説明

バンパー取付構造

【課題】 バンパー外周壁部と車体が干渉し、バンパー外終端部の塗膜が剥がれ、外観を損なう恐れがある。外観品質維持管理のためには、バンパー外周劇部とバンパー取付ブラケットの2部品の寸法制度を向上させる必要があり、製造コストが増大してしまう。
【解決手段】 本発明のバンパー取付構造は、バンパーフランジ6の車体フランジ2側の面に設けられ、車体外側の角部に沿って配置される第1リブ6a及び、第1リブ6aよりも車
体内側に位置する第2リブ6bとを有し、第2リブ6bと車体フランジ2との間隙よりも、第1
リブ6aと車体フランジ2との間隙の方が大きいことを最も主要な特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体へのバンパー取付構造であって、車体とバンパーとの干渉を低減可能なバンパー取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体に設置されたバンパー取付用ブラケットを介してバンパーを車体に組み付けるバンパー組付構造がある。バンパー組付用ブラケットに設けられたフック部とバンパー係合溝部とが勘合することで、車体にバンパーが組付けられる。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−296845号公報(第7頁、第1図) ボディーパネル2に組み付けられたブラケット本体21は上面にフック部23を有し、バンパー1の係合溝部11とフック部23の引掛部23Aが勘合することで、バンパー1はブラケット本体21を介してボディーパネル2に組み付けられ、ボディーパネル2とバンパー端部の突起である外周壁部11Aとの間隙の大きさは、ボディーパネル2とバンパー外周壁部11Aとブラケット本体21との3部品の寸法により規定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、係る従来のバンパー取付構造では、バンパー取付ブラケット上面とボディーパネルとの間にバンパーのフランジ部を挟む構造であるため、バンパー取付ブラケット上面とボディーパネルとの間隙が小さいとバンパー外周壁部と車体が干渉し、バンパー外周端部の塗膜が剥がれ外観品質を損なう恐れがある。
このため、外観品質維持管理のためには、バンパー外周壁部とバンパー取付ブラケットとの2部品の寸法精度を向上させる必要があり、製造コストが増大してしまう。
【0005】
そこで本発明では、バンパーフランジに形成された突起により、車体とバンパーとの間隙をコントロールすることで塗膜剥れを抑制し、製造コスト低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバンパー取付構造にあっては、
バンパーフランジの車体フランジ側の面に設けられ、車体外側の角部に沿って配置される第1の突起及び、該第1の突起よりも車体内側に位置する第2の突起とを有し、
第2の突起と車体フランジとの間隙よりも、第1の突起と車体フランジとの間隙の方が大きいことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バンパー取付け手段により車体フランジにバンパーを組付ける際に、第1の突起より車体内側に位置するため外部から見えにくい第2の突起が、車体フランジと干渉することで、外部から見えやすい第1の突起と車体フランジとの間に間隙が形成さる
。該間隙によりバンパー組付け時に第1の突起と車体フランジとの干渉が抑制されるので
、第1の突起上の塗膜剥れを抑制できる。
【0008】
外部から見えにくい第2の突起を、外部から見えやすい第1の突起よりも先に車体フランジへ干渉させるようにするだけで、第1の突起が車体フランジへ干渉することを抑制でき
るので、第2の突起のみ1部品の寸法精度を向上させることで、バンパー取付部分の外観品質を向上させることができ、製造コストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態におけるバンパー取付構造の全体構成図
【図2】(a)はブラケットの拡大図、(b)はバンパーフランジの拡大図
【図3】図2(a)のA−A線に沿うバンパー取付時の断面構造図
【図4】バンパーフランジの拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面とともに詳述する。
図1〜図3は本発明に係るバンパー取付構造の第1実施形態を示し、図1はバンパー取
付構造の全体構成図、図2は図1の拡大図で、図2(a)はブラケットの拡大図、図2(b)はバンパーフランジの拡大図、図3は図2(a)に示すA−A線に沿う断面構造図を示す。
本実施形態のバンパー取付構造は、図1に示すとおり、車体側面のリヤフェンダー1と、リヤフェンダー1の端部に車体内側に向かって延設された車体フランジ2と、車体に設けられたブラケット取付部5へビス10で締結されるブラケット3と、ブラケット3と車体フランジ2の間に挿入されるバンパーフランジ6を有するリヤバンパー4と、を備える

【0011】
図3に示すとおり、バンパーフランジ6の車体外側の角部には、第1リブ6a(請求項1
に記載の第1の突起に相当)が形成され、バンパーフランジ6の第1リブ6aより車体内側に取付穴6cが形成され、取付穴6cと第1リブ6aとの間に、第2リブ6b(請求項1に記載の第2
の突起に相当)が形成され、第2リブ6bと車体フランジとの間隙は、車体フランジ2と第1リブ6aとの間隙より狭い。
【0012】
ブラケット3の車体フランジ2に対向配置される上面部3cに、上面部3cから車体フランジ2側へ向かって突出する爪3aと、車体フランジ2方向に向かって突出するブラケットリ
ブ3dとを有し、ブラケットリブ3dがパンパーフランジ6を車体フランジ2へ向かって押圧し、ブラケット3の爪3aがバンパーフランジ6の取付穴6cに係合し、車体にリヤバンパー
4を固定する。
【0013】
車体にリヤバンパー4を組み付ける手順を説明する。まず、車体側のブラケット取付部5に、ブラケット3の車体側垂直面に設けられたボス部3eを挿入し、ボス部のボルト挿入
孔3bから挿通させたボルト10を締結して、車体にブラケット3を固定する。次に、パンパーフランジ6を車体フランジ2とブラケット3の上面部3cとの間に挿入しながら、リヤ
バンパー4を車体内側に押し込む。このとき、第1リブ6aと車体フランジ2との間隙に対して第2リブ6bと車体フランジ2との間隙の方が狭く、外部から見えやすい第1リブ6aと
車体フランジ2とが干渉するより先に外部から見えにくい第2リブ6bと干渉するため、第1リブ6aと車体フランジ2との間には間隙が形成される。これにより第1リブ6aと車体フラ
ンジ2との干渉が抑制される(図3)。このように、第1リブ6aと車体フランジ2とが干
渉することで生じる第1リブ6a上の塗膜剥れを抑制でき、外観品質が維持される。
【0014】
第1リブ6aと車体フランジ2との間隙が第2リブ6bと車体フランジ2との間隙より狭くなると、第1リブ6aと車体フランジ2との干渉による塗膜剥れが発生し易くなり、外観品質
が損なわれる。また、第1リブ6aと車体フランジ2の間隙が、第2リブ6bと車体フランジ2との間隙と比べて過剰に広くなると、第1リブ6aと車体フランジ2との間隙が大きくなり過ぎ、見栄えが悪化することで外観品質が損なわれる。
【0015】
このように、本実施形態では、外部から見えにくい第2リブ6bを、外部から見えやすい
第1リブ6aよりも先に車体フランジ2に干渉させるようにするだけで、第1リブ6aが車体フランジ2へ干渉することを抑制できるので、第2リブ6bのみ1部品の寸法精度を向上させることで、リヤバンパー4の取付部分の外観品質を向上させることができ、製造コストの低減が可能となる。
【0016】
図4は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付し
て重複する説明を省略して述べるものとし、図4はバンパーフランジの拡大図を示す。
この第2実施形態のバンパー取付構造は、基本的に第1実施形態のバンパー取付構造と同様であるが、図4に示すようにバンパーフランジ6に形成される第2リブ6bが隣り合う取
付穴6cの間に位置し、第1リブ6aに沿って点在する構造である。本実施形態では、構成す
る部品、バンパーの取付け方、断面構造は第1実施形態と同様となる。第1リブ6aと車体フランジ2との間隙に対して、第2リブ6bと車体フランジ2との間隙が狭いため、外部から
見えやすい第1リブ6aと車体フランジ2とが干渉するより先に、外部から見えにくい第2リブ6bとが干渉することで、第1リブ6aと車体フランジ2との間に間隙が形成される。これ
により第1リブ6aと車体フランジ2との干渉が抑制される。第1リブ6aと車体フランジ2とが干渉することで生じる第1リブ6a上の塗膜剥れを抑制でき、外観品質が維持される。
【0017】
第1リブ6aと車体フランジ2との間隙が第2リブ6bと車体フランジ2との間隙より狭くなると、第1リブ6aと車体フランジ2との干渉による塗膜剥れが発生し易くなり、外観品質
が損なわれる。また、第1リブ6aと車体フランジ2の間隙が、第2リブ6bと車体フランジ2との間隙と比べて過剰に広くなると、第1リブ6aと車体フランジ2との間隙が大きくなり過ぎ、見栄えが悪化することで外観品質が損なわれる。
【0018】
このように本実施形態では、外部から見えにくい第2リブ6bを、外部から見えやすい第1リブ6aよりも先に車体フランジ2へ干渉させるようにするだけで、第1リブが車体フラン
ジ2へ干渉することを抑制できるので、第2リブ6bのみ1部品の寸法精度を向上することで、リヤバンパー4の取付部分の外観品質を向上させることができ、製造コストの低減が可能となる。
【0019】
また、バンパーフランジ6の幅が狭くなると、取付穴6cと第1リブ6aとの間に第2リブ6bを設けられないが、隣り合う取付穴6cとの間にリブ6bを配置することで、バンパーフランジ6の幅が狭い構造でも本発明の効果を得ることが可能となる。
本発明の第1及び第2の実施形態では、特にリヤバンパーの実施形態について説明したが、フロントバンパーの場合でも同様に適用できることは言うまでもない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、形状などの点で様々な変更を加えて実施することが出来る。
【符号の説明】
【0020】
1 リヤフェンダー
2 車体フランジ
4 リヤバンパー
6 バンパーフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体へバンパーを取り付けるためのバンパー取付構造であって、
車体の外板パネル端部に車体内側に向かって延設された車体フランジと、
バンパー端部に車体内側に向かって延設されたバンパーフランジと、
該バンパーフランジに設けられた取付穴と、
前記車体フランジと前記バンパーフランジとを対向配置し、車体にバンパーを取り付けるバンパー取付手段と、
前記バンパーフランジの車体フランジ側の面に設けられ、車体外側の角部に沿って配置される第1の突起及び、該第1の突起よりも車体内側に位置する第2の突起とを有し、
第2の突起と車体フランジとの間隙よりも、第1の突起と車体フランジとの間隙の方が大きいことを特徴とするバンパー取付構造
【請求項2】
前記第2の突起が前記第1の突起に沿って、連続して形成されることを特徴とする請求項1記載のバンパー取付構造
【請求項3】
前記第2の突起が前記第1の突起に沿って、断続して形成されることを特徴とする請求項1記載のバンパー取付構造
【請求項4】
前記第2の突起が複数の前記取付穴との間に配置されることを特徴とする請求項3記載
のバンパー取付構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49300(P2013−49300A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186988(P2011−186988)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)