効発光面が大きいバックライトを提供する。
【解決手段】 透光性の導光板1は、その端面に光を入射させる入光面11、入射された光を反射させる反射面12〜15、入光面16に対して略直角に交わる稜線を有する複数のプリズム部161が表面に形成され、入射された光をプリズム部161から出射させる出光面16とを有する。そして、入光面11に対向して複数のLED3を長手方向に沿って配置し、導光板1に光を入射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション、液晶テレビ、携帯電話等の液晶表示等に使用されるバックライトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のバックライトユニットとして、ホログラムパターンが裏面に形成された導光板のエッジに、光を投射する少なくとも一つの点光源が配置されている。点光源付近には、光をそのまま透過させる光透過領域、鋸の歯状のブレーズパターンが形成されたブレーズ部、三角プリズムパターンが形成されたプリズム部を備えた発明がある。(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−213025公報(第4〜7頁、図10、16)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導光板の側面に光源を配置するエッジライト式のバックライトユニットでは、導光板内に入射した光が導光板内で反射を繰り返すことによって、出光面において輝度ムラが生じにくくなることが知られている。
【0005】
しかし、特許文献1のように、発光ダイオード(以後、LED)を用いたエッジライト式のバックライトユニットでは、LEDが点光源であるがゆえに出光面の輝度ムラが問題となっている。すなわち、LEDの高い発光輝度と指向性により、出光面に明暗ができ、場所によって輝度のムラが発生しやすい。ここで、出光面の輝度ムラには、導光板の入光面から奥に向けて発生する輝度ムラと、入光面方向に発生する輝度ムラとがあり、特に入光面方向の輝度ムラについては、特許文献1の
【0006】
に、LED間の中間領域が暗い領域となる恐れがあるということが記載されている。
【0007】
この問題に対して、特許文献1のバックライトユニットでは、光透過領域、ブレーズ部及びプリズム部を備えた屈折部材を、導光板の入光面と点光源との間に配置することで、出光面の輝度を均一にすることができると記載されている。
【0008】
しかし、点光源からの光を屈折部材に入射させた後、透過領域、ブレーズ部またはプリズム部から出射させ、空気のような媒質中を通過し、導光板入光面に入射させる上記手段は、光の入射、出射の際に光をロスしたり、屈折部材自体は発光面として使用できないためにバックライトユニットの有効発光面が小さくなったりするという問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、発光面の輝度の均一性を向上させるとともに、光のロスを少なくし、かつ有効発光面が大きいバックライトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のバックライトは、端面に位置し、光を入射させる入光面、入射された光を反射させる反射面、前記入光面に対して略直角に交わる稜線を有する複数のプリズム部が形成され、入射された光を前記プリズム部から出射させる出光面とを有する透光性の導光板と、前記入光面の長手方向に沿って複数配置され、前記導光板に光を入射させる点光源と
を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発光面の輝度の均一性が高いとともに、光のロスが少なく、かつ有効発光面が大きいバックライトを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態のバックライトについて図面を参照して説明する。図1は本発明のバックライトの第1の実施の形態について説明するための断面図、図2は導光板と光源について説明するための斜視図である。
【0013】
導光板1は、透光性を有する、例えばアクリルからなり、入光面11、反射面12〜15、出光面16からなる。入光面11は、主として導光板1に光を入射させる面であり、導光板1の端面に位置している。
【0014】
反射面12〜15は、主として導光板1に入光した光を反射する面であり、入光面11と直交する平面が反射面12、入光面11と対向する平面が反射面13、残りの端面がそれぞれ反射面14、15である。反射面12には、光を出光面16から出光させるための手段として、図示していないがドット印刷やブラスト加工や溝加工等の光拡散加工が施されている。これらが施された部分に光が入射すると、光の反射方向が変化するため、出光面16から光を出射させることができる。この光拡散加工は、入光面11側から反射面13の方向に向かうにつれて、光拡散加工の数を増やしたり、大きくしたりすることで、出光面16における入光面11から奥に向かう方向の出光量を調節でき、バックライトの発光の均一さ、すなわち均斉度の高い発光を得られるようにしている。
【0015】
出光面16は、主として導光板1に入射した光を出射させる面であり、その面には、頂角が90度の三角柱状のプリズム部161が複数、連設形成されており、さらにその尾根部分に相当する稜線が入光面11と略直角に交わる関係となっている。ここで、「略直角に交わる」とは、入光面11とプリズム部161の稜線とが90度または90度に対して数度程度の傾斜があっても、許容するということを意味する。これは90度に対して多少の誤差があったとしても、本発明の効果を得ることができるためである。
【0016】
導光板1の入光面11の対向側には、表面に配線パターンが形成された細長い基板2が平行に配置され、基板2上の配線パターンには、例えば、表面実装型の白色発光ダイオードであるLED3が、その長手方向に等間隔で複数配置されている。この基板2及び複数のLED3と導光板1の入光面11との間隔は、LED3からの光が効率よく入光面板11に入射する程度に短く、かつ常に一定の間隔が維持されている。
【0017】
ここで、導光板1の反射面12〜15、出光面16には、バックライトとしての輝度上昇等を図るために、さまざまな光学シートが配設されている。反射面12〜15には、導光板1から外部に出射してしまった光を、再入射させ、光のロスを少なくするための高反射性を有する反射シート4が配設されている。
【0018】
出光面16には、光を拡散させて均一な面発光にするための拡散シート5が配設され、さらにその上には前方方向へ光を集光して輝度を高めるプリズムシート6が、その稜線が入光面11の各プリズム部161の稜線と直交するように配設されている。
【0019】
以上に説明した各構成部品は、図1のように、出光面16側に光取り出し面が形成された筐体7によって包囲されている。
【0020】
図3は、従来と本発明のバックライトの発光面の輝度について説明するための図であり、(a)は出光面が平面形状である従来のバックライト、(b)は図2のように出光面に複数のプリズムが形成された本発明のバックライトである。
【0021】
図3(a)及び(b)のバックライトの実験時の仕様を説明する。(a)は、導光板は出光面の大きさが8インチ、厚さが3.6mmの扁平矩形形状であり、LEDは指向角が120度で白色発光ダイオードを15個使用している。さらに、(b)では、出光面のプリズムが二等辺三角形で、その頂角が90度、隣り合う稜線同士の距離が100μmである。
【0022】
図3(a)では、入光面付近の出光面において、明らかな明暗の部分が発生している。これは、LED3から出射された光があまり広がらず、LED3の前方方向に偏って出光しているということが言える。対して、図3(b)では、入光面付近において、僅かに明暗ができてはいるが、注意しないと発見できない程度である。
【0023】
次に、本発明の作用を説明する。図4は、従来と本発明のバックライトの導光板の作用について説明するための図であり、(a)は出光面が平面形状である従来のバックライト、(b)は図2のように出光面に複数のプリズム部が形成されている本発明のバックライトである。ここで、図4では、説明の便宜上、プリズム部161の直下にLED3を配置し、導光板1の(反射)面12側から光を入射させ、また、LED3側からの導光板1への入射の際は、光は屈折しないで入射すると仮定している。また、図中の一点鎖線X−X’は、面12に対して垂直方向、かつ、LED3を通る線である。
【0024】
図4(a)では、導光板1に入射し、出光面16に至り、出光面16に対して垂直に入射した入射光811は、出射光812のように屈折の影響を受けないで入射光811の延長線上に出射する。また、入光面16に対して入射角が臨界角よりも小さい入射光821は、出射光822のように出光面16から屈折して導光板1の外部に出射し、臨界角よりも大きい入射光831は、反射光832のように全反射をして、導光板1内に戻される。
【0025】
すなわち、LED3からの光を、導光板1を介して、一点鎖線X−X’上の観測点Yから見た場合、出光面16に対してほぼ垂直に入射した出射光812のみを見ることができる。
【0026】
図4(b)では、出光面16に対してほぼ垂直に入射した入射光841は、出光面16のプリズム部161の傾斜によって、臨界角よりも大きい入射角となってしまうために、出光面16から出射しないで反射光842のように導光板1内に全反射する。LED3から広範囲に広がって出射した出射光851は、プリズム部161の面との角度が臨界角よりも小さくなるために、出射光852のように出光面16から出射する。また、入射光862も臨界角よりも小さい角度で入射するため出射面16から出射するが、入射の方向により、出射光862のように出射する。
【0027】
すなわち、LED3からの光を、プリズム部161を有する導光板1を介して、一点鎖線X−X’上の観測点Zから見た場合、出光面16に対して垂直に入射した入射光841を見ることができないため、実際に配置されているLED3の位置に光源は見えない。観測点Zから見えるのは、入射光861の出射光862、および、その光についてLED3と観測点Zとの直線に対して対称の入射光871による出射光872である。したがって、出射光862、872の延長線上、かつLED3から出光面16までの光路長分だけ離れた位置に配置されている擬似LED3’の位置から出射されているように見えるため、光が広がって見える。
【0028】
結果、エッジライト式のバックライトにおいて、点光源と平面の出光面を有する導光板とを組み合わせると、導光板1の入光面11付近の出光面16において、LED3の前方方向に明部が、隣り合うLED3同士の間付近に暗部が出現し、輝度ムラになってしまうが、本発明のように、点光源と稜線が入光面と直角に交わるプリズムが形成された出光面を有する導光板とを組み合わせると、出光面16の輝度が均一化される効果を得ることができる。
【0029】
この実施の形態では、導光板1の表面に、入光面11に対して直角に交わる稜線を有する複数のプリズム部161を形成することにより、通常、点光源であるLED3を光源として使用したことによって入光面11付近の出光面16に発生する輝度ムラを防止することができる。
【0030】
また、出光面16の形状のみを変形させて、入光面11付近の輝度ムラを防止することができたので、出光面16全体をバックライトの発光面として使用可能となるため、有効発光面を大きくとることができる。同時に、光のロスも少なくできるため、効率の良いバックライトを実現することができる。
【0031】
さらに、プリズム部161は、上述の効果のほかに、前方方向の輝度を高める効果も兼ねているため、プリズムシートの枚数を減らすことができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態のバックライトについて説明するための斜視図である。この第2の実施の形態の各部について、第1の実施の形態のバックライトの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0033】
第2の実施の形態では、導光板1は、扁平矩形形状であり、入光面11、反射面12〜15、出光面16を有しており、出光面16上には、複数のプリズム部91を有するプリズムシート9が、その稜線が入光面11に対して直角になるように配設されている。ここで、本実施の形態では、プリズム部91の頂角が90度、隣り合う稜線の距離が50μmのプリズムシート9を使用した。
【0034】
この実施の形態では、出光面16の上に、プリズム部91の稜線が入光面11に対して直角にプリズムシート9を配設することによって、第1の実施の形態のバックライトと同様に入光面11付近の出光面16の輝度ムラを防止することができるとともに、通常、プリズムシートを配設した場合に得られる正面輝度向上の効果も得ることができる。
【0035】
また、第1の実施の形態のバックライトと同様に有効発光面を大きくとることができる。また、光のロスも少ないため、効率の良いバックライトを実現することができる。
【0036】
さらに、第2の実施の形態では、出光面16が平面である扁平矩形形状の導光板1にプリズムシート9を所定の方向で配設するだけで作成できるので、製造が容易である。
【0037】
ここで、第2の実施の形態の効果は、プリズムシート9を導光板1の出光面16上に、最初に配設することによって得ることができる効果である。すなわち、他の光学シートを配設したのち、プリズムシートの稜線が入光面11に対して垂直に配置しても、本発明と同様の作用効果を得ることはできない。
【0038】
なお、実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0039】
導光板1は、入光面11から、反射面13に向かうにつれて導光板の厚さが小さくなるくさび形状であってもいい。また、導光板1の入光面11に対向する面も入光面とし、LED3の光を双方向から入射するバックライト方式としてもよい。その場合、一方の入光面に対向配置された複数のLEDと、他方の入光面に対向配置された複数のLEDとを千鳥状に配置することで、さらに出光面のムラが低減される。
【0040】
プリズム部161(または、91)は、入光面11付近の出光面16のみに形成されていてもよく、この場合も、入光面11付近の輝度ムラを低減することができる。
【0041】
また、プリズム部161(または、91)は、図6(a)、(b)のようにプリズムの山部、谷部の一方、または両方の形状が半円形に形成しても良い。この場合、プリズム部161が三角形状の場合と比較して、LED3の前方方向の光を強化することができる。したがって、出光面16の輝度分布を調節することができる。また、図6(c)、(d)のように、プリズムの山部、谷部または両方の形状が台形の形状のものであっても、図6(a)の場合とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【0042】
さらに、プリズム部161または71の頂角のプリズム角を、例えば、60度〜120度の範囲で変更しても良い。
【0043】
第2の実施の形態においては、プリズムシート9のプリズム部91の頂角を、出光面16側に向けて配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のバックライトの第1の実施の形態について説明するための断面図。
【図2】導光板と光源について説明するための斜視図。
【図3】従来と本発明のバックライトの発光面の輝度について説明するための図
【図4】従来と本発明のバックライトの導光板の作用について説明するための図。
【図5】本発明の第2の実施の形態のバックライトについて説明するための斜視図。
【図6】プリズム部の他の形状について説明するための図。
【符号の説明】
【0045】
1 導光板
11 入光面
12〜15 反射面
16 出光面
161、91 プリズム部
2 基板
3 LED
4 反射シート
5 拡散シート
6、9 プリズムシート
7 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面に位置し、光を入射させる入光面、入射された光を反射させる反射面、前記入光面に対して略直角に交わる稜線を有する複数のプリズム部が形成され、入射された光を前記プリズム部から出射させる出光面とを有する透光性の導光板と、
前記入光面の長手方向に沿って複数配置され、前記導光板に光を入射させる点光源と
を具備したことを特徴とするバックライト。
【請求項2】
端面に位置し、光を入射させる入光面、入射された光を反射させる反射面、入射された光を出射させる出光面とを有する透光性の導光板と、
プリズム部を複数有し、前記プリズム部の稜線が前記入光面に対して略直角になるように、前記出光面上に配設されたプリズムシートと、
前記入光面の長手方向に沿って複数配置され、前記導光板に光を入射させる点光源と
を具備したことを特徴とするバックライト。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−134750(P2006−134750A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323788(P2004−323788)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】