説明

バルコニーの排水構造

【目的】バルコニー葺材を葺設する構成に起因してバルコニーの幅方向の側端部から漏水が滴下するのをなくす。
【構成】バルコニー下地材1の上にバルコニーの突出方向に一部が重ねられて葺設されるバルコニー葺材2において、バルコニー葺材2の葺設方向の一端部に略V字型の係合溝3を形成する。他端部に係合片4を折り曲げ垂下する。係合溝3に係合片4を差込み係合する。葺設されたバルコニー葺材2の上にバルコニー床材5を敷設したバルコニーである。バルコニー葺材2の側端側に係合溝3内に浸入した雨水を受けて排水する排水樋6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バルコニーの排水構造に関し、詳しくはバルコニー葺材を葺設する構成に起因してバルコニーの幅方向の側端部から漏水が滴下するのをなくそうとする技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図10に示すように、バルコニー下地材1の上にバルコニーの突出方向に一部が重ねられて葺設されるバルコニー葺材2において、バルコニー葺材2の葺設方向の一端部に略V字型の係合溝3が形成され、他端部に係合片4が折り曲げ垂下され、係合溝3に係合片4を差込み係合し、葺設されたバルコニー葺材2の上にバルコニー床材5を敷設したバルコニーにおいては、上述のように、バルコニー葺材2を葺設するのに、バルコニー葺材2の係合溝3に隣接のバルコニー葺材2の係合片4を差込み係合して、バルコニー葺材2の葺設をおこなうものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような構成のものにおいては、バルコニー葺材2を葺設するのに、バルコニー葺材2の係合溝3に隣接のバルコニー葺材2の係合片4を差込み係合して、バルコニー葺材2の葺設をおこなうが故に、例えばバルコニー葺材2の上に敷設された防水シート13などが破れるなどして、バルコニー葺材2の係合溝3に雨水が浸入し、これがバルコニー葺材2の端部にまで流れて、バルコニーの端部から滴下状に排水され、この側の側壁を汚したり、また、降雨時に側端部から雨水が滴下して外観を低下するなどという問題があった。
【0004】本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バルコニー葺材の係合溝に雨水が浸入してこれがバルコニーの側端部から滴下して排水するのをなくし、バルコニーの側端の側壁を汚したり、滴下による排水にて外観が低下されるのを回避することができるバルコニーの排水構造を提供しようとするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、バルコニー下地材1の上にバルコニーの突出方向に一部が重ねられて葺設されるバルコニー葺材2において、バルコニー葺材2の葺設方向の一端部に略V字型の係合溝3が形成され、他端部に係合片4が折り曲げ垂下され、係合溝3に係合片4を差込み係合し、葺設されたバルコニー葺材2の上にバルコニー床材5を敷設したバルコニーであって、バルコニー葺材2の側端側に係合溝3内に浸入した雨水を受けて排水する排水樋6を設けて成ることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】このように、バルコニー葺材2の葺設方向の一端部に略V字型の係合溝3が形成され、他端部に係合片4が折り曲げ垂下され、係合溝3に係合片4を差込み係合し、葺設されたバルコニー葺材2の上にバルコニー床材5を敷設したバルコニーであって、バルコニー葺材2の側端側に係合溝3内に浸入した雨水を受けて排水する排水樋6を設けることによって、バルコニー葺材2を葺設するのに、その係合溝3に係合片4を差込み係合する構成を採用しながら、バルコニーの側端部にはバルコニー葺材2の係合溝3に浸入した雨水は側端部に配設した排水樋6にて集められて排水され、バルコニーの端部から雨水が不測に滴下するのを回避し、バルコニーの側端部から雨水が滴下することで家屋の側壁などを汚すようなことがなく、かつ滴下が目について外観を低下するようなことをなくすようにしたものである。
【0007】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1(a)はバルコニーTの概略平面図を示し、(b)は図1(a)のAーA線断面図であり、バルコニーTを構成する箇所に屋根パネルPを架設してある。この屋根パネルPはチャンネル材を枠組した枠体7の上面に面板8を張設したものである。そして屋根パネルPの屋内側端部は家屋側の梁9に保持され、屋根パネル7の屋外部は必要ならば構造材10にて支持するようにしてもよい。
【0008】屋根パネルPの上部にはバルコニーTの突出方向に適宜間隔を隔てて桟材11を配し、これら桟材11の厚さはバルコニーTの屋外側程その厚さが薄くしてあり、これら桟材11間に合板12を架設して、バルコニー下地材1を構成し、このようなバルコニー下地材1の上に例えば板金製のバルコニー葺材2をその一部を重ねて葺設し、これらバルコニー葺材2の上に防水シート13を敷設し、防止シート13の上からバルコニー床材5を敷設してバルコニーTを構成するものである。
【0009】図2はバルコニー葺材2の斜視図を示していて、家屋側のバルコニー葺材2a、中間のバルコニー葺材2b及び屋外側のバルコニー葺材2cとがある。家屋側のバルコニー葺材2aの端部には起立片14が折り曲げられ、図7に示すように、この起立片14を家屋側の壁面に当接させ、この起立片14を面付水切下地木15にて押さえ、面付水切16にて面付水切下地木15を被い、面付水切16と家屋の側壁との間にシール剤17を充填してシールを図ってある。バルコニー葺材2aの屋外側部分は略V字型の係合溝3が複数本形成されている。そして中間のバルコニー葺材2bの屋内側端部には係合片4を折り曲げて垂下してある。しかして、図6に示すように、係合片4を係合溝3に係合してある。中間のバルコニー葺材2bの屋外側にも略V字型の係合溝3を複数本形成してある。そして、バルコニーAの先端側のバルコニー葺材2cの屋内側部分には係合片4を垂下してあり、この係合片4を中間のバルコニー葺材2bの係合溝3に係合してある。かかる場合、図6に示すように、水蜜材22を充填してある。バルコニーTの先端側のバルコニー葺材2cの屋外側端部には垂下片18を垂下して、この垂下片18をバルコニーTの先端に形成した排水溝体19内に進入させてある。
【0010】図3はバルコニーTの側端部の斜視図を示していて、桟材11間に合板12を架設したバルコニー下地材1にバルコニーTの側端側において、排水樋6を配設し、この排水樋6には合板12間に相当する箇所に切欠き20を形成し、この切欠き20においてバルコニー葺材2の係合溝3を一致させ、係合溝3に不測に浸入した雨水を排水樋6に排水することができるようにしてある。かかる場合、切欠き20において切り起こした切り起こし片20aを桟材11の上に載置させておくことで、桟材11側への漏水を回避するようにするとよい。
【0011】バルコニーTの側部の排水樋6はその前端部においてバルコニーAの排水溝体19に連通していて、排水樋6の雨水を排水溝体19に排水し、そして、この排水溝体19に取付けた排水縦樋21から排水することができるようにしてある。図中22は手摺りである。このように、バルコニー葺材2の葺設方向の一端部に略V字型の係合溝3が形成され、他端部に係合片4が折り曲げ垂下され、係合溝3に係合片4を差込み係合し、葺設されたバルコニー葺材2の上にバルコニー床材5を敷設したバルコニーであって、バルコニー葺材2の側端側に係合溝3内に浸入した雨水を受けて排水する排水樋6を設けることで、バルコニー葺材2を葺設するのに、その係合溝3に係合片4を差込み係合する構成を採用しながら、バルコニーの側端部にはバルコニー葺材2の係合溝3に浸入した雨水は側端部に配設した排水樋6にて集められて排水し、バルコニーの端部から雨水が不測に滴下するのを回避し、バルコニーの側端部から雨水が滴下することで家屋の側壁などを汚すようなことがなく、かつ滴下が目について外観を低下するようなことをなくすものである。
【0012】図8(a)は図1(a)のイ部に使用する排水樋6を示し、図8(b)は図1(a)のロ部に使用する排水樋6を示している。図8(c)はその使用形態を示し、一部を省略した斜視図を示している。図9は排水樋6の他の実施例を示していて、図9の排水樋6はこれの両側に突出長さの略等しいバルコニー下地材1が配設されるものである。
【0013】
【発明の効果】本発明は上述のように、バルコニー葺材の葺設方向の一端部に略V字型の係合溝が形成され、他端部に係合片が折り曲げ垂下され、係合溝に係合片を差込み係合し、葺設されたバルコニー葺材の上にバルコニー床材を敷設したバルコニーであって、バルコニー葺材の側端側に係合溝内に浸入した雨水を受けて排水する排水樋を設けてあるから、バルコニー葺材を葺設するのに、その係合溝に係合片を差込み係合する構成を採用しながら、バルコニーの側端部にはバルコニー葺材の係合溝に浸入した雨水は側端部に配設した排水樋にて集めて排水することができ、バルコニーの端部から雨水が不測に滴下するのを回避することができ、バルコニーの側端部から雨水が滴下することで家屋の側壁などを汚すようなことがなく、かつ滴下が目について外観を低下するようなことをなくすことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、(a)は概略平面図、(b)は図1(a)のAーA線の詳細断面図である。
【図2】同上のバルコニー葺材を示し、屋内側のバルコニー葺材、中間のバルコニー葺材及び屋外側のバルコニー葺材の斜視図である。
【図3】同上のバルコニー葺材を葺設する前の部分斜視図である。
【図4】図1(a)のBーB線の詳細断面図である。
【図5】図1(a)のCーC線の詳細断面図である。
【図6】同上のバルコニー葺材の接続構成を示す拡大断面図である。
【図7】同上のバルコニーの屋内側部における拡大断面図である。
【図8】同上の排水樋を示していて、(a)はバルコニーの側端部に使用される排水樋の斜視図、(b)はバルコニーの入隅部に使用される排水樋の斜視図、(c)は図8(b)の排水樋の使用形態を示し、一部省略した斜視図である。
【図9】同上の他の排水樋の使用形態を示し、一部省略した斜視図である。
【図10】従来例を示し、(a)は部分断面図、(b)は部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 バルコニー下地材
2 バルコニー葺材
3 係合溝
4 係合片
5 バルコニー床材
6 排水樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】 バルコニー下地材の上にバルコニーの突出方向に一部が重ねられて葺設されるバルコニー葺材において、バルコニー葺材の葺設方向の一端部に略V字型の係合溝が全長に形成され、他端部に係合片が折り曲げ垂下され、係合溝に係合片を差込み係合し、葺設されたバルコニー葺材の上にバルコニー床材を敷設したバルコニーであって、バルコニー葺材の側端側に係合溝内に浸入した雨水を受けて排水する排水樋を設けて成ることを特徴とするバルコニーの排水構造。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate