説明

バンド掛け機のスライド式バンド案内ゲート

【課題】バンド経路の最終部分において、バンド先端の送り込みを確実にする。
【解決手段】バンド経路の側面のガイドとなる固定板71と、その下流側端部に設けられた回転軸72と、これを通して前記固定板71に重なる可動板73と、この可動板73をバンド経路の上方をふさぐように付勢する戻しばねとからバンド案内ゲートを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体等に樹脂製のバンドでバンド掛けするバンド掛け機におけるスライド式のバンド案内ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品や食材等を箱詰めした包装体(以下単に「包装体」という)に熱可塑性樹脂のバンド(以下単に「バンド」という)でバンド掛けすることが行なわれている。バンドは例えば表面に網目状の突起を形成した厚さ0.5〜1.0mm程度の着色ポリプロピレン樹脂製のものである。
このようなバンドを使用するバンド掛け機としては、包装体をテーブルに載せ、作業者がバンドの先端を掴んで包装体に巻き付け、重なり部を溶着して末端部を切断する半自動式のものが知られているが、特許文献1には、バンドの巻き付け作業を含めてすべてを自動化した全自動バンド掛け機が記載されている。
【0003】
全自動バンド掛け機では、まず包装体を載置したテーブルを囲むバンド案内アーチにバンドを供給し、1周した先端部を押さえておいてバンドを引き戻して締め付け、重なり部を加熱溶着し、末端部を切断してバンド掛けの1サイクルを完了させる。バンド供給装置はテーブルの下部に配置され、バンドを供給方向に送り出すとともに、逆方向に引き戻して締め付けることを行なう。
【0004】
また、本出願人は、さきに特願2004-320110号(以下「先願特許」という)を以て、このようなバンド掛け機における新規なバンド案内アーチを出願した。
図6はこの先願特許に記載したバンド掛け機の全体を示す正面図であるが、この図に関する限り特許文献1に記載のバンド掛け機もほぼ同様であり、1はテーブル2の上面に設けられたバンド案内アーチ、3はテーブル2の下部に配置されたバンドリール、Bはバンドである。また図7は図6におけるテーブル2の部分を示す部分正面図で、12はバンド案内アーチ1のバンドガイド、4はバンドを送り込むフィードロール、5はテーブル2のバンドが重なる部分に配置されたバンド溶着/切断機構、51は供給されたバンドBがバンド案内アーチを1周して先端部が衝突するストッパで、先端部に押されてリミットスイッチを作動させる先端部検出スイッチとなっている。52は上昇してこの先端部を押さえつける先端部押さえ、53は先端部押さえ52の上方に配置される当て板である。
【0005】
また図8は先願特許に記載したアーチフレーム11およびバンドガイド12の断面図で、バンドガイド12はV字断面のガイドが対向しており、いずれもヒンジ等により長さ方向に軸回りに回転可能であり、開閉ばね13によって通常は(a)に示すように閉じた状態で内部にバンドBを保持しているが、(b)に示すようにバンドBが強い力で引き寄せられると開閉ばね13が引き伸ばされて端面が開口し、(a)の想像線で示したようにバンドBがバンドガイド12から外れるようになっている。
【0006】
これら従来の技術におけるバンドBの動きを図9により説明すると、(a)に示すようにフィードロール4が正転してバンドBがテーブル2からバンド案内アーチ1内に送り込まれ、これを1周して先端部がストッパ51に到達すると、これを検知しフィードロール4が停止してバンド供給が止まり、ついでフィードロール4が逆転してバンドBを引き戻す。このとき先端部押さえ52が上昇して先端部は前記の当て板53の裏面に押さえられているので、バンド案内アーチ1内のバンドが引き寄せられて図8に示した機構によりバンドガイド12から外れ、図9(b)に示すように包装体Pに巻き付くのである。バンドの重なり部を図示しないヒータにより溶着し、末端を切断すればバンド掛けが完了する。
【特許文献1】特開2004−123157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、以上説明したバンド掛け機構において、バンド案内アーチ1の部分は全長にわたってバンドガイド12が設けられており、テーブル2の図9における左側の部分にも同様のバンドガイド12が設けられているから、この間についてはバンドBはスムースに送り込まれるが、図9における右下のコーナー部からストッパ51までの間のバンド経路の最終部分は、フィードロール4やバンド溶着/切断機構5が接近して配置されているため、図8に示したような開閉式のバンドガイドを設けることができない。このためこの部分ではバンドが上部の解放された単なるU字形の溝内を前進するため、先端がねじれたり上向きになっていると包装体Pに突き当たったり、波状に折れ曲がったりして順調な送り込みができず、ストッパ51を正常に作動させないなどの問題点があり、バンド掛けの自動化に際しての障害となっていた。この部分のU字形の溝にスライド式の蓋を設け、この蓋をシリンダ等の水平駆動機構で開閉させることも試みられたが、さまざまな機構の集中する部分にさらに駆動機構を設けることには困難があった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解消し、U字形の溝部分にとくに駆動機構を必要とせずに開閉可能なスライド式のバンド案内ゲートを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バンドガイドを有するバンド案内アーチ、バンド送り込み/引き戻し機構、バンド溶着/切断機構を備えるバンド掛け機において、バンド案内アーチの最後のコーナー部からストッパまでの間のバンド経路の最終部分に設置され、このバンド経路の一方の側面の固定ガイドに対向する位置に取り付けられ、前記バンド経路の他方の側面のガイドとなる固定板と、この固定板の下流側端部に設けられた回転軸と、この回転軸を介して前記固定板に重なる可動板と、この可動板を前記バンド経路の上方をふさぐように前記固定ガイド側に付勢する戻しばねとからなるバンド掛け機のスライド式バンド案内ゲートであり、望ましくは前記固定板が上流側が下流側よりも厚い前記のバンド掛け機のスライド式バンド案内ゲートであるか、あるいは前記固定板が、バンドの幅方向に長い取り付け孔で取り付けられている前記のバンド掛け機のスライド式バンド案内ゲートである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、とくに駆動機構を設けることなく、引き寄せられるバンドによって自動的に開閉可能なスライド式のバンド案内ゲートを実現し、バンド先端の送り込みトラブルが解消するとともにストッパによる検出が確実となってバンド掛け機の能率が向上するというすぐれた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施例について図面により詳細に説明する。
図1はスライド式バンド案内ゲート付近を示すバンド掛け機を一部断面で示す部分正面図、図2は同じく部分平面図で、各符号はこれまでに説明したもののほか22はバンド経路の一方の側面に設けられた固定ガイド、7はスライド式のバンド案内ゲート、71はその固定板、72は回転軸、73は可動板、矢印はバンドBの進行方向である。
【0012】
このスライド式のバンド案内ゲート7はバンド案内アーチ1の最後のコーナー部からストッパ51までの間のバンド経路に設置され、このバンド経路の一方の側面の固定ガイド22に対向する位置に前記バンド経路の他方の側面のガイドとなる固定板71が取り付けられ、この固定板の下流側端部に回転軸72が設けられ、この回転軸72を介して前記固定板に重なる可動板73が取り付けられている。この可動板73は、前記バンド経路の上方をふさぐように戻しばね721により前記固定ガイド側に付勢されている。
【0013】
図3は、当て板53を取り外した状態で図2のさらに一部を示す部分平面図で、想像線はバンド幅を示し、またストッパ51の破線は移動位置を示している。54はヒータで、溶着を行なうときにはバンド下部位置まで進出するが、それ以外のときにはこの図の位置に退避している。
図4は上流側から見た案内ゲート7の斜視図で、バンドBの進入経路に対して固定板71が反対側の固定ガイド22とともに側面のガイドとなり、可動板73がその上面をふさいで箱状の空間を形成している。矢印はバンドBの進行方向である。
【0014】
図5は案内ゲート7の作動を説明する斜視図である。(a)はバンドBの先端がストッパ51に到達して検出スイッチが作動し、先端部押さえ52が上昇してこの図では示されていない当て板に対し、バンドの先端を押さえた状態を示している。この時点では可動板73は戻しばね721によりバンド経路の上方をふさいでいる。
なお、固定板71は上流側を下流側よりも厚くすると、可動板73の入口側が高くなるのでバンドBの先端が入りやすい。また、固定板71を取り付ける固定ねじ711の取り付け孔712をバンド幅方向の長孔とすることにより、バンド幅に対応して固定板71の位置を変えることができる。
【0015】
(b)はバンドBが引き戻されて、包装体Pに巻き付けられようとしている状態である。図8で説明したように、各バンドガイド12が開いてバンドBがアーチフレーム11から外れ、包装体Pに引き寄せられるに従い、この部分でも上流側(図の右側)からバンドBが引き上げられ、バンドの剛性によって可動板73が矢印の方向に開いてバンドBが案内ゲート7から外れるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明実施例のバンド掛け機の部分正面図である。
【図2】本発明実施例のバンド掛け機の部分平面図である。
【図3】図2のさらに一部を示す部分平面図である。
【図4】実施例の案内ゲートの斜視図である。
【図5】実施例の案内ゲートの作動を説明する斜視図である。
【図6】本発明に係わるバンド掛け機の全体を示す正面図である。
【図7】図6の一部であるテーブル部分を示す部分正面図である。
【図8】従来の技術におけるアーチフレームおよびバンドガイドの断面図である。
【図9】従来の技術におけるバンドの動きを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1 バンド案内アーチ
2 テーブル
3 バンドリール
4 フィードロール
5 バンド溶着/切断機構
7 (スライド式)案内ゲート
11 アーチフレーム
12 バンドガイド
13 開閉ばね
21 ガイドフレーム
22 固定ガイド
51 ストッパ
52 先端部押さえ
53 当て板
54 ヒータ
71 固定板
72 回転軸
73 可動板
711 固定ねじ
712 取り付け孔
721 戻しばね
B バンド
P 包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドガイド(12)を有するバンド案内アーチ(1)、バンド送り込み/引き戻し機構、バンド溶着/切断機構(5)を備えるバンド掛け機において、
バンド案内アーチ(1)の最後のコーナー部からストッパまでの間のバンド経路の最終部分に設置され、このバンド経路の一方の側面の固定ガイド(22)に対向する位置に取り付けられ、前記バンド経路の他方の側面のガイドとなる固定板(71)と、この固定板(71)の下流側端部に設けられた回転軸(72)と、この回転軸(72)を介して前記固定板(71)に重なる可動板(73)と、この可動板(73)を前記バンド経路の上方をふさぐように前記固定ガイド側に付勢する戻しばね(721)とからなるバンド掛け機のスライド式バンド案内ゲート。
【請求項2】
前記固定板(71)が上流側が下流側よりも厚い請求項1に記載のバンド掛け機のスライド式バンド案内ゲート。
【請求項3】
前記固定板(71)が、バンドの幅方向に長い取り付け孔(712)で取り付けられている請求項1または2に記載のバンド掛け機のスライド式バンド案内ゲート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−131324(P2007−131324A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326010(P2005−326010)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000179317)山田機械工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】