説明

バリアブル印刷システム,バリアブル印刷方法,レイアウト変換装置及びテキスト画像生成装置

【課題】禁則処理・自動改行に未対応のページ記述言語を利用したバリアブル印刷であっても,複数行またがって印刷される一つの文章を一行ずつ分割する必要のないバリアブル印刷システムを提供する。
【解決手段】バリアブル印刷システム1には,レイアウトファイル6aに含まれ,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを,同じサイズの画像フレームに置換処理するレイアウト変換装置2と,バリアブルデータファイル7を参照し,画像フレームに差し込まれる画像であって,テキストフレームに設定されたフィールド名に対応するバリアブルデータを差し込み,テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキストを画像変換したテキスト画像を,バリアブルデータファイルに含まれるレコードの数だけ生成する処理を,レイアウトファイル6bに含まれるテキストフレーム毎に実行するテキスト画像生成装置3が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,顧客毎に異なる内容が印刷された紙媒体のダイレクトメールなどのバリアブル印刷物を印刷するための技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
顧客のニーズに合わせてアプローチを行うOne to Oneマーケティングや、顧客に対するサポート業務では、従来から,顧客毎に異なる内容が印刷された紙媒体のダイレクトメールが利用され、ダイレクトメールなどをバリアブル印刷する印刷会社側では,顧客ごとに異なる内容を高速印刷できるバリアブルプリンタを導入するケースが増えている。
【0003】
特許文献1の「背景技術」に記載されているように,バリアブル印刷に利用されるバリアブルプリンタは,例えば,VIPPなどのページ記述言語に対応し,バリアブル印刷するとき,DTP(Desktop publishing)ソフトウェアが実装されたオーサリング装置から出力されたレイアウトファイルやCSV形式のバリアブルデータファイルは,バリアブルプリンタに対応したページ記述言語で利用可能なファイルに変換される。
【0004】
バリアブルプリンタが対応しているページ記述言語は一つのみならず,汎用的なPostScript言語も利用できることが多い。しかし,汎用的なPostScript言語から出力されるコードは最適化されておらず,処理時間がかかる場合があるため,最適化されたページ記述言語を利用してバリアブル印刷できることが望まれるが,最適化されたページ記述言語はバリアブルプリンタのメーカ毎に特有であるため,様々な問題が生じていた。
【0005】
その一つの問題として,最適化されたページ記述言語を利用する場合,DTPソフトウェアが実装されたオーサリング装置に生成させるレイアウトファイルを該ページ記述言語に特化した形式で作成しなければならず,異なるメーカのバリアブルプリンタを所有している印刷会社では,一つのレイアウトファイルを使い回しすることができない問題があった。
【0006】
そこで,本出願人は,上述した問題を解決するために,オーサリング装置で生成したXML形式の汎用レイアウト定義データを,バリアブルプリンタごとに個別なページ記述言語の形式に変換できる装置を既に特許文献2で開示している。
【0007】
しかし,最適化されたページ記述言語を利用するときの問題は,上述した問題に限らず,句読点を行頭に配置しないなど,日本語のワードプロセッサでは馴染みの深い禁則処理や自動改行に該ページ記述言語が対応していない問題があり,テキストが複数行にまたがる場合,禁則処理を考慮して一行ずつレイアウトを決定しなければならなかった。
また,バリアブル印刷物毎に文面を変更する場合は,一行ずつのレイアウトに従ったバリアブルデータを用意しなければならなかった。
【0008】
ここから,図を参照しながら,上述した内容を説明する。図7は,葉書のレイアウト図の一例を説明する図である。
【0009】
図7で図示した葉書のレイアウト100は郵便はがきのレイアウト図で,郵便はがきで固定の画像として、料金が別納であることを示す料金別納画像の印刷領域101、郵便番号枠画像の印刷領域102,郵便番号の印刷領域103と,住所1の印刷領域104,住所2の印刷領域105,氏名の印刷領域106,挨拶文の印刷領域107,及び,店舗画像の印刷領域108が設けられている。
【0010】
図8は,葉書の挨拶文の印刷領域107を説明する図である。図8(a)は,挨拶文の印刷領域107に印刷される挨拶文の一例で,図8(b)は,挨拶文の印刷領域107に設定されたテキストフレームの一例で,図8(c)は,図8(b)のテキストフレームで利用されるバリアブルデータの一例である。
【0011】
図8(a)に図示した挨拶文は5行で,最適化されたページ記述言語を利用して,図8(a)で図示した挨拶文を印刷するとき,図8(a)で図示した挨拶文を1行毎に分解し,図8(b)で図示したように,1行毎に合計5個のテキストフレームがレイアウト図上に設定される。
なお,図8(b)においては,テキストフレームのラベル名である挨拶文1,挨拶文2,挨拶文3,挨拶文4,挨拶文5の後に()で括られて記載されている文字列は,テキストフレームに設定されているテキストで,該テキストにおいて,バリアブルデータのフィールド名を[[ ]]で括って表記している。ラベル名は,テキストフレームまたは画像フレームを識別する文字列で,テキストフレームまたは画像フレームにフレームの属性情報として埋め込まれている。
【0012】
図8(c)はCSV形式のバリアブルデータで,図8(c)のバリアブルデータでは,name1,name2,comment1〜4の順に,それぞれのフィールド名に代入されるバリアブルデータが半角の「,」で区切られて記述され,それぞれのバリアブルデータが図8(b)で図示したテキストフレームそれぞれに埋め込まれて,図8(a)で図示した挨拶文がバリアブル印刷される。
【0013】
このように,最適化されたページ記述言語を用いる場合,該ページ記述言語は,自動改行・高速処理に未対応であるため,本来は,一つの文章として取り扱いたい場合であっても,一つの文章を一行ずつ分割する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−130947号公報
【特許文献2】特開2007−148845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで,本発明は,最適化されたページ記述言語のように,禁則処理・自動改行に未対応のページ記述言語を利用してバリアブル印刷であっても,複数行またがって印刷される一つの文章を一行ずつ分割する必要のないバリアブル印刷システム,方法及び該バリアブル印刷システムで必要となる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決する第1の発明は,オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルに含まれ,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを,同じサイズの画像フレームに置換処理するレイアウト変換手段と,前記画像フレームに差し込まれる画像であって,バリアブルデータが記憶されたバリアブルデータファイルを参照し,前記テキストフレームに設定されたフィールド名に対応する前記バリアブルデータを差し込み,該テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキストを画像変換したテキスト画像を前記バリアブルデータファイルに含まれるレコードの数だけ生成する処理を,前記レイアウトファイルに含まれる前記テキストフレーム毎に実行するテキスト画像生成手段と,を含むように構成されることを特徴とするバリアブル印刷システムである。
【0017】
更に,第2の発明は,前記テキストフレームが前記画像フレームに置換された前記レイアウトファイルから,指定されたバリアブルプリンタ用のページ記述言語に対応したテンプレートファイルを生成する手段と,前記テキスト画像のフィールド名を前記バリアブルデータファイルに追加したバリアブルプリンタ用のデータベースファイルを生成する手段と,を含むことを特徴とする第1の発明に記載のバリアブル印刷システムである。
【0018】
第1の発明によれば,レイアウト変換手段によって,複数行の大きさに設定されたテキストフレームは画像フレームに置換され,テキスト画像生成手段によって,該テキストフレームにバリアブルデータを差し込み,禁則処理を施して自動改行したときのテキスト画像が生成され,該テキスト画像を対応する該画像フレームに差し込んでバリアブル印刷すれば,バリアブルプリンタのページ記述言語が自動改行・禁則処理に対応していなくとも,自動改行・禁則処理に対応させてバリアブル印刷することができるようになる。
【0019】
また,テキスト画像を対応する画像フレームに差し込んでバリアブル印刷できるようにするためには,第2の発明のように,バリアブル印刷システムに,テキストフレームが画像フレームに置換されたレイアウトファイルからテンプレートファイルを生成する機能を持たせ,更に,テキスト画像のフィールド名を前記バリアブルデータファイルに追加したデータベースファイルを生成する機能をもたせるとよい。
【0020】
更に,第3の発明は,コンピュータ装置に,オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルに含まれ,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを,同じサイズの画像フレームに置換処理させるレイアウト変換工程と,コンピュータ装置に,前記画像フレームに差し込まれる画像であって,バリアブルデータが記憶されたバリアブルデータファイルを参照し,前記テキストフレームに設定されたフィールド名に対応する前記バリアブルデータを差し込み,該テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキストを画像変換したテキスト画像を,前記バリアブルデータファイルに含まれるレコードの数だけ生成する処理を,前記レイアウトファイルに含まれる前記テキストフレーム毎に実行させるテキスト画像生成工程と,を含むことを特徴とするバリアブル印刷方法である。
【0021】
更に,第4の発明は,前記テキストフレームが前記画像フレームに置換された前記レイアウトファイルから,指定されたバリアブルプリンタ用のページ記述言語に対応したテンプレートファイルを生成する工程と,前記テキスト画像のフィールド名を前記バリアブルデータファイルに追加したバリアブルプリンタ用のデータベースファイルを生成する工程を含むことを特徴とする第3の発明に記載のバリアブル印刷方法である。
【0022】
更に,第5の発明は,オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルに含まれ,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを,同じサイズの画像フレームに置換処理する手段と,前記テキストフレームが前記画像フレームに置換された前記レイアウトファイルから,指定されたバリアブルプリンタ用のページ記述言語に対応したテンプレートファイルを生成する手段を備えていることを特徴とするレイアウト変換装置である。
【0023】
更に,第6の発明は,オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルと,バリアブルデータが記憶されたバリアブルデータファイルを参照し,前記画像フレームに差し込まれる画像であって,複数行の大きさに設定されたテキストフレームに設定されたフィールド名に対応する前記バリアブルデータを差し込み,該テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキストを画像変換したテキスト画像を,前記バリアブルデータファイルに含まれるレコードの数だけ生成する処理を,前記レイアウトファイルに含まれる前記テキストフレーム毎に実行し,前記テキスト画像のフィールド名を前記バリアブルデータファイルに追加したバリアブルプリンタ用のデータベースファイルを生成するするテキスト画像生成装置である。
【0024】
上述した第3の発明及び第4の発明はバリアブル印刷方法に係わる発明で,第5の発明から第6の発明は,本発明のバリアブル印刷システムに必要な装置に係わる発明である。
【発明の効果】
【0025】
このように,本発明によれば,最適化されたページ記述言語のように,禁則処理・自動改行に未対応のページ記述言語を利用してバリアブル印刷であっても,複数行またがって印刷される一つの文章を一行ずつ分割する必要のないバリアブル印刷システム,方法及び該バリアブル印刷システムで必要となる装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態のバリアブル印刷システムの構成を説明する図。
【図2】レイアウト変換装置のハードウェア構成を説明する図。
【図3】レイアウト変換装置の動作を説明するフロー図。
【図4】テキスト画像生成装置のハードウェア構成を説明する図。
【図5】テキスト画像生成装置の動作を説明するフロー図。
【図6】テキスト画像を生成する一例の内容を説明する図。
【図7】葉書のレイアウト図の一例を説明する図。
【図8】葉書の挨拶文の印刷領域を説明する図。
【図9】バリアブルデータファイルが更新される様子を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここから,本願発明の実施形態について,本願発明の技術分野に係わる当業者が,本願発明の内容を理解し,本願発明を実施できる程度に説明する。
【0028】
図1は,本実施形態のバリアブル印刷システム1の構成を説明する図で,図1で図示したバリアブル印刷システム1には,Indesign(登録商標)に代表されるDTP(Desktop publishing)ソフトウェアが実装されたオーサリング装置4と,自動改行・禁則処理に未対応のページ記述言語に対応しているバリアブルプリンタ5に加え,オーサリング装置4からの出力であるレイアウトファイルをDBMファイル8(DataBase Master File)に変換するレイアウト変換装置2と,複数行の大きさに設定されたテキストフレームにバリアブルデータが挿入されたテキストを画像変換したテキスト画像10を生成するテキスト画像生成装置3が含まれている。
【0029】
図1で図示したバリアブル印刷システム1を構成するテキスト画像生成装置3には,オーサリング装置4から出力されたレイアウトファイル6bと,レイアウトファイル6bにおいて設定されたフィールド名に続き,フィールド名の並び順にバリアブルデータをカンマで区切って並べたCSV形式のバリアブルデータファイル7が入力される。そして,テキスト画像生成装置3は,バリアブルデータファイル7を参照し,レイアウトファイル6bに含まれるテキストフレームの中から,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを抽出し,抽出したテキストフレーム毎に,テキストフレームに設定されたフィールド名に対応するバリアブルデータを差し込み,該テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したテキストの画像であるテキスト画像10を,バリアブルデータファイル7に含まれるレコードの数だけ生成する。
【0030】
なお,テキスト画像生成装置3は,複数行の大きさに設定されたテキストフレームのテキスト画像10を生成する処理を実行すると,該テキスト画像10のパスを記憶するフィールドをバリアブルデータファイル7に追加し,レイアウト変換装置2によって生成されるDBMファイル8のファイル名・パスやバリアブル印刷で利用するテキスト画像10が記憶されるフォルダのパスなど,バリアブル印刷に必要な情報がヘッダに記述されたバリアブルプリンタ5用のDBファイル9(DataBase File)を生成する。
【0031】
また,図1で図示したバリアブル印刷システム1を構成するレイアウト変換装置2の入力は,オーサリング装置4から出力されたレイアウトファイル6aで,レイアウト変換装置2は,レイアウトファイル6aに含まれるテキストフレームの中から,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを抽出し,抽出したテキストフレーム毎に,テキストフレームと同じサイズの画像フレームを生成し,該テキストフレームを該画像フレームに置換する処理を実行する。
【0032】
そして,レイアウト変換装置2は,テキストフレームを該画像フレームに置換する処理を実行すると,フィールド名がバリアブルデータの格納場所(placeholder)として利用され,バリアブルプリンタ5のページ記述言語で記述されたテンプレートファイルであるDBMファイル8を,テキストフレームが画像フレームに置換されたレイアウトファイル6aから生成する。
【0033】
テキスト画像生成装置3が生成したDBファイル9及び全てのテキスト画像10,並びに,レイアウト変換装置2が生成したDBM8ファイルは,ネットワークなどを利用してバリアブルプリンタ5に接続されたサーバ5aに送信され,該サーバ5aは,DBファイル9及びDBMファイル8それぞれを所定の格納場所に保存し,バリアブル印刷するとき,バリアブルプリンタ5のサーバ5aは,指定されたDBファイル9を読み込み,DBMファイル8などバリアブル印刷に必要な情報を取得してバリアブル印刷を実行する。
【0034】
このように,本実施形態におけるバリアブル印刷システム1によれば,レイアウト変換装置2によって,複数行の大きさに設定されたテキストフレームは画像フレームに置換され,テキスト画像生成装置3側によって,該テキストフレームにバリアブルデータを差し込み,禁則処理を施して自動改行したときのテキスト画像10が生成され,該テキスト画像10が対応する該画像フレームに差し込まれてバリアブルプリンタ5でバリアブル印刷されるため,バリアブルプリンタ5のページ記述言語が自動改行・禁則処理に対応していなくとも,自動改行・禁則処理に対応させてバリアブル印刷することができるようになる。
【0035】
ここから,本実施形態のバリアブル印刷システム1に含まれるレイアウト変換装置2及びテキスト画像生成装置3について詳細に説明する。なお,本実施形態のバリアブル印刷システム1に含まれるオーサリング装置4及びバリアブルプリンタ5は,従来の機器が利用できるため,あえて詳細には説明しない。
【0036】
図2は,レイアウト変換装置2のハードウェア構成を説明する図で,図3は,レイアウト変換装置2の動作を説明するフロー図である。
【0037】
図2に図示しているように,レイアウト変換装置2には,CPU2a(CPU: Central Processing Unit)と、BIOSが実装されるROM2b(ROM: Read-Only Memory)と、コンピュータのメインメモリであるRAM2c(RAM: Random Access Memory)と、外部記憶装置として大容量のデータ記憶装置であるハードディスク2dと,外部デバイスとデータ通信するための入出力インターフェース2eと、ネットワーク通信するためのネットワークインターフェース2fと、表示デバイス2g(例えば,液晶ディスプレイ)と,文字入力デバイス2h(例えば,キーボード)と,ポインティングデバイス2i(例えば,マウス)などを備え,ハードディスク2dには,CPU2aの振る舞いを制御するコンピュータプログラムとして,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを画像フレームに置換する手段として機能するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0038】
図3を参照しながら,レイアウト変換装置2の動作について説明する。複数行の大きさに設定されたテキストフレームを画像フレームに変換する際,レイアウト変換装置2には,記憶媒体やネットワークを利用して,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを少なくとも含むレイアウトファイル6aが入力される(S1)。
【0039】
レイアウト変換装置2に入力されるレイアウトファイル6aの形式は,オーサリング装置4の仕様に依存し,レイアウト変換装置2は該仕様に対応していることが必要になる。例えば,オーサリング装置4が,特許文献1で開示されているような装置であれば,レイアウトファイル6aのファイル形式は所定のスキーマに従ったXML形式になる。また,レイアウトファイル6aのファイル形式は,Indesign(登録商標)のファイル形式であってもよい。
【0040】
レイアウト変換装置2は,レイアウトファイル6aを参照し,レイアウトファイル6aに含まれるテキストフレームの中から,複数行にまたがるテキストフレームの抽出処理(S2)を実行する。
【0041】
複数行にまたがるテキストフレームの抽出処理法としては,様々な手法が考えられる。例えば,テキストフレームの縦サイズや上下のマージンなどを参照し,テキストフレームに設定されたフォントサイズが縦に2つ以上並べることが可能であれば,該テキストフレームを複数行にまたがるテキストフレームとして抽出することができる。
【0042】
レイアウト変換装置2は,テキストフレームを抽出すると,該テキストフレームを画像フレームに置換する処理(S3)を実行する。
抽出したテキストフレームを画像フレームに置換する処理は,該テキストフレームと同じサイズで,該テキストフレームと同じ位置座標である該画像フレームのレイアウトデータをレイアウトファイルに追加した後,該テキストフレームのレイアウトデータをレイアウトファイルから削除することでなされる。
例えば,レイアウトファイルがXML形式で記述されている場合,テキストフレームと置換される画像フレームのタグが該レイアウトファイルに追加され,該テキストフレームのタグが該レイアウトファイルから削除される。
【0043】
また,本実施形態では,レイアウト変換装置2が生成する画像フレームのラベル名は,置換されるテキストフレームのラベル名を利用し所定のアルゴリズムに従い生成される。 例えば,テキストフレームのラベル名(例えば,「挨拶文」)に所定の文字列(例えば,「テキスト画像」)を付け加えることで,テキストフレームと置換する画像フレームのラベル名(例えば,「挨拶文テキスト画像」)が生成され,レイアウトファイルに追加する画像フレームに設定されるテキストに含まれるフィールド名は,画像フレームのラベル名が用いられて記述される(例えば,[挨拶文テキスト画像])。
【0044】
レイアウト変換装置2は,複数行の大きさに設定されたテキストフレーム全てについて,画像フレームへ置換する処理を実行したか確認し(S4),画像フレームへ置換する処理が未実施の該テキストフレームがあれば(S3)に戻り,画像フレームへ置換する処理が未実施の該テキストフレームがなければ,画像フレームが追加されたレイアウトファイルから,バリアブル印刷に利用するバリアブルプリンタ5のページ記述言語に対応したDBMファイル8を生成する処理を実行し(S5),この手順を終了する。
【0045】
次に,テキスト画像生成装置3について説明する。図4は,テキスト画像生成装置3のハードウェア構成を説明する図で,図5は,テキスト画像生成装置3の動作を説明するフロー図で,図9は,バリアブルデータファイル7が更新される様子を説明する図である。
【0046】
図4に図示しているように,テキスト画像生成装置3のハードウェア構成はレイアウト変換装置2と同じで,テキスト画像生成装置3には,CPU3a(CPU: Central Processing Unit)と、BIOSが実装されるROM3b(ROM: Read-Only Memory)と、コンピュータのメインメモリであるRAM3c(RAM: Random Access Memory)と、外部記憶装置として大容量のデータ記憶装置であるハードディスク3dと,外部デバイスとデータ通信するための入出力インターフェース3eと、ネットワーク通信するためのネットワークインターフェース3fと、表示デバイス3g(例えば,液晶ディスプレイ)と,文字入力デバイス3h(例えば,キーボード)と,ポインティングデバイス3i(例えば,マウス)などを備え,ハードディスク3dには,CPU3aの振る舞いを制御するコンピュータプログラムとして,複数行の大きさに設定されたテキストフレーム毎に、該テキストフレームに設定されたフィールド名に対応するバリアブルデータを差し込み,禁則処理を施し自動改行したときのテキスト画像10を生成する手段として機能するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0047】
図5を参照しながら,レイアウト変換装置2の動作について説明する。
テキストフレームに設定されたフィールド名に対応するバリアブルデータを差し込み,禁則処理を施し自動改行したときのテキスト画像10を生成するために,テキスト画像生成装置3には,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを少なくとも含むレイアウトファイル6bと,CSV形式のバリアブルデータファイル7が入力される(S10)。
【0048】
レイアウト変換装置2と同様に,テキスト画像生成装置3に入力されるレイアウトファイル6bの形式は,オーサリング装置4の仕様に依存し,レイアウト変換装置2は該仕様に対応していることが必要になる。例えば,オーサリング装置4が,特許文献1で開示されているような装置であれば,レイアウトファイル6aのファイル形式は所定のスキーマに従ったXML形式になる。また,レイアウトファイル6aのファイル形式は,Indesign(登録商標)のファイル形式であってもよい。
【0049】
テキスト画像生成装置3は,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを少なくとも含むレイアウトファイル6bが入力されると,レイアウト変換装置2と同様に,該レイアウトファイル6bに含まれるテキストフレームの中から,複数行の大きさに設定されたテキストフレームの抽出処理(S11)を実行する。
【0050】
そして,テキスト画像生成装置3はテキストフレームを抽出すると,これから生成するテキスト画像10のファイル名を格納するフィールドをバリアブルデータファイル7に追加する処理(S12)を実行した後,バリアブルデータファイル7を利用して,バリアブルデータファイル7に含まれるレコード毎に該テキストフレームのテキスト画像10を生成するループ処理(L1)を実行する。
【0051】
なお,S12では,バリアブルデータファイル7に追加するフィールドのフィールド名は,レイアウト変換装置2と同じアルゴリズムで生成され,生成されたフィール名に対応する新規フィールドがバリアブルデータファイル7に追加される。
【0052】
図9(a)はフィールドが追加される前のバリアブルデータファイル7で,図9(b)は,フィールドが追加される前のバリアブルデータファイル7である。図9(b)では,ラベル名が「挨拶文」であるテキストフレームのテキスト画像のファイル名を記憶するフィールドとして,フィールド名が「挨拶文テキスト画像」,すべてのフィールド値がNullのフィールドが,図9(a)で図示したバリアブルデータファイル7に追加されている。
【0053】
ループ処理(L1)において,テキスト画像生成装置3は,まず,ループ処理(L1)の処理対象となるレコードのフィールド値を用いて,テキスト画像10のファイル名を生成する処理(S13)を実行する。
【0054】
本実施形態では,テキスト画像10のファイル名には,S12において,バリアブルデータファイル7に追加したフィールド名と,ループ処理の処理対象となるレコードの番号と,ファイル形式を示す拡張子が利用され,例えば,該フィールド名が「挨拶文テキスト画像」,ループ処理の処理対象となるレコードの番号が「001」,そして,ファイル形式を示す拡張子が「.eps」であれば,テキスト画像生成装置3は,ファイル名として「挨拶文テキスト画像001.eps」を生成する。
【0055】
テキスト画像生成装置3は,テキスト画像10のファイル名を生成すると,ループ処理(L1)の処理対象となるレコードと,バリアブルデータファイル7に追加したフィールドで一意に決定されるフィールドに該ファイル名を記述する処理(S14)を実行する。
【0056】
図9(c)は,テキスト画像10のファイル名が記述された後のバリアブルデータファイル7を説明する図である。図9(c)では,図9(b)の最初のレコードで,フィールド名が「挨拶文テキスト画像」であるフィールドに,テキスト画像のファイル名である「挨拶文テキスト画像001.eps」が記述されている。
【0057】
そして,テキスト画像生成装置3は,ループ処理(L1)の処理対象となるレコードを参照し,テキストフレームに設定されているフィールド名のフィールド値をバリアブルデータファイル7から取得し,テキストフレームにバリアブルデータを差し込んだテキストを生成した後,テキストフレームに設定されている書式に従い,禁則処理を施し自動改行したときのテキストの画像であるテキスト画像10を生成する(S15)。
【0058】
テキスト画像生成装置3は,テキストフレームにバリアブルデータを差し込んだときのテキスト画像10を生成すると,S13で生成したファイル名を用いて,該ファイル名の拡張子に対応するファイル形式でテキスト画像10を保存する(S16)。
【0059】
テキスト画像生成装置3は,テキスト画像10の生成対象となったテキストフレームについて,ループ処理(L1)が終了すると,複数行の大きさに設定されたテキストフレーム全てについてテキスト画像10を生成した確認し(S17),テキスト画像10を生成する処理が未実施の該テキストフレームがあれば(S12)に戻り,テキスト画像10を生成する処理が未実施の該テキストフレームがなければ,テキスト画像10に対応するフィールドが追加されたバリアブルデータファイル7の冒頭に,DBMファイル8のパスやバリアブル印刷で利用するテキスト画像10が記憶されるパスなど,バリアブル印刷に必要な情報を記述したヘッダをバリアブルデータファイル7に追加するなどしてDBファイル9を生成する処理(S18)を実行し,この手順を終了する。
【0060】
ここから,テキスト画像を生成する一例を示し,上述した内容について説明する。図6は,テキスト画像を生成する一例の内容を説明する図で,図6(a)は,テキスト画像生成装置3が抽出したテキストフレームを説明する図で,図6(a)で図示したテキストフレーム110のラベル名は「挨拶文」で,テキストフレーム110に設定されたテキストは,フィールド名であるname1,name2及びcomment1が[[ ]]で括られて記述され,name1は顧客の姓名,name2は顧客の名前,comment1は顧客に対する挨拶文の文面に対応するフィールド名である。
なお,「さん」はバリアブルデータではないため,定型文字としてテキストフレーム110に設定されている。
【0061】
図6(b)は,図6(a)で図示したテキストフレーム110のテキスト画像のファイル名111である。図6(b)で図示したテキスト画像のファイル名111は「挨拶文テキスト画像001.eps」で,図6(a)で図示したテキストフレーム110のラベル名「挨拶文」に,文字列「テキスト画像」と,レコード番号(ここでは,「001」)と,ファイル拡張子(ここでは,「.eps」)が付与されて,図6(b)で図示したテキスト画像のファイル名111が生成される。
【0062】
図6(c)は,図6(a)のテキストフレーム110に埋め込まれるバリアブルデータ112で,name1,name2及びcomment1の順に,それぞれのフィールド名の箇所に埋め込む文字列が,半角の「,」で区切られて記述されている。
【0063】
図6(d)は,バリアブルデータ112が差し込まれ,テキストフレーム110のサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキスト113で,図6(d)の一行目では,禁則処理のぶら下げの処理が施され,句点「。」が一行目の最後に組み入れられている。
【0064】
図6(e)は,図6(d)のテキスト113から生成されるテキスト画像114で,図6(a)のテキストフレーム110と同じサイズのボックス領域を用意し,図6(d)のテキスト113を1文字ずつ画像に変換処理し,該ボックス領域の文字位置に対応させて並べる処理が実行され,図6(d)のテキスト113から図6(e)のテキスト画像114が生成される。
【符号の説明】
【0065】
1 バリアブル印刷システム
2 レイアウト変換装置
3 テキスト画像生成装置
4 オーサリング装置
5 バリアブルプリンタ
6a,6b レイアウトファイル
7 バリアブルデータファイル
8 DBMファイル
9 DBファイル
10 テキスト画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルに含まれ,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを,同じサイズの画像フレームに置換処理するレイアウト変換手段と,
前記画像フレームに差し込まれる画像であって,バリアブルデータが記憶されたバリアブルデータファイルを参照し,前記テキストフレームに設定されたフィールド名に対応する前記バリアブルデータを差し込み,該テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキストを画像変換したテキスト画像を前記バリアブルデータファイルに含まれるレコードの数だけ生成する処理を,前記レイアウトファイルに含まれる前記テキストフレーム毎に実行するテキスト画像生成手段と,を含むように構成されることを特徴とするバリアブル印刷システム。
【請求項2】
前記テキストフレームが前記画像フレームに置換された前記レイアウトファイルから,指定されたバリアブルプリンタ用のページ記述言語に対応したテンプレートファイルを生成する手段と,前記テキスト画像のフィールド名を前記バリアブルデータファイルに追加したバリアブルプリンタ用のデータベースファイルを生成する手段と,を含むことを特徴とする請求項1に記載のバリアブル印刷システム。
【請求項3】
コンピュータ装置に,オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルに含まれ,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを,同じサイズの画像フレームに置換処理させるレイアウト変換工程と,コンピュータ装置に,前記画像フレームに差し込まれる画像であって,バリアブルデータが記憶されたバリアブルデータファイルを参照し,前記テキストフレームに設定されたフィールド名に対応する前記バリアブルデータを差し込み,該テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキストを画像変換したテキスト画像を,前記バリアブルデータファイルに含まれるレコードの数だけ生成する処理を,前記レイアウトファイルに含まれる前記テキストフレーム毎に実行させるテキスト画像生成工程と,を含むことを特徴とするバリアブル印刷方法。
【請求項4】
前記テキストフレームが前記画像フレームに置換された前記レイアウトファイルから,指定されたバリアブルプリンタ用のページ記述言語に対応したテンプレートファイルを生成する工程と,前記テキスト画像のフィールド名を前記バリアブルデータファイルに追加したバリアブルプリンタ用のデータベースファイルを生成する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載のバリアブル印刷方法。
【請求項5】
オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルに含まれ,複数行の大きさに設定されたテキストフレームを,同じサイズの画像フレームに置換処理する手段と,前記テキストフレームが前記画像フレームに置換された前記レイアウトファイルから,指定されたバリアブルプリンタ用のページ記述言語に対応したテンプレートファイルを生成する手段を備えていることを特徴とするレイアウト変換装置。
【請求項6】
オーサリング装置によって生成されたレイアウトファイルと,バリアブルデータが記憶されたバリアブルデータファイルを参照し,前記画像フレームに差し込まれる画像であって,複数行の大きさに設定されたテキストフレームに設定されたフィールド名に対応する前記バリアブルデータを差し込み,該テキストフレームのサイズに合わせて禁則処理を施し自動改行したときのテキストを画像変換したテキスト画像を,前記バリアブルデータファイルに含まれるレコードの数だけ生成する処理を,前記レイアウトファイルに含まれる前記テキストフレーム毎に実行し,前記テキスト画像のフィールド名を前記バリアブルデータファイルに追加したバリアブルプリンタ用のデータベースファイルを生成するテキスト画像生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−22773(P2011−22773A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166888(P2009−166888)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】