説明

バランス型ミキサ、直交変復調装置、および、レーダ装置

【課題】回路サイズを小さくするとともに、パルス信号の良好な通過特性を有するバランス型ミキサを提供すること。
【解決手段】ハイブリッド回路および2つのダイオードを有するバランス型ミキサにおいて、ハイブリッド回路は、高周波信号が入力される高周波信号入力端子111と、局部発振信号が入力される局部発振信号入力端子112と、2つのダイオード15,16の一方のダイオードのアノードと他方のダイオードのカソードがそれぞれ接続される2つのダイオード接続端子102,103と、を備える環状線路101を有し、当該環状線路の中空部にDCリターン回路130が形成され、当該DCリターン回路は、ダイオード接続端子102,103の近傍にそれぞれの一端が接続され、他端が接地されている2つの線路113,114を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランス型ミキサ、直交変復調装置、および、レーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロ波帯以上で使用するバランス型ミキサとしては、例えば、特許文献1の図8等に示すものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−148939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、IF(DC)リターン回路108が局発信号端子102に設けられている。このように、局発信号端子102の周辺にDCリターン回路108を設ける場合、DCリターン回路108の配置スペースを確保することが必要となり、回路のサイズが大きくなるという問題点がある。また、特許文献1に開示された技術では、パルス信号を入力したときに、信号の立ち上がりと立ち下がり波形が鈍るという問題点もある。
【0005】
そこで、本発明は回路サイズを小さくするとともに、パルス信号の良好な通過特性を有するバランス型ミキサ、直交変復調装置、および、レーダ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ハイブリッド回路および2つのダイオードを有するバランス型ミキサにおいて、前記ハイブリッド回路は、高周波信号が入力される高周波信号入力端子と、局部発振信号が入力される局部発振信号入力端子と、前記2つのダイオードの一方のダイオードのアノードと他方のダイオードのカソードがそれぞれ接続される2つのダイオード接続端子と、を備える環状線路を有し、当該環状線路の中空部にDCリターン回路が形成され、当該DCリターン回路は、前記ダイオード接続端子の近傍にそれぞれの一端が接続され、他端が接地されている2つの線路を有する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、回路サイズを小さくするとともに、パルス信号の良好な通過特性を有するバランス型ミキサを提供することができる。
【0007】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記DCリターン回路は、前記ダイオード接続端子の近傍にそれぞれの一端が接続され、他端が一点で接地されている2つの線路を有する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、回路サイズを小さくするとともに、2つの線路の接地電圧にずれが生じることを防止できる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記DCリターン回路の前記線路のそれぞれは前記局部発振信号および前記高周波信号の1/4波長の長さを有していることを特徴とする。
このような構成によれば、アイソレーション特性を改善することができる。
【0009】
また、本発明は、前記バランス型ミキサを2つ有し、前記高周波信号および前記局部発振信号が分配器によって分配されて各バランス型ミキサの前記高周波信号入力端子と、前記局部発振信号入力端子にそれぞれ入力されることを特徴とする。
このような構成によれば、回路サイズを小さくするとともに、変換損失等の特性が良好な直交変復調装置を提供することができる。
【0010】
また、本発明は、前記直交変復調装置を含むことを特徴とするレーダ装置である。
このような構成によれば、回路サイズを小さくするとともに、パルス信号の良好な通過特性を有するレーダ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本発明は回路サイズを小さくするとともに、パルス信号の良好な通過特性を有するバランス型ミキサ、直交変復調装置、および、レーダ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るバランス型ミキサの構成例を示す図である。
【図2】図1に示すバランス型ミキサの等価回路を示すブロック図である。
【図3】従来のバランス型ミキサの構成を示す図である。
【図4】図1と図3のバランス型ミキサの変換損失の周波数特性を示す図である。
【図5】P1,P4のアイソレーション特性である。
【図6】P2,P3のアイソレーション特性である。
【図7】DCリターン回路をダイオードに近づけた場合と、離した場合における中間周波信号の時間軸における立ち上がりを示す図である。
【図8】DCリターン回路をダイオードに近づけた場合と、離した場合における中間周波信号立ち上がりを示す図である。
【図9】図1に示すバランス型ミキサを用いた直交変復調装置の構成例である。
【図10】図3に示すバランス型ミキサを用いた直交変復調装置の構成例である。
【図11】図9に示す回路の特性を示す図である。
【図12】図10に示す回路の特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(A)実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係るバランス型ミキサの構成例を示す図である。図1に示すバランス型ミキサ100は、例えば、誘電体基板上に形成され、環状線路101、ダイオード15,16、LPF(Low Pass Filter)121,122、および、DCリターン回路130を主要な構成要素としている。
【0015】
ここで、環状線路101は、ハイブリッド回路を構成し、高周波信号の誘電体基板上における波長をλとした場合に、3/2λの周長を有するリング形状の線路(例えば、銅箔等)によって構成される。環状線路101の任意の位置には、局部発振信号が入力される局部発振信号入力端子112が設けられている。また、局部発振信号入力端子112から任意の方向にλ/2だけ周方向に移動した位置には、高周波信号が入力される高周波信号入力端子111が設けられている。局部発振信号入力端子112と高周波信号入力端子111の中間位置であって、局部発振信号入力端子112と高周波信号入力端子111からそれぞれλ/4だけ周方向に移動した位置には、ダイオード15が接続されるダイオード接続端子102が設けられている。環状線路101の中心を挟んで局部発振信号入力端子112と対向する位置であって、高周波信号入力端子111からλ/4だけ周方向に移動した位置には、ダイオード16が接続されるダイオード接続端子103が設けられている。なお、ダイオード15,16は逆極性になるように接続される。
【0016】
なお、局部発振信号入力端子112に入力された局部発振信号は、位相が90度遅れてダイオード接続端子102に出力され、270度遅れてダイオード接続端子103に出力される。なお、局部発振信号入力端子112に入力された信号は、ダイオード接続端子102側を経由する信号と、ダイオード接続端子103側を経由する信号の位相が180度ずれていることからこれらが相互に相殺することにより、高周波信号入力端子111には出力されない。一方、高周波信号入力端子111に入力された高周波信号は、位相が90度遅れてダイオード接続端子102に出力され、同じく90度遅れてダイオード接続端子103に出力される。なお、高周波信号入力端子111に入力された信号は、ダイオード接続端子102側を経由する信号と、ダイオード接続端子103側を経由する信号の位相が180度ずれていることからこれらが相互に相殺することにより、局部発振信号入力端子112には出力されない。
【0017】
環状線路101の中空部分(線路が存在しない部分)には、DCリターン回路130が設けられている。ここで、DCリターン回路130は、線路113,114、接続部115、および、ビアホール(Via Hole)116を有している。ここで、線路113は環状線路101のダイオード接続端子102の近傍に一端が接続され、他端が接続部115に接続されている。線路113は環状線路101のダイオード接続端子103の近傍に一端が接続され、他端が接続部115に接続されている。接続部115は、線路113および線路114の他端同士を接続し、これらをビアホール116を介してグランドに接続する。ビアホール116は、グランドパターンが形成されているプリント基板の層と、接続部115とを電気的に接続する。なお、線路113,114は、同じ長さLを有し、この長さLは、後述するように略λ/4の長さに設定されている。
【0018】
ダイオード15,16は、一端を逆接続でダイオード接続端子102,103に接続され、前記ダイオード15,16の他端をLPF121および122に接続されている。LPF121およびLPF122の出力端子同士は線路123によって接続されている。線路123には中間周波信号出力端子124が接続されている。
【0019】
(B)実施形態の概略動作の説明
図2は、図1に示す回路を等価的なブロック図として示した図である。この図において、高周波信号入力端子111に入力された高周波信号は、ハイブリッド回路101において位相が90度遅れて端子A(ダイオード接続端子102に対応)と、端子B(ダイオード接続端子103に対応)からそれぞれ出力される。局部発振信号入力端子112に入力された局部発振信号は、ハイブリッド回路101において位相が90度遅れて端子Aから出力され、270度遅れて端子Bから出力される。
【0020】
ハイブリッド回路101から出力された局部発振(Lo)信号および高周波(RF)信号は、DCリターン回路130を構成する線路113および線路114に印加される。線路113および線路114の接続点はグランドに接地されているので、ハイブリッド回路101から出力された信号は、グランドを中心とする平衡信号となる。ダイオード15,16は、DCリターン回路130に印加される局部発振信号および高周波信号の周波数差成分を生成し、これを中間周波(IF)信号として出力する。
【0021】
LPF121,122は、ダイオード15,16から出力される信号の中から、中間周波信号を通過させ、他の信号を減衰させる。
【0022】
以上の動作により、本実施形態のバランス型ミキサ100では、局部発振信号および高周波信号の周波数差成分を生成し、中間周波信号として出力する。
【0023】
(C)実施形態の詳細な動作の説明
つぎに、本実施形態の詳細な動作について、図を参照して説明する。図3は、本実施形態の比較対象となる構成を示す図である。この図3に示すバランス型ミキサ100Aでは、図1の場合と比較すると、DCリターン回路130が環状線路101の中空部から高周波信号入力端子111に移動され、LPFが付加されてDCリターン回路130Aとされている。それ以外の構成は、図1の場合と同様である。
【0024】
図4は、高周波信号を周波数スイープ(掃引)した場合における変換損失を示している。なお、変換損失とは、高周波信号入力端子111への入力信号電力と、中間周波信号出力端子124からの出力信号電力の比をいう。ここで、図4(A)は、図1に示す実施形態のシミュレーション結果を示し、図4(B)は、図3に示す比較回路のシミュレーション結果を示す。これらの図の比較から、図4(A)に示す本実施形態のシミュレーション結果においては、図4(B)の場合に比較して、周波数特性が平坦であることが分かる。すなわち、本実施形態の方が、比較回路に比較して変換特性が広帯域であることが分かる。
【0025】
本実施形態では、DCリターン回路130を構成する線路113,114の長さLをλ/4の長さとなるように設定している。この点について、図5,6を参照して説明する。図5は、高周波信号入力端子111をポート1(P1)とし、ダイオード接続端子103をポート2(P2)とし、ダイオード接続端子102をポート3(P3)とし、局部発信信号入力端子112をポート4(P4)とした場合に、P1,P4のアイソレーション特性と反射特性のシミュレーション結果であり、図6はP2,P3のアイソレーション特性と反射特性のシミュレーション結果である。より詳細に説明する。図5は、図1に示す線路113,114の双方の長さLを変化させた場合におけるP1,P4のアイソレーション特性と反射特性であり、実線はP1入力、P1出力の場合の反射特性を示し、破線はP4入力、P4出力の場合の反射特性を示し、一点鎖線はP4入力、P1出力の場合のアイソレーション特性を示している。また、図5(A)は線路113,114の双方の長さLが1/4波長の長さの87.6%の場合(L=λ/4×0.876の場合)の特性を示し、図5(B)はLが92.7%の場合の特性を示し、図5(C)はLが100%の場合の特性を示し、図5(D)はLが108%の場合の特性を示している。なお、本実施形態では、周波数は準ミリ波またはミリ波帯域であり、波長短縮率が0.63である。なお、前述した例では、説明を簡略化するために、線路113,114自体の流さをLとして説明したが、より正確には、このLには接続部115の形状およびビアホール116の長さも含める必要がある。図5(A)〜(D)の比較から、略λ/4に相当する図5(C)の場合に、実線、破線、および、一点鎖線が使用周波数において略極小値となっている。つまり、L=λ/4に設定することで、P1,P4のアイソレーションが使用周波数において十分に確保されるとともに、反射特性を低く保つことができる。
【0026】
図6は、図1に示す線路113,114の双方の長さLを変化させた場合におけるP2,P3のアイソレーション特性と反射特性であり、実線はP2入力、P2出力の場合の反射特性を示し、破線はP3入力、P3出力の場合の反射特性を示し、一点鎖線はP2入力、P3出力の場合のアイソレーション特性を示している。また、図6(A)は線路113,114の双方の長さLが1/4波長の長さの87.6%の場合の特性を示し、図6(B)はLが92.7%の場合の特性を示し、図6(C)はLが100%の場合の特性を示し、図6(D)はLが108%の場合の特性を示している。なお、図6(C)の場合が略λ/4の長さに相当することは前述の場合と同様である。図6(A)〜(D)の比較から、略λ/4に相当する図6(C)の場合に、実線、破線、および、一点鎖線が使用周波数において略極小値となっている。つまり、L=λ/4に設定することで、P2,P3のアイソレーションが使用周波数において十分に確保されるとともに、反射特性を低く保つことができる。
【0027】
以上から、DCリターン回路130の線路113,114の双方の長さ(正確には接続部115の形状およびビアホール116の形状も考慮した長さ)L=λ/4に設定することで、アイソレーションを使用周波数において高く保つとともに、リターンロスを低く保つことができる。
【0028】
本実施形態では、DCリターン回路130を構成する線路113,114をダイオード15,16の近傍に配置している。この点について、図7,8を参照して説明する。図7は、パルス幅1nsでパルス変調された高周波信号を入力した場合において、DCリターン回路を配置する位置をダイオードに近づけた場合と、離した場合における中間周波信号の時間軸における立ち上がりを示す図である。図7(A)はDCリターン回路をダイオードに近づけて配置した場合の中間周波信号の時間軸における立ち上がりを示し、図7(B)はDCリターン回路をダイオードから遠ざけて配置した場合の中間周波信号立ち上がりを示す。なお、具体的な測定方法としては、図7(A)は、後述する図9に示す回路において、DCリターン回路をハイブリッド回路の近傍(高周波信号入力端子)に配置した場合の特性を示し、図7(B)は、同じく図9に示す回路において、DCリターン回路を90度ハイブリッド回路200に配置した場合の特性を示している。なお、図の上部に記載されている太線は、波形の包絡線を示している。これらの図の比較から、DCリターン回路をダイオードに近づけて配置した方が、パルス波形の立ち上がりおよび立ち下がりが急峻となり、また、パルスの頂上付近の波形が平坦になっている。
【0029】
図8はDCリターン回路とダイオードとの距離を変化させた場合において、1nsのパルスがDCリターン回路を通過させた際の波形の変化を示している。図8(A)は、ダイオードとDCリターン回路の距離が5.2mmの場合において1nsのパルスを通過させた場合の測定結果であり、図8(B)は、ダイオードとDCリターン回路の距離が18mmの場合において1nsのパルスを通過させた場合の測定結果である。DCリターン回路によってグランド電位が保たれている場合には、測定電圧は常に0Vとなるが、測定結果ではパルスの立ち上がりと立ち下がりにおいて、インダクタンス成分の作用によって、グランド電位が保てずに波形が鈍っている。図8(A),(B)を比較すると、線路が長い図8(B)の方が波形がより広くなっている。つまり、線路が長い方が影響を大きく受けている。
【0030】
以上の図7,8の結果から、DCリターン回路は、本実施形態のように、ダイオードの近傍に設けるとともに、ダイオードに対して個別に設けることが望ましいことが分かる。
【0031】
以上に説明したように、本実施形態では、バランス型ミキサ100の環状線路101の中空部分にDCリターン回路130を設けるようにしたので、回路のスペースを縮小することが可能になる。
【0032】
また、本実施形態では、DCリターン回路130を構成する線路113,114をダイオード15,16に接続したので、パルス波形に対する応答特性を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態では、DCリターン回路130を構成する線路113,114の長さをλ/4としたので、アイソレーション特性を高めるとともに、特性を広帯域化することができる。
【0034】
(D)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、バランス型ミキサ100を単体として使用する場合を例に挙げて説明したが、例えば、図9に示すように、2つの単位ミキサ100−1,100−2を組み合わせて直交変復調装置を構成することも可能である。すなわち、図9の例では、図1に示す2つの単位ミキサ100−1,100−2が配置され、各局部発振信号入力端子112が90度ハイブリッド回路200の出力端に接続され、各高周波信号入力端子111が電力分配回路201の出力端に接続されている。また、単位ミキサ100−1がI信号形成部として動作し、その中間周波信号出力端子124がI信号出力端子となる。一方、単位ミキサ100−2がQ信号形成部として動作し、その中間周波信号出力端子124がQ信号出力端子となる。一方、図10は、図3に示す単位ミキサ100Aを用いて、図9と同様の直交変復調装置を構成した場合を示す図である。図11は図9の実施形態のシミュレーション結果を示す図であり、図12は図10の回路のシミュレーション結果を示す図である。図11(A)および図12(A)は、高周波信号を周波数スイープ(掃引)した場合の変換損失を示す図であり、実線がI信号の損失を示し、破線がQ信号の損失を示している。これらの比較から、図10に示す実施形態の方が周波数特性が平坦であることが分かる。図11(B)および図12(B)は、高周波信号を周波数スイープした場合のIQ信号の振幅バランスを示す図である。これらの比較から、図10に示す実施形態の方が振幅バランスが平坦であることが分かる。図11(C)および図12(C)は、高周波信号を周波数スイープした場合のIQ信号の位相バランスを示す図である。これらの比較から、図10に示す実施形態の方が位相バランスが平坦であることが分かる。このように、本実施形態の単位ミキサ100を用いれば、変換損失、振幅バランス、および、位相バランス性能が広帯域にわたり良好な直交変復調装置を得ることができる。
【0035】
また、以上の各実施形態に示すダイオードの接続状態は、一例であって、このような場合のみに本願が限定されるものではない。例えば、ダイオード15,16のそれぞれの接続方向を図に示す場合とは逆方向としてもよい。また、ダイオード15,16のそれぞれに対して1つずつ新たなダイオードを逆接続するようにしてアンチパラレルダイオード(逆向きの2つのダイオード)としてもよい。
【0036】
また、以上の各実施形態では、端子111を高周波信号入力端子とし、端子112を局部発振信号入力端子としたが、端子111を局部発振信号入力端子とし、端子112を高周波信号入力端子としてもよい。
【0037】
また、本実施形態をレーダシステムに適用することも可能である。具体的には、局部発振信号を、図1に示す局部発振信号入力端子112に入力し、また、受信信号を高周波信号として高周波信号入力端子111に入力する。その結果として、中間周波信号出力端子124からは送受信の周波数差成分である中間周波信号が出力されるので、これを後段のIF処理回路に出力するようにすればよい。このような構成によれば、対象を精度良く検出することができる。
【0038】
また、以上の実施形態では、線路113,114は直線形状としたが、直線形状以外の形状(例えば、曲線部分を含む形状等)であってもよい。また、接続部115は円形形状としたが、これ以外の形状(例えば、矩形形状等)であってもよい。また、環状線路101についても円形形状以外の形状(例えば、六角形状)であってもよい。また、以上の実施形態では、LPF121,122を2つ設けるようにしたが、これらを1つの構成としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
100 バランス型ミキサ
101 環状線路
102,103 ダイオード接続端子
111 高周波信号入力端子
112 局部発振信号入力端子
113,114 線路
115 接続部
116 ビアホール
121,122 LPF
121a,122a 入力端子
123 線路
124 中間周波信号出力端子
200 90度ハイブリッド回路
201 電力分配回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド回路および2つのダイオードを有するバランス型ミキサにおいて、
前記ハイブリッド回路は、高周波信号が入力される高周波信号入力端子と、局部発振信号が入力される局部発振信号入力端子と、前記2つのダイオードの一方のダイオードのアノードと他方のダイオードのカソードがそれぞれ接続される2つのダイオード接続端子と、を備える環状線路を有し、当該環状線路の中空部にDCリターン回路が形成され、当該DCリターン回路は、前記ダイオード接続端子の近傍にそれぞれの一端が接続され、他端が接地されている2つの線路を有する、
ことを特徴とするバランス型ミキサ。
【請求項2】
前記DCリターン回路は、前記ダイオード接続端子の近傍にそれぞれの一端が接続され、他端が一点で接地されている2つの線路を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のバランス型ミキサ。
【請求項3】
前記DCリターン回路の前記線路のそれぞれは前記局部発振信号および前記高周波信号の1/4波長の長さを有していることを特徴とする請求項1または2に記載のバランス型ミキサ。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の前記バランス型ミキサを2つ有し、前記高周波信号および前記局部発振信号が分配器によって分配されて各バランス型ミキサの前記高周波信号入力端子と、前記局部発振信号入力端子にそれぞれ入力されることを特徴とする直交変復調装置。
【請求項5】
前記請求項4に記載の直交変復調装置を含むことを特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−209878(P2012−209878A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75760(P2011−75760)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)