説明

バッファー層用重合体とそれを用いて作製した有機薄膜太陽電池

【課題】優れた耐久性を提供することのできるバッファー層用重合体とそれを用いた優れた耐久性を有する有機薄膜太陽電池を提供すること。
【解決手段】一般式(1)で表されるイソインドールポリマーを含有することを特徴とするバッファー層用重合体とそれをバッファー層に用いた有機薄膜太陽電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性を提供することのできるバッファー層用重合体とそれを用いた耐久性に優れる有機薄膜太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜太陽電池は、フレキシブル基板上に製膜が可能であり、材料の選択によっては半透明とすることも可能であり、曲面に設置でき、製作に際して素子形状の自由度が高く、比較的軽量である等の特徴を有する。携帯用電子機器の電源や、系統電力以外の分散電源、建材や装飾物と一体化して家屋の内装に用いる等、その特色を生かした用途から市場が開けることが予測されている。変換効率が10%程度となれば、系統電力用途への適用も考えられる。
【0003】
有機薄膜太陽電池は、少なくとも、透明電極、異なる種類の有機半導体材料の接合による電荷分離層、透明であってもよい対向電極とから成る。
【0004】
有機半導体材料としては、例えば、電子供与性のπ共役化合物であるp型半導体としてポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ(2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチロキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MDMO−PPV)等が、電子受容性のπ共役化合物であるn型半導体としてフラーレン、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)等が用いられる。これら2種の材料は混合して塗布された後、熱処理され、互いに相分離された状態で広い面積に渡ってp/n接合を形成する、バルクへテロ接合構造を活性層中に形成する。p又はn型半導体のどちらか一方を粒径が数nm〜数10nm以下の無機半導体微粒子又はナノワイヤとすることもできる。n型無機半導体微粒子としては、例えば、金属酸化物であるTiO、SnO、ITO等がある。ナノワイヤとしては、例えばエッチング等の手段により形成したSi、TiO、Al、ZnO等がある。
【0005】
透明電極としては、例えばITO、フッ素ドープSnO等が用いられるが、透明性や導電率の点から、ITOやフッ素ドープSnOが好適である。これらの透明電極は、各種のガラス基板や、ポリエチレンテレフタレート等の透明樹脂基板上に製膜して用いることができる。
【0006】
対向電極としては、例えばAl、Au、Ag等の金属の蒸着あるいはスパッタ膜、SUS基板等を用いることができる。
【0007】
透明電極から入射した光は活性層に吸収され、励起子を生じる。励起子は、活性層中の異種材料の接合により生じる内蔵電界により分離し、ホール及び電子として活性層中を移動、電極界面に到達し、電極から外部の負荷に取り出されることにより仕事を行う。
【0008】
逆方向へのホール移動を阻止するために、活性層と対向電極との間にホールブロッキング層を設けることもあり、これにはアモルファス酸化チタン薄膜や、LiF薄膜等が用いられる。
【0009】
活性層から電極への電荷取り出しの促進、あるいは、逆方向への電子移動の阻止を目的として、透明電極と活性層との間に導電性高分子から成るバッファー層を設けることがある。
【0010】
特に透明電極としてITOを採用する場合、ITO表面の仕事関数が洗浄等の状態に依存して一定とならないことから、電極に対する意図しない電荷注入障壁が生じ、抵抗成分の増大を招く欠点がある。
【0011】
また、活性層膜厚が薄いことから、ITO表面に直接活性層を製膜すると、ITO表面の凹凸により短絡の頻度が高まる問題がある。
【0012】
活性層膜厚は、キャリアの拡散長を大幅に越えて厚くすることはできないため、バルクへテロ接合を形成した場合であっても、一般に100nm以下程度となる。初期的に短絡を生じさせずにITO上に直接活性層を製膜可能であった場合であっても、長期的には、ITOからの酸素及びインジウム原子の脱離が生じ、それらが活性層に拡散することによって電気的なトラップとなり、太陽電池の特性劣化の一因となる可能性がある。そのような理由から、ITO表面に平滑、かつ、適切な仕事関数を有するバッファー層を設ける必要がある。
【0013】
特許文献1、非特許文献1〜6には、バッファー層としてPEDOT:PSS(3,4−エチレンオキシチオフェン:ポリ4−スチレンスルホネート)が主に用いられている。
しかしながら、PEDOT:PSSは電気特性に優れるが、十分な耐久性が得られない欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−146981号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】M.P.de Jong,et al.,Appl.Phys.Lett.77,2255−2257,(2000)
【非特許文献2】G.Greczynski,et al.,J.Elec.Spectr.&Rel.Phenom.,121,1−17,(2001)
【非特許文献3】A.W.Denier van der Gon et al.,Organic Electronics,3,111−118,(2002)
【非特許文献4】K.Kawano et al.,Solar Energy Materials&Solar Cells,90,3520−3530,(2006)
【非特許文献5】Habiba Bejbouji,et al,Solar Energy Materials & Solar Cells,94,176-181,(2010)
【非特許文献6】S.A.Cartar,et al.,Appl.Phys.Lett.,70,2067−2069,(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、優れた耐久性を提供することのできるバッファー層用重合体とそれを用いた耐久性に優れる有機薄膜太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記の課題に鑑みてなされたものであり、有機薄膜太陽電池のバッファー層に、一般式(1)で表されるイソインドールポリマーを含有することを特徴とするバッファー層用重合体を用いることで、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は以下に示すものである。
【0019】
第一の発明は、下記一般式(1)で表されるイソインドールポリマーを含有することを特徴とするバッファー層用重合体である。
【0020】
【化1】

(一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、エーテル基、チオエーテル基を表す。)
【0021】
第二の発明は、下記一般式(1)で表されるイソインドールポリマーと下記一般式(2)で表される複素環化合物ポリマーとの共重合体を含有することを特徴とするバッファー層用重合体である。
【0022】
【化2】

(一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、エーテル基、チオエーテル基を表す。)
【0023】
【化3】

(一般式(2)中、R又はRは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、RとRは連結し、アルキレン基を形成しても良く、−O−CH−CH−O−となっても良い。Xは、S、O、N−Rから選ばれる一種であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0024】
第三の発明は、ドーパントをドープさせることを特徴とする第一又は第二の発明に記載のバッファー層用重合体である。
【0025】
第四の発明は、ドーパントが、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機カルボン酸イオン、アミド酸イオンからなるアニオン群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする第三の発明に記載のバッファー層用重合体である。
【0026】
第五の発明は、透明電極上にバッファー層と、バッファー層上に活性層とを有する有機薄膜太陽電池において、
バッファー層が、第一から第四の発明のいずれかに記載のバッファー層用重合体からなることを特徴とする有機薄膜太陽電池である。
【発明の効果】
【0027】
有機薄膜電池のバッファー層として一般式(1)で表されるイソインドールポリマーを含有するバッファー層用重合体を用いることで、優れた耐久性を有する有機薄膜太陽電池を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
始めに、バッファー層用重合体について説明する。
【0029】
本発明のバッファー層用重合体は、イソインドールポリマーを含有することを特徴とする。前記イソインドールポリマーは、下記一般式(1)で表すことができる。
【0030】
【化4】

【0031】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、エーテル基、チオエーテル基を表す。
【0032】
また、前記一般式(1)で表されるイソインドールポリマーと下記一般式(2)で表される複素環化合物ポリマーとの共重合体であっても良い。
【0033】
【化5】

【0034】
上記一般式(2)中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、RとRは連結し、アルキレン基を形成しても良く、−O−CH−CH−O−となっても良い。Xは、S、O、N−Rから選ばれる一種であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基を表す。
【0035】
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へプチル基、オクチル基等が挙げられる。
【0036】
炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、具体的にはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0037】
炭素数6〜20のアリール基をしては、具体的には、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
【0038】
炭素数1〜10のフッ化アルキル基としては、例えば、前記アルキル基の水素原子をフッ素原子により置換したものがあるが、具体的には、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロエチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、6,6,6−トリフルオロへキシル基、8,8,8−トリフルオロオクチル基等が挙げられる。
【0039】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0040】
一般式(1)で表されるイソインドールポリマーとして、具体的には、下記化合物(A)〜(H)が挙げられ、一般式(2)で表される複素環化合物ポリマーとして、具体的には、下記化合物(I)〜(T)が挙げられる。
【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
上記イソインドールポリマーの中、特にイソインドールポリマー(化合物(A))が好ましく挙げられる。
上記複素環化合物ポリマーの中、特に3−ヘキシルピロールポリマ−(化合物(K))、3−ヘキシルチオフェンポリマー(化合物(O))、2,3−エチレンジオキシチオフェンポリマー(化合物(P))が好ましく挙げられる。
【0044】
本発明のバッファー層用重合体は、ポリマーにドーパントをドープさせてもよい。
【0045】
ドーパントとなる化合物としては、例えば、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンイオン類、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素、ヘキサフロロアンチモン、テトラフロロホウ素、過塩素酸等のハロゲン化物イオン類、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル置換有機スルホン酸イオン類、カンファースルホン酸イオン等の環状スルホン酸イオン類、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のベンゼンモノスルホン酸イオン類、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のベンゼンジスルホン酸イオン類、2−ナフタレンスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸基を1〜4個置換したナフタレンスルホン酸のアルキル置換イオン類もしくは無置換イオン類、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸イオン、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のビフェニルスルホン酸イオン類、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸イオン等の置換または無置換の芳香族スルホン酸イオン類、ビスサルチレートホウ素、ビスカテコレートホウ素等のホウ素化合物イオン類、モリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸イオン類が挙げられる。
ドーパントは一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0046】
本発明のバッファー層用重合体の製造方法について説明する。
【0047】
バッファー層用重合体は、まず、下記一般式(3)で表されるビシクロ置換ピロール化合物を合成する。ビシクロ置換ピロール化合物は、特開2007−262187号公報等に記載の公知の方法で合成することができる。
【0048】
【化8】

【0049】
上記一般式(3)中、R〜Rは前記一般式(1)で表されるイソインドールポリマーのR〜Rに対応した置換基である。また、Yは次の二価の基を表す。
【0050】
【化9】

ここでR〜R12はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は1〜10のアルコキシ基を表す。
【0051】
一般式(3)で表されるビシクロ置換ピロール化合物から一般式(1)で表されるイソインドールポリマーを製造する方法を下記反応式に示す。
【0052】
【化10】

【0053】
まず、中間体であるビシクロ置換ピロールポリマーは、一般式(3)で表されるビシクロ置換ピロール化合物を有機溶媒存在下に重合することで得ることができる。重合する方法としては、例えば、ビシクロ置換ピロール化合物を有機溶媒と電解質との存在下に重合する方法、ビシクロ置換ピロール化合物を有機溶媒と酸化剤との存在下に酸化重合する方法等を挙げることができる。
【0054】
前記有機溶媒は重合方法や使用するビシクロ置換ピロール化合物に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、スルホラン等の非プロトン性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレンカーボネート等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒等、ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロルベンゼン等の塩素系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0055】
前記電解質としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムクロリド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムパークロレート等のアンモニウム塩、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド等のホスホニウム塩、トリエチルアミン−p−トルエンスルホン酸塩、トリブチルアミン−p−トルエンスルホン酸塩のスルホン酸塩、LiBF、LiPF等のリチウム塩等を挙げることができる。これらの電解質は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0056】
前記酸化剤としては、例えば、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、酸化鉛、塩化鉄等の無機系酸化剤類、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、p−トルエンスルホン酸−鉄(III)等の有機金属塩類等が挙げられる。
これらの酸化剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0057】
前記酸化剤に加えて、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸等の酸性物質を使用することができる。これらの酸性物質は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0058】
また前記ビシクロ置換ピロール化合物を有機溶媒の存在下に重合を行う際の温度は通常−80〜200℃の範囲である。また前記重合を行う時間は、通常15分間〜7日間の範囲である。
【0059】
次に、中間体であるビシクロ置換ピロールポリマーを加熱又は光を照射することで、環が開環し、一般式(1)で表されるイソインドールポリマーを製造することができる。
【0060】
加熱する方法としては、例えば通風オーブン、減圧オーブン等のオーブンにより加熱する方法、過熱プレスにより過熱する方法、赤外線を照射する方法等が挙げられる。
【0061】
加熱する際の温度は、100〜300℃の範囲が好ましく挙げられ、150〜250℃がより好ましく挙げられる。
熱処理する際は、5分〜24時間が好ましく、30分〜5時間がより好ましく挙げられる。
光照射する際の光源としては、例えば水銀ランプ等が挙げられる。
【0062】
また、イソインドールポリマーと複素環化合物ポリマーとの共重合体を合成する方法は、ビシクロ置換ピロール化合物と複素環化合物を混合させた後、酸化重合させてビシクロ置換ピロールと複素環化合物ポリマーとの共重合体を製造した後、上述した方法で開環させて、イソインドールポリマーと複素環化合物ポリマーとの共重合体を得ることができる。
【0063】
バッファー層用重合体中のイソインドール化合物と複素環化合物のモル比率は、複素環化合物の種類にもよるが、イソインドール化合物1モルに対し、複素環化合物1.8〜0モルが好ましく、1.6〜0モルがより好ましく挙げられる。
上記モル比率にすることで、耐久性が高く、かつ、電導度に優れるバッファー層用重合体を得ることができる。
【0064】
本願発明の有機薄膜太陽電池について説明する。
【0065】
有機薄膜太陽電池は、少なくとも、透明電極、活性層から電極への電荷取り出しの促進、あるいは、逆方向への電荷移動の阻止を目的として、透明電極表面に導電性高分子からなるバッファー層、異なる種類の有機半導体材料の接合による電荷分離層、対向電極への正孔移動を抑制するホールブロック層、透明であってもよい対向電極とから成る。
【0066】
本発明の実施形態として、有機薄膜太陽電池の構造を図1に示す。
【0067】
バッファー層について説明する。
【0068】
本発明に使用するバッファー層は、イソインドールポリマーを含有するバッファー層用重合体からなるものである。
ビシクロ置換ピロールポリマーの状態では、溶解性があり、溶媒に溶解させた状態で、基材に塗布し、ビシクロ置換ピロールポリマーを含有する塗布膜を形成させる。ビシクロ置換ピロールポリマーを含有する塗布膜に加熱又は光照射することで、環を開環させ、有機溶媒に溶解しにくいイソインドールポリマーを含有するバッファー層を得ることができる。
【0069】
本発明のバッファー層用重合体を用いることで、バッファー層形成後、活性層を製膜する時に、有機溶媒による影響を受けないため、活性層とバッファー層の界面が犯されず、綺麗な境界面のまま得ることができる。そのため、スピンコート法で簡単にバッファー層を作製することが可能となっている。
【0070】
上記ビシクロ置換ピロール化合物ポリマーを熱処理又は光照射することで、バッファー層表面の凹凸を作り、活性層との接合面積を増加させることが出来る。
【0071】
バッファー層にイソインドールポリマーを含有するバッファー層用重合体を用いることで、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池を得ることが出来る。
【0072】
バッファー層の膜厚は、透明電極表面全体をバッファー層が均一に覆う必要があることを考慮すると100nm以下程度が好ましく挙げられ、高い光透過率が必要であることを考慮する点より、1〜50nmがより好ましく挙げられる。
【0073】
バッファー層の光透過率はできるだけ高いことが好ましく、70〜100%であれば実用的に使用することができる。
【0074】
透明電極について説明する。
【0075】
透明電極を構成する材料は、透明な導電性の材料であれば特に制限はないが、例えば、アンチモンドープ酸化スズ(SnO−Sb)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO−F)、スズドープ酸化インジウム(In−Sn)等に代表される、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープしたものが好適に用いられる。
【0076】
透明電極は、例えば、アルカリ性洗剤、更にはアセトン、イソプロピルアルコール等の有機溶媒を併用して洗浄することができる。適宜、超音波を照射しながら洗浄すると、洗浄効果が高まる。更に、該透明電極表面に残留する有機物質から成る汚れを除去すると共に、該透明電極表面に多数の水酸基を導入する目的でUV−O洗浄を行うことも好ましい。
【0077】
UV−O洗浄とは、該透明電極表面に大気中で紫外線を照射し、オゾンを発生させ、紫外線及びオゾンによる有機物分解を行うものである。その際、例えば、スズドープ酸化インジウムを透明電極として用いた場合、酸化インジウムの一部が水酸基に置換され、透明電極表面に多数の水酸基を導入することができる。酸素プラズマ等によるアッシング処理を行っても同様の効果を得ることができる。
【0078】
活性層について説明する。
【0079】
バッファー層に隣接して異なる種類の有機半導体材料の接合による電荷分離層からなる活性層を形成する。この層は、電子供与性のπ共役化合物であるp型半導体と、電子受容性の共役化合物であるn型半導体によって構成されている。これら2種の材料は混合して塗布された後、熱処理され、互いに相分離された状態で広い面積に渡ってp/n接合を形成するバルクへテロ接合構造を活性層中に形成する。このバルクへテロ接合層は、p型有機半導体材料とn型半導体材料とを溶媒中で配合し、配合液を塗布する等の公知の手法により形成することができる。
【0080】
バルクヘテロ接合層に用いる共役高分子は、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン誘導体、ポリ−2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチロキシ)−1,4−フェニレンビニレン(MDMO−PPV)等のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)(PFO)等のポリフルオレン誘導体等可視域に光吸収領域を有する共役高分子であることが好ましい。
【0081】
バルクヘテロ接合層に用いる電子受容分子は、例えば、[6,6]−フェニル−C61ブチルカルボン酸メチルエステル(PCBM)等のフラーレン誘導体、ペリレン誘導体等が挙げられる。一般にこれら電子受容分子は溶媒に難溶性である場合が多いため、適当な置換基を導入して溶媒に対する可溶性を付与する場合が多い。
【0082】
これら共役高分子と電子受容分子を双方が溶解可能な溶媒に適切な濃度に調節して溶液を作製する。溶媒としてはトルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が使用される。共役高分子と電子受容分子の混合比や溶液濃度はバルクヘテロ接合界面を構築する相分離構造を決定するパラメータとして重要であり、塗布条件等も考慮されて決定する。こうして得られたバルクヘテロ接合層を構築する混合溶液はスピンコート、ディップコート、ドクターブレード法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ダイコート等の方法によって薄膜することができる。
【0083】
電荷分離層と対向電極との間には、電荷分離層にて発生する正孔が対向電極側へ移動し、金属電極界面にて金属からの自由電子と結合して失活することを防ぐことを目的としてホールブロック層を形成させてもよい。
ホールブロック層にはLi、Cs、Ba、Ca等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、もしくはそれらの合金として、Ca/Al、LiF/Ca、LiF/Al、BaF/Ca等が挙げられる。更には耐湿性向上を目的に、TiO、ZnO、Nb、ZrO、SnO、WO、In、Al等のゾルゲル法によって製膜される金属酸化物薄膜を用いることができる。なお、ゾルゲル法にて金属酸化物薄膜を製膜する場合、金属−酸素比率が化学量論比通りにならない場合があるが、こうした金属酸化膜もバッファー層として好適に用いることができる。
【0084】
対向電極について説明する。
【0085】
対向電極としては、例えばAl、Au、Ag等の金属の蒸着膜あるいはスパッタ膜、SUS基板、Ti基板、SUS、Ti等の金属メッシュ、Ag、Au粒子と樹脂バインダ等から成る金属ペーストを用いた印刷による皮膜等を用いることができる。このとき、活性層からの電子の取り出しを阻害しないように、適切な仕事関数を有するものを使用することが好ましい。
【0086】
太陽電池特性を次のように求めることができる。ソーラーシミュレーター(K−0205、分光計器株式会社製)を用いて、AM1.5条件(光強度100mWcm−2)下で、ソースメータ(Keithley Instruments社製2400型)を用いて、減圧下、2端子法にて電流−電圧特性を測定し、開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)、変換効率(η)を求めた。なお、光電変換効率は下式(1)によって算出した。
【0087】
【数1】

【実施例】
【0088】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0089】
(ビシクロ置換ピロールの製造)
【0090】
【化11】

上記化合物(I)で表されるビシクロ置換ピロールの合成を行った。合成法は特開2007−262187に記載の方法に従って行った。
【0091】
(ビシクロ置換ピロールポリマーの製造)
100mlフラスコ中に、反応溶媒としてクロロホルム溶液60g、酸触媒として無水塩化鉄0.11gを加え10min撹拌し、上記化合物(I)で表されるビシクロ置換ピロール0.5gを加え、撹拌した。
室温にて一日反応を行い、反応終了後、析出物を濾過により分取した。
次に分取した析出物を水、メタノールの順で洗浄し、減圧下にて乾燥を行い、濃紫色粉末のビシクロ置換ピロールポリマー(II)を0.1g得た。
【0092】
【化12】

【0093】
実施例に用いるバッファー層用重合体を表1に示す。なお、共重合体の場合、イソインドールポリマーと複素環化合物ポリマーのモル比は1:1である。
【0094】
【表1】

【0095】
(実施例1)
ソーダ硝子(板厚0.7mm)にITO薄膜をスパッタ法により形成し、該ITOのパターニング処理をフォトリソグラフィー法により行ったITO薄膜付きガラス基板(ITO膜厚145±10nm、シート抵抗15Ω/□、東京三容真空社製)の洗浄を、アセトン、IPAをこの順に用いた超音波洗浄及びIPA蒸気を用いた蒸気洗浄により行い、その後更に該ITO表面のUV−O処理を30分間行い、ホットプレートを用いて120℃、10分間乾燥した。
【0096】
該基板上にバッファー層を塗布により製膜を行った。クロロホルム溶媒2.98gにビシクロ置換ピロールポリマー0.01gを加え、30分超音波処理を施し、グローブボックス中にて、UV−O処理済のITO薄膜付ガラス基板上にスピンコーター(MIKASA製)を用いて2000rpm、20秒の条件でスピンコートすることで塗膜し、ホットプレートを用いて160℃、10分間乾燥して開環させて、下記化合物(III)で表されるイソインドールポリマーからなるバッファー層用重合体(a)を含有するバッファー層を得た。
【0097】
【化13】

【0098】
次に、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)と[6,6]−フェニル−C61ブチルカルボン酸メチルエステル(PCBM)の質量比が5:4となるよう、また、全固形分濃度が27mg/mlとなるよう両者をクロロベンゼンに溶解させた溶液を作製し、活性層塗布液とした。窒素置換したグローブボックス中にて、該活性層塗布液を、スピンコーター(MIKASA製)を用いて1000rpm、20秒の条件で該バッファー層表面に塗布し、更に、同じグローブボックス中で160℃、10分の条件で加熱乾燥を行なった。
【0099】
次いでこの基板に対し、ホールブロック層となるTiO層をゾルゲル法により活性層上に形成し、乾燥を行った。ゾルゲル法によるTiO層の製膜は、A.Hayakawa,et.al.”High performance bulk−heterojunction solar cell with a TiOx hole blocking layer”,Appl.Phys.Lett.90,pp163517(2007)に記載の方法に従って行った。
【0100】
更に、電極金属としてAlを抵抗加熱式蒸着機によりホールブロック層上に100nm蒸着し、対向電極の形成を行い有機薄膜太陽電池とした。素子の有効面積は、ITO電極と金属電極のパターニング部分とが重なりあう面積であり、その広さは6mmであった。
【0101】
(実施例2)
100mlフラスコ中に、反応溶媒としてクロロホルム溶液18g、酸触媒として無水塩化鉄0.04gを加え10分撹拌し、ビシクロ置換ピロール0.3gを加え、1時間撹拌することで溶液(A)を調整した。
次に100mlフラスコ中に、3−ヘプチルピロール0.3g、無水塩化鉄0.06g、クロロホルム27gを加え10min攪拌することで溶液(B)を調整した。
溶液(A)中に、溶液(B)を滴下し、室温にて一日反応を行い、反応終了後析出物を濾過により分取した。
次に分取した析出物を水、メタノールの順で洗浄し、減圧下にて乾燥を行い、濃紫色粉末の共重合体(b)の前駆体を0.17g得た。
実施例1に記載のビシクロ置換ピロールポリマーの代わりに共重合体(b)の前駆体を用いた以外は、実施例1と同様にして製造し、バッファー層用重合体(b)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0102】
(実施例3)
実施例2に記載の3−ヘプチルピロールの代わりに3−ヘプチルチオフェンを用いた以外は、実施例2と同様にして製造し、バッファー層用重合体(c)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0103】
(実施例4)
実施例1に記載の無水塩化鉄をp−トルエンスルホン酸―鉄(III)に代えた以外は、実施例1と同様にして製造し、バッファー層用重合体(d)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0104】
(実施例5)
実施例2に記載の無水塩化鉄をp−トルエンスルホン酸―鉄(III)に代えた以外は、実施例2と同様にして製造し、バッファー層用重合体(e)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0105】
(実施例6)
実施例3に記載の無水塩化鉄をp−トルエンスルホン酸―鉄(III)に代えた以外は、実施例3と同様にして製造し、バッファー層用重合体(f)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0106】
(実施例7)
実施例1に記載のバッファー層用重合体(a)を脱ドープ処理した。脱ドープ処理は、水100gに25wt%アンモニア水を5g滴下した水溶液中で撹拌することで、脱ドープさせることができる。室温下、一日処理を行った後、濾過により固形物を分取し、水洗浄を行い、減圧下にて乾燥させて、バッファー層用重合体(g)を得た。
それ以外は、実施例1と同様にしてバッファー層用重合体(g)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0107】
(実施例8)
実施例2に記載のバッファー層用重合体(b)の前駆体を脱ドープ処理した。脱ドープ処理は、水100gに25wt%アンモニア水を5g滴下した水溶液中で撹拌することで、脱ドープさせることができる。室温下、一日処理を行った後、濾過により固形物を分取し、水洗浄を行い、減圧下にて乾燥させて、バッファー層用重合体(h)を得た。
それ以外は、実施例2と同様にしてバッファー層用重合体(h)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0108】
(実施例9)
実施例3に記載のバッファー層用重合体(c)の前駆体を脱ドープ処理した。脱ドープ処理は、水100gに25wt%アンモニア水を5g滴下した水溶液中で撹拌することで、脱ドープさせることができる。室温下、一日処理を行った後、濾過により固形物を分取し、水洗浄を行い、減圧下にて乾燥させて、バッファー層用重合体(i)を得た。
それ以外は、実施例3と同様にしてバッファー層用重合体(i)からなるバッファー層を有する有機薄膜太陽電池を得た。
【0109】
(比較例1)
実施例1と同様にITO薄膜付きガラス基板を用意した。ITO薄膜付きガラス基板上に、ポリピロール水分散体をスピンコーター(MIKASA社製)にて5000rpm、20秒にて塗布し、空気中にて120℃、10分間乾燥してバッファー層を形成させた。それ以外は、実施例1と同様にして製造し、バッファー層用重合体(j)からなる有機薄膜太陽電池を得た。
【0110】
(比較例2)
実施例1と同様にITO薄膜付きガラス基板を用意した。ITO薄膜付きガラス基板上に、ポリアニリン水分散体をスピンコーター(MIKASA社製)にて5000rpm、20秒にて塗布し、空気中にて120℃、10分間乾燥してバッファー層を形成させた。それ以外は、実施例1と同様にして製造し、バッファー層用重合体(k)からなる有機薄膜太陽電池を得た。
【0111】
(比較例3)
実施例1と同様にITO薄膜付きガラス基板を用意した。ITO薄膜付きガラス基板上に、PEDOT:PSS水分散体(Baytron P AI 4083)をスピンコーター(MIKASA社製)にて5000rpm、20秒にて塗布し、空気中にて120℃、10分間乾燥してバッファー層を形成させた。それ以外は、実施例1と同様にして製造し、バッファー層用重合体(l)からなる有機薄膜太陽電池を得た。
【0112】
(比較例4)
実施例1と同様にITO薄膜付きガラス基板を用意した。ITO薄膜付きガラス基板上に、PEDOT:PEGニトロメタン分散体(SIGMA−ALDRICH AedotronTM P−NM)をスピンコーター(MIKASA社製)にて5000rpm、20秒にて塗布し、空気中にて120℃、10分間乾燥してバッファー層を形成し、実施例1と同様にして製造し、バッファー層用重合体(k)からなる有機薄膜太陽電池を得た。
【0113】
上記実施例1〜9及び比較例1〜4について、光電変換効率の測定を行った。耐久性試験は、評価対象セルを大気中に室温で暗中に放置し、500時間後の太陽電池の変換効率の変化割合を評価した。変換効率の変化率は、初期値を1とした場合、500時間において0.9を超えるものが好ましく挙げられる。実施例1〜9及び比較例1〜4の測定結果を表2にまとめる。
【0114】
【表2】

【0115】
表2より、比較例1〜4より実施例1〜9の方が、変換効率の変化率が小さいため、耐久性に優れていることがわかる。実施例7〜9は特に耐久性に優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】有機薄膜太陽電池の層構成を表す模式図
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の有機薄膜太陽電池は、耐久性に優れているため、各種用途に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるイソインドールポリマーを含有することを特徴とするバッファー層用重合体。
【化1】

(一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、エーテル基、チオエーテル基を表す。)
【請求項2】
下記一般式(1)で表されるイソインドールポリマーと下記一般式(2)で表される複素環化合物ポリマーとの共重合体を含有することを特徴とするバッファー層用重合体。
【化2】

(一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、エーテル基、チオエーテル基を表す。)
【化3】

(一般式(2)中、R又はRは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し、RとRは連結し、アルキレン基を形成しても良く、−O−CH−CH−O−となっても良い。Xは、S、O、N−Rから選ばれる一種であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【請求項3】
ドーパントをドープさせることを特徴とする請求項1又は2に記載のバッファー層用重合体。
【請求項4】
ドーパントが、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機カルボン酸イオン、アミド酸イオンからなるアニオン群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項3に記載のバッファー層用重合体。
【請求項5】
透明電極上にバッファー層と、バッファー層上に活性層とを有する有機薄膜太陽電池において、
バッファー層が、請求項1から4のいずれかに記載のバッファー層用重合体からなることを特徴とする有機薄膜太陽電池。

【図1】
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【公開番号】特開2012−156165(P2012−156165A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11316(P2011−11316)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)
【Fターム(参考)】