説明

バルーン装置

【課題】 第2のガスを充填した内部バルーンを容器又はバルーンに充填した第1のガス中で長時間萎まずに浮遊させることができるバルーン装置を提供すること。
【解決手段】 透明な容器10(又は透明な外被バルーン)と容器内に収容する内部バルーンとを有する。容器10内に第2のガスを充填して内部バルーン20を収容するとともに、容器10内に第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填して密閉状態に閉塞する。容器10は容器本体11に蓋体12を被せ止め金具13によって密閉する。内部バルーン20にはバランサー22を設ける。内部バルーン20は容器10(又は外被バルーン)中で浮上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーン装置に関しており、さらに詳しくは、ガスを充填した内部バルーンを容器又は外被バルーン中で浮遊させるバルーン装置に関している。
【背景技術】
【0002】
バルーンの素材にプラスチックフィルムが使用されるようになってから、各種形状を備えたバルーンが提供されるようになり、また、内部にヘリウムガスを充填して空気中で浮遊させるようにしたバルーンも提供されており、いずれも広く知られたバルーンとなっている。
【0003】
近年においても、内部にヘリウムガスを充填して空気中で浮遊させるバルーンの開発が行われており、その一例が、下記の文献によって提案されている。
【特許文献1】特開2004−41591号公報
【特許文献2】特開2005−192869号公報
【0004】
特許文献1に記載のバルーンは、風船本体2(公報の符号であり、以下同じ)の下部にゴンドラ部材4を紐5で連結し、ゴンドラ部材4内にキャラクター人形等の形象物3を収容したものであり、風船本体2が空気中に浮かび面白みが増すというものである。
【0005】
また、特許文献2に記載のバルーンは、空中を浮遊しながら操作指示に応じて空中を運動するものであって、魚形状空中遊泳体が、頭部11(公報の符号であり、以下同じ)のバルーン111と、胴部13のバルーン113と、尾鰭15とを備え、これらが連結部31,32で連結されていて、胴部13に搭載した制御用コンプュータの制御により空中を浮遊するものである。
【0006】
特許文献1及び2に記載されたバルーンは、いずれも興味あるものとして提案されており、技術的に問題となるものはないが、問題点をあげるとすれば、ヘリウムガスは分子が細かいのでバルーンに充填した場合、通常は1〜7日間で抜けてしまいバルーンが長持ちしないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ガスを充填した内部バルーンを容器又は外被バルーン中で長時間萎まずに浮遊させることができるようにしたバルーン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
解決手段の第1は、透明な容器又は透明な外被バルーンと、該容器又は外被バルーンに収容する内部バルーンとを有し、上記容器又は外被バルーンおよび上記内部バルーン内にガスを充填するものであって、上記容器又は外被バルーンに充填する第1のガスは上記内部バルーンに充填する第2のガスよりも比重が大きいものを選択することにより当該容器又は外被バルーン内で上記内部バルーンを浮上させることを特徴とするものである。
【0009】
解決手段の第2は、解決手段の第1において、容器が、容器本体と蓋体を有し、上記容器本体の開放部に上記蓋体がパッキンを介して装着したものであって、当該容器内に第2のガスを充填した内部バルーンを収容するとともに、上記第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填して閉塞することを特徴とするものである。
【0010】
解決手段の第3は、解決手段の第1において、外被バルーンが、2枚のプラスチックフィルムを重合し、当該外被バルーンの外周部から突出して形成した口部に、逆止弁構造を備えた気体供給弁を設けて適宜形状に溶断したものであって、上記溶断工程の前に第2のガスを充填した内部バルーンを収容し、上記外被バルーン内に上記気体供給弁から上記第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填することを特徴とするものである。
【0011】
解決手段の第4は、解決手段の第1において、外被バルーンは、2枚のプラスチックフィルムを重合し、当該プラスチックフィルムの間に第2のガスを充填した内部バルーンを収容すると共に、上記内部バルーンに充填した第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填して適宜形状に溶断することを特徴とするものである。
【0012】
解決手段の第5は、解決手段の第1から4のいずれかにおいて、容器又は外被バルーン内に封入する第1のガスが、空気中では浮上しない内部バルーンを浮上させる比重を有しているものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1は、容器又は外被バルーンに、第2のガスを充填した内部バルーンを収容するとともに、内部バルーンに充填した第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填したものであるから、内部バルーンを容器又は外被バルーン中で浮遊させることができるものであって、大気中では浮上しないものを浮上させることができ興味あるバルーンが得られる効果を奏するものである。また、内部バルーンに充填する第2のガスが、例えば空気であれば、ヘリウムガスを充填したものに比べてガス漏れ現象がなく、長期間萎まずに浮遊させることが可能となるものである。
【0014】
請求項2は、容器が、容器本体と蓋体を有しており、両者はパッキンを介して密閉されているから、容器内に収容する内部バルーンを交換して楽しむことができるものとなっている。
【0015】
請求項3は、外被バルーンが、2枚のプラスチックフィルムを重合して適宜形状に溶断し、気体供給弁を設けたものであるから、各種形状を有するものが得られるだけでなく、気体供給弁を使用して内部にガスを充填できるから、バルーンを予め製造しておく必要がなく管理または保管が容易なものとなる。
【0016】
請求項4は、外被バルーンが、2枚のプラスチックフィルムを重合し、該プラスチックフィルムの間に第2のガスを充填した内部バルーンを収容するとともに、上記内部バルーンに充填した第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填して適宜形状に溶断したものであるから、商品として完成品を提供でき、店頭でバルーンを膨らませる作業が省略できるものである。
【0017】
請求項5は、容器又は外被バルーン内に充填する第1のガスが、空気中では浮上しない内部バルーンを浮上させる比重を有しているものであるから、興味あるバルーンが得られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明に係るバルーン装置を示す斜視図、図2は容器内に収容する内部バルーンを示す斜視図、図3は他の実施形態によるバルーン装置を示す斜視図である。
【0019】
第1実施例
図1,図2は第1実施例を示しており、透明容器に内部バルーンが収容されているものである。図において、10は容器を示しており、好ましくは透明な容器である。20は容器10内に収容した内部バルーンである。
【0020】
実施形態における容器10は、透明なアクリル樹脂製がよく、有底な容器本体11と蓋体12とからなり、容器本体11の開放部に、蓋体12がパッキン(図示しない)を介して装着されており、該蓋体12は止め金具13によって密封状態を維持して閉塞されるものである。また、上記内部バルーン20は、2枚のプラスチックフィルム材を重合し、口部21を残して円形に溶断したものであり、上記口部21からバルーン内部に第2のガスを充填した後当該口部を溶接したものである。22は内部バルーン20に設けたバランサーであり、内部バルーン20を容器10内に収容した時に当該内部バルーンの姿勢を安定よく維持するためのものである。
【0021】
実施形態において、内部バルーン20は、2枚のプラスチックフィルム材を重合して円形に溶断したものであるが、本明細書で「溶断」とは、溶接をした溶接ラインから切断することであって、溶接代を残さないように形成することにより、内部バルーンを膨らませた時に溶接部分に皺が出ない継ぎ目が得られるようにしたものである(実公昭63−34711号公報3欄〈実施例〉の項の説明を参照)。
【0022】
第1実施例のバルーン装置を実施するには、内部バルーン20に第2のガスを充填してから容器本体11に収容する。次いで、容器本体11に、内部バルーン20に充填した第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填して蓋体12を被せ、止め金具13によって当該蓋体12密閉する。これにより、内部バルーン20は充填された第2のガスが容器10に充填した第1のガスよりも比重が小さいので、当該内部バルーン20が容器本体11内で浮遊する。また、内部バルーン20にはバランサー22が設けられているから、容器10内に収容された時、内部バルーン20は安定した姿勢を維持して収容される。
【0023】
第2実施例
図3は第2実施例を示しており、外被バルーンに内部バルーンが収容されているものである。図において、外被バルーン30は、内部バルーン20と同様に、2枚のプラスチックフィルム材を重合し、当該外被バルーン30の外周部から突出して形成した口部31に逆止弁構造を備えた気体供給弁32を設けて適宜形状、好ましくは円形形状に溶断したものである。なお、気体供給弁32は、先端を外被バルーン30内に挿入し、基端を当該バルーンから突出して設けたものである。
【0024】
外被バルーン30は、2枚のプラスチックフィルム材の間に第2のガスを充填した内部バルーン20を収容し、口部31に気体供給弁32を設けて円形形状に溶断し、気体供給弁32から第2のガスを充填したものである。
【0025】
ただし、口部31に気体供給弁32を設けずに、内部バルーン20の場合と同じように外被バルーン10内に第1のガスを充填した後、口部31を溶接して当該部分を密閉状態に維持して閉塞することができる。
【0026】
実験例
容器10は、透明のアクリル樹脂製を使用した円筒であり、容器の直径950mm、高さ120mm。
内部バルーン20は、OHフィルムを使用し、厚さ21ミクロン、直径100mmの円形形状。
外被バルー30は、OHフィルムを使用し、厚さ21ミクロン、直径235mmの円形形状。
容器又は外被バルーンに充填する第1のガスは、六フッ化硫黄であり、空気に対する比重は5.11である。
内部バルーンに充填する第2のガスは、空気である。
【0027】
本発明のバルーン装置は、容器又は外被バルーン内に第2のガスを充填した内部バルーンを収容するとともに、容器又は外被バルーンに第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを選択して充填したものであるから、内部バルーンを容器又はバルーン内で浮遊させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るバルーン装置を示す斜視図。
【図2】図2は容器内に収容する内部バルーンを示す斜視図。
【図3】他の実施形態によるバルーン装置を示す斜視図。
【符号の説明】
【0029】
10 容器
11 容器本体
12 蓋体
13 止め金具
20 内部バルーン
21 口部
22 バランサー
30 外被バルーン
31 口部
32 気体供給弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な容器又は透明な外被バルーンと、該容器又は外被バルーンに収容する内部バルーンとを有し、上記容器又は外被バルーンおよび上記内部バルーン内にガスを充填するものであって、上記容器又は外被バルーンに充填する第1のガスは上記内部バルーンに充填する第2のガスよりも比重が大きいものを選択することにより当該容器又は外被バルーン内で上記内部バルーンを浮上させることを特徴とするバルーン装置。
【請求項2】
容器は、容器本体と蓋体を有し、上記容器本体の開放部に上記蓋体がパッキンを介して装着したものであって、当該容器内に第2のガスを充填した内部バルーンを収容するとともに、上記第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填して閉塞することを特徴とする請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項3】
外被バルーンは、2枚のプラスチックフィルムを重合し、当該外被バルーンの外周部から突出して形成した口部に、逆止弁構造を備えた気体供給弁を設けて適宜形状に溶断したものであって、上記溶断工程の前に第2のガスを充填した内部バルーンを収容し、上記外被バルーン内に上記気体供給弁から上記第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填することを特徴とする請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項4】
外被バルーンは、2枚のプラスチックフィルムを重合し、当該プラスチックフィルムの間に第2のガスを充填した内部バルーンを収容すると共に、上記内部バルーンに充填した第2のガスよりも比重が大きい第1のガスを充填して適宜形状に溶断することを特徴とする請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項5】
容器又は外被バルーン内に封入する第1のガスが、空気中では浮上しない内部バルーンを浮上させる比重を有しているものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバルーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−89998(P2009−89998A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265201(P2007−265201)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(391004263)宝興産株式会社 (3)
【Fターム(参考)】