説明

バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための電力交換システム、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換する方法、および、電力交換システムの適用

【課題】バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための電力交換システムを提供する。
【解決手段】電力交換システムは、バッテリを充電するために電力網の交流を直流に変換する整流器と、電力網の電気的パラメータを測定するための電力測定装置と、電力網の電気的パラメータの関数として、バッテリを充電するための、直流を調整するための制御ユニットと、を備える。さらに、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための方法、および、電力交換システムの適用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための電力交換システム、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換する方法、および、電力交換システムの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための電力交換システムとしては、例えば、電気自動車のバッテリ充電装置がある。
【0003】
電気自動車のバッテリ充電装置は、一般的に単相または3相電圧変圧器、バッテリを充電するために交流を直流に変換する整流器、および、バッテリを充電するために直流を制御する電子制御器を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための、高効率で信頼性の高い電力交換システムを提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換する、高効率で信頼性の高い方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により達成されるこれらの目的は請求項で特定される。
【0007】
本発明の背景にある考え方は、充電電流を提供する電力網の電気状態の関数としてバッテリの充電電流を制御するというものである。
【0008】
本発明は、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための電力交換システムを提供する。電力交換システムは、バッテリを充電するために電力網の交流を直流に変換する整流器と、電力網の電気的パラメータを測定するための電力測定装置と、電力網の電気的パラメータの関数として、バッテリを充電するための、直流を調整するための制御部と、を備える。
【0009】
さらに、本発明は、電力交換システムを操作することによって、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための方法を提供する。本方法は、a)電力交換システム、バッテリ、および、電力網を用意するステップと、但し、バッテリおよび電力網は、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換可能なように相互に接続されており、b)電力交換システムの電力測定装置によって、電力網の電気的パラメータを測定するステップと、c)電力交換システムの制御ユニットによって、電力網のパラメータの関数として、バッテリを充電するための直流を調整するステップと、d)バッテリを充電するために電力網の交流を直流に変換するステップと、e)直流によりバッテリを充電するステップと、を備える。
【0010】
さらに、バッテリを充電するための電力交換システムの適用が開示される。あらゆる種類の充電式バッテリが対象となり得る。バッテリは、自動車のバッテリ、フローバッテリ、および、電気化学的バッテリを含む群から選択されることが好ましい。電力交換システムを活用して、これらのバッテリを充電することができる。
【0011】
電力網の電気的パラメータの測定は、バッテリを充電する前に実行できる。但し、測定と充電は同時に行われることが好ましい。測定と充電が同時に行われるとは、測定が充電の最中に行われることを意味する。この利点としては、充電電流が電力網の状態の変化に直ちに適応できるという点がある。これは、調整と変換を行うことにも関連している。従って、好ましい実施形態において、測定、調整、変換、および/または、充電は同時に実行される。
【0012】
電力網の電気的パラメータが少なくとも1種類決定される。電力網の電気的パラメータが2つ以上検出されてもよい。1つまたは複数の電気的パラメータに基づいて、バッテリの充電が行われる。電力網の電気的パラメータは、電力網の電流、電圧、および、周波数を含む群から選択される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、制御ユニットは、電気的パラメータの関数として、バッテリを充電または放電するための所定の(既定の)直流を提供するように構成されている。例えば、電気的パラメータは電力網の電圧である。制御ユニットは、電力網において電圧が降下した場合に、所定の応答を提供する(バッテリ充電のために直流を所定のように調整する)ように構成されている。
【0014】
制御ユニットは、電力網内の局所的な電力網障害を検出できる、および/または、電力網支援を提供できるように構成されていることが好ましい。この障害は修復可能である。代わりに、バッテリの充電調整が達成される。
【0015】
電力交換システムは、単相回路、2相回路、3相回路を含む群から選択される、主電流回路を備える。主電流回路は、電力交換システムの主要部分である。
【0016】
さらに好ましい実施形態においては、電力交換システムは、交流を電力網に供給するために、バッテリの直流を交流に変換するインバータユニットを備える。バッテリから端を発する直流は変換され、電力網に送電されてもよい。ここでは、バッテリの放電が起こる。バッテリは、電力網のための電源の機能を備えている。
【0017】
測定および/または調整は、有線通信によって実行されてもよい。電力網オペレータと制御ユニットとの間で無線通信が実行されることが好ましい。従って、さらに好ましい実施形態においては、電力交換システムを、例えば、電力網オペレータ制御センターなどの遠隔地からモニタリングおよび/または制御することも可能である
【0018】
交換システムは1つのみ備えられていてもよい。交換される電力量について言えば、並列で操作可能であり、上記電力交換システムが複数あることが有利である。従って、本発明のさらなる態様に関して、少なくとも2つの電力交換システムの配置が示されており、電力交換システムは並列に操作されてもよい。
【0019】
自動車バッテリ充電装置および電力インバータの組み合わせは、一般的に、単相または3相の電圧変圧器、および、四象限運転能力を有するパワーエレクトロニクス装置を有しており、該パワーエレクトロニクス装置は自動車バッテリと電力網との間の有効電力の入力/出力および無効電力の入力/出力を含む。自動車バッテリ充電装置および電力インバータの組み合わせは、さらに自動車のバッテリの充電および放電の電子制御部を含む。
【0020】
将来、電力網の全体構成や制御は変わると予想される。巨大な同期発電機を備える中央電力ステーションに基づく発電能のかなりの部分が、風力発電、波力発電、太陽発電、および、バイオマスに基づく小規模な発電ユニットなどの分散型発電ユニットに取って代わられると予想される。電力網での周波数バランスと電圧制御は従来、安定した電力周波数と電圧を担保するために制御システムに適合された巨大な中央発電ユニットによって実行されていた。
【0021】
従来、中央電力ステーションは、石炭、ガス、または石油などの化石燃料に頼ってきた。入手可能な化石燃料源は限られており、発電による化石燃料からのCo排出が地球環境に影響を与えることが深刻な問題となっていることから、将来的にはより地球に優しい発電システムが電力系統システムに組み合わせられるであろう。発電システムにおけるこの変化により、電力網全体のバランスが保たれるような方法を再考することが必要とされると考えられる。
【0022】
いわゆる「スマートグリッド」ソリューションは、多数の分散型再利用エネルギー生成ユニットが巨大な中央ユニットに取って代わった場合に、電力系統上で有効および無効電力のバランスを確保する方法として開発されている。
【0023】
スマートグリッドにおいて、発電ユニットだけでなく電力消費者も電力系統のバランスを維持するよう努めるべきである。さらには、発電量が電力消費を上回った場合にはエネルギーを蓄積し、かつ電力消費が発電量を上回った場合にはエネルギーを放出するために、電気エネルギーの蓄積能力も大変重要である。
【0024】
スマートグリッドにおいて、発電ユニットおよび少なくとも電力消費ユニットの一部が共に、電力系統の安定とバランスを維持するために加えられる必要がある。発電ユニットの最も重要な特徴は、周波数制御、電圧または無効電力制御、および、短い電圧ディップの最中においてさえも電力網への接続が維持されるという機能(系統擾乱時における運転継続性能、fault ride through capability)である。
【0025】
先進のスマートグリッドソリューションにおける、スマート発電ユニットおよび電力消費ユニットの他の大変重要な要素は、エネルギー蓄積ユニットである。ここでは、例えば、20〜50kWhの大容量バッテリを有する電気自動車がとても興味深い。電気自動車は、優れた効率性と排気ゼロ、そして再生可能なエネルギー源の使用可能性などから、ますます高い人気を得ていくと予想される。
【0026】
多くの車は1日に数時間しか使用されず、電気自動車は使用されていないときは、しばしばバッテリ充電装置を介して電力網に接続されている。例えば、日中に所有者の作業場で充電設備へのアクセスがなければ、少なくとも自動車を夜中接続しておくことができる。しかし、多数の自動車バッテリの充電は、電力網での生成/負荷状況に関連して協調されているという点が非常に重要である。
【0027】
特に、1日の終わりにはバッテリをバッテリ充電装置に接続でき、次の朝にはバッテリが一定時間で完全または部分的に(所定のレベルまで)充電されていることが、しばしば唯一必要とされることである。様々な方法を用いて、少なくとも電力網上の一般負荷が低い場合に、充電が行われることが保証される。
【0028】
しかし、先進のスマートグリッドソリューションとして、電力網と電気自動車のバッテリとの間の相互作用を制御するために、さらに高度な制御方法が要求されると予想される。電力網オペレータによるデータ通信およびバッテリ充電制御は、バッテリの充電を自動車の所有者によって選択された時間で行う限りにおいて、電力網のオペレータがバッテリ充電時間を制御することが許される、付加的なものである。
【0029】
自動車のバッテリの充電および放電の電子制御を有する、自動車のバッテリ充電装置および電力網インバータの組み合わせを、電力網オペレータとのデータ通信と制御リンクとを併用して使用することにより、この装置を備える多数の電気自動車が電力網に接続されている場合に、スマートグリッド上で電力網バランスを維持するための新しい機会が数多く提供される。自動車のバッテリ充電装置は、かしこくかつ経済的な方法で電力網バランスをとる際に重要な要素となり得る。かなり多くのこのような先進のバッテリ充電装置および電気自動車により、電力網には大変魅力的なエネルギー蓄積設備が加えられることになるであろう。
【0030】
電力網に対する可逆的なエネルギー蓄積設備として、バッテリ充電装置、および、電気自動車のバッテリを使用することは、様々な論文に既に記載されている。しかし、本発明は、自動車のバッテリ充電システムの電力網の性能全体にとって重要になり得る具体的な特徴に関連している。電力網全体の容量と比較すると、接続されるバッテリ充電容量は潜在的に重要となり得るためである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】電力交換システムの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照しつつ、実施例の記載から説明される。
【0033】
本発明の実施例は、単相または3相電力変圧器、電力網の交流を直流に変換するためのパワーエレクトロニクス装置を備える。電流の流れは可逆的であり、これは、有効電力が電力網から消費されてバッテリに充電がされる場合に、パワーエレクトロニクス装置が整流器として作用可能であることを意味している。代わりに、有効電力がバッテリの放電により放出され、交流に変換されて電力網に与えられた場合に、パワーエレクトロニクス装置はインバータとしても作用可能である。
【0034】
本発明の実施例はまた、自動車のバッテリの充電および放電を制御するための電子制御装置、および、パワーエレクトロニクス装置の電力網側の電流と電圧での位相角を制御するための電子制御装置も備える。位相角制御は、電力潮流の両方向に対して行うことができ、システムのいわゆる四象限運転を可能にする。
【0035】
電力測定装置は、電流、電圧、周波数、および、パワーエレクトロニクス装置と電力網との間の位相角を測定する。公称周波数からの電力網周波数の変化に対する応答として、ユニットは、従来の発電所での周波数ガバナと同様に周波数偏差を防ぐため、実有効電力フローを調整してもよい。
【0036】
所定の目標電圧からの偏差に対する応答として、ユニットは、局所電圧を維持するための電圧制御に寄与するため、実有効電力潮流を調整してもよい。代わりに、ユニットは、所定の力率で、すなわち、所定の無効電力の交換でもって作動する設定にされていてもよい。
【0037】
ユニットがインバータモードで作動している場合、電子制御装置は、電力網電圧における、例えば3秒までの短い電圧ディップの間、作動を維持するように設定されていてもよい。このいわゆる系統擾乱時における運転継続性能は、電力網における故障除去後のシステムバランスを維持するために、より大きな発電システムがしばしば必要としているものである。
【0038】
さらに、データの交換およびユニットの遠隔制御のためのデータ通信リンクが含まれていてもよい。
【実施例】
【0039】
図1を参照すると、本発明の実施例はバッテリ充電システムの形式である電力交換システムを有し、該システムは、ユーティリティ電力網1から電気充電式DCバッテリ7に電力を供給するように作動する、少なくとも1つのパワーエレクトロニクスユニットまたは電力変換ユニット5を有する。本発明の好ましい実施形態においては、パワーエレクトロニクスユニットまたは電力変換ユニット5は、電流を反対の流れで電気バッテリ7からユーティリティ電力網1に電力を供給するように作動可能である。電力変換ユニット5は、AC−AC電圧変換のための電力変圧器3を用いて電力網1と接続されてもよい。
【0040】
電力測定装置11は、電力変換器と電力網との間で交換される電流および電力を測定するために、可逆的な電力変換器5と電力網1との間に接続されている。電力測定装置11はまた、電圧、周波数、および電流および電圧間の位相角を測定する。電力測定装置の出力20は、電力変換器5と電力網1との間の有効および無効電力潮流を調整するために配置されている電力網応答制御部21に接続されている。本発明の一実施例において、電力網応答制御部21は、可逆的なバッテリ充電装置のための内部制御部の組み込み部分であり、例えば内部ユニット制御部などである。制御部の他の実施形態において、該制御部は、電力網応答制御部とバッテリ充電ユニットとの間の通信手段を用いた外部電力網応答制御部である。バッテリ充電ユニットは、電力測定装置の出力20の関数として、有効および無効の電流、および、電力を、電力網1に供給するように構成されている。これにより、バッテリ充電ユニットは、不安定な状態である電力網の周波数および電圧を安定させることに寄与する。
【0041】
本発明の実施形態において、可逆的な電力変換器5と電気バッテリ7との間のバッテリ7の電圧および電流を測定するために、バッテリ測定装置14は、可逆的な電力変換器5と電気バッテリ7との間に接続されている。バッテリ測定装置の出力25は、バッテリ7の充電および放電電流を制御するために配置されている、バッテリ充電/放電制御部26に接続されている。
【0042】
バッテリ充電/放電制御部26は、バッテリ7の充電および放電がバッテリ7の電圧の関数として制限されることを保証して、過電圧および低電圧からバッテリ7を保護する。
【0043】
電力変換器制御部23は、パワーエレクトロニクスユニット5に有効および無効電流、または、電力の基準設定値12を送ることによって、パワーエレクトロニクスユニット5の有効および無効電流フローおよび電流の向きを制御する。
【0044】
本発明の実施形態では、バッテリ充電/放電制御部26の出力24は、電力変換器制御部23に接続されている。バッテリ充電/放電制御部26は、バッテリ測定装置14を介して、充電モードおよび/または放電モードにおけるバッテリ7の状態をモニタリングする。バッテリ7の充電/放電制御部26の目的は、バッテリ7の状態に依存して、変換器制御部23に充電および/または放電の制限、すなわち、基準設定値低減を提供することである。この制御の特徴は、バッテリ7の過充電および/または一定のレベルを下回る放電から、バッテリ7を保護することである。
【0045】
本発明の実施形態では、電力測定装置11に接続されている電力網応答制御部21は、電力測定装置11を介して電力網パラメータをモニタリングするように、特には電力網1の電圧および周波数のプリセット値もしくは公称値からの偏差に反応するように設定されている。
【0046】
公称周波数またはプリセット周波数からの電力網1の周波数変化に対する応答として、従来の発電所での周波数ガバナと同様に周波数偏差を防ぐのに寄与するために、電力網応答制御部21は、例えば、デルタ電力基準(基準電力との偏差)を、出力22を介して電力変換器制御部23に送信することによって、実有効電力フローを調整してもよい。
【0047】
電力網1の電圧について所定の目標電圧からの偏差に対する応答として、電力網1の電圧を維持する電圧制御に寄与するために、電力網応答制御部21は、例えば、デルタ電圧、無効電流、または、基準電力(基準電圧、基準無効電流、基準電力からの偏差)を、出力22を介して電力変換器制御部23に送信することによって、実無効電力を調整してもよい。
【0048】
代替として、電力網応答制御部21は、例えば、デルタ電圧または無効電流または電力基準(基準電圧、基準無効電流、基準電力からの偏差)を、出力22を介して電力変換器制御部23に送信することによって、特定の力率または特定の無効電力の交換を制御するよう設定されていてもよい。
【0049】
バッテリ充電ユニットがインバータモードで作動している場合、ユニットは、発電ユニットとして電力網に作用する。インバータモードにおいて、電力網応答制御部21は、電力網1における例えば3秒までの短い電圧ディップの間、作動を維持するように設定されていてもよい。このモードでは、電力網応答制御部21は、有効および/または無効電流、または、電力の基準設定値を、出力22を介して電力変換器制御部23へ送信してもよい。電力網応答制御部21は、電圧ディップの間の有効および/または無効電流、または、電力の基準設定値を、電力測定装置11によって連続して測定された電力網1の電圧の関数として、計算する。所定の閾値レベルを下回る電力網1の電圧ディップに対する計算には、電力網1の電圧と有効および/または無効電流との間の関係、または、パワーエレクトロニクスユニット5と電力網1との間の電力フローの関係を示す所定のルックアップテーブルを用いる。このいわゆる系統擾乱時における運転継続性能は、電力網における故障除去後のシステムバランスを維持するために、より大きな発電システムがしばしば必要とするものである。
【0050】
本発明の実施形態では、遠隔モニタリングおよびバッテリ7の充電ユニットの制御のためのデータ通信リンク30は、電力変換器制御部23に接続されている。バッテリ充電ユニットと例えば電力網オペレータなどの遠隔制御センター31との間の通信のために、データ通信リンクは、電話、インターネット、または他のタイプの通信システムを用いてもよい。データ通信リンク30は、遠隔制御センター31で利用可能なバッテリ7の充電ユニットに関する一定の情報を生成してもよい。バッテリ7の充電ユニットから遠隔制御センター31へのデータ情報の例は、次の通りである。
−最大充電電力[kW]
−最大放電電力[kW]
−最大充電容量[kWh]
−実充電レベル[0〜100%]
−充電が完了した日付と時刻[time and date]
−どの充電レベルで充電が完了したか?[0〜100%]
−周波数応答設定(デッドバンド、ドループ、など)
−電圧/無効電力制御設定(目標値、デッドバンド、ドループ、など)
【0051】
データ通信リンク30はまた、遠隔制御センター31による遠隔制御を支援する。遠隔制御センター31からバッテリ7の充電ユニットへの制御コマンドの例は、次の通りである。
−遠隔制御の可能/不可能
−充電電力基準[kW]
−放電電力基準[kW]
−周波数応答設定(デッドバンド、ドループ、など)
−電圧/無効電力制御設定(目標値、デッドバンド、ドループ、など)
【0052】
データ通信リンク30により得られる、遠隔制御センター31、例えば、電力網オペレータのデータ情報に基づいて、主に特定の日付および時刻である充電を完了させるという一定の制限のもとで、遠隔制御センター31は、バランスを保っている電力網1に関わるために、バッテリ7の充電ユニットを利用することができる。
【0053】
遠隔制御センター31による遠隔モニタリングおよび制御のためのデータ通信リンク30は、手動または自動モニタリングで使用されてもよく、遠隔モニタリングおよびバッテリ31によって制御されてもよい。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、遠隔制御センター31、例えば、電力網オペレータは、適切な電力網1の応答設定を有効に確保するために、バッテリ7の充電ユニットの周波数応答設定および/または電圧/無効電力制御設定をモニタリングおよび変更できる。
【0055】
本発明の実施形態では、電力変換器制御部23は、パワーエレクトロニクスユニット5、バッテリ7の充電/放電制御部26、電力網応答制御部21、および、データ通信リンク30に接続されている。電力変換器制御部23は、有効および無効電流またはパワーエレクトロニクスユニット5への電力基準設定値を計算する。バッテリ7の充電/放電制御部26、電力網応答制御部21、および、データ通信リンク30からの入力は、本発明の好ましい実施形態において、電力変換器制御部23による優先順位に従って処理されてもよい。この処理は、電力網応答制御部21に要求されたように電力網1の攪乱応答を提供し、バッテリ充電/放電制御部26に要求されたようにバッテリ7の保護を提供し、遠隔制御センター31に要求されたようにバッテリ7の充電/放電を制御するために、行われる。優先順位は様々な方法で設定されるが、典型的な順位は次の通りである。
1.電力網1の撹乱応答を規定
2.バッテリ7の保護
3.オペレータから要求されたバッテリ7の充電/放電を実行
【符号の説明】
【0056】
1 電力網
3 電力変圧器
5 パワーエレクトロニクスユニット
7 バッテリ
11 電力測定装置
14 バッテリ測定装置
21 電力網応答制御部
23 電力変換器制御部
26 バッテリ充電/放電制御部
30 データ通信リンク
31 遠隔制御センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換するための電力交換システムにおいて、
前記バッテリを充電するために前記電力網の交流を直流に変換する整流器と、
前記電力網の電気的パラメータを測定するための電力測定装置と、
前記電力網の前記電気的パラメータの関数として、バッテリを充電するための、直流を調整するための制御ユニットと、
を備えることを特徴とする、電力交換システム。
【請求項2】
前記電力網のパラメータは、電力網の電流、電圧、および、周波数を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の電力交換システム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記電気的パラメータの関数として、前記バッテリを充電または放電するための所定の直流を提供するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の電力交換システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力網内の局所的な電力網障害を検出できるおよび/または電力網支援を提供できるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載の電力交換システム。
【請求項5】
前記電力交換システムは、単相回路、2相回路、3相回路から成る群から選択される主電流回路を備えることを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項記載の電力交換システム。
【請求項6】
前記電力交換システムは、交流を前記電力網に供給するために、前記バッテリの直流を交流に変換するインバータユニットを備えることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項記載の電力交換システム。
【請求項7】
前記電力測定装置および/または前記制御ユニットは、前記電力網および/または前記バッテリから物理的に分離されていることを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項記載の電力交換システム。
【請求項8】
前記電力交換システムは、遠隔地からモニタリングおよび/または制御されることを特徴とする、請求項1〜7いずれか1項記載の電力交換システム。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項記載の少なくとも2つの電力交換システムの配置であって、前記電力交換システムは並列に操作されることを特徴とする、配置。
【請求項10】
請求項1〜8いずれか1項記載の電力交換システムを操作することによって、バッテリと電力網との間で電気エネルギーを交換する方法において、
a)前記電力交換システム、前記バッテリ、および、電力網を用意するステップと、但し、前記バッテリおよび前記電力網は、前記バッテリと前記電力網との間で電気エネルギーを交換可能なように相互に接続されており、
b)前記電力交換システムの前記電力測定装置によって、前記電力網の電気的パラメータを測定するステップと、
c)前記電力交換システムの制御ユニットによって、前記電力網のパラメータの関数として、前記バッテリを充電するための直流を調整するステップと、
d)前記バッテリを充電するために前記電力網の交流を直流に変換するステップと、
e)前記直流により前記バッテリを充電するステップと、
を備えることを特徴とする、電気エネルギーを交換する方法。
【請求項11】
前記測定、前記調整、前記変換、および/または、前記充電は、同時に実行されることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
バッテリを充電するための電力交換システムの適用。
【請求項13】
前記バッテリは、自動車のバッテリ、フローバッテリ、および、電気化学的バッテリを含む群から選択されることを特徴とする、請求項12記載の電力交換システムの適用。

【図1】
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【公開番号】特開2011−239670(P2011−239670A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103858(P2011−103858)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】