説明

バルブ固定構造

【課題】バルブの固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造を提供する。
【解決手段】リフレクタ20の環状リブ21に設けられた環状の円筒部22と、バルブ10が挿入される円形カバー部31と、前記円形カバー部31の周囲から延びる円筒カバー部32と、を含むカバー30と、前記円筒部22の先端面22aと前記円形カバー部31との間に配置された第1パッキン40と、前記バルブ10の端部12に挿入されたスペーサ50と、端部12に挿入された第2パッキン60と、を備えており、バルブ端部挿入用開口31aに挿入され、前記第1パッキン40が前記円形カバー部31と前記円筒部22との間に挟持され、前記第2パッキン60が前記スペーサ50の環状面52との間に挟持され、かつ、前記スペーサ50の押圧部51が前記第2パッキン60を介して口金11側に付勢されて固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ固定構造に係り、特にバルブの固定と防水とを同時に実現することが可能なバルブ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルブ固定用スプリングを用いてバルブをリフレクタに固定するバルブ固定構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図12に示すように、特許文献1に記載のバルブ固定構造200は、リフレクタ210に回動自在に設けられたバルブ固定用スプリング220を備えており、このバルブ固定用スプリング220をリフレクタ210に設けられた掛止部230に係合させることでバルブ240をリフレクタ210に固定する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−66712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成のバルブ固定構造200においては、バルブ240をリフレクタ210に固定することが可能であるものの、シール性が全く考慮されていないため、シールのための構造(例えば防水カバー)を別途設けなければならない、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、バルブの固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、リフレクタに形成されたバルブ挿入用開口に、前記リフレクタの背面側から口金が前記バルブ挿入用開口の周囲に設けられた環状リブに当接するまで挿入されたバルブを、前記リフレクタに固定するバルブ固定構造において、前記リフレクタの背面側の前記環状リブの周囲に設けられ、前記バルブの光軸方向に延びるとともに先端に環状の先端面が形成された円筒部と、前記バルブの端部が挿入されるバルブ端部挿入用開口が形成された円形カバー部と、前記円形カバー部の周囲からリフレクタ側に延びる円筒カバー部と、を含むカバーと、前記円筒部の先端面と前記円形カバー部との間に配置されたリング形状の第1パッキンと、前記バルブの端部に挿入されたリング形状のスペーサと、前記スペーサが挿入された前記バルブの端部に挿入されたリング形状の第2パッキンと、を備えており、前記スペーサは、前記口金が対向する側に配置された押圧部と、前記第2パッキンが対向する側に配置された環状面と、を含んでおり、前記バルブの端部が前記バルブ端部挿入用開口に挿入され、前記円筒部が前記円筒カバー部に挿入され、前記第1パッキンが前記円形カバー部と前記円筒部の先端面との間に挟持され、前記第2パッキンが前記円形カバー部と前記スペーサの環状面との間に挟持され、かつ、前記スペーサの押圧部が前記第2パッキンを介して前記口金側に付勢されて前記口金に当接し当該口金を前記環状リブに対し押圧して固定するように、前記カバーは前記リフレクタに固定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、カバーをリフレクタに固定することのみで、バルブをリフレクタに固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン及び第2パッキンからなる防水構造を構成することが可能となる。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、バルブの固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造を構成することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記円筒カバー部の内周面には周方向に延びるネジ溝が形成されており、前記円筒部の外周面には前記円筒カバー部の内周面に形成されたネジ溝に螺合するネジ溝が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、カバーをリフレクタに螺合させることのみで、バルブをリフレクタに固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン及び第2パッキンからなる防水構造を構成することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記円筒部の外周面には複数の爪部が周方向に配置されており、前記円筒カバー部のうち前記複数の爪部に対応する部分には前記複数の爪部が係合する切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、複数の爪部を切欠部に係合させることのみで、すなわち、ほぼワンタッチで、バルブをリフレクタに固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン及び第2パッキンからなる防水構造を構成することが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記円形カバー部のうち前記スペーサが対向する側の面には複数の爪部が周方向に配置されており、前記スペーサは、前記複数の爪部が外周縁に係合することで前記円形カバー部に装着されており、前記第2パッキンは、前記円形カバー部と前記スペーサとの間に挟持されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、カバーをリフレクタに固定することのみで、バルブをリフレクタに固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン及び第2パッキンからなる防水構造を構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、バルブの固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態であるバルブ固定構造100の縦断面図である。
【図2】図1に示したバルブ固定構造100の分解斜視図である。
【図3】(a)バルブ10の口金11の形状例1、(b)バルブ10の口金11の形状例2である。
【図4】カバー30をリフレクタ20に固定するための構成例1の斜視図である。
【図5】カバー30をリフレクタ20に固定するための構成例1の縦断面図である。
【図6】カバー30をリフレクタ20に固定するための構成例2の斜視図である。
【図7】図6に示した構成例2において用いられる円筒部22の正面図である。
【図8】カバー30とリフレクタ20との結合関係を説明するための上面図である。
【図9】カバー30をリフレクタ20に固定するための構成例2の縦断面図である。
【図10】カバー30(スペーサ50をカバー30に仮固定するための構成)の正面図である。
【図11】図10に示したカバー30のA−A断面図である。
【図12】(a)従来のバルブ固定構造200の横断面図、(b)従来のバルブ固定構造200のバルブ固定用スプリング220周辺を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態であるバルブ固定構造について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態のバルブ固定構造100は、自動二輪車の前照灯等に適用されるものであり、図1、図2に示すように、バルブ10、バルブ10が挿入されるバルブ挿入用開口20aが形成されたリフレクタ20、カバー30、第1パッキン40、スペーサ50、第2パッキン60等を備えている。
【0019】
バルブ10は、例えばH4タイプのハロゲンバルブであり、周方向に配置された3つの爪部11aを含む鍔状の口金11を備えている。
【0020】
リフレクタ20は、バルブ挿入用開口20aの周囲に設けられた環状リブ21と、環状リブ21の周囲に設けられ、バルブ10の光軸AX方向に延びるとともに先端に環状の先端面22aが形成された円筒部22と、を含んでいる。
【0021】
環状リブ21には、バルブ10の3つの爪部11aが挿入される3つの凹部21aが周方向に形成されている。バルブ10は、リフレクタ20の背面側からバルブ挿入用開口20aに口金11(の爪部11a)が環状リブ21(に形成された凹部21a)に当接するまで挿入されている。
【0022】
カバー30は、バルブ10の端部12が挿入されるバルブ端部挿入用開口31aが形成された円形カバー部31と、円形カバー部31の周囲からリフレクタ20側に延びる円筒カバー部32と、を含んでいる。
【0023】
第1パッキン40は、例えば、ゴム又はスポンジ等の弾性材料からなるリング形状のパッキンであり、円筒部22の先端面22aと円形カバー部31との間に配置されている。第1パッキン40は、例えば、円筒カバー部31のうち円筒部22の先端面22aが対向する環状領域に予め組み付けられている。
【0024】
スペーサ50は、例えば、樹脂又はADC等の金属材料からなるリング形状のスペーサであり、バルブ10の端部12に挿入されている。
【0025】
第2パッキン60は、ゴム又はスポンジ等の弾性材料からなるリング形状のパッキンであり、スペーサ50が装着されたバルブ10の端部12に挿入されている。
【0026】
スペーサ50は、バルブ10の口金11が対向する側に配置された押圧部51と、第2パッキン60が対向する側に配置された環状面52と、を含んでいる。
【0027】
押圧部51としては、例えば、図3(a)に示すように、バルブ10の口金11が、一部の幅が狭いD字形状の環状面11bを含んでいる場合には、D字形状の環状面11bに当接するD字形状の押圧部51(例えば、D字の縦棒に対応する箇所が切り欠かれた環状の押圧部51。図2、図10参照)が用いられる。一方、図3(b)に示すように、バルブ10の口金11が、均一幅の環状面11bを含んでいる場合には、当該均一幅の環状面11bの全周に当接する環状の押圧部51が用いられる。
【0028】
図1に示すように、バルブ10の端部12がバルブ端部挿入用開口31aに挿入され、円筒部22が円筒カバー部32に挿入され、第1パッキン40が円形カバー部31と円筒部22の先端面22aとの間に挟持され、第2パッキン60が円形カバー部31とスペーサ50の環状面52との間に挟持され、かつ、スペーサ50の押圧部51が第2パッキン60を介してバルブ10の口金11側に付勢されて口金11に当接し当該口金11を環状リブ21に対し押圧して固定するように、カバー30はリフレクタ20に固定されている。
【0029】
これにより、バルブ10がリフレクタ20に固定されるとともに、パッキン40がリフレクタ20とカバー30との間をシールし、パッキン60がカバー30とバルブ10との間をシールする防水構造が構成される(図1参照)。
【0030】
次に、カバー30をリフレクタ20に固定するための構成について説明する。
【0031】
図4、図5は、円筒カバー部32の内周面に周方向に延びるネジ溝を形成し、円筒部22の外周面に円筒カバー部32の内周面に形成されたネジ溝に螺合する周方向に延びるネジ溝を形成した例である。
【0032】
このようにすれば、カバー30をリフレクタ20にネジ止め固定することのみで、バルブ10をリフレクタ20に固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン及び第2パッキンからなる防水構造を構成することが可能となる。すなわち、バルブ10の固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造100を構成することが可能となる。
【0033】
図6、図7は、円筒部22の外周面に3つの爪部22bを周方向に配置し、円筒カバー部32のうち3つの爪部22bに対応する部分に爪部22bが係合する3つの切欠部32a(光軸AX方向に延びさらに周方向延びる3つの切欠部32a)を形成した例である。
【0034】
このようにすれば、3つの切欠部32aの端面32a1に突き当たるまで3つの爪部22bを切欠部32aに挿入しカバー30を回転させて切欠部32aに係合させることのみで、すなわち、ほぼワンタッチで、バルブ10をリフレクタ20に固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン40及び第2パッキン60からなる防水構造を構成することが可能となる。すなわち、バルブ10の固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造100を構成することが可能となる。
【0035】
なお、カバー30が逆回転しないように、切欠部32aには逆回転規制用凸部32a2を設けるのが望ましい(図6、図8参照)。
【0036】
次に、スペーサ50をカバー30に仮固定するための構成について説明する。
【0037】
図10、図11は、円形カバー部31のうちスペーサ50が対向する側の面に3つの爪部31bを周方向に配置し、これら3つの爪部31bをスペーサ50の外周縁に係合させることで、スペーサ50をカバー30に仮固定した例である。第2パッキン60は、カバー30(円形カバー部31)とスペーサ50との間に挟持されている。なお、3つの爪部31bは、スペーサ50が円形カバー部31に対し摺動しながら回転できるように、スペーサ50の外周縁に緩く係合している。なお、図5、図9も同様の仮固定の構成を備えている。
【0038】
このようにすれば、カバー30をリフレクタ20に固定することのみで、バルブ10をリフレクタ20に固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン40及び第2パッキン60からなるシール構造(防水構造)を構成することが可能となる。すなわち、バルブ10の固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造100を構成することが可能となる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、カバー10をリフレクタ20に固定することのみで、バルブ10をリフレクタ20に固定することが可能となる。なおかつ、第1パッキン40及び第2パッキン50からなる防水構造を構成することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、バルブ10の固定と防水との両立が可能なバルブ固定構造100を構成することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態によれば、バルブ10の端部12の長さ寸法が比較的短いバルブであっても、それに応じてスペーサ50の高さ寸法を調整することで、保持、シールすることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態によれば、防水のための構造(例えば防水カバー)を別途設けるのではなく、バルブ保持構造と防水構造とが一体の構成であるため、バルブ保持構造100全体をコンパクトにすることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態によれば、従来のバルブ固定用スプリング220(図12(a)、図12(b)参照)が不要となり、なおかつ、バルブ固定用スプリング220を保持する金属プレートがネジ止め固定される厚肉のリフレクタ部分が不要となるため、当該厚肉のリフレクタ部分に起因するリフレクタ(反射面)への影響を防止することが可能となる。
【0043】
従来のバルブ固定構造200は、図12(a)に示すように、バルブ固定用スプリング220が係合する掛止部230が円筒部材の奥まった場所に配置されていたため、当該掛止部230を目視しづらく、作業性が悪いという問題があった。
【0044】
これに対し、本実施形態では、カバー30を固定すべきリフレクタ20の部位が完全に露出して目視しやすくなっているため(図1、図2参照)、従来と比べ、作業性を向上させることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態によれば、従来のバルブ固定用スプリング220(図12(a)、図12(b)参照)、バルブ固定用スプリング220を保持する金属プレート、金属プレートをネジ止めするためのネジ等が不要となるため、組み立て時の工数低減及びネジトルク管理等が不要となり、コスト低減することが可能となる。
【0046】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
100…バルブ固定構造、10…バルブ、11…口金、11a…爪部、11b…環状面、12…端部、20…リフレクタ、20a…バルブ挿入用開口、21…環状リブ、21a…凹部、22…円筒部、22a…先端面、22b…爪部、30…カバー、31…円形カバー部、31a…バルブ端部挿入用開口、31b…爪部、32…円筒カバー部、32a…切欠部、32a1…端面、32a2…逆回転規制用凸部、40…第1パッキン、50…スペーサ、51…押圧部、52…環状面、60…第2パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフレクタに形成されたバルブ挿入用開口に、前記リフレクタの背面側から口金が前記バルブ挿入用開口の周囲に設けられた環状リブに当接するまで挿入されたバルブを、前記リフレクタに固定するバルブ固定構造において、
前記リフレクタの背面側の前記環状リブの周囲に設けられ、前記バルブの光軸方向に延びるとともに先端に環状の先端面が形成された円筒部と、
前記バルブの端部が挿入されるバルブ端部挿入用開口が形成された円形カバー部と、前記円形カバー部の周囲からリフレクタ側に延びる円筒カバー部と、を含むカバーと、
前記円筒部の先端面と前記円形カバー部との間に配置されたリング形状の第1パッキンと、
前記バルブの端部に挿入されたリング形状のスペーサと、
前記スペーサが挿入された前記バルブの端部に挿入されたリング形状の第2パッキンと、
を備えており、
前記スペーサは、前記口金が対向する側に配置された押圧部と、前記第2パッキンが対向する側に配置された環状面と、を含んでおり、
前記バルブの端部が前記バルブ端部挿入用開口に挿入され、前記円筒部が前記円筒カバー部に挿入され、前記第1パッキンが前記円形カバー部と前記円筒部の先端面との間に挟持され、前記第2パッキンが前記円形カバー部と前記スペーサの環状面との間に挟持され、かつ、前記スペーサの押圧部が前記第2パッキンを介して前記口金側に付勢されて前記口金に当接し当該口金を前記環状リブに対し押圧して固定するように、前記カバーは前記リフレクタに固定されていることを特徴とするバルブ固定構造。
【請求項2】
前記円筒カバー部の内周面には周方向に延びるネジ溝が形成されており、
前記円筒部の外周面には前記円筒カバー部の内周面に形成されたネジ溝に螺合するネジ溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ固定構造。
【請求項3】
前記円筒部の外周面には複数の爪部が周方向に配置されており、
前記円筒カバー部のうち前記複数の爪部に対応する部分には前記複数の爪部が係合する切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ固定構造。
【請求項4】
前記円形カバー部のうち前記スペーサが対向する側の面には複数の爪部が周方向に配置されており、
前記スペーサは、前記複数の爪部が外周縁に係合することで前記円形カバー部に装着されており、
前記第2パッキンは、前記円形カバー部と前記スペーサとの間に挟持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバルブ固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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