説明

バッテリー投光機

【課題】本発明は、照明用バッテリーの残容量に関係なく、照明用バッテリーの残容量を表示することができ、かつ、照明用バッテリーの消耗を抑制することができるバッテリー投光機を提供する。
【解決手段】LEDの照明灯4と、この照明灯4の点灯を制御する照明制御部11と、照明灯4に電力を供給する照明用バッテリー12と、照明用バッテリー12の残容量を検出して表示する残容量表示装置13と、残容量表示装置13に電力を供給する表示用バッテリー14と、表示用バッテリー14にのみ電力を供給する太陽光発電装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー投光機に係り、特に、照明用バッテリーの残容量を表示する残容量表示装置を有するバッテリー投光機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバッテリー投光機の一例が、下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1に開示のバッテリー投光機は、照明灯へ電力を供給する照明用バッテリー(蓄電池)と、この照明用バッテリーに電力を供給する太陽光発電装置とを備えている。そして、このバッテリー投光機は、蓄電池によって照明灯を点灯するため、停電等で商業用電源が使用できない場合でも使用することができ、また、発電機による騒音を発生させることなく使用することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−351486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリー投光機を照明に使用した夜間作業中に、照明用バッテリーの残容量が不足して照明灯が消灯してしまう事態の発生を回避するため、照明用バッテリーの残容量を監視する必要がある。そのため、バッテリー投光機には、照明用バッテリーの残容量を検知して表示する残容量表示装置が設けられている。
【0005】
しかしながら、従来のバッテリー投光機では、この残容量表示装置も照明用バッテリーを電源として作動していた。このため、照明用バッテリーが長期間放置されて自然放電したり、照明用バッテリーが劣化したりして、照明用バッテリーの残容量が不足すると、残容量表示装置も作動できなくなるという問題があった。
【0006】
また、残容量表示装置も電力を消費する。このため、特に、残容量表示装置を常に稼働させるようにした場合、照明灯の点灯の有無に関係なく、照明用バッテリーに蓄電された電力を消費し続けることになる。その結果、残容量表示装置による電力消費が照明用バッテリーを消耗させて過放電を招き、照明用バッテリーの劣化原因となることもあった。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、照明用バッテリーの残容量に関係なく、照明用バッテリーの残容量を表示することができ、かつ、照明用バッテリーの消耗を抑制することができるバッテリー投光機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、照明灯と、前記照明灯の点灯を制御する照明制御部と、前記照明灯に電力を供給する照明用バッテリーと、前記照明用バッテリーの残容量を表示する残容量表示装置と、前記残容量表示装置に電力を供給する表示用バッテリーと、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明によれば、照明用バッテリーとは別個に、残容量表示装置に電力を供給する表示用バッテリーを備える。このため、照明用バッテリーが消耗した場合であっても、残容量表示装置を作動させることができ、照明用バッテリーの残容量を監視することができる。また、残容量表示装置は、照明用バッテリーの電力を消費しないため、照明用バッテリーの消耗を抑制することができる。
したがって、本発明によれば、照明用バッテリーの残容量に関係なく、照明用バッテリーの残容量を表示することができ、かつ、照明用バッテリーの消耗を抑制することができるバッテリー投光機を提供することができる。
【0010】
なお、残容量表示装置による消費電力は、照明灯による消費電力よりも小さい。このため、表示用バッテリーの容量は、照明用バッテリーの容量よりも小さくすることができる。
【0011】
また、本発明において好ましくは、前記表示用バッテリーに電力を供給する太陽光発電装置を更に備えることを特徴としている。
【0012】
このように構成された本発明によれば、商業用電源を利用することができない場合であっても、発電機を使用することなく、太陽光発電装置によって、表示用バッテリーを充電することができる。
なお、残容量表示装置による消費電力は、照明灯による消費電力よりも小さい。このため、本発明における表示用バッテリーに電力を供給する太陽光発電装置は、上記特許文献1に記載の従来技術のような照明用バッテリーに電力を供給する太陽光発電装置に比べて、小型のものとすることができる。
【0013】
また、この太陽光発電装置は、残容量表示装置を作動させる表示用バッテリーに電力を供給するものであって、照明用バッテリーに電力を供給する必要がない。このため、照明灯の点灯時間の延長、又は照明灯の照度の向上のために、照明用バッテリーの容量を増加させた場合であっても、太陽光発電装置を大型化する必要はない。このため、太陽光発電装置の大型化によるバッテリー投光機全体の大型化を回避することができる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記照明制御部は、前記太陽光発電装置の出力電圧を検出し、前記太陽光発電装置の出力電圧が所定の閾値以上のときに前記照明灯を消灯させ、前記出力電圧が前記閾値未満のときに前記照明灯を点灯させることを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明によれば、太陽光発電装置を、表示用バッテリーに電力を供給する太陽光発電装置としてだけではなく、照度センサーとしても利用する。このため、周囲の照度を検知するために、更なる照度センサーを設ける必要がない。そして、周囲が暗くなると、照明灯が自動的に点灯し、また、周囲が明るくなると、照明灯が自動的に消灯する。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記照明制御部は、前記照明灯が点灯中であり、かつ、前記照明用バッテリーの残容量が所定の閾値以下のときに、前記照明灯の明るさを周期的に変化させることを特徴としている。
【0017】
本発明では、照明用バッテリーが消耗してきた場合であっても、表示用バッテリーによって残容量表示装置を安定して作動させることができる。そして、照明用バッテリーの消耗を検知した場合に、照明灯の明るさを周期的に変化させることによって、使用者に照明用バッテリーの消耗を報知することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバッテリー投光機によれば、照明用バッテリーの残容量に関係なく、照明用バッテリーの残容量を表示することができ、かつ、照明用バッテリーの消耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態によるバッテリー投光機の全体図である。
【図2】本発明の実施形態によるバッテリー投光機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1(A)は、第1実施形態よるバッテリー投光機の側面図であり、図1(B)は、その背面図である。図2は、第1実施形態によるバッテリー投光機のブロック回路図である。なお、図1(A)では、マストを伸ばした状態を示し、図1(B)では、マストを縮めた状態を示す。
【0021】
図1に示す移動式のバッテリー投光機100は、本体1が台車2に搭載され、台車2から直立したマスト3の頂部に一対の照明灯4が取り付けられた構造を有している。また、この本体1上には、太陽光発電装置5が設けられている。照明灯4は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)で構成されている。また、太陽光発電装置5は、ソーラーパネルで構成されている。
【0022】
また、図2に示すように、本体1には、照明灯4の点灯を制御する照明制御部11と、照明灯4に電力を供給する照明用バッテリー12と、この照明用バッテリー12の残容量を検出して表示する残容量表示装置13と、この残容量表示装置13に電力を供給する表示用バッテリー14とが設けられている。太陽光発電装置5は、表示用バッテリー14に電力を供給し、照明用バッテリー12には電力を供給しない。
【0023】
照明用バッテリー12は、充電器15を介して、プラグ6により商業用電源に接続可能である。また、照明用バッテリー12は、照明制御部11を介して、照明灯4に接続されている。照明制御部11は、照明用バッテリー12の電圧を検出するバッテリー電圧検知回路111と、照明灯の点灯消灯を制御するマイクロコンピュータを含む照明用電源回路112と、照明灯への出力電流電圧検知回路113とから構成されている。
【0024】
また、表示用バッテリー14は、充電回路(定電圧回路)17を介して太陽光発電装置5に接続され、また、充電器16を介して、プラグ6により商業用電源にも接続可能である。また、表示用バッテリー14は、残容量表示装置13に接続されている。残容量表示装置13は、照明用バッテリー12の電圧を検知するバッテリー電圧検知回路131と、検知電圧に基づいて照明用バッテリー12の残容量を表示するマイクロコンピュータを含むバッテリー容量表示基板132とから構成されている。
【0025】
表示用バッテリー14は、残容量表示装置13の電源としてのみ使用する。また、残容量表示装置13の消費電力は、照明灯4の消費電力よりも遥かに小さいため、表示用バッテリー14の容量は、照明用バッテリー12の容量よりも小さくてよい。このため、表示用バッテリー14は、照明用バッテリー12よりも小型のものでよい。
【0026】
また、太陽光発電装置5は、表示用バッテリー14専用である。このため、太陽光発電装置5では、例えば、10W程度の小電力を発電すればよい。そのような小電力は、例えば、40cm×40cm程度の面積(重量約0.5kg)のソーラーパネル1枚でまかなうことができる。このため、太陽光発電装置5を設けたことによるバッテリー投光機100の大型化を回避することができる。これに対し、もし照明灯4を太陽光発電装置5で発電した電力で点灯させたならば、例えば、30枚のソーラーパネルが必要になると考えられる。その結果、大面積のソーラーパネルが必要となるため、装置の大型化及び重量化は避けられないと考えられる。
【0027】
さらに、バッテリー容量表示基板132は、スイッチ21及び定電圧回路22を介して、照明用バッテリー12にも接続可能である。スイッチ21を導通状態とすることにより、照明用バッテリー12から残容量表示装置13に電力が供給される。なお、照明用バッテリー12から表示用バッテリー14への電流を防止するため、照明用バッテリー14と残容量表示装置13との間に、整流器23を介在させている。
【0028】
バッテリー投光機100を作業現場で夜間に使用するにあたっては、例えば、バッテリー投光機100を作業現場へ搬入する前に、商業用電源からプラグ6を介して、照明用バッテリー12及び表示用バッテリー14を充電することが望ましい。作業現場では、夜間にバッテリー投光機100の照明灯4を点灯中、照明制御部11は、照明灯4を制御するだけでなく、バッテリー電圧検知回路111の検知電圧を、照明用バッテリー12の残容量表示装置13へ送る。残容量表示装置13は、この検知電圧に基づいて、照明用バッテリー12の残容量を表示する。
【0029】
作業現場では、昼間に、太陽光発電装置5によって表示用バッテリー14が充電される。このため、残容量表示装置13を常時作動させることが可能となる。また、残容量表示装置13は、表示用バッテリー14から供給される電力によって作動するため、残容量表示装置13を常時連続作動させても照明用バッテリー12の消耗に影響しない。
【0030】
なお、昼間、照明灯4消灯のため照明制御部11も作動していないときには、残容量表示装置13は、バッテリー電圧検知回路131が検知した照明用バッテリー12の端子電圧に基づいて、照明用バッテリー12の残容量を表示する。
【0031】
また、太陽光発電装置5の出力電圧は、周囲の照度に依存する。このため、太陽光発電装置5の無負荷時の出力電圧を検知することによって、照度を検出することができる。即ち、太陽光発電装置5は、照度センサーとしても利用することができる。そこで、照明制御部11は、太陽光発電装置5の無負荷時の出力電圧を検出し、太陽光発電装置5の出力電圧が所定の閾値以上のときに照明灯4を消灯させ、出力電圧が閾値未満のときに照明灯4を点灯させる。具体的には、太陽光発電装置5が12V用のソーラーパネルの場合、例えば、無負荷時の出力電圧が15V以上のときに消灯し、無負荷時の出力電圧が15V未満のときに点灯するようにするとよい。また、太陽光発電装置5の出力電圧の検出は、例えば、30分間隔で行うとよい。
なお、無負荷時の出力電圧の検出にあたっては、図2に図示しないスイッチによって太陽光発電装置5と充電回路(定電圧回路)17との間を不導通とした状態で、照明用電源回路(マイコン)112によって太陽光発電装置5の出力電圧を測定するとよい。
【0032】
また、残容量表示装置13は、照明用バッテリー12の残容量に関係なく、表示用バッテリー14から供給される電力によって作動する。このため、残容量表示装置13は、照明用バッテリー12の残容量が不足した場合にも作動することができる。そこで、照明灯4の点灯中に、照明用バッテリー12の残容量が所定の閾値以下のときに、照明灯の明るさを周期的に変化させる。例えば、照明用バッテリー12の定格が36Vであるときに、閾値電圧を例えば30Vとし、出力電圧がこれ以下の場合に、照明灯4を明暗点灯させるようにするとよい。なお、照明灯4の明暗点灯には、点滅も含まれる。
【0033】
また、使用者が照明灯4の明暗点灯に気づいた後は、明暗点灯動作を停止させることが望ましい。ここでは、残容量表示装置13に設けた回転式の照度調整ボリューム(図示せず)を素早く左右に回転させるように操作することよって、明暗点灯動作を停止させる。このように照度調整ボリュームの操作によって明暗点灯動作を停止させることができるので、明暗点灯動作停止用のスイッチを更に設ける必要はない。
【0034】
上述の実施形態においては、本発明を特定の条件で構成した例について説明したが、本発明は種々の変更及び組み合わせを行うことができ、これに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、照明灯をLEDで構成した例について説明したが、本発明では、照明灯はLEDに限られず、例えば、水銀灯で構成してもよい。
また、本発明では、バッテリー投光機に太陽光発電装置を設けた例について説明したが、本発明では、太陽光発電装置を設けない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0035】
100:バッテリー投光機
1:本体
2:台車
3:マスト
4:照明灯
11:照明制御部
12:照明用バッテリー
13:残容量表示装置
14:表示用バッテリー
15、16:充電器
17:充電回路(定電圧回路)
21:スイッチ
22:定電圧回路
23:整流器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明灯と、
前記照明灯の点灯を制御する照明制御部と、
前記照明灯に電力を供給する照明用バッテリーと、
前記照明用バッテリーの残容量を表示する残容量表示装置と、
前記残容量表示装置に電力を供給する表示用バッテリーと、
を備えることを特徴とするバッテリー投光機。
【請求項2】
前記表示用バッテリーに電力を供給する太陽光発電装置を更に備える
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリー投光機。
【請求項3】
前記照明制御部は、前記太陽光発電装置の出力電圧を検出し、前記太陽光発電装置の出力電圧が所定の閾値以上のときに前記照明灯を消灯させ、前記出力電圧が前記閾値未満のときに前記照明灯を点灯させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載のバッテリー投光機。
【請求項4】
前記照明制御部は、前記照明灯が点灯中であり、かつ、前記照明用バッテリーの残容量が所定の閾値以下のときに、前記照明灯の明るさを周期的に変化させる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のバッテリー投光機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−113988(P2012−113988A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262494(P2010−262494)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(509264132)株式会社やまびこ (65)
【Fターム(参考)】