説明

バリア機能を有するポリマー複合フィルム

少なくとも1つのベースポリマー化合物および少なくとも1つのバリア機能層を含んでなり、バリア機能層が、架橋性であり、かつ架橋結合の後に水を吸収し、ゲル形成することができる、少なくとも1つのバインダーを含んでなる、特に、燻蒸法における使用のためのバリア機能を有するポリマー複合材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、農業燻蒸用の、バリア機能を有するポリマー複合フィルム、該ポリマー複合フィルムの製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性根覆いフィルムなど、雑草の生長を低減または特定の生分解性園芸用ポットのための、農業分野で用いられる様々なポリマーフィルムが知られている。これらのポリマーフィルム用品において重要なことは、環境的および化学的影響に対して材料を安定にする取り組み、または材料の生分解性を改善するという取り組みにある。
【0003】
添加剤を含む農薬に対して安定化された農業フィルムの例を、日本特許出願JP63175072に見ることができる。欧州特許出願EP0214507には、屋外農業用フィルムに使用されるUV安定剤の記載がある。
【0004】
それとは別に、様々な種類の添加剤を含有するオレフィンポリマーフィルムが、先行技術において一般的に知られている。例えば、US4538531には、透過性を減少させる量の1つまたはそれ以上の脂肪酸誘導体(例えばステアリン酸アミド)を含有する、燻蒸法における使用のための改良されたオレフィン系ポリマーフィルムが記載される。
【0005】
しかしながら、樹脂コスト、ポリマー加工性、フィルム強度、フィルム寿命およびフィルムバリア能におけるバランスは、いまだ課題である。
【0006】
この課題は、特に、化学処理剤の閉じ込めに用いられるフィルムの分野で、特に土壌処理防水シートまたは土壌被覆材において深刻な問題である。これらのためのフィルムおよび同様の用途の大量のシートは、化学処理剤が塗布され、所望され、処理が予想される領域に対して、化学処理剤を封じこめるために使用される。使用される化学処理剤は、しばしば、揮発性ガスであり、防止しない限り、拡散し、流され、分解し、または吹き飛ぶ傾向にある。これらの処理用化学物質の急速な減少や漏れは、いくつかの理由により好ましくない場合がある。例えば、化学物質は有害または毒性であるかもしれず、所望の処理効果を達成できない場合があり、および/または大量の化学物質が所望の効果の達成のために必要となり得る。
【0007】
前述の方法における閉じ込め用途に適合するフィルム提供の課題は、使用中にこれらのフィルムが、破裂しやすくなり裂けやすくなるという条件下にさらされることでさらに複雑になる。
【0008】
農業または園芸における全ての既知のポリマーフィルムは、様々な添加剤の必要性により、多くの場合に閉じ込め材の寿命が短くなるという問題を共有している。添加剤は、一方で、気体状化合物に対する浸透性を減少させ、他方では、破裂に対する耐性を減少させ、ポリマーフィルムをより脆くし得る。さらに、最もよく知られた燻蒸フィルムは、その膨張を防ぐために、オレフィンポリマー層にはさまれた、ポリエチレンビニルアルコールまたはポリアミドのようなバリアポリマーを含有する。あるいは、金属化多層フィルムが使用される。そのような多層構造は、高い巻き取り性とともに著しい剛性を示す。これらの2つの特性は、現場における応用を困難にし、大きな労力を要することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−175072号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0214507号明細書
【特許文献3】米国特許第4538531号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、剛性および巻き取り性を減少させるとともに、改良されたバリア機能、良好な加工性、および長い寿命を有するポリマー複合フィルム、好ましくは農業燻蒸法における使用のためのポリマー複合フィルムを提供することにある。
【0011】
本発明のさらなる課題は、そのようなポリマー複合フィルムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
該課題は、少なくとも1つのベースポリマー化合物および少なくとも1つのバリア機能層を含んでなり、バリア機能層が、架橋性であり、かつ架橋結合の後に水を吸収し、ゲル形成することができる少なくとも1つのバインダーを含んでなる、バリア機能を有するポリマー複合フィルム、特に農業用のポリマー複合フィルムにより解決される。本発明の好ましい実施態様において、該バインダーは、バインダーの重量の少なくとも約15倍、より好ましくは25倍の、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を吸収することができる。好ましくはバインダーが超吸収性ポリマーであり、より好ましくはバインダーがポリアクリレートである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、ガス透過分析セルの概略設計図である。
【図2】図2は、全体の透過速度を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
用語ベースポリマー化合物のもと、全てのポリマー化合物は、少なくとも12ヶ月の常時の屋外曝露に耐える十分なUV安定性および気候安定性を示し、農業で使用される有機殺生物剤と反応せず、その特性が有機殺生物剤により変化しないものであると理解される。ポリマー材料の柔軟性は、材料の厚さに依存しているため;特に、厚さ10〜250μmの柔らかいフィルムが、用語ベースポリマー材料に含まれると理解される。
【0015】
用語バリア機能層のもと、特に、燻蒸土壌から拡散により放出される燻蒸ガスの浸透に対して水壁を構築することができる、被覆層に基づく全てのポリマーが存在すると理解される。本発明の他の好ましい実施態様において、バリア機能層は水および、ポリマー1gあたり少なくとも100重量%の水を吸水することができる超吸水性ポリマーを含有する。
【0016】
燻蒸は、気体性農薬で領域を完全に満たし、その中の害虫を窒息させるまたは毒殺する害虫除去方法である。燻蒸は、建物、土壌、穀物および農作物に対して利用でき、また、外来生物の移動を防止するために、輸入物または輸出物の処理にも用いられる。燻蒸は、ガスを濃縮し、ガスが漏れないようにし、近隣の人々や野生生物に被害を与えないようにする。
【0017】
臭化メチルは、そのオゾン層破壊作用のために、モントリオール議定書により製造および使用が制限されるまで、燻蒸に最も広く使用されていた。他の広く使用される燻蒸剤は、ホスフィン、1,3−ジクロロプロペン、クロロピクリン、メチルイソシアネート、ヨウ化メチル、シアン化水素、フッ化スルフリル、二流化水素およびホルムアルデヒドである。
【0018】
燻蒸は、通常、以下の段階を含む。まず、燻蒸する領域を通常覆い、密封された環境を作り出す;続いて、燻蒸する空間に、燻蒸剤を散布する;その後、燻蒸ガスが空間に浸透し、作用し、領域内の害虫を殺す一定の期間保持される。その後、毒性ガスを空間から放出するために換気を行い、入っても安全な状態とする。
【0019】
有利なことに、本発明のバリア機能を有するポリマー複合材料は、良好な加工性と長い寿命を残したまま、長期間燻蒸化学物質の閉じ込めを確保できる。架橋性であり、架橋結合の後に水を吸収し、ゲル形成することができる、少なくとも1つのバインダーを含んでなるバリア機能層を採用することにより、燻蒸化学物質の透過性は非常に低減される。架橋性であり、架橋結合の後に吸水し、バリア層にゲル形成をすることができる、少なくとも1つのバインダーとの本発明の組み合わせは、(使用中に)水を吸収し、厳しい条件下でさえも吸収した水が蒸発することを防止することを確実にする。それとは別に、本発明フィルムの非常に簡単な取り扱いはバリア被覆層に起因して、剛性および巻き取り性が減少することにより達成される。
【0020】
本発明のベースポリマー化合物は、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(例えばLDPE、HDPEなど)およびポリプロピレン、ポリチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリウレタンからなる群から選択することができ、必要に応じて、一般に使用される顔料、UV安定剤、UV吸収剤、IR吸収剤および散光剤を含有し得る。これらの材料は、屋外暴露に対して要求される耐性を示し、柔軟性フィルムならびにトレイやポットのような型打ちされた形態で使用され得る。
【0021】
本発明のバリア被覆層は、好ましくは3つの構成要素:バインダー、添加剤および分散媒から形成される。一般的に、バリア被覆層は、ベースポリマー化合物と同様に、屋外暴露に対する同様の耐性を示すべきである。
【0022】
バインダーは、主に、ベースポリマーへの接着剤として機能する。バインダーは、様々な分子量を有するポリマー接着剤系である。バインダー中の分子は、硬化段階で架橋結合することができ、強度を改善しポリマー複合材料を作り出す。
【0023】
本発明の好ましい実施態様において、バリア被覆層は、架橋性であり、架橋結合後、不溶性となるが水膨潤性であり、吸水によりゲル形成することが可能なバインダーを含む、水溶性ポリマー接着剤系に基づき得る。本発明の用語「架橋性」は、バインダーが、好ましくは熱、圧力、放射および/または化学物質(以後、硬化剤ともいう)により開始される網状組織を形成することを意味する。本発明の用語「ゲル形成」とは、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、通常少なくとも95重量%の液体を含有するコロイド構造をいう。それは、少量のバインダーから形成される繊維状の高分子網状組織との間の表面張力により固定される。本発明の好ましい実施態様において、ゲルの液体は水であり、ゲルは水が分散媒であるヒドロゲルである。
【0024】
バインダーは、好ましくは、ゼラチン;アルギン酸塩;セルロース系ポリマー、例えばメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレートなど;デンプン系ポリマー、例えばカルボキシメチルデンプン;天然ゴム、例えばアラビアゴム、イナゴマメゴム、カラギーナンガムおよびキサンタンガム;ペクチン;酸基含有モノマーから形成されるポリマー、例えばポリ(アクリレート)(ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)などを含む)、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルアルコール)、無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルスルホネート)、結合加水分解型アクリロニトリルグラフト化デンプン、アクリル酸グラフト化デンプン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、ポリ(アクリル酸ナトリウム−コ−アクリル酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(エチレンオキシド)、エチレンオキシドとポリアミド、ポリエステル、およびポリウレタンのブロックコポリマー、ならびに上記の塩形態混合物およびコポリマーを含む群から選択される。
【0025】
特に好ましいバインダーは、水溶性(しかし、架橋結合後は不溶性)の化学的なおよび/または物理的な架橋性接着性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンオキシド;セルロース誘導体、例えばデキストランおよびデンプン;ポリアクリレート、例えばポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン系ポリマー、ゼラチン、カゼイン、キサンタンヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはエチレンオキシドとポリウレタンのブロックコポリマーからの分散体を含有する。
【0026】
最も有利な条件下で、自重の少なくとも約5倍、より好ましくは少なくとも約10倍、さらに好ましくは少なくとも15倍、最も好ましくは25倍量の、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を吸収することができる、ゲル形成、吸水性の架橋性被覆バインダーの特に有用な実例は、好ましくは、例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)などを含むポリ(アクリレート)、無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルスルホネート)、ポリ(アクリル酸ナトリウム−コ−アクリル酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)(例えば、米国特許US6‘737’491、US6‘849’685、US6‘887’961、US7‘115’321、US6‘964’803、US6‘808’801、US7‘205’259に記載される)、ゼラチンおよび/またはエチレンオキシドとポリウレタンのブロックコポリマーの分散体などの超吸収材を含む群から選択される。
【0027】
本発明の特に有用な被覆材は、少なくとも2つの吸水性の架橋性ポリマーバインダーの組み合わせを含んでなり、その1つの吸水性架橋性ポリマーバインダーはゼラチンである。特に好ましい実施態様において、被覆層は、ゼラチンバインダーと超吸水性バインダー、例えばポリアクリレートバインダーの組み合わせを含んでなる。
【0028】
ゼラチンが、吸水性の架橋性ポリマーの特性に実質的に支障をきたすことなく、ベースポリマーへの吸水性架橋性ポリマーの付着の支持材として、驚くほど有益であることが示されている。
【0029】
写真用ゼラチン、飼料用ゼラチン、食用ゼラチン、工業用ゼラチン、タンパクゼラチンなどの任意のゼラチンを、被覆層に好ましく用いることができる。添加剤として硬化剤を加えることにより、ゼラチンは、遊離アミノ基、イミノ基およびヒドロキシ基の反応により架橋結合する。
【0030】
添加剤は、被覆が特定の機能を行うことができるが、殺生物機能には寄与しない、被覆処方中の不溶性顔料または低分子量化学物質として定義される。添加剤には、限定されるものではないが、顔料が含まれる。顔料は、一般的に、被覆材の着色部分であるが、腐食防止または紫外(UV)光における安定性をもたらすものであってもよい。また、添加剤には、限定されるものではないが非顔料も含まれる。非顔料添加剤には、紫外光または熱の攻撃を防ぐ安定化剤、架橋結合の速度を速める硬化剤、粘度を上げる共溶媒、または均一な被覆を改善する可塑剤が含まれる。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施態様において、被覆層の材料を架橋結合させ、該層材のベースポリマーへの付着性を改善するための添加剤として、硬化剤、好ましくはホルムアルデヒドが使用される。
【0032】
特に有用な複合材料は、被覆材が、吸水性架橋性ポリマーと、好ましくは超吸水性ポリマーと、より好ましくはポリアクリレート、ゼラチンと硬化剤、好ましくはホルムアルデヒドとの組み合わせを含むベースポリマーに関する。
【0033】
分散媒は、一般的に、有機溶剤または水のような液体である。分散媒は、被覆材を流動性にし、例えば噴霧法、浸漬法、カスケードおよび/またはカーテン流延法により塗布できるようにするものである。この成分は、塗布前に被覆処方中に存在し得るが、その後気化し、固形材料が非流動化となりポリマー複合材料を形成することを可能にする。
【0034】
したがって、最終的な即用ポリマー複合材料に、分散媒は全く存在しなくても、一部存在していても、または存在していてもよい。好ましい実施態様において、最終的な即用ポリマー複合材料中に、分散媒は存在しないか、一部のみが存在する。しかしながら、当業者は、水やその他の液体が使用中にポリマー複合材料に吸収され、ポリマー複合材料の機能性に重要な役割を果たすということを認識している。
【0035】
さらに、本発明の好ましい実施態様において、水または、エタノール、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジクロルメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メタノール、ギ酸の水溶液および/または当業者に既知の他の溶剤が、分散媒として使用される。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施態様において、被覆層のベースポリマーへの付着を促進するため、ベースポリマーはコロナ処理される。
【0037】
本発明の他の好ましい実施態様において、ベースポリマー(好ましくはフィルム状)は、少なくとも片側がコロナ処理され、少なくとも片側に、バインダー、好ましくは超吸収材、より好ましくはポリアクリレートを有する少なくとも1つの層を含む。好ましい実施態様において、ベースポリマーは、少なくとも片側に、添加剤、好ましくは硬化剤を有する、少なくとも1つの被覆層をさらに含む。他の好ましい実施態様において、これらの被覆層の少なくとも1つは、さらにゼラチンを含む。本発明のより好ましい実施態様において、全ての層はさらにゼラチンを含む。本発明のより好ましい実施態様において、ベースポリマーは、少なくとも1つの有機殺生物剤を含む少なくとも1つの被覆層をさらに含む。
【0038】
本発明の他の好ましい実施態様において、ベースポリマーは、好ましくは両側がコロナ処理され、両側の少なくとも2つの層が、バインダー、好ましくは超吸収材、より好ましくはポリアクリレートを有する少なくとも1つの被覆層を含有する。好ましい実施態様において、ベースポリマーは、添加剤、好ましくは(流動停止のための)硬化剤を含む少なくとも1つの被覆層をさらに含有する。他の好ましい実施態様において、これらの被覆層の少なくとも1つは、さらにゼラチンを含む。本発明のより好ましい実施態様において、すべての層は、さらにゼラチンを含む。
【0039】
本発明の他の好ましい実施態様によるポリマー複合材料は、多層被覆構造であることができ、バリア機能層は反復被覆層に組み込まれる。一例として、異なるバインダーが異なる層に組み込まれてよく、または1つの層が異なるバインダーを含有してもよい。本発明の好ましい実施態様は、ポリマー複合材料が多層被覆構造であり、同一のまたは異なるバリア機能層が反復被覆層に組み込まれているポリマー複合材料を含有する。
【0040】
バリア機能層が、反復被覆層に組み込まれることにより、閉じ込め率の調整はさらに良好に達成可能となる。それとは別に、異なるバリア機能層を組み込むことができるので、フィルムの引っかき傷および表面的な損傷でさえも、潜在的に有害な化学物質の安全な閉じ込めを生じさせない。臭化メチルおよびヨウ化メチルの他、全ての他の燻蒸剤が、土壌燻蒸における害虫処理の有効性がないことが知られている。本発明の他の好ましい実施態様において、有機殺生物剤がバリア機能層に添加される。
【0041】
被覆層は、燻蒸化学物質を閉じ込め、これにより効果的な処理に必要な量を減らすことができるだけでなく、土壌に再び害虫がはびこることを防止することもできる。したがって、所望の効果を達成するために必要となる化学物質は、なお一層少ない。
【0042】
有機殺生物剤は、好ましくは、農薬、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、防カビ剤、殺貝剤、殺ダニ剤、および殺鼠剤からなる群から選択される。さらに、有機殺生物剤は、より好ましくは、殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、防腐剤、抗原虫剤、抗寄生虫剤ならびにそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0043】
本発明の他の好ましい実施態様において、殺生物剤は、医療用および食品用の防腐剤および/または消毒剤、ならびにそれらの混合物の群から選択される。
【0044】
農業、食品および医療分野での使用において安全と考えられている化学物質に対する規定は絶えず変化しているため、本発明にとって、化学物質、特に農業、食品および医療分野の防腐剤および消毒剤に対するに実際の公式規則に適合するような有機殺生物剤が、最も好ましい。
【0045】
特に、欧州委員会による欧州殺生物性製品指令(98/8/EC)に列挙された物質が、本発明の有機殺生物剤として好ましく使用される。
【0046】
本発明の他の好ましい実施態様において、有機殺生物剤は、アセトアミドおよびアニリド除草剤、例えばアラクロール、アセトクロール、メトラクロール、ナプロアミド、カルバメートおよびチオカルバメート除草剤、例えばアスラム、テルブガルブ、チオベンカルブ、クロロフェノキシ除草剤、例えば2,4−D、2,4−DP、2,4−DB、2,4,5−T、MCPA、MCPB、MCPP、ジカンバ、ジピリジル除草剤、例えばパラコート、ジコート、ニトロフェノリックおよびジニトロクレゾリック除草剤、例えばアルコニフェン(alconifen)、オキシフルオルフェン、リンスルフロン、トリフロキシスルホロン、シクロヘキシルオキシム除草剤、例えばクレトジム、セトキシジム、ホスホネート除草剤、例えばグリホセート、グリフシネート、ホスアミン、アンモニウム、トリアジン、トリアゾン、トリアゾロン除草剤、例えばシマジン、シアナジン、メトリブジン、カルフェントラゾン、尿素除草剤誘導体、例えばジウロン、フルメチュロン(flumeturon)、リニュロン、ハロウルフロン、エトキシスルホロン(ethoxysulforon)、抗生物質殺虫剤、例えばアバメシチン(abamecitin)、スピノサド、シクロジエン殺虫剤、例えばエンドスルファン、昆虫成長調整剤、例えばピリプロキシフェン、カルバメート殺虫剤、例えばメトミル、オキサミル、ニコテノイド除草剤、例えばイミダクロプリド、ピレスロイド除草剤、例えばシフルスリン、エスフェンバレレート、λ−シハロスリン、オキサジアジン殺虫剤、例えばインドキサカルブ、有機リン酸殺虫剤、例えばメタミドホス、アセフェート、ナレド、マラチオン、アセトアミドおよびアニリド防カビ剤、例えばメフェノキサム、ボスカリド(boscalid);フェンヘキサミド、脂肪族窒素防カビ剤、例えばシモキサニル、芳香族防カビ剤、例えばクロロタロニル、ジクロラン、カルバメートおよびチオカルバメート防カビ剤、例えばマンコセブ、マンネブ、プロパモカルブ、サイラム、コナコール、マイクロブタニル、イミダゾール、モルホリンおよびオキサゾール殺虫剤、チオフェネート、ジメトモルフ、ファモキサドン、有機リン酸防カビ剤、例えばホセチル、ファタリミド防カビ剤、例えばキャプタン、ストロビルリン防カビ剤、例えばアゾキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、アジベンゾラー、尿素誘導防カビ剤、例えばベンタルウロン、ペンシクロン、オクイナズアミド(oquinazamid)、4級アンモニウム防腐剤化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、4級アンモニウム関連防腐剤化合物、例えばクロルヘキシジングルコネート、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、オクテニジンジヒドロクロリドを含む群から選択される。
【0047】
最も好ましくは、本発明の有機殺生物剤は、室温で非液状、非油状の低揮発性の物質であり、それにより、物質は固体であり、または固形状で処方される。そのような物質の選択は、ポリマー複合材料の放出制御性および貯蔵安定性を改善する。特に、有機殺生物剤としての精油は、ポリマーベース化合物へ均一に分散することが困難であるため避けられるべきである。さらに、ポリマー複合材料の機械的安定性は、高い揮発性を有する液体または物質が組み込まれる場合には、気泡混入などにより、製造工程において低下することがあり得る。
【0048】
本発明の他の実施態様において、ポリマー複合材料は、太陽光および気候に対する少なくとも24ヶ月の屋外曝露に耐えることができる。これは、被覆層の有無に依存しない。そのような最低限の抵抗性を有することにより、ポリマー化合物は、農業において、例えば燻蒸または根覆いフィルムとしての使用目的の要求を確実に満たす。
【0049】
同様に、ポリマー複合材料は生分解性であるべきでない。ポリマー複合材料の機能は、例えば、ポリマー複合殺生物材の保護下で生長する植物に、雑草、害虫またはカビが害をもたらすことのないように、長期間にわたって使用可能であるべきである。さらに、フィルムのような使用目的の物品は、長期間にわたって使用可能であるべきであり、例えば一回の植え付け期および収穫期で分解されるべきでない。特に、フィルムは、好ましくは田畑から撤収可能であり、再利用可能であるべきであるため、フィルムの機械的安定性は高く保たれるべきである。
【0050】
当業者に既知の付加的な顔料、添加剤およびフィラーを含有するポリマー複合材料は、本発明の範囲に含まれる。
【0051】
本発明の好ましい実施態様において、バリア機能層は水を吸収することができ、少なくとも0.4mmの厚さの水壁を含む。このため、長期間および暑い気候条件下においてでさえも最低限の閉じ込めを提供することができる。
【0052】
バインダー、好ましくは超吸収材および好ましくはゼラチンをも含む被覆層全体の好ましい厚さは、1〜100μm、好ましくは5〜40μm、特に好ましくは10〜30μmである。被覆層全体は、バインダー、好ましくは超吸収材および好ましくはゼラチンも含むいくつかの層を、例えば、カスケードまたはカーテン流延を用いて被覆することにより製造することができる。添加剤、好ましくは硬化剤を含む被覆層全体の厚さは、0.2〜5μm、好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは2〜3μmである。添加剤、好ましくは硬化剤および好ましくはゼラチンをも含む被覆層全体は、硬化剤および好ましくはゼラチンも含むいくつかの層を、例えばカスケードまたはカーテン流延を用いて被覆することにより製造することができる。
【0053】
ベースポリマーは、10〜250μm、好ましくは20〜120μm、より好ましくは20〜50μmの厚さを有する。
【0054】
本発明の他の主題は、分散媒およびバインダー、好ましくは超吸収性ポリマー、より好ましくはポリアクリレートポリマーを含む、少なくとも1つのバリア機能化合物によりベースポリマー化合物を被覆し、混合物を硬化させ被覆層を得る工程を含む、本発明のポリマー複合材料の製造方法である。
【0055】
「バリア機能化合物」は、好ましくはさらにゼラチンを含有する。本発明の好ましい実施態様において、バインダー、好ましくは超吸収材、より好ましくはポリアクリレート、ゼラチンおよび添加剤としての硬化剤が、バリア機能化合物として用いられる。
【0056】
被覆化合物は、ベースポリマーでできたワークピースに、様々な方法で塗布することができる。被覆化合物を、パーツ全体に噴霧することができ、または、パーツを被覆材のタンクに浸漬することができる。他の方法としては、被覆材のパーツへのシャワーリング、または、大型円筒間でのパーツの圧延による被覆材への展着が挙げられる。
【0057】
カスケード流延またはカーテン流延は、ポリマー複合材料上へ、一段階で多層のまたは異なる厚さの塗布を有利に行うことができる。
【0058】
被覆層の塗布は、好ましくはカーテン被覆により行われる。カーテン被覆法は、写真用フィルムおよび紙の分野において周知であり、本発明の被覆に有利に適用することができる。本発明のポリマー複合材料を製造するために用いることができる改善されたカーテン被覆方法は、EP1023949A1、EP938935A2、US5,906,865、DE19500402およびEP275015B1に記載されるような方法を含む。したがって、それらは参照により組み込まれる。
【0059】
カーテン被覆法においては、ベースフィルムやペーパーウェブを、輸送装置により被覆ゾーン内を絶えず移動させ、その結果、自由落下している液状カーテンにより1層または多層が全体または部分的に被覆する。
【0060】
写真業界においてこの方法は使用され、例えば、感光性および非感光性被覆に適用される。これらの被覆は、ほとんどがベース上に液状の層組成物として被覆される水性被覆溶液から形成された多くの層を含む。カーテン被覆法におけるカーテンの幅は、ベースより広くても狭くてもよい。写真用のベースは、ほとんど合成フィルムまたはペーパーウェブである。被覆速度は、例えば、ベース材料や厚さにより、および液状カーテンの厚さおよびその粘度により変化し得る。いわゆる高速被覆速度の塗布において、写真用被覆溶液は、1分間あたり250メートルを超えるベーススピードで塗布される。その後被覆されたベースを、乾燥装置内に通し、被覆溶液を乾燥させる。該乾燥フィルムウェブを巻き上げる。この時点で、巻き取られた部分の周縁部は乾燥状態であるか、あるいは該ロール体の個々の層が接着されていなければならない。
【0061】
分散媒、バインダー、好ましくは超吸収性ポリマーおよび、必要に応じて、ゼラチンおよび/または添加剤を含有する被覆層を含むベースポリマー化合物のカーテン被覆法により、本発明のポリマー複合材料を製造できるという利点により、生産の高速化および低バルクコストの生産を達成することができる。
【0062】
好ましい実施態様において、バインダー、好ましくは超吸収材および分散媒を含有する被覆材を有する、好ましくはコロナ処理されたベースポリマー上においてカーテン被覆は行われる。他の好ましい実施態様において、バインダーを含む被覆材は、さらにゼラチンを含有する。さらなる好ましい実施態様においては、カーテン被覆の直前に添加剤として硬化剤を添加し、被覆する。さらなる好ましいカーテン被覆法は、添加剤として硬化剤を含有し分散媒を含む第2被覆材により行われる。他の好ましい実施態様において、第2被覆材はゼラチン、分散媒および添加剤として硬化剤を含み、硬化剤はカーテン被覆の直前にゼラチンに加えられる。他の好ましいカーテン被覆法は、少なくとも1つの殺生物剤および必要に応じてゼラチンおよび分散媒を含有する第3被覆材により行われる。
【0063】
好ましくは、本発明の方法は、ベースポリマー化合物の両側を、それぞれ少なくとも1つのバリア機能層を含む異なる混合剤により被覆するさらなる工程を含む。
【0064】
そのため、例えば、一方が土壌から拡散する化学物質の直接摂取をする層であり、他方がフィルムの外層上のさらなる閉じ込め層としての層であるなど、異なるバリア機能層を組み込むことが可能である。
【0065】
すでに簡単に上述したように、本発明のポリマー複合材料または本発明の方法により製造されるポリマー複合材料は、燻蒸法のための閉じ込めフィルムとして農業において好ましく使用することができる。
また、本発明は、本明細書において論考したようなポリマー複合材料を含む根覆いフィルム、燻蒸フィルム、育苗フィルムに関する。
【実施例】
【0066】
〔実施例1〕育苗フィルムの製造
ポリエチレンフィルムに下記のさらなる層を被覆した育苗フィルムを、カーテン流延機を用いて製造した。
【0067】
フィルム1:
ベース:コロナ処理した100μm厚の低密度ポリエチレン(LDPE)ポリエチレンフィルム
第1層:53.40gの水に溶解した、9.36g/m超吸収材S1(20〜40重量%ポリアクリル酸ナトリウム(CAS-No.: 9003-04-7)、2〜5重量%ポリエチレングリコール(CAS-No.: 25322-68-3)、水(CAS-No.: 7732-18-5)を含有する柔軟性吸収バインダー)
第2層:53.40gの水に溶解した、9.36g/m超吸収材S1
第3層:53.40gの水に溶解した、9.36g/m超吸収材S1
第4層:53.40gの水に溶解した、9.36g/m超吸収材S1
【0068】
フィルム2:
ベース:コロナ処理した100μm厚の低密度ポリエチレン(LDPE)ポリエチレンフィルム
第1層:53.40gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第2層:53.40gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第3層:53.40gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第4層:53.40gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第5層:27.53gの水に溶解した、2.34g/mのゼラチン
第6層:1.20g/mのゼラチン、1.33g/mの硬化剤H1(ホルムアルデヒド、濃度:10%水;被覆量はゼラチン1gあたり硬化剤H10.086g)。ゼラチンおよび硬化剤は、カーテン塗布の直前に28.20gの水と予備混合する。
【0069】
フィルム3:
ベース:コロナ処理した100μm厚の低密度ポリエチレン(LDPE)ポリエチレンフィルム
第1層:26.70gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第2層:26.70gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第3層:26.70gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第4層:26.70gの水に溶解した、9.36g/mの超吸収材S1および3.12g/mのゼラチン
第5層:27.53gの水に溶解した、2.34g/mのゼラチン
第6層:1.2g/mのゼラチン、1.33g/mの硬化剤H1を、カーテン塗布の直前に28.20gの水と予備混合する。
被覆後、フィルムを乾燥させた。
【0070】
〔実施例2〕フィルムの機械的安定性
調製した実施例1のフィルムを、蒸留水に10分間浸した。その後、過剰な水分を排水し、浸した層を流温水で洗い流すことにより機械的安定性を試験した。フィルム1の超吸収材S1はポリエチレン層から溶出したのに対して、フィルム2および3の付加層はポリエチレン層から溶出しなかった。
【0071】
〔実施例3〕フィルムの臭化メチル透過性
分析方法:
ガス透過性は、被覆した低密度性ポリエチレン(LDPE)フィルム(実施例1を参照)および被覆していない低密度性ポリエチレンフィルムを、多量のガス透過性の圧力測定(圧力下での増加を測定する)および、接続されたマルチガス測定用質量分析計を用いたインサイチューでのガス組成物の測定により測定した。
【0072】
分析装置の説明
使用した分析装置は、Mecadi GmbH(Homurg/Saar)製のガス透過セルである。この分析セルは、分析されるフィルムの間に気密法で挟まれた、2つの温度調整ステンレス鋼シリンダーヘッドからなる。フィルムは、バイトンOリング(Viton O ring)をフィルム材料へ両側から押し当てることにより、2つの半セルに対して密封される。受入側では、受入側よりも非常に高い絶対圧が起源側にかかっている場合においても、フィルムの機械的安定性を保証するだけでなく、透過を可能にするフィルムの存在しない場所において著しい減少が生じないようにするために、フィルム材料は多孔質焼結金属板上に存在する。絶対圧の変化を記録するために、高い精度の圧力センサー(0.1mbar感知度)を両方の半セルに取り付ける。受入側のセルは、外側に向かって3つのVSM精密計測弁(露出速度:<1〜10−9mbar*l/sec)により密封することができる(図1参照)。受入側の体積を、ガスピクノメーター分析および関連する累積体積により一度測定する。
【0073】
標準分析の方法:
分析セルは、25.5℃(+/−0.2℃)の一定温度に保たれる。受入側の温度を、連続して記録する。フィルムを挿入後、分析セルは、起源側においては少なくとも30分間不活性ガスにより浄化され、受入側においては真空ポンプの最終圧力(約2mbar)に至るまで排気される。その後、透過するガスまたはガス混合物(供給ガス)を起源側に挿入する。受入側においてガス累積過程の全期間で、ガスは20sccmの一定速度で起源側をかん流する。起源側のセルに供給ガスを挿入し始めてから少なくとも20分後、ポンプおよび質量分析計につながる弁を閉じ、受入側でのガス累積過程を開始する。受入側の圧力上昇は、時間の関数として、接続された測定データ自動記録装置により記録される。数時間ガスを累積させた後、質量分析計につながる弁を開け、受入側のセルに累積したガス組成物を分析した。質量分析計によるイオン流測定は、事前較正測定により定量化される。受入側のセルに、漏れにより外部から空気が侵入しているかどうかを測定するため、ガス大気の酸素含有量も試験する。
【0074】
湿らせたフィルムを使用した起源側における特定分析:
透過分析の前に特定の程度までフィルムを湿らせるため、起源側に20sccmの速度で窒素を広げることにより湿潤させる。この目的のため、窒素を、透過セルに投入する前に高さ10cmの水カラムを経て泡立てる。この工程を用いることにより、約50%の相対湿度が起源側に作り出される。この前処理の持続時間は、少なくとも12時間である。その後、乾燥窒素を10分間起源側のセル内に流すことにより、湿潤窒素を乾燥窒素により置換する。この前処理中、受入側のセルを、恒久的に排気する。
【0075】
透過性試験は、窒素および窒素中に5体積%のMeBrを含むガス混合物により行った。試験の結果、乾燥および湿潤下で、MeBr/窒素の透過性が、LDPEフィルムに対して得られた。
【0076】
全体的な透過(MeBr/N混合物)は、被覆したLDPEフィルムで50〜100倍減少した。全体的な透過(MeBr/N混合物)は、透過前の被覆層の湿潤により大きな影響を受けなかった(図2参照)。
【符号の説明】
【0077】
1:供給ガス
2:サーモスタット
3:圧力計
4:排出ガス
5:四重極質量分析計へ
6:真空ポンプへ
7:圧力計
8:フィルム
9:多孔質金属板
10:遮断弁(遮断弁間の累積体積=6.95cm
11:パージガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのベースポリマー化合物および少なくとも1つのバリア機能層を含み、バリア機能層が、架橋性であり、かつ架橋結合の後に水を吸収し、ゲル形成することができる、少なくとも1つのバインダーを含んでなる、バリア機能を有するポリマー複合材料。
【請求項2】
バインダーが、バインダーの重量の少なくとも約15倍、より好ましくは25倍の、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を吸収することができ;好ましくはバインダーが、超吸収性ポリマーであり、より好ましくはバインダーがポリアクリレートである、請求項1に記載のポリマー複合材料。
【請求項3】
ポリマー複合材料が、同一のまたは異なるバリア機能層が反復被覆層に組み込まれている多層被覆構造である、請求項1または2に記載のポリマー複合材料。
【請求項4】
有機殺生物剤が被覆層に組み込まれている、請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー複合材料。
【請求項5】
殺生物剤が、農薬、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、防カビ剤、殺貝剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、防腐剤、抗原虫剤、および抗寄生虫剤、医療用および食品用の防腐剤および/または消毒剤、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載のポリマー複合材料。
【請求項6】
ベースポリマー化合物が、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリウレタンからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー複合材料。
【請求項7】
少なくとも1つの被覆層がゼラチンを含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー複合材料。
【請求項8】
少なくとも1つの被覆層が、少なくとも1つの添加剤、好ましくは硬化剤、より好ましくはホルムアルデヒドを含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー複合材料。
【請求項9】
少なくとも1つの被覆層が、少なくとも1つの分散媒、好ましくは水および/または有機溶剤、より好ましくは水を含んでなる、請求項1〜8のいずれかに記載のポリマー複合材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリマー複合材料を製造する方法であって、ベースポリマー化合物を、分散媒およびバインダーを含むバリア機能化合物により被覆し、混合物を硬化して被覆層を得る工程を特徴とする方法。
【請求項11】
少なくとも1つのバリア機能層をそれぞれ含んでなる異なる混合物により、ベースポリマー化合物の両側を被覆するさらなる工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
被覆層の塗布を、カーテン式塗布により行う、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリマー複合材料の、または、請求項10〜12のいずれかに記載の方法により製造されたポリマー複合材料の、農業および/または園芸における使用。
【請求項14】
根覆いフィルム、燻蒸フィルムまたは育苗フィルムとしての、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリマー複合材料を含んでなる、根覆いフィルム、燻蒸フィルムおよび/または育苗フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−533779(P2010−533779A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517287(P2010−517287)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005545
【国際公開番号】WO2009/012882
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(504142961)バイエル・イノヴェイション・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Innovation GmbH
【Fターム(参考)】